障害児教育 にお ける人事行政
(2)― 中学校 「特殊学級」の設置状況―
On the PersOnnel Management of Special Schools and Classes(2)
一
Number of Special(,lasses Of Lower Secondary Schools in irottori Prefecture―一
障害児教育教室 渡 は じめ に 障害児教育 における人的条件の整備は
,障
害児の「教育 を受 ける権利」の実質保障を達成する上 で極めて重要な要件 となっている。既に,職
員録を用いた分析手法については別稿°で論 じた。本稿 は,鳥
取県を事例 にした「障害児教育における人事行政」研究の第2報
である。 『鳥取県教育関係職員録』の分析は,①
小学校特殊学級P②
中学校特殊学校,③
障害児教育諸学校 の 3パ ー トに便宜上分割 して行い,後
に関連 も考察する手順で進めたい。まずは,先
行研究°による と担任人事 に閾題 の多い と推測 されるとともに,特
殊学級及 び担任数が比較的少ない中学校か ら作 業を開始 した。ここで は,分
析 を開始す る前提作業 として,中
学校特殊学級の設置状況 に関 して『鳥 取県教育関係職員録』 の記載の正誤 を確認 し,併
せて延べ担任数 を確定 した。I.中
学 校 内 特 殊 学 級 の 設 置 状 況 1.『 学校基本調査報告書』 に基づ く設置状況 まず,全
国的な統計報告 に基づいて,設
置状況 を把握 した。文部省 『学校基本調査報告書』 には 1957年度版か ら都道府県別の特殊学級数が掲載 されている。その結果 を表1(左
半分)に
示 した。 特殊学級の障害種別 は途中か ら統計区分 に変更があるが,「精神薄弱」学級の多い鳥取県の中学校の 場合,支
障はない。 『学校基本調査報告書』によれば,1957年
度 には既 に,鳥
取県の中学校 に特殊学級が4学
級開設 されている。 ところで,注
意 しなければな らないのは,鳥
取県の場合,養
護学校 の前身 として,①
国立校の特殊学級,②
公立校 の施設内特殊学級が長 らく設置 されていた ことである。 これ ら養護学 校の前身 としての特殊学級 については,後ほど障害児教育諸学校 のパー トで分析 を行 う予定である。 従 って,公
立 中学校 の,
しか も施設内特殊学級 を除いたいわば「中学校内特殊学級」に限定 して, 設置状況 を把握す る必要がある。表 1の*印
において,除
外す る国立校及 び施設内特殊学級の確定 を行 った。(1)国
立鳥取大学教育学部附属中学校特殊学級 1962年度 に附属小学校 に特殊学級が開設 されたのに続 いて,附
属中学校 において も1964年度か ら 学年進行で特殊学級が設置 された♂『学校基本調査報告』の統計 は,1968∼ 72年度 の5年
度間 は国公私 昭 部 男*渡部昭男:障害児教育 における人事行政 (幼 立の合計 を記載 していた。鳥取県で当てはまる私立校 の事例 はないので
,
この5年
度間 は附属中学 校の3学
級 を除 く必要がある。なお,附
属中学校 の特殊学級 は,1978年
度か ら附属小学校の特殊学 級 と併せて鳥取大学教育学部附属養護学校 に昇格 し,解
消 した。(D
米子市立第二中学校整肢学園分校 肢体不 自由児施設整肢学園内に,1955年 9月 に米子市立第二中学校の分校が開設 されている 'こ の 施設内特殊学級が,行
政的に認可 された鳥取県下 における戦後初の中学校特殊学級であつた。施設 内以外に,中
学校 内特殊学級 として肢体不 自由児学級が開設 された ことはない。なお,整
肢学園分 校 は,1963年
度か ら肢体不 自由養護学校である県立米子皆生学園に昇格 し,解
消 した。(9
鳥取市立湖東中学校 白兎分校 国立鳥取療養所の病虚弱児の教育保障を目的に,1958年
10月に鳥取市立湖東中学校 の分校が開設 されている9年度途中の開設の為に,各年度 5月 1日 現在の統計である学校基本調査においては翌1959 年度か ら計上 されている。 この分校 は,1961年
度か ら鳥取県下初の養護学校 である鳥取市立養護学 校 白兎学園 (病弱)に
昇格 し,解
消 した。なお,身
体虚弱児特殊学級 は,白
兎分校 と次 に述べ る皆 浜分校のみで,中
学校 内特殊学級 としては開設 されていない。 (41 米子市立第二中学校皆浜分校 国立米子療養所 内の病虚弱児 を対象に,1959年
1月 に米子市立第二 中学校の分校 が開設 されてい るP皆浜分校 は,1962年
度か ら米子市立養護学校皆浜学園 (病弱)に
昇格 し,解
消 した。 (51 倉吉市立西中学校皆成分校 精神薄弱児施設皆成学園内に,1956年
11月°(10月9)に
倉吉市立西中学校の分校 が開設 された。 精神薄弱児対象の施設 内特殊学級 はこの分校 のみである。皆成分校 は,1972年
度か ら倉吉市立養護 学校 (精神薄弱)に
昇格 し,解
消 している。 以上の諸学級 を『学校基本調査報告書』の学級数か ら減ずれば,中
学校 内特殊学級数が判明す る こ とになる。皆成分校 を除いては,表 1のように学級数が確定できた。しか し,皆成分校 の学級数 は資料F『
皆成学園20年史』(1969)と資料G『
鳥取県特殊教育の歩み』(1978)で 相違 してお り,確
定で きな かった。従 って,表1のJ欄
は,A欄
か らF欄
及 びG欄
を減 じた中学校内特殊学級数の推計値で ある。 特殊学級数の統計の不一致 は,全
日本特殊教育運盟編 『日本の精神薄弱教育―戦後30年一第6巻 地域史Ⅲ・西 日本』(1979)や鳥取県特殊教育研究会編 『25周年記念号 きぼ う 第25号』(1987) において も認 め られた。国一公―私立,施
設内一中学校 内特殊学級,障
害種別,行
政認可―無認可 などの別 を明確 に した上 で,更
に中学校内特殊学級の確定作業 を進 める必要 に迫 られた。 2.『教育行政便覧』 に基づ く設置状況 次 に,文
部省 『学校基本調査報告書』の地方版 である鳥取県教育委員会 『教育行政便覧』 に基づ いて,鳥
取県下の公立の中学校内特殊学級 に限定 して,行
政認可の学級数 を把握 した。『教育行政便 覧』は毎年度 5月 1日 現在 の学校基本調査結果 をまとめた資料 で,1958年
度版か ら発行 されている。 『教育行政便覧』 に基づ く行政認可の学級数 を表1の I欄内のH欄
に掲 げた。 これが,行
政 に認可 された形での鳥取県における公立の中学校 内特殊学級の設置状況 (設置学校数 。学級数)の
確定数 である。 なお,『教育行政便覧』で確定 したH欄
の学級数 は,『学校基本調査報告書』の精神薄弱特殊学級 数(D欄
)から『教育行政便覧』で確定 した皆成分校の学級数(E欄
の中のH欄
)を減 じた数字(1958∼ 71 年度)と
も一致 した。項 目 年 度 文 部 省 調 査 ω * 国 一立 0 皆 成 分 校 O 公 立 中 学 校 内 特 殊 学 級 (1) 備
考 ( )内は開設 した月 立 ⑥ 1老 情 緒 障 害 潔 黙 虚 弱 難 聴
雛
肺
騰
潮
Ю
(0 lGl ⑪ lBl 遭 貌 支 店/
/
9 但/
/ 4 4 2 2 2 / / 4 4 2 2 2 59年***(10,鳥(1)米 f 又雨 豆 湖 東 =市立 第 二 7 7 2 3 3 3 3 9 9 3 4 3 4 1 8 8 2 2 4 4 4 4 ( 8 8 2 6 7 7 5 ユ llltl 4)米 子 市 立 6 6 7 7 7 4 1 7 7 4 2 6 6 3 4 6 4 3 5 6 6 □ 3 5 6 4 囲 3 5 5 囲 3 / 5 □ 3 / 5 囲 3 4)倉 吉 3 3 1 1 1 3 3 3 3 3 3 鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第2号
(1988) 表 1 鳥取 県 にお け る中学校 の特殊 学級 の設 置状況 (単位:級)(1988. 8.渡
部) 勢 ど 露 象 露 語 電 号 麺 蕩 磐 請 鰯 酔 極 程 懇 貫 就 半導 料 靴 ,露
壽畢籍鱒墨μ く
塩
表
2.
鳥取 県 にお け る中学校 内特殊 学級 の設 置推移 (設置校率) (1988. 8.渡部) 注1)鳥取 県教育委員会 f教育行政便覧」(各年度)より作成。 │ 2) 「学校数」 には分校 も含 めている。但 し,< 〉内に外数で示 した施設内分校 は除 いた。 また,校舎 (分教室)はカウン トしていない。 3) 「設置校」の内,〇印は同一校の2校舎 に設置 されていた中学校1校を含 むことを示 した。 4) 「学校数」及 び「設置校」において,組合立の邑法第一 中学校 を岩美郡 でな く鳥取市 に,箕蚊屋中学校 を西伯郡でな く米子市 に含めた。従 って,年度 によってr教育行政便覧Jの区分 とは異 っている場合がある。 5) 「全国平均設置率」 は,文部省 「学校基本調査報告書』 に基づ く数字で,国公私立 を含 めた平均値である。1976年度以前 については率の記載がない。 商 嬰 昌 削 一 熙 咄 湧 蝉 研 再 村 専 が 浮 削 斡 翼 ︵じ 年 度 区分 鳥 取 市 学校数(校) 設置校(校) (設置率)(%) 12(1) (― ) 12 1 (8) ■ 2 ⑪ 10 4 ⑩ 10 5 ⑩ 10 7 め 9 ⑥ 鰯 9 7 ぬ 9 7 ④ 9 7 ⑭ 9 7 ⑭ 9 8 ⑩ 9 8 ⑩ 9 7 ⑭ 9 7 ④ 9 7 ④ 9 7 ω 9 8 ⑩ 9 8 ⑩ 9 8 ⑩ 9 8 ⑩ 9 8 ① 9 8 ⑩ 9 7 ∩ 10 8 鰤 10 8 ∞ 10 8 ω 10 8 ⑩ 岩 美 郡 学校数 設置校 (設置率) 5 一 一 5 (―) 5 一 一 5 l ω 5 l ω 5 l ω 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 輸 5 2 m 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 2 R棚 3 2 鱗 3 3 m 3 3 帥 3 3 m 3 3 m 3 3 m 3 3 m 3 2 ● 3 2 ω 3 2 ω 八 頭 郡 学校数 設置校 (設置率) 9 (― ) 8 (― ) 8 (― ) 8 (― ) 8 l ⑪ 8 2 い 8 2 い 8 3 お凹 8 4 ω 8 5 ∩ 8 6 ω 8 6 ∩ 8 7 ⑪ 8 8 m 8 8 m 8 8 硼 8 8 m 8 8 m 8 8 醐 8 8 帥 8 8 醐 8 8 帥 8 7 鰯 8 8 醐 8 8 m 8 7 ω 8 7 ⑭ 8 7 ① 気 高 郡 学校数 設置校 (設置率) 4 (― ) 4 4 イー) 4 (→ 4 (― ) 3 (― ) 3 (― ) 3 2 ω 3 2 ∽ 3 2 9 3 2 9 3 2 何 3 2 m 3 2 ω 3 2 働 3 2 9 3 2 ω 3 l ⑬ 3 l ⑬ 3 2 ∽ 3 2 ω 3 2 ω 3 3 帥 3 3 m 3 3 m 3 2 9 3 2 ω 3 2 ω 倉 吉 市 学校数 設置校 (設置率) 4く1〉 (→ 4(1〉 (― ) 4(1) (― ) l〉 (― ) 4く0
・
n
ω
2
m
Ю
2
ω
0
3
ω
0
3
ω
0
3
ω
0
3
ω
4 3 ω 4 3 ⑭ 4 3 ω 4 3 ω 4 3 ω 4 3 m 4 3 偽 4 4 仙 4 4 醐 4 4 醐 4 4 m 4 4 硼 4 4 側 4 4 m 4 4 m 4 4 硼 東 伯 郡 学校数 設置校 (設置率) 12 (― 11 1-) 11 11 9 l ω 9 2 の 9 3 ⑬ 9 4 ⑭ 9 4 ⑭ 9 5 ⑭ 7 ⑤ ⑭ 7 ⑤ ∩ 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ω 7 5 ω 7 5 ω 7 6 ∞ 7 7 t0 7 7 m 7 7 m 7 7 t0 7 6 ⑩ 7 7 仙 7 7 m 7 7 m 7 7 価 7 7 m 米 子 市 学校数 設置校 (設置率) 9く2〉 (― ) 9(1) (― ) 9 5 m 9 5 m 9 5 m 9 5 m 9 6 9 9 6 ⑪ 9 6 ⑪ 8 7 ω 8 7 ω 8 7 ω 8 7 ⑬ 9 7 ⑭ 9 7 ⑭ 9 7 ④ 9 7 ∩ 9 7 ぬ 9 7 ∩ 9 7 ぬ 9 6 側 9 5 ω 9 5 ω 9 5 ω 9 5 ω 10 5 ⑩ Ю 5 ⑩ 10 5 ⑩ 境 港 市 学校数 設置校 (設置率) 2 (― ) 2 一 一 2 ←) 2 2 t0 2 2 t0 2 2 ︲0 2 2 t0 2 2 仙 2 2 醐 2 2 価 2 2 40 2 2 価 2 2 仙 2 2 仙 2 2 価 2 2 m 2 2 t0 2 2 t0 2 2 t0 2 2 ︲0 2 2 t0 2 2 t0 2 2 t0 2 2 仙 3 2 m 3 2 m 3 2 鰤 3 2 ω 西 伯 郡 学校数 設置校 (設置率) 8 (― ) 8 ←) 8 一 ′↑ 8 l ⑭ 8 l ⑬ 8 2 い 8 2 い 8 2 鰯 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ∩ 7 5 ω 7 5 ω 7 5 ω 7 6 ω 7 6 ∞ 7 6 m 7 6 ∞ 7 6 ∽ 7 6 ⑩ 7 6 ⑩ 7 5 ω 7 5 い 7 4 ω 7 4 働 日 野 郡 学校数 設置校 (設置率) 13 (― ) 12 (― ) 1 1 一 t 一 ︲ 11 (― ) 11 (― ) 11 (― ) 11 (― ) ■ 2 ω 11 4 ∞ 11 4 ω 9 4 鰤 7 4 m 7 3 ④ 5 2 い 5 2 嗣 5 2 ⑩ 5 2 ⑩ 5 l ω 5 l ω 5 l m 5 1 の 5 l m 5 l ⑩ 4 (― ) 4 ←) 4 ←) 4 (― ) 4 (― ) 計 学校数 設置校 (設置率) '8く4)←
) 5(2〉 1 Ю 7 ⑩崎
・ 4
⑭
!〉8 0 1 9 蛉 24 ω 68くl〉 26 1381 Ю 33 0 ゅ 40 ⑩ 0 42 ∽ 約 43 ⑪ 0 4 0 6 4 存 0 4 a 6 4 1 9 3 a 5 4 1 9 3 a 5 4 , 9 3 0 5 4 1 9 4 0 5 4 1 9 4 S 5 4 t 5 4 6 7 8 0 5 4 6 7 7 か 5 4 G 5 4 6 7 5 0 5 4 1 6 4 0 5 4 9 8 5 0 5 4 1 9 1 9 5 4 0 9 1 9 5 4 0 5 9 4 ⑩ 全国平均設置率∽鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第
2号 (1988) 289
H。 中 学 校 内 特 殊 学 級 の設 置 経 緯1.中
学校 内特殊学級誕生の経緯 戦後 に鳥取県下で最初 に行政認可された中学校内特殊学級 は,1962年
度,鳥
取市立西中学校 の特 殊学級である。先 に挙 げた資料の『鳥取県特殊教育の歩み』及び『日本の精神薄弱教育 第6巻
』 においては,共
に,小
学校特殊学級の歩みは詳述 されているものの,鳥
取西中学校 での特殊学級誕 生の経緯 は略記 されている。他の史料で,こ
の間の経緯の概略 を記 してお こう。(1)『
鳥取県教育要覧 昭和37年度版』(1963)1° 「特殊教育」の項 において,鳥
取市立西中学校,担
任・大西美智子, 1学
級16人の記載がある。(2)『
鳥取市誌(I)
昭和33年∼昭和45年まで』(1972)1つ 「日進校県下 に初 の特殊学級」の項に続 く「学級数の増加」の項において以下の記述がある。 「37年度 には久松小学校,西
中学校 にも設置 され,…
… (中略)。/こ
れ よ りさき,西
中学校 は29年 6月 に不就学者 と,長
期欠席の生徒20余人 を対象 とす る補導学級 を,西
品治公民館 に開設 した。講 師徳田のぶの4年
間 にわたる努力で,年
を逐 って学級生が少 な くなったので,33年の春 ここを閉 じ, 校内に成長教室 を設 けた。 この学力不振者 を対象 とする学級が37年度か ら衣がえして,精
薄者の特 殊学級 となったのである。0
『鳥取市教育百年史』(1974)12J 「特殊学級 の創設 と発展」の頂に続いて,「西中学校 の特殊教育」の項が設 けられている。 「中学校の特殊学級 は西中学校 ではじめられた。長期欠席生徒の就学対策 として,昭
和29年に発足 したが,当
時,西
中学校 は,45名
の長欠生徒 をかか えていた。そのため,校
区の公民館 に教員が出 むいて,こ
れ らの生徒の指導にあたった。 これは『西中分教室』と呼ばれた。/昭
和33年,分
教室 は 廃止 され,本
校 内に成長教室 (特殊学級)が
おかれた。昭和語年,特
殊学級 として補助対象 とな り, 39年度か らは, 2学
級 となった。」 なお,掲
載表 中において設置年度 は「29.6.8」 と記載 されている。 (4) 『きtFう第25号』(1987)13) 鳥取県下の特殊学級担任 などで構成する鳥取県特殊教育研究会の25周年記念誌 に
,西
中学校 の成 長教室 を担任 した大西美智子教諭が「鳥取西中『成長教宿』の思い出」と題する一文 を寄せている。 「昭和36年4月,私
は鳥取西中の『成長教室』 を担当するため赴任 した。(中略)/そ
の 〔徳 田のぶ ―引用者注〕後任 として私が36年に担当 した とい うわ けであった。私の受 け持 った36年には,準
備 室のような細長 い小部屋 をこの教室 にあてていた。そ して2年
生のみを対象 として,基
礎学力の遅 れている生徒 を,国
語 と数学の時間だけ数名ずつ交代 で教室へ来 させてその教科の基礎 を学習 させ ていた。合計10数名 であったように記憶 している。現在 のいわゆる促進学級である。プ リン トで練 習問題 をさせた り,国
語の教科書 を読む練習 をさせた り,漢
字書取 をさせた り…… とい うような内 容であった と思 う。教職経験の少なかった私 にとって,同
じ教育 をしている仲間 もな く,
ともすれ ば孤立 しがちな暗中模索な1年
であった。/翌
37年には,正
式の特殊学級 として,中学校では最初の 学級が設置 され,山
田敏美先生が赴任 して来 られ,今
日の特殊学級の基礎が確立 されたのである。J 以上の史・ 資料弁 ら,鳥
取西中学校での特殊学級誕生の経緯が概観で きよう。整理すると,1954
年に不就学 。長欠生徒 を対象 にした「西中分教室」が西品治公民館に開設 され,1958年
には中学校 内に場所 を移 し,教
科学習の促進 をめざした「成長教室」 に改め,1962年
度 か ら行政認可の精神薄渡部昭男:障害児教育 にお ける人事行政 ω 弱特殊学級 として発足 した とい う経緯である。
2.中
学校 内特殊学級増設の経緯 それでは,何
故,鳥
取県において1962年度 に最 初の中学校 内特殊学級が行政認可 され,そ
の後, 表1及び2に見 るように速いペースで増設 されて いったのであろうか。 『鳥取市誌 (I)』 は,
この間の事情 を,「この 普及の原動力 となったのは,学
級の成果が広 く世 に認められ,県
,市
の当局が積極的な増設計画 を 進めた ことにもよるが,反
面児童生徒の激減 に伴 う教員確保 の方策 として,設
置奨励が行われた こ とも見のがせない。Pと
才旨摘 している。また,山里 一夫氏 は「特殊学級の計画設置ゴ)と増設の経緯 を 特徴づけている。 これ らは今後の検討 に値する指 摘であるが,こ
こで はこれ以上立 ち入 らない。た だ,鳥取県における特殊学級の計画設置の背景 に, 1959年の中央教育審議会答 申「特殊教育 の充実振 興について」 を受 けて進 め られた1961年度 を初年 度 とする精神薄弱特殊学級の設置5か
年計画 とい う国 レベルの施策の推進があった事実 を挙 げてお きたい。 この5か
年計画 は,1965年
度 までに市及 び人 口3万
以上の町村 に設置基準 を満たす ように 全国で3,916学級 (小・中学校合計)の
特殊学級の増設計画 を推進 しようとした もので,1964年
度か らは人口3万
未満の町村 を含 め,毎
年度約1,000学級ずつの増設計画が推進 された♂) 鳥取県で は,1962年
度 に最初の学級が開設 された後,国
の5か
年計画の目処 とされた1965年度 に は70校中18校 21学級 (設置校率26%)に
設置が進 み,1968年
度 には県下の4市 6郡
の全てに設置 を 果た し,1972年
度 には最高の57学級 にまで達 してい る。 その後,設
置校率 は着実に上昇 し,1980年
度 には最高の84%に
達 した。以後,設
置校率 は減少傾 向にあるが,全
国平均値 よりも高い率 を依然 として維持 してい る。設置学級数 は,1972年
度以降減 少 した後 に再増設 されたが,1986年
度 より再 び減少傾 向に転 じている。なお,1984年
度 より日野郡 の中学校 には特殊学級 は設置 されていない。 中学校の特殊学級 は,全国的にみて も精神薄弱学級が多いが鳥取県の場合 は特 にその傾 向が強い。 しか し,1978年
度か ら難聴学級が,1984年
度か ら情緒障害学級が鳥取県の中学校 に も開設 されてい る。その設置状況 は,表
3のとお りである。難聴学級 は,1981年
度 に1校,1982年
度 に1校
増設 さ れ,県
の東中西部 に各1校計3学
級 を擁するようになっている。 III.『鳥取 県教 育 関係職 員録 』 の記 載 の確 認1.特
殊学級の記載 『鳥取県教育関係職員録』の記載を,『教育行政便覧』に即 して各学校毎に確認 したのが表4で
あ る。また,そ
の結果 を一覧にしたものが表5で
ある。 注1)鳥取 県教 育 委 員 会 F教育 要 覧 】(各年 度)より作成 。 1987年 度 版 以 降 は未発行 。()内 は在 籍 生 徒数 。 表3.
鳥取県における中学校内特殊学級 の設置状況 礁需膊薯1司帥 学級)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第
2号
(1988) 表4.
鳥 取 県 にお け る中学 校 内 特 殊 学 級 の学校 別 設 置状 況 (『鳥取県教育関係職員録』記載事項の確認) 3怠息
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注1) 2) 3) 4)渡部昭男:障害児教育 にお ける人事行政 9) (表4.つづ き) 頭 郡 気 高 郡 倉 市 東 学 校 名 年 度 中 央 船 岡 河 原 ノヽ 東 若 桜 用 瀬 佐 治 智 頭 気 一局 鹿 野 圭目 谷 倉 士 口 東 倉 士口 西 久 米 河 羽 合 泊 北 条
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i霙馨
北 涙 '63 ○(D 2(171 (2】 2(191 (4) 21171 (2) 2110 011) 1(7, O(1) Ш 0 1(8) (2) 21181 (3) ll 1(9) l l 21171 11 219111 1(9) 01) l(7, ll l l10(1) 1(7) (1) 21151 (2) 1(6) (1) 2121) (3) l l12) (1) 2(10 11 211910 ⑩ ω ① ● 1(10 (1) ④ ω (1) 2Q41 (2) 凹 0 2(10 (2) 2110 (3) 硼 ● lκll 11円
⑦ 0 1(7) (1) 1(8) (1) ll 硼 ● 側② 2110 (2) ω ② 2(14) (R】 2110 (3) 1(7) (1) 1(9) ll 1(6)(1) 1(101 (1) 伽 佗 1(3) (1) 側 ② ⑩0 21161 (3) ⑩ 0 2110 (2) i l131 11 l(5)(1) l(10 (1) l l10 11 l l121(1) 即 ω 2(151 (3) 21141 (2) 211' (3) 耐 9 2思 l l12) (1) l l10 (1】 1(9) (1) ⑩ ω 硼ω l l101 (1) l l121 (1) ① 0 D働 ⑩ 0 1(9) (1) 1(6) (1) l l121 (1) l l121 (1) 1(9) (1) 1(9) (1) 1(lll (1) ④ 0 側得 21131 (3) 1(6) (1) 1(6) (2) l l10 (1) 鯉 但 1(6) (1) ⑩ ω 1(6) (1) 2(141 (3) 1(5, (1) 1(5) (1) 21101 (3) ⑩ ① l l121 (1) ⑩ ω ⑪ω 1(5, (1) 211「Jl (3) 1(6) (1) 9 0 ︲0 働 1(2) (1) 1(5) (1) 1(8) (1) 1(1) (1) 硼 ω 1(12) (1) 2(131 (II】 1(3) (2) 1(5, (1) 2(15) (3) 1(5) (1) 1(5) (1) 1(2) (1) 1(1) (1) 1(6) (1) 1(6) (1) 1(3) (1) 21131 (2) 1(3) (1) 1(4) (1) 21131 (3) 1(6) (1) 1(2) (1) 1(1) (1) 1(3) (1) 1(7) (1) 1(2) (1) 2(131 (3) 1(2) (1) 1(3) (1) ω 0 1(4) (1) 1(4) (1) 1(3) (1) 1(2) (1) 1(8) (1) 1(3) (1) 1(8) (1) 1(3) (1) 1(6) (1) 2(161 (3) 1(4) (1) 1(4) (1) 1(2) (1) 1(4) (1) 1(6) (1) 1(5) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 1(2) (1) 21131 (3) 1(3) (1) 1(3) (1) 1(3) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 1 1(3) (1) 1 4) 1) 2(イ ' (2) 0 9 1(5) (1) 1(6) (1) 1(2) (1) 1(6) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 1(3) (1) 1(5) (1) 1(4) (1) 1(8) (1) 1(2) (1) 1(4) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 21121 (3) 1(5) (1) 1(8) (1) 1(6, (1) 1(3) (1) 1(3) (1) 1(5) (1) 1(5) (1) 1(4) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 2(5) (3) 1(5) (1) 1(5) (1) 1(7) (1) 1(5) (1) 但 徹 1(5, (1) 1(5) (1) 1(4) (1) 1(3) (1) 2(5) (2) 1(6) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) l(4) (1) 1(6) (1) 1(3) (1) 1(2) (1) 1(3) (1) 1(4) (1) 1(3, (1) 1(3) (1) 1(5) (1) 1(5) (1) 1(3) (1) 1(3) (1)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第
2号
(1988) (表4。 つづ き) 東 伯 東校 I聖 校 伯舎 I郷 舎 箕 蚊 屋 福校1峡校 万舎 1屋舎 1(4) (1) 級 び**は,校名 変 更 の年度 を示 す。つづ き) 大 山 佐校1末校 摩舎1長舎 1(2) (1) 渡部昭男:障害児教育 における人事行政 (2) キF昭和 53年 度 鳥 取 県教 育 関係 職 員 録 』 (1978)1こ 担 任 の み記 載 され て い る。
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第30巻 第
2号
(1988) 表5。 『鳥取 県教育 関係職 員録 』 の記載 の確 認 (学級数言己載及び担任記載) 295 (1988. 8.渡部) 区 分 年 度 『教育行政便覧』 『鳥 取 県 教 育 関 係 職 員 録 』 設 置 校 ω 中 学 校 内 特 殊 学 級 担任 未記載校 担 任 記 載 校 一学 級 設 置 校 三 学 級 設 置 校 学 級 数 未 記 載 学 級 数 記 載 学 級 数 未 記 載 学 級 数 誤 記 載 学 級 数 記 載 計 **** 記 載 担任 数 (人) ω l°/Ol l 1 (― ) 7 4 1 2 3 3 l 4 l 1 9 3 3 4 4 2 4 9 1 9 1 15** 27** 7 3 2 (95) 9 7 1 5 5 6 4輩とす
4哲とす
57造す
6 7 5 2 5 2 5 1 (100) 4 3 l キ 同一校の2校舎 に特殊学級があ り, 1校舎 は「担任未記載, であったので,後者にカウン トした。 キ* 同一校の2校舎 に特殊学級があ り, 1校舎 は「担任未記載, であったので,後者 にカウン トした。 **キ 『教育行政便覧ど に記載がないが F鳥取県教育関係職員録』 **** 記載担任数 は延 べ総計1,192人である。 学級数未記載」であったが,他の1校舎が「担任記載,学級数未記載J 学級数未記載」であったが,他の1校舎が「担任記載,学級数記載」 に記載のある1校 1学級1担任 は除外 した (く〉外数)。渡部昭男:障害児教育 における人事行政 鬱) まず
,特
殊学級 (学級数)の
記載 について確認す る。特殊学級の設置が学級数 として記載 されて いなかった箇所 を表4の『教育行政便覧』の学級数 の下段 にOで
囲って示 したが,未
記載校 は1962 年度1校(100%),1963年
度5校(71%),1964年
度5校 (36%),1965年
度7校 (39%),1966年
度 10校(42%),1967年
度■校(42%),1968年
度1校
(3%)で
あ り,以
降の記載洩れはない (但し, 1988年度 に1校だけ学級数の誤記載がある)。2.担
任の記載 学級数の未記載 は1969年度以降 はないが,担
任 の未記載 はそれ以降 も継続 している。従 って,学
級数・ 担任 ともに未記載の学校ではな く,学
級数 は記載 されているにも関わ らず担任が記載 されて いない学校がなお1969年度以降 も存在 した。 担任未記載の箇所 は表4の各年度の下段 に (―)で
示 した。即 ち,1962年
度1校 (100%),1963
年度4校 (57%),1964年
度5校 (36%),1965年
度6校 ((33%),1966年
度8校 (33%),1967年
度 7校(27%),1968年
度12校(36%),1969年
度13校(33%),1970年
度15校(36%),1971年
度7校
(16%),1972年
度3校
(7%),1973年
度2校
(5%),1975年
度1校(2%)で
あった。1974年度 及び1976年度以降 については担任名が記載 されていた。 以上の ようにして,担
任名が確認 されたのは,1962∼
88年度 に中学校 内特殊学級 を開設 していた 延べ997校中913校分(92%),延
べ総計1,192担任分 である。 ところで,『鳥取県教育関係職員録』の未記載 について,面
白い傾向が認 め られた。 それは,未
記 載が特定の市郡・学校 に多い ことである。未記載が際だったのは鳥取市 (鳥取東,西 ,南 ,湖
東中 学校,組
合立の邑法第一中学校),岩
美郡 (岩美,福
部中学校),八
頭郡 の一部 (中央中学校)な
ど 東部の郡市であった。 これに対 して,境
港市 は設置 当初か ら学級数・ 担任名 が記載 されてお り,ま
た,東
伯郡,米
子市で も,学
級数の記載 はな くとも当初か ら担任名 は記載 されていた。 『鳥職県教育関係取員録』の発行主体であ り,編
集事務局の所在する鳥児県教育委員会 は,特
殊 学級数 に関 しては学校基本調査な どで正確 に把握 しているものの,校
内人事 である特殊学級担任 に 関 しては把握が遅れた とも推測 され る。 この場合 は,単
なる編集上の問題 とい うことになる。 一方,東
部の郡市 においては,当
初,学
級担任制 を採 っていなかった ことも考 えられ る。 この こ とに関連 して,特
殊学級の教科担任 を全て「特殊」 と記載 している学校 も数例見 られた。 この点, 一般 には教科担任制 を採 る中学校 において,特
殊学級が学級担任 と教科担任 で どのように分担・ 連 携 され運営 されていたのか も,「人事」 と併せて解明すべ き課題 となろう。 更 には,何
等かの事情 で特殊学級が設置 されていることや担任の公表 を差 し控 えた ことも推察 さ れる。 これ も,今
後 に解明すべ き一課題であろう。 次回の第3報
告 においては,第
2報
告で確定 した『鳥取県教育関係職員録』の担任名 を更 に他資 料で補正 しなが ら,第
1報
告で述べた分析手法 に基づいて,中
学校内特殊学級人事 の分析 を行 う予 定である。 〔追記〕本報告にあた り,鳥
取大学教育学部の遠藤盛男教授には『学校基本調査報告書』の,鳥
取 県教育委員会総務課には『教育行政便覧』の,鳥
取県教育研修センター図書室及び鳥取大学付属図 書館郷土資料室には『鳥取県教育関係職員録jの
利用の便宜をいただきました。 また,鳥
取大学教 育学部附属養護学校の山里一夫教諭からは『めばえ 第25号』の寄贈を受けました。 ここに記 して鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第