DAISY(デイジー)教科書の取り組み
(公財)日本障害者リハビリテーション協会
情報センター長 野村美佐子
デイジーとは
デイジーとは、Digital Accessible Information SYstemの頭文 字をとり、日本語訳は「アクセシブルな情報システム」。印刷物 を読むことが困難な人々(print disability)のために製作される デジタル録音図書の国際規格である。
デイジーの開発と維持は、1996年に設立され、現在50カ国以 上の会員で構成するデイジーコンソーシアム
(http://www.daisy.org)が行っている。
デイジー3仕様は、ANSI/NISO Z39.86-200Xとして、デイジー4 仕様がANSI/NISO Z39.98-2012 として認定されている。
EPUB3仕様は、デイジーのアクセシビリティ機能を含んでいる。
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デイジー教科書の特長
① ハイライトされたテキストと、音声、画像が同時に表示され、ど こを読んでいるかが確認できる。
② 目次や見出しをつかって、読みたいページに移動ができる
③ 再生ソフトにより、個々のニーズに合った読み方が可能。
読んでいるところをハイライト表示できる。
文字の大きさ、書体を変更できる。
読むスピードを変更できる。
背景色、文字の色を変更できる。
しおり(ブックマーク)や全文検索などの機能。
また、キーボードやマウスが苦手な利用者は、タッチパネルおよび iPad やiPhoneでも読むことができる。
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デイジー図書の種類
①
音声デイジー(ナビゲーション+音声)国内の視覚障害者が利用している図書の多くがこの種類。
②テキストデイジー(ナビゲーション+テキスト)
構造化されたテキストを合成音声(TTS)等を利用して再生する。
③マルチメディアデイジー(ナビゲーション+音声+テキスト)
テキストと音声が同期(シンクロ)する。画像が付くこともある。 音声は肉声またはTTSにて録音する。
国内では出版物や教科書の製作が行われている。
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デイジー教科書の提供について
2008年9月:教科書バリアフリー法の施行と著作権法の改
正により、ボランティ団体の協力を得てマルチメディアデ
イジーによる教科書を製作し、小学校と中学校の発達障
害等の児童生徒にCDによる提供を開始。
2009年4月:教科書出版会社からのデータ提供を受ける。
2010年1月:著作権法の改正により、視覚障害者以外の障
害(発達障害など)がある人に向けてマルチメディアデイ
ジー図書等を複製・自動公衆送信が可能となる。この改
正に基づき、同年10月よりダウンロードでの提供を開始。
デイジー教科書提供活動の現況
利用者:1105名(平成25年度10月)
利用者の在籍:特別支援学校、特別支援学級、通常学級、通常学級
+通級などの取り出し授業)
利用者の障害:発達障害(LD,ADHD,自閉症等)、眼球運動の障害、上 肢障害、脳性マヒ、知的障害、視覚障害(全盲、弱視)、構音障害など
利用方法:個別学習(通級指導)、家庭学習(1人または保護者と一緒 に)、通常学級での授業、テストの準備など
製作教科書:198冊
配布方法:CD-ROMまたはダウンロードでの提供
製作:デイジー製作団体ネットワーク(約141名が協力)
効果:読むことの抵抗感がなくなる。読むことに関心や意欲を持つ。
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