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二者間バイアス の間 にどう割って入るか

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(1)

二者間バイアスの間にどう割って入るか

How the third participant gets into other two-parties bias in turn-taking

宮崎太我

1

榎本美香

1

Taiga Miyazaki

1

, Mika Enomoto

1 1

東京工科大学 メディア学部

1

Tokyo University of Technology, School of Media Science

Abstract: The purpose of this study is to clarify how the third party gets into the two-parties bias in

turn-taking. The two-parties bias means that the previous speaker(A) of the current speaker(B) is likely to be the

next speaker(A→B→A). The analysis data are the seven pairs in the three-person conversation corpus of

Chiba University (total of 66 minutes 2 seconds, total of 21 people). We extract the turns which taken by

the third participant after the 4 turns which uttered by other two parties. We classify the utterances based

on the contents into following 8 categories : Sideswipe(38%), Elaborate(29%), Show own knowledge,

Mutter to oneself(5%), Say to no particular one(4%), Talk second story(4%), Talk after an addressing(3%),

and Talk as a chairman(1%). This result shows that the third participant acquires the turn by means of

special strategies.

1.はじめに

Sacks ら(1974)[2]が提唱している話者交替規則

は、会話参与者の人数に関わらず誰もがターン(発

話権

)を取れるシステムになっている。ターンはタ

ーン構成単位とよばれる単位から構成され、その終

端は母語話者の聞き手なら誰でも予測できる。そし

て、その単位が終わると話者交替にふさわしい場所

である話者移行適格場

(transition relevant place; TRP)

となる。

TRP までに、話し手がある一人の聞き手に

呼びかけるか視線を向けるかしていて

(宛先をあて

ていて)、質問や確認など隣接ペア第一部分となる

発話をすれば、その聞き手が次話者に選択されたこ

とになる。一方で、話し手が複数の聞き手に視線を

向けたり呼びかけたりしていたり、逆に誰も見てい

なかったり呼びかけていなかったりして、陳述や応

答など隣接ペア第一部分ではない発話をすれば、聞

き手のうちで

TRP において真っ先に話し出した者

が次話者になる。この場合、どの聞き手も同様に次

話者になる権利が与えられることになる。

しかし、Sacks ら[2]は次のようにも指摘する。会

話参与者が三人以上の時、順番順序に偏りが生じ

る。

「直前の話し手が次の話し手に」なりがちだと

いう。これを高梨

(2016)[3]は「二者間バイアス」と

呼んでいる。例えば、3人(A,B,C)の会話において

順番に

A→B→C や C→B→A など、3人が順番に

話者交替を行うのは珍しい。往々にして、A→B→

A や B→A→B などのように、直前の話し手が次の

話し手になりがちだというのである。この時、三人

(C)に話者交替の機会がなく、会話から取り残さ

れてしまうことになる。

榎本・伝

(2006)[1]では、3 人会話において同じ二

人がやり取りを継続するケースが約4割(256 発話交

換のうち

104 回)あるとしている。こういった場

合、三人目はいかにしてターンを取ることができる

のだろうか。本研究では、多人数会話のうち3人会

話を対象とし、二者間バイアスにより会話から取り

残された三人目

(C)がどのような発話内容によって

話者交替に割って入るのかを明らかにする。

2.方法

2.1 分析資料

千葉大学の学内にあるラウンジ施設で収録され

た、大学生・大学院生・ポスドクを含む友達同士の

3 人の日本人グループ7組分を分析資料とする。1

組あたりの会話は約

9 分 30 秒であり、計約 1 時間

となる。各セッションの開始前にサイコロを振って

話題(「情けない話」「ビックリした話」「びびった

話」

「恋の話」

「腹の立つ話」

「当たり目(

「臭い話」

か「大事件」

)を決めたが、参加者はその話題に

固定されることなく、自由に話題を変えて良い旨が

教示された。

人工知能学会研究会資料 SIG-SLUD-B802-07

(2)

2.2 三人目の発話の抽出

会話に参加する参与者3人中の

2 人(A,B)が 2 回

以上発話交換した後、残る

1 人(C)が発話する箇所

を抽出すると、79 箇所あった。

3.分析

得られた

79 箇所の発話を内容に応じて分類すると、

1) 横槍を入れる、2) 前の発話を詳細化する、3) 知

識的権限に基づいて話す、

4) 独り言をいう、5) 誰に

ともなく発話する、

6) 宛先を得て話す、7) セカンド

ストーリーを語る、

8) 司会的な発話をするの8つと

なった。以下に詳述する。

3.1 横槍を入れる

二者で話している内容にメタ的な意見や揶揄を差

し挟むものを「横槍を入れる」とする。

事例

1 では、C が自身の塾での講師時の体験を話

している(01, 02)。B は C の話を受けて、「なんでだ

ろ」

(05)、「みんなの前でってことかな」(08)など

話を掘り下げる質問をしている。しばらく、

C と

B のやり取りが続く。08 の B の質問に対する C の

応答(11)が終わった段階で、A は「(I_うん)(I_う

ん)」(13)と相づちを打った後、「(D_ン)てか先生が

そういうことを言うっていうこと(0.343)が:(1.437)

ないことになってるから日本とかだと:」(14)と、

あるクラスの生徒たちの話から、日本の教師の規

範に視点を移し替える発話をしている。

(事例 1 ) 0132:1.03.804-1.50.565 なお、転記中の記号は以下の意味を持つ。 [ 左角括弧は上下の行で重複開始位置を示す ] 右角括弧は上下の行での重複終了位置を示す (数字) その秒数の間が空いていることを示すす (.) わずかの間(0.1 秒前後)があることを示す (F_文字) フィラー発話であることを示す (D_文字) 言いさし発話であることを示す (I_文字) 応答・感動詞形の発話であることを示す (T_文字) 言い怠け発話であることを示す 01 C: でわたしがちょっと参考にこの人くだけた意見だか ら:(.)まあ(.)こういう意見も(0.412)まっとうな意見な んだよ(.)と(.)論点作るときはこれも:(0.347)こういう のもありなんだよ(.)と思って:(0.119)出した話題 が:(0.967)(F_あの:)(0.125)まあセクシャルな話題だっ たのね (0.893) 02 C: で:(0.555)やっぱり反応悪いんだ 03 B: (I_うん) 04 C: [(D_トー) ] 05 B: [なんでだ ]ろ (0.824) 06 C: 興味はあるんだけど: (0.900) 07 C: それを(0.525)なんて(W_ヌー|言う)んかな: たぶんすぐいやらしくなっちゃってそんなこと自分:が 言うのは:(.)(D_ン)問題があると思っちゃうんじゃない のかな: 08 B: みんなの前でってことかな 09 C: それは:あると思う 10 たぶん(T_コ-|個別)(.)個別だったらそれほど問題 (0.398) 11 [(T_ワ-|わたし)[わたしじゃな]くって友 ]達同 士だったらあんまり問題ないんだろうけど: 12 B: [(I_うん) ] 13 A: [(I_うん)(I_うん) ] → 14 A: (D_ン)てか先生がそういうことを言うっていうこと (0.343)が:(1.437)ないことになってるから日本とかだ と: 15 C: そうなのか[な: ] 16 A: [すごく聞きづらい]んじゃない(0.13)と (0.548)わたしは思う 17 (F_あの)(.)バイトとかしてる[と: ] 18 C: [(I_うん)](I_うん)(I_う ん)(I_うん)

この横槍を入れたのおかげで、

A は B と C の会

話に参入し、二者間バイアスを解消している。この

ようなケースは

30 例観測された。

3.2 前の発話を詳細化する

先行する発話に出てきた言葉を用いてより詳しい

内容を聞き返すものを「前の発話を詳細化する」と

する。

事例2では、B が「常に腹立つ」と自分が腹が立

ちやすい話をしている

(01)。A は B の話を受けて、

「まじで」(02)、「おかしいよ」 (04)など否定的に

受け答えしながら会話をしている。しばらく、

A と

B のやり取りが続く。06 の A の発話後に 1.424 秒

の間が空き、

A が「つうか腹いてえな」(08)と自分

の体調の話に話題転換させた。C は 07 の A の発話

に対して、

(T_ハ-|腹)腹いてえ」(08)と 07 の「腹い

てえ」という言葉を反復して、その点についてさら

に話すよう聞き返している。それをきっかけに、腹

の痛い話へと話題が転換していった。

(事例2) 0232:0.20.301-0.31.020 01 B: 常に腹立つ(W_シュ|し)ね

(3)

02 A: まじで 03 B: (I_うん) まじで 04 A: おかしいよ 05 B: (I_うん)[ストレスたまっちゃう] 06 A: [腹なんか立 ]つ: (1.424) 07 A: つうか腹いてえな →08 C: (T_ハ-|腹)[腹いてえ] 09 A: [<笑 ] [[ ] >] 10 C: [<笑>] 11 B: [何 しゃれ]? 12 <[笑> [ ] 13 A: [(W_チャレ|しゃれ)]ちゃい]ねえ 14 C: [<笑> ] ] 15 腹の痛い[話: ] 16 B: [<笑 ]>

この詳細化のおかげで、

C は A と B の会話に参入

し、二者間バイアスを解消している。このようなケ

ースは

23 例観測された。

3.3 知識的権限に基づいて話す

二者で話している内容について、自身がより詳し

い知識を持っている場合、それを発話するものを

「知識権限に基づいて話す」とする。

事例3では、C が中欧旅行についての話をしてい

(02,04)。A は C の話を受けて、「(I_うーん)」(05)

と相づちをうつ。

A の発話「オーストリアウイーン

とか」

(12)をきっかけに話題はウィーンへと転換す

る。A が「(W_ウイー|ウイーン)いい町だよ:」(15)

というと、

C が「でも結局(.)きっとさ:(0.348)(T_カ-|

カフェ)(0.112)カフェ(0.111)カフェに行くとかいうの

できっと

(.)半日使うん(0.426)と」(16)とカフェだけ

で半日が過ぎてしまうと少し否定的な意見を言って

いる。その発話後に、

B が「(I_え) でもねウイーン

の(0.683)(F_あの:)(F_その)大通り(0.157)有名な所

(0.523)には(0.172)全部揃ってるんですよ有名なカフ

ェも有名なお土産屋さんも大聖堂も」(18)とウィー

ンについて詳しい知識を語り、一つの通りで事足り

ることを示す。すると、A と C は相づちをうち、A

は「ウイーンね

:いい町だよね」と 15 の発話を再度

繰り返す。

(事例3) 0632:0.08.229-0.58.203 01 A: (I_(W_ホーン|うーん)) 02 (I_え) 03 じゃプラハと他は? 04 C: (F_えーっとね)中欧:の:ツアーに(D_イコ)(.)プラハ[だけ っていうのが]なく [て:] 05 A: [(I_うーん) ] [(I_]うーん) 06 C: で:(.)自分でモデルコースを考えるも面倒だ [か ら: ][もう完全パ ]ッケージにしようと思って(.) 中欧三か四か国(0.247)めぐりで(0.781)チェコ(0.166) と:(0.536)オーストリ [ア(0.142)と][:(0.992) ]ハンガリー 07 A: [(I_あー)][(F_んー)まあね] 08 [(I_おー:) ][いいないいな] 09 (I_[あー ]:) 10 B: [(I_うん)] 11 C: の旅みたいな感じ[で: ] 12 A: [オーストリ]アウ[イーンと ]か 13 B: [(I_へえ:)] 14 C: (I_うん) ウイーン 15 A: (W_ウイー[|ウイーン)いい町だよ:] 16 C: [でも結局(.)きっとさ ]:(0.348)(T_カ-|カフ ェ)(0.112)カフェ(0.111)カフェに行くとかいうの[で き]っと(.)半日使うん(0.426)と 17 A: [<笑>] →18 B: (I_え) でもねウイーンの[(0.683) ](F_あの:)(F_その)大 通り[(0.157)有]名な所(0.523)[には(0.172)]全部揃って るんですよ 有[名なカフェも]有名なお土産屋[さん[も大 ] 聖堂 ][も ] 19 C: [(I_うん)] [(I_うん) ] [(I_うん) ] 20 A: [(I_うん:) ] 21 C: [(I_ん) ] 22 A: [(I_うん:) ] 23 C: [(I]_うん) 24 B: 全部歩いて行ける距離にあった[から ] 25 C: [(I_うーん)] 26 A: ウイーンね:いい[町だ ]よね 27 C: [なん<声>]

このようなケースは

13 例観測された。

3.4 独り言をいう

二者が会話をしている途中や合間に、独り言を挟

むものを「独り言をいう」とする。声のトーンが低

く、視線を誰にも向けていないなどの特徴がある。

事例4では、B が「(I_あれ) 去年は一月の前半だ

ったよね」

(01)と C のサークルの演奏会の話を持ち

出し、C がこれに応えている (02,03,04)。ここから

B と C は共有知識に基づいて当時の話をしだす。C

の「でも

:打ち上げして次の日一コマから出たよ」

(12)という話に対し、A が「つらい」(16)と C の気

持ちに寄り添うように独り言を発する。すると、次

C の発話(17)では「予習を冬休み前にして」まで

(4)

はどこも見ていないが、0.686 秒の間の間に視線が

A に向けられそれ以降 A を見ながら発話が完了す

る。すると、

A は「[(D_ツ)][ <笑>]がんばったね:」

(21)と次のターンを取る。

(事例4) 0332:3.11.917-3.33.667 01 B: (I_あれ) 去年は一月の前半だったよ [ね ] 02 C: [(I_うん)] 03 そうそう 04 [冬休 ]み:すぐだったから 05 B: (I_[うん)] 06 (I_うん) 07 まだ:[(0.832)テス]ト前だったよね 08 C: [(I_ふん) ] 09 C: (I_ふん) テス[ト[前(W_ヤッ|だっ)た]けどね: 10 B: [(I_うん) ] 11 A: [(I_うーん) (0.817) 12 C: でも:打ち上げして次の日一コマから出たよ 13 A: (I_あ[あ[)] []<笑>] 14 B: [(I[_]お[]ー:)] 15 C: [<笑> ] →16 A: つ[らい] 17 C: [予習]を冬[休 ]み前にして[(0.686) ]全]然覚 えてなかっ[た] 18 B: [(I_おー)] 19 [(I_うわ:)] 20 A: [(D_ツ) <笑>] 21 [が]んばったね [:でも[(T_チャン-|]ちゃんと)(0.473)ねちゃんと]予 習するあたりがえらい[よ あんた] 22 B: [(I_うわ) ] 23 C: [がんばったよ: ] 24 [えらいで ]しょ[う ] 25 A: [(I_う]ん) 26 B: (I_うん)

このようなケースは

4 例観測された。

3.5 誰にともなく発話する

二者が会話している途中や合間に、誰に向かって

でもなく自分の意見や感想を無責任に差し挟むもの

を「誰にともなく発話する」とする。

事例5では

B が目玉焼きの焼き加減と消化の関

係について話をしている

(01)。C は B の話を受けて

消化が遅いのはいいのかどうかと問う

(02,04)。視線

C は B に向けており、B を次話者に選択する第

一部分である。次に話し手となるのは当然

B であ

り、B も「(I_うん)たぶん」と第二部分を発してい

る。ところが、この時同時に、

A も「おなかいっぱ

(D_ン)だよ」(05)と、前の発話との繋がりが不明

確な発話を開始している。おそらく消化が悪くなる

とお腹が一杯だ、という意味であるが、唐突に挟ま

れている。そして、

B の第二部分の後に、もう一度

A が「<笑> いっぱいじゃん」(07)と先の発話を繰

り返す。これに対し

B が「意味がわかんねえよ:」

(08)と取り上げてくれたおかげで、この後 A と B の

やり取りへと移行する。

(事例5) 0232:1.28.876-1.39.283 01 B: たくさん焼くと:消化が遅くなるんだって 02 C: それどっちがいいんだろうね 03 B: 遅くなんないほうがいいんじゃ[ない] 04 C: [遅く]なんないほうが いいの →05 A: [おなか ]い[っぱい(D_ン)]だよ 06 B: [(I_うん)] [たぶん ] →07 A: <笑> [い ]っぱいじゃん 08 B: [意味が]わかんね[えよ][: ] 09 A: [<笑>] 10 C: [<笑>]

このようなケースは3例観測された。

3.6 セカンドストーリーを語る

二者が会話している内容に類似した体験話を挟む

ものを「セカンドストーリーを語る」とする。

事例6では

B が高校の教育実習に行った時のこ

とを話している

(01)。B が実習生の恋の話に生徒た

ちが食いついた出来事を話すと(01,03,05)、A は学

校と塾の教師の違いについて話し出す

(10,11,13,16,

19)。A の「なんか(0.318)(D_ヤ)クラスん中にさ一

人でもそういう先生の彼女ってどんな人ですか

:と

かいう発話するなんかこう(0.767)トリガーとなる

子がいるとさ

:」(26)に対して、B が「トリガー」

と反応すると、C が「わたし今持ってる[クラスみ

んな

]トリガーばかりだからすごくいやだ」と自身

の体験談を語りだす。

(事例6) 0132:5.30.316-7.03.987 01 B: でもわたし高校の:(0.479)教育実習に行ったとき に:(0.7)一緒に(1.093)やった:(0.455)男の先生が [:(0.861)]結構そういう個人的なことを(.)話す人で: 02 C: [(I_うん)] 03 B: で生徒も(I_あ)この先生は(0.155)聞いたら教えてくれ る(.)と思って(0.327)すごいいろいろこう先生の彼女は どんな人ですか[(.)とか言って質問して]きて:

(5)

04 C: [<笑> ] 05 B: こう最後になんでも話してもいい(0.141)時間を作ろう ってことになって:(0.888)その:実習生が(0.309)生徒に 向かって:(1.076)別にまその場で思いついたことを一時 間ぐらい話すっていう時間があったんだけども 06 も全部もう(0.263)そういう(0.495)恋の話についての (0.174)質問に[答えるっていう時間になってしま]って 07 C: [(I_ふう:ん) ] 08 (I[_うん) ] 09 A: [(I_うん)] 10 学校の先生とかだと逆にやり易くない 11 (F_その)授業以外でも一緒にいるから:[(0.901) ]ちょっ と人間(0.619)らしさがまだあるじゃん 12 C: [(I_うん)] 13 A: なんか塾の先生とかってほ[んとに(0.643)]要点だけ教 えてくれて:(0.296)受験テクニックとか(0.682)勉強の 内容とか教えてくれる:ちょっとマシー[ン的なもの]と して(0.377)見てる人が多い気がして: 14 B: [(I_あー) ] [(I_うん) ] 15 C: (I_うん) 16 A: だ[から急(W_イ|に)(.)急に] 17 B: [手段だもんね ] 18 A: そう 19 急になんか(F_その)自分の生活に近しいような発言を されるとちょっとびびるって[いう子が[(0.58)多 ]いよ うな気が 20 B: [<笑> [ ] 21 C: [(I_うーん]) 22 B: そうか: 23 塾だからかな: 24 学校だともうちょっと(0.653)なんて言うか人間的な触 れ合いを求められてんのか [もしれないけど ] 25 A: [わかん(W_ナ|ない) 学校にもよるん]じゃ(W_ナ|ない) 26 A: なんか(0.318)(D_ヤ)クラスん中にさ一人でもそういう 先生の彼女ってどんな人ですか:とかいう発言するなん かこう(0.767)トリガーとなる子がいるとさ[: ] 27 B: [<笑]> 28 C: <笑> 29 B: [トリ]ガー] 30 A: [<笑 ] ][ > ] 31 C: [<笑>] →32 C: [わたし今持って]る[クラスみんな]トリガ ーばかりだ[からすごく嫌だ<]笑> 33 A: [ぐあっとこう] [<笑> ] 34 C: み:んなもう勝手なこと[しゃべってて][な[かなかまと] まんないんだよ] 35 A: [<笑> ] [それ:やら れると困るけど ] 36 B: [<笑> ]

このセカンドストーリーのおかげで、

C は A と B

の会話に参入し、二者間バイアスを解消している。

このようなケースは3例観測された。

3.7 宛先を得て話す

二者間バイアスのうちのどちらかが、視線によっ

て第三者を次話者に選び、選ばれた第三者が発言す

ることを「宛先を得て話す」とする。

事例7では

A と B がどのように恋の話をするか

話しているが、A は 13 で突然鯉の話を始める。そ

のとき、

A の視線が C に向けられていたため、16

C が「(I_あー) そっちですね」と反応し、ター

ンを取ることができた。

(事例7) 0732:0.48.050-1.03.857 01 B: いつもの調子で[話すん ]じゃないかって説が 02 C: [(I_はい)] 03 A: (I_あー) 04 (I_え) だめなんだ 05 テープの回ってるとこで話さな[い そんなの ] 06 B: [(I_あー)そうな]んだ 07 A: (I[_う[ん) ] 08 C: [そう ] 09 B: [<声>]オフレ[コなん]ですね[: ] 10 C: [(D_ン)] 11 A: [(I_うん]) 12 B: でもいっぱい話すんだ 13 A: (T_コ[-|恋)(T_コ[-|恋) ]恋の話って言えばあれだね(F_ あの)(W_イバラギ|茨城)で鯉がいっぱい死んだね 14 B: [(D_ウ) [ ] 15 C: [(D_ン)] →16 C: (I_あー) そっち[ですね ] 17 A: [そう (I_]うん[) ] 18 C: [(I_はい)] 19 A: でもそっから話どうやって膨らませようか 20 C: (I_うーん)

この宛先のおかげで、

C は A と B の会話に参入

し、二者間バイアスが解消されている。このような

ケースは2例観測された。

3.8 司会者的な発話をする

二者の会話が一段落したとき、第三の者が司会者

のような発話を「司会的な発話をする」とする。

(6)

事例8は事例5の続きで

A と B が消化と体の関

係性について話している

(02,03)。06 の A の発話で

会話は一度終結する。その後、

B が「話題を止める

つっこみか」

(11)と会話を続けようとしたが、また

会話は止まってしまった。自分の発話の失態に気づ

いた

A が「や:ばいな」(13)などと発話するも、間

ができてしまう。そのタイミングを見計らった

C

が「

(I_はい)」(15)と視線と手によって A を次話者

に選び、そこから会話が仕切り直される。

(事例8) 0232:1.46.794-2.06.984 01 B: (W_[ワアン|わかん)ない 02 栄養の吸収率が違うんじゃない]の 03 A: [(T_カラ-|体)(.)体には悪い かも知らんけど] 04 C: (I_あー[: ] [ )] 05 B: [(I_うん)] 06 A: [なん]で (2.728) 07 B: すごい[(.) []な][<笑> ] 08 A: [<笑> ] 09 C: [< ][笑 [] > ] 10 A: [< ][笑 > ] 11 B: [話題を止める[つっこみ か <笑]>] 12 C: [<笑> ] (1.193) 13 A: や:ばいな 14 こりゃ (1.806) →15 C: (I_はい) 16 A: (I_はい) 17 <[笑> ] 18 B: [(I_は:い)[じゃねえよ]<笑]> 19 C: [<笑> ] 20 A: (D_ン)な[がれたか 今[<笑> ] 21 C: [今同時に [(W_ジガッ|違っ)た 今]<笑> 22 B: [<笑> ]

このようなケースはこの1例である。

4. 議論

ほとんどのケースで自ら率先して特殊なや

り方でターンを取得していることが分かる。

「横槍を入れる」ということは、他の二人が話

している内容と水準の異なるメタ的な発話を

することであり、今までとは異なる視点を提

供するものである。「前の発話を詳細化する」

ということは、先行する発話に出てきた言葉

を用いてより詳しい内容を話すよう促すもの

で修復に近くなる。

「知識的権限に基づく発話」

ということは、他の二人より自身の方が知識

があること、ひいては自分の方に話す権限が

あることを示すものである。

「独り言をいう」

ということは、他の二人のターンとは関係な

く発話を開始できる。

「誰にともなく発話する」

ということは、他の二人が話している最中や

合間に、誰に向かってでもなく、自分の意見や

感想を差し挟むものであり、無責任な発話の

ため、それまでの会話を止めてしまったり、場

の空気を変えてしまうこともある。

「セカンド

ストーリーを語る」には、他の二人が話してい

る体験と類似した体験をした場合でないとで

きない発話であり、自身の体験を披露すると

いう形で「知識的権限に基づく発話」に近い。

「宛先を得て話す」というやり方は最も自然

で話者交替規則に基づくものである。二者間

バイアスのうちの一人が宛先に選んでくれた

ことで次話者として選択されて話しているこ

とになる。この8分類の中で唯一自らの率先

行動ではないものとも言える。

「司会者的な発話をする」は他の二人の会

話が一段落した時に出現し、次の会話の進行

を司るものである。そもそも、一端直前のやり

とりが終了していた箇所といえる。

以上のような

8 つが二者間バイアスから離脱

するために使われる方略である。

「宛先を得て

話す」を除く7つは自ら率先して特殊なやり

方でターンを取得していると言える。このよ

うな特殊なやり方でしか割って入れないとい

うことは、やはりそもそも二者間バイアスが

参与者達の間に存在していたことを裏付ける。

参考文献

[1] 榎本美香・伝康晴.(2006).3 人会話における発話交換 構成員の推移の分析.社会言語科学学会第 17 回大会 論文集(pp.12-15).

[2] Harvey Sacks, Emanuel A. Schegloff and Gail Jefferson. “A simplest systematics for the organization of turn-taking for conversation.” Language,50(4) (1977) , 696-735; (H.サックス/E.A.シェグロフ/G.ジェファソン/西 坂仰 訳/S.サフト 翻訳協力. (2010).『会話分析基本

論集「順番交替と修復の組織」』世界思想社

[3] 高梨克也. (2016). 「基礎から分かる会話コミュニケ ーションの分析法」ナカニシヤ出版

参照

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