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なぜ今,「課題研究」なのか ~生徒の主体的な学びに向けて~ 研究発表一覧 第46回関東理科教育研究発表会千葉大会

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Academic year: 2018

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……… 第46回関東理科教育研究発表会

1 はじめに

 “今の子供たちの多くは,現在は存在していない職業に就く”,“現在の職業のかなりの割合が将来自動化 される”などといわれるように,現代に生きる子供たちには予見のできない未来が待ち受けている。そのよ うな時代の教育に求められるのは,従来のような「与えられた問題を定型的に効率よく解く力」ではなく, 「自分で判断する力」「問題を発見し解決する力」そして「仲間と共に活動する力」である。中央教育審議会

の平成27年末の答申においても,新しく始まる大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の在り方として,“知 識・技能を活用して,自ら課題を発見し,その解決に向けて探求し,成果等を表現するために必要な思考力・ 判断力・表現力等の能力を中心に評価する”と書かれている。

 一方,普通の授業と課題研究との違いとして,以下のような点が挙げられる。

 ・自分でテーマを決める。 ・解決方法を自分で考える。  ・実験装置をつくることもある。  ・時間をかけて実験を繰り返す。 ・野外での調査・観察  ・レポートやポスターにまとめる。  ・人前で発表する。  ・論文展などに応募できる。  ・AO入試などの進路につながる。

 このような点は,いうまでもなく上記のこれからの教育に求められるものに他ならない。また,課題研究 はテーマについて教科・科目の壁を越えて問題解決していく性質から,「合教科・科目」あるいは「総合型」 の学習にもつながるものがある。このような未来志向の学習形態としての「課題研究」は,文系・理系を問 わず,今の学校教育に求められているものである。

2 課題研究指導のポイント

 (1)テーマを設定する

  研究テーマの設定は,課題研究の過程の中でも最も重要であり,かつ最も難しいものである。まずは, 生徒が自分の興味・関心,キーワード(災害,エネルギーなど),科学館の展示,発表会のテーマなどか ら題材を探し出し,それを出発点に発想を広げ,最終的に検証可能なテーマとして設定する。研究テーマ の条件として,実験の方法や期間,予算,独自性,有用性なども考慮しながら決めていくことが重要である。  (2)研究を進める

  テーマに沿った実験方法を決め,必要であれば実験装置を自作する。実験に際しては,装置や精度向上 の工夫,変数の特定,条件制御(測定する変数以外は同じにする),実験群と統制群(コントロール)の設定, 実験の倫理性の考慮などが必要となる。

  また,実験ノートの重要性はいうまでもないが,ノートの付け方や管理方法等については指導が必要で ある。データの改ざんやねつ造の禁止も当然のことであるが,実際の実験に際しては,誤った測定値や読 み間違いのデータを削除するなどのいわゆる“品質管理”との兼ね合いが重要である。

 (3)結果の考察と分析

  得られた測定値は表やグラフとしてまとめ,それをもとに比較したり傾向を見出したりして,一般化, モデル化へと進むことが多い。その過程において,結果を正当に分析・評価し,論理的に考えて結論を導 いているか留意する必要がある。具体的には,たとえばA(かき氷の売り上げが伸びた)という事象とB(熱 中症が増えた)という事象の間に相関関係があった場合,AとBの間に因果関係がある(かき氷が売れた ことが原因で,熱中症が増えた)とは限らない。“疑似相関”なども含めて,各事象間の関係について論 理的に考察する必要がある。

な ぜ 今 ,「 課 題 研 究 」 な の か

~生徒の主体的な学びに向けて~

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千葉大会

  また,データを集めることによって得られる帰納的結論(ペットボトルロケットに水をどれくらい入れ ると,一番遠くまで飛ぶか)から,なぜ水がその量だと遠くまで飛ぶか,という思考のジャンプができる ことが望ましい。

 (4)課題研究指導の実際

  課題研究に挑戦する生徒はもちろん,それを指導する教員にとっても最初のうちは試行錯誤の連続であ る。それでも,とにかく課題研究は始めることが重要である。生徒と一緒に指導者も成長する。迷ったら 校外も含めて,誰かに相談しながら進めるとよい。指導者は,あくまで“メンター”として少し脇から援 助する方が良い。研究の主体はあくまで生徒本人である。指導者はあまり深入りしすぎないようにするく らいのスタンスで,生徒の成長を見守ってあげたい。

3 文系でも「課題研究」?

 (1)文系生徒も含めた課題研究

  前述の新しいテストにおいて評価される生徒の能力は,決して理系の生徒のみを想定しているものでは ない。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)においても,近年では文系生徒も含めた全校での課題 研究への取り組みが奨励されている。

 (2)文系における調査・研究

  図1は,KJ法で有名な川喜田二郎(1967)によるもの であるが,文系に分類される学問領域でも左側の“野外科学” に相当する活動を伴うものも多い。たとえば,経済学にお ける市場調査や歴史学における遺跡調査,心理学における 心理実験など。

  文系における調査・研究においても,課題設定力や調査・

実験力,論理的思考力など,課題研究によって育成される力は同じであり,課題研究には理系・文系は関 係がないといえる。

4 普通授業での探究活動

 理数科をもつ学校以外では,なかなか授業の中で課題研究を実施するのに勇気がいる。問題点として,授 業時間数に余裕のないこと,生徒人数が多いこと,探究学習のための教材や資料の不足,評価が難しいこと などが挙げられる。たとえば,新聞や地域教材の活用,あるいは実験方法自体を生徒に考えさせる実習など を工夫し,普通授業の中でも課題研究を実施できるとよい。

5 最後に

 生徒は結果がすぐに見える暗記型の勉強を好むかもしれないが,授業の中でも“なぜ”という問い掛けを 大事にして,正解の決まっていない問題に挑戦する生徒を育てていきたい。そのためにも課題研究をうまく 授業に取り入れて,主体的な学習態度を伸ばしていくことが重要である。

【参考文献】

小泉治彦(2015),理科課題研究ガイドブック第3版,千葉大学先進科学センター

中央教育審議会(2015),新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学 入学者選抜の一体改革について,文部科学省

参照

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