カートリッジ型ガストーチランプを用いた金属の熱処理実験
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(2) . 昭和63年1 0月. 北海道教育大学紀要 (第2部A) 第39巻 第1号. l i ion (Sect ion l I A) Vo lof Hokka i do Un iver tyofEducat Journa s .39 ,l , No. october ,1988. カ ー トリ ッ ジ 型 ガス トー チ ラ ソ プ. を用いた金属の熱処理実験. 三. 谷. 幣. 之 ◎長 谷川. 正. 人6長. 揮. 徹*. 北海道教育大学札幌分校機械工学研究室 * 北海道教育大学釧路分校機械工学研究室. Experiments on the heattreatment of steel type Gas torch t uslng a Car ridge‐ M HASEGAWA and T0ru NAGASAWA* M asayuki M1TAN1 , asato ing l i IBng i Laborat neer ege ory ofN【 echan ca ,Sapporo Col , i ido Un iver i Hokka ty ofEducat on s ,Sapporoo02 * Laboratory of Mechan l l IE i i i i ro Co ege ca ngneerng ,Kush , i Ho d<ai do Un ivers i i l t ro085 on y ofEducat ,Kush. Abstract. ’ asub ” IVVor l ing1 1’ bers iver Too l ikescr i ject ( vdr s sl ,andhammersare madein Meta , ,screv. ia IAr t t s r s Courseinlowersecondary school ofthelndus ,. landaloca lpart l Thesetoo tee roms softool swhi chneedhardnessand sare manufacturedf tbe heattreated mus , iaIArt li ipmentforheattreatmentofst impl tr Safe ee redforthelndus s sthenrequi eequ ,s. Coursei ls nlowersecondary schoo .. ingaCar lus idge lnthi t type tee tudy weproposeanapparatusfortheheatt ‐ reatmentofs r ss Gastorch chi sinexpensive,easy tocontroland very safe and we have usedthe apparatus ,whi. to harden steel ,. lowing The experimentalresultsshowedthefol , (1) Adequate harden ing wasobtainedbythe heattreatment wi ththe apparatus. ingt imeand (2) Thehardnessofthethermaltreatmentincreasedin proportion to the heat ingt ime approached a constant value after a certain heat , i ly in f f (3) Therei rect erencein the hardnessofthe f ront part oftest pieces d s a large di lame l th longer ththe strong f contact wi chi ame andthe back whi s untouched by the f . Wi l lbut a un i form hardness of test pieces was not ference becomes sma f heat ime ing t ,the di. 31 ( ).
(3) . 32. 三谷 粥之・長谷川正人・ 長津. 徹. i i tabl obtained smethodi ssu eforlocalheattreatmentofsteelovershortperiods, . Thereforeth. (4) Af tertheco1ourofstee1schangef ing rom dark browntoredbytheheat ,2 minutesfurther heat ingimprovesthe harden ing ,. idge (5) Theapparatus wi th a Cart type Gastorchi lin r ‐ tee sadequateforheatt reatmentofs C l d f i IA f i thelndus t t h l h i r e r i d o u s owe s e c o n r t t ra rs a y sc oos o , w encons erng sa e y, me,etc.. 1. 緒. 言. 中学校技術 「金属加工1 1」 の分野では, 教材としてけがき針,.ねじ回し, 片手 ハソマな どが実際. に作られている, これらの製品は鋼材を加工し, 部分的 に硬くすること が必要とされ, そのための 熱処理 (焼き入れ, 焼き戻し) を行っ て使用されるのが一般的である, しかし, ほとんどの中学校では, 電 気炉などの熱処理を行うため に必要な設備がないのが現状で, 熱処理を省略し鋼材を加工し終っ た段階で完成品としている場合が多い,. それでも一部の中学校ではガス バーナを用いるなどの熱処理を入れた授業を行 っているが資料不 足などもあっ て正確なデータに基づく操作の熱処理が行われているとは言いがたい,.また単純にガ スバ ーナで加熱したのち急冷するという熱処理 では, けがき針やねじ回しの先端 のように比較的小 さな部材にはある程度 の熱処理効果 は認められるが, 片手ハソマの打撃面のような, やや大きい部 材の場合, 充分な熱処理効果が得られ るかは疑わしい, こうした状況の中で, 金属の熱処理を行うことが可能である簡易な装置 の試作とそれによる基礎 データ を求めて, 金属 の熱処理を考察する必要が生じてくる. 本研究は製作費が安く, 形が小さく広いス ペースを取 らず, 操作が簡単で, 安全性に優れた鋼材. の熱処理装置を提案し, この装置による基礎データを求めて金属の熱処理を考察し, どのような装 置とその使用法が実用 にあっ た製品として満足のいく鋼材 の熱処理を可能にするかを明らかにする も の で あ る, ン. 2. 試験材料. r. . く. (. ● 実験に用い● た材料 は市販されている鋼材で, 外径1 6m m ,.長さ5,5m の丸棒材である; 材質は, 筆者 らの研究を参考に, 機械構造用炭素鋼 S35C (C:0.32~0.38%) とした. …長さ20m 試験片 は直径1 6m と m mの黒皮付き, ・し, 丸棒材から切り出し, 数はそれぞれの設定温度と , 時間につき・ 5本ずっとし合計80本とした, 試験片の両端面 は旋盤で削り, その後平行を保ちながら150番から400番までの紙ヤスリで磨いて 平面に仕上 げた. . . く. . . 3, 熱処理装置 3/1 装置の条件 装置は中学校でも容易 に実現できるものとして, 次の項目に留意した,. 32 ( ). 〉 ..
(4) . ガス トーチラ ソ プを用 い た金 属 の 熱 処 理 実 験. 33. i) 製作に必要な材料と機器は, 比較的入手しやすく安価であること, i i) 装置は小さく広い場所を取らないこと,. i i i ) 操作 が簡単で, 熱処理を初めて行う者にも容易であること, i v) 安全性を十分配慮したものであること. v) 加熱時間の長短で金属の色の変化が確認できること, i ) 熱処理のために必要な準備時間が短いこと, v 3,2. 装置詳細. 金属に熱処理を行うための装置は a) 金属材料 (試験片) を加熱する部分, b)材料を保持する. 部分, c) 冷却を行う部分, d) 温度を測定し加熱量を調節する部分の4部分からなっ ており, 図 1にその概略図を示す.. ① プ ②ガストーチラン ⑨. ガストーチランブ保持台. 7. ④耐火レンガ ⑤水槽 ⑤. 5 棒状温度計 熱電対 温度指示計 零点補償器. ⑦ ⑧. 図11 実験装置の概略図. a) 試験片を加熱する部分 取り扱い方が簡単, 小型軽量でさらに焼き入れ温度を. 1. 保 つ た め に十 分 な熱 量 (最 大1350℃) の も の で あ る こ と. 1 9. . 由 に 変 え る こ と が で き る よ う に厚 さ1ommの ア ク リ ル 板 で. 製 作 した,. -. 図2. バ ル ブつまみ. b) 試験片を保持する部分. 試験片の加熱している様子をはっ きりと確認するためには, 試験片が露出していることが望ま し く, また加熱によ● ること が必要である, って試験片位置の変化 がなくかつ安全に保持され’ そこで, 耐火レンガ③に試験片が転がらない程度の溝を掘りそこに試験片を置く方法を取 っ た, 耐火レンガには試験片, バーナロ,.熱電対の位置関係がわかるように1om mごと に目盛りを刻んだ, c) 冷却を行う部分. 冷 却 に は縦290mm 00m 50m m m mの水槽④に底から1 mまで水を入れたも のを用い, 水の , 横6 , 高さ200. 温度は19±1℃ に設 定し, 棒状アルコール温度計⑥を用いて測定した. d) 温度を測定し加熱量を調節する部分 33 ( ).
(5) . 34. 三谷 榊之・長谷川正人・長揮. 徹. 温度測定と加熱量調節には試験片の炎が直接当らない側の端面の中心より1om m離れた部分にCA 350型:千野製作所) ⑦ 熱電対型温度計 (千野製作所) ⑥の先端がくるように固定し, 温度指示計 ( ◆ の示す値 が一定となるようにガストーチラソ プの炎の噴射を前述の微調整つまみで調節した, こ の 際, 零点の補正には氷冷式基準点補償器 (612一1P型:千野製作所) ⑧を用いた. 3.3. 装置各部の取り付け. ‐/ 試験片保持台( 耐火レンガ ) . . r 」 ” ′ -. 図3. バ ーナロ と試験片 の位置. 装置取り付けの概要は図1に示す通りであり, 図1中の①に取り付けた ガスバ ーナバ ル ブの微調 整用つまみは図2に示した, 図3はバ ーナロ, 試験片, 熱電対の位置関係を示したものである, バ ー o 0 ) は炎が試験片全体を包むように設定し, ナロの角度 (水平線とパ ーナロ中心線のつくる角度;2 熱電対 は炎の形状や試験片への炎加熱に干渉を与えない範囲で, 出来るだけ試験片へ近づ けること を考え, 試験片の炎が直接当らない側の端面の中心より1 om mの距離に熱電対の先端 がく るように固 定した. このとき図3 に示すように, 真上から見たバ ーナロ, . 試験片およ び熱電対の先端が一直線 上に並ぶようにした. 0m 0m 冷却は, 試験片を保持する耐火レンガ上面から水槽水面までの距離を65 mとし, 深さ15 mの水 中に自然落下させて行った,. 4 . 実験方法 4.1. .′. 焼き入れ方法. 試験片は耐火レンガの試験片保持台の上に設置し,ガストーチランブの炎を直接当てて加熱した, なお ガス量微調整つま 08α) し, mのストローク ;み はバ ル ブ全開時で3回転 (開度1 . その時後方に3m. であっ たため (1回転につき lm 0~50 0で あ っ た 均 し て30 .,. o~60℃ 660 700℃の 時 は, 平 均 し て パ ル・ブ 開 度 は40 , Pの 時 は, 平. 焼 き入 れ 温度 はS35C の 場 合, 鋼 の 状 態 図 によ り850~860℃ と 推 定 で きる がJIS に よ る と. 840~890℃と規定されている. これらを基 に焼き入れ温度を設定したが, 大気への放熱や炎が直接. 当・ らない面にも うことを考え設定温度は高めにし, 炎が直接当る試験片端面の位置 ,充分な加熱を行・ で900℃以上となるよう に設定した. ここで, 焼き入れ温度が高過ぎると急冷による焼き割れが生じ ることが心配されたが, 実験を行っ た結果焼き割れは生じなかっ た, 34 ( ) ,.
(6) . ガス トー チ ラ ソ プを用 い た 金 属の 熱 処 理 実 験. 35. 温度の測定とその調節に関しては, 熱電対を図3に示すような位置に固定し, 温度指示計が6 60℃ 以上を示したとき, 求める焼き入れ温度となった.. 加勢 時間を変化させて, 焼き入れ後の端面硬さ及び加熱状態にある試験片の色とを対応させるた. めに, 加熱時間を2分30秒から1分間隔で8分30秒までの5または6種類に変化させ, それぞれに ついて実験を行った. 加熱時間の計測にはストッ プウオッチを用いた, 急冷却は, 銅の焼き入れ後の硬さ に最も影響を与 えるものである. 従って焼き入れを行う者の技 術の巧拙が, 直接焼き入れ効果の良悪につながると考えられ, 焼き入れを初めて行う者のことを考 慮すると, 操作が簡単であることが大きく安全性に寄与すると思われる,. 冷却方法は, 試験片を保持台から先端をス プーン状に加工した細長い金属丸棒 (直径9m m , 長さ 40 0m m)を用いてはじき落とし, あらかじめ真下に設置した水槽の水中 に向けて自然落下させるもの と した,. 4,2 写真撮影 写真撮影は試験片を加熱したときの試験片の色の変化を観察するため に行い, 各加熱時間におけ. る試験片の色の変化を撮影した,. 写 真 撮 影 に は ア サ ヒ ペ ンタ ッ ク ス ス ーパ ー A(標 準 レン ズ50mm , FI.4)を用 い, シ ャ ッ タ ー ス ピー ド1/30絞 り F2.4(ス トロ ボ な し) の 条 件 で撮 影 にあ た り, コ ダ ッ ク カ ラ ー400の プ リ ン ト フ ィ ル ム. ( IS0400 ) を用いた,. 4,3 硬さ試験 焼き入れの完了 した試験片の端面を再び紙ヤスリ25 0,3 20およ び400番の3種を用いて磨き, 平面. に仕上げ, ショア一式D型硬度試験機(S.N0,1 40,H‐D 型:前川試験機製作所)を用いて硬さを測 定した, 硬さ試験は1試験片の片端面に対して1 2回行い, 最大値と最小値を消去し, 残り10回を測定値と. した, ここで測定値は, ハソマが試験片の端面上の異なった位置に落ち, かつその距離がlmm以上 離れていることが確認できたものをショア硬さの値とした,. 5, 実験結果と考察 5,1. 焼き入れによる硬さの変化. b c )はノ ズルのバ ル ブの各開度に対し, 加熱温度の違いによる加熱時間と焼き入れ硬 図4( a ) ) ,( ,(. さの関係を5本の試験片それぞれについて示したも のである, 各点の縦方向に引し・た直線は試験片 硬さのバラツキの範囲を示し, 図中の記号はその平均値 である.. これらの図から加熱時間が長いほどバラツキの幅が減少し, 焼きの入りが良いことがわかり, 加 熱時間7分30秒以上で, 温度が6 60℃以上ならば, 両端面に焼き入れを行うのに充分可能と言える, 図5は加熱温度の違いによる加熱時間と焼き入れ硬さの5本の試験片の平均値を示したものであ. る,. 35 ( ).
(7) . 36. 三谷. 90. 40 30 20. 徹. i i r. 塁 80. へ 50. 洛 之 ・ 長 谷川 正 人・ 長 洋. i f i i. 十 十 十 十 テ. テ f チ テ f. 十 サ ド. 十 十 〆. り 十 一 十 , そ. ’3 ” 3 0. ” 43 0. ◆ ” o 5 3. .闘. ・ ・ 6 3d. . , 7 3d. O J. .3d , 8 加熱時間. 0~50 0(66がC) a ) ノ ズル の バ ル ブ開度30 {. 図5. 1. 2. 3. ム. 5. 6. 7. 8. 9 10 i n (m ) 加熱時間. 加熱 時間と焼き入れ硬さ の平均値. 90 竿 80. 繍 t i i 納叶f - f ー 日 十 +一 一十 テ. 仙 70 A 60 . 40 30 20 0. ▲ 前面 金 背面. ‘ ” ′ 3 3び. “ .30 ” 4. ・ ム . “ 5 3 0. ’ ” 6 30. んん+ す 40 30. +けす. 20 0. 『. メ ず ”れ 蜘 ド h ず r. ^ 50. ,30 , ・ 2. ,3 , , ,ム3 , ,0 , 3 0. : 前面 圏 背面 , , . 30 5. 図4. =. - 工事も 力闘謡間:. 30 20 lo. , “ 730. 前面 ◎ 背面. 630. 30 4 30 20 ’0 0 0 33 0 0 0 0 0 10. , ・ ・ 6 30. ・. 加熱時間と焼 き入 れ硬さ. 6 3 ) (. 〆. ぴ ム 2 3. o o. 加熱時間. C ( ) ノ ズルの バ ル ブ開度全開 (約77ぴC). …. o0 3 20 530 10. 90. に. fo. な リ^ ) 20 lo. ‘ “ 7 30 加熱時間. 0~60 0 (700℃) b ) イ ズ ルの バ ル ブ開度40 (. 0 塁8. 0 ‐ 1 4. 掘. ′ ぬ一. ーにハ ー. fo ?0 30 三げ 50 60 70 ー0 90 ショァ硬さ H S 、 図6 加熱時間と焼 き入れ硬さの度数分布.
(8) . ガストーチラソプを用いた金属の熱処理実験. 37. 加熱時間の増加 につれて試験片端面の硬さが変化して行く様子が良く 分る. ここでノ ズルの ミル ブ開度全開 (試験片後方の温度約77 0℃) の場合, 炎が直接当る側の端面 (前面と呼する) は加熱時 間2分30秒から3分30秒の間に大きく硬さが増加している. 一方炎が直接当らない側の端面 (背面 と呼する) の加熱時間が4分30秒と5分30秒との間で同様のこと が言える,. o~60 0お よ び40 o~5び す な わ ち 試 験 片 後 方 の 温 度700℃ およ び660℃ の 場 合 ノ ズ ル の バ ル ブ 開 度50 , ,. バ ル ブ開度全開の場合と同様の傾向を示し 前面は3分30秒と4 分30秒の間 背面は5 分30秒と6 , , 分30秒との間でそれぞれの硬さがいちじるしく増加しているのが分る. なお, 図中の直線はJISで 定められている片手ハソマ頭部の硬さの範囲を示した線である. 図6は加熱温度の違いによる加熱時間と焼き入れ硬さの度数分布を示したものである, 加熱時間4分3 0秒以上 では前面での硬さはほぼ一定値 Hs65と70の間にピーク がある.これに対し. て, 背面では加熱時間4分30秒では硬さが Hs33にピークがあり,焼きはほとんど入っ ていない硬さ である,加熱時間が7分3 0秒になると前面で Hs7 3,背面で Hs57の硬さにピーク が集ま り,ほぼ焼き が入った状態となる, いずれの場合にも加熱時間が長い方がピークに対して末広の状態が絞 られバ. ラツキの幅が小さいことが分る. すなわち, 良く焼きが入ることを示している. 図7は加熱温度の違い による加熱時間と焼き 入れ硬さの度数最大値を示したものである,. 1 C O 前面 06 6 0 0 α C ● 背面 △7 1 □ 約7 C 7 0. JIS で片 手 ハ ソマ の 硬 さ は,平 頭 部 の 硬さ Hs 54~67 , 丸 頭 部 の硬さ Hs48~60と規 定 している が, 図 7 より加熱温度が6 60℃およ び700℃では 6 分3 0秒 以上, ノ ズ ル の バ ル ブ開 度 全開 (約. 770℃)では5分以上の加熱時間で前面 が平頭部. の硬さに相当し, 背面が丸頭部の硬さに相当す る. こ の値 は焼き入れ後, 焼き戻しを行い若 干. mm). 図7 加熱時間と焼き入れ硬さの度数最大値. 鋼材が軟化することを考 えあわせても充 分な硬 さ を 満 たす も の と い え る, ガス ト ー チ ラ ソ プを 用 い た 焼 き 入 れ で も 加 熱. 時間を制御することによっ て試験片に部分的または全体 に焼き入れすることも可能である, しかし 背面では、 前面と比較した場合、 焼き入れ後の硬さ のバ ラツキ が大きく, 試験片全体に焼き入れを 行うためには加熱時間を十 分長くする必要がある. これらのことからガストーチラソ ブを用いた焼き入れは部分的 に焼き入れをする場合 により適し. て い る と い え る. 5.2. 加熱時間による試験片 の色の変化 0~60 0( 写真1はノ ズルのバ ル ブ開度50 700℃) の場合について, 加熱時間の違い による試験片の 色の変化を示したものであり, 加熱を始めて2分30秒から1分間隔で加熱時間を増加させ7分30秒. ま で を 示 し た も の で あ る.. 加熱をはじめてから2分30秒 の赤色部分が加熱オーステナイト状態となっている部分であり,うっ すらと表面に赤みを帯びはじめた試験片が時間ととも に徐々に赤みを増していく様子が良く分る. 試験片の表面全体がうっ すらと赤みを帯び始めた2分30秒のとき前面は既に明赤色となっている.. この時点より2分が経過した時, つまり加熱時間が4分30秒となったとき, 前面の焼き入れ後の硬 さはピークに達する, さらに加熱時間の経過に伴い明赤色が徐々 に熱源から遠い方向に広がっ て行 37 ( ).
(9) . 三谷 滞之・長谷川正人・長浮. 38. 徹. キ y fr メ雷; 影響 a 鯵軽薄糟 ‘*い勝 三一ゴ デ ノ i -. - ‐ - -n. 端“ . 0 ・一 ぎ ぐず h ¥ ,. 嬰端麗琴轡 !欝 潔 キ ノ 謙 ; ゴ ョ 餐そぎきー コ! ¥. き学ネ き き 蕎 灘 き 三 麦 き一 響 響. ‘. 写真1 加熱時間の増加による試験片の色の変化. 38 ) (.
(10) . ガス トー チラ ソ プを用 い た金 属 の 熱 処 理 実 験. 39. き, 試験片全体が明赤色となる, 加熱時間6分30秒のとき背面の焼き入れ後の硬さはピーク に達す る.. このことより加熱状態 にある試験片の色と焼き入れ後の硬さとの関係が明らかになる, つまり試. 験片の前面 が明赤色となってから2分以上加熱を続けた後急冷す ると前面に充分な焼き入れ効果が 得られ, さらに2分以上加熱を続 け急冷すると背面にも焼きが入る.. 6, 中学校技術における設備としての検討 中学校技術の設備として取り上 げられるためには, 次にあげる条件を満たしていることが必要で. あ る.. ① ②. 熱処理 (焼き入れ) 装置製作に必要な材料及び物品が比較的入手しやすく安価であること.. ③. 熱処理装置は小さく, 広い場所を取らないものであること. 操作が簡単かつ確実, 焼き入れを初めて行う者にも安全で容易に操作ができ, 個人差による焼. ④. 焼き入れによっ て製作品の使用目的に適した硬さが得 られること.. き 入 れ 硬 さ の バ ラ ツ キ が 少 な い こ と.. ⑤ ⑥. 鋼材が加熱されている様 子をはっ きりと確認できること. 熱処理に必要な時間 (準備時間を含む) が短 いこと,. 以上の条件と本実験の結果を照らし合わせながら, ガストーチラソプを用いた金属熱処理の設備 としての適合性の検討を行う, ①;熱源として使用 のガストーチラソ プ及び試験片保持台としての耐火レンガともに購入が容易か つ安価である. 冷却剤 には水を用いたため, 入手 は容易であり, 冷水であるため安全である. 温度測定のための熱電対温度計, 温度指示計, 零点補償器はこれを所持しなし・学校が多く, また. 購入するにしても安価とはいえない, ところが熱電対は熱電対用の線を購入し, 温度指示計は既存 の電流計を使用し, 零点補償器は ビーカなどのガラスの入れ物を発庖スチロールなどの断熱材で包 んで摩法 ピンとすれ ば, 中学校でも十分に製作可能なものであると考える, しかし, 直接温度の測. 定をせずに鋼材の色の具合で温度を算定し, 加熱状態を判断して焼き入れを行うことは十分に可能 であ る,. ②;実験装置は通常, 電気炉のように熱源が場所を取るが, その熱源を小型のカートリ ッ ジ型 ガス トーチランプとしたため装置全体も広い場所を必要としなく なっ た.. ③;電気炉を用いた焼き入れでは, あらかじめ炉内を高温に保つ必要があるが, 本実験の方法では, 鋼材を耐火レンガ上に置きガストーチランプに着火するので火傷などの危険性は極めて少なく, 簡. 単に焼き入れが行える, 加熱した鋼材の急冷を行う場合も金属棒で水槽の中 に落とすという極めて 簡単な方法である, 焼き入れ硬さは加熱状態から冷却までの時間に左右されるため焼き入れ硬さの バラツキは冷却時の手際の良し悪しの個人差によるものが多いが, このような単純な急冷方法とし. たため, 急冷の際の手際の悪さが原因と考えられる焼き入れ硬さのバラツキは無に等しかっ た, ④;片手ハンマの打撃面の硬さで平頭部は Hs54~67 0 , 丸頭部は Hs48~6 , ねじ回しの先の硬さは 先端から5m m以内の部分では Hs67とJISで規定されている. 加熱時間を調節することで使用目的 に合っ た硬さを得ることができる. ⑤;熱源がガストーチラン プの炎であることや焼き入れを行う鋼材が露出していることから, 鋼材 39 ( ).
(11) . 40. 三谷 熔之・長谷川正人・長揮. 徹. が炎 によっ て加熱されている様子や加熱保持時間による鋼材 の色の変化を生徒自身の日ではっ きり と確認することができる. ⑥;電気炉を熱源とした焼き入れの場合, 炉内を高温にするためにかなりの時間がかかり加熱時間 も15~20分必要とするのに対し, ガストーチラソ プを熱源とした場合, あらかじめ熱を加えておく 1において熱処理を省略 必要もなく, 加熱時間も短くて済む. カリキュラムの制約により金属加工1. する学校が多い中で準備と作業を含めた所要時間が短いことは, 熱処理を行うにあたって有利な条 件であると考えられる, 以上の検討結果から, 温度測定を金属の色で判断することにするとカートリ ッジ型 ガストーチラ ソ プを用いた焼き入れは中学校技術における教材に充分適合するものと言える.. フ. 結 カートリ ッジ型 ガストーチラソブを熱源とする熱処理装置を製作し, 焼き入れ実験を行い, 加熱 時間と焼き入れ後のショア硬さ及 び加熱時の試験片の色との比較検討を行っ て得られた結果を要約 す る と 次 の よ う に なる.. ( 1 ) カートリ ッ ジ型 ガストーチラソプを用いた簡単な装置 による焼き入れでも, 製作品の目的を. 満たすのに十分な焼き入れ効果が得られた. ( 2 ) 加熱時間が増すにつれて,焼き入れ硬さは高くなるが,一定時間を越えると硬さは一定と なっ た,. ( 3 ) 炎が直接当る部分と当らない部分では焼き入れ硬さが異なり,加熱時間を長くすることによっ て, この差 は縮まるが, 試験片全体に一様な焼き入れ硬さを得ることはできなかっ た, この方法. では短時間に部分焼き入れするのに適している. ( 4 ) 加熱によって鋼の色が明赤色 になっ てから, 2分以上加熱した後, 急冷することが確実 に焼 き入れ効果を上げるひとつの目安となることが分った, ( 5 ) カートリ ッジ型ガストーチラソ プを用いた銅の焼き入れ実験は, 安全性, 所要時間の短さ等 を考慮して, 中学校技術の授業に取り入れられても良いものである,. 本研究の一部 は第1回日本産業技術教育学会北海道支部大会 (昭和62年10月) において, その概. 要を報告した,. 参考文献 1] で使用する材料の選定, 北海道教育 1) 三谷幣之, 丹羽恒, 長淫徹, 中学校技術 [金 属加工1 巻 大学紀要, 第37 , 第1号, ( 1 986 ) . , p.85一94 2) 文部省編, 中学校指導書 技術・家庭編, 開隆堂, ( 1 984 ) , , p,22-23 3) 渡辺茂編, 教科書 技術o家庭 (上) 1984 ) , , 開隆堂, ( , p,75一81. 4) 技術o家庭科研究会編, 技術o家庭学習指導書 (上) 技術系列金属加工編. 開隆堂, ( 1984 ) , p.85一14Q p・222一223 ,. 40 ( ).
(12) . ガス トー チラ ソ プを用 い た 金 属 の熱 処 理 実験. 5) 村田昭治, 山西謙二, 間田泰弘, 技o家の科学的な指導 (1982) , , p.164一169 , p,170一171. 6)馬場信雄, 石毛 フミ子, 林雅子編, 教科書 100 .. 41. 木材加工o金属加工編, 開隆堂,. ) 1 984 新しい技術・家庭(上) , 東京書籍, ( ,p.79-. 7) 新しい技術o家庭編集委員会編, 新しい技術o家庭 (上)<技術編〉 教師用指導書, 東京書籍, (1984) . , p,239一249 , p.284一288. 8-1 1983 ) 71 8) 長岡金吾, 機械材科学 (改訂3版) , , 工学図書, ( , p,62一77 , p.14 1 984 ) 3 8 一 4 5 6 8 - 7 5 9) 大和久重雄, JIS鉄鋼材料入門. 大河出版, ( p p p . , . . , , 158一167 , 1 1 985 ) 1 1 0 - 3 5 10 ) 日本熱処理技 術協会編, 熱処理ガイ ドブック基礎編, 大河出版, ( . , p, 2 8 一 2 4 1 984 ) 3 7 11 ) 日本熱処理技術協会編, 熱処理技術入門. 大河出版, ( p , , .. 41 ( ).
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