81
学 会
東京女子医科大学学会 第58回総会
日時平成4年9月26日(土)13:30∼1710
会場 東京女子医科大学 弥生記念講堂
(総合司会)幹事 大森 安恵
総 会(13:30∼13:40)
挨拶………・…・……・………・…・・……・………・…・…………会長吉岡守正
庶務報告…・………・……・………・……・……・………・…・・…………幹事 小暮美津子
会計報告………・…・……・………・・………・………・………・・………・…・……・…………幹事 橋本 葉子
特別講演(13:40∼14:20)
(司会)会長 吉岡 守正
ウイルス性肝炎の新たな知見一C型肝炎を中心として一 ………消化器内科学教授 小幡 裕
シンポジウム(14:20∼16:20)
悪性リンパ腫 (司会)第二病理学教授 笠島 武
血液内科学教授 溝口 秀昭
1.悪性リンパ腫の研究経緯と本学の悪性リンパ腫について…………第二病理学教授 笠島 武
2.Bリンパ腫の病理一低悪性度群Bリンパ腫
を中心として一・………・…・…・…………・筑波大学基礎医学系病理助教授 森 尚義
3.末梢性T細胞腫瘍の臨床病理学的研究一特に未分化大細胞型リンパ腫
を中心として一・………・………・愛知県がんセンター病院臨床検査部病理科医長 中村 栄男
4.悪性リンパ腫の化学療法…………・…・…・・………・………・…………血液内科学講師 増田 道彦
5.悪性リンパ腫の放射線治療……・…………・…………・・……・・……放射線医学助教授 大川 智彦
6.悪性リンパ腫の骨髄移植……・………・…………・………血液内科学助教授 押味 和夫
追加発言
悪性リンパ腫の外科治療一胃悪性リンパ腫の切除予後一………消化器外科学講師 喜多村陽一
教育講演(16:30∼17:10)
(司会)寄生虫学教授 白坂 龍雄
大腸癌の外科的治療
一特に括約筋温存手術と肝転移の治療について一……・…………・・第二外科学教授 浜野 恭一
一599一
82
東京女子医科大学学会 第58回総会抄録
〔特別講演〕
ウイルス性肝炎の新たな知見一C型肝炎を中心とし
て一
(消化器内科)小幡 裕
日本における肝疾患の約80%は肝炎ウイルスによる
ものである.1965年以来5種類のウイルスが次々と発
見され,それぞれの特徴が明らかにされてきた.これ
らのうち我が国において最近特に新たな知見が集積さ
れ,重視されているのはC型肝炎である.
C型肝炎は基礎面では分子生物学的研究により遺伝
子構造が解明され,またそれを臨床に応用して診断法
が開発されてきている.さらに遺伝子の変異の問題が
新たな課題となってきている.
一方,臨床面では我が国における疫学的実態が把握
されるようになり,持続感染の成立とそれによる肝病
変の推移,すなわち急性肝炎から肝細胞癌への進展の
様相についても明らかにされてぎている.そして,C型
肝炎の感染,発展に対する予防対策も着実に進められ,
また治療面では特にインターフエロン療法が脚光を浴
びてきている.しかし,本療法によるC型肝炎の寛解,
治療の可能性は期待されているものの投与量,投与期
聞さらに副作用の問題などについて,さらに評価が必
要である.
B型肝炎に関しては,C型に先んじて受動および能
動免疫による予防対策が確立され,臨床実態も変貌し,
制圧に向っている.しかし,未だ肝炎の発症機序など
残された問題も少なくない.それらの現況についても
述べる.
そして,最後にウイルス性肝疾患に対する東洋医学
からのアプローチとして,基礎,臨床面における役割,
新たな展開について考察を加える.
〔シンポジウム〕
悪性リンパ腫シンポジウム
1.悪性リンパ腫の研究経緯と本学の悪性リンパ腫
について
(第二病理)笠島 武
1832年,Hodgkinの報告に端を発した悪性リンパ腫
の研究史は,造血系細胞,とくにリンパ網内系細胞の
帰属の変貌の歴史ともいえる.リンパ球の芽球化の確
認,細網細胞,内皮細胞,マクロファージの起源に関
した幾多の論議の継続,近代の免疫学,分子生物学の
新たなアプローチ,種々の解析などから,形態学的な
悪性リンパ腫の分類も曲折を経て,現在のHodgkin
病(HL),非Hodgkin病(NHL)に2大別された.
さらに免疫学的な立場,あるいは臨床的な予後との関
連を重視したいくつかの分類が提言された.これらの
研究経緯にふれると共に,新たな今日的問題点を紹介
する.さらに,本学における悪性リンパ腫の剖検,生
検での推移を紹介する.
2.Bリンパ腫の病理一低悪性度群Bリンパ腫を中
心として一
(筑波大学基礎医学系病理)森 尚i義
近年working formulationの低悪性度群リンパ腫
に属するもののうち,mantle zone lymphomaや
monocytoid B lymphoma,更にMALT lymphoma
などの概念が次々と出されている.これらのリンパ腫
は形態的に鑑別が難しく,概念的にもオーバーラップ
が見られるなど,未だそれぞれが明確な疾患単位とし
て確立されていない.我々は現在までにmantle zone
lymphoma 9例, monocytoid B lymphoma 4例を経
験しており,これらの形態的,免疫組織化学的特徴を
明らかにしたい.
これらの疾患と鑑別を要するものとして,びまん性
小細胞型リンパ腫(あるいはCLL), hairy cell leuke−
mia, MALT lymphomaなどがある.
我々は小細胞型リンパ腫(あるいはCLL)7例,
hairy cell leukemia 6伊旺を経験しており, mantle
zone Iymphoma, monocytoid B lymphomaとのマー
カー上の鑑別を試みたい.MALT lymphomaについ
てはその概念を述べるとともに,他の低悪性度群リン
パ腫との関連性を述べる.
3.末梢性T細胞腫瘍の臨床病理学的研究
一特に未分化大細胞型リンパ腫を中心として一
(愛知県がんセンター病院臨床検査部病理科)
中村 栄男
未分化大細胞型リンパ腫(LC−Ana)はSteinらによ
りKi−1抗体(CD 30)陽性の非ポジキンリンパ腫とし
て報告された.多くはT細胞性と考えられ,現在up−
dated Kiel分類Tリンパ腫high grade群に分類され
一600一