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慶田ゼミ Keida's Website slide macro 13

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Academic year: 2018

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(1)

... . . 資産価格と資産市場

慶田 昌之

(2)

家計の貯蓄と企業の投資は、異なる経済主体が自らの利益を 最大にするように決定している。

しかし、マクロ経済全体では、貯蓄Sと投資Iは、利子率な どの調整によって、等しくなるように決定される。

(3)

企業の投資は、銀行などの外部資金によって調達されること が多い。

多くは銀行借入などで調達されるが、究極的には、家計の貯 蓄によってまかなわれている。

(4)

企業の投資が、最終的な貨し手である家計から資金を調達す る手段は、

銀行借入を通じた調達 社債発行を通じた調達 株式発行を通じた調達 などがある。

このなかで、銀行借入は、銀行という主体を仲介者としてい るという意味で、間接金融という。

社債発行と株式発行を通じた調達は、最終的な借り手と最終 的な貨し手が、直接取り引きするという意味で、直接金融と いう。

(5)

家計は自分の貯蓄を、銀行預金、社債、株式の形で保有で きる。

家計は収益率とリスクの観点から、この選択をしていると考 えられる。

銀行預金は、元本と利払いが保証されており、リスクは少な いが、収益率も低い。

社債は、倒産などによって価値が目減りするリスクがあるが、 企業の業績には左右されずに利子が払われる。中程度のリス クと収益率をもつ。

株式は、企業の業績によって配当が変動したり、株式価値自 体が増減し、リスクが高いが収益率も高い資産である。

(6)

資産市場を考える上で、資産価格がどのように決定するかを 考える。

まず、安全資産について考えよう。

安全資産とは、リスクの全くない資産である。

(7)

今、毎期、配当dtが永久に支払いつづけられる債券がある と仮定する。

この債券が、ptで取り引きされているとしよう。

ある家計が、ptでこの債券を購入し、来期の配当dt+1を受 け取った上で、来期pt+1で売却するものとする。

この債券にはリスクがないので、この債券から得られる収益 率は、安全資産の利子率である。

dt+1+ pt+1

pt

= 1 + rt

(8)

この債券の価格ptは次のように書くことができる。

pt= dt+1+ pt+1 1 + rt

(9)

今、安全資産の利子率rtが時間を通じて一定であると仮定し よう。(すなわち、rt= r

このとき、来期のこの債券の価格ptpt+1

pt= dt+1+ pt+1 1 + r

pt+1= dt+2+ pt+2 1 + r

と書ける。

(10)

したがって、

pt= dt+1 (1 + r)+

dt+2+ pt+2

(1 + r)2

と書くことができる。

pt+nを繰り返し代入することによって、

pt= dt+1 (1 + r)+

dt+2

(1 + r)2 + dt+3

(1 + r)3 + dt+4

(1 + r)4 + · · · と表される。

(11)

この式の右辺を、債券の割引現在価値と呼ぶ。

各期の配当を利子率で割り引いた価値を、現在から将来にか けて、足し合わせたものである。

債券の価格が、その債券の割引現在価値に等しく決定すると いう意味で、このような債券価格の決定理論を、割引現在価 値モデルと呼ぶ。

(12)

割引現在価値モデルによると、次のようなことがわかる。 近い将来の配当の増減は、遠い将来の配当の増減よりも、大 きく現在の価格に影響する。

利子率r の上昇は、債券の価格 ptの低下をもたらす。

(13)

ここまでの分析は安全資産の価格についてであった。 リスクのある危険資産の価格についてはどうなるかを考 える。

安全資産は、危険資産に比べて平均的な収益率が低くても、 保有されると考えられる。

安全資産の収益率rと危険資産の収益率Rの間には、次のよ うな関係がある。

R= r + ρ

ただし、ρ >0

このρをリスクプレミアムと呼ぶ。

(14)

もし、R < r+ ρであるならば、危険資産は保有されず、安 全資産のみが保有される。

反対に、R > r+ ρであるならば、危険資産のみが保有され、 安全資産は保有されない。

したがって、安全資産と危険資産が同時に保有されているな らば、R = r + ρの関係が成り立っている。

全ての危険資産が、リスクの度合に応じたリスクプレミアム を考慮して、収益率が等しくなるような資産の取り引きを裁 定と呼ぶ。

この関係を裁定条件と呼ぶ。

(15)

危険資産(株式)の価格はどのように決定されるであろうか。 危険資産に投資した場合の収益から次のような式が得られる。

pt= dt+1+ pt+1 1 + R

裁定条件が満たされているとすると、これは次のように書き 換えられる。

pt= dt+1+ pt+1 1 + r + ρ ρはリスクプレミアムである。

(16)

安全資産の場合と同様の代入によって、危険資産の価格は次 のように表せる。

pt= dt+1 (1 + r + ρ)+

dt+2

(1 + r + ρ)2+

dt+3

(1 + r + ρ)3+

dt+4

(1 + r + ρ)4+· · · 割引現在価値モデルによる危険資産の価格である。

(17)

現実の危険資産のひとつである株式の価格は、割引現在価値 モデルにで説明できるだろうか?

割引現在価値モデルの株価への適用はあまりうまくいってい ない。

これには、(1)安全資産の利子率が変動すること、(2)リスク プレミアムが一定ではないこと、などが理由として考えら れる。

しかし、この2つの要因を十分考慮しても、説明できない部 分があると分かっている。

これは、人々の将来の予測が誤っている場合があること、バ ブルや投機などが株価に影響を持っているためはないかと考

(18)

株式の理論的な価格についてみてきた。

ところで、株式の価格は、その発行企業の価値を、市場が評 価したものと考えられる。

企業が良い業績をあげて、将来にわたって高い配当dtを支払 うことができれば、株価ptは上昇するという意味で、理論的 な株式の価格も、業績の良い企業に高い株式の価格がつくこ とがわかる。

(19)

割引現在価値モデルによると、株式の価格は、「現在から将 来にわたって、企業がどれだけの収益をあげることができる か」にしたがって、株式の価格が決定すると考えられる。

(20)

この点に注目し、トービンは企業の株式市場における企業の 評価という観点から、投資理論を考えた。

トービンのqは、

V = 株式市場で評価された企業の価値 K= 資本の再取得価格

とすると

q = V K と定義される。

(21)

株式市場で評価された企業の価値とは、株式市場でその企業 が評価されている価値を表し、具体的には、発行済株式の総 額である。

資本の再取得価格とは、企業が保有する資本の、市場での評 価を表す。したがって、もし企業が保有する資本を全て売却 した場合、その時に企業が得られる(金銭的)価値と考えら れる。

(22)

トービンのq理論によると、

トービンのq が1 を下回る場合には、企業が持っている資本 を使って操業して生み出される価値よりも、資本を売却して 得られる価値が高いことを意味する。したがって、企業は資 本を売却するマイナスの投資をすべきとなる。

逆に、トービンのq が1 を上回る場合には、現在の市場での 資本財の価格は、その企業がその資本を使って操業して生み 出す価値よりも低いことを意味している。したがって、企業 は資本を購入して自分の生産に用いるべき、すなわち、投資 をすべきとなる。

(23)

トービンのq理論は、前に説明した投資理論とは、まったく 別に考えられたものである。

ただし、ある仮定のもとでは、調整費用を含んだ新古典派投 資理論と同一であることが示されている。

(24)

トービンのq理論は、理論的な整合性の高い投資理論と考え らているが、現実の投資を説明するには、不十分である。 例えば、多くの企業のデータを用いた分析では、計算された トービンのqはたしかに投資に対して正の関係を持っている。 その一方で、トービンのq以外の、キャッシュフローなども、 投資に正の影響を与えることが分かっており、トービンのq 理論のみでは、企業の投資を完全には説明できていないと考 えられている。

参照

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