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<論説>「公訴事実の同一性」概念について(2)

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(1)「公訴事実の同一性J援念について ( 2 ). 「公訴事実の同一性j 概念について ( 2 ) 辻. 本. 盈. 央. ーはじめに 二. ドイツにおける「所為j 論. 1 . 璃事手続における f 所為 J( T a t ) の位置づけ. 2 . 所為に関する諸原尉 3 . 所為に関する判例の展開(以上5 3巻 2号 〉 4 . 所為に関する学説の展開. 5 . 小話(以上本号) 一検討 西まとめ. 4 . 所為に関する学説の展開 前述のとおち,. ドイツの刑事訴訟実務において, I 所為J(Tat) は,訴. 訟係属及び一事不再理効の範囲を判断する上で決定的な讃念であり,まさ に刑事訴訟における審判対象としてのその機能ゆえに,裁判例史上におい て膨大かっ詳細な検討が覆み重ねられてきた。刑事訴訟法学説も,主に, 判例の震関をめぐって,その分析,体系化,さらには批判を行うことを通 じて理論的整浮を試みてきた。 以下では,所為に関する学説の展開を概観する O ( 1 ) 所為の統一性. 所為は,潤事訴訟における審判対象としての機能を持つものであるが, その内容及び範屈の決定にあたり,一個の刑事手続を通じて統ーのもので るるべきかという点が問題となる O 例えば,一定の犯罪事実が前訴判決の. -165(246)一.

(2) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. 確定後に判明した場合に当該事実を後訴において起訴できるかという問題 に関して,①当該事実は詰訴の公訴事実との器で房為の同一性が認めら れ,訴訟への取込が可能で、あったか,②@の点が肯定される場合, (たとえ 当該事実が事実上又は法律上の理由で現実に審判することが不可能であっ た場合でも)詰訴確定判決による一事不再理効が及び後訴において起訴す ることはできな Lゆ玉という点が検討されることになるが,訴訟孫属及び裁 判所の審判の範囲 (StP0264条〉と一事不再理効が及ぶ範囲 (GGI03条. 3項)とが統一的に理解されるならば,後訴における起訴は許されないと いう結論になるが,両者の範囲が異なって理解されうる〈特に前者に比べ て後者を狭く捕捉される〉ならば,後訴における起訴も可能となりうる。 それゆえ,所為の,手続全体を通じた統一性如荷という点が問題となる(1)。 i.統一説 1877年ライヒ刑事訴訟法に泣成文法として制定されては L、なかったが,. 当時すでに,一事不再理は 7 fIJ事手続における当然の漂期であると理解され ていた(えそして,ライヒ裁特所 (RGSt2, 347;1 5, 9 ) は,前訴確定後に 後訴が禁止される範茜,つまり所為の範囲拡前訴の公訴により示された範 囲であるとし,いわゆる統一説を支持していた。第二次世界大戦後,一事 不再理原則拡 GGI03条 3項に成文化され, BGH及 び BVerfG (BG 五St 3, 13;9, 1 0;BverfGE3, 2 4 8 ) は,同条項を援用しつつライヒ裁判所の右見. 解を継承している。このように,統一説は,判例上支配的見解となり,学 説上も多くの支持を受けている (30 ( 1 ) G er ・ hardFezer,S t r a f p r o z e s r e c h t 2Au , . f S .2 4 2,1 9 9 5 ;Werner B e u l -. t r a f p r o z e s r e c h t8 A u f .,S .3 0 1,2 0 0 5 . ke,S 吋i n g,DerS t r a f k l a g e v e r b r a u c hb e iDaue r-und Orga( 2 ) S e b a s t i a n Co .2 0,1 9 9 3 . n i s a t i o n s d e l i k t e n,S ( 3 ) L utzMeyer-Gosner,Strafprozesordnung4 8 A u f .,S .9 7 6U i 2 6 4Rn.1 ) , 2 0 0 5 .;KK -Engelhardt,S t r a f p r o z e s o r ・ dnung 4Au , . f S2 6 4 Rn.2,1 9 9 9; 荷揚注(1))S .2 5 0;F r i e d r i c hGeerds,ZurLehrevond e rKonkur-? Fezer( 166(245).

(3) 「公訴事実の同一性j 概念について ( 2 ). もっとも,その後,判例に変化が見られるようになった。例えば, BGH 刑事第一部 1983年 1 1月 3日決定 BGHSt3 2 . 1 4 6は,非宣誓鵠証罪と謹告罪 との関捺について,基本的には訴訟係属及び審判の範囲と璃罰権消耗の範 屈とは統一的に理解されるべきであるとしつつ, Iしかし,基本的に市民の 保護のため規定された璃罷権消耗制度が,反対推論の形式で,公訴主義に より市民に保揮された保護を制課するという結果を導いて誌ならな L三。公 訴主義は,固有の意義及び価値を持ち,. r 司法彰式的手続合法的保瞳』に. 属するべきものである。 j と判示し,訴訟係属及び審判の範密を一事不再 理効が及ぶ範囲に比べて限定的に理解されるべき可能性を肯定した。 地 方 , .BGH剤事第三部 1980年 6丹 1 1日判決 BGHSt2 9 . 2 8 8 'ま,犯罪組識携成 員罪とその聞に実行された複数の倍別犯罪との関孫について,実体法上行 為単一の関係を書定しつつ,前訴における犯罪組議構成員罪を理由とする 有罪判決の確定は,その爵に実行された留別犯罪の刑罰権消耗を導かない と判断した。確かに, 1980年判決は,その*,J 示において,そもそも訴訟係 属及び審判の範冨 (StP0264条)の意味において所為の同一性を否定して いることから,依擦としてここでいう統一説に立つものと理解することも 可能であるが,実霊的には,一事不再理の範囲を従来よりも限定するもの であるといえ,統一説に動揺を与えるものと評錨することができょう 1 1 .. G. 非続一説. 以上の統一説に対し,学説上,次のような批判的見解も存する G KarlP e t e r s ( 4 )は,裁判手続の流動的プロセスにおいて,当初広く訴訟に. 取り込まれた(取り込まれるべきであった)事実は訴訟の経過につれて次 第に摂定され狭められていくものであり,その結果,必然的に穫定方の範 r e n zimS t r a f r e c h t,S .3 9 9,1 9 6 1;C h r i s t i a n Schoneborn,A l t e r n a t i v i t a t d e r Handlungsvorgange a l s Kritrium d e ss t r a f p r o z e s s u a l e nT a t b e 9 7 4, 5 2 9, 5 3 0 . g r i f f s,MDR 1 ( 4 ) Ka r 1P e t e r s,S t r a f p r o z e s 4Au f .( 19 8 5 ),S .2 7 8 f f . . ¥冶. -1 6 7(244)一.

(4) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. 囲誌訴訟孫麗及び審判の範囲よりも狭められることになると主張する。 Petersは,この見解について,訴訟開始時は,法的に特定されていない社. 会的事実が所為を形成するが,訴訟の進行につれて当該事実と行為者の人 格との結びつきが重要な問題となり,訴訟柊了後は,裁判所より一定の法 的観点において特定され現実に審理の対象とされた事実だけが所為の範囲 に耳元り込まれると説明する O HeinrichH e n k e l ( 5 )は,刑罰権消耗む範酉を検討するにあたり,裁判所が. 審判すること合法的な,すなわち抽象鵠・仮定的な可能性ではなく,現実 の可能性に着目し,刑罰権消耗による一事不再理効が及ぶ範罰法裁判所が 「真実探求義務の慎重な履行に探して,何を評価の対象としなければなら なかったかj という基準によって決定すべきであると主張する O HermannB u c h n e r ( 6 )は,訴訟孫属及び裁判所の審判権限が及ぷ範囲と. 一事不再理効が及ぶ範囲とで所為概念を統一的に理解したのでは,実体的 正義の実現,被告人の法的安定性,訴訟経済性の追求といった諸利益の課 整を国ることが困難であるとし,訴訟係属及び裁判所の審判権限が及ぶ範 囲を広く,具体的には判例及び通説が主張する岳然的考察法に基づいて捕 捉しつつ,一事不再理効が及ぶ範閤をそれよりも狭く,具体説 i こは前訴裁 判所が法的に審判を下した範酉〈この範囲においてのみ,以後改めて訴追 されることはないとの被告人の信頼が保護に寵するとの理由から)に張定 されるべきと主張する。 KlausMarxen(7)は,訴訟における審理は行為の客観面から次第に行為. 者の主観酉へと深化していくものであり,訴訟係属及び審判の範囲と一事 ( 5 ) H e i n r i c h Henkel,S t r a f v e r f a h r e n s r e c h t 2Au , . f S .3 8 8 f f .,1 9 6 8 . ( 6 ) HermannB uchner,DerB e g r i f fd e rs t r a f p r o z e s s u a l e nTat,S .1 1 9 f , . f. 1 9 7 6, ( 7 ) KlausMarxen,Derp r o z e s s u a l eT a t b e g r i f fi nd e rneueren Rechtsprechung,StV 1 9 8 5, 4 7 2 . - 1 6 8(243).

(5) 「公訴事実の同一性J額念について ( 2 ). 不再理が及ぶ範密とは異なるものと理解すべきであると主張する O さらに近時,. WolframBauer(8)は,歴史的考察から,手続の全段措で所. 為概念が統一的に理解される必要はなく,それどころかむしろ異なって理 解されるべきであると主張する o Bauerは,まず,. r 一事不再理原期Jは. 歴史上「同一行為について訴訟が二度ないように j ( b i sdeeademr ene. s i ta c t i o n ) という考え方に基づくものであり,そこでいう「同一行為につ いて[の]訴訟Jとは「毘一理由」の訴えを前提としていたものであると 分析する一方で,訴訟係震及び審判の範毘に関して,例えば,問題となる 二個の事実が択一的関採にある事例 (BGH璃事第四部 1 9 8 7年 9月2 9日判 決 BGHSt3 5, 6 0 ) について,所為の同一性を否定する裁判所の見解に反対 し,択一関係にある事実について広く所為の同一性を肯定すべきであると 主張する o Bauerは,このような公訴提起・審判段措においては訴訟確定 後の段階よりも広く萌為穣念を捕捉するという見解について,双方の機能 の違い (Bauer,ま,公訴提起段階で辻「吸収的競合j,つまり審判権限の 解消的競合j,つまり 広さが問題となるのに対し,判決確定の段階では f 単一の刑罰の保障という点が問題であると説明する)及び訴訟の流動性. (Bauerは,訴訟とは原告と被告との応酬によって形成されていくもので あり,それを離れた次元において「対象Jというものを観念することはで きない,つまり比喰的にいえばチェスやサッカーの試合において「対象」 が存在しないのと同様で、あると説明する〉という毎点から基礎付けを行っ ている O もっとも,この非統一説は,現在まで支配的江見解と誌なりえていな~ ' 0. それは,以下のような批判が妥当するからである O すなわち,①一事不再 理効が及ぶ範囲は裁判所の事実解明義務が及ぷ範毘と相関的な関係にあ り,被告人〈受判決者〉は前訴で審判に取り込まれるべき範囲はその実体 ( 8 ). WolframBauer,Derp r o z e s s u a l eT a t b e g r i f f,NStZ2 0 0 3, 17 4 . -169(242)一.

(6) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. 判決によってすでに処理されたものと窮待することを保障されるべきであ ること,②一事不再理原期は人間の尊厳という基本法上の原理が具体化さ れたものであるが,一事不再理効が及ぶ範習を裁判所の解明義務より狭く 酉すること誌被告人を手続の単なる客体とおき,その人格の主体性を否定 するものであること,③一事不再理効の範醤を狭く画するならば,裁判所 の実体解明義務はサンクションを伴わない単なる自然債務 CNaturalobligation) にすぎず,新たな訴追機会が容易に鍔かれるという結果になって. しまうこと紛,③再審手続に厳格な要件が定められていることから(特に 原 被 告 人 に 不 利 益 な 再 審 規 定 :S tP0362条),法は真実発見よりも被疑 者・被告人の法的安定性を重視するもむと理解すべきであること,⑤訴訟 はその過謹において(非統一説の論者が主張するように)縮減するだけで なく拡張する方向に展開することもあり,訴訟の流動性から一事不再理効 の範囲を限定するという結論が導かれることにはならないこと粍 ( 2 ) 実体法との関係. 諒述のとおり,. ドイツの判例上,所為の同一性〈特に単一性)の判断に. 際して実体邪法上の罪数論に従属するものであるかという点が問題となっ てきた。 こむ問題について,ライヒ裁判所は,例えば, RG璃事第一部 1 8 8 3年 3. 月12B判 決 RGSt8, 13 5C 窃盗罪と盗品関与罪との関孫が問題となった事 例〉において「訴訟上の所為の同一性は,刑法上の行為の同一性とは異な る,なぜなら,ある事実が変化することにより実体刑法の適用 i こ変化が生 じるとしても,訴訟上の所為は実体部法とは. z uに形成されるものであり,. それよりも広く同一性を認めうるもりであるから Jと判示するなど QO 阜 F e z e r (蔀掲注(1)) S . 250f . . 掛 C h r i s t i a nB e r t e l,D i eI d e n t i t a td e rTat,S .1 4,1 9 7 0;JurgenWolter, T a t i d e n t i t a tundTatumgestaltungimS t r a f p r o z e s,G A 1986, 1 4 3, 1 5 5 . ( 1 1 ) RGSt 6 1, 3 1 4;7 2, 3 3 9も毘旨。 ( 訪. - 1 7 0(241)一.

(7) 「公訴事実の同一性j 諜念について ( 2 ). くから訴訟上の高為概念と実体刑法上の行為概念との独立性を認めてき. 9 5 9年 2月248決定 BGHSt1 3, 2 1 た 。 BGHも,例えば, BGH璃事第一部 1 (堕絵未遂罪と嬰児故殺罪との関採が問題となった事例)において「手続 法上の意味での所為の同一性は,複数の犯罪の実体法上の関係とは独立し て判定されるべきである J と判示するなど,ライと裁判所持代に示された. 9 5 9年判決で 再概念の独立性を認める見解を継草している O もっとも,右 1 も r [ 実体法上]行為単一の関係が認められる場合,産ちに[訴訟法上の 所為の]毘一性が肯定されるべきである j と判示されているように,訴訟 法上の所為概念む実体法上の行為標念に対する独立性は,あくまで実体法 上複数の行為と評緬される場合であってもなお訴訟法上ー舘の所為と評価 しうるという限りのものであり,実体法上の行為単ーは訴訟法上の所為単 一における最小ユニットとしての機能をもっという方向において誌なおも 訴訟法上の所為援念の実体法上の行為概念への従麗性が認められているこ とに注意が必要である O しかし,前出 BGHSt2 9 . 2 8 8 及びその憲法抗告審である BVerfG第二部. 1 9 8 1年 1月 8日決定 BVerfGE5 6 . 2 2は,テロ組織構成員罪とその関に実行 された倍弱犯罪との間で実体法上一罪の関係を認めつつ訴訟法上の所為の 単一性を否定し,これによって実体法上一個の行為と評錨される場合の訴 訟上の所為概念に対する最小ユニットとしての機能をも否定する晃解を示 した。その後幾つかの裁判例でも〈しかも地の犯罪類型においても)同様 の見解が示されたため,裁判実務上,実体法に対する訴訟上の所為擁念の 独立性は全面的であることが穫認された舗。 訴訟法上の所為概念(所為の単一性〉と実体法上の行為概念(行為の単. U 2 ) Werner B e u l k e,Der p r o z e s s u a l e rT a t b e g r i f f,FG-BGH 5 0 J a h .,S . 0 0 0 は,特にこの程点を中心に BGH, *J 傍を整理したものとして,参考 7 8 1,2 になる。. - 1 7 1(240)一.

(8) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻 第 3号. 一性)との関係について,学説上も,実体法上複数の行為が訴訟法上なお. .f 匿の所為と評価しうるという点については,ほぼ異論がないものと患わ れる。これに対し,実体法上一個の行為が訴訟法上空夏数の所為と評錨され うるかという方向において詰,以下のような対立が見られる O 特に,継続 犯(ないし連続犯立ちとその関に実行された彊 z u犯罪との関認が問題とな る場面においては,前述のとおり,. ドイツでは我が冨の通説的見解とは異. なり観念的競合が広く捕捉されている〈実体法上行為単一の関係が認めら れるには,問題となる犯罪罷においてその実行行為の完全な重な与合いは 必要ではなく,一部分の重なり合いで足りると理解されている)ことから, 例えば,軽微な継続犯(ないし連続犯)を理由に確定判決が下された場合 その間に実行された重大犯罪はもはや訴追できなくなるのではな L、かとい う問題意識から,以下のような議論が見られる。 i.実体法従属説 的. M l は , こ の 問 題 に つ い て , BGH (前出 BGHSt GerhardWerle. 2 8 8 ) が一事不再理効を否定した結論を支持するものの,実体法上行為 29,. 単一の関係を認めつつ訴訟法の場面で、の分割を導く理論構成を批判し,む しろ,実体法上の行為単ーを否定する方向で基礎付けるべきであると主張 する。 Werleは,この点について,犯罪組織又はテ口組織構成員罪はその 実費において継続犯〈通説的見解めではなく連続狸としての性質を有す るものであり,それゆえ,地の犯罪との重なり合いにおいても自然的行為 単一ではなく評語上単一の関係として捕捉されるべきであり,それゆえ 各々の犯罪における同謹性ないし同価値性が検討されなければならない 本文前述のとおり,特例上連続犯の法律樟成は実質的に放棄されている。 立 母 Gerhard 可 i ¥e r l e, Konkurrenz und Strafklageverbrauch b e i der m i t g l i e d s c h a f t l i c h e nB e t e i l i g u n g an k r i m i n e l l e n oder t e r r o r i s t i s c h e n Vereinigungen,NJW 1 9 8 0, 2 6 71 . 紛 S chonkejSchroder,StrafgesetzbuchKommentar27Au , . f S .1 2 8 8,2 0 0 6 . 鶴. 1 7 2(239).

(9) 「公訴事実の同一性」援念について窃 が,犯罪組織又はテ口組織構成員罪とその間に実行された謀殺罪等の重大 犯罪との間では同種性ないし同罷値性の要素が欠けるため実体法上の単一 性は否定されるものと説明する叱 U GerhardFezer 7)は,同撲の問題について, BGHのように実体的正義の. , 129a条の廃止 強調による理論亜の修正という形ではなく, StGB129条 という立法的解決の方法によるべきであると述べる o Fezerは,この点に , 129a条の制定に援し訴訟における一事不 ついて,立法者は StGB129条 再理効という詩題を十分意識していなかったとして,立法上の不備を指摘 する O GeraldGrunwald 邸)誌,やはり毘様の問題に関する BGH (及び BVerfG) の結論はその所為概念(自然的行為単一む場合,両事実関む連関か. ら不可分の関係にあるというべきもの〉に適合しないだけでなく,実定法 規定にも反するものと批判する。 Grunwaldは,この点について,複数の 犯罪が実体法上一個の行為と評錨されるとき刑罰の個数は一個であり,そ れに対応する手続も一極でなければならない,それゆえ,苗訴において実 体法上一個の行為の一部について有罪判決が下された場合,後訴において その余の部分について審判し,飛を剥すことは許されないはずであると説 明する(ドイツ StGB~こは,我が国の飛法(刑法51 条〉と同様,併合罪 iこ 隠して事後的に併合飛を算定する制度 (StGB55条〉はあるが,一罪の関 係にある犯罪について複数の判決が存在し,それを併合するという制度は おカ亙れていな~ , ) 。. ( i i ) 判例上,実体法上ー罪の関係にある罪について訴訟上の所為として. u S ) P e t e rRies,Anm. BGHSt2 9, 2 8 8,NStZ 1 9 8 1, 7 2も,毘様の見解である O 4 カ GerhardFezer, ~~ 1 2 9,1 2 9 a StGB und d e rs t r a f p r o z e s s u a l eT a t b e n Rechtsdogmatik und 託e c h t s p o l i t i k(Humburger R e c h t s g r i f f, i .1 2 5,1 9 9 0 . s t u d i e n;H.7 8 ),S u 8 ) GeraldGrunwald,Anm. BG 豆S t2 9, 2 8 8,StV 1 9 8 1, 3 2 6 . -1 7 3(238).

(10) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. 分割されうるかという問題は StGB129条 , 129a条以外の他の犯罪類型に も広がっているが,それ i ご対Joして,学説も以下のような晃解が見られる O. 0 9 IngeborgPuppe }は,武器所持罪と当該武器を使用した重大犯罪との 関係が問題となった事椀 (OLGハム 1 9 8 5年 9月 9日決定 NStZ1 9 8 6, 2 7 8 ) に関して,前者の確定判決による後者の再訴遮断を否定する結論は,実体 法上の行為単ーを否定する方向で基礎付けられるべきであると主張する O. Puppeは,この点について,継続犯は純粋継続犯と非鈍粋継続犯とに区耳目 され,例えば,コレクションで拳銃を所持していた被告人がある時点で地 者の殺害を決意しこれを実行したという場合,拳銃所持という継続犯の性 質自体が変質し,この時点で実体法上の単一性が否定されるもむと説明す るG O O は,麻薬不法所持罪と道路交通危殆化罪との関孫が E l l e nSchluchter. 問 題 と な っ た 事 例 (OLGバ イ エ ル ン 1 9 9 1年 3月2 2日判決 BayObLGSt. 51)に関して,一事不再理効の適用を否定するという結論法一個の継 1 9 9 1, 続犯の規範的分割という講成によって基礎付けられるべきであると主張す る 。 Schluchterは,この点について,継続犯は新たな(かっ重大な〉法益 侵害を伴う別の犯罪を決意した時点に「決定的な区切り点 j が認められ る,この基準によると麻薬不法所持罪と道路交通危殆北罪との関係におい て実体法上の行為は二個とみとめられるべきであると説明する O 1 1 .. 実体法非従属説. 以上に対し,龍述のとおり,判例上,訴訟法上の所為概念は実体法上む 行為概念とは独立のものであるという見解が支配的である O t l Oは , このような判例の晃解は,学説上,例えば, Lut zMeyer-Gosner. IngeborgPuppe,Anm.,JR 1 9 8 6, 2 0 5 . ( 2 ) 0 E l l e nS c h l u c h t e r, Von d e rU n a b h a n g i g k e i t s t h e s e z um a t e r i e l l r e c h t l i c hb e g r e n z t e rT a t i d e n t i域 tbeim D a u e r d e l i k t,JZ 1 9 9 1, 1 0 5 7 f f . . ( 2 ] ) Meye r Gosner (前掲注( 3 ) )S .9 7 8 .. 倒. -1 7 4(2 3 7 )一.

(11) 「公訴事実の同一性」概念について@. ドイツ刑訴法学を代表するそのコンメンタールにおいて,はっきりと,. r 訴. 訟法上の所為概念誌,実体法との欝係において独立である J と述べてい るG もっとも,苗述のとおり,この実体誌上の行為概念と訴訟法上の所為 概念との関係について,やはり Meyer Gosner 識が「実体法上独立した所 為は,原則として,訴訟法上も独立である o StGB52条でいう単一の行為. Jと述べているように,全く独立の は,常に訴訟上も単一の所為である o ものと理解されているわけではなく錨,その例外を肯定することができる か,またそれ誌如何なる理論によるべきかという観点かるの議論であるこ とに注意が必要である O 前述のとおり,学説上, StGB129条等の構成要件に擦して例外を認める べきとする見解は少数であり,むしろ実体法上の解釈からアプローチする 踏は,訴訟法上の所為概 見解が有力である O そむ中で, W olfgangMitsch 念の実体法上の行為概念に対する完全な独立性を主張する論者として注呂 される o Mitsch,ま,その根拠として,判例が挙げる両者む機能の違い (BVerfGE5 6, 2 2によると,実体法上の罪数規定は複数の犯罪が成立する 場合の責任に応じた珊量の算定を基礎付けるものであるのに対して,一事 不再理原則は後訴の手続を遮新するものである) !こ加えて,少年裁判所法. (JGG) 3 1条を指摘し,同条によると少年荊事事件においては刑法上の競 合規定は排除され単一飛により処せられるべきこととされているが,この 場合においても一事不再理効の範酉如何という詞題は当熱に生じうるこ と,また,仮 i こ成人事件においても実体法上単一璃主義が取られた場合や はりそれでもなお一事不再理効む範囲詰問題となることを考えると,一事 不再理効と実体法上の罪数論とはおよそ加のものとして評催しなければな. 儲 鴎. 儲. Meyer-Gosner (前掲詮( 3 ) )S .9 7 8 . F e z e r (前掲注(1)) S .2 4 4;Beulke (前掲詮(1)) S .2 5 2 . WolfgangMitsch,Anm. BGH NJW2 0 0 1, 2 6 4 3,NStZ2 0 0 2, 1 5 9 . 1 7 5(2 3 6 ).

(12) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. らないと説明する陣。. ( 3 ) 所為の具体的決定 上記のとおり,少なくとも実体法上複数の行為がなおも訴訟法上一個の 所為として評価されうるという限りにおいて訴訟法上り所為概念は実体法 の行為概念に従属しないとすると,如荷なる基準によって所為の内容及び 範囲が決定されるべきかが問題となる O この点について,. BGHは ,. r 訴訟法上む所為は,公訴及び公判開始決定. こおいて単ーを構 で示された被告人の錨裂の行為だけでなく, 日常的観察 i 成する墜史的事象全体であり,その範酉内で被告人が正犯又は共犯として 犯罪講成要件を実現したとされるものを含む。さしあたり調査の範囲を構 成するのは,公訴で記述された事象である o しかし,これには,公訴で示 された霊史的畠来事との聞で日常的観察において単ーを構成する張りで, 被告人の全ての行態が含まれる〈この事清が起訴状で明示されていなかっ J( BGH刑事第五部 2 0 0 3年 6月 1 8日判決 NJW2 0 0 3, 2 9 9 6 ), た場合でも ). 或いは,. r 判決発見の対象である所為は,歴史的事象であり,公判開始決定. で指擁され,その範囲内で被告人が犯罪構成要件を実現したとされるもの である O これは,独自の概念でるって,実体法上の行為概念よりも広く及 ぶ。訴訟上の意味での所為には,実体法上行為単一であるか行為複数であ るかにかかわらず, 日常的観察において単一の事象である隈りで,被告人 の全ての行態が含まれる。これにより,許可された公訴がそこから刑法上 の非難を導いた生活事象は,当該事実が起訴状で言及されていなかった場 合でも,右生活事象と関連する全ての出来事を包顎する J( BGH1 時事第五. 0 0 4年 3月178判決 NStZ2 0 0 4, 5 8 2 ) と判示し,これ辻自然的・日常的 部2 館. 我が罷でも,白取祐司『一事不再理の研究J I 4貰 ( 1 9 8 6年,司本評論社〉は,. 4条により一事不再理の範囲を限定することは,制定法によって憲法京裂 剤 法5 の範冨を摂定するものであるとして,実手本法の罪数論への従麗を否定する。. -1 7 6( 2 3 5 )一.

(13) 「公訴事実む同一性j 誠念について ( 2 ). 観察による事象の一倍性を重視するものと分析されている。もっとも,こ のような自然的・ 8常的観察という基準について,例えば, いかっ無内容j なものである鈴,. r 非常にあいま. r 実践的に使用できるものではな Lづ郡と. いった批判が向けられている O 学説上,特に裁判例における所為榎念の展開に則して,その分析及び評 鋪,理論的整序,実践的捷馬可能性といった観点から,以下むような見解 が克られる O i.行為説 行為説 CHandl ungstheorie) と辻,訴訟法上の所為概念は実体刑法にお ける行為 CHandlung) の誠念と共通するものと理解する見解である c 行為説の先駆的論者である KeetsinLiu 舗は,まず,所為を歴史的出来 事〈事実〉と理解する判例及び通説の見解について,例えば,証人が架空 の事件をでっち上げその童誌の証言に基づいて公訴提起された場合でも, 審判対象としての所為は存在するのであり,所為の講成にとってそもそも 事実が麗史的に実在していることは不要であるとして批判する民そむ上 で , Liuは,自身の見解を次のように説明する O すなわち,そもそも,所 為とは,訴追者及び判断者における製念の対象であり,各々において犯罪 概念へのあてはめを伴って想定されたものである G 犯罪概念において,構 或要件該当性,違法性,有責陸に上位するものとして,行為が位置づけら れるのであり,これが審判の対象とされるべき所為である郷。この行為と して把握される事清は,いわば名詞的に観念され,その属性〈例えば,行 HansH e i n r i c hJ e s c h e c k,Anm. BGH,U r t .v .1 0 .1 .1 9 5 6,JZ 1 9 5 7, 2 9 . 郡 R o l fD i e t r i c h Herzberg,Ne b i si n idem -Zur Sperrwirkung d e s 9 7 2, 1 1 3 . r e c h t s k r a f t i g e nS t r a f u r t e i l s,Jus 1 8 ) K e e t s I n Liu, Der B e g r i f fd e rI d e n t i t a td e r Tat im g e l t e n d e n 2 ( 9 2 7 . deutschenS t r a f p r o z e s r e c h t,1 ( 2 9 ) L iu (蕗掲注(諦) S .8 丘 一 繍 L iu (前掲注倒) S .1 2 f f . . 鵠. -1 7 7(234).

(14) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. 為の時間,場所など)は,行為を修鋒するもむとしていわば形容詞的に観 念される O 審判対象たる所為の同一世にとって重要であるのは,前者であ り,これが本質的に変化する場合には所為の毘一性は否定される O この見 解によると,例えば,窃盗罪と盗品関与罪,教唆罪とその正犯とむ関には, 名詩的に観念される事情が異なるため,所為の同一性は認められな LJBO また,常習窃盗罪とそれに含まれるべきー留の窃盗罪との間でも,各々の 観念において名詩的事情が異なる ( L i uは全体とその一部とむ同一性を認 めない〉ため,所為の同一性は欠ける倒。以上から,裁判官は,検察官が 主張する事実について,その形容詞的事靖から逸脱することはできるが, 名詩的事清から逸脱することはできず,これによりいわゆる「実体判決当 為対象Jが講成され,それに対して下された判断が後の裁判に対しても拘 束力をもつことになる関。もっとも,実際上,裁判官が誤って名詞的事情 を逸脱することもあり ( L i uによると訴訟条件が欠ける場合もこれに含ま れる),その裁判が確定した場合,後の裁判に対しこの判断 ( l ¥わゆる「実 体判決存在対象J ) が拘束力を持つ。なぜなら,裁判官のミスは,被告人 ではなし国家が不利益を負うべきだからである倒。 この仔為説は,第二次世界大戦後, DietrichOehler 鶴によって発屡させ られる o Oehlerは,所為概念は実体的正義と法的安定という璃事訴訟に おける二つの基本自標の調整から導かれるべき問題であるとした上で,ナ チス時代における刑事裁判に対する富家の套意的運用に反省を迫るべく, 客観的基準を探求した。 Oehlerは,所為概念を広く理解すると裁判所が C 3 I ) L iu (詰掲注(28)) S .8 4 f f . . 鍛 L iu (蒔掲注鈎) S .1 6 f f . . 鱒 L iu (龍掲注倒) S .5 3 f f . . 鈍 L iu (龍掲注舗) S .7 8 f f . . C 3 5 ) D i e t r i c h Oehler,D i eI d e n t i 出 td e r Tat,i n FS ー託o s e n f e l d,S .1 3 9,. 1 9 4 9 .. -1 7 8(233)一.

(15) f 公訴事実の毘ー性j 概念について ( 2 ) 審判すべき範毘及び実体的確定力の範囲が広くなり実体的正義の要請に惇 る,また,被告人の訪御の範酉が限定されることは法的安定にも資すると して,所為概念は狭く理解されるべきであると述べる矢その上で, Oehl e rは,ライヒ裁判所判例について,所為の同一註を基本的に行為又は結果. の部分的重なり合いにより導く点を評儲しつつ邸,所為を「歴史的事実j という不明確な概念で定義づける点及び侵害される法益の同一性も所為の 同一性を基礎づけるとする点を批判し,所為の同一性は行為が部分的にで も重なり合う場合又試行為が連続していることにより一体のものと見うる 場合に基礎づけられると主張する 630 他方で, Oehlerは,所為捜念はあく まで純訴訟鵠に決定されなければならず,実体法上の行為概念への完全な 従属を否定する織。さらに, Oehlerは,上記二つの基準に該当するにもか かわらず,訴訟上の特別な理由から所為の同一性が否定される例として, 結果犯における結果が判決後に生じた場合,親告罪において告訴が欠ける 場合,全ての事実を裁判所が解明すべきことが予定されていない略式命令 といった類型を挙げている憾。 Oehlerは,さらに, 1978年の論文割において,以下のように自説を展開. する o Oehlerは,まず,ナチス時代の可罰的行為,政治犯,経済事犯,環 境事犯等かつてと比較できないほどの大規模な手続が行われるようになる と,その手続の長期化,複雑化が重要な問題となり,これはライヒ裁判所 以来の暫伊jのように所為を歴史的事実の単一性として広く捕提する見解か. 0 0 Oehler (荷揚注総) S .1 4 2 . Oehler (前掲詮錫) S .1 4 5 . ( 働 O ehler (前掲注鵠) S .1 5 7 . ( 3 9 ) Oehler (前掲注錫) S .1 5 7 . 働 O ehler (苗掲詮錦) S .1 5 7 . ωDietrich Oehler, Neuere Verschiebungen beim p r o z e s s u a l e n Tat b e g r i f f,i n GS-Schroder,S .4 3 9,1 9 7 8 . 開. - 1 7 9(232)一.

(16) 近畿大学法学. 第5 4巻 第 3号. らはなおのこと先鋭化する鱒, このような所為を正範に理解する見解はお よそ判例の確定した見解であり普遍のものと考えられているようである が , ライヒ裁判所が 1938年に集合犯について個々の行為が連続的関係にな い場合所為は各々独立のものとなるとして判例変更僻している点を見て も,所為概念は流動的なものであると分析する倒。そり上で, Oehlerは , 訴訟上の所為概念を実体法上の仔為概念に接近させることが,訴訟経済詑 観点からも, また法的安定及び実{本的正義の観点からも要請されると主張 , この点について,椀えば, BGH刑事第二部法企業体の する o Oehlerは 詐欺罪が問題となった事持能について 5年間にわたり日常的に行われてい た詐欺罪は「実体法上一つの行為の範囲を超える」という理由で揺別の行 為について別々の手続による審理を認めているが, これ辻,所為諜念を行 為概念に接近させるものとして評価される, このような所為概念の行為概 念への接近にあたり行為は訴訟上の所為の核心であることを認めなければ ならない, この行為は刑法上の構成要件に必ずしも限定されるわけではな く,行為者の単一的意思に基づく完結的な要素により講或される外形的事 実である, そして, S tP0265条によるとその強さが変化しても(飛が重く なるような事実への変化など〉所為の同一性は探たれると説明する叱 上述のとおち, Liuや Oehlerの見解によると,行為説 i , ま 当初,訴訟 法上の所為の決定にあたって実体法における行為概念を基準とするもので. J うるが, そこでいう行為とは罪数論におげる評錨を伴うものではなく, わば前法律的・岳然的なものと理解されていたことが伺われる O しかし, その後,行為説 i ま,訴訟法上の所為の決定にあたって実体法上の罪数論に 綿織綿鵠鵠. Oehler (前掲注倒) S .4 3 9 f . . 1 6 4;7 3, 2 1 6 . RGSt7 2, .4 4 0 ff . . Oehler (前揖注倒) S BGHSt 2 6 . 2 8 4 . .4 4 4 f f . . Oehler (前掲注倒) S -1 8 0(231)一.

(17) 「公訴事実の司ー性」概念について詰. よる評舗を取り込み,行為自体を規範的に理解する見解に変わって L、 くO. RolfDietrichHerzberg 締は,確定判決による遮断効〈一事不再理効〉 の範毘如何という観点から,まず,判初j 及び通説,つまり所為を E常的・ 自然的観察に基づく藍史的事実む単一性と理解する見解について,①一事 不再理効の範囲を広く認めることで実体的正義に著しく反する結果を導 く,@連続犯の取り扱いにおいて一貫性を欠いている,③概念が不明確で あり法的安定性を欠くとして批判し ω,さらに,授害される法益の同一性 に着目する晃解(後述の「評悟説 J ) についても,①この見解を徹底する と実体的確定力の制度は骨抜きにされることとなってしまう,②現行刑事 訴訟法における再審事由の隈定列挙性を破るものである,③秩序違反に関 する法律 (OWiG)8 4条 2項織は評価説を否定する立法上の根拠となると 批判した上で錨,実体法上の行為概念と訴訟法上 C 所為概念は「完全に一 致 jするものと理解すべきであると主張する的。 Herzbergは,その論拠と して,双方の按念は人の連続する活動の中から法的観点での評舗の単ーを 括りだし画そうとするものであるという点で共通し,それゆえ,実体法上 の行為援念について,その通説的見解舗に従い,自然的意味での行為単一 (一個の意思決定に基づく一橿の身体の動静)と法的意味での行為単一 (複数の自熱的行為が法的構成要件により評価単一へと統合される場合的 Herzberg (荷揚詮協). 母 ( Herzberg (前揚注的) S .1 1 4 f f . . 織 秩序違反に慢する法律8 4 条 2項:秩序違反と構成された所為についての薙定 判決は,それが犯罪として構成された手続も妨げる。 7 2条による決定及び秩浮. 的. 違反として構成された所為についての抗告裁判所の決定も,同様である。. Herzberg (前掲注郡) S .1 1 6 f f . . ( 5 ] ) H erzberg (前掲詮邸) S .1 1 8 . 脇 L acknerjKuhl,S t r a f g e s e t z b u c hmitEelauterungen25Auf . , S .3 0 7 f f ., 2 0 0 4,;SchonkejSchroder (前掲注鈎) S .8 0 2 f f . . 倒. ~. これにあたるのは,(i)漸次に構成要件が実現される場合(例えば,ナイフに i i )結合泡〈例えば,強盗罪における脅ノ よる一連の蕩害から殺害へいたる場合), (. 1 8 1(2 3 0).

(18) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. とを合わせて実棒法上の行為単一であるとの理解を前提に,両概念は完全 に一致するものでなければならないと述べる代 f f l は,脱税犯罪における実体法と手続法の考 Hans-J oachimBehrendt. 察を基に,以下のように述べる。 Behrendt'ま,まず,程税飛法 (Steuers t r a f r e c h t ) における保護法益は橿別の程説方式各々の課税期間における. 税収確保という公的利益であり,例えば,行為者が同一課税期間内に所得 税と売上税を過小に申告し又は行うべき申告を行わなかった場合二個の犯 罪が成立することになるが,該複数の説税罪の実体法上の行為の倍数は一 般刑法における行為の重なり合いという基準によって決定されるとした上 で,祖説刑事手続における所為の同一位誌程税実体刑法における行為単一 性と一致するものと理解すべきであると主張する叱 Behrendtは,その理 由として,所為概念を広く理解すると,①祖説法 3 8 6条 2項は「貌務署は 当該行為がもっぱら脱税犯罪である場合に独自で調査手続を行う」と定め ているが,この規定の趣言である行政資源の有効な活用という者益は損な われてしまう,舎租税法3 9 3条 1項は租税璃事手続と行致上の課税手続と の関係について当事者の地位に応じて調整するものであるが,対象者の謂 査協力義務の妥当範囲を的確に規律しようとした同条項の趣旨が損なわれ る,③実体的確定力の問題において不当に罪を免れる範毘が広がりすぎる といった点を挙げ鰐,以上の理論は一般飛事手続法へそのまま妥当すると 主張する o Behrendtは,その理由として,訴訟上の所為護念を実体法上 、迫と財物奪取), ~iV行為が継続する爵 i こ,構成要件が複数宙実現される場合(弼 えば,連続する暴行による傷害や,財物を運搬用の車へ少しずつ運び込む場. Herzberg (荷揚主部) S .1 1 8 )。 合),があげられている ( Herzberg (前掲註的) S .1 1 8 f f . . 関 Hans-JoachimB ehrendt,DerT a t b e g r i f fimm a t e i e l l e nundf o r m e l 4( 19 8 2 ),8 8 8 . l e nS t e u r e r s t r a f r e c h t,ZStW 9 鴎 B ehrendt (蔀掲注鵠) S .8 9 8 . 駒 B ehrendt (前掲注弱) S .8 9 9 ff . . 髄. -1 8 2(229).

(19) 「公訴事実の同一性J讃 念 に つ い て ( 2 ). の行為単一と一致させるならば,①法的明確性に資する,②実体的正義に 資する,③訴訟実務上手続の不当な蒸し返しゃ〈特に巨大手続における) 手続の長期化を呂避しうるといった点を挙げている織。 1 1 .. 法益侵害説・評価説. 法 益 侵 害 説 ・ 評 価 説 CRechtsgutsverletzungstheorie;Bewertungs法益侵害の単一性」が訴訟上の所為の範囲を決定付ける t h e o r i e ) とは, I べきもお,つまり,訴訟上の所為はもっぱら又は主に規範的観点から決定 されるべきものと理解する見解で為る(従って「規範的所為概念j ともい われる向。この見解によると,岳然的行為単ーと評伍される場合でさえ訴 訟上複数の所為と評価されることもあるぺ JoachimHruschka ( 6 0は,まず,訴訟上の所為を実体法上の評価と切り. 離された「歴史鵠事実j と理解しその範毘を広く認める通説的見解につい 法 て,第一に,通説的見解は「法的安定性」を根拠として主張するが, I 的安定性」とは法があらかじめ確定されていること及びー呈確定された内 容が実現されるべきことを意味するのであって,その法自体〈ここでは所 為概念〉の内容や範囲を定めるための指針となるものではない,第二に, 通説的見解は萌為とは「歴史的事実Jであるため実捧法上の評儲から独立 して発克されるべきであると主張するが,事実の認識と評悟とはいわば不 可分の関係にあり,刑事手続によって発見されるべき事実法犯罪講成要件 む枠組みに沿って探求されるべきであると批判した上で翻,所為は具体的 に問題となる事実の形成に擦して実体法の機能が考慮されなければならな Behrendt (前掲注鵠) S .9 1 0f . . 織 W olter (前掲注鱒) S .1 5 9 . 織 B e r t e l (前掲注Q O ) )S .1 7 l f f . . 総 J oachim豆ruschka,DerB e g r i f fd e r"Tat“ imS t r a f v e r f a h r e n s r e c h t, JZ 1 9 6 6, 7 0 0 f f . . 総 Hruschka (前掲注総) S .7 0 l f f . . 磁. - 1 8 3(228).

(20) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻 第 3号. い,すなわち,所為概念の決定に際し決定的であるのは. f 場所,時間,行. 為対象によって特定された事象の法的接心j であり,それゆえ,一事不再 理効の射翠範囲もこの法的該心部分が前訴で審判されていたか否かという 観点から検討されるべきであると主張する o Hruschkaは,自説のような 判断基準は不明確なものとなりうるのではな~\主主という問題点について,. (やはり不明確であるという問題点を苧んでいた)選択的認定に際しての 一般的基準,つまり,二つの犯罪器で、の「法倫理的及び心理的問悟値性j という基準の準用によって克援を試み,例えば,前訴手続で認定された構 成要件的事実と後訴裁判所が認定すべき事実とが法論理的に胃価値である 場合,或は構成要件として詩髄値とはいえないが一方が他方に対し法檎理 的に加重形襲として評領される場合(単純窃盗罪と加重窃盗罪,過失犯と 故意犯),法的核心における同一性が肯定され,その結果,所為も同一であ ると説明する織。 FriedrichGeerd 仰は,実体法上の仔為単一及び行為複数の概念は審判. 対象及び確定力の範題,すなわち訴訟上の意味での所為の決定にとって意 味を持たないとし,訴訟上の所為と i ま,公訴及び公判開始決定において記 載され,識別された事実を基礎としつつ,その不法内容の決定にとって重 要となる社会的意味違関からの考察が必要であると主張する陀 Geerds は,特に,法律学的行為単ーとされる類型,中でも連続犯に着目し,実体 法上一個の行為として処理されることは訴訟上の審判対象及び確定力の範 囲の決定に擦して重要ではない,例えば,前訴において連続犯のうちー掴 の個別行為だけが審判されたが,後にその他の個別行為が判明し,それが 行為者の不法内容を決定するにあたって重要である(苗訴で認定されたも Hruschka (前掲注記1)) S .7 0 6 . 純 G e e l 、 d s (前掲注( 3 ) ). 紛 G eerds (前掲注( 3 ) )S .3 6 3 . 鱒. -1 8 4(227)一.

(21) 「公訴事実の同一性」擁念について岱. のと本妻的変化させる)という場合,後に判明した行為を理由とする公訴 を適法であると述べる叱 Geerdsは,その理由として,法律学的行為単ー は自然的観点において各々別倍の行為であり,それが実体法上ー娼の行為 として扱われるのは単に併合飛の算出という困難な問題を回避することを 目的とするものにすぎず,それが一事不再理効の成否といった実体的正義 の妥当を妨げるような効果を与えられるものではないこと,審判対象及び 確定方の範圏の決定にあたって重要であるのは,公訴により知何なる事実 が裁判所に提示され,その不法内容について裁判所の審判権限がどの程度 にまで及ぶかということであることを強調する翻 o Geerdsは,このような 見解によっても,起訴痩宜主義の適切な運用により,不合理な結論には至 らないという O. C h r i s t i a nB e r t e l 織は,所為概念を決定するにあたり公訴主義と審判に おける裁判官の裁量との調整が重要となるが,その際,確定判決の遮断効 によってもたらされる被疑者・被告人にとっての法的安定の剥益と公訴 主義によって追求される正当な裁判の実現との調和において法益浸害説が 最も有効な解決を導くと主張する{憾。 B e r t e lは,所為の同一性の基準とな る法益侵害の毘ー性について,侵害され又は侵害の危険にさらされた「法 侵害」の同一性に分析されるとした上 益 j の同一性と同一法益に対する f で,前者(法益の同一性)について構成要件上予定される「結果」の同一. e r t e lによると,例えば,恐喝罪につい 性を出発点として考察を進める o B てピストルでの脅迫と言葉での脅迫とで結果は毘ーであるし,傷害罪にお ける行為態、様の差異は重要ではない,また,正犯と共犯との間,或は故意. G e e r d s (苗掲注( 3 ) )S .4 1 3 f f . . 腕 G e e r d s (前掲詮包)) S .4 1 9 . 鱒 B e r t e l (前掲注ω ) . 鱒 B e r t e l .(前掲注0 0 ) )S .1 3 4 ff . . 鱒. - 1 8 5(226)一.

(22) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. 犯と過失犯との間でも所為の同一性は肯定されうる憾。もっとも, B e r t e l は,公認と判決(又は二つの判決〉の題で適用されるべき犯罪類型が異な る場合もはや構成要件上の「結果j の同一笠ではなく,再犯罪類型の不法 内容の重なり合い(少なくとも部分的な〉が問題となるとも述べ,例えば, 堕胎罪で起訴された医師に対しその手術費用を詐取する行為を理由に詐欺 罪で判決を下すことはできないが,窃盗罪の起訴に対し裁判官が被告人は 当初自分の財物であると考えていたが後に誤解に気付きつつもそのまま領 得したと認定した場合に占有離脱物横額罪を理由として判決を下すこと誌 許されると説明し,重要であるのは行為の同一性ではなく公訴及び判決 (又は二つの判決)における不法内容(=法益侵害)の同一性であると主張 するき> > 0B e r t e lは,さらに,刑法典には強盗致死傷罪や強姦致死傷罪など 複数の法益を保護する犯罪類型が存在することに着目し,法益侵害説から はこのような犯罪類型において複数の所為が肯定されることになるのかと いう問題を設定した上で,結論としてこの場合も所為誌単一のものと評錨 されるべきであると主張する O すなわち, B e r t e lは,訴訟上の所為とは一 定の包摂関孫にあるすべての法益侵害の総体であり,所為の同一性にとっ て重要であるのはこの総体を比較した場合における不法内容の部分的重な り合いで‘ある,このことは講成要件上その不法内容が明示されていない類 型に照らしてみても理解されうるものであると述べ,. f 1 Uえぱ,被疑者・被. 告人が被害者をナイフで刺殺した場合に被害者の洋服に対する器物損壊罪 によって別途追及されうるわけではないと説明する問。 B e r t e lは,さらに, ある被害者の下で複数む窃盗事件が発生したが,犯行時刻,犯行現場,被 害の特徴といった要素から二つの異なる犯罪であることが想定される場合. B e r t e l (前掲注佃9 )S .1 4 2 f f . . ( 7 ] ) B e r t e l (前揚注∞~) S .1 4 4 f f . . ( 7 2 ) B e r t e l (前掲注a o ) )S .1 5 l ff . .. 側. - 1 8 6(2 2 5).

(23) f 公訴事実の同一性j 概念について ( 2 ) を例に挙げ,侵害された法益が毘ーであってもその f 侵 害Jが異なる場合 があると述べる。 Bertelは , このような場合として,例えば, ある運送業 者が顧客から預かった財物をその顧客の抜頼に応じて保険金詐取目的で段 損したとして詐欺罪の共犯により起訴されたが,公判では顧客よりそのよ うな詐欺呂的での故頼はなかったと認定された場合,窃盗罪〈又は器物損 壊罪)で判決を下すことはできるかという事例を挙げ, この場合,財産の 不法な移転が, 公訴では保険会社と顧客との閣で生じているのに対し,判 決では顧客と運送業者とむ間で生じているという点に着目し,財産務転の 時期及び場所が異なるため侵害の国一性誌否定されると結論付ける持。. WolfgangBarthe仰は,まず,所為概念に関する従来の議論は,所為が 訴訟対象であるかという開題とそむ所為がどのように決定されるべきかと いう問題が混同されてきたと批判し時, S 6 4条 , GGI03条 3 tP0155条 , 2 項の規定の存在から所為が訴訟対象であることを改めて確認した上で鈎, 訴訟対象である所為は自らの訴訟上の機能, すなわち訴訟孫属の範囲,公 訴事実の変更が許される範囲,実体的確定力の範酉を画するという機能を 果し,事実を明確に画するものでなければならないものである, これは二 つの事実類型, すなわち具体的構成要件要素としての事実要素(実体的事. 実) と犯行の場所及び時間といった事実要素とから構成されるものである と主張する冊。 Barthelは,この点について,所為とは単なる事実記載の羅 殉ではなく, 飛法上重要な人の行態の叙述たるべきものとして評価を含む ものであり,公訴・公判開始決定において確定された場所,時間,客体, 手段により識別され,社会的に望ましくない結果に向けた方向性一ーその G 品 A 山写内明暗︽ w w哨 り 向HP 向 V 向V 向Hq 向 V. 1 0 ) )S . 、 1 5 7 f f . . B e r t e l (前掲注( WolfgangB a r t h e l,DerB e g r i f fd e rTat im S t r a f p r o z e s s r e c h t,1 9 7 2 . .3 . Barthel (前掲詮斡) S .2 0 f f . . B a r t h e l (前掲注斡) S .5 3 . B a r t h e l (前掲注斡) S. 1 8 7(224).

(24) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. 実体的不法内容を考慮、した下での-ーによって決定されるものと説明す る郷。但し, Barthelは,所為の同一性が認められるためには法益の完全な 一致まで必要ではなく,不法内容の匹敵性で走りると述べる冊。 GlQlは,刑事訴訟では民事訴訟と同じく当事者の一定の J註rgenBaumann 法律効果を求める申立をめぐって審理が進められるむであり,単なる事実 の存否だけを訴訟のテーマとし訴訟対象を生活関係において特定された単 なる事実で為ると理解する通説的見解は妥当ではないと批判した上で,訴 訟対象は「一定の生活事実からむ J f l J 罷効果(国家の刑罰権の存在)の主張J であると主張する紛。 Baumannは,自説のような理解は民事訴訟におけ る当事者の法律効果の申立を訴訟対象と理解する考え方と整合的であり, 手続法の統一にとって望ましいことであると述べた上で, J f l J 事訴訟におけ る訴訟対象である「所為j はその概念む決定にあたち実体刑法との結びつ きが重要であると主張する瞬o Baumannは,例えば,単なる「睡眠Jとい う生活事実はそれ自体訴訟においてなんら意味を持つもので誌なく,それ による法的義務の揮怠〈例えば,鉄道転徹士 i こよる転轍機の切り替え忘れ や,母親が乳児にミルクを与えるのを忘れるなど〉と構成されることでは じめて訴訟対象としての意味を持つのであると説明し,特定の生活関係か ら導かれる璃法上の効果に基づき訴訟対象の毘一性も画されるのであると 結論付ける o Baumannによると,例えば,非常に軽微な継続犯の最中に 重大な犯罪が実行された場合,前者 i ごついて主張される過料という法律効 果と後者について主張されるま冬身刑という法律効果とはおよそ同一ではな. Barthel (詰掲注同) S .9 4 . 問 B a r t h e l (前掲注側) S .9 3f . . ( 8 0 ) Jurgen Baumann, G rundbegriffe und V e r f a h r e n s p r i n z i p i e n d e s , . f 1 9 7 9 . S t r a f p r o z e s r e c h t 3Au 紛 Baumann (前掲注鱒) S .1 6 9 . 紛 Baumann (前掲注鱒) S .1 6 8 f f . . 側. -188(223)一.

(25) 「公訴事実の同一性j 概念について包). く,それゆえ訴訟対象も別個のものと評価すべきものとされる鱒。 1 1 1 .. 非両立説・択一性説. 非両立説・択一性説 (Unvereinbarkeitstheorie;Alternativitatstheor i e ) とは,問題となる事実相互の関に非再立関係・論理的択一関孫が存在. する場合に所為の同一性が肯定されると理解する見解である O GeraldGrunwald 髄は,苗訴と後訴で実体法上矛盾した結論となりうる. 場合は二重処罰禁止の観点から後訴は不適法なものとなる,それゆえ非両 立・択一的関採が所為の同一性の基準として採用されるべきであると主張 する紛。 Grunwaldによると,例えば,謀殺罪の不届出罪で有罪判決が下 され,それが確定した後,謀殺教唆罪で改めて公訴提起することが問題と なる場合,双方の犯罪は実体法上語立しない関係にあるため一個の所為で あると評価されることになる O ChristianSchoneborn 織は,所為の同一性は,実体法上行為単一の場合. だけでなく,実体法上行為複数の場合でも,起訴事実と認定事実とが択一 的関採にある場合には(常に,そしてその限りで〉訴訟上白所為め司一性 が肯定されると主張し,その理由として,裁判所の公訴事実変更権摂. (StP0264条 2項)は煩讃な手続を避けるための訴訟経済的理由に加えて 詞ーの事実が異なる裁判所で矛震して判断されることの回避という目的か らも定められたものである. それゆえ訴訟法上の所為を検言ぎするにあたり. 決定的であるのは「択一的行為事象の統一的評錨」の必要性如何という観 , I 単一の歴史的事実j という基 点であると述べている矢 Schonebornは Baumann (蔀掲注鱗) S .1 7 l f f . . 総 G erald Grunwald. D i em a t e r i e l l e Rechtskraft im S t r a f v e r f a h r e n 6( 19 7 4;S t r a f r e c h tl . d e rBundesrepublid Deutschland,ZStW-Beiheft8 L a n d e s r e f e r a t e ),9 4 . 綿 Grunwald (前掲注綿) S .1 0 8 . 鱒 S choneborn (諒謁注( 3 ) ) . 腕 S choneborn (前提注(司) S .5 2 9 f f . . 総. - 1 8 9(222)一.

(26) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. 準を用いる裁判例もその結論について択一性の観点によったものと評価で き る も の が あ る と し て , 例 え ば , 窃 盗 罪 と 物 的 庇 護 罪 の 関 保 (RGS 七. 5 , 2 4 9;8, 1 3 7 ), 犯 罪 計 画 不 申 告 罪 と 本 犯 に 対 す る 教 唆 罪 の 関 係 (RGSt 2 1, 7 8 ) が問題となった事例において,. r 竪史的事実j の同一性 i こ言及され. つつも,むしろ行為事象の択一性という観点、がその判断において決定的で あったのではないか,また,詐欺罪と外冨諜報機関との通謀罪が問題と なった事例 (BG 耳S t9 , 1 0 ) において, BGHt ま,両事実の間に所為の同一 位を青定しつつ,略式命令の摂定的確定力という理論によって後者の罪を 理由とする後訴を認めているが,むしろこの場合,再事実の統一的評伍の 必要性は存在しなかったため所為の司一性は否定されると説明することも 可詑であると分析している民もっとも, S chonebornは,例外的に行為の 不法内容を考慮せざるを得ない場合も存在することを認めており,例え ば,被告人が飲酒酪蔀状態で車を運転し事故を惹起したが,直ちに事故現 場から逃走し,さらにそこから離れた場所で第二の事故を惹起し,これに よって自身の民乗者を負傷させたという事例 (BGHSt2 3, 14 ) について, この場合には実体法上の競合論における見解,すなわち,前後二つの事故 を結びつける継続犯がそれによって結び付けられるべき犯罪と比較して軽 微である場合この軽微な継続犯によって各々の重大な狸罪が一倍の行為と , 9 2 ) との見解が参照、されなければなら江い されることはない (BGHSt6 これによって,第二の事故について過失致傷罪及び道路交通危殆化罪によ る有罪判決が確定した後,第一の事故について道路交通危殆化罪及び事故 現場不法逃走罪を理由とする公訴提起を適法とした BGHの結論も支持さ れるべきものとなると説明する。 lV.. 諸説の開題点. 以上,所為む同一性を如荷なる観点から基礎付けるべきかという問題に 鱒. S c h o n e b o r n (前掲注(3)) S .5 3 2f . . -1 9 0(2 2 1)一.

(27) 「公訴事実の詞一性」護念について@. ついて,三つの見解を概観した。 第一に,行為説は,自然的考察から出発しつつ,現在では実体荊法の罪 数論における規範的評錨を取り込み,訴訟上の所為概念と実体法上の行為 概念との近接を図るものとなっている O そして,この実体法への従属とい う点からは,行為説は,訴訟上の所為の毘ー性を画する基準として比較的 明確なものである O しかし,この行為説に対して誌,以下のような批判が 述べられている O 第ーに,行為説によると,所為の範密が非常に狭くなる ため,法的平穏の回毎,被疑者・被告人の保護,適切な璃罰,訴訟経済と いった観点で,好ましくない結果が生じうる。行為説によると,例えば, 窃盗罪とその盗品への関与罪との閣で所為の同一性が否定されることにな るが,その結果,窃盗罪の前訴において実質的に十分審理されるべき盗品 の処分等の行為についてさらに後訴で審理されることとなり,右の利益が 著しく害されることとなる O また,窃遂の教唆罪とその正犯とは行為が異 なるものであるため,行為説によると,侵害される法益は共通であるにも かかわらず,二個の手続及び判決を許容することになってしまう。第二 に,行為説によると,裁判官が実体法上行為をどのように評価するかに よって訴訟法上の所為の範囲が決定されることになるが, S tP0265条 4 項[事実関係の変化による当事者の準積むための公判停止措置に関する規 定]は訴訟法上の所為が実体法上の行為よりも広いことを前提とする規定 であり,行為説の帰結は実定法に適合しないものである倒。 第二に,法益侵害説・評価説は,行為の不法性 i こ着目し,訴訟上高為の 同一性を法益侵害の需一性から基礎付けようとする見解である O それゆ え,多分に,行為の規範面からの考察を中心とするものであるといえるが, 特に一事不再理鶏の範毘が問題となる場匿において,前訴及び後訴におい て行為の不法性を余すところなく評価しつくすことが可能とする見解であ 勝. Wolter (前掲注締) S .1 5 7 . 1 9 1(2 2 0).

(28) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻第 3号. ることか弘比較的実体的正義に資するものであるといえよう O しかし, 法益侵害説・評価説に対して誌,以下のような批判が述べられている O ま ず,法益侵害の単一性とはどのようなものであるか不明確である O さら に,この見解によると,ー留かっ同ーの行為により複数の法的評価におい て匹散しない法益侵害が惹起された場合,訴訟上複数の萌為が肯定される ことになり,現行 StGB52条に反して一個の行為に対し複数の刑罰を科す ことになる,さらには被疑者・被告人の法的安定性,訴訟経済といった観 点、で不当な結論を導く O また,法益侵害が同一である援り,持詩的・場所 こ遠く離れた行為も一個の所為として評価すべきことになり, もはや自 的i 由主義的かっ法治国家的刑事手続として機能しえないものとなる O さらに は,法益侵害説は公訴提起における所為の評彊に裁判所が拘束されるとい うことも帰結し,裁判所の包括的な事実解明義務 ( StP0264条 , 2 6 5条〉 i B O にも適合しな Ld. 第三に,非再立説・択一性読は,司一事実に対するこ重訴追禁止という 原郎を基礎に当該事実が非再立・択一関係にあるときに訴訟上の所為の 同一性を肯定する克解であり,実体法的評価を捨象した純訴訟的考察法で あるといえよう O しかし,そのような見解においては,実体的正義の観点 かるの疑問だけでなく,非再立・択一関係にあればおよそ離隔した事実も 所為の同一性む範囲 i こ取り込まれることとなり,公訴主義及び被告人の訪 御の観点からも問題があるように思われる。また, Schonebornの見解は, 基本的に訴訟上の観点から評価しつつ,例外的事例において実体法上の不 法内容を考患に取り入れることで結論の妥当性を図ろうとする点に特徴が みられるもおであるが,それに対して以下のような批判が提示されてい. 7 l t えば, Schonebornも指擁する窃盗罪と盗品関与罪との関係が問題 るo i となる場合,そもそも再事実の簡で択一的関孫があるといえるかは,窃盗 働. Wolter (荷揚注0 0 ) )S .1 5 9 f f . . -1 9 2( 2 1 9 )一.

(29) 「公訴事実の同一性J諜念について ( 2 ). 犯は第ーの故買者にはなれないとしても第二,第三の故買者となることは 可能であることを考えると疑問である O そもそも, Schonebornの見解は 被告人が不当に罪を免れることへの危填を前提とするが,例えば,択一関 係にない二つの事実が起訴されそのいずれについても証明が不十分である 場合,裁判所が無罪判決を下すべきこと誌自明のことであり,択一性説が 支持されるべき要請は存しな~ , e Ju 。. v . 総合説 上述のとおり,理論的に一元的な整序を試みる克解は,それぞれの長所 にもかかわらず,その短所を見ると,いずれかを選択することは国難であ るO そむような考察を前提に,諸説を総合的に考恵、することにより各々の 短所を克服することを試み,所為の同一性を折衷的に決定する見解,いわ ゆる総合説 CKombinationstheorie) が提示されている O 総合説の先駆的論者である ErichSchwinge 闘は,訴訟上の所為の範囲 について,二つの類型,すなわち f 具体的行為について少なくとも部分的 同一性が存在する場合J (第一類型)と「外形上別々の仔為について実体 的不法内容の毘一性が存在する場合J(第二類型)とに分析し,な下のよ うに考察する倒。すなわち, Schwingeは,第一の類型について,訴訟法上 の所為概念にとって実体荊法上の構成要件が重要な要素であり. 7 f l J 事訴訟 の単位は自然的援察とは異なる法的観点から決せられるべきものである, 訴訟の対象となる事実泣実体刑法上の構成要件に期して講成されるもので あり,事実は構成要件の観点から重要であるものとそうでないも cとに分. 事 J ) U l r i c hS t e i n,S t r a f p r o z e s s u a l e rT a t b e g r i f f und A l t e r n a t i v i t a t von. 4 4 4, 4 4 9 . Vorwurren,JR 1980, 鱒 E r i c h Schwinge,I d e n t i t a td e r Tat im Sinne d e rS t r a f p r o z e s o r d 2( 1 9 3 2 ),2 0 3 . nung,ZStW 5 鰯 S chwinge (荷揚注鰐) S .2 3 6 . - 1 9 3(218)一.

(30) 近 畿 大 学 法 学 第5 4巻第 3号. けられ総,前者(つまり重要部分)が重なり合っている限りで所為の同一 性誌肯定されるのであると主張する O このようにして, Schwingeによる と,第一類型については規範的観点が重視されることになるのであるが, 例えば,行為者がある財物を奪取した後さらに却の財物を求めて金庫をこ じ開けた事鰐 (RGSt2 4 . 3 7 0 ),一回の講演中に複数の名誉皇室損的発言を 行った事例 (RGJ W1 9 2 5, 2781)等を考えると,自然的観点による捕充も 要請され鶴,複数の構成要件実現に際しての実行行為の重なり合いが認め られない場合でも,なお自然的鐘察という観点から所為む同一性が認めら れるべき場合があると結論付けられる民 Schwinge辻,第二類型につい て,第一類型の基準(具体的行為の部分的同一性)によると,正犯と需助 犯,先行行為と物的・人的底護罪との関には具体的行為の同一性が欠ける ため所為の同一性が否定されなければならなくなってしまうが腕,そのよ うな結論は不当であり,これを毘避するために誌第二類型からの考察が必 要になると主張する o Schwingeは , StP0264条は内的に関連する事実を ー震に解決するという国家の関心をそむ趣旨とし,この内的関連性は具体 的行為が重なり合わない場合においても実体法上のルールより導かれう る,例えば,集合犯や連続犯という類型は法律学上一留の行為であり,或 いは正犯と共犯,先行行為と事後的庇護行為はいわば不法内容の核心にお いて共通性が認め色れるのであり,これらの場合にそり内的関連性からー. Schwinge(前掲注総)S .2 1 0 では,この点について, Liu( 前掲注餓 ) S .1 6 f f . に散い,所為における講或要件上本質的部分を「名詞的事情J ,そうでない部分 を「形容詞的事憤j とLサ表現を用いる。 紛 S chwinge (蕗掲注鱒) S .2 2 2 では,こ cように規範告さ観点だけに着自する t u d i e n zurj u r i s t i s c h e nundn a t u r l i c h e n 見解として, RichardHonig,S 9 2 5,S .1 2 f f . が挙げられている G Handlungseinheit,1 働 S chwinge (蔀掲注鱒) S .2 1 9 f f . . 的 Schwinge(前掲注鱒)S .2 2 9 では, Liu(前掲注錦),のような晃解からは, 論者喜寿は明言してはいないが,このような結論が導かれざるを得ないと批判 されている。 ( 帥. -1 9 4(217)ー.

(31) f 公訴事実の同一性j 概念について ( 2 ) 自の訴訟で解決されるべきことが要請されると説明する任このような Schwingeの晃解は,実体*,J 法の構成要件における実行行為を中核におき. つつ,自然的観点を補完的 i こ用いながら,さるに不法内容という観点も同 一性の判断基準に取り入れることにより,総合説を明確に打ち出すものと 評価できょう O JurgenWolte 仰は,行為説,法益侵害説・評価説,択一性説・非両立説. のいずれもが単独で所為の同一性の基準となりうるもむではなく,それぞ れの見解の有益な部分を取り込んだ総合説が妥当であると主張し,所為の 詞ー性の基準として,①行為の不可分性,②事実及び不法における核心部 分の法的匹敷性,③地の犯罪事実との取り違えの危険がないことという観 点を提示する o すなわち,第一に,(D行為の不可分性の観点からは,各々 の畠来事が時間的・場所的 i こ接着している場合,実体法上行為複数と評倍 される場合であっても所為の同一性は肯定される。 Wolterによると,こ の基準からは,道路交通危殆化罪とそれに接続する事故現場不法逃走罪の 事併においては,両事実の不可分性ゆえに所為の同一性は肯定されるが, 殺人罪と死体遺棄罪む事例においては,相互の出来事はなお可分であるこ とから所為の同一性は否定される o Wolterは,この類型について,不可分 の出来事はその包括的な審判によって初めて正しく評価されるのであり, 裁判所の包括的な事実解明義務及び被疑者・被告人の法的安定性の利益か ら右めような結論に至ると説明する O つまり,この類型においては,椙互 の犯罪事実の法的匹敵性は捨象され,その譲りで基本的には行為説を基礎 とするものであるが,さ告に実体法上の罪数論に従震しないという点にお いて所為の同一性はより広く肯定されることになる札第二 i こ,②事実及 Schwinge (前掲注鱒) S .2 2 8 f f . . 鱒 W olter (荷揚注0 0 ) ). 告 患 W olter (前掲注0 0 ) )S .1 6 4 f f . . 翻~. -1 9 5(216).

(32) 近 畿 大 学 法 学 第5 4 巻 第 3号. び不法における核心部分の法的匹敵性の観点においては,舎の類型とは異 なり各々の犯罪の実体法的評価の匹敵性が重要となる,つまりこの観点に おいては法益浸害説の考え方が重視される o Wolterは,その具体的な基 準として,規範的・論理的段指関係,つまり法益及び法益主体の罰一性 〈結果不法の同一珪)と攻撃態様の規範的補充性(行為不法の補充性〉と を提示し,例えば,共犯と正犯,犯罪不届出罪とその本犯,作為犯と不真 正不作為犯との関では所為む同一世が肯定されるが,窃盗罪と恐喝罪〈又 誌強盗罪)との爵では不法の核心の法的匹敵性が欠けるためこの観点から 詰所為の同一性を肯定することはできないと説明する民そして第三に,. e他の犯罪事実との取り違えの危挨がないことという観点は,従来あまり 注目されていなかったものであるが, Wolter,ま,伊jえば,道路交通違反等 の再種の行為が継続倍に行われるという類型(一自の運転で援数毘の速度 違反が行われるような場合)に際し,司種の別の犯罪事実との取り違えの 危険という観点から所為の時間的張界が検討されなければならないと述べ る。但し, Wolterは,この観点においては,個別の犯罪ごとに,また個 弼の事例ごとに他の同種犯罪との取り違えの危険は異なるものであって, 事前に明確な数檀としてその基準を示すことはできないと説明する叱 FerdinandG i l l m e i s t e r { I O>>は,判椀・通説は所為の局一性について事実的. 要素を重視するものであるが,. 1 f I J 法上重要な行為が時間的・場所的に離隔. して行われる場合〈例えば,詐欺罪における複数の歎間行為や殺人罪にお ける複数回の毒物投薬等)を考えると行為の目的や方向性といった「意思 的要素J ,さらには講成要件への関連付けとしての「規範的要素j による. Q o n Wolter (諒掲注紛) S .1 66 f . . 4 時 W olter (前掲注側) S .1 6 7 f f . . 織 F erdinand G i l l m e i s t e r,Zur n o r m a t i v f a k t i s c h e n Bestimmung d e r 9 8 9, 1 . s t r a f p r o z e s s u a l e nTat,NStZ 1. - 1 9 6(215)一.

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