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デジタルホログラフィで得られる位相差像に用いるフィルタとアンラップ法の改良

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Academic year: 2021

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(1)

令和元年度 修

士 論 文

デジタルホログラフィで得られる位相差像に用いる

フィルタとアンラップ法の改良

指導教員 高橋 佳孝 准教授 群馬大学大学院理工学府 理工学専攻 電子情報・数理教育プログラム 岡田 昂也

(2)

目次

第1 章 序論 ... 1 1.1 研究背景 ... 1 1.2 研究目的 ... 2 第2 章 原理 ... 3 2.1 ホログラフィ ... 3 2.1-1 従来のホログラフィ ... 3 2.1-2 デジタルホログラフィ ... 4 2.2 位相シフトデジタルホログラフィ ... 5 2.2-1 位相シフトデジタルホログラフィ ... 5 2.2-2 4 段階位相シフト法 ... 6 2.3 デジタルホログラフィにおける再生計算 ... 7 2.3-1 フレネル回折計算 ... 7 2.3-2 フレネル回折計算の離散表現 ... 10 2.4 表面形状計測 ... 14 2.4-1 二波長法 ... 14 2.4-2 スペックルノイズ処理 ... 16 2.4-3 平滑化フィルタ ... 17 2.4-4 本研究室で開発したフィルタ① ... 19 2.5 アンラッピング ... 20 2.5-1 アンラッピングエラー ... 20 2.5-2 本研究室で開発したフィルタ ... 21 第3 章 実験方法 ... 22 3.1 形状維持性能評価 ... 22 3.1-1 構成 ... 22 3.1-2 実験手順 ... 26

(3)

3.2 アンラッピングの適応性評価 ... 28 3.2-1 構成 ... 28 3.2-2 実験手順 ... 29 第4 章 実験結果 ... 30 4.1 三次元像 ... 30 4.1-1 フレネル回折計算の実験 ... 33 4.1-2 強度画像の出力 ... 32 4.1-3 位相差像の出力 ... 33 4.1-4 ノイズ処理を施した位相差像の出力 ... 34 4.2 形状維持性能評価 ... 35 4.2-1 評価方法 ... 35 4.2-2 全体での評価、比較 ... 36 4.2-3 エッジ部分での比較、評価 ... 43 4.2-4 エッジの傾き ... 53 4.3 アンラッピング適応性評価 ... 60 4.3-1 位相差像の出力 ... 60 4.3-2 サンプリングした位相差像 ... 61 第5 章 総括 ... 66 5.1 まとめ ... 66 5.2 今後の課題 ... 66 謝辞... 67 学会発表 ... 68 参考文献 ... 69 Appendix ... 71

(4)

第1章 序論

1.1 研究背景

近年、電子部品などの製品の微細化、高精度化に伴い、部品の表面に触らずに測定す る方法が注目されている。また、測定・観察する対象についてより詳細、かつ多く情報 取得に大きな期待が寄せられている。 非接触な計測方法として、光の干渉を用いた計測方法がある。そこで、光の干渉を用 いて 3 次元像を得るホログラフィという技術に着目した。 ホログラフィは写真乾板を用いて二次元平面に三次元情報を記録する技術として 1947 年に発明された。光源から放たれた光を 2 方向に分け、一方を測定対象に当てる 物体光、もう一方をそのまま写真乾板に当てる参照光とする。この物体光と参照光の干 渉によって生じる干渉縞を写真乾板に記録し、干渉縞に対して参照光と同一波長の光を 当てることで、光の回折によって物体があたかもそこにあるように見える。この技術を ホログラフィ、これによって得られる像をホログラムと呼ぶ。 現在、画像の撮影及び再生法としては、コンピュータの発達により従来の写真乾板の 代わりに CCD や CMOS 素子などの撮像素子を用いるデジタルホログラフィが主に利用さ れている。しかし、これらの撮像素子は写真乾板に比べ解像度が低く、画素数も充分で ないため物体光と参照光の角度を数度以下にする必要がある。従来は 0 次と±1 次の回 折像が重なり、それらを分離することは非常に困難であった。この問題を解決したのが、 位相シフトデジタルホログラフィ[1]である。 位相シフトデジタルホログラフィでは、参照光の位相をずらし、少なくとも 3 枚以上 のホログラムを取り込み、複素振幅を直接求め、それらを回折積分することで像の再生 をするものである。 本研究では、位相シフトデジタルホログラフィを用いることでの非接触な測定を目指 した。

(5)

1.2 研究目的

位相シフトデジタルホログラフィでは、位相差を利用して物体の形状を測定すること が可能である。本研究では、物体光の波長を変化させ、2 通りのデジタルホログラムを 取得後、その位相差を取ることで物体の形状計測を行う二波長法[2]を用いた。しかし、 得られる位相差像には光の散乱などの関係でスペックルノイズなどが重畳し、そのまま では表面形状の計測は困難である。そのため、表面形状計測を行うにあたって、フィル タ処理を施すことによるスペックルノイズの除去は必要不可欠となっている。フィルタ は通常縦横同じピクセル数の画素エリアに近いと予想される画素値をその中心となる ピクセル数の値と置き換えることにより行われ、この場合最小サイズは3×3 ピクセル である。フィルタの種類にもよるが、スペックルノイズの除去には3×3 のフィルタだ と5 回程度施す必要があり、その結果物体形状変化への影響が大きくなる。そこで本研 究ではノイズ除去に必要な回数が少ない5×5 ピクセルのフィルタに着目し、形状維持 とノイズ除去両方に優れた5×5 のフィルタ開発を目指した。 さらにデジタルホログラフィにおける形状計測において、通常の干渉計測と同様に位 相とびが発生する。これはデジタルホログラフィで使用した合成波長を超える長さの凹 凸を持つ物体を測ると生じてしまうため、アンラッピングが必須となる。しかし前述の 世に位相差像にはスペックルノイズが重畳するため、アンラッピング時にエラーが発生 し、画像の情報を大きく損なってしまう。そこで今回作成したフィルタがアンラッピン グにも有効か調べた。

(6)

第 2 章 原理

2.1 ホログラフィ

2.1-1 従来のホログラフィ

ホログラフィは1947 年にハンガリーの物理学者である Dennis Gabor によって発明 された、物体から反射された光波、ここでは物体光と呼ぶ光と、物体光と同一の光源 から発生させている参照光を干渉させ、その干渉像を記録する技術[3]である。 ホログラフィ技術によって得られた画像情報をホログラムと呼び、通常の写真は光 強度(単位面積あたりの光のエネルギー)が記録された点の集まりであることに対し て、ホログラムでは光の電場の振幅、位相情報についても記録されている。そのた め、像が再生されるときの放射光は三次元像となる。 ホログラフィにおける画像再生の仕組みは以下の通りである。まず、同一光源から放 たれた光を2 方向へ分け、一方を物体に当たり散乱光として写真乾板などの記録媒体に 当たる物体光、もう一方をそのまま記録媒体に当たる参照光とする。記録媒体上では物 体光と参照光が干渉し、干渉縞が記録される。その後、干渉縞に対して記録した際と同 一の参照光を当てることで光の回折が起こり、光強度と位相が再現され、画像が3次元 的に再生される。 Fig. 2.1-1 ホログラフィの仕組み (a) 記録時 (b) 再生時 (b) (a)

(7)

2.1-2 デジタルホログラフィ

従来のホログラフィでは記録媒体には写真乾板を用いてホログラムの取得を行って いた。しかし、デジタルホログラフィでは写真乾板の代わりにCCD や CMOS 素子な どの撮像素子を用いてコンピュータに情報を記録する。そして、画像再生にはコンピ ュータ内で実際のホログラフィの再生過程における再生処理と等価の演算処理を行う ことで3 次元画像を出力する。 デジタルホログラフィを用いることで、従来のホログラフィには不可欠であった現 像処理が不要となるため、容易にホログラムからの画像再生処理を行うことができ る。得られたホログラムに対して柔軟な画像処理を行えるといった点でも、従来のホ ログラフィと比べて大きな利点となっている。 Fig. 2.1-2 デジタルホログラフィ レーザ

(8)

2.2 位相シフトデジタルホログラフィ

2.2-1 位相シフトデジタルホログラフィ

ホログラフィック乾板を用いた従来のホログラフィでは、1mm あたり数千本存在す る細かいピッチの干渉縞を記録できる。一方、デジタルホログラフィでは、ホログラ ムの記録に撮像素子を用いており、現在の撮像素子の画素間隔は1μm~数 μm、高速 度カメラの場合は一般に数μm 以上である。そのため、デジタルホログラフィでは、 従来のホログラフィのように記録用乾板に対する参照光の入射角度を大きく設定でき ず、記録できる物体のサイズなどが制限されるという問題があった。この問題を解決 し、物体のより多くの情報を記録できる方法として、位相シフトデジタルホログラフ ィが考案された。 位相シフトデジタルホログラフィでは、物体が静止しているとみなせる間に、参照 光の位相を複数回変化させたホログラムを記録する。記録された複数のホログラムか ら、物体光のみの複素振幅分布を算出できる。参照光の位相をシフトさせるには、い くつかの方法が考えられている。圧電素子(ピエゾ素子)でミラーの位置を微動する ことで、光路長を変化させて参照光の位相をシフトする方法[1]や、波長板を回転させ る方法[4]、電気光学結晶に与える電圧を変化させる方法[5]などがある。本研究では、 ピエゾ素子を用いた位相シフトを行った。 物体光の複素振幅分布を算出するには、位相のシフトの段階数として3 が必要十分 である。逐次的に複数のホログラムを記録するために、位相シフトに使用する素子の 再現性や制御方法によっては、記録するホログラム間で生じる測定のばらつきの影響 が生じる。この影響を抑えるために、シフト段階数が5以上で記録される場合もあ る。しかしながら、段階数を増やすとその間で物体が静止していなければならない時 間が長くなるという問題がある。実施の容易さと計測精度の両立という面から、位相 シフトデジタルホログラフィでは4 段階の位相シフト法がしばしば採用される。本研 究も4 段階位相シフト法を用いてホログラフィの取得を行った。 以下では、物体光の複素振幅分布、強度分布、位相分布をそれぞれ 𝑢0(𝑥, 𝑦)、 𝑎0(𝑥, 𝑦)、𝜙0(𝑥, 𝑦)、参照光の複素振幅分布、強度分布、位相分布をそれぞれ 𝑢𝑟(𝑥, 𝑦)、𝑎𝑟(𝑥, 𝑦)、𝜙𝑟(𝑥, 𝑦)、で表して 4 段階位相シフト法について記述する。

(9)

2.2-2 4 段階位相シフト法

4 段階位相シフト法[1]では、位相を段階的にシフトさせたホログラムを 4 枚記録す る。このとき

𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦) = 𝑎

𝑟

(𝑥, 𝑦) exp[𝑖𝜙

𝑟

(𝑥, 𝑦)]

(2.2-1)

𝑢

0

(𝑥, 𝑦) = 𝑎

0

(𝑥, 𝑦) exp[𝑖𝜙

0

(𝑥, 𝑦)]

(2.2-2) 参照光の位相を

δ

シフトさせて記録したホログラムを 𝐼(𝑥, 𝑦)とすると

𝐼(𝑥, 𝑦) = |𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦) exp(𝑖𝛿) + 𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦)|

2

= |𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦)|

2

+ |𝑢

0

(𝑥, 𝑦)|

2

+𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦)𝑢

0

(𝑥, 𝑦) exp(−𝑖𝛿) + 𝑢

𝑟

(𝑥, 𝑦)𝑢

0

(𝑥, 𝑦) exp(𝑖𝛿)

(2.2-3) 参照光の位相を0°90°180°270°に変化させた場合について述べる。それぞれで記 録したホログラムを

𝐼

1

, 𝐼

2

, 𝐼

3

, 𝐼

4

,

初期位相を0 とすると

𝑢

0

(𝑥, 𝑦) =

1

4𝑢

𝑟

{[𝐼

1

(𝑥, 𝑦) − 𝐼

3

(𝑥, 𝑦)] + 𝑖[𝐼

2

(𝑥, 𝑦) − 𝐼

4

(𝑥, 𝑦)]}

(2.2-4) 参照光が平面波だとすると

𝑢

0

(𝑥, 𝑦) =

1

4𝑎

𝑟

{[𝐼

1

(𝑥, 𝑦) − 𝐼

3

(𝑥, 𝑦)] + 𝑖[𝐼

2

(𝑥, 𝑦) − 𝐼

4

(𝑥, 𝑦)]}

(2.2-5) として物体光の複素振幅が得られる。 Fig.2.2-1 4 段階位相シフトデジタルホログラフィ レーザ

(10)

2.3 デジタルホログラフィにおける再生計算

デジタルホログラフィにおける光伝搬計算[3]には、フレネル回折計算や角スペクト ル伝搬計算が用いられる。本実験ではフレネル回折計算を用いたので、フレネル回折 計算のみ記述する。2.3-1 では連続系表現、2.3-2 では離散系における計算方法を記述 する。

2.3-1 フレネル回折計算

光波の伝播を計算する手法の一つにフレネル回折がある。ホイヘンスの原理によれ ば、波面上の各点は、2 次点光源として球面波を発生し、その包絡面が次の波面とな る。これをもとに回折現象を記述する理論として、フレネル-キルヒホッフの回折理論 がある。Fig. 2-3-1 のように、𝑧軸に垂直な 2 平面間の光波の伝播を考える。デジタル ホログラフィの再生計算では、𝑥𝑦平面がホログラム面であり、𝑥𝑑𝑦𝑑平面が再生面に相 当する。フレネル-キルヒホッフの回折理論によると、2 平面間の距離が𝑧であるとき に、波長

𝜆

の光波の複素振幅は

𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 𝑧) =

𝑧

𝑖𝜆

∬ 𝑢(𝑥, 𝑦, 0)

exp (𝑖𝑘𝑟)

𝑟

2

𝑑𝑥 𝑑𝑦

(2.3-1) で与えられる。ここで

𝑟 = √(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

+ 𝑧

2 (2.3-2) である。 Fig. 2.3-1 フレネル回折積分 𝑧軸方向に光が伝搬し、かつ𝑧軸近傍にのみ光波が存在する近軸近似を考える。この とき距離𝑟は、次式のように近似される。

(11)

𝑟 = √(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

+ 𝑧

2

= 𝑧 {1 + (

(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

𝑧

2

)}

1 2

= 𝑧 +

𝑧

2

{1 + (

(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

𝑧

2

)}

𝑧

8

{1 + (

(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

𝑧

2

)}

2

+

∙∙∙∙

(2.3-3) (2.3-3)式の右辺第 2 項までを取り入れたものが、フレネル回折と呼ばれる。

𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 𝑧) =

exp (𝑖𝑘𝑧)

𝑖𝜆𝑧

∬ 𝑢(𝑥, 𝑦, 0)exp {𝑖𝑘

1

2𝑧

[(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

]} 𝑑𝑥𝑑𝑦

=

exp (𝑖𝑘𝑧)

𝑖𝜆𝑧

{𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 0)⨂exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑥

𝑑 2

+ 𝑦

𝑑2

)]}

(2.3-4) (2.3-4)式で⨂は畳み込み積分(以下、コンボリューション)を表す演算子である。 フレネル回折が成り立つ領域は、(2.3-3)式より

𝑘

1

8𝑧

2

[(𝑥

𝑑

− 𝑥)

2

+ (𝑦

𝑑

− 𝑦)

2

]

2

≪ 1

(2.3-5) となる。 フレネル回折計算には2 種類の計算方法がある。(2.3-4)式の畳み込みをフーリエ変 換を用いて行うコンボリューション法と、(2.3-4)式を展開し、1 回のフーリエ変換で 行う1 回フーリエ変換法である。 はじめに、コンボリューション法について記述する。(2.3-4)式から積分外の項は強 度分布をとると、(1/(𝜆𝑧))2 の定数となるため、以下の計算では省略する。フーリエ 変換FTと逆フーリエ変換FT−1 を用いると、コンボリューションは以下のように計算 することができる。

𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 𝑧) = 𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 0)

⨂exp

[

𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(

𝑥

𝑑 2

+ 𝑦

𝑑 2

)]

= FT

−1

[𝑈(𝑓

𝑥

, 𝑓

𝑦

, 0)exp{−𝑖𝜆𝜋𝑧(𝑓

𝑥2

+ 𝑓

𝑦2

)}]

(2.3-6) (2.3-6)式で𝑓𝑥と𝑓𝑦はフーリエ変換面の軸であり、

𝑈(𝑓

𝑥

, 𝑓

𝑦

, 0) = FT[𝑢(𝑥, 𝑦, 0)]

= ∬ 𝑢(𝑥, 𝑦, 0)exp [−𝑖2𝜋(𝑓

𝑥

𝑥 + 𝑓

𝑦

𝑦)]𝑑𝑥𝑑𝑦

(2.3-7) である。 次に1 回フーリエ変換法を示す。(2.3-4)式を展開すると、

(12)

𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 𝑧) = 𝑢(𝑥

𝑑

, 𝑦

𝑑

, 0)

⨂exp

[

𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(

𝑥

𝑑 2

+ 𝑦

𝑑 2

)]

= exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑥

𝑑 2

+ 𝑦

𝑑2

)]

× ∬ 𝑢(𝑥, 𝑦; 0)exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑥

2

− 𝑦

2

)] exp [−𝑖

2𝜋

𝜆𝑧

(𝑥𝑥

𝑑

− 𝑦𝑦

𝑑

)] 𝑑𝑥𝑑𝑦

=

exp

[

𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(

𝑥

𝑑 2

+ 𝑦

𝑑 2

)]

𝑈

1

(

𝑧

𝑑

𝜆𝑧

,

𝑦

𝑑

𝜆𝑧

; 0

)

(2.3-8) となる。ただし、𝑢1(𝑥, 𝑦; 0) = 𝑢(𝑥, 𝑦; 0)exp [𝑖 𝜋 𝜆𝑧(𝑥 2+ 𝑦2)], 𝑈 1は𝑢1のフーリエ変換であ る。したがって、1 回のフーリエ変換で計算可能である。

(13)

2.3-2 フレネル回折計算の離散表現

離散化されたホログラムデータを𝑢(𝑛, 𝑚; 0) = 𝑢(𝑛∆𝑥, 𝑚∆𝑦; 0), 伝搬距離𝑧での再生面 での光波の複素振幅分布を𝑢(𝑙, 𝑝; 𝑧) = 𝑢(𝑙∆𝑥𝑑, 𝑝∆𝑦𝑑; 𝑧) とする。ここで、イメージセン サ面での画素ピッチは∆𝑥 × ∆𝑦であり、再生面での画素ピッチは∆𝑥𝑑× ∆𝑦𝑑である。ま た、画素数を𝑁 × 𝑀とし、整数𝑛, 𝑚, 𝑙, 𝑝の範囲はそれぞれ、

[−

𝑁 2

,

𝑁 2

− 1] , [−

𝑀 2

,

𝑀 2

− 1] , [−

𝑁 2

,

𝑁 2

− 1] , [−

𝑀 2

,

𝑀 2

− 1]

である。 

コンボリューション計算の離散表現

ホログラム面とそのフーリエ変換面(空間周波数面)を離散化する。ホログラム面 とフーリエ変換面でのサンプリング間隔を(∆𝑥, ∆𝑦), (∆𝑓𝑥, ∆𝑓𝑦) とし、縦横の画素数をそ れぞれ𝑀, 𝑁とする。フーリエ変換の定義を(2.3-9)式に示し、その離散化は(2.3-10)式の ようになる。

𝑈(𝑓

𝑥

, 𝑓

𝑦

, 0) = ∬ 𝑢(𝑥, 𝑦; 0)exp [−𝑖2𝜋(𝑓

𝑥

𝑥 + 𝑓

𝑦

𝑦)]𝑑𝑥𝑑𝑦

(2.3-9)

𝑈(𝑙∆𝑓

𝑥

, 𝑙∆𝑓

𝑦

, 0) = ∬ 𝑢(𝑥, 𝑦; 0) ∑

∑ 𝛿(𝑥 − 𝑛∆𝑥, 𝑦 − 𝑚∆𝑦) ×

𝑀 2 −1 𝑚=−𝑀2 𝑁 2 −1 𝑛=−𝑁2

exp[−𝑖2𝜋(𝑥𝑓

𝑥

+ 𝑦𝑓

𝑦

)]δ(𝑓

𝑥

− 𝑙∆𝑓

𝑥

, 𝑓

𝑦

− 𝑝∆𝑓

𝑦

)𝑑𝑥𝑑𝑦

= ∑

∑ 𝑢(𝑛∆𝑥, 𝑚∆𝑦; 0)

𝑀 2 −1 𝑚=−𝑀2 𝑁 2 −1 𝑛=−𝑁2

exp[−𝑖2𝜋(𝑛𝑙∆𝑥∆𝑓

𝑥

+ 𝑚𝑝∆𝑦∆𝑓

𝑦

)]

(2.3-10) (2.3-10)式に注目し、(2.3-11)式で表される離散フーリエ変換(discrete Fourier transform : DFT)を適用できる場合を考える。

𝑈(𝑙, 𝑝) = ∑ ∑ 𝑢(𝑛, 𝑚)

𝑀−1 𝑚=0 𝑁−1 𝑛=0

exp [−𝑖2𝜋 (

𝑛𝑙

𝑁

+

𝑚𝑝

𝑀

)]

(2.3-11) (2.3-10)式と(2.3-11)式の比較から

∆𝑥∆𝑓

𝑥

=

1

𝑁

, ∆𝑦∆𝑓

𝑦

=

1

𝑀

(2.3-12) を得る。したがって、離散フーリエ変換を用いると、(2.3-6)式の計算は

(14)

𝑈(𝑛, 𝑚, 𝑧) = DFT

−1

{𝑈(𝑙, 𝑝)exp [−𝑖𝜆𝜋𝑧 (

𝑙

2

𝑁

2

Δ𝑥

2

+

𝑝

2

𝑀

2

Δ𝑦

2

)]}

(2.3-13) となる。 次に、このコンボリューション計算が適用可能な距離𝑧の範囲を、サンプリング定理 を満足する条件から導出する。(2.3-6)式における 2 次の位相分布 𝜙(𝑓𝑥, 𝑓𝑦) = −𝜆𝜋𝑧(𝑓𝑥2+ 𝑓𝑦2) に注目する。フーリエ変換面における座標 𝑓𝑥での局所周波数 𝐹(𝑓𝑥)は

𝐹(𝑓

𝑥

) =

1

2𝜋

𝜕𝜙(𝑓

𝑥

)

𝜕𝑓

𝑥

= −𝜆𝑧𝑓

𝑥 (2.3-14) となる。𝑓𝑥のとりうる範囲を0 を中心に考えると、

[−

𝑁 2

Δ𝑓

𝑥

, (

𝑁 2

− 1) Δ𝑓

𝑥

]

である。そ のため、(2.3-13)式の最大周波数は𝜆𝑧(𝑁/2)Δ𝑓𝑥となる。一方、サンプリング間隔はΔ𝑓𝑥 である。サンプリング定理からサンプリング周波数は物体の持つ最大周波数の2 倍よ り大きい必要があるため

1

Δ𝑓

𝑥

> 2𝜆𝑧

𝑁

2

Δ𝑓

𝑥 (2.3-15) の条件を得る。したがって、コンボリューション計算を行う場合の𝑧の適用範囲とし て、

𝑧 <

1

𝜆𝑁(Δ𝑓

𝑥

)

2

=

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

(2.3-16) を得る。

(15)

1 回フーリエ変換計算の離散表現

この方法では、(2.3-16)式より長い伝搬距離を計算可能である。 (2.3-8)式のように、ホログラム面と再生面でサンプリングを行うと、

𝑢(𝑙∆𝑥

𝑑

, 𝑝∆𝑦

𝑑

, 𝑧) = exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑙

2

Δ𝑥

𝑑2

+ 𝑝

2

Δ𝑦

𝑑2

)]

∑ 𝑢(𝑛∆𝑥, 𝑚∆𝑦; 0)

𝑀 2 −1 𝑚=−𝑀2 𝑁 2 −1 𝑛=−𝑁2

exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑛

2

Δ𝑥

2

+ 𝑚

2

Δ𝑦

2

)]

× exp [−𝑖

2𝜋

𝜆𝑧

(𝑛𝑙Δ𝑥Δ𝑥

𝑑

+ 𝑚𝑝Δ𝑦Δ𝑦

𝑑

)]

(2.3-17) となる。(2.3-17)式の右辺を離散フーリエ変換を適用して計算できるためには、

Δ𝑥Δ𝑥

𝑑

𝜆𝑧

=

1

𝑁

,

ΔyΔ𝑦

𝑑

𝜆𝑧

=

1

𝑀

(2.3-18) が成り立つ必要がある。したがって、伝搬計算後の画素ピッチは

Δ𝑥

𝑑

=

𝜆𝑧

𝑁Δ𝑥

, Δ𝑦

𝑑

=

𝜆𝑧

𝑀Δ𝑦

(2.3-19) となり、伝搬距離𝑧 とともに大きくなる。 離散フーリエ変換(DFT)を適用した場合に、(2.3-17)式の計算は以下のようにな る。

𝑢(𝑙∆𝑥

𝑑

, 𝑝∆𝑦

𝑑

, 𝑧)

= DFT {𝑢(𝑛∆𝑥, 𝑚∆𝑦; 0)exp [𝑖

𝜋

𝜆𝑧

(𝑛

2

Δ𝑥

2

+ 𝑚

2

Δ𝑦

2

)]}

(2.3-20) (2.3-20)式の距離𝑧の適用範囲をサンプリング定理を満足する条件から求める。位置𝑥 での局所周波数𝐹(𝑥)は

𝐹(𝑥) =

1

2𝜋

𝜕 (

𝜆𝑧

𝜋

𝑥

2

)

𝜕𝑥

=

1

𝜆𝑧

𝑥

(2.3-21) となる。位置𝑥の取りうる値の範囲を 0 を中心にとると、

[−

𝑁 2

Δ𝑥, (

𝑁 2

− 1) Δ𝑥]

となる から、最大周波数は(𝑁/2𝜆𝑧)Δ𝑥となる。サンプリング周期はΔ𝑥であることから、サン プリング周波数は1/Δ𝑥である。サンプリング定理から

1

Δ𝑥

> 2

𝑁Δ𝑥

2𝜆𝑧

(2.3-22)

(16)

を得る。これから𝑧の適用範囲として

𝑧 >

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

(2.3-23)

(17)

2.4 表面形状計測

2.4-1 二波長法

本研究では、二波長法[2]による表面形状計測を行った。ここでは、その原理を示 す。Fig. 2.4-1 で示すように、深さ方向のベクトルを

𝑥⃗

、照明光の入射方向と反射(観 測)方向の単位ベクトルをそれぞれ

𝑖

⃗⃗⃗

𝑖

𝑖

⃗⃗⃗⃗

𝑜とすると、

𝑥⃗

だけ隔たった位置からの反射光 間の位相差𝜙は 𝜙 =2𝜋 𝜆 (𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗) ∙ 𝑥⃗ 𝑜 (2.4-1) と表され、二つの物体間の干渉は以下のように求められる。 それぞれの波長を𝜆1、𝜆2とすると𝜙𝑗は、 𝜙𝑗=2𝜋 𝜆𝑗 (𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗) ∙ 𝑥⃗ (𝑗 = 1, 2) 𝑜 (2.4-2) と表すことができる。つまり、 𝜙1=2𝜋 𝜆1(𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗) ∙ 𝑥⃗ 𝑜 (2.4-3) 𝜙2=2𝜋 𝜆2(𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗) ∙ 𝑥⃗ 𝑜 (2.4-4) である。(2.4-3)と(2.4-4)式の間の位相差𝜙は 𝜙 = 𝜙1− 𝜙2= 2𝜋 (1 𝜆1− 1 𝜆2) (𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗) ∙ 𝑥⃗ 𝑜 (2.4-5) となる。ここで、ベクトル

𝑖

⃗⃗⃗

𝑖

𝑖

⃗⃗⃗⃗のなす角を𝜃とすると

𝑜 |𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗| = √|𝑖𝑜 ⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗|𝑜 2= √|𝑖⃗⃗⃗|𝑖 2+ |𝑖⃗⃗⃗⃗|𝑜 2− 2𝑖⃗⃗⃗ ∙ 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗ 𝑜 = √2 − 2 cos 𝜃 = √4 sin2𝜃 2= 2 sin 𝜃 2 (2.4-6) である。したがって、𝑖 = 𝑖⃗⃗⃗ − 𝑖𝑖 ⃗⃗⃗⃗の方向での等高線感度Δℎは𝜙が 0 から2𝜋まで変化する𝑜 ときの𝑥⃗の変化分として、 2𝜋 = (1 𝜆1 − 1 𝜆2 ) 2 sin𝜃 2∙ Δℎ (2.4-7) (2.4-7)式より Δℎ = 1 2 (𝜆1 1− 1 𝜆2) sin 𝜃 2 = 𝜆1𝜆2 2(𝜆1− 𝜆2) sin𝜃2 (2.4-8)

(18)

と求まる。 本研究では、物体に対して垂直に照明光を入射したので、𝜃 = 0となるから Δℎ = 𝜆1𝜆2 2(𝜆1− 𝜆2) (2.4-9) となる。 Fig. 2.4-1 二波長法の原理

(19)

2.4-2 スペックルノイズ処理

コヒーレントな光で粗面を照らすと、粗面の各点で散乱された光が互いに不規則な位 相関係で干渉することにより、斑点状のスペックルパターンが発生する。デジタルホ ログラフィではこのスペックルパターンが再生像に現れ、測定精度に影響を与えるノ イズとなる。スペックルノイズの低減には、再生像の振幅情報を用いる方法やメディ アンフィルタを用いる方法などがよく用いられる。本研究では、各波長に対する再生 像の複素振幅積𝑈1𝑈2∗に対して𝑛 × 𝑛画素の窓サイズの平滑化フィルタを用いた。Fig. 2.4-2 にフローチャートを示す。 Fig. 2.4-2 スペックルノイズ処理 Fig. 2.4-2 のフローチャートに示すように、二波長法で得られた再生像の複素振幅積 𝑈1(𝑋, 𝑌) ∙ 𝑈2∗(𝑋, 𝑌)に対して平滑化処理を複数回行う。この処理により、得られる位相 差画像Δ𝜙におけるスペックルノイズが低減できる。

二波長の再生複素振幅

𝑼

𝟏

(𝒙, 𝒚) ∙ 𝑼

𝟐∗

(𝒙, 𝒚)

窓サイズ𝒏 × 𝒏で平滑化処理

位相差の計算

∆𝝓 = 𝐚𝐫𝐠 𝑼

𝟏

(𝒙, 𝒚) ∙ 𝑼

𝟐∗

(𝒙, 𝒚)

i times

(20)

2.4-3 平滑化フィルタ

ここでは、2.4-2 で表した平滑化フィルタについて記述する。本研究では最も一般的 な移動平均フィルタを使用した。 

移動平均フィルタ

移動平均フィルタ(別名:平均化フィルタ)では、注目画素のその周辺の輝度値を用 いて、輝度値を平均し、処理後画像の輝度値とする手法である。 例えば、3×3 ピクセルの移動平均フィルタの場合は注目画素とその周辺の輝度値に Fig. 2.4-3 に示すようなレートを掛け合わせて輝度値を求める。 Fig. 2.4-3 3 × 3移動平均フィルタ この作業を1 ピクセルずつずらしながら画像全体に施すことでノイズを除去する。 3 × 3ではなく、5 × 5の場合は Fig. 2.4-4 に示すようになる。 Fig. 2.4-4 5 × 5移動平均フィルタ ただし、全てのレートを足し合わせて1 に調整する必要がある。

(21)

強度の大きい画素値の平均をとるフィルタ

画素値にはスペックルをはじめ、様々なノイズが重畳する可能性がある。この確率 を一定と見なす、Fig. 2.4-5 で示すように、画素値の大きい方が、より真値からの誤差 が少なく、したがって信頼性が高いと考えられる。そのため、スペックルノイズの低 減に隣接する4 画素のうち振幅が最大になる位相値を採用する手法[6]が提案されてい る。これは、Fig. 2.4-6 示すように注目画素とその周辺の輝度値を用いて、輝度値を強 度の大きさ順に並べ、強度の大きいものを任意の数だけ採用し、その平均値をとると いうフィルタ[7,8]である。通常の移動平均フィルタでは、窓内の要素全てを足し合わ せて平均をとっているため、エッジ状の箇所で鈍りが発生してしまうが、このフィル タでは位相値の信頼性が高い要素のみを抽出する、エッジ部分の形状を維持できるこ とが期待される。また、このフィルタは以前当研究室で使われたもので、以後は旧フ ィルタと呼ぶ。 Fig. 2.4-5 複素振幅と位相誤差の関係 Fig. 2.4-6 強度の大きい画素の平均をとるフィルタ

(22)

2.4-4 本研究で開発したフィルタ①

 強度の低いものを切り捨てるフィルタ

2.4-3 で説明した旧フィルタは 1 回目に輝度値の高いものを3つ、2 回目に 4 つ、3 回 目以降は 5 つの計 5 回フィルタをかけるというものだった。これは強度が高く信頼性 が高い要素を採用し、移動平均フィルタを用いた時に起こる段差部分(エッジ)の鈍りを 起こさないようにするためであった。しかし、ノイズ除去という面で移動平均フィルタ にはやや劣っていた。 本研究では移動平均フィルタのようにノイズ除去性能に優れながら形状維持に優 れたフィルタの開発を目指し、発想を転換し、高信頼データを抽出するのではなく、低 信頼データ除去するという観点での設計を行った。新たに開発したフィルタは1回目に 5×5 ピクセルのフィルタリング、2 回目に 3×3 のフィルタリングを行うものとした。 5×5 のフィルタは広い領域を対象とする一般はノイズ除去には有効だが、その分形 状変化が大きくなる傾向があるので1 回目のみ使用することにした。様々な場合につい て比較検討をした結果、1 回目に 5×5 の 25 ピクセルから強度の高いものを 15 個抽出 してその平均を取り、2 回目は 3×3 の 9 ピクセルの上位 7 個の平均を取るのが最良で あった(Fig.2.4-7)。これをフィルタ組合せβと記す。 Fig. 2.4-7 フィルタ組合せβ

(23)

2.5 アンラッピング

デジタルホログラフィを用いた二波長法での形状計測では位相信号が得られるため 位相とびが生じる場合がある、特に測定対象の凹凸が合成波長の長さを超える場合では 必ず生じる。そのままでは対象の正確な形状が得られないため、位相接続(アンラッピ ング)を行う必要がある。

2.5-1 アンラッピングエラー

アンラッピングの基本的なアルゴリズムは、位相とびが生じている箇所を検知し、± 2πを足していくものである。位相とびの検知は、あらかじめ閾値を決めておき、隣接 する画素間でそれを超える値の変化があった場合に、そこを位相とびの場所とするとい うものである。したがって、本来は位相とびがないところでノイズにより閾値を超える 値の変化があった場合、そこでアンラッピングを行ってしまうため、Fig. 2.5-1 に示す ようなアンラッピングエラーが生じてしまう。デジタルホログラフィにおいて必ず発生 するスペックルノイズは値が上下方向に大きく振れる可能性が高く、フィルタリング等 でノイズを除去しない限りアンラッピングエラーの発生を回避することは困難である。 ここで、アンラッピングをかける前処理でフィルタをかけるのが一般的だが、処理後に アンラッピングエラーが生じにくいフィルタの作成を目指した。 Fig. 2.5-1 アンラッピングエラー

(24)

2.5-2 本研究で開発したフィルタ②

アンラッピングを行う上で試料としてシェイカーキャップを扱った。しかし、光沢があ るため、物体からの散乱光に表面反射光が加わることでノイズが多くなってしまった。 ここで 2.4-4 で扱ったフィルタ組合せβではノイズが十分に取り除かれなかった。ま た、ノイズが多いことから低信頼度の要素が多く、採用するピクセルの数を減らすのが 好ましかった。 そこで今回の実験では Fig. 2.5-2 のように高信頼度のピクセルを 10 個採用する 5×5 のフィルタを2 回かけたフィルタ組合せγを作成した。これでフィルタ処理後シェイカ ーキャップをアンラッピングした。 Fig. 2.5-2 フィルタ組合せγ

(25)

第3章 実験方法

3.1 形状維持性能評価

3.1-1 構成

今回の実験で用いた実験装置はマイケルソン干渉計を基にした位相シフト干渉計で ある。Fig. 3.1-1 にその実験系を示す。 Fig. 3.1-1 実験系 光源として、波長約659 nm、出力約 18 mW の LD を用いた。CMOS カメラには 1 画素の大きさが3.63 𝜇m × 3.63 𝜇mのカメラを用いた。本研究で用いた LD と CMOS カ メラの特性をTable 3.1-1、Table 3.1-2 に示す。画像の取り込みは USB 3.0 を用い た。取り込んだ画像は8 bit で 1024 画素×1024 画素である。Fig. 3.1-2 に本研究で用 いた計測物体を示す。

(26)

計測物体には、10 円玉を用いた。ピエゾ素子付きミラー(以下 PZT ミラー)を用 いて参照光の位相を𝜋/2ずつシフトさせ、4 枚の干渉縞画像をコンピュータに取り込ん だ。その後、LD の電流を 5 mA 変化し、波長を変え、再び PZT ミラーを用いて参照 光の位相を𝜋/2ずつシフトさせ、4 枚の干渉縞画像をコンピュータに取り込んだ。この とき、シフト量を𝜋/2(すなわち𝜆/4)とするため、往復分を考慮するとミラーの移動 量は𝜆/8となる。波長 659 nm の LD を用いているので、シフト量は約 82 nm であ る。LD 温度 25℃における LD の注入電流に対する発振波長の推移を Fig. 3.1-3 に示 す。 Fig. 3.1-3 LD の注入電流に対する発振波長 Fig. 3.1-3 より、2 波長として設定する電流値を 82 mA と 87mA とした。光スペク トルアナライザにより測定した82 mA、87 mA のスペクトルを Fig 3.1-4、Fig. 3.1-5 に示す。 また、本研究で用いた LD と CMOS カメラの特性を Table 3.1-1、Table 3.1-2 に示す。また、実際に使用した実験系を Fig. 3.1-6 に示す。 658.7 658.8 658.9 659.0 659.1 659.2 659.3 659.4 70 75 80 85 90

W

ave

length

[nm]

(27)

Fig. 3.1-4 電流値 82 mA でのスペクトル Fig. 3.1-5 電流値 87 mA でのスペクトル Table 3.1-1 LD の特性 HITACHI opnext HL6501MG Output power 35 mW(CW) Wavelength 𝜆𝑝= 658 nm Typ Package Φ 5.6 mm

Single longitudinal mode, Low astigmatism

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0.658 0.6585 0.659 0.6595 0.66

Output

[a

.u.]

Wavelength [μm]

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0.658 0.6585 0.659 0.6595 0.66

Output

[a.

u.]

Wavelength [μm]

(28)

Table 3.1-2 CMOS カメラの特性 POINT GREY:FL3-U3-13S2M-CS

Resolution 1324×1048 Sensor Sony IMX035 Shutter Rolling shutter Cell size 3.63 μm Quantum efficiency (525 nm) 77 %

(29)

3.1-2 実験手順

以下に実験で用いた測定手順を示す。 1. PZT ミラーを用いて参照光の位相を𝜋/2ずつシフトさせ、4 枚のデジタルホログラ ム(A)を撮影。LD の発振波長を変え、同様に 4 枚のデジタルホログラム(B)を撮 影。 Fig. 3.1-7 ホログラムの撮影 2. 撮影したホログラムに対して MATLAB を用いて再生処理を施す。このとき、2.4-2 で示したように、スペックルノイズ処理を行うため、Fig. を用いて再生処理を施す。このとき、2.4-2.4-を用いて再生処理を施す。このとき、2.4-2 で示したよう に、平滑化処理を数回繰り返した。 Fig. 3.1-8 画像の再生 複素振幅積から位相差を得る。 ∆𝝓 = 𝐚𝐫𝐠{𝑼𝟏(𝒙, 𝒚) ∙ 𝑼𝟐∗(𝒙, 𝒚)}

(30)

3. 得られた位相差像のラインプロファイルなどを通してフィルタの比較、評価を行 った。このとき、比較対象としてレーザ顕微鏡を用いて取得した計測物体の高さ 分布データを用いた。レーザ顕微鏡の仕様をTable 3.1-3 に示す。 Table 3.1-3 レーザ顕微鏡の仕様 OLYMPUS:LEXT OLS4000 Light source 405 nm LD Detector PMT Mechanical resolution 0.01 μm Display resolution 0.001 μm

(31)

3.2 アンラッピングの適応性評価

3.2-1 構成

アンラッピングエラー補正の実験で用いた実験装置はマイケルソン干渉計を基にし た位相シフト干渉計である。実験系は3.1-1 に示したものと同じである。 また、本研究で用いたLD の特性を Table 3.2-1 に示す。使用したカメラは 3.1 で紹介 したものと同様である。 Table 3.2-1LD の特性 Thorlab HL63163DG Output power 100 mW(CW) Wavelength 𝜆𝑝= 633 nm Typ Package Φ 5.6 mm

Single longitudinal mode, Low astigmatism

なだらかな曲面を持つ物体が試料として適していると考え、金属製シェイカーのキャ ップを試料として用意し、外側上面を測定した。 Fig. 3.2-2 測定試料(金属製キャップ) また、評価の方法として、アンラッピングエラーを検出して比較する方法を用いた。 Fig. 2.5-1 からわかるように、物体の形状は連続的に変化しているが、エラーのある箇 所は周辺に対して急激に値が変化している。これは空間周波数が高いことを意味す る。したがってエラーのある画像を二次元フーリエ変換し、低周波数成分をカットす ることで、エラー部分だけを抽出した。さらに、画像を二値化することでエラー箇所 を示すマップを作製した。

(32)

3.2-2 実験手順

以下の手順で実験を行った。 1. 3.1 と同じ方法を用いて、同一条件で 4 枚 2 セットのデジタルホログラムを撮影、 再生し、シェイカーキャップ外側上面の位相差像を取得する。 2. 取得した位相差像に移動平均フィルタとフィルタ組合せβでそれぞれフィルタ処 理を施した。また、フィルタ組合せγと条件を同じにするため比較対象として5× 5 ピクセルで 2 回フィルタ処理した移動平均フィルタを用いた。 3. アンラッピング後の位相差像と2 次元フーリエ変換から得た 2 値化画像を用いて それぞれ比較した。

(33)

第 4 章 実験結果

4.1 三次元画像の再生

4.1-1 フレネル回折計算の選択

デジタルホログラフィでは、イメージセンサ面から光波の逆伝搬計算を行うことで 任意の距離での光波の分布を得ることができる。しかしながら計算機再生では計算領 域が有限の大きさであるため、イメージセンサ面からの距離により計算方法を正しく 選択する必要がある。本研究では、計算方法としてフレネル回折計算を用いている。 フレネル回折計算には2.3 節で示しているように、コンボリューション法と 1 回フー リエ変換法がある。2 つの方法にはそれぞれ適用距離が存在する。この節では、(2.3-16)式と(2.3-23)式に本研究の条件を当てはめ、適切な計算方法を選択する。 

コンボリューション法

(2.3-16)式より

𝑧 <

1

𝜆𝑁(Δ𝑓

𝑥

)

2

=

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

本研究では、𝑁 = 1024, Δ𝑥 = 3.63 × 10−6, 𝜆 = 659 × 10−9 であった。

𝑧 <

1024 × (3.63 × 10

−6

)

2

659 × 10

−9

= 0.0205

(4.1-1) となり、適用距離は約20.5 mm 以下となった。 

1 回フーリエ変換法

(2.3-23)式より

𝑧 >

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

= 0.0205

(4.1-2) となり、適用距離は約20.5 mm 以上となった。 これらより、実験系の光学素子の大きさの関係からイメージセンサから20.5 mm 以 下の距離での計測物体の撮影は不可能だったため、再生計算にはコンボリューション 法ではなく、1 回フーリエ変換法を用いた。

(34)

また、シェイカーキャップを撮影した実験における条件も下記に示す。 

コンボリューション法(シェイカーキャップ)

(2.3-16)式より

𝑧 <

1

𝜆𝑁(Δ𝑓

𝑥

)

2

=

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

ここで、𝑁 = 1024, Δ𝑥 = 3.63 × 10−6, 𝜆 = 659 × 10−9 である。

𝑧 <

1024 × (3.63 × 10

−6

)

2

633 × 10

−9

𝑧 < 0.0205

(4.1-3)

となり、適用距離は約20.5 mm 以下となる。 

1 回フーリエ変換法(シェイカーキャップ)

(2.3-23)式より

𝑧 >

𝑁Δ𝑥

2

𝜆

𝑧 > 0.0213

(4.1-4)

となり、適用距離は約21.3 mm 以上となる。 これらより、コンボリューション法では実験系の光学素子の関係からイメージセン サーから21.3mm 以下の距離で計測物体の撮影は不可能だったため、再生計算には同 じく1 回フーリエ変換法を用いた。

(35)

4.1-2 強度画像の出力

3.2 手順Ⅰで撮影したホログラムを Fig. 4-1.1 に示す。計測物体は 10 円玉である。

(A)

(B)

Fig. 4.1-1 各位相シフトでのホログラム 次に、(A)のホログラムに対し、MATLAB を用いてフレネル回折計算を施し、出力 した強度画像をFig. 4.1-2 に示す。このとき、物体からイメージセンサ面までの距離 に相当する再生距離として別途オートフォーカシングで求めた値である171.365mm を採用した。 Fig. 4.1-2 1 回フーリエ変換による強度再生像(A) また、ホログラム(B)から得られた強度再生像を Fig. 4.1-3 に示す。 Fig. 4.1-3 1 回フーリエ変換による強度再生像(B)

(36)

4.1-3 位相差像の出力

Fig. 4-1-1 のホログラムに対し、MATLAB で処理を施し、得られた位相差像を Fig. 4.1-4 に示す。Fig. 4.1-4(a)は位相差像であり、Fig. 4.1-4(b)は位相差像中の点線部分 における横軸方向のラインプロファイルを示している。 以下に示す位相差像の横軸(長さ)はすべてpixel 値で示してある。(2.3-19)式よ り、再生像における画素ピッチは30.4μm/pixelであった。 選択した波長はFig. 3.1-4、Fig. 3.1-5 で示しているように、0.658992 μmと 0.659280 μmであった。(2.4-9)式より、等高線間隔は∆ℎ =0.724 mm となる。硬貨表 面の凹凸は0.5 mm 程度であるので、Fig. 4.1-4 を見てわかるように、位相とびが生じ ず1つの等高線内での計測ができていることが確認できた。ただし、Fig. 4.1-4 で再生 像にスペックルノイズが重畳している。このように、スペックルノイズの影響がある 場合は表面形状の計測が困難となる。 (a) 位相差像 (b) 点線部分におけるラインプロファイル Fig. 4.1-4 位相差像とラインプロファイル

(37)

4.1-4 ノイズ処理を施した位相差像の出力

前節において得られた位相差像では、スペックルノイズが重畳しているため、表面 形状の計測には適さない。そのため、移動平均フィルタと、2.4-4 節で記述したフィル タ組合せβで示された手順で平滑化処理を2 回繰り返し、スペックルノイズ低減処理 を行った。この移動平均フィルタは、フィルタ組合せβと比較するため、5×5 ピクセ ルを1 回目、3×3 ピクセルを 2 回目にかけている。 各計測物体に対して、移動平均フィルタで処理した位相差像をFig. 4.1-5 に示す。 また、フィルタ組合せβで処理した位相差像をFig. 4.1-6 に示す。 どのフィルタにおいてもそれぞれの位相差像とラインプロファイルから繰り返し回 数に応じてノイズが低減されていることが確認できた。 (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.1-5 移動平均フィルタによる平滑化処理 (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.1-6 フィルタ組合せβフィルタによる平滑化処理

(38)

4.2 形状維持性能評価

4.2-1 評価方法

平滑化処理を行い、得られた位相差像やラインプロファイルを比較することで、各 フィルタの評価を行った。本研究では、比較の基準としてTable 3.1-3 で示したレーザ 顕微鏡により得られた高さ分布のデータを用いた。レーザ顕微鏡より得られたデータ をFig. 4.2-1 に示す。このレーザ顕微鏡データは、横軸をピクセル数で表した位相差 像に合わせてリサイズしている。 (a) 高さ分布画像 (b) 点線におけるラインプロファイル Fig. 4.2-1 レーザ顕微鏡より得られた高さ分布データ

また、フィルタ処理を行うごとにMSE(平均二乗誤差:Mean Squared Error)で評 価した。 形状が崩れたり、ノイズが多いとこの値は大きくなるので、形状維持とノイズ 除去の評価に適していると考えた。

(39)

4.2-2 全体での比較、評価

まず、移動平均フィルタ、フィルタ組合せβでフィルタ処理を実施したときのライ ンプロファイル(図で縦軸が 370pixel, 392pixel の場所、それぞれ𝑃370, 𝑃392と表す)と、 レーザ顕微鏡データにより得られた、それぞれ同じ縦軸と見なした場所でのラインプ ロファイルを比較した。比較範囲をFig. 4.2-2, Fig. 4.2-3 に示す。 各データを同グラフ内に記録したものと、そのときのMSE を Fig. 4.2-4~7 に示 す。また、MSE を比較しやすいようにまとめた。ここで、5×5 ピクセルのフィルタ と強度の大きいピクセルの採用数を増やしたことの有用性を示す。以前本研究室で扱 った3×3 ピクセルのフィルタで強度の大きいものから 3 個、4 個、3~5 回目を 5 個採 用するフィルタ(以後旧フィルタ)と旧フィルタを参考に5×5 ピクセルで強度の大き いものから9 個と 3×3 ピクセルで強度の大きいものから 4 個取るフィルタ(以後 5× 5 旧フィルタ)を作成し、これらのフィルタを施した際の MSE も合わせて Table 4.2-1 に示している。 MSE を見ると、フィルタ処理の繰り返し回数に応じて値が小さくなっていることか ら、誤差が低減されていることが確認できた。ラインプロファイルに示すdata1 はフ ィルタ処理を行ったデータであり、点線で表されているdata2 はレーザ顕微鏡データ である。

(40)

(a) 𝑃370 (b) 𝑃392 Fig. 4.2-2 比較範囲 (フィルタ処理データ)

(a) 𝑃370に相当する位置 (b) 𝑃392に相当する位置

(41)

MSE = 274.81 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 274.10 (b) 2 回

(42)

MSE = 269.48 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 259.00 (b) 2 回

(43)

MSE = 310.40 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 308.86 (b) 2 回

(44)

MSE = 308. 42 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 298.45 (b) 2 回

(45)

Table 4.2-1全体MSE まとめ

ラインプロファイルではそれぞれのフィルタで大きな違いは見られなかったが、フィル タ処理を施したMSE の値において 2 地点ともフィルタ組合せβが良好であった。また、 旧フィルタ2つと比べても改善が見られる。これは形状を崩すことなくノイズを除去でき ているからと思われる。

(46)

4.2-3 エッジ部分での比較、評価

次に、本研究では形状維持性能に優れたフィルタの作成を目的としているため、エッジ 部分において同様の方法で比較する。比較範囲は𝑃370の横軸180~220pixel(エッジ A)と 230~270pixel(エッジ B)、𝑃392の130~180pixel(エッジ C)と 180~220 pixel(エッジ D)の部分について比較した。比較範囲をFig. 4.2-8に示す。また、フィルタ処理データ とレーザ顕微鏡データとのラインプロファイルの比較とMSE を Fig. 4.2-9~16 に示す。最 後にMSE をまとめたものを Table 4.2-2 にまとめた。先ほどと同じく旧フィルタと旧 5× 5 フィルタの MSE も載せている。

(A) 𝑃370180~220pixel (B) 𝑃370230~270pixel

(C) 𝑃392 130~180pixel (D) 𝑃392180~220pixel Fig. 4.2-8 エッジ部分の比較範囲

(47)

MSE = 139.13 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 98.36 (b) 2 回

(48)

MSE = 136.76 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 94.57 (b) 2 回

(49)

MSE = 221.93 (a) 繰り返し 1 回 MSE = 186.18 (b) 2 回 Fig. 4.2-11 エッジ部分(B)におけるラインプロファイル (移動平均フィルタ)

(50)

MSE = 199.01 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 141.11 (b) 2 回

(51)

MSE = 64.97 (a) 繰り返し 1 回 MSE = 46.64 (b) 2 回 Fig. 4.2-13 エッジ部分(C) におけるラインプロファイル (移動平均フィルタ)

(52)

MSE = 55.23 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 35.69 (b) 2 回

(53)

MSE = 89.74 (a) 繰り返し 1 回 MSE = 75.94 (b) 2 回 Fig. 4.2-15 エッジ部分(D) におけるラインプロファイル (移動平均フィルタ)

(54)

MSE = 89.74 (a) 繰り返し 1 回

MSE = 74.84 (b) 2 回

(55)

Table 4.2-2 エッジ MSE まとめ このようにどの評価点でも移動平均に比べて組合せβの方がMSE の値がよくなった。 また、ラインプロファイルを見ると、フィルタ組合せβに比べて移動平均ではエッジ始点 と終点がなだらかになっている傾向が見て取れる。さらに、旧フィルタと旧5×5 フィルタ と比べて、エッジB のみフィルタ組合せβが劣っているが、その他は良好で、突出してよ い地点も見られた。以上のことからフィルタ組合せβの有用性を示すことができた。

(56)

4.2-4 エッジの傾きの比較、評価

MSE はスペックルノイズ除去と形状維持をバランスよく評価することに適している。 ここでさらに形状維持を重視した評価として、エッジの傾きによる評価方法を採用した。 具体的には、レーザ顕微鏡のデータとフィルタリングした位相差像ラインプロファイル からエッジ部分を直線で表し、その近似式の x の係数からエッジの傾きを求める。真の値 (形状)に近いと考えられるレーザ顕微鏡とフィルタリング後のデータの傾きを比較した。 この位相差像のエッジの傾きがレーザ顕微鏡データのエッジの傾きと近ければフィルタ 適用後もエッジ部分の鈍りが抑えられ、形状維持ができているといえる。 まずレーザ顕微鏡のラインプロファイルのエッジ部分を調べていく。4.2-3 で評価したエ ッジ部分と同じ場所の傾きを求めた。レーザ顕微鏡のグラフをFig.4.2-17 ~ 20 に示す。 Fig. 4.2-17 レーザ顕微鏡 エッジ(A) Fig. 4.2-18レーザ顕微鏡 エッジ(B)

(57)

Fig. 4.2-19 レーザ顕微鏡 エッジ(C) Fig. 4.2-20 レーザ顕微鏡 エッジ(D) 上記の 4 枚はそれぞれの測定場所でのレーザ顕微鏡のエッジ部分である。点線部はそれぞ れのエッジ部分を近似した直線で、図中に示した式のx の係数が求める傾きを示している。 続いて、移動平均フィルタ、フィルタ組み合わせβについて、それぞれのエッジごとに Fig. 4.2-21 ~28 に記す。

(58)

Fig. 4.2-21 移動平均フィルタ エッジ(A)

(59)

Fig4.2-23 移動平均フィルタ エッジ(B)

(60)

Fig4.2-25 移動平均フィルタ エッジ(C)

(61)

Fig4.2-27 移動平均フィルタ エッジ(D) Fig4.2-28 フィルタ組み合せβ エッジ(D) それぞれのエッジ部分に対して、図中に示したx の係数、誤差をまとめたものを Table 4.2-3 に示す。*誤差と表すのは {(顕微鏡のエッジの傾き-フィルタのエッジの傾き)/顕微鏡のエッジの傾き}×100(%) を計算したもので、この値が小さければ小さいほどレーザ顕微鏡の値に近く、形状維持が できているといえる。比較をしやすいようにこのような計算をした。 ラインプロファイルで見て左側のエッジをL、右側を R としている。

(62)

Table 4.2-3傾きまとめ

この結果からエッジD の傾き L 以外は組合せ β の値が良好で、そのエッジ D でも両者に 大きな差はない。そのためエッジの傾きから見ても組合せβは形状維持の面で優れている ことがわかる。

(63)

4.3 アンラッピング適応性評価

4.3-1 位相差像の出力

撮影したホログラムに対し、MATLAB を用いて再生処理を施した。4 章 1-1 節とで

示すように、再生計算には1 回フーリエ変換法を用いた。同一条件で撮影した位相差像

をFig. 4.3-1(a)に示す。また、フィルタ処理後のものを Fig. 4.3-1(b)に示す。

(a) フィルタ前

(b) フィルタ後

(64)

4.3-2 サンプリングした位相差像の出力

位相差像を広範囲にアンラッピングすることを試したが、ノイズが多いため、エラーが 頻発し、フィルタの優劣を判断することがやや困難であったため、評価には領域を狭く したものをいくつかサンプリングした画像を用いた。

Fig. 4.3-2(a)~(d)に移動平均でフィルタ処理を施した位相差像、Fig. 4.3-3(a)~(d)にフ

ィルタ組合せγでフィルタ処理を施した位相差像を示す。(d)全体で示す点線部が、それ ぞれ(a)左上、(b)右上、(c)下のサンプリングした箇所である。 (a)左上 (b)右上 (c)下 (d)全体 Fig. 4.3-2 サンプリング像 (移動平均フィルタ)

(65)

(a)左上 (b)右上

(c)下 (d)全体

(66)

4.3-3 アンラッピング

サンプリング後、フィルタリングを施した位相差像に対してアンラッピングを行った。 移動平均フィルタの処理後のものをFig. 4.3-4(a)~(c)、フィルタ組合せγの処理後の ものをFig. 4.3-5(a)~(c)に記した。また、3.2-1 に示したように二次元フーリエ変換を用 いて二値化したエラーマップの移動平均フィルタとフィルタ組合せγについてそれぞ れFig. 4.3-6(a)~(c)、Fig. 4.3-7(a)~(c)に示す。

(a)左上 (b)右上

(c)下

(67)

(a)左上 (b)右上 (c)下 Fig. 4.3-5 アンラッピング像(フィルタ組合せγ) (a)左上 (b)右上 (c)下 Fig. 4.3-6 エラーマップ(移動平均フィルタ)

(68)

(a)左上 (b)右上 (c)下 Fig. 4.3-7 エラーマップ(フィルタ組合せγ) アンラップした位相差像とエラーマップから、どの地点も組合せγの方がエラーが減って いるのが見て取れる。このことから作成したフィルタの有用性が見られた。

(69)

第 5 章 総括

5.1 まとめ

本研究で作成した5×5 ピクセルのフィルタにおいて移動平均フィルタと比較し MSE、 エッジの傾きから比較・評価をすることによってノイズ除去と形状維持に優れたフィルタ であることが確認できた。そして以前研究室で扱った旧フィルタから改善できたことも確 認した。 しかしながらこのフィルタをラッピングされた画像に用いたところ移動平均フィルタ同 程度のアンラッピングエラーが生じ、アンラッピングに対して有効に作用してないことが 分かった。これは用いた画像にノイズが多く見られたためと考えられたので、アンラッピ ングエラーを低減するためには形状維持性能を多少犠牲にしても、ノイズ除去効果の高い フィルタを採用する必要があった。このため、改良版としてフィルタ組合せγを開発した ところ、従来のフィルタに比べアンラッピングエラーを低減できることが分かった。

5.2 今後の課題

本研究で扱った10 円玉とシェイカーキャップにおいて、ノイズ量が大きく違ったためフ ィルタを変えなければいけなかった。実用的には、ノイズの多い少ないにかかわらず有効な フィルタの開発が今後の課題として挙げられる。 また、シェイカーキャップを撮影する際、金属光沢のため光の散乱の関係で10 円玉を 撮影した場合に比べノイズが多く、フィルタ処理だけでは除去しきれないほどであった。 そのためLD の温度をコントロールするといった撮像環境の向上や、金属光沢をがある資 料でもノイズの少ないデジタルホログラフィを撮影する方法を見つけることなどが挙げら れる。

(70)

謝辞

本研究を行うにあたり、ご指導、ご教授いただきました高橋佳孝准教授に深く感謝 の意を示すとともに深く御礼申し上げます。 主査を担当してくださいました高田和正教授、副査を担当してくださいました 花泉修教授には大変お世話になりありがとうございました。 本研究は多くの方々のご指導をもとになされたものであり、様々な面でご協力をい ただいた関係諸氏に改めて感謝し、御礼申し上げます。

(71)

学会発表

岡田昂也, 関口龍太郎, 福島麻都花,高橋佳孝

“デジタルホログラフィにおけるノイズ除去フィルタの開発”

“Development of noise removal filter in digital holography”

第 19 回レーザー学会東京支部研究会

P-8,東京 3 月 8 日(2019)

国際会議

Takaya Okada, Yoshitaka Takahashi;

“Noise Removal Filter in Phase-Shifting Digital Holography ”

5th International Symposium of Gunma University Medical Innovation and

9th International Conference on Advanced Micro-Device Engineering

(72)

参考文献

[1] I. Yamaguchi, T. Zhang

“Phase-Shifting Digital Holography” Opt. Lett., 22, 1268 (1997)

[2] M. Yonemura

“Wavelength-change characteristics of semiconductor lasers and their applications to holographic contouring”

Opt. Lett., 10, 1 (1985)

[3] 早崎芳夫

“ディジタルホログラフィ”, 朝倉書店 (2016)

[4] Y. Awatsuji, T. Tahara, A. Kaneto, T. Koyama, K. Nishio, S.Ura, T.Kubota and O.Matoba

“Parallel Two-step Phase-shifting Digital Holography” Appl, Opt., 47, D183 (2008)

[5] O. Matoba, K. Hosoi, K. Nitta, and T. Yoshimura

“Fast acquisition system for digital holograms and image processing for three-dimensional display with data manipulation"

Appl. Opt., 45, 8945 (2006)

[6] I. Yamaguchi, S. Ohta, J. Kato

“Surface contouring by phase-shifting digital holography” Opt. Lasers Eng., 36, 417 (2011)

[7] 新宮正和

“位相シフトデジタルホログラフィによる位相差像の取得”, 群馬大学大学院修士論 文 (2017)

(73)

[8] Y. Takahashi, M. Shingu, M. Saito, T. Nakajima, R. Sekiguchi and M. Chiba

"Noise Filter for Surface Shape Measurement in Digital Holography" Appl. Mec. Mater., 888, 47 (2019)

(74)

Appendix

章 Fig. Number Figure title ファイル 2 章 Fig. 2.1-1 ホログラフィの仕組み (a) 記録時 (b) 再生時 Fig. 2.1-1.jpg Fig. 2.1-2 デジタルホログラフィ Fig. 2.1-2.jpg Fig. 2.2-1 4 段階位相シフトデジタルホログラフィ Fig.2.2-1.jpg Fig. 2.3-1 フレネル回折積分 Fig. 2.3-1.jpg Fig. 2.4-1 二波長法の原理 Fig. 2.4-1.jpg Fig. 2.4-2 スペックルノイズ処理 Fig. 2.4-2.jpg Fig. 2.4-3 3×3 移動平均フィルタ Fig. 2.4-3.jpg Fig. 2.4-4 5×5 移動平均フィルタ Fig. 2.4-4.jpg Fig. 2.4-5 複素振幅と位相誤差の関係 Fig. 2.4-5.jpg Fig. 2.4-6 強度の大きい画素の平均をとるフィルタ Fig. 2.4-6.jpg Fig. 2.4-7 フィルタ組合せβ Fig. 2.4-7.jpg Fig. 2.5-1 アンラッピングエラー Fig. 2.5-1.jpg Fig. 2.5-2 フィルタ組合せγ Fig. 2.5-2.jpg 3 章 Fig. 3.1-1 実験系 Fig. 3.1-1.jpg Fig. 3.1-2 計測物体(10 円玉) Fig. 3.1-2.jpg Fig. 3.1-3 LD の注入電流に対する発振波長 Fig. 3.1-3.jpg Fig. 3.1-4 電流値82 mA でのスペクトル Fig. 3.1-4.jpg Fig. 3.1-5 電流値87 mA でのスペクトル Fig. 3.1-5.jpg Fig. 3.1-6 実際に使用した実験系 Fig. 3.1-6.jpg Fig. 3.1-7 ホログラムの撮影 Fig. 3.1-7.jpg Fig. 3.1-8 画像の再生 Fig. 3.1-8.jpg Fig. 3.2-2 測定試料(金属製キャップ) Fig. 3.2-2.jpg Table 3.1-2 CMOS カメラの特性 Table 3.1-2.jpg Table 3.1-3 CMOS カメラの特性 Table 3.1-3.jpg

Table 3.2-1 LD の特性 Table 3.2-1

4 章 Fig. 4.1-1 各位相シフトでのホログラム Fig. 4.1-1.jpg Fig. 4.1-2 1 回フーリエ変換による強度再生像(A) Fig. 4.1-2.jpg Fig. 4.1-3 1 回フーリエ変換による強度再生像(B) Fig. 4.1-3.jpg

(75)

4 章 Fig. 4.1-4 位相差像とラインプロファイル (a)位相差像 (b)点線部分におけるラインプ ロファイル Fig. 4.1-4.jpg Fig. 4.1-5 移動平均フィルタによる平滑化処理 (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.1-5.jpg Fig. 4.1-6 フィルタ組合せβフィルタによる平滑化処 理 (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.1-6.jpg Fig. 4.2-1 レーザ顕微鏡より得られた高さ分布データ (a)高さ分布画像 (b)点線におけるラインプ ロファイル Fig. 4.2-1.jpg Fig. 4.2-2 比 較 範 囲 ( フ ィ ル タ 処 理 デ ー タ ) (a)𝑃370 (b)𝑃392 Fig. 4.2-2.jpg Fig. 4.2-3 Fig. 4.2-3 比較範囲 (レーザ顕微鏡データ) (a) 𝑃370に相当する位置 (b) 𝑃392に相当する位置 Fig. 4.2-3.jpg Fig. 4.2-4 𝑃370におけるラインプロファイル(移動平均 フィルタ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-4.jpg Fig. 4.2-5 𝑃370におけるラインプロファイル(フィルタ 組合せβ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-5.jpg Fig. 4.2-6 𝑃392におけるラインプロファイル(移動平均 フィルタ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-6.jpg Fig. 4.2-7 3 次元プロファイル (a)フィルタなし (b)フ ィルタあり (c)フィルタなしとありの差 Fig. 4.2-7.jpg

Fig. 4.2-8 エッジ部分の比較範囲(A) 𝑃370180~220pixel

(B) 𝑃370 230 ~ 270pixel(C) 𝑃392 130 ~ 180 pixel (D) 𝑃392180~220pixel Fig. 4.2-8.jpg Fig. 4.2-9 エッジ部分(A)におけるラインプロファイル (移動平均フィルタ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-9.jpg Fig. 4.2-10 エッジ部分(A) におけるラインプロファイ ル(フィルタ組合せβ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-10.jpg Fig. 4.2-11 エッジ部分(B)におけるラインプロファイル (移動平均フィルタ) (a) 繰り返し 1 回 (b) 2 回 Fig. 4.2-11.jpg

Fig. 3.1-2 計測物体(10 円玉)
Fig. 3.1-6  実際に使用した実験系
Fig. 4-1-1 のホログラムに対し、MATLAB で処理を施し、得られた位相差像を Fig.
Fig. 4.2-2 比較範囲  (フィルタ処理データ)
+7

参照

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