• 検索結果がありません。

顎骨骨折の治療

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "顎骨骨折の治療"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

(東女医大誌第54巻 第 問 ) 頁 1179-1187昭和59年11月

〔 総 説 〕

顎骨骨折の治療

東京女子医科大学附属第二病院 歯科口腔外科(部長:岡 光夫教授〉 オカ 教 授 岡 w 光

( 受 付 昭 和59年8月3日〉

Surgical Treatment of Jaw Fractures Mitsuo

OKA

Department of Oral and Dental Surgery (Chief: Prof. Mitsuo OKA) Tokyo Women's Medical College Daini Hospital Fractures of the jaws occur as a result of a variety of accidents. Vehicular impacts, industrial ac -cidents, fights, sports, falls, and pathologic fractures are the most frequently reported causes. At the present time these fractures appear to be increasing, probably due to the increase of traffic accidents. Itis important for the specialist of dental surgeon working in a hospital to be familiar with the diagnosis and treatment of jaw fractures.

Various approaches have been d巴visedfor the management.

The purpose of treatment is to reestablish normal function and restore aesthetics. The principales of treatment are reduction, fixation, and immobilization.

These methods should be comfortable for patient, allow his earliest return to normal or near normal activity, and spare unneccessary scaring and distortion of soft tissues.

目 次 複雑となり,重篤な症例が多くなってきている. これら顎・顔面・口腔領域の外傷には顎骨骨折 を合併することが少なくない. 顎骨骨折の初期の治療が適切に行なわれないと きは,顔貌の審美性はもとより, 日常生活に重大 な影響をおよぽす機能障害を遺すことになる. 従って顎骨骨折の治療はまず第一に骨折片の変位 によって生じた顔貌の変形と岐合の異常を正常な 状態に回復することを主眼とする. これは歯科口腔外科に課せられた重大な使命の 一つであり,歯科口腔外科医に対しては,各症例 ごとに異なる種々の条件の下に,正確な診断に基 づく適正な治療によって,患者の速やかな社会復 帰を図ることが要請される. はじめに 1 .原因および頻度 II.症 状 III.合併損傷 IV.診断 V. 治療方針 VI.治療法 おわりに はじめに 近年,交通機関の増加およびその高速化,近代 産業の発達,スポーツの隆盛,社会・生活環境の 多様化などに伴って,顎・顔面・口腔領域の外傷 は増加の傾向が認められ,またその外傷の様相も -1179

(2)

今回わたくしは,昭和31年より昭和53年の聞に 主として新潟大学医学部歯科山および新潟大学 歯学部口腔外科学教室3)4)で取り扱った顎・顔面・ 口腔領域の外傷症例を基とし,また東京女子医科 大学歯科口腔外科の最近

1

0

年間の顎骨骨折の臨床 統計5)~ 参考とし,さらに昭和56年 6 月以降に経 験した東京女子医科大学附属第二病院歯科口腔外 科の一部の症例を含めて,顎骨骨折の治療につい て紹介する. I.原因および頻度 1.原因 1) 病的骨折 極めて少数の病的骨折がみられるが,これは殆 ど 下 顎 骨 に 発 生 し , 全 顎 骨 骨 折 症 例 の 1 .

2%

-6.4%

を占めているに過ぎない1)6)-10)(表1). 病的骨折の原疾患には全身的なものと局所的な ものとがあるが,局所的原因が這かに多く,また その過半数は歯性顎骨骨髄炎である(表2). 吉岡,岡ら1)の報告による病的骨折5例もすべ て下顎骨骨髄炎によるものである.しかし川尻 ら9)の最近の報告では,悪性腫虜の浸潤ないしは 悪性腫療の放射線治療の結果生じた放射線骨髄炎 による病的骨折の増加が認められる. 2) 外傷性骨折 顎骨骨折の大多数を占める外傷性骨折の,その 表1 病 的 骨 折 と 外 傷 性 骨 折 の 頻 度 報 告 者 期 問 病 的 骨 折 外傷性骨折 言十 根 津 (1938) 1919-1938 7(6.4%) 102(93.6%) 109{列 吉 岡 ら ( 1961)1956-1961 5(5.7%) 83(94.3%) 88 上 野 (1964) 1931-1963 10(1.8%) 553(98.2%) 563 Stankiewicz -Musierowica 1950-1962 30(1.2%) 2455(98.8%) 2485 (1967) 古 屋 ら ( 1970) 1955-1967 3(2.2%) 142(97.8%) 145 JII 尻ら(1979) 1968-1978 12(5.4%) 209(94.6%) 221 表2 病 的 骨 折 の 原 疾 患 Stankiewicz-MusierowicaI ;11 尻 ら (1979) (1967) 全身的病変 21:問j 大 理 石 病 多発性好酸球肉芽腫 局所的原因 28例 局所的原因 1217U 骨 髄 炎 16 骨 髄 炎 2 歯 根 嚢 胞 5 放 射 線 骨 髄 炎 2 埋 伏 歯 6 エナメノレ上皮腫術後 3 線 維 腫 癌 腫 の 浸 潤 5 30{列 1217U 原因となった外傷の種類は調査の対象によって異 なるが,一般市民を対象とした場合で、もその調査 が行なわれた年代とその国の国状または地方の特 殊性によって異なった成績がみられる.しかし近 表3 顎 ・ 顔 面 骨 折 の 原 因 別 症 例 数

k

新潟医大・歯 新潟大歯・口外 女子医大・口外 ケノレン大・歯顎 へノレシンキ 大 歯 ・ 口 外 1956-1967 1968-1978 1973-1982 1950-1960 1958-1967 チぷマ匂 通 105(47.7)% 355(46.1)% 66(39.3)% 473(41.2)% 399(31.1)% 作 業 41(18.6) 82(10.7) 1lC6.5) 127(11.1) 190(14.8) 転 伺j 20( 9.1) 99(12.9) 37(22.0) 殴 すT 17( 7.7) 88(11. 4) 31(18.5) 276(24.1) 375(29.2) 転 落 13( 5.9) 65( 8.4) 7( 4.2) 28( 2.2) ス ポ ー ツ 8( 3.7) 49( 6.4) 16( 9.5) 42( 3.6) 62( 4.8) そ の 他 5( 2.3) 27( 3.5) 229(20.0) 226(17.6) 病 的 5( 2.3) 4( 0.3) 不 明 6( 2.7) 5( 0.6) 計 220 770 168 1147 1284 備 考 軟損組傷織と歯牙のを含む例数 1180ー

(3)

年ではいずれの報告も交通事故を原因の第一位に 挙げていて,全顎骨骨折症例の31%-47%を占め ている1)-5)11)12) (表3). 1961年, Cornell大学の自動車事故調査1叫こよ れば,全外傷患者のなかでは頭部外傷が最も多く,

72%

を占めている. また1967年, Schultzl4 )の自動車事故による顔面 外傷

4

0

0

例についての報告では単独では鼻骨骨折 が32%を占めていて最も多いが,上顎骨,下顎骨, 顎関節,歯槽骨の骨折と歯牙の損傷の合計は約 35%を占めていて,鼻骨骨折を上廻っている(表 4 ). 交通事故に次いでは,欧米では喧嘩の殴打によ る顎骨骨折が高率で、あるが,わが国でも最近は大 都市における殴打による顎骨骨折の増加の傾向が みられる. 作業事故は比較的頻度の高い原因とされている が, これは報告によって,単に工場災害に限るも のか,あるいはすべての労働災害を含むものかに よってその数値にかなりの幅がみられる. 6% -18%の聞の頻度の報告がみられるが,近年は労 働管理の向上によって減少の傾向にある. その他の主な原因としては路上での転倒,高所 よりの転落,スポーツ事故などが挙げられる. 表 4 顎・顔面骨折型別症例数 CSchultz-1967) Type of Fracture Nasal bones

Zygoma and zygomatic arch Mandible Maxi11a Teeth OrbitallIoor Sinuses Alveolus Condyle Superior orbi t Lateral orbit Total

2

.

性・年齢別頻度 1) 性別頻度 NO.of Percentage Fractures 153 32 71 15 49 10 48 10 44 9 43 9 31 8 16 3 9 2 7 1 7 l 478 100 圧倒的に男性に多く,男女比は報告によって多 少異なるが,男性は女性の3_7倍-6.1倍の発生頻 度を示す1ト 剛 山 2)(表5). 2)年齢別頻度 内外を問わず,いずれの報告も

2

0

歳代に最も多 く,次いで10歳代あるいは30歳代の青年層に多く 表5 顎・顔面骨折の性・年齢別症例数 新潟大医・歯 新潟大歯・口外 女子医大・口外 ケノレン大・歯顎 ヘノレシンキ歯・口外 男 女 計 男 女 計 男 女 言十 男 女 計 男 女 計 歳 20(9% 1〕 150〔19.5%〕 12〔7.%1〕 46〔4.%1〉 48〔3%7〕

-9 11 9 102 48 7 5 10-19 30 5 35(15.9) 137 34 171(22.2) 37 6 43(25.6) 206(18.1) 263(20.5) 20-29 70 9 79(35.9) 173 32 205(26.6) 59 8 67(39.9) 463(40.8) 408(31.8) 30-39 39 8 47(21.4) 83 11 94(12.2) 23 6 29(17.2) 194(17.1) 240(18.7) 40-49 22 4 26(11.8) 67 20 87(11.3) 8

8( 4.8) 123(10.8) 173(13.5) 50-59 5 2 7( 3.2) 36 14 50( 6.5) 5

5( 3.0) 68( 6.0) 103( 8.0) 60- 5 1 6( 2.7) 9 4 13(1.7) 4

4( 2.4) 35( 3.1) 49( 3.8) 言 十 182 38 220 607 163 770 143 25 168 985 162 1147 1087 197 1284 % % % % % % % % % % 82.7 17.3 78.8 21.2 85.1 14.9 85.9 14.1 84.7 15.3 男 女 4.8: 1 3.7 : 1 5.7: 1 6.1 : 1 5.5 : 1 備 考 軟組織と歯牙の損傷を 合む

(4)

表6 顎 骨 ( ほ か に 頬 骨 , 鼻 骨 を 含 む 〕 部 位 別 骨 折 例 数 新潟大医・歯 新潟大歯・口外 1956-1967 1968-1978 下 顎 骨 57(64.8)% 364(71.1)% 上 顎 骨 17(19.3) 82(16.0) 上・下顎骨 14(15.9) 58(11.3) 頬 骨 6(1.2) 鼻 骨 2( 0.4) そ の 他 百 十 88 512 下顎。上顎 3.3 : 1 4.4 : 1 発生している(表5).これは社会的に最も活動的 な年代にあたるため必然的に災害に遭遇する機会 が多いものと考えられる. また欧米の報告では

1

0

歳以下の年少者の顎骨骨 折が少なく

4%

前後であるが,わが国では年少者 の顎骨骨折の頻度がかなり高く,

10%

前後を占め, 顎骨骨折と歯牙および口腔軟組織の損傷を含めた 報告では

20%

近いものもみられ3円 近 年 さ ら に 増 加の傾向も窺われて,わが国の年少者を取りまく 環境の悪化が憂慮される. 3.部位別頻度 下顎骨骨折は上顎骨骨折に比べて遁かに多く発 生し,下顎骨は上顎骨の3.3倍-5.8倍とL、う報告 がみられる1)-5)11)凶(表 6).これは解剖学的に上顎 骨は上方を頭蓋骨,下方は下顎骨,側方は頬骨に よって囲まれているのに反して,下顎骨は下方お よび側方よりの直接の外力を受け易い位置的関係 にもよるが,下顎骨の弓状の特徴的形態,顎関節 と歯列の構成する校合の力学的関係および下顎骨 に附着する強力な阻噂筋の作用などもその原因と 考えられる.また臨床的には,上顎骨骨折は脳頭 蓋,眼嵩,鼻骨などの損傷を合併して,より重篤 な症例が多いため救命処置が優先されて,直接に 歯科口腔外科を受診することが少ないものと考え られる. 1)上顎骨骨折 上顎骨骨折は下顎骨骨折と異なり,附着する筋 が表情筋であるため,骨折片の変位は主として加 女子医大・口外 ケノレン大・歯顎 へノレシンキ 大歯・口外 1973-1982 1950-1960 1958-1967 117(69.6)% 794(69.2)% 958(74.6)% 2001.9) 233(20.3) 225(17.5) 11( 6.5) 73( 6.4) 101C7.9) 10( 6.0) 47( 4.1) 2(1.2) 8( 4.8) 168 1147 1284 1182 5.8 : 1 3.4: 1 4.2 : 1 表7 上 顎 骨 骨 折 の 分 類 1.歯槽突起骨折 2.骨体縦骨折 3.骨体横骨折 1)Le Fort 1型 2) Le Fort II型 3) Le Fort III型 4.骨体粉砕骨折 わった外力の大きさと方向に左右される.またそ の構造上,骨の罪薄な部分や骨縫合部に沿って骨 折が生じ易い.

1

9

0

0

年,

Le F

o

r

t

15 )が上顎骨骨折を横走ずる骨折 線の走向によって分類して以来,多くは

LeF

o

r

t

の分類が用いられている.しかし近年の顎・顔面・ 口腔領域の外傷は外力の強さと作用方向によって 極めて複雑な様相を呈し,

Le F

o

r

t

の分類によっ て分けることが困難な症例に遭遇することが少な くない.現在は

LeF

o

r

t

の分類を基にした表

7

に 示すような分類が用いられている.

1

9

7

5

年,富山16)は上顎骨骨体骨折

9

7

例の骨折に ついてその発現部位を報告しているが,上顎骨骨 体骨折では

LeF

o

r

t

I

I

型が38.3%を占めて最も 多く,次いで縦骨折型が

28.2%

Le F

o

r

t

1

型が 16.8%の1)震であると報告している. 2) 下顎骨骨折 顎骨の形態および、構造上の抵抗減弱部位に関す る基礎的研究17)-附,臨床的研究叫が見られる.臨 床的には骨折線の部位およびその走向,骨折線の

(5)

表8 下 顎 骨 骨 折 線 発 現 部 位 新潟大医・歯 下顎骨骨折症例数 153例 切 歯 部 94線(42.0%) 犬 歯 部 24 (10.7) 小 臼 歯 部 17 (7.6) 大 臼 歯 部 28 (12.5) 下 顎 角 部 30 (13.4) 下 顎 校 部 12 (5.4) 筋 突 起 部 1 (0.4) 関 節 突 起 部 18 (8.0) 計 224線 数などによって分類される. 骨折線が1本の症例が多数を占めるが 2本ま たは3本あるいはそれ以上の多重骨折の症例もみ られる.また直接外力の加わった部位にみられる 直達骨折と間接的の力によって生ずる介達骨折と がみられるが,臨床上しばしば遭遇する多重骨折 の主なものは, (1)両側のオトガイ部 (2)オトガイ部とー側の顎角部 (3)オトガイ部と顎関節頚部(ー側または両側〕 などであるが,最近は顎関節頚部の介達性骨折 の頻度が高いとL、う報告が多い. 下顎骨骨折線の発現部位は表8に示すように一 般に正中部,顎角部,関節突起部に多く,下顎校 には少なく,筋突起の骨折は極めて稀れである.

1

1

.

症 状 主な症状を表9に示したが,骨折片の変位によ る顔貌の変形,顎骨の異常運動と校合の異常は最 も重要な局所症状であり,診断および治療方針決 女子医大・口外 へノレシンキ大歯・口外 117例 958例 235線(14.6%) 71線(46.1)% 132 (8.1) 182 (11.3) 23 (14.9) 86 (5.3) 29 (18.8) 299 (18.5) 14 (9.1) 93 (5.8) 22 (1. 4) 17 (11.1) 565 (35.0) 154線 1614線 表9 顎 骨 骨 折 の 症 状 1 一般的症状 1)意識障害 2)呼吸困難 3)発 熱 2 局所的症状 1)葵痛 2)腫 脹 3)骨折片の変位 4)顔貌の変形 5)骨折片の異常可動性および車し際音 6)機能障害 定上極めて重要で、ある.

1

1

1

.

合併損傷 顎骨骨折に伴う全身各部位の合併損傷は顎骨骨 折の初期治療を遅延させる最大の原因のひとつで 予後に影響するところが極めて大きい. 歯槽骨骨折を除く顎骨骨体骨折55例に合併した 身体各部の損傷を表

1

0

21 )に示したが,顔面軟組織 の創傷が

3

2

例と最も多いが,頭部損傷,四肢,躯 表10 顎骨骨折併発損傷〔原因別〉

歯 ロ 顔 頭 頭 頚 胸 腰 腰 四 気 腔 軟 組織 軟組面織 部 部 椎 部 部 椎 肢 E十 挫 骨 脱 骨 骨 脱 骨 牙 折 臼 折 折 臼 折 胸 交 通 事 故 8/29 10/29 20/29 5/29 1/29 1/29 2/29 2/29 6/29 1/29 56(29症例〕 作 業 事 故 3/12 2/12 8/12 4/12 1/12 1/12 1/12 1/12 2/12 23(12症例〕 そ の 他 3/12 4/12 1/12 8(12症例〉 計 14/53 12/53 32/53 9/53 2/531/53 3/53 3/53 1/53 9/53 1/53 87(53症例〉

(6)

幹の重篤な損傷を伴う症例もみられ,関連各科と の緊密な連繋が重要と思われる. また直接に外力の加わった口腔領域の軟組織お よび歯牙の外傷を来たすことが多いのは言うまで もない.

I

V

.

診 断 受傷時の状況を詳細に聴取して参考とし,現症 を綿密に診査すれば,顎骨骨折の診断は困難では ないが,適確な診断の下に適正な治療方針を立て るためにはX線写真は極めて重要である. 表11に示すような各種の撮影法があるが,症例 に応じてこれらを組合せて,ーカ所の骨折部位に 対して少なくとも

2

方向よりの撮影が必要であ る.表には示さなかったが,歯科用標準フィルム および歯科用校合フィルムによる口内法撮影は極 めて鮮鋭な像が得られるので,歯槽骨骨折および オトガイ部の下顎骨体骨折には必須の撮影法であ る.

C

.

T

.

スキャンはその普及に伴って各種疾患に 利用されているが,顎骨骨折の補助的診断法とし ても評価されている叫.特に上顎骨骨折には極め て有用と考えられる. また最近,超音波診断法はその器機の性能の向 上と技術の進歩と相まって,顎骨骨折の補助的診 断法としての有用性を強調する報告却も見られ る

V.

治療方針 1.一般的治療方針 1) 全身状態および合併損傷 表11 X線検査法 1. Waters(occipitomentaDview 2. Post巴rior同anteriorview of facial bones 3. Lateral view of facial bones 4. Lateral view of nasal bones 5. Occ1usal view of nasal bones 6. Posterior-anterior view of mandible 7. Oblique view of mandible 8. Occ1usal view of mandible

9. Towne view(for ascending mandibular rami and condyles) 10. Tangential views of zygomatic arch 11.Tomograph 12. Orthopantomograph 受傷直後は常に患者の全身状態に注意し,出血, ショッグ,呼吸困難などには速やかに対応するこ とは勿論であるが,身体各部の合併損傷の有無に ついて系統的に診査を行ない, これを見落とすこ となく, もし合併損傷があれば機を失せず関連各 科医師の診察を求めて対処することが肝要であ る 2)顔面皮膚の創傷 一般外傷治療に準じて処置するが,異物の迷入 が推察される場合には綿密な診査が必要で、ある. 特に自動車のフロントガラスの迷入はX線写真上 での確認が困難で,審美的にも機能的にも種々の 障害を遺す症例が報告されている.また創傷が口 腔内と交通している時には特に感染に対する考慮 が重要である.

2

.

整復に関する治療方針 1)前準備 小範囲の歯槽骨骨折や変位の少ない単純骨体骨 折を除けば,損傷を受けた局所は受傷後一定期間 内は軟組織の腫脹や痔痛が甚しく,その整復は困 難なことが多いので,まず,創傷の治療,損傷歯 牙の処置,感染予防処置,

X

線撮影,シーネの作 製などを行なう.約1週間を経過すると通常は急 性症状が消退するので,これを目標として計画し, 遅くとも受傷後10日以内に整復・固定を行なうよ うに努力することが必要である. 2)受傷後の経過日数 受傷後の経過日数により,一般的には受傷後

2

週間以内のものを新鮮骨折,それ以上の日時を経 過したものを陳旧性骨折として分け,非観血的に 整復するか,または観血的整復を行なうかの一応 の目安としている.しかし,一般に乳幼児のよう な若年者では創傷の治癒が極めて速やかに営まれ るため,治療開始の遅延は骨折部の変形癒着を来 たすことになるので状況の許す限り早期に整復・ 固定を行なうべきである.これに反して高年者で は,いわゆる陳旧性骨折においても治癒機転が遅 れて骨折片がかなりの可動性を有し,非観血的に 整復することが出来る症例も少なくない. 3) 整復法 整復法には二つの方法がある. 1184ー

(7)

(1)非観血的整復法 ① 徒 手 に よ る 整 復 法 受傷直後の歯槽骨骨折や変位の少ない単純顎骨 骨体骨折は,徒手により即時に相対する顎の歯列 に合わせて整復することが出来る. ② 持 続 的 牽 引 整 復 法 受傷後の日時の経過により徒手整復の困難な場 合,骨折片の変位の大きい症例などでは,上下顎 の歯列に装着した副子に歯科矯正用のゴムバンド を数カ所に掛けて,その弱い持続的な牽引力に よって数時間-3日間ぐらいで徐々に整復を行な う.この方法で2-3日を経過して整復が完了し ない時には観血的整復法が必要である. (2) 観血的整復法 骨折端が既に強固な痕痕性癒着を示すか,さら には骨性癒着の状態の場合,または何等かの原因 によって持続的牽引整復法による整復が短期間に 完了しない時は,骨折部を手術的に開放し,骨折 片 を 十 分 可 動 な 状 態 に し て 整 復 す る い わ ゆ る

o

p

e

n

r

e

d

u

c

t

i

o

n

を行なう. 観血的整復法のアプローチには口内法とロ外法 とがある.口内法は口外法に比べて,顔面皮膚に 癒痕を遣さないとL、う審美面での大きな利点を有 するが,手術時の視野が狭く,手術操作も制限さ れるため十分な回定力を得ることが困難で,その 適応症を誤らないことが重要である.また口外法 では当然切開創を必要最低限にとどめ,顔面皮膚 に合併創傷があれば, これを利用するなどの審美 的配置と高度の技術を要する. 3. 固定に関する治療方針 顎骨骨折の固定法は表12に示すような種々の方 法があるが, これらの中には現在あまり使用され ないものもある. それぞれの装置には歴史的背景もあり,一長一 短があるので,術者はそれぞれの装置の有する特 徴を充分に理解把握して,症例に応じて装置を選 択することが重要で、あるが, タイプの異る数種の 装置に習熟して,症例によって,これらを組合わ せて用いることにより所期の成果を挙げることが 出来る. 現在繁用されている顎問固定用副子の二・三に 表12顎 骨 骨 折 の 主 な 固 定 法 顎間固定法 1.歯牙結殊法 i )単純結殊法 ii)2歯結教法 iii)連続繕主主法 2. 線副子による方法 i) Sauer副子 ii)三内式副子 iii)上野式副子 iv) Schuchardt副子 v) M M副子 3.鋳造体副子による方法 4. 床副子による方法 顎内面定法 1.骨縫合法 2.金属プレート法 3.囲焼結禁法 4. 骨釘法 5. Kirschner鋼線法 顎外固定法 1.chin cap法 2 上顎骨上限犠縁懸垂結紫法 3包帯法 4. head cast法 ついて紹介する. 1) 連続線歯牙結穀法 術前における印象採得,模型調製などの必要が なく,施術の際の使用器材も極めて簡便で,その 応用範囲も広く,しかも十分な強度を有するので, 健全歯の多数残存する症例には極めて有用な固定 法である. 2) 三内式副子 日支事変中,軍医の三内氏の考案によるもので, 従来わが国では最も繁用された副子で,その改良 型を含めて現在も多用されている. 3)シューハルト副子 ドイツの顎・顔面・口腔外科医シューハルトに よって創案された副子で、ある.線副子は一般に術 前に歯列の模型を作製し,模型上で副子を調製す る操作が必要である.しかしシューハルト副子 はその柔軟な材質により, 口腔内での直接の適合 を可能にしたユニークな線副子である. 4)鋳造副子 強度と適合性に優れているが,作製のための設 備とかなり高度の技術と一定の時日を必要とする

(8)

-1185-などの欠点も有していて,一般的な副子ではない.

V

I . 治 療 法 実際の治療にあたっては症例に応じて,次のよ うな治療を行なう. 1.歯牙を利用して整復・固定を行なう治療法 1)即時徒手整復法 相対する顎の歯列に合わせて徒手により即時に 整復し,固定は連続線歯牙結紫法または線副子に よる固定で十分である. 2)持続的牽引整復法による治療 上下顎歯列の顎問固定副子の数カ所に矯正用ゴ ムバンドを掛けて整復し,整復が完了すれば直ち に金属結紫線によって固定を行なう. 2.歯牙を利用した顎間固定に他の方法を併用 して行なう治療法 種々の条件によって歯牙を利用した顎間固定法 による治療では整復が確実に行い難し、場合または 整復後の固定が不安定であって骨折片の変位を来 たすおそれのある場合には,骨縫合,床副子,金 属プレート,Kirschner wire,顎外固定などを併用 して治療を行うことがある. 1)open reductionによる骨縫合 この方法は固定が安全確実で応用範囲が広いな どの優れた長所を有するため,現在にし、たるまで 最も繁用されている治療法である. 2)床副子による治療 臼歯部に多数の歯牙欠損があるような症例では 床副子を併用することによって,より強固な固定 が得られることがある.この方法は手術的侵襲が 少ないので,多数歯の欠損が認められることの多 い高齢者には好んで用いられる方法である. 3) Suspention technique 上顎骨横骨折においては症例によっては前頭・ 頬骨縫合部の骨に穿孔してこれに鋼線を通して維 持を求める,いわゆる Suspentiontechniqueを必 要とすることがある.この場合には上下顎歯列に 装着した顎間固定と結寄与するが,さらに各種の顎 外固定法を併用して固定の強化を図る必要があ る 4) Kirschner wireによる治療法 骨質の葬薄な部位に生ずることの多い上顎骨骨 ~1186 折と弓状の形態を有する下顎骨骨体骨折に利用す るには困難が多いが,最近は脱旧変位を伴った顎 関節突起頚部骨折に対して積極的に観血的整復処 置を行ない, Kirschner wireによって固定する治 療法が評価されている.

3

.

歯牙を利用できない場合の治療法 頻度は少ないが無歯顎の高齢者や歯牙未蔚出の 幼児,永久歯への交換期の小児の顎骨骨折の場合 で全く歯牙を利用できない症例に遭遇することが ある.これには次のような治療法を用いる. 1)囲鰻結紫法 これは床副子を利用して行なう方法で,手術侵 襲が少なく, open reductionによる骨縫合を併用 することによって比較的強固な固定が得られる. 特に高齢者では受傷前に使用していた義歯を利用 できるので有利である. 幼小児の場合には顎骨内の歯匪の損傷を避ける ため骨縫合はで、きるだけ行なわないで,囲擁結殊 法のみで治療を行なうのを原則としているが,こ の方法によって良好な成績を挙げている. 2)金属プレート法 この方法は強固な固定が得られるが,適合性に おいて未だ問題がある.各種の金属プレートが市 販され,最近は下顎骨骨折専用の機能固定骨接合 術CfunktionsstabileOsteosynthese),圧迫骨接合 術 CKompressions-osteosynthese)などの新しL、 方法が開発され,従来の治療法と異なり,下顎の 機能を営ませたまま治療を行うことを目標として いて,強固な固定力により,早期より阻噂が可能 となる点は極めて有利な治療法であるが,複雑な 専用の器機を必要とし,それぞれの器機とその操 作に熟練することを要し,しかも

6

カ月

-1

年の 聞に再度手術的にプレートを除去しなければなら ないなどの欠点もあるので,症例を選んで、適用す れば優れた治療法であり,将来の発展が期待され る. 3)顎外固定法 Roger Anderson顎外固定装置に代表される骨 釘法による顎外固定装置は元来第二次世界大戦に おいてアメリカの戦陣において開発されて発展を 遂げたもので,手術侵襲が比較的少なく,早期に

(9)

経 口 撰 取 が 可 能 と な る 利 点 を 有 す る が , 整 復 の 確 実 性 お よ び 固 定 力 に 疑 問 が あ り , か つ ま た 装 着 中 の 患 者 の 不 快 感 が 極 め て 大 き い の で 現 今 で の 使 用 は極めて稀である. Chin capは 固 定 力 の 強 さ に 関 し て は 殆 ど 期 待 で き な い が , 矯 正 歯 科 に お い て 従 来 よ り 使 用 さ れ て い る 簡 便 な 装 置 で , 患 者 の 不 快 感 も 少 な く , か っ 患 者 自 身 に よ る 装 置 の 着 脱 も 可 能 で あ る な ど の 利 点 を 有 す る た め , 顎 骨 骨 折 の 補 助 的 固 定 装 置 と し て 広 く 利 用 さ れ て い る . 4)骨 移 植 骨 の 実 質 欠 損 を 来 た す 症 例 は わ が 国 で は 極 め て 稀である. 一 般 に 自 家 腸 骨 移 植 が 行 な わ れ て 良 好 な 成 績 を 挙げているが, こ れ に は 感 染 予 防 に 対 す る 慎 重 な 配 慮 と 長 期 に 亘 る 確 実 な 固 定 を 必 要 と す る . 5)歯 科 的 保 存 的 治 療 法 陳 旧 性 顎 骨 骨 折 に お い て , 変 形 癒 着 の み ら れ る 症 例 に お い て も , 顔 貌 の 変 形 ま た は 校 合 の 異 常 が 軽 度 の 場 合 に は , 歯 牙 の 削 合 , 歯 冠 の 修 復 , 義 歯 装 着 な ど の 歯 科 的 保 存 的 治 療 法 に よ っ て 審 美 的 な ら び に 機 能 的 障 害 の 改 善 を 図 る こ と が あ る . お わ り に 顎骨骨折について原因,頻度,症状,合併損傷, 診 断 に つ い て 簡 単 に 述 べ , そ の 治 療 法 に つ い て は 整 復 法 , 固 定 法 を 中 心 と し て 最 近 の 知 見 を 加 え て 紹介した. 本稿「顎骨骨折の治療」の要旨は昭和59年6月14日, 東 京 女 子 医 科 大 学 学 会 第259回 例 会 に お い て 講 演 し た 文 献 1)吉詞敏雄・岡 光夫・他新潟大学歯科における 顎骨骨体骨折および歯槽骨々折の4年11カ月間に わたる臨床的観察. 日科誌 10(4) 361-368 (1961) 2) 岡 光 夫 ・ 他 最 近6年2カ月間の顎骨骨折の臨 床的観察. 口科誌 17(2) 307 (1968) 3)横林敏夫・他最近 5年間の当科における顎・顔 面外傷患者の統計的観察.新潟歯学会誌 3(2) 72-77 (1973) 4)高橋良夫・他・過去6年間の当科における顎・顔 面外傷患者の臨床統計的観察.新潟歯学会誌 -1187 10(1)33-39 (1980) 5)荒木麻美子・他・当科における過去10年間の顎顔 面骨骨折の臨床統計的観察.第38回日本口腔科学 会総会講演抄録 117頁 昭 和59年 5月17日(東京〉 6) Stankiewicz-Musierowicz

Z.: Analysis of the clinical cases of pathologic mandibular fractures目CzasStomat 20(3) 265-271 (1967) 7)上野正:顎骨骨折の原因と発生機序.ロ病誌 31 115 -124 (1964) 8)古屋英毅・他最近13年間における本学病院を訪 れた顎骨骨折患者の統計的観察.日口:外誌 16(1) 18-24 (1970) 9)川尻日出夫・他:下顎骨病的骨折症例の検討. 日 口外誌 25(4) 848-852 (1979) 10)根津文雄顎骨骨折に関する臨床的および統計的 研究.歯科月報 18573-583, 626-647 (1938) 11) Gischler

E. and R. Lucke.: Beitrag zur Haufigkeit der Frakturen im Bereich der Kiefer-und Gesichtsschadelknochen. Dtsch Zah -narztl. Z 17(9) 649-656 (1962)

12) Oikarinen

V.J. and M. Malmstrom: Jaw Fractures_ Suom Hammaslaak Toim 65 95-111 (1969) 13) Cornell University Automotive Crash Injury Research: The injury-producing accident: A primer of facts and figures. new Y ork (Aug.) (1961) cited Dingman, R.O. and Natvig. P.: Surgery of Facial Fractures, 44-45, W.B. Saunders, Philadelphia and London (1964) 14) Schultz

R.C.: Facial injuries from automo-bile accidents : A study of 400 consective cases. Plast & Reconst Surg 40 415-425 (1967) 15) Le Fort, R.: Fractures de la machoire super -ieure. Cong Internat Med Paris (Sect Chir Gen) 275-278 (1900) 16)寓山文雄目上顎骨体骨折に関する臨床的ならびに X線学的研究. 口病誌 42 288-323 (1975) 17)岡 達:静的および動的荷重による人下顎骨表 面の歪について.口科誌 6(1)74-92 (1957) 18)金問敏郎・光弾性実験による下顎骨の力学的研 究. 口病誌 26 2029-2056 (1959) 19)夫馬嘉昭 顔面骨骨折に関する力学的研究.歯科 学報 72(3) 534-604 (1972) 20) Halazonetis, J.A.: The ‘weak' regions of the mandible_ Br J Oral Surg 6 37-48 (1968) 21)大辻清・他:大垣市民病院における過去 5年間 の顎骨骨折患者の臨床的観察.愛院大歯誌 17(1) 27 -32(1979) 22)Fujii, N. and M. Yamashiro: Classification of malar complex fractures using computed tomography. J Oral Maxillofac Surg 41 (9) 562-567 (1983)

23)小林明男 顎骨疾患に関する超音波医学的研究. 日口外誌 30(3) 257 -273 (1984)

表 6 顎 骨 ( ほ か に 頬 骨 , 鼻 骨 を 含 む 〕 部 位 別 骨 折 例 数 新潟大医・歯 新潟大歯・口外 1956‑1967  1968‑1978  下 顎 骨 57(64.8)%  3 6 4 ( 7 1.1)%  上 顎 骨 1 7 ( 1 9
表 8 下 顎 骨 骨 折 線 発 現 部 位 新潟大医・歯 下顎骨骨折症例数 1 5 3 例 切 歯 部 9 4 線 (42.0%) 犬 歯 部 2 4  ( 1 0

参照

関連したドキュメント

どにより異なる値をとると思われる.ところで,かっ

(志村) まず,最初の質問,出生率ですが,長い間,不妊治療などの影響がないところ では,大体 1000

 がんは日本人の死因の上位にあり、その対策が急がれ

 1)幼若犬;自家新鮮骨を移植し,4日目に見られる

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

「他の条文における骨折・脱臼の回復についてもこれに準ずる」とある

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

いられる。ボディメカニクスとは、人間の骨格や