ショパンのプレリュードの研究
ポーランド国立図書館蔵の自筆譜の研究皿 A Bibliographical Study on Chopin’s Preludes, op. 28 by Autograph Note in Polish National Bibliotek. [ 8 ] 佐 藤 允 彦プレリ・一ド第・番イ長調茅拍子
ショパンが3拍子の作品を書くとき、3拍子という拍子の中にポーランド独特の3拍子 感覚、特に民俗舞曲のマズレック、オベレクやクヤヴィアックの拍子感覚が強く表われ、 ショパン自身もその味わいを楽しんでいたようにみえる。マズルカやポロネーズにこうし たポーランド的色彩が強く表われるのは当然であるが、第7番プレリュードの中にもこの 傾向が強く見られる。イ長調プレリュードを1836年にデルフィーヌ・ポトツカ夫人のアル バムに記入していた事実から、多くの研究者は1836年に作曲したものであると断定してい るが、それよりも何故このプレリュードをポトッカ夫人のアルバムに書いたかということ の方が重要な問題をはらんでいるように思われる。ポトッカ夫人のアルバムの曲は、ポー ランドの研究家ホエジックの説によるものだが、この楽譜は行方不明であり、どのように 書きつけられていたかの詳細について知ることはできない。一方、ジョルジュ・サンドの 書いた楽譜によれば、単にAndantinoとなっているだけで、プレリュードとは書いてい ない。ショパンが誰かのアルバムに記念として書きこむには、この作品は短く美しい作品 として適切であり、そのためにショパンはこの作品をアルバム用としてポトッカ夫人のア ルバムに記入し、またサンドも写譜していたのであろうと思われる。その時点ではこの作 品はプレリュードとして作曲したのではなく、むしろ短いマズレックとしてスケッチして いたのではないだろうか。ポーランド人であるポトツカ夫人のために共通して理解しあえ る民俗音楽として書いた可能性が充分に考えられる。この観点にたてば、このプレリュー ドの演奏解釈については、マズレックであると考えるべきであり、この曲のりズム上の特 色は作品33のマズルカ集の第1曲、嬰ト短調と同じリズムパターンをとっていることに注 目しなければならない。ホエジックの1836年作曲の説についても、実際は更に一年ぐらい 前に逆行できるのではないだろうか。ショパンは誰かにアルバム用の作品を所望されると、 既に書きあげていた前の作品を書きこむ傾向がみられ、この見地にたつと1835年より前の 1ショパンのプレリュードの研究 作品であるとみることができる。 ショパンの自筆譜によると、イ長調プレリュードは14段の5線紙の最上部一段をあけて 書きはじめられている(添付楽譜1参照)。これは異例なことであり、他の曲はいずれも最 上段から書きはじめている。若し、一段あけるとするならば、あけるだけの理由がなけれ ばならない。裏面からのインキが浸み出ているために空けなければならない場合などがあ るが、この頁の第一段には裏面からの浸出は見られない。むしろ、下部の4段には次の第 8番、嬰へ短調の消去の時に生じたインキの浸出がみられ、この部分を避けて楽譜を書か なければならない。プレリュード自筆譜のファクシミリ版FAには、修正したのであろう がその浸出があまり強く現われていない。 下の4段のよごれを避けてイ長調を書いた事実は、イ長調より第8番嬰へ短調の方が先 に書かれていたということを物語っている。しかも、多分イ長調はスケッチ状のアンダン テのままであったものを、プレリュード集を構成するとき第7曲のイ長調として用いるこ とを思いつき、この頁に書きうつしたものであると考えることができる。マヨルカに持ち こんだときには、既にこの曲は書きこまれていた。しかし、完成された曲としてではなく、 スケッチからの写譜の状態であったに違いない。この証明として、パリで用いた中間色の インキで記入され、マヨルカでは加筆訂正するだけの状態であったとみられる。速度標語 ははじめは、Lentoとされていた。しかし、マヨルカでショパンはそれを消去して(資料 1)、Andantino(資料2)に変更している。この消去に用いたインキもAndantinoもマヨ ルカのインキを用いて書かれている。ドルチェはパリで書きこまれていた。ペダル記号も ほとんど書きこまれていたが、第3∼4小節のペダル記号はマヨルカで加筆されたもので ある。第9小節にみられる変更はマヨルカでされたものであろう。当初ショパンは第8小 節高音部譜表の1点ホ音から第9小節のソプラノの第2音である16分音譜2点二音にス ラーをかけていたが、それを消去して、1点ホ音と第9小節の同じホ音をタイで結ぶよう に書き替えたのである(資料3)。第11小節の消去は、何の意味ももたないもとのままであ る。第12小節の高音部譜表の和音は9度であるがショパンはその和音の1点嬰イ音と2点 嬰ハ音を第1指でとるように指番号を書きこんでいる。この時代のピアノの鍵盤は現代の ものより巾がせまく、楽にオクターブがとれたが、黒鍵上での9度のコードを弾く上で、 ショパンは第一指で2つの黒鍵を弾く方法を示している(資料4)。第15小節の低音部譜表 にある2つの和音を、ホーイー1点ホ、イー1点ホ音とショパンは書いているが、このシ ョパンのとった和声どうりにしているのは、WU、 CO、 HV、 DU、 RIだけで、他は みな2つの和音を同じにとっている。又、同小節の高音部譜表第3音につけられたアッポ ジャトゥーラは斜線のない小さい8分音符であるが、これもWUとHVがショパンの書法 を採っているばかりで、他は斜線をつけたアッポジャトゥーラに変えている。曲の終りを 示すfineは、第一番と酷似した筆蹟を示している(資料5)。 2
佐藤允彦
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4 この曲を非常に即興的1 拍子 こ作曲していた。あるいは主要音だけを書いて、そ れ以外の音は、日頃折々の気分に任せて即興的に弾いていたのではないだろうか。黒々と 書かれた左手の音形と右手の主要音は、実に鮮明にインキの色の違いを見せつけ、主要な 音だけ書かれた楽譜をマヨルカで加筆し、完成したものであろう。特に第9・第10小節の 抹消した部分のインキの染みが裏面に浸透しており、前述のように第7番イ長調はその染 みを避けて写譜されたと考えられるのてある。ショパンは作品25の1のエチュードと同様 3ショパンのプレリュードの研究 に、主要音を大きく、それ以外の音を小さい音符とするように考え、この曲を完成した時 に楽譜の最下部に彫版者宛の注意書きを特にしたため、大きく書いた音符と小さい音符の 違いを明確にするように要求している。勿論この曲での主要な旋律は、特に太く書けるよ うに削られた羽根ペンで書かれ、小さい音符用には小さい符頭を書くためのペンを用いて いる。ショパンはこのような多くの音を用いる場合、まず符頭を打ち並べるように書き、 次に符尾をつけ、最后に符鉤を書くという手順をとっている。そのために符尾の長さが一 定せず、後で書いた符鉤に達していないもの、あるいは二心をつき抜けているものもある。 左手と右手の旋律は、かなりのテンポで書かれたとみえ、その流れには乱れがなく、付点 8分音符と16分音符で構成する旋律はよどみなく書きつけられている。その具すでに、こ のような曲にしょうという計画があったものの、小さい音符は書かれずにマヨルカにもち こんでいる。したがって、小さい音はマヨルカのインキで書かれ、32分音符であることを 示す譜鉤もマヨルカのインキで書いている。プレリュードができあがったとき、写譜を頼 んだフォソターナに宛てて「間違いはないと思うが……。」と書いているが、この様に多 くの音をもつ曲の写譜は実際は大変な苦労を伴ったに違いなく、写譜者がピアニストであ り作曲家であったフォンターナとヴォルフであるだけに、ショパンのミスと認めて改めた り、音を変えた例もある。更に後年に発刊された版によってはエディターが手を加えて、 音を変更している例もある。 第6小節、第2拍にあ・feる32分音符の第2グループの最後の音は、一点嬰へ音と2点嬰 へ音としている楽譜が多いが、この音をショパン自身の楽譜でみると、1点嬰へ音と2点 イ音にしていることに気付く(資料6)。現行の楽譜にした理由としては、ショパンの弟子 であったカロル・ミクリKarol Mikuli(1819∼1897)の説に従ったものであるとされてい る。その根拠とするところは、この音形の最後の2音はずっとオクターブであるように書 かれている。この観点からみると、最後の音は当然2点嬰へ音であるべきだとされている のだが、英独仏の初版本では、すべてショパンの記譜通り2点イ音をとっている。現行の 版では、WU、 PD、 DU、 COがこのミクリ説をとり、他はすべてショパンの記譜通り にしたがっている。演奏上の観点からみても、主要旋律を構成する付点8分音符は、右手 第1指で弾くようになっており、たしかに各グループの最後の2音はすべてオクターヴの 関係になっているのも事実ではあるが、この2点イ音はこの小節の第3グループの第1音 であるイ音に隣りあう関係であり、第5指で演奏される第2グループの最後の2点イ音と 第3グループの第1音1点イ音もオクターブの関係であるから、何も不自然な音関係では なく、2点イ音でも決して演奏上も音楽的にも奇異な音ではないとみることができ、当然 第6小節の2点嬰へ音はショパンの記譜通りに2点イ音にしなければならない。この逆に ショパンのミスもある。第7小節の第1拍の左手第1音は2点豊門音にナチュラルをつけ ているのに、最後の1点嬰瀬音にショパンはナチュラルをつけるのを忘れている(資料 4
佐 藤 允 彦 7)。同じ第7小節左手の第3指の最後の小字ロ音にもフラットをつけ忘れている(資料 8)。これらは注意深い写譜によって訂正されてきていた。しかし、多分ヴォルフの写譜 による筆写譜を送られたのであろうが英国のウェッセルの初版本では、不幸なことにショ パンの楽譜を忠実に守り、第1拍のナチュラルと第3拍のフラットが落ちたまま出版され ている。またこの第7小節にフォルテのデュナミーク記号を書きこんだ楽譜もあるが、シ ョパンは第13小節のフォルテに至るまで何もデュナミーク記号を書いてはいない。RIは 第9小節から第15小節までをト短調の調号に変えている。数多くの臨時記号が必要なこの 曲ではあるが、転調することによってより合理的な楽譜、見易い楽譜を目指して行った転 調であるとは思えるが、この試みによっても臨時記号の合理化はできずに終っている感じ がする。強弱標語のクレッシェンドは、第9小節にみられ、第12小節の第3拍からクレッ シェンドを意味するウェッジが書かれ、第13小節の第1拍でフォルテに達し、第14小節の 第2拍からウェッジを開き第15小節の第1拍でフォルティッシモになって、ひとつのクラ イマックスを迎えている。この曲全体を通じて見えることであるが、ショパンのフレージ ングは実にあいまいに書かれている。自筆譜でもこれほどあいまいなフレージングはない と見えるのだが、じっくりとショパンの意図したフレージングを見ながら、デュナミーク な変化を通してクライマックスに至る盛りあげ方の秘密が、あいまいではあるがこのフ レージングにあるとみることができる。左手のフレージングは3連音譜を含んだグループ でひとつのフレーズを終止構成している。上声部では特に旋律線の動きにあわせて、はじ めは1小節ごとにフレーズをつけ、第7小節ではじめて、第1・2拍、第3・4拍と2つ のフレーズに分け、第8小節では第1・2拍をひとつのフレーズでとり、第3・4拍を各 々ひとつのフレーズに変え、クレッシェンド標語の現われる第9・10小節では、再び1小 節をひとつのフレーズで結んでクレッシェンドの意味を強調して旋律の流れをスムースに 流れるように工夫し、さらにそのクレッシェンド感覚を強調するために第11小節では軍楽 をグループ化するように4つのフレーズとし、第12小節では、第1・2拍をひとつ、第3 ・4拍をそれぞれのフレーズに分けることによって第13小節のフォルテを強調している。 第13小節は第1・2拍と’ 謔R・4拍と2つのフレーズにし、第14小節をひとつのフレーズ として一気に第15小節のフォルテッシモに至るように工夫している。第15小節以後は大き なフレージングに変えて第16小節まで2小節のフレーズをとり、第17小節のピアノ記号で 対称的な音質の違いを表出できるように新しいフレーズをおこしている。そのフレーズは 第20小節にまで及んでいるが、その間に、第18小節ではポコ・リテヌート、第19小節では モルト・アジタート・エ・ストレットと書かれた冒頭の音形をとりながらも、そこで新し いフレーズを起こすことを考えず(資料9)、ひとつの自然な旋律の流れをフレーズのまま に流動的に動けば、自然にショパンの意図するデュナミークの変化、音の流れに対応でき るように工夫している。この実に巧妙なショパンのフレージングを記録している楽譜は今 5
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プレリ2一ド第・番ホ長調÷拍子
自筆譜でみるとインキの濃淡が実に鮮明に読みとれる。ほとんど完成されていたものを マヨルカで加筆した程度であろう。楽譜の下部に彫版者に求めた記述があり、8という数 字はオクターブを意味しているというただし書きをしている。一種の略記法を用いたので、 彫版者に注意をうながしたものである。この注意書きも濃いインキであり、マヨルカでの 加筆は臨時記号やペダル、スラーぐらいで、ほとんど完成に近いところまでパリで書かれ ていたと推定できるのである。 わずか12小節で書かれたこの曲は、多くの問題を提供している。私はかねがねショパン という作曲家を旋律の作家とみるよりも、リズムの作家であるとみている。そして何より も重要なことは、ショパンの作品の本来が「自由」であり、非常に感覚的に楽譜という記 号を書きつらねたため、時としてその記号を使うための約束、楽典の原理を無視してしま うことが多かった。ショパンの音楽的発想は、この楽典という約束にしばられるにはあま りにも奔放であり、拘束を破り、自由な発想のままに楽譜を書きあげていかざるを得ない ことが多かったと考えられるのである。こうした彼の音楽的な自由な発想を、人は音の詩 人と呼びその自由を敢えて許しているのである。プレリュード・第一番ハ長調でみた算数 的に合わない記譜法などはその例のひとつであり、こうした例はショパンの作品の中に多 々見受けられるところである。 3連音符というものこそ、芸術の中に於ける矛盾の最たるものではないだろうか。1を 3で割る。この際どい矛盾の中に、多くの音楽家たちは限りない美を見出している。この 矛盾の中に浸りきったのがモーツァルトやショパンであり、特にショパンは3連音符を極 めて巧妙に用いている。ショパンの作品の中でも算数の理に適わない作品があるのは、こ の3連音符を用いたときである。 ホ長調のプレリュードでは、右手の内声部が終始この3連音符を弾き続け、上声部では 7垂
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資料11 付点を伴った旋律を自由に、全く自由に歌いあげるのである(資料ll)。この3連符と付点 音符との関係が多くの論議を呼びおこしているのである。この曲を書いた時のショパンの 中には次の様な図式があったのではないだろうか。 31=[=」丁1=肩≒」一1
この図式は楽典の原理に反していないと多くの研究者はのべている。月はJ.♪と等し いものと考えていたのではないか、としばしば指摘されている。こうした記譜よりは、シ ・パンは自分の図式を何のためらいもなく選択している・したが・て串とい・た感覚 的な記譜が成立したのであろう。ただし複付点のついた8分音符と組みあわされた32分音 符だけは、完全に区別して考えようとしている。しかし、それとて許される範囲と考えて いたり、ふと気付いて書き改めたことが自筆譜の中に読みとれるのである。第1小節から バスに見られる複符点付の8分音符と32分音符の音形は、3連音符の最後の8分音符とバ スの32音符が同時に演奏されるように書かれている。この音形が上声部に現われる第10小 節で、はじめてショパンは同時に弾くことをためらい、32分音符を3連音符の最後の8分 音符で弾くように書き替え(資料12)、第10小節以後はこの方法をとっている。このショパ ン独得の記譜法の矛盾に気づいた段階で、すべての付点音符付の音形と3連音符の奏法を 書き改めるべきであったという説もあるが、付点8分音符と16分音符と3連音符の組みあ わせば、ショパンの美観の中では当然許されるものであると思っていたのであろう。その 書き替えはしていない。 第8小節第1拍の上声部の2つの8分音符と3連音符の組みあわせば道理にかなうもの ではあるが、このはじめの8分音符にも当初は点がつけられていたのであるがマヨルカで 抹消したものである。こうした書法は、この作品の中にだけみられるものではなく、ポロ ネーズ・ファンタジー 作品61の中でも多用されており、ポーランド国立図書館の所蔵す 8佐 藤 允 彦 るポロネーズの自筆譜をみても、ホ長調プレリュードと同じ書法を用いているのである(資 料13)。このショパンの記譜法上の問題は別として、写譜を引き受けたフォンターナとヴ ォルフにとってはこの記譜法はバロック時代の作品の奏法の一部を除いては考えられるも のではないために、当然のこととして3連音符の最後の音の後に16分音符をずらして写譜 したのであろう。それを受けとった彫版者は、楽典の常識として16分音符をすらして彫り、 英・独・仏の各初版はすべて写譜者の指示通りになっている。リストがショパンの作品を 弾くとき、自己の演奏スタイルに合うように少しでも音を変更すると、ショパンは決して それを許さなかったと伝えられている。自分の指示した通りに楽譜を印刷することか大切 であり、少しの変更も許さなかったショパンであるが、プレリュードの初版ができあがっ たときは未だノーアソに居たために、初版をみたのが出版後のことであって、それに対し て苦情をいったという記録は見当らない。ショパンもこの楽典の常識に従った記譜法を容 認していた、あるいは容認せざるを得なかったというのが実情であろう。現在出版されて いる楽譜の中では、HVだけかショパンの記譜に近い形で印刷されているか、これとてシ ョパンの記譜法通りではない。このため演奏家の中にも、HVの版によるものと初版以来 の奏法に従うものの二通りがあることも事実であり、この曲の演奏解釈をめぐる論争は絶 えない。この問題を解決する完全な論理的証拠はないが、ショパンのこの感性的な書法が …∴灘鷺驚難懲隔趣贈燃”....、甥暫
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SUt’”A“v ア ・一 “”“ 、 ・’A 、絶曽副A“ } )曽冗Aく{ 資料12 資料13∴議謡震声一目
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軋 一 ウ ,} A}, . 資料14 9ショパンのプレリュードの研究 その後も用いられていたことが唯一のよりどころである。先に述べた通り、ポロネーズ・ ファンタジーでも、この書法をショパンは採用しており、初版はもとより現行の各版もシ ョパンの書法通りとしており、3連音符の最後の音と16分音符を同時に弾くようにしてい る。しかも、それをこぞって認めているのである。ポロネーズ・ファンタジーの書法を容 認するのならば、ショパンの書法に忠実に、またショパンの演奏スタイルをみせる特徴を 具えた楽譜として、ショパンの自筆譜に限りなく近づかなければならないことも事実であ る。 曲の最後を示すfineは、第5番プレリュードと酷似している。同時期の運筆法が、随 所にみられるのも特徴である(資料14)。 10
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