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Tolerance to ischemia reperfusion injury in a congenital heart disease model.

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Academic year: 2021

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論文内容の要旨

論文提出者氏名 浅田 大 論文題目

The tolerance to ischemia reperfusion injury in a congenital heart disease model 論文内容の要旨

開心術に伴う虚血再灌流障害(Ischemia reperfusion injury: I/R injury)は、術後の心機能 回復にしばしば大きな影響を与えるため、I/R injury の影響を軽減させることは術後の予後 改善に極めて重要である。I/R injury の組織傷害の機序として、再灌流時に大量に産生され る活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)による蛋白質や脂質など生体高分子の分子傷 害が考えられている。心筋の場合、特に心筋細胞膜脂質二重層を構成する多価不飽和脂肪 酸(polyunsaturated fatty acid: PUFA)は ROS の主要な標的となり脂質過酸化反応に伴う細 胞死等を介して心機能障害が引き起こされる。

先天性心疾患(congenital heart disease: CHD)は正常心に比べ、開心術に伴う I/R injury に対し耐性を示すことが経験的に知られているが、その分子機序は明らかでない。これま で正常心のI/R injury を軽減する機序として、n-3/n-6 PUFA 比が細胞膜の流動性に影響を 与えること、またn-3PUFA の酸化生成物である 4-hydroxy-2-hexanal (4-HHE)が抗酸化酵 素(nuclear factor erythroid 2-related factor ; Nrf-2、hemeoxygenase-1; HO-1)の発現を誘 導して I/R injury に伴う酸化ストレスを抑制することが報告されている。本研究で申請者 らは、CHD における心筋細胞膜 PUFA 構成の変化とその I/R injury への影響について動物 モデルを用いて検討し、CHD 心筋では細胞膜 PUFA 構成変化に起因する抗酸化酵素の発現 誘導により、I/R injury に伴う酸化ストレスが抑制されることを実験的に明らかにした。 4 週齢 Sprague-Dawley(SD)ラットに腹部大動脈-下大静脈廔を作成後、2 週間低酸素環境 (酸素濃度:10.5%)で飼育し、低酸素・容量負荷の CHD モデルを作成した。Control 群は 開腹のみを行い、通常大気下で飼育した。6 週齢に各々心臓を摘出して大動脈と左房にカニ ューラを挿入し、開心術と同様の孤立性順行性心臓灌流を行った。灌流条件は、30 分虚血 前灌流-30 分完全虚血-30 分再灌流とした。心機能は心拍数×収縮期血圧で表す二重項の平 均値で示し、虚血前灌流に対する再灌流時の心機能を回復率とした。またCHD 群、Control 群とも、虚血再灌流によるストレスの影響を調べるため、虚血前灌流で灌流を終了した群 (Pre-I//R)と、虚血再灌流(Post-I/R)まで灌流した群を作成した。Pre-I/R Control、Pre-I/R CHD、Post-I/R Control、Post-I/R CHD の計 4 群の灌流を行い、灌流終了後の各心臓から 脂質と蛋白質を抽出し、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC/MS)により脂肪酸構成を、 western blot により 4-HHE 修飾蛋白質、Nrf2、HO-1 を検出した。

4 週齢時に CHD 群、Control 群間で、体重(BW; g)、体重により補正された左室拡張末期 径(LVDd/BW; mm/g)、左室内径短絡率(FS; %)はいずれも有意差はなかったが、6 週齢にお いてCHD 群は Control 群に比べ BW は有意に小さく(CHD; 135±4、Control; 197±5、

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p<0.01)、LVDd/BW は有意に大きく(CHD; 4.74±0.16、Control; 2.87±0.08、p<0.01)、FS に有意差は認めなかった(CHD; 45.0±0.6、Control; 43.5±0.8、p=0.14)。以上より、CHD 群は低酸素・容量負荷により体重が小さく心臓は拡大しているが心駆出は保たれており、 CHD の特徴を表していると考えられた。次に I/R injury に対する耐性を明らかにするため、 30 分間完全虚血後再灌流時の心機能回復率を求めた。回復率は CHD 群で有意に高い値を 示し(CHD 群; 0.86±0.11、Control 群; 0.18±0.03、p<0.01)、I/R injury に対する耐性を示 すことが明らかになった。次にPre-I/R Control、Pre-I/R CHD、Post-I/R Control、Post-I/R CHD 計 4 群の心臓から脂質を抽出し、飽和脂肪酸(SFA)2 種類(パルミチン酸、ステアリン 酸)、n-6PUFA2 種類(リノール酸、アラキドン酸)、n-3PUFA1 種類(ドコサヘキサエン塩酸) の計5 種類が検出された。CHD 群と Control 群における脂肪酸構成比(%)は、pre-I/R 灌流 終了群ではSFA に差はなかったが、n-6PUFA は CHD 群で低い傾向を示し(CHD; 19.1±0.5、 Control; 20.9±0.6、p=0.07)、n-3PUFA は CHD 群で有意に高値を示した(CHD; 13.5±0.6、 Control; 11.1±0.7、p=0.04)。また n-3/n-6PUFA 比は CHD 群で有意に上昇していた(CHD; 0.71±0.05、Control; 0.54±0.03、p=0.03)。post-I/R 灌流終了群の脂肪酸構成比(%)は、SFA は同様に差がなかったが、n-6PUFA は CHD 群で有意に低く(CHD; 17.4±0.8、Control; 22.5±0.9、p<0.01)、n-3PUFA は CHD 群で有意に高かった(CHD; 12.7±1.1、Control; 8.9±0.3、p<0.01)。また n-3/n-6PUFA 比も同様に CHD 群で有意に上昇していた(CHD; 0.73±0.07、Control; 0.40±0.02、p<0.01)。以上より CHD 群において低酸素・容量負荷が 心筋細胞膜 PUFA 構成比を変化させていると考えられた。Western blot にて Pre-I/R Control、Pre-I/R CHD、Post-I/R Control、Post-I/R CHD の計 4 群を比較したところ、 post-I/R CHD 群が 4-HHE 修飾蛋白質、Nrf2、HO-1 いずれも他の 3 群に比し有意に発現 量が増加していた。以上の結果は、CHD 群心筋では低酸素・容量負荷ストレスにより n-3PUFA が増加するため、再灌流時の酸化ストレスによる n-3PUFA の酸化修飾で生じる 4-HHE が増加し、結果として 4-HHE により誘導される Nrf2-HO-1 系活性化、およびそれ に伴う心筋細胞の抗酸化系機能の亢進により I/R injury に強い抵抗性を示すことを示唆す る。本研究により、心筋細胞膜の脂肪酸構成は開心術の予後を規定する因子として重要な 臨床的意義をもつと考えられた。

参照

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