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『外国語学部紀要』発刊に際して 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

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Academic year: 2017

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時代の変化に対応する和英辞典を求めて(奥田)

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『外国語学部紀要』発刊に際して

外国語学部長    

宇佐見 太 市

 大阪の十三にある第七藝術劇場で、柳家小三治のドキュメンタリー映画『小三治』を観た。 康宇政監督が当代随一の噺家・柳家小三治に三年以上も密着して撮り続けた作品である。エド ワード・サイードの魂に心打たれ、それを伝えたいという衝動に駆られた佐藤真監督が、己の 感性で創出し、世に問うた作品『エドワード・サイード OUT OF PLACE』とイメージが重な った。両者とも、それぞれの被写体の人間像がみごとに映し出されている。ふだん著作を通じ て読者が知りうるエドワード・サイード像からいくぶん漏れた未知なる部分を佐藤真監督が観 客にそっと垣間見させてくれたように、康宇政監督も、高座にかけられる小三治師匠の完成さ れた芸の内側に潜む噺家・小三治の人間性をさりげなく表出した。四六時中、落語と格闘し続 けるひとりの噺家のひたむきな生き方を私たちはここに見てとることができた。

 三年以上の長きにわたってカメラを回し続けたとは言うものの、監督自身は被写体の柳家小 三治に対して不即不離の関係を保っていたにちがいない、と私は思う。小三治の口から時折り 洩れるなにげない言葉に私たちが真実味を感じるのは、監督と被写体のあいだにこうした一定 の距離感があったればこそで、まさしくこれが作品の隠し味となっている。

 私自身は昔も今も文才に恵まれてはいない。ただ、若き日に英文学の道を志してからは自ず と読書に耽溺するようになり、仕事柄、文筆活動にも勤しむようになった。しかし今、還暦を 目の前にして告白をするのも恥ずかしいが、文章表現に関しては未だに自信が持てないでいる。 だからこそ、表現するすべをしかと有した上述の映画監督のような人たちに私は脱帽せざるを えないのだ。康宇政監督のように、また佐藤真監督のように、観客を魅了する作品を創生する にはどうしたらいいのか、と真剣に考え込んでしまう。私たち研究者の立場から言えば、どの ような文章を綴って表現すれば読み手の心の琴線に触れることができるのかということになる。 未熟な私にはこれは永遠の課題である。

 だが幸いなことに、我が外国語学部の先生方は、常日頃から日本のみならず、広く海外にお いても活躍しておられる。世界中の権威ある学会で精力的に研究発表や講演をされ、また著名 な国際ジャーナルにも絶えず論文を載せておられる。現に本学部の多くの先生方は、学界をは じめとする各界からすこぶる高い評価を受けている。日本のみならず世界に向けて持論・自説

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を展開しておられる本学部の先生方のこのような日々の教育研究活動は、特筆に値する。  2009 年 4 月、既存の外国語教育研究機構を母体にして新たに外国語学部が誕生した。これを 機に、本誌も『外国語学部紀要』として生まれ変わった。専任教育職員の専門領域もこれまで 以上に多彩となった。今後、本誌を通じて学内外の研究者間の人的ネットワークがより一層堅 固なものとなり、さらには、実践知性としての外国語学研究の樹立を目指す本学部から発信さ れた先生方の雄渾な筆致の研究論文が、世界中の研究者の耳目を集めることを私は衷心より願 わずにはいられない。

 己の姿を映し出す己自身の言葉で真剣に綴られた研究成果には時空を超えた普遍性が存在す ると信じつつ、記念すべき創刊号を皆様方にお届けする。

 最後に、ご執筆いただいた方々、また編纂の労をお取りいただいた研究・メディア委員会委 員長・吉田信介教授をはじめとする委員会の皆様方、そしてさらには岩崎オフィスの事務職員 の皆様方に深甚な謝意を表したい。

参照

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