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第 4 章 実験結果

4.2 形状維持性能評価

4.2-1 評価方法

平滑化処理を行い、得られた位相差像やラインプロファイルを比較することで、各 フィルタの評価を行った。本研究では、比較の基準としてTable 3.1-3で示したレーザ 顕微鏡により得られた高さ分布のデータを用いた。レーザ顕微鏡より得られたデータ

をFig. 4.2-1に示す。このレーザ顕微鏡データは、横軸をピクセル数で表した位相差

像に合わせてリサイズしている。

(a) 高さ分布画像

(b) 点線におけるラインプロファイル

Fig. 4.2-1 レーザ顕微鏡より得られた高さ分布データ

また、フィルタ処理を行うごとにMSE(平均二乗誤差:Mean Squared Error)で評 価した。 形状が崩れたり、ノイズが多いとこの値は大きくなるので、形状維持とノイズ 除去の評価に適していると考えた。

4.2-2 全体での比較、評価

まず、移動平均フィルタ、フィルタ組合せβでフィルタ処理を実施したときのライ ンプロファイル(図で縦軸が370pixel, 392pixelの場所、それぞれ𝑃370, 𝑃392と表す)と、

レーザ顕微鏡データにより得られた、それぞれ同じ縦軸と見なした場所でのラインプ ロファイルを比較した。比較範囲をFig. 4.2-2, Fig. 4.2-3に示す。

各データを同グラフ内に記録したものと、そのときのMSEをFig. 4.2-4~7に示 す。また、MSEを比較しやすいようにまとめた。ここで、5×5ピクセルのフィルタ と強度の大きいピクセルの採用数を増やしたことの有用性を示す。以前本研究室で扱 った3×3ピクセルのフィルタで強度の大きいものから3個、4個、3~5回目を5個採 用するフィルタ(以後旧フィルタ)と旧フィルタを参考に5×5ピクセルで強度の大き いものから9個と3×3ピクセルで強度の大きいものから4個取るフィルタ(以後5×

5旧フィルタ)を作成し、これらのフィルタを施した際のMSEも合わせてTable 4.2-1に示している。

MSEを見ると、フィルタ処理の繰り返し回数に応じて値が小さくなっていることか ら、誤差が低減されていることが確認できた。ラインプロファイルに示すdata1はフ ィルタ処理を行ったデータであり、点線で表されているdata2はレーザ顕微鏡データ である。

(a) 𝑃370 (b) 𝑃392

Fig. 4.2-2 比較範囲 (フィルタ処理データ)

(a) 𝑃370に相当する位置 (b) 𝑃392に相当する位置 Fig. 4.2-3比較範囲 (レーザ顕微鏡データ)

MSE = 274.81 (a) 繰り返し1回

MSE = 274.10 (b) 2回

Fig. 4.2-4 𝑃370におけるラインプロファイル(移動平均フィルタ)

MSE = 269.48 (a) 繰り返し1回

MSE = 259.00 (b) 2回

Fig. 4.2-5 𝑃370におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

MSE = 310.40 (a) 繰り返し1回

MSE = 308.86 (b) 2回

Fig. 4.2-6 𝑃392におけるラインプロファイル(移動平均フィルタ)

MSE = 308. 42 (a) 繰り返し1回

MSE = 298.45 (b) 2回

Fig. 4.2-7 𝑃392におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

Table 4.2-1全体MSEまとめ

ラインプロファイルではそれぞれのフィルタで大きな違いは見られなかったが、フィル タ処理を施したMSEの値において2地点ともフィルタ組合せβが良好であった。また、

旧フィルタ2つと比べても改善が見られる。これは形状を崩すことなくノイズを除去でき ているからと思われる。

4.2-3 エッジ部分での比較、評価

次に、本研究では形状維持性能に優れたフィルタの作成を目的としているため、エッジ 部分において同様の方法で比較する。比較範囲は𝑃370の横軸180~220pixel(エッジA)と 230~270pixel(エッジB)、𝑃392の130~180pixel(エッジC)と180~220 pixel(エッジ

D)の部分について比較した。比較範囲をFig. 4.2-8に示す。また、フィルタ処理データ

とレーザ顕微鏡データとのラインプロファイルの比較とMSEをFig. 4.2-9~16に示す。最 後にMSEをまとめたものをTable 4.2-2にまとめた。先ほどと同じく旧フィルタと旧5×

5フィルタのMSEも載せている。

(A) 𝑃370180~220pixel (B) 𝑃370230~270pixel

(C) 𝑃392 130~180pixel (D) 𝑃392180~220pixel Fig. 4.2-8 エッジ部分の比較範囲

MSE = 139.13 (a) 繰り返し1回

MSE = 98.36 (b) 2回

Fig. 4.2-9 エッジ部分(A)におけるラインプロファイル(移動平均フィルタ)

MSE = 136.76 (a) 繰り返し1回

MSE = 94.57 (b) 2回

Fig. 4.2-10 エッジ部分(A) におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

MSE = 221.93 (a) 繰り返し1回

MSE = 186.18 (b) 2回

Fig. 4.2-11エッジ部分(B)におけるラインプロファイル

(移動平均フィルタ)

MSE = 199.01 (a) 繰り返し1回

MSE = 141.11 (b) 2回

Fig. 4.2-12 エッジ部分(B) におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

MSE = 64.97 (a) 繰り返し1回

MSE = 46.64 (b) 2回

Fig. 4.2-13 エッジ部分(C) におけるラインプロファイル

(移動平均フィルタ)

MSE = 55.23 (a) 繰り返し1回

MSE = 35.69 (b) 2回

Fig. 4.2-14 エッジ部分(C)におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

MSE = 89.74 (a) 繰り返し1回

MSE = 75.94 (b) 2回

Fig. 4.2-15エッジ部分(D) におけるラインプロファイル

(移動平均フィルタ)

MSE = 89.74 (a) 繰り返し1回

MSE = 74.84 (b) 2回

Fig. 4.2-16 エッジ部分(D)におけるラインプロファイル(フィルタ組合せβ)

Table 4.2-2エッジMSEまとめ

このようにどの評価点でも移動平均に比べて組合せβの方がMSEの値がよくなった。

また、ラインプロファイルを見ると、フィルタ組合せβに比べて移動平均ではエッジ始点 と終点がなだらかになっている傾向が見て取れる。さらに、旧フィルタと旧5×5フィルタ と比べて、エッジBのみフィルタ組合せβが劣っているが、その他は良好で、突出してよ い地点も見られた。以上のことからフィルタ組合せβの有用性を示すことができた。

4.2-4 エッジの傾きの比較、評価

MSEはスペックルノイズ除去と形状維持をバランスよく評価することに適している。

ここでさらに形状維持を重視した評価として、エッジの傾きによる評価方法を採用した。

具体的には、レーザ顕微鏡のデータとフィルタリングした位相差像ラインプロファイル からエッジ部分を直線で表し、その近似式の x の係数からエッジの傾きを求める。真の値

(形状)に近いと考えられるレーザ顕微鏡とフィルタリング後のデータの傾きを比較した。

この位相差像のエッジの傾きがレーザ顕微鏡データのエッジの傾きと近ければフィルタ 適用後もエッジ部分の鈍りが抑えられ、形状維持ができているといえる。

まずレーザ顕微鏡のラインプロファイルのエッジ部分を調べていく。4.2-3で評価したエ ッジ部分と同じ場所の傾きを求めた。レーザ顕微鏡のグラフをFig.4.2-17 ~ 20に示す。

Fig. 4.2-17 レーザ顕微鏡 エッジ(A)

Fig. 4.2-18レーザ顕微鏡 エッジ(B)

Fig. 4.2-19 レーザ顕微鏡 エッジ(C)

Fig. 4.2-20 レーザ顕微鏡 エッジ(D)

上記の 4 枚はそれぞれの測定場所でのレーザ顕微鏡のエッジ部分である。点線部はそれぞ れのエッジ部分を近似した直線で、図中に示した式のxの係数が求める傾きを示している。

続いて、移動平均フィルタ、フィルタ組み合わせβについて、それぞれのエッジごとに Fig. 4.2-21 ~28に記す。

Fig. 4.2-21移動平均フィルタ エッジ(A)

Fig4.2-22フィルタ組み合せβ エッジ(A)

Fig4.2-23移動平均フィルタ エッジ(B)

Fig4.2-24フィルタ組み合せβ エッジ(B)

Fig4.2-25移動平均フィルタ エッジ(C)

Fig4.2-26フィルタ組み合せβ エッジ(C)

Fig4.2-27移動平均フィルタ エッジ(D)

Fig4.2-28フィルタ組み合せβ エッジ(D)

それぞれのエッジ部分に対して、図中に示したxの係数、誤差をまとめたものを Table 4.2-3に示す。*誤差と表すのは

{(顕微鏡のエッジの傾き-フィルタのエッジの傾き)/顕微鏡のエッジの傾き}×100(%) を計算したもので、この値が小さければ小さいほどレーザ顕微鏡の値に近く、形状維持が できているといえる。比較をしやすいようにこのような計算をした。

ラインプロファイルで見て左側のエッジをL、右側をRとしている。

Table 4.2-3傾きまとめ

この結果からエッジDの傾きL以外は組合せβの値が良好で、そのエッジDでも両者に 大きな差はない。そのためエッジの傾きから見ても組合せβは形状維持の面で優れている ことがわかる。

4.3 アンラッピング適応性評価

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