韓国
釜山
市地域実態調査報告(
2006
年
7
月
31
日~
8
月
4
日)
調査担当者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、李東勳、林松国Ⅰ
I・E社(
2006
年
7
月
31
日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、李東勳、林松国 取りまとめ担当:大西勝明
1999年設立 主要事業
インダクション・ヒーターの設計、生産 熱処理設備の設計、生産
熱処理FAシステムの設計、生産 数値制御、モニターの設計、生産
特に、INDUCTION HEATING UNITの開発、製作、生産 社是、モットー:信頼・革新・協調
国内のみならず世界のトップ企業になることを目指している。
技術者(有資格者):35名(設計・研究センター:12、生産:15、販売:5、管理:3。 多くの世界の有力企業に製品を納入している。
1.「現代自動車」の下請企業である
「現代自動車」は、40~50社の下請けを抱え、一次ベンダーは20~25%程度、残り は、二次以降のベンダーということである。I・E社は、インダクション・ヒーターの製作を 中心にして、「現代自動車」の一次ベンダーとして活躍しており、事業の90%以上が自動車で、 残りの10%が造船用の機器である。自動車産業の展開と共に成長してきている。自動車、造 船のみでなく、航空機、その他産業にも関係している。
2.一定の開発能力を構築している
研究開発費に売上高の10%以上を投資しており、重要な2件の特許を保有し、他にもノウ ハウを蓄積している。開発専門スタッフを有し、100%自社設計で対応している。
主として、インダクション・ヒーターの応用分野の開拓、最適なコイルのデザインの開発、 インダクション・ヒーター設計・開発の自動化、ビレットの自動搬送、その他の新製品開発、 大量生産や生産性向上に資する機器開発を手がけている。
産学協同、産官学をも実施、研究開発に重点をおいた戦略を展開している。 2000年には、ISO9000の認証を受けている。
3.外注企業の活用
安く、港に近いギメ周辺に外注先を活用して、生産に対応している。近隣に金属関係の産業集 積が形成されつつある。
4.事業の推移
設立後、顧客指向、工程面での技術革新、高付加価値の追及、トップ企業指向に順調に業績 を伸ばしてきている。業界団体でも活躍している。設計、金型加工、熱処理では、ノウハウを 蓄積してきている。
5.競争の激化
他方、厳しい競争と原料高に直面している。素材の銅は25%上昇、外注部品も60%値上 げといった事態に直面している。5企業と競争している。品質管理を実施しながらコスト削減 なので、状況は厳しい。中国製品とも競争、1億ウォンに類似する製品が2500万ウォンで 市場に出る。品質面では優れているが、低価格製品は追い上げられている。インド・パキスタ ンとも取引を拡大して、事業の拡充を目指している。
6.感想
インダクション・ヒーター、鍛造といった産業基盤を支える韓国中小企業の典型的な事例を 確認できた。下請けとしての立場を見極めながらも、設計から製作まで自立した体制の指向、 高度な技術化を指向していた。企業も、従業員も、対応者も比較的若く、活力を有しているよ うであった。
Ⅱ
ブサン発展研究院(
2006
年7月
31
日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、李東勳、林松国 説明者:Lee,JongPil(経済産業研究部 副研究委員) 取りまとめ担当:林松国
1.ブサン市の産業支援政策
1998年から市政府は十大戦略産業を支援の重点対象として定め、力を入れてきた。しかしこ
のような産業別の支援の効果を確認することが難しく、これからはいかにして支援の効率の高 めるかが課題であり、また新しい支援の方法も現在検討している。今後個別の産業支援よりブ サン経済全体の活性化を目的とした支援を目指していく。
①IT分野に関してはSOFTWARE支援センターを設立し、入居施設および関連設備を 企業に自由に使うために提供し、企業の宣伝活動も行う。またブサン現地の企業との交流活動 にも支援を行っている。
IT関連教育に、企業別支援、人材育成(一年間100人以上の専門人材の育成を目標してい る)、スター企業の選定および重点支援を支援政策の柱として支援活動を行っている。
韓国企業と現地の交流を促進している。
②映像産業(映画、ドラマなどの製作)に関しては、現在毎年ブサン国際映画祭が開催され ているが、映画の関連産業がないため市政府はその関連産業の誘致に力を入れているが、将来 的にブサンの中核産業になるかどうかは今の段階では判断できない。
政府の支援手段は金融面での利子補填が中心であり、主に銀行を通して支援を行う。政策を 通して直接的投入は大きくない。
2.IMF前後中小企業金融の変化
IMFの前は多様な中小企業を支援する機関があったが、IMF後その多くが統合された。 また銀行の大規模化と多くの小規模銀行が倒産したため、中小企業が利用できる窓口が減少し ている。
3.中小企業支援
ブサン市政府が支援基準を定め、中小企業総合支援センターが実施の管理を行う。具体的に、 ①市場開拓の支援、②金融支援、③人員交流、④技術支援などがある。信用保障に関しては別 の機関が行っている。
4.スニーカー産業について
ブサンのスニーカー産業を振興するため、市政府が履物産業を重点育成産業と定め、2000 年から2004年までの5年間で総じて4000億ウォンの支援を行った。支援金のほとんどが履 物産業振興センターの設立およびそのインフラ整備、または履物産業振興センターの人材育成、 研究活動に充てられ、個別スニーカー企業への支援はこれから行っていく。他地域に比べると、 履物産業にこれほどの支援は規模的に大きいといえるが、絶対額的にはそれほどの大きいな支 援ではない。
Ⅲ
釜山人的資源開発院訪問報告(
2006
年7月
31
日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、李東勳、林松国 説明者:Kyung‐Won,Kim
取りまとめ担当:姜徳洙
1.設立目的
釜山人的資源開発院は “国家人的資源開発基本計画”と “釜山広域市人跡資源開発及び科 学技術振興に関する条例”に根拠して地域人的資源開発を通じる地域人的資源養成及び地域経 済発展を促進するために設立された研究院である。
2.研究院の推進事業(2005年、2006年)
算と釜山広域市の財政である地域人材開発寄金を活用して多用な事業を遂行している1
る
。 ①事業内容
釜山人的開発院は釜山広域市の戦略産業において国際競争力向上のための人的資源開発部門 とe-Learningを通じる人的資源開発部門に大きく分けて事業を推進している。
釜山人的開発院が推進した事業とその概要について簡略にまとめると以下のとおりであ 2
■「コシアン」 。
②2005年度の推進事業概要
■e-Learning戦略産業中小企業管理者教育プログラム
⇒地域戦略産業に携わっている中小企業管理者の職務遂行能力強化。 ■国際マーケティング専門人材養成プログラム
⇒国際化が進展していくことにつれ、地域戦略産業連携に関わる専門人材が必要となり、国 際的専門家を育成(60名)。
■地域戦略産業関連の人的育成プログラム
⇒成長有望産業であるコンベンション及びシルバー分野に必要な専門人材養成を通じて必要 な人材を適切に供給。
③2006年度の推進事業概要
■女性を対象に戦略産業の人材育成
⇒多様な能力を持った女性を対象として、人的資源育成を通じて地域戦略産業に貢献できる 人材供給。
■中小企業の実務家に対する教育
⇒地域中小企業の成長と競争力強化のため中小企業に携わっている人々へのサポート。 3
Tel:82-51-510-0660
のアイデンティティ強化
⇒韓国学生とコシアン学生との交流プログラムの開発と運営。
3.今後の推進方向
釜山人的資源開発院は、大学と主要機関が参加する協議体としての活動支援及び政策開発 人的資源開発事業の役目と分担体制を確立して体系的な業務システム構築を目指している。
Ⅳ
Song Kyung-Soo
教授
(Catholic University of Pusan)
(
2006
年
8
月
1
日)
#9Pugok3-dong Keumejeong-gu, Pusan609-757,Korea
1
事業推進の予算は人件費が多く出費されている。
2 事業プログラムの教育講師は実務家が70%、大学教授が30%で構成されている。 3 韓国では、韓国の人とアジアの人が結婚して生まれた子供を「コシアン」と呼んでいる。
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、林松国、姜徳洙、李東勳 取りまとめ担当:黒瀬直宏
1.釜山スニーカー産業史
日本企業の「大陸護謨工業(株)」が1919年、釜山で韓国伝統のゴム靴の製造を始めたのが、 スニーカー産業の元となった。
スニーカー産業の最盛期は1970 年代で、ミズノ、アシックスなどの日本企業が韓国企業に 生産委託し、技術が移転されたのをきっかけに海外企業用のOEM生産が増え始めた。韓国人 は細かい仕事の技能が優れていた。また、政府も雇用創造のため、労働集約的産業を支援、そ のひとつがスニーカー産業だった。
80 年代後半、労働運動活発化、賃金上昇と共に競争力を失い、90年代に入り、中央政府は
産業合理化策を実施したが、効果なく、大手企業はスニーカーから撤退を始めた。
「国際商社」、「三和」、「進陽」、「和承」、「太和」が1~5位を占め(すべて釜山の企業)、「国 際商社」、「三和」、「進陽」はグループ企業化した。「プロスペクツ」ブランドの「国際商社」は グループ解体し、スニーカー生産を縮小。「三和」は倒産。「進陽」はスニーカー部品のビニー ル素材を生産。「和承」は自動車部品に進出し、スニーカーは縮小。「太和」はゴム手袋へ転換。 スニーカーを生産している場合でも「和承」だけが国内工場を維持している。
1997年の通貨危機により、残った中小企業も倒産続出。ピーク時5000社あったスニーカー
関連企業(素材メーカーを含む)は、2004年639社。
なお、三星、大宇、SKもスニーカー生産を行っていたが、やはり撤退している。
2.1980年代における衰退の要因
①外部環境としての三高、すなわちウォン高、素材高、賃金高が進行し、海外移転を迫られ た(「三和」はフィリピンへ、「国際商社」はインドネシアへ)。
②ナイキ等の外国発注者は韓国OEM企業の値下げ競争を煽った。
③大手五社は他分野へは投資したが、自社ブランド開発に向かわなかった、あるいは成功し なかった。「和承」は「ルカップ」という自社ブランドを創ったが、リーボック等が発注しなく なり、マーケティング戦略もなかった。「和承」の海外担当者は経営者にリーボックの株を持て と勧めたが、経営者は応じなかった。台湾にはナイキの株を大量購入し、対等な関係に立って いる企業がある。大手はODMも行い、技術開発の多くは韓国発になっていたが、ここから自 社ブランドへの壁が厚かった。
現在のトップは「太光」(金海・キメイ)で、ナイキ100%のOEMを行っている。利益のす べてをスニーカーの研究開発に当てており、ナイキとも深い関係を築いている。ベトナムにも 工場を持ち、1億ドル輸出し、ベトナムで2位の輸出額となっている。
Ⅴ
プサン履物産業振興センター(
2006
年
8
月
1
日)
Tel:82-51-979-1700 [email protected](Mr. Oh, Kyung-Tae)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、林松国、姜徳洙、李東勳 取りまとめ担当:黒瀬直宏
説明者:Oh, Kyung-Tae(Management Planning Team/Team Manager)、他2名
1.現況と企業の構成
プサンスニーカー産業の現況は下表のようによくなく、良いのは企業の5%である。 釜山スニーカー産業の現状
1998 2000 2001 2002 2003 2004 00~04
企業数 全国 1,339 1,705 1,685 1.602 1.432 1,303 -6.5%
釜山 860 894 883 813 721 639 -8.1% 割合 64.2 52.4 52.4 50.7 50.3 49.0 ― 雇用(千
人)
全国 31.7 33.5 30.4 27.8 24 20.6 -11.4% 釜山 21 18.7 15.9 13.4 11.6 9.6 -15.4% 割合 66.2 55.8 52.3 48.2 48.3 46.6 ― 付加価
値(十億 ウォン)
全国 1,012 1,028 1,323 1,089 1,001 899 -3.3% 釜山 ― 442.1 401 293.7 275.6 283.6 -10.5% 割合 ― 43.0 30.3 27.0 27.5 31.5 ―
資料:統計庁「鉱工業統計調査報告書」(各年度)、貿易会、KOTIS、釜山市鉱業・製造業調 査報告書
出典:釜山スニーカー産業振興センター「韓国スニーカー産業の動向」
企業は大きく完成品メーカー、部品メーカー、素材メーカーに分かれる。
完成品メーカーは100社、外国企業のOEM専業と自己ブランド企業がある(両者を兼ねて いる企業はない模様)。OEM企業はインドネシア、中国、ベトナムなどで生産している。自己 ブランド企業は国内市場が中心だが、日本向け(例、「Aison」)、アメリカ向け(「和承」はベ トナム工場から国内向けとは別ブランドで輸出)もある。5%の好調企業とは、ナイキ、アデ ィダスなどのOEM企業で、「太光」、「昌新」は優れた技術開発力を持ち、ナイキと深い関係を 築き、安定した生産をしている。
部 品 メ ー カ ー は 大 き く は Upper と Bottom に 別 れ 、 後 者 は Rubber, Polyurethane, Ethylene・Vinyl・Aceteto に分かれる。プサンの企業は海外移転企業へ部品供給をしている。
しかし、ナイキ、リーボック、アディダスなどは部品も東南アジアで求めるようになっており、 状況は厳しい。
生産は減少していたが、2005年に部品輸出がわずかながら増加した(前掲「韓国スニー カー産業の動向」10,11頁参照)。
本センターはスニーカー中小企業の振興のため国とプサン市から350億ウォンの投資を受け て2004年設立。人員35人。
先端技術を使ったスニーカーを研究開発し、自己ブランドメーカーを発展させ、部品メーカ ーの発展にもつなげる。狙いは、有名ブランドと競合しないニッチ製品の開発である。ある完 成品メーカーはシルバー製品を開発したが、このような特殊機能を付け加えた製品を開発し、 非価格競争を展開する。(日本の自転車部品メーカーシマノが 49%の株を持つ(株)宇研は自 転車用シューズが主力だが、「糖尿病によい紳士用革靴」を政府の補助金によって開発していた)。
本センター自身が見本として開発した「XMER」ブランドがある(販売はしない)。特定企 業との要請で共同開発も行う。特許は企業のもので、開発費用の70%はセンターが、残りは企 業が負担する。
このようなセンターは造船、自動車に関してもあり、これから「釜山デザイン研究センター」 も設立される。地方自治体がテクノパークを建設し、そこにセンターが中央・地方政府の出資 で設立されるというのが普通である。
3.北朝鮮との協力
先端製品の開発と同時に、もうひとつ期待しているのは北朝鮮との協力関係である。北朝鮮 のケソン工業団地はソウルから車で 1 時間である。すでにソウルから出勤している人もいる。 釜山からも 1 日以内で部品を供給できる。「三徳」というスニーカー企業が入居しており、従 業員は1300人、工場は100%稼動し、成功している。「三徳」の入居は試験的なものだったが、 成功したので、第2、第3段階と進出を進めたい。現在、企業の入居意向を尋ねているが、多 くの希望が寄せられている。
中国、東南アジアも賃金が上昇している。北朝鮮の労働者の賃金は 57 ドルで、残業代を加 えても65ドルである。中国は100ドルを超えている。しかも言語の問題もなく、手先も器用 である。物流コストも削減できる。政治問題があるが、北に期待している。韓国とアメリカの 間で FTA を交渉中で、ケソン工業団地の製品は韓国製としたいのだが、アメリカが反対して いる。アメリカと北との関係改善を望んでいる。南北間で大臣級の交渉が今でも行われており、 去年6月のAPECでも会談が行われ、北の大臣が当センターを訪問することになったが、北の ミサイル発射で中止になった。北に食料と共に6000万足用の部品も送ることになっていたが、 これも中止された。
Ⅵ
韓国貿易協会釜山支部訪問報告(
2006
年8月2日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、林松国 説明者:Sang‐Hyeon,Jo
取りまとめ担当:姜徳洙
1.釜山地域における貿易動向
は約6,300の企業が輸出・輸入に関連する事業を行っている。
したがって、釜山地域では全国の約7%の割合を占める企業が事業活動を行っている。これ らの企業活動によって、2006年上期(1~6月)、釜山地域における輸出は全国の2.4%を 占め、輸入に関しては、全国の2.8%を占めている。
続いて、釜山地域における貿易動向について輸出と輸入に分けてデータを中心にまとめてみ た。
2.輸出に関する動向
2006年 6月、釜山からの輸出は輸送機械と鉄鋼製品等の好調によって前年同月より23. 3%増の6億8,500万ドルの実績を残している。
(1)輸出の全体動向
単位(百万ドル、%) 年度
区分
2005年 2006年6月 2006年1月~6月
全国 釜山 全国 釜山 全国 釜山
輸出 284,419 (12.0)
6,763 (5.1)
28,111 (18.6)
685 (23.3)
155,504 (13.9)
3,805 (16.1)
注)①( )は前年同期及び同月比
②データは、「韓国貿易協会釜山支部」提供資料を基に作成。
(2)国別の輸出動向
単位(百万ドル、%)
年度 区分
2005年 2006年6月 2006年1月~6月
金額 増加率 金額 増加率 金額 増加率
中国 1,248 13.8 107 7.7 611 0.9 日本 1,055 △0.1 96 3.4 502 △7.0 米国 830 0.9 82 20.7 450 5.5 ドイツ 516 9.5 9 △82.9 277 64.6 パナマ 247 25.8 2 38.2 30 △78.6 合 計 6,763 5.1 685 23.3 3,805 16.1 注)データは、「韓国貿易協会釜山支部」提供資料を基に作成。
国別の輸出動向からみると、中国への輸出が増加している。その理由としては中国に進出し ている韓国企業の工場への輸出が増えていることによる。その主な輸出品はスニーカー部品、 鉄鋼製品(メッキ鋼板、鍛鋼)である。また、日本への輸出に関しては、魚肉、古鉄に関連し たものが幅広く増加している関係で、2005年9月以降、9ヵ月ぶりに輸出が増加している。
3.輸入に関する動向
(1)輸入の全体動向
単位(百万ドル、%) 年度
区分
2005年 2006年6月 2006年1月~6月
全国 釜山 全国 釜山 全国 釜山
輸入 261,238 (16.4)
7,446 (10.5)
25,954 (21.9)
800 (28.2)
148,467 (19.4)
4,143 (9.8)
注)①( )は前年同期及び同月比
②データは、「韓国貿易協会釜山支部」提供資料を基に作成。
(2)国別の輸入動向
単位(百万ドル、%) 年度
区分
2005年 2006年6月 2006年1月~6月
金額 増加率 金額 増加率 金額 増加率
中国 2,166 35.9 271 47.2 1,306 13.5 日本 1,549 △3.4 187 35.1 903 6.7 米国 789 △1.3 60 △13.4 404 0 ドイツ 302 18.3 24 △0.4 143 △2.5 ロシア 327 △7.3 29 139.2 155 24.1 合 計 7,446 10.5 800 28.2 4,143 9.8 注)データは、「韓国貿易協会釜山支部」提供資料を基に作成。
国別の輸入動向からみると、輸出と同様に中国からの輸入が大幅に増加している傾向がある。 特に、鉄鋼製品の輸入が6ヵ月連続で増加している。日本からの輸入品は自動車部品と金属切 削加工機械などがその主流を占めている。特に、自動車部品に関しては、日本からの輸入が増 加している関係で、米国からの輸入は減少しているのが大きな変化であると、韓国貿易協会釜 山支部から以上の説明を受けた。
4.釜山市における今後の課題:釜山地域における産業構造の再編
釜山市の産業基盤であった水産産業、スニーカー産業、繊維産業の規模が段々縮小してきた ことによって、これらの事業を中心に展開してきた中小企業は影響を受けている。
また、釜山地域における基盤産業であったスニーカー産業と繊維産業の衰退化が加速したこ とにより、これらの関連企業は釜山地域から海外への工場移転を図った。以上の点により、現 在の釜山地域における貿易関連産業全般は厳しい状況にある。
さらに、釜山市に拠点を持って事業活動をしている企業の97.7%が中小企業である。こ れらの中小企業は国内の販売に頼っている企業が多く、本来の釜山地域の特性である、貿易産 業、輸出に関して取り組んでいないのが現状である。
を目指して産業構造の再編事業を推進している。
Ⅶ
株式会社
YT
社(2006年8月2日)
対応者:営業理事 朴 氏
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、林松国、姜徳洙、李東勳 取りまとめ担当:大西勝明
概要
1970年釜山で設立
土地:604坪、建物:517坪 1997年株式会社YT
LGに勤めていた創業者が退職し、創業、設立した会社 LGの下請けとして事業を開始している。
洗濯機、冷蔵庫 プラスチック金型の製作を主たる事業としている。
プラスチック金型は、自動車、家電、半導体、携帯電話、雑貨関連等が主要対象製品で あるが、特に、家電製品を得意としている。
売上高(ウォン)
2001:43億 2002:54億 2003:52億 2004:47億、2005:57億
従業員構成
設計5名、CAMプログラマー:3、経理:1、生産:18、営業・管理:7
プラスチック金型では、高度な技術と蓄積し、高い評価を受けている。技術レベルは高 く、LG、三星電子とも取引がある。
以下のような特徴を有している。
1.LGの協力会社であり、三星とも取引がある 取引企業と事業内容
LG電子、LG化学、LG電子:昌原工場、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、掃除機、食器洗い機、
除湿機等の部品製造。 OTIS産電:モーター部品。
金海工場:ローター。
その他取引会社:現代自動車、起亞自動車、大林自動車、大成産業
分野により精度、ソリの処理等は多様であるが、CAD, CAM を稼動し、3次元データで、 多くの製品の精密な仕上げが可能とされた。高度な開発能力を有し、水準の高い金型製作を可 能としている。
2.系列を形成している
韓国・釜山における金型産業の草分け的存在で、多くの企業を育てている。協力会社も多く、 補完関係を形成している。具体的に、MOLD-BASE、材料、加工、部品に関する数社ずつの系 列企業を有する。協力会社と競争関係に陥ることはないらしい。ただ,日本でも、下請け再編 が進行しているが、韓国でも、類似した状態を迎えつつある。
3.国際的な活動をしている
松下、三洋とも取引がある。日本の企業を通して日本企業との取引を開始する。 松下電器:掃除機、冷蔵庫部品
三洋電器:掃除機部品
両社の株式会社楊亭に対する対応はことなる。松下は精度等に厳しい要求をしてくる。しか し、松下と取引をしているということで、信頼され、他の有利な取引を拡大する機会を得てい る。三洋は、三洋なりの対応をしている。
中国に仕事を出し、寧波に子会社を設立し、プラスチック金型を製作している。設備等は、 工場新しいだけに設備は新鋭のものを導入している。
ノウハウと工具が決め手となるが、専門家のこだわりが、中国的である。中国、ベトナムと 制度には差があり、価格とも連動している。製品価格は、総額で、日本での価格より5%程度 は低くなっている。また、賃金等国際的な諸条件を考慮して、最適な国際的な活動していくこ とを意図している。
4.業績の推移
1997のIMFの際は、現代自動車、LG電子とも輸出が伸びたこともあり、深刻な状況に は陥らなかった。売上高の推移は、先に指摘したが、現在は窮地にある。原料高、市場悪化で、 今年は厳しいということである。また、一時的な取引条件にこだわらず、長期的に良好な取引 関係が維持出来る対応している。
5.意欲的な経営者の姿勢
創業者がLGを退職して設立した会社だが、LGとの取引で、業績を伸ばし、技術能力を向 上させてきている。対応者も、非常に意欲的で、活発であり、企業を象徴している。国際的な 視野で事業を展望しており、今年は厳しそうであるが、自信が感じられた。
6.感想
韓国、特に、プサンにおけるプラスチック金型産業の集積過程を話してもらった。また、き たは、三星、南はLGという韓国の電気の経済地理がまなべた。
グローバル化は急展開しており、韓国にいて、韓国だから、日本の現状がよく見えるという 状況が確認できた。日本企業の現状が、韓国のベンダーに投影されており、ベンダーが事態の 本質を察知している。
韓国経営者の迅速な意思決定が指摘されるが、ネットワーク造りや緻密な配慮に基づいた国際 的な活動が、韓国企業の躍進を支えているようである。
Ⅷ
(株)
UK
(
2006
年
8
月
2
日)
訪問者:黒瀬直宏、大西勝明、姜徳洙、李東勳、林松国 とりまとめ担当:林松国
1.会社概要
創立:1988年6月10日
事業分野:靴およびその他製品の貿易 資本金:2.5億ウォン
売上:200億ウォン(シマノ関連の自転車靴が150億ウォン)、純利益100億ウォン 従業員:韓国本社50名、中国連雲港工場1000名
2.創業経緯
現社長が貿易会社DI社で勤務したときMTB CYCEL SHOESを開発し、1986年 に「CK 産業」を買収した。その後、日本のシマノ社と契約を結び現在の会社を作った。シマ ノが現在も当社の49%の株を持っている。
3.シマノとの関連
設立当初、シマノから技術者が派遣され、当社に常駐しながら技術指導、支援を行った。現 在、自転車靴の技術、品質保障面においては当社が完全に独自に行っており、シマノは新製品 のデザインだけ送ってくる。日本を含むシマノ自転車靴を生産するのが当社のみである。現在 シマノ自転車靴の世界シェアは30%である。
自転車靴は主にサイクリングショップで販売され、ライフサイクル期間は2年間前後である。 毎年約10種類の新製品が開発、生産されている。
シマノ自転車靴の輸出比率は欧米市場が7割で日本市場が1割である。将来的に中国市場が 有望であるが、現段階では自転車靴の必要性がまだ人々に認識されてない。
4.中国との関連
90年代入って中国との競争が激しくなり、当社の収益も一時悪化した。そのため1993年か
ら一部製品の生産を中国に移転し始め、2001年からは量産製品の生産がすべて中国連雲港の工 場で行うようになった。中国工場の人件費などが安いため現在当社の製品加工費が従来の半分 までなっている。また、靴の完成品だけではなく関連素材の開発、生産も韓国本社工場と5割 ずつ行っており、今後中国工場での開発、生産をさらに増やしていく予定である。
連雲港に立地した理由は①同業の韓国企業が少なかったこと、②従業員の確保が容易だった ことである。しかし、現在連雲港でも外資系企業が増えたため従業員の流動が激しくなってい る。
5.IMFの影響
ウォンが安くなったため当社にとってむしろプラスだった。ちなみに97、98年当社は創業 以来の高収益を記録した。
6.経営課題と今後の戦略
創業以来、当社はシマノ自転車靴のOEMを事業中心に成長してきた。一般の靴と比べ自転 車靴は軽さ、強度、瞬発力などの基準が高い。当社がこれらの基準を満たすため生産管理だけ ではなく素材の研究開発、CAD/CAMの導入(1994年)、品質テストを積極的行ない、また 製造工程においても品質に大きな影響を与える関連機械も自社で開発製造した(他社への販売 も行っている)。
さらに、当社は蓄積された研究開発力、製造技術を活かし、ゴルフ靴、競輪靴、健康関連靴 などの分野にも進出し、独自のブランドで販売を行っている。これら分野の製品は少数である 以上(例えば競輪靴の韓国市場は年間600 足しかない)、製造技術の問題もあり、現段階では まだ韓国本社工場で製造されるが、将来はいずれその生産も中国工場に移転する予定である。 しかし、OEM関連製品は依然当社の売上の8割を占めており、OEM以外の製品市場の多 くはニッチ的である上自社ブランドの認知度の問題もあり、今後独自の営業、販売活動が円滑 に展開できかどうかが重要である。
Ⅸ
C I
社(
2006
年
8
月
3
日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、林松国、姜徳洙、李東勳 取りまとめ担当:黒瀬直宏
1.企業概要
設立:1993年、1997年からLG電子の洗濯機事業部と取引開始
従業員数:130人、うち正社員68人で他は派遣労働者。週5日労働制が実施され、その打 開策として派遣労働者を使用。
資本金:授権8億ウォン、払い込み済み4億ウォン。資産:200億ウォン 取引先:売上の68%がLG電子だが、取引先は30社
2.事業内容
LG 電子の洗濯機事業部の一次サプライヤーで、インジェクション単体部品とモジュール部
品を生産している。
ウソン電気があった。ウソンがメキシコに工場を建設することになった際に、GE から取引の 誘いがあり、1997年、GEと関係のあったLGとも自然に取引が始まった。1997年末までは、 GE、メキシコのウソンなど輸出100%だった。そのため97年の通貨危機は追い風だった。
LG電子の洗濯機の国産プロジェクトに参加し(モジュール部品の開発)、GEと取引しつつ
も(2003年まで)LGへの依存を高めた。ウソンとはウソンがメキシコから中国へ工場を移転 してから取引が段々減ってきた。当社も中国移転を調査したが、良好ではないと判断し、ウソ ンとの取引は当社から断った。今は逆にウソンから購入している。
モジュール部品の場合、一次サプライヤーはモーター、プログラム、水供給、水排出に分か れ、当社は水供給関連の部品を生産している。LG 電子はモジュール部品については2社のサ プライヤーを持っているため、水供給モジュールについても、もう一社サプライヤーがある。 当社の扱っているモジュール部品は水と洗剤を自動的に供給するもので、8~56点の部品から なっている。モジュール部品については開発段階から参加する。どの企業が選ばれるかは、コ ンペがあるわけではなく、LG 電子の判断で選ばれる。なお、新製品の場合、どの部品を新し くするかで、開発に参加する部品企業数は異なってくる。
サプライヤーの数は全部で40社、LG 電子に登録されている企業のみが取引できる。単体 部品の場合はLG電子が40社に仕事を割り振り、図面が送られてくる。当社では単品部品に 関しては外注に出すことがあるが、生産額の3.4%程度である。
LG電子は1.5時間単位で受け入れ時刻を決めており、それにあわせて、JIT納入している。 GEの場合は価格が第一で、単なる契約関係である。LG電子とは常に会って話しあっている。
技術指導や品質管理、検査に関する指導も受けている。当社が開発に参加した部品に関しては 対等な取引ができるが、他の場合はLG電子に価格の主導権があるのはもちろん、他社に発注 を移される場合もある。単体部品は当社以外にも生産できる企業はいくらでもあるからである。
今年7月、スウェーデンのエレクトロニクス企業と交渉を始め、当社の特徴を認めてくれ、 2年計画で部品開発を行うことになった。
3.今後の方針
中国では人の管理に問題があり、国内で投資をし、省人化を狙う。日本でもそういう企業は ある。現在24時間操業の部門には21人働いているが、3年後には2人にする。このために現 在データベースを作っているところである。来年は半数にする。これを実現した企業も現れて いる。
4.コメント
①LG電子の下請関係は日本的な系列関係と言ってよい。ただ、この企業が1997年から取引 を始めたように、LG 電子のような大手企業の一次サプライヤーでも取引関係は新しかった り、若い企業であったりする。それは下請関係の形成が比較的最近のことであり、下請企業 の層も薄いためか。
Ⅹ
株式会社
PA
社(
2006
年
8
月3日)
訪問者:大西勝明、黒瀬直宏、姜徳洙、李東勲、林松国 取りまとめ担当:李東勲1.概 要:
1973年 5月 、TF繊維株式会社設立。
1988年12月、自社ブランドPAを開発し、紳士服専門メーカーとして事業を展開する。 1998年 6月 、株式会社PAと社名変更。
PA社は、スーツ・紳士服の製造と販売を主力とする会社である。また、「良い服を、良い価
格で」という創業者 李会長の経営哲学の下で、コスト削減に努力している。近年では、多様化 するユーザーに柔軟に、そしてユニークな発想で商品を提供するために、新たにオリジナルブ ランドを開発すると共に、工場の自動化や物流システム・直営店の革新に力を注いでいる。
売上高は、1997年1,600億ウォン、2002年2,600億ウォン、2005年3,000億ウォンと順調 に伸びている。また、自社ブランドのPAは2005年と2006年2年連続、韓国経済新聞社のア ンケート調査において名品ブランド第1位として選ばれた。
2.自社ブランドの種類
既存ブランド PA
FORMAL ・ターゲット:実用性と経済性を追求する30代のビジネスマン
・ファッション性を重視する30代後半の消費者に支持されている。 CASUAL ・ターゲット:若さと経済性を追求する20代後半から30代半ばまで
の男性
・手軽さと着心地良さを強調している。 新ブランド J.HASS ・ターゲット:20代の男性
・実用性と着心地良さと共にモダン的な感覚を強調している。 J.BROOX FORMAL モダン的な感覚と共に優雅な品格を強調している。
CASUAL 自然的なシンプルさを強調している。
CRENCIA ・ターゲット:10代半ばから20代半ばまでの男女、主に大学生を対
象としている。 ・純粋さと個性を強調している。
PRENIN ・ターゲット:20代半ばから30代までの働く女性
・クラシックなデザインで洗練された美しさを強調している。
3.経営の特徴
PA社は、コスト削減のために最新設備を取り入れた直営工場(8ヶ所)と物流センターを運
ある。また、釜山とソウルに大型物流センターを建設すると共に物流管理システムを構築し、 他社より効率的に商品を提供することが可能となった。
このように、PA 社は、直営工場で生産した全製品を自社独自の物流システムを利用し全国 360ヶ所の直営店に供給している。そのため、生産・物流コストが大幅に削減できた。
しかし、今日の消費者ニーズや購買行動の変化によって、直営店の不振が目立っている。事 実、紳士服であっても、購入するために直営店に訪れる顧客の70%は女性と共に来店する。よ って、女性をもターゲットと見なし、新ブランドを開発しながら売り場の革新に取り組んでお り、PA をトータルブランドとして消費者に提案している。また、ワンストップショッピング が定着している今日、直営店にかかわらず大型店との協力関係を築くために努力している。
ⅩⅠ
(株)
MS
(
2006
年
8
月
4
日)
訪問者:黒瀬直広、大西勝明、姜徳洙、李東勳、林松国 とりまとめ担当:林松国
1.会社概要
設立:1973年4月28日 資本金:1,110百万ウォン
従業員:190名(現場従業員の多くは東南アジア人である)
主要製品:一般ゴム、RUBBER SHEET、RUBBER LININGなど
主な生産設備(中国工場除く):KNEADER、OPEN ROLL配合、CALENDER、EXTRUDER 準備、INJECTION M/C、真空自動PRESS成形、AUTOCLAVE、OVEN加硫、HALOGEN 表面処理、冷凍仕上げ機など
主な試験設備:MOONEY VISCOMETER、比重計、RHEOMETER、引張試験機器、万能 材料試験機器、オゾン試験機器、投影機器など
品質認証:KS認証、UL認証、LG-QA9001認証、ISO9002/QS9000認証、SQ-MARK、 ISO14001認証、ISO9001/TS16949認証
2000年以後の売上推移
年度 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006 年 (計画) 売 上 額
(億)
145 164 245 273 329 346 494
成 長 率 (%)
9.0 13.1 49.4 11.4 20.5 5.2 42.8
2.経営環境の変化及び当社の対応
争業者が少ない。また現代重工業などの大企業は当社の製品より、より巨大な付加価値の高い ゴム製品しか製造しないためこの分野に進出してこない。
創業当時、当社はLG電子向けの家電製品用のゴム、また鉄道用の修理部品などを生産し事業 を始めた。その後自動車関連のゴム製品も手掛けたが利益が少なく、1995年ごろは倒産の寸前 まで追込まれた。
そこで1996年から経営資源を造船、発電所関係の仕事に集中投入させた。そのきっかけは日 本の第一高周波との合作であった。当初は現代重工業がゴムのベンディングの製造を当社に要 請したが、当社の製造技術力などが不足していたため第一高周波を紹介してくれた。
その後1990年に第一高周波と合作投資して明進ENGを設立したがしばらくは注文がなかった。 ベンディング製品の品質が徐々に信頼されるようになり、注文が入るようになったのが 1998 年ごろだった。
また、造船、発電所関係は一工程の仕事を受注した場合その工程と関連ある工程の仕事をも 積極的に受け入れるようにしている。以前ある一工程の5000万ウォンの仕事を依頼されたが関 連工程の受注を獲得した結果、最後に3億ウォンの仕事となった。
造船、発電所など向けのゴム製品の利益は高いが、注文が断続的である。現在のゴム業界の 経営環境では一つ二つ中核製品のみに依存することができない。リスクの分散、また設備の稼 働率を維持するために仕事がなくならないようにしなければならない。したがって当社は利益 がほとんど出ない自動車、家電関係の製品も生産し続けている。
天然ゴムの値段が4年前の630ドル(1トン)から現在の2250ドルまで上昇したが、製品の 平均価格はこの3年間で10%しか上がらなかった。特にゴム板は材料費が60%以上占めるため その他の素材との配合を調整するなどの工夫をしている。
3.技術力
新製品に関してはできるだけはやいうちに特許を取得する。現在当社の特許は6、7件があ る。
ゴム板に対して表面処理を行う。ゴム板の表面処理のポイントは使われている溶液であり韓 国と日本の企業だけできる。当社は日本の大阪ゴムと共同で表面処理機械を開発、製造した。 製造工程においては他社に比べ、特に冷却工程の冷却時間をたっぷりかけることが良い品質 につながった。
新製品の開発は3年~5年かかるが、大企業に信頼されるまでさらに3年~5年ぐらいかか る。
開発した新製品の品質などのテストは自社のテスト機械あるいは同工業団地に立地している ブサン中小企業庁の設備を使って行う。当社はLGの世界一最も静かなエアコンのゴム部品を 開発したりなど、とにかく新素材、新製品の研究開発に力を入れている。
4.営業活動と外注関係
産、研究開発の社員も一緒に顧客を対応することである。
生産の25%ぐらいは約14の外注会社に出している。利益が少ないあるいは製造難度が高い ものは社内で生産する一方、協力会社にはできるだけ利益のある製品をまわすようにしている。
5.日本、中国との関係
第一高周波と合作する以外、三菱ゴム、大阪ゴムといろいろ協力している。契約関係はない が、互いに信頼関係にある。また、当社は現在も日本の中古プレス機械を使っている。
韓国企業の発展は日本と緊密に関連しているという。
中国製機械は韓国製より3割安い上今はある程度使うようなレベルまで来ている。以前は5 割も安かったが、使えなかった。
ⅩⅡ
MO
社(
2006
年
8
月
4
日)
訪問者:黒瀬直広、大西勝明、姜徳洙、李東勳、林松国 取りまとめ担当:林松国
1.会社概要
設立日:1994年7月1日 従業員:30名程度 売上:40億ウォン
主な生産品:Side Gate、Pin point、Vale Gate、Die Casting、Special Mold、CAD/CAM Service、 3D Modeling process
設備状況:C.N.C Milling M/C、Boring M/C、C.N.C Gun Drill、Hoist Grane、Radial Drilling Machine
AutoCAD R14、AutoCAD 2000、CADKEY、DUCT5.5、POWERSHAPE4.0、 POWERMILL4.0
認証ISO9002/QS-9000、輸出有望中小企業に選定中小企業庁など
2.創業経緯及びその後発展
現社長は創業する前にモールドを生産する会社で 10 年間勤務し営業と技術を学んだ。1992 年に独立し、当初は7~8人の規模だった。最初は会社が順調に成長し1994年に法人転換した。 1997年IMF危機のとき銀行から不渡りがあった。当時の仕事は今よりむしろ多かったが取引先
企業が経営難に陥ったためだった。
近年会社の売上は基本的に横ばい状況にある。
10年前は電子関係の仕事が多かったが多くの企業が中国に移転したため、今は自動車関係の
仕事が多い。
海外においては日本の金型企業に製品を提供している。日本の企業は当社のようなNC加工設 備を所有し、またはCAD/CAM能力がある企業のみ発注する。
3.モールドベース業界の現状
日本の双葉電子工業の技術がアジア地域のモールドベース製品の技術基準になっている。モ ールドベースは金型製造の一つの素材である。したがって基準品を製造する企業、たとえばLKM 社、アメリカのDME社、ドイツのHASCO社の生産規模が非常に大きい。中でもLKM社は生産を 積極的に中国に移転し、低価格を武器に展開している。しかし、現段階では中国は大型もの(3 トン以上)をつくると、まださまざまな問題が出ているようである。
4.生産、技術特徴
当社の生産は100%ORDER MADEである。小型のモールドベースから、中・大型モール ドベースの製作、また顧客の要請に応じて、部品の3次元形状加工まで行っている。特に近年 金型製品の納期が短くなる傾向にあるため、当社は①3D Modeling Data による成形部の精 密加工、②現場の各機械の稼動状況を把握するためにMonitoring Systemを採用し効率的な工 程管理を行うなどを通じて対応している。
釜山調査に関する総括的コメント(黒瀬)
特に注目すべきと思われる点を列記する。
1.OEMから自己ブランドへ
韓国経済を支えてきたものに国際OEM産業がある。1960年代、軽工業や家電など労働集約 的産業を基盤に輸出志向工業化が進んだが、その柱は進出外資による輸出向け生産と繊維や日 用品産業におけるローカル企業による国際OEM生産であった。国際OEMはその後発展する ハイテク産業においても盛んに行われる。しかし、低労賃を武器に中国においても国際 OEM が行われるようになると、韓国内のOEM工場は競争力を喪失し、インドネシア、フィリピン、 ベトナム、そして中国へと生産拠点の移転が進んだ。
そこで国内OEM企業の課題として浮かび上がるのが、自己ブランド化である。韓国企業は 単純な下請ではなく、自ら企画、設計するODMへと進んでいたが、ODMからいわゆるOBM (自己ブランド生産者)への発展には OEM→ODM と比べ物にならない困難がある。こうい う課題は、同じアジアNIEsの一角を占める台湾の産業についても言えることで、国際 OEM 企業の自己ブランド化はアジアNIEsの今後の発展の鍵の一つになっており、研究課題として も重要である。
今回の調査では釜山スニーカー産業とアパレル企業における自己ブランド化の動きに触れ ることができた。
ここから得られた知見は次のとおりである。
①市場は従来製品の延長上に開けてくるのではなく、自己ブランド化のためには市場の広狭
紳士服企業のPA社はOEMからの自己ブランド化への見事な成功例だが、従来国内紳士服 市場が高価格品と極端な低価格に分かれていたのに着目、「適切価格市場」という新たな市場の 創造を行った。自己ブランドを打ち出した1988年当時、まともな背広は40万ウォンでも安い とされていた一方、市場(いちば)では 9万ウォンぐらいの安物が売られていた。それに対し、 当社は18万ウォンの製品を売り出し、2005年売上2925億ウォンという広大な市場の創造に 成功した。
一方、スニーカー産業では国内ニッチ市場の創造による自己ブランド化が見られる。 (株)UKはシマノが49%の株を所有し、シマノブランドの自転車用の靴を生産し、世界シェ
ア30%に達している。デザインはシマノが行い、当社は設計をする。生産の70%は当社の中 国企業(連雲港)で行っている(中国の加工コストは半分)。販売はシマノのヨーロッパ、アメ リカの流通チャネル(サイクリングショップ)で行う。
自転車用の靴が売上の80%を占めているが、当社独自の製品開発も始めている。その一つが 政府の補助金を利用した糖尿病患者用の革靴というニッチ製品である。筆者も履いてみたが、 靴底に弾力があり、歩いても疲れが少ないように感じた。糖尿病の予防や治療に必要な速足に 向いているということなのだろう。
但し、次のように、新製品開発が即、経営的な成功に結びつくわけではない。
「ハマースポーツ」というベンチャービジネスは靴の中底にエアバック調整システムを
装着し、すべての人が最適の状態で運動できるように考案された最新の機能靴を開発した。
1993年の「釜山国際シューズ・スポーツレジャー用品展」での成約金額の50%を同社が
占め、釜山履きもの産業の救世主として期待されたが、銀行の金融支援を断たれ、あえな
く倒産してしまった(姜英之『韓国経済 挫折と再挑戦』89頁)。
このように自己ブランド化に関しても中小企業固有の不利に直面せざるを得ないのだが、そ れはともかく、釜山スニーカー産業では特殊機能をつけた差別化製品を開発し、自己ブランド で売り出すのが、一つの動きとなっている。
なお、韓国のKBS RADIO WORLDは次のような企業を紹介していた。企業の所在地は不明だが、
これも靴メーカーのニッチ製品開発による脱OEMの例である。
②OEMでの資本蓄積が前提
OEMからの自己ブランド化には第2創業ともいうべき飛躍が必要だが、そのためにはOEM
でしっかりとした資本蓄積をしていることが必要である。PA 社はOEM 時代から人件費節減 のため全自動化投資を進め、高収益を得、それをまた投資にまわし、無借金で設備投資をして いた。また、下請け企業なので販売経費は少なく、このことも現金保有比率を高めた。低コス ト、無借金経営の伝統は自己ブランド経営でも引き継がれ、販売店は直営店中心で、費用のか かる百貨店への進出は避けている。流通コストは22%で百貨店の半分で済んでいる。
自己ブランド化はOEM企業としても成功し、資本蓄積を進めていることが前提となる。
2.韓国の下請け分業関係は日本のシステムと瓜二つ。
① (株)YT は日本の家電メーカーや自動車メーカーの協力部品企業からの受注が売上の 70%、LG電子から30%の金型メーカーだが、LGとの企業間関係は日本の系列関係と同じで
ある。すなわち、当社はサムソンとも取引していたが、打ち切りを要求され、LG に専属化し た。また、現代との取引も禁じられている。
また、LGは日本と同じく集中発注を進めようで、傘下の30社の金型企業のうち、4社のみ を残し、他とは取引を停止する。当社は30社のトップであり、4社のうちに入っている。
日本の部品企業と当社の関係も日本的、当社はそれを積極的に受け入れている。長期的取引 を前提にしており、低単価の赤字受注でも、次の機会での超黒字受注を期待してそれを受け入 れている。客との信頼関係を重視し、よい関係ができれば、受注単価も高くできるという信念 を持っている。
②C I社は LG電子の洗濯機事業部の一次サプライヤーで(従業員130人、設立1993年、 97 年より取引開始)、インジェクション単体部品とモジュール部品を生産している。LG との
関係は次の点でまったく日本的である。
a. サプライヤーを登録メンバーの中から選んでおり、入札などで選択しているわけではな
い。
b. 一次サプライヤーでは二社を競合させている c. デザイン・インを行っている
d. JIT納入
e. 取引上の主導権はLGにある。
具体的には下記のとおり
モジュール部品の場合、一次サプライヤーはモーター、プログラム、水供給、水排出に分かれ、当
社は水供給関連の部品を生産している。LG 電子はモジュール部品については2社のサプライヤーを持
っているため、水供給モジュールについても、もう一社サプライヤーがある。当社の扱っているモジュ ール部品は水と洗剤を自動的に供給するもので、8~56点の部品からなっている。モジュール部品につ
いては開発段階から参加する。どの企業が選ばれるかは、コンペがあるわけではなく、LG 電子の判断
サプライヤーの数は全部で40社、LG 電子に登録されている企業のみが取引できる。単体部品の場
合はLG電子が40社に仕事を割り振り、図面が送られてくる。当社では単品部品に関しては外注に出
すことがあるが、生産額の3.4%程度である。
LG電子は1.5時間単位で受け入れ時刻を決めており、それにあわせて、JIT納入している。
GEの場合は価格が第一で、単なる契約関係である。LG電子とは常に会って話しあっている。技術指
導や品質管理、検査に関する指導も受けている。当社が開発に参加した部品に関しては対等な取引がで
きるが、他の場合はLG電子に価格の主導権があるのはもちろん、他社に発注を移される場合もある。
単体部品は当社以外にも生産できる企業はいくらでもあるからである。
このように企業間関係は日本的だが、下請企業は財閥系企業の取引先でも企業年齢は若く、 日本に比べると規模は小さく、下請企業層の厚みはないとの印象を受ける。
3.日・韓・中、韓国・北朝鮮での分業関係の形成
YT社は松下の協力企業から金型製作を依頼されるとまず、中国の合弁工場に発注する。
中国でのコストは釜山の60%ですむ。しかし、その製品は日本の要求を満たすものでない ので、釜山工場で手直しをする。それでもコストは80%に抑えられる。当社はさらに日本 の顧客と中国で合弁企業を設立する予定。日本企業から仕事をもらい、仕事のレベルによ って韓、中で仕分ける。ベトナムにも工場を設ける。技術低いが、ベトナムでは日韓では 売れないようなものでも売れる。
以上は賃金格差、技術格差を利用した分業関係で、異なる技術による有機的な分業関係 というような積極性はないものの、中小企業レベルでもアジア大の分業関係形成の例とい える。
なお、今回確認できたのは北朝鮮と韓国の間でも賃金格差利用の分業関係が形成されて いることである。
プサンのスニーカー企業「SD」はソウルから車で1時間での、北朝鮮ケソン(開城)工業団地 に入居している。従業員は1300人、工場は 100%稼動し、成功している。ここへは釜山から も1日以内で部品を供給できる。中国、東南アジアも賃金が上昇しているが、北朝鮮の労働者 の賃金は57ドルで、残業代を加えても65ドルである。中国は100ドルを超えている。しかも 言語の問題もなく、手先も器用である。関係者はプサンから素材供給、北朝鮮で組み立てとい う分業関係を発展させたいとしている。
4.中小企業はどのような市場をドメインとすべきか
その理由は、当社のこの分野での独占的地位である。
製品は小ロットの一品料理で、大企業が参入する分野ではない。一方、生産のためには 開発が必要で、開発システムを持たない小零細企業は参入できない。各種ポリマーや薬品 の配合の研究、自ら設計したテスト機で(市販製品がないので)製品テストを行い、デー タをつけて納入する。小零細企業にはこれはできない。また、その上にゴムをライニング するパイプの生産にも進出し、工程を垂直的に拡大、ここまでやると競争相手はまず現れ なくなった。ただ、中小企業はよい製品を開発しても信用がないので売れるまで3~5 年 かかるという問題がある。
MO社(30 人、1992年設立)はプラスチック成形用の金型のモールドベースを製作。こ
の分野では日本のフタバがアジア・スタンダードとなっている。しかし、香港企業の LKM が中国で生産を開始し、低価格製品で世界シェアを拡大、特に圧力のかからない小型製品 ではフタバは苦境に陥っている。LKM はフタバのカタログをみて生産しているようだ。そ のほかに、HASCO(独)、 DME(米)が世界的には有名である。
これらは規格化した製品を製作しているが、当社は 100%、オーダーメードなので、競 争関係は全くない。
5.技術力の比較
MO社の経営者はモールドベースについて、日本(フタバ)が精密度でトップ、中国は物ま
ねで、圧力に弱く、エッチング、印刷もだめ。韓国は両者の中間。 (株YTの経営者は中国について次のように言った。
中国製品には「あたり」の悪い部分があり、バリが発生するケースが多く、その部分を 修正しなくてはならない。「バリが出ないようにしてくれ」というと「バリが出ないような 金型があるのか」と反論する。では「金型はバリを出すために作るのか」と再反論すると、 「ここは中国だ」と開き直られた。中国の品質はうまくいって8割レベル、普通では7割 レベル。
韓国の技術水準は日本の80~90%。日本との差がつく原因は、①韓国にも「適当」という観 念がある。「このぐらいは客も認めてくれるのではないか」という感覚。②設備は日本のほうが よい、③ノウハウも日本のほうが上。
なお、1960年代、韓国は金型生産できなかった。金型らしきものを最初につくったのが金星 (現 LG)で、そこから独立開業して金型専業企業が現れた。当社社長の父もその一人であっ た。しかし、50歳代以上のLG出身者で倒産しないで残ったのは、当社だけである。当社から の独立開業者も多数おり、当社は金型の第2次源流といえるか。
また、YT社の経営者はワイヤーカット機について次のように述べた。
品質は三菱とソーディックおよびドイツ企業がトップ。韓国と台湾製の価格は先進国の70% だが、早く劣化する。韓国製より台湾製のほうが早い。
6.積極的な政策姿勢
の支援や自ら技術開発するなど、国と地方政府が直接的に産業を支援しているといえる。それ に対し、台湾では特にローテク・伝統的分野への政策支援は薄い。
7.その他
現在の韓国の景気はアジア通貨危機のときより悪いとの意見が多かった(もっとも、現在の 企業はアジア通貨危機の時には輸出の増加などでいい思いをした企業が多いのだが)。下記のと おり、ウォン高が原因の一つと考えられる。このほか原料高も中小企業共通の問題となってい る。
日本経済新聞06年10月15日付
「ウォン高が韓国の中小企業を直撃している。韓国貿易協会貿易研究所の調査によると、全輸出企業
の1割強が輸出を断念している。大半が中小企業で、休廃業に追い込まれた企業も多い。輸出額自体は
二ケタ増が続いており、競争力のある大手企業と中小企業との格差が浮き彫りになった。/昨年上半期に
輸出実績があった企業で、今年上半期に輸出がゼロになったのは全体の23%に当たる5744社。うち、
230社を無作為に選び聞き取り調査をしたところ、「休廃業」が37.4%、「採算悪化などで暫定的に中止」
が22.4%に達した。/残る約40%の企業は親会社を経由する間接輸出への切り替えなどで実質的に輸出
を続けている。これらの企業を除くと、輸出を断念したのは推定で輸出企業全体の14%。雑貨や繊維な