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(シンポジウム 自己免疫疾患をめぐって)慢性関節リウマチの病態成立過程における免疫応答について

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(1)

シンポジウム

自己免疫疾患をめぐって

慢性関節リウマチの病態成立過程における免疫応答について

東京女子医科大学 ニシ オカ 西 岡 リウマチ・痛風センター ク ス キ

久 寿 樹

(受付 昭和61年12月1日)

Immune Response in Rheumatoid Synovitis Kusuki NISHIOKA, M.D.

Institute of Rheumatology, Tokyo Women’s Medical College

It’s a well known fact that heterogeneous synovial cells are associated w量th pathogenesis on rheumatoid synovitis.

Three different types of rheumatoid synovial cells were cloned:dendritic cells, macrophage−like cells and fibroblast cells in our laboratory.

These cloned cells were cultured for up to 10 month without any sign量f三cant morphological changes. Here, we have investigated these cells character by morphology, immunofluorensent staining and spontaneous or stimulated production of cytokines(IL−1).

It’s revealed throughout these studies that dendritic cell cloned童n our laboratory has critical role as an initiation of immune response expecially autologous mixed lymphcyte reaction in synovial tissue or cavlty.

On the other hand, variety cell populations observed in synovial fluids were investigated by monoclonal antibodies.

Characteristic changes of T cell subsets in rheumatoid arthritis was summarized in Table・2. Ts, Ti cells significantly decreased and Tc, Th, TDR increased. A role of number of soluble factors produced in AMLR is discussed here from view point of pathogenesis of rheumatoid arthritis.

はじめに 慢性関節リウマチ(以下RAと略す)は,関節 滑膜に生じる免疫異常を基礎病態としほぼ関節に 限局した慢性の反復性の炎症性疾患である.同時 に本症は単に滑膜炎のみでなく骨軟骨の破壊性病 変と進展していくところが他の自己免疫異常を基 礎とする滑膜炎との本質的な差異である.しかし ながらこの特異的な炎症の成立過程における最初 のいわゆる“ひきがね”が何であるのかがほとん ど解明されていない.RAを中心とするその周辺 の疾患を含めてそれらの病因,病態,症状を系統 的に把握するためのいわゆる“関節病学”の確立 が急務とされよう.とくにRAの病態に関しては その滑膜炎の成立,いわゆる“initiator”の解析, 活動期の滑膜周囲に浸潤してくる多様な免疫担当 細胞の役割,慢性肉芽性炎症から骨破壊病変に至 る一連の過程における免疫担当および間葉系細胞 あるいは非特異的に産生される種々の液性因子の 解明が進んできている1)卵6). 一方,RAの病態論を複:雑にしているのが本症 の臨床的な多様性である.例えば後述するように リウマイド因子(RF)の陽性RAが本質的に同一 疾患であるのかどうか,関節外症状の他に血管炎 や多彩な全身症状を伴ったRA(悪性関節リウマ チ)と比較的関節に限局したRAとが同一の疾患 概念で把握できうるかどうか,またRAの自然経

(2)

一・・一チー

鵠ヒ欝1

細胞形態学的・プーチー[麗擁禦:

免疫学的・…チー

d撫潔築麗要脚

細胞工学的アプローチ 抗原特異的T細胞のクローン化または融合 竃結yび関節液細胞クローン化 Pa抗原遺伝子導入細胞による解析 “in vitro”の系でのvisious cycleの再現

Fig.1RA患者の関節内ではなにが生じているか 一戦 略 論一 過の多様性などが挙げられる. 1.RAの病態解明への筆者の研究室の戦略的 な方法論

Fig.1には筆者らの研究室におけるRAの病

態を解明するため現在展開しつつある方法論を臨 床的な視点から細胞工学的なアプローチまで含め てまとめてみた. 臨床的には現在重点をおいているのは,種々な

病期におけるRAの滑膜病変への直視下での検

討であり,これには後述するように,関節鏡及び 筆者らの研究室で開発した拡大関節鏡等の応用に より,滑膜病変を構築している血管網の微細構造 や滑膜の初期病変の変化が捉えられるようになっ た(Fig.2). 次いで病理形態の立場からの検討であるが,京 極らはこのRA滑膜での病勢への進展プロセス を初期,急性期→自動性悪循理→破壊相の三つの 相に分類し,それぞれの相における病巣を形成す る細胞の特徴を詳細に記述している7}.後述する ごとく筆者らは種々のモノクロナール検体を用い て免疫病理学的な視点より,RA病変へ浸潤して くる種々な細胞の表面抗原の解析結果から,滑膜 組織あるいは関節液でRAの病態成立に係わり があると考えられる重要な知見を得ている. RA患者より得られる関節液および滑膜は免疫 学的にみるといわぽ“宝庫”であり,そこに集積 する細胞の特性を一つづつ明確にすることは,非 常に混み入ったRAという病態を明確にするこ Fig.2 拡大関節鏡で観察した初期RA患者の滑膜 とにつながる.ここにRAへの免疫学的なアプ ローチが必要となる. さらに近年の細胞工学的な手法により滑膜およ び関節液細胞をクローン化した細胞の“組み合わ せ”はよりRAに近似した病態モデルを培養細胞 の系で作り上げる事が可能となりつつある. 一方,免疫担当細胞におけるこういつた機能発 現の調節機序を細胞内物質注入などの細胞工学的 な手法で検討することも免疫担当細胞の機能異常 の解析につながる有力な手法である. 後述するようにIa(HLA−DR)抗原は,滑膜の 免疫異常の成立過程において特にヘルパーT細

胞の機能を調節している重要なMHC(Major

histocomatibity complex)である.近年,抗原提 示細胞としての機能を有していない細胞にその

(3)

現させ,抗原提示細胞へと“機能を転換”させる 試みがMalisson,本邦では斎藤らによって検討さ れつつある8)9).これは,ヘルパーT細胞が抗原提 示細胞上のIa抗原と外来抗原の認識過程を解明 するために検討されてきたものである.こういつ た手法はRAの滑膜細胞のIa抗原の発現機序と そのhelper T細胞の相互反応の解明, RAの病態 成立に重要な役割を担っていると考えられる10). さらにINFγ(γ一lnterferon)の存在下における強 力なIa抗原の発現機序につながるものと考えら れる. 2.リウマトイド因子の産生とその部位 RAの病態の成立を論じる場合に,リウマトイ ド因子を抜きにする事は出来ない. リウマトイド因子とは,古典的な定義ではヒト, または動物のIgGのFcの部分に存在する抗原決 定基と特異的に反応する抗体である.リウマトイ ド因子については,それがどこの組織で産生され, 私達の身体でどのような生物学的な役割を有して いるのか,不明な点も多いが,リウマチの滑膜に おいては,免疫複合体との係わりにおいて,その 炎症の成立過程と深く関与していると考えられ る. すなわち活動性の高いRA疾患の滑膜では,し ぼしば滑膜下基質に単球の著しい細胞浸潤を認め る.またこれらの一部はリンパ炉胞を形成しその 周辺に形質細胞の集族が認められ,免疫グロブリ ンの産生がとみに顕著である.またその移行部に おけるマクロファージ,リンパ球等,多くの免疫 に関与している細胞の浸潤,活性化されたT細胞 等の異常な免疫反応が関節滑膜で生じていること が認められる.こういつた病態の成立に1973年 ZvaiHerはすでに血管外免疫複合体の形成説を主 張し,さらにIgG一味IgGからなる免疫複合体が関 節局所で形成されることを示唆する成績を発表し ている3). 滑膜細胞や,関節液中からのりウマトイド因子 の存在の証明は,これらのRAにおける自己抗体 形成の“局所説”を裏付ける有力な証拠である. 一方,ZiffのグループからRA患者の培養滑膜

tor)およびIgG−RF(IgG Rheumatoid factor) の検索を固相RIA法で検討した結果,いわゆる seropositive RA患者においてIgM−RFの産生を 定量的に行ない滑膜局所におけるリウマトイド因 子の産生を報告している4).また,IgM−RFおよび IgG−RFの産生を認め,その産生量に差異は存在 しても,その産生能はseropositive RAに特異的 であり,滑膜に選択的に認められるという報告を 行なっている. 一方,末梢血中におけるリウマトイド因子の産 生も,非特異的にB細胞をEBウイルスで活性化 させるとその産生は認められている.またser−

opositiveの50%のRA患者の末梢血のB細胞か

らもIgM−RFの産生が認められる4). 以上の事実はリウマトイド因子の産生細胞の主 体が,骨髄から由来した末梢単核球系の細胞かと いう疑問を抱かせる. しかしながら少くとも,特にseropositiveな活 動性関節炎の滑膜に大量に集積した単球系細胞を 主体とした免疫担当細胞を介して,IgM, IgG−RF を代表とする自己抗体が局所的に無秩序に産生さ れていることは動かしがたい事実である. 3.抗原提示細胞とT細胞の活性化 こういつた自己抗体が産生されるためには,関 節局所での抗原提示細胞による,T細胞等の活性 化機序が重要である.なかでもVan Furthらに よって整理されつつある単核昼食細胞系は重要な 役割を担っている.すなわちそれらの細胞の種々 な分化過程においては,後述するクラスII抗原お よびそれらによって,規定される抗原提示機能の 重要性にある. 免疫反応に直接関与しているのはT細胞およ びB細胞であるが,後述するように,RAの炎症 巣においてはこれらのリンパ球の著明な活性化が 認められる.しかしながらこれらの活性化機序に ついては特異的な外来抗原は今のところ不明であ るが,京極らは最近菌体成分の一つであるプロテ オグリカンに着目しているη.一般的にある外来 抗原によってT細胞が活性化される場合,マクロ ファージ等の抗原提示細胞によって処理を受け,

(4)

この抗原が細胞表上に提示される.しかしながら その活性化には,ヒトの場合ではDR抗原を同時 に認識することが必要である.ヘルパーT細胞が

MHCの産物であるDR抗原による遺伝的拘束

と,外来抗原の認識過程は免疫現象の現在におけ る課題であるが,未だに明らかにされていない部 分も多い.RA滑膜中に大量に存在する抗原提示 細胞の解析を通して,今後かなりの部分が明らか になるものと考えられる8)∼11). 事実,等者らの研究室の佐藤らは,活動性関節 =炎:の患者滑膜を免疫組織化学的な手法を用いて解 析し,次のような興味ある知見を得ている. すなわち,リンパ球の著しい集束を認めている, 中心部分には活性化B細胞が存在し,その周囲に サプレッサー/イソデュサー様細胞の著明な浸潤 を認めている12). 最近,Schlossmanらのグループは抗2H4モノ クロナール抗体を用いた検索からその亜分画のう

ち抗2H4陽性T4細胞がAMLR(Autologous

lnixed lymphocycte reaction)において重要な:役

割を担っていると考えられていることを示唆して いる報告を行なっている.この事実は前述した佐 藤らの滑膜細胞のサプレッサー/インデュサー細 胞が著明に浸潤しているという事実と併せて考え

ると活動性の高いRAの滑膜組織での抗原提示

細胞とそれに対応するT細胞亜分画等を通じて,

AMLRの始動の機序が明確にされつつあるとい

う印象を受ける. 4.関節液細胞の免疫学的な特徴について 炎症性関節疾患においては,種々の細胞が浸潤 してくる.慢性リウマチ患者,変形性関節炎,痛 風症例における,関節嚢中の細胞の分布を検討す ると,RAの場合には痛風と比較すると好中球が やや少く,リンパ球が多い.変形性関節症の場合 には,絶対的な浸潤細胞との数は少ないが,比率 からみると好中球よりリンパ球の方が多い. すなわち,RAの病初期あるいは急性炎症期に は,関節液中の細胞は好中球が主役を占め,リン パ球は少数であることが多い.一方,経過を追っ て観察してみると,病期が慢性期になってくると, リンパ球がやや増加するが,量的には好中球が圧 倒的に多い.これはRAの混み入った炎症の結果 であると考えられる. こういつたRA関節液中のリンパ球表面分布 の解析は,関節内でどのような免疫異常がおきて いるかを検索する大切な手掛かりとなる.リンパ 球の解析には,最近多くのモノクローナル抗体が 使われ,そのモノクローナル抗体の組み合わせに よってリンパ球の表面抗原の解析とその機能を対 応して分類されるようになってきた.これは,フ ローサイトメトリーの導入により,より促進され, リンパ球の解析が可能となった.関節液内リンパ 球の大部分はT細胞で占められ,しかもサプレッ サー/キラーT細胞とヘルパー/インデューサーT

Table l Activation markers on the surface of Leu4+Tcells from paired

PBL and SFL22)・24)

MoAbs

垂≠狽奄?獅狽 HLA−DR+ HLA−DR十← Tac+ TF・R+

PBL 9,4±6,2*§ in=19)‡ 2.4±0.9§ in=19) 2,7±0.8 in=14) 0.4±0,1 in=10)

RA

SFL 57.3±12.6# 29,1±10# 7.4±4.3† 2.9±1.7† Healthy モ盾獅狽窒盾 PBL 6±2,1 in=19) 1.6±0.6 in=19) 2.1±0.9 in=7) 0,3±0.1 in=9)

*Percentage of monoclonal antibody positive cells in PBL or SFL

‡No. of patients examined, Paired PBL and SFL were aspirated and examined SimultaneOuSly

§Signi丘cant difference to control PBL at p〈0.05

†Signi且cant difference to RA・PBL or control PBL at p〈0.05 #Significant difference to RA−PBL at p<0.001

(5)

異なる構成を示している点が特徴的である.ちな みに,末梢血リンパ球ではT細胞は,70%程度で, しかもヘルパー/インデューサーT細胞とサプ

レッサー/キラーT細胞の割合は2:1でRA患

者と正常者とそれほど大きな違いは認められな い. 一方,RA関節液のリンパ球ではTable 1のよ うに大部分のT細胞が抗原やTac抗原, TRF抗 原などのT細胞の活性化のマーカーである表面 抗原を表現していることである.これは末梢血の それと際立った異なりをみせている. さらに一方,モノクローナル抗体を組み合わせ た,我々の最近のデータでは関節液内リンパ球は キラーT細胞(Leu 2a+Leu 15一)とヘルパーT細 胞(Leu 3a+Leu 8一)が増加し,サプレッサーT 細胞(Leu 2a+Leu 15+)とインデュサーT細胞 (Leu 3a+Leu 8一)の減少が対症症例の全てに認 められた(Fig.4,5,6).すなわち, RAの関節液 では,非常に明確なリンパ球の偏位が末梢血と比 較して著明に認められた.また,RA関節液ナチュ ラルキラー様細胞はAMLRで誘起される特徴的 なキラー細胞とあらゆる面で類似している.以上 の関節液細胞の特徴をTable 2にまとめた. 以上の事実はRA患者の関節内では“関節腔 AMLR”ともいえる免疫応答が生じており,この 免疫応答がRAの病態を解析していくうえで今 後の重要な鍵を握っていると考えられる.

5.RAの滑膜組織

RAの滑膜組織において免疫応答に重要な役割 を担う単核系食細胞は,超微構造の解析から, 2種類に大別される.その1つはA型細胞と称さ れ,マクロファージ類似の細胞であり,他の1つ は,線維芽細胞であり,滑膜に特有の細胞内物質 の産生細胞である.前者はA型細胞,後者はB型 細胞として知られる13).それぞれの細胞の特に免 疫応答の成立過程における役割は今一つ明らかで ない.RA患者の滑膜あるいは関節液細胞中には 強力なこの抗原呈示能を有す細胞が存在する.特 異的抗原は不明であるが,この反応系を前述した AMLRとして成立されるために滑膜細胞から抗 Hg.3・a 慢性関節リウマチ患者の滑膜よりクローン 化した樹枝細胞(×300) Fig.3・b 慢性関節リウマチ患者の滑膜よりクローン 化したマクロファージ様細胞(×1200) Eg.3・c慢性関節リウマチ患者の滑膜よりクローン 化した繊維芽細胞(x600) 原呈示あるいはリンパ球活性化U)に係わりを有す ると考えられる細胞群のクローンを筆者らの研究 室の山中,鎌谷らは確立し,さらに笹野らはその

(6)

Table 2 Characteristic changes of T cell subsets in RA22)・24)

Ts

(Leu2a'Leu15') (Leu2a'Leu15-)Tc (Leu3a'Leu8')Ti (Leu3a'Leu8-)Th (Leu4'HLA-DR')TDR

SFL /* /* / / /

PBL !** -***

-

.

/**

'Significantly increased or decreased compared to RA-PBL and normal-PBL "Markedly increased or decreased cornpared to normal-PBL

*"Similar tendency to normal-PBL % positive cells 80 60 40 20 o

PBL

SFL )s) o oo o 62.1 ooo ±12.8 o o .ggo 8880o88888888 //i,.,t0888888.080.888oooooooooooo 10.0 }4,8 gg Control (n==69) (n=28) RA (n=:34) Fig. 4 Distribution of Activated T cells (Leu 4'HLA-DR') in RA patients2`)

% positive cells 30 20 10 o 12,1 ±5,4 o o o 88 8 O.Oo oo OoOoo o88o o880o8 oooooo ooooooo oo oooo・ oooo oooo oooo

ooo

PBL 8.9 ±3.7 o o SFL 4.7 ±L7 Fig.

Control (n=69) (n=:28)

5 Distribution of Suppressor T cells

RA (Leu 2a'Leu 15+)

(n=34)

(7)

positive ceUs 40 o O 30.8 }6.7 飴 ○ 20 o O o Oo OQ

嚇朧§§§8

11.1 }5.9 OOOOOOOOOO OOOOQOOOOOOOQO 0 Control (n=69) (n=28) RA (n=34)

Fig.6 Distribution of Helper T cells(Leu 3a+Leu 8一)in RA patients23)・24)

クローン化細胞の特性を種々の面から検討を加え た4)5).

まずRA患者より関節滑膜を関節鏡視下に生

検し,増殖した滑膜の一部を細切し,シャーレ上 で培養を開始した。培養液はHam’s F12液に20% の牛胎児血液を加えたもので,37℃で5%のCO2 の存在下に培養,約1週間後にはFig.3に示した ような樹枝状細胞が多く認められるようになる. さらにこれらの細胞のクローンを得るため,7 cells/mlに希釈し96we11のマイクロプレートで 150μ1/wellに入れ37℃,5%CO2下で培養した. その結果,培養開始1ヵ月後に形態学的分類を試 みると,樹枝状細胞,マクロファージ様細胞およ び線維芽細胞の3つが明確な単一のクローンとし て分類された(Fig.3a, b, c).これらのクローン 化された細胞,現在12ヵ月観察しても形態学的な 変化はみせなかった.この事実はこれらの細胞が 単一のクローンとして他の研究者に先駆け確立さ れたと考えてほぼ間違いないと思われる.さらに, マクロファージ様細胞及び樹枝状細胞は増殖速度 が遅れることも明らかにされた16). 以上のような形態学に3つのクローン化された 細胞がどのような機能を有しているかを解析する ことがまず重要であるが,現在までに明らかに なっている点を要約すると次のようになる.カー ボン粒子を用いて貧食能をみるとマクロファージ 様細胞及び線維芽細胞では著明に認められたが, 樹枝状細胞は認められなかった.エラスターゼ染 色では線維芽細胞が陽性であった.HLA−DR抗原

の存在をクローン化した細胞についてみると

INF一γで前もって処置しておくとDR抗原の呈 示が細胞表面に著明に認められたが,樹枝状細胞 では必ずしもINF一γの存在下でなくともDR抗 原の存在が観察された.この事実は我々のクロー ン下した細胞においても,HLA−DR抗原の増減が 関節内の免疫応答の制御機構に関与していること を示唆しているものと考える. 一方,各種のモノクローナル抗体による表面抗

原の検索では,マクロファージ様細胞では

OKM1, Leu−M3等の単核球系が陽性に認められ た,一方,樹枝状細胞ではOKM1, Leu−15, CR3等 のC3bi receptorが認められた.線維芽細胞には 認められなかったが,抗gliambrillary acid抗体 は樹枝状細胞に,ピメチンフィラメントはいずれ の細胞群でも陽性に認められたが,線維芽細胞で はとくに強く認められた. IL−1の産生能はいずれのクローンでも無刺激 でも認められた.この産生能は,樹枝状細胞,マ クロファージ様細胞,線維芽細胞の順で認められ た.silica及びType IIコラーゲンで刺激すると

(8)

Table 3 RA滑膜組織よりクP一ン化した細胞癌の特徴15)・16)・23) HLA−DR

@十

hNF・γ 貧食能 十Carbon IL−1産生能 十 sype II collagen エステラーゼ @ 染色 形態変化 十 oGE20r IL−1

一モ謝

什十十 一十十 升十十 :一 二十

D−Cell:dendritic like cell

M−Cell:macrophage like cell

F・Cell:fibroblast like cell

著明に充進が認められたが,逆にType II Col− lagen, silicaに対しては線維芽細胞,マクロ ファージ様細胞がIL−1産生能を示した.

またクローン化RA細胞が種々の細胞に変化

することはRAの“in vitro”の系でのモデルを作 成する上で重要であると考えられる.そこで筆者 らはPGE2の添加により線維芽細胞が星状細胞へ と移行するのを観察したところ,PGE2に反応す るクローンと非反応性クローンの存在を認めた. また,IL4産生能を示唆する成績が形態変化の過 程で得られた.樹枝状細胞は全くそのPGE2形態 を変なかった. 以上の筆者らの滑膜細胞のクローン化した細胞 の性格をTable 3に要約したがHLA−DR抗原を ほぼ恒常的に陽性に呈示する樹枝状細胞の今後の

RA関節腔内での解析は極めて重要である,

Zvaifler, Steinmanらは, RA関節滑液中この樹 枝状細胞を分離し,T細胞の活性化の機構に重要

な役割を担っていることを述べている17).一方, Waalerらのグループも末梢血,関節液および滑 膜からこの樹枝状細胞を分離し,それらがauto およびalloの系のMLR(mixed leukocyte reac− tion)を強力に刺激すること,抗HLA−DR抗原に 対する抗体でこの反応が抑制されることを報告し ている18).さらに滑膜由来の樹枝状細胞からの IL−1活性が高い値を示し, Lipoplysaccharideで 刺激すると著しいIL・1産生能が認められること を報告している19)20). また筆者らがクローン化した滑膜樹枝状細胞が マクロファージ類似の滑膜A細胞壁から分離さ れたが,単核球系食細胞より関節滑膜へと分化し たものか,新たな起源を有するのかまた,今のと ころは不明である. ただRA関節における免疫応答の始動におい て,こういつた樹枝状細胞が重要な役割をなして いることは最近,明らかにされてきており,とく に外来抗原を樹枝状細胞に存在するla抗原とも に認識する過程の解明は,RAの関節内での免疫 応答の始動においても重要であると考えられる. 要 約 以上のRAの関節腔内で生じている病態につ いてリウマトイド因子の滑膜,抗原提示細胞とT 細胞の活性化機序,筆者らの研究室によって展開 されつつある滑膜由来の細胞株の形態学的,機能 的特微について述べた.また,後藤,Zvai且erらの 先駆的な研究3)5)すなわち,慢性関節リウマチでは AMLRが関節腔内で生じている可能性を強く示 唆する,関節液T細胞の膜表面抗原解析から得ら れたデータを中心に解説した21)∼24). ほとんどの慢性関節リウマチの研究者が一致し

て努力しているのはMHCの拘束性を受けた抗

原提示の機序における特異抗原の検索である.筆 者の印象では,この特異抗原は必ずしも単一では なく,おそらく幾つかの要因が絡んでいるものと 考えている.これらがRAの極めて複雑な慢性炎 症の基礎にある特異的な免疫応答の解明につなが るものと考えられる. また,同時に慢性関節リウマチ患者の関節液, ないしは関節滑膜は免疫応答の視点よりみるとい わぽ“宝庫”であり,そこに存在する細胞の特性 を一つづつ明確にすることによって,RAに近い 病態モデルを“in vitro”の系で作り上げることが 筆者らの研究室での現時点での最大の研究課題で ある23).

(9)

後藤真講師および研究室スタッフー同との,有益な

discussionに深く謝意を表します.

文 献

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Fig. 4 Distribution of Activated T cells (Leu 4'HLA‑DR') in RA patients2̀)

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