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大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査

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Academic year: 2021

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(1)Title. 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. Author(s). 芝木, 美沙子; 野館, 由紀子; 笹嶋, 由美. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 57(2): 255-267. Issue Date. 2007-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/444. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第57巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.57,No.2. 平成19年2月 February,2007. 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美 北海道教育大学教育学部旭川枚 臨床医学・看護学教室. ASurveyontheRelationshipbetweenHealth, Lifestyle,andtheUseofSupplementsamongUniversityStudents SHIBAKIMisako,NODATEYukiko,SASAJIMAYumi. DepartmentofClinicalScienceandNursing,AsahikawaCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 要 旨 これまで医薬品として扱われてきたどタミン・ミネラルなどが,一般の食品店やコンビニエンスストアで も取り扱われるようになり,消費者にとってはより身近な存在となった.健康への関心の高まりとともに, サプリメントの需要は高まっていくと思われる.しかし,その一方で,サプリメントへの過度な期待や依存 によって,逆に健康を損なうケースもみられるようになった.そこで,健康と生活習慣およびサプリメント の利用実態について知ることが必要と考え,本研究に着手した.. ダイエット経験がある者が66.3%と多かったが,現在のBMIをみると不必要なダイエットを行っている 者も多いと思われた.サプリメントという言葉を「聞いたことがある」者が97.9%であり,サプリメント摂 取経験のある者は51.3%であった.摂取経験のない者でも,摂取してみたいと思っている者も26.9%おり関 心の高さがうかがわれた.サプリメントの摂取を始めた時期は,「高校生」が42.2%と多く,「中学生」も13.4%. いたことから,サプリメントに関する教育を行う時期としては,中学校や高校における栄養や食物に関する 学習と同時に行うことが望まれる.身体的および精神的な自覚症状がないという者は2.9%であり,ほとん どの者が何らかの症状を訴えていた.そして,サプリメント摂取者の方が自覚症状を訴える者が多かった.. Ⅰ.はじめに 国民栄養調査の結果,平均的には国民の栄養摂. 化している.. 健康の一役を担う食品に求められる機能も複雑 かつ多様化している中で,政府の規制横和推進計. 取の状況は良好であるといえる.しかし,個々人. 画および市場開放問題苦情処理推進会議(OTO). で見ると食生活の乱れから栄養摂取の状況に問題. 報告に対応して,食薬区分の見直しが行われた.. があるといわれる1)2).少子・高齢化や生活習慣. それまで医薬品として扱われてきたどタミン・ミ. 病の増加,医療費の高騰なども大きな問題となり,. ネラルなどが食品として薬局以外の一般の食品店. 国民の健康に対する関心は高まり,健康観が多様. やコンビニエンスストアでも取り扱われるように. 255.

(3) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美. なり,消費者にとってはより身近な存在となった.. しかし,健康に関する情報の氾濫や不適切な表 示によって,栄養を摂取することを目的とした食 品に過度に期待・依存し健康を損なうケースもみ. Ⅱ.結 果 1.調査対象の概要. アンケートの回収数は712名(男性240名,女性. られるようになり,これらの食品に対して適切な. 466名,性別不明6名)であり,回収率は57.7%. 分類を行い,表示についてのルールを設けること. であった.. が必要となってきた.. そこで,食薬区分の見直しと並行して厚生労働. 調査対象とした学生を性別でみると,男性 33.7%(240名),女性65.4%(466名),不明0.8%. 省は栄養補助食品の取り扱いに関して検討を行. (6名)であった.学年別にみると,1年生27.5%. い,“いわゆる栄養補助食品の取り扱いに関する. (196名),2年生29.1%(207名),3年生27.2%. 検討会’’は2000年3月に最終報告書をまとめ,栄. (194名),4年生15.4%(110名)であった.専. 養補助食品の定義を定めた.一般的に使われてい. 攻別にみると,健康について学んでいる課程(保. る‘サプリメント”とは,栄養補助食品を指して. 健体育専攻・家庭科専攻・養護教諭養成課程・健. いることが多いが,サプリメントの定義は明確に. 康福祉コース・生涯スポーツコース)30.5%(217. されていない.. 名),その他の課程65.3%(465名),不明4.2%(30. 現代人のストレスや汚染物質の多い生活の中. 名)であった.部活動の所属別にみると,運動部. で,ビタミン・ミネラルの消費量は増えており,. 37.8%(269名),文化部11.5%(82名),無所属. さらに食物そのものの栄養低下の問題と相侯っ. 49.6%(353名)であった.. て,これからのサプリメントの需要は高まってい くと思われる.また,それに伴ってサプリメント に関する教育の充実が求められると考える.. これまで,杉山ら3),中山ら4),大島5)によっ. 2.体型について. 体型について,身長・体重・BMIの平均をみ ると,男性は1.72m・65.5kg・22.0であり,女. て女子大学生または女子短期大学生に対するサプ. 性は1.59m・50.7kg・20.2であった.BMIl臥5. リメントの利用実態に関する調査が行われてき. 以下の痩せの割合は男性4.2%(10名),女性13.9%. た.サプリメントに関する調査は女性ばかりに焦 点が当てられていたが,女性と男性の認識の差を 比較するために,男性も含めた大学生を対象に,. (65名)であり,BMI25.0以上の肥満の割合は 男性12.5%(30名),女性1.1%(5名)であった.. 現在の身長で理想と思う体重を尋ね,その理想. 健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に. 体重から算出した理想BMIの平均は男性21.6,. ついて知ることが必要と考え,本研究に着手した.. 女性19.4であり,BMI21.0∼23.0を理想とした 者は男性46.3%(111名),女性10.5%(49名),. Ⅰ.調査対象および方法 2004年11月,北海道教育大学教育学部旭川校の 学部生1235名を対象にアンケート調査を実施し た.調査方法は,無記名自己記入式の質問紙を各 ゼミナールに配布し,記入後直接回収した.. 調査結果の解析はズ2検定,t検定を行い,有 意水準5%をもって差があるとした.なお,集計. BMI18.5∼21.0では,男性26.3%(63名),女性 40.6%(189名),BMI18.5以下では,男性2.1% (5名),女性24.0%(112名)であった. 自分自身の体型に関する認識は,「太っている」 13.2%(94名),「やや太っている」30.6%(218名), 「普通」40.6%(289名),「やや痩せている」7.4% (53名),「痩せている」4.4%(31名)であった.. 体型認識について「太っている」「やや太って. および統計解析にはMicrosoftExcelおよびEx−. いる」を『太め』,「痩せている」「やや痩せている」. celアンケート太閤Ver.3.0を使用した.. を『痩せぎみ』とすると,男性は「普通」が43.3%. 256.

(4) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. 全 体. n=466. 18.5以下 n= 65 18.5′−21.O n=178. 21.0∼23.O n= 84 23.0∼25.O n=14 25.0以上 n= 5 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100% 0%. □太めD普通田痩せぎみ■無回答. (***pく0.001). 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. □太いロやや太いロ普通■やや痩せ■痩せ. 図1 性別と体型認識. 図2 BMIと体型認識(女性). (104名)と最も多く,女性では『太め』が50.9%. 時00分(男性:8時12分,女性:7時54分)であっ. (237名)と最も多く,『太め』であると思ってい. た.就寝時間と起床時聞から算出した平均睡眠時. る女性は男性と比べて有意に多かった(P<. 間は7時間6分で,男性女性ともに同じあった.. 0.001)(凶1).. 男性が女性より遅く就寝し(P<0.05),起床は. 実際のBMIと体型認識のずれについてみると,. 女性が早かった(P<0.01).. 女性ではBMI18.5以下の65名のうち,『太め』 と認識してい. 体育以外での運動習慣について,「ある」と答. る者が10.8%(7名),BMI18.5. ∼21.0の178名のうち,『太め』と認識してい. る者. えた者は40.3%(287名)であった.性別でみる と男性62.5%(150名)に対し,女性は29.0%(135. が36.5%(65名)であった(図2).一方,男性. 名)と運動習慣がある者は少なかった(P<. ではBMI25.0以上の30名のうち「普通」と認識. 0.001).. している者が6.7%(2名)であった.. 飲酒について,「する」と回答した者は91.4% (651名),「しない」6.7%(48名)であった.1. 3.ダイエット経験について. ダイエットの経験についてみると,「現在して. 年生でも飲酒をするという者が90.8%(178名). であった.「する」と回答した者を頻度別にみる. いる」27.7%(197名),「したことがある」38.6%. と「ほぼ毎日」3.8%(25名),「週2∼3回」18.0%. (275名),「興味はあるがしたことはない」12.6%. (117名),「週1回」22.7%(148名),「週1回以. (90名),「したくない」5.8%(41名),「興味が ない」12.8%(91名)であった. 「現在している」「したことがある」を『ダイエッ. 下」54.1%(352名)であった. 喫煙について,「する」と回答した者が13.5%(96 名)であり,「しない」80.1%(570名),「以前し. ト群』,「したくない」「興味がない」をダイエッ. ていた」4.2%(30名)であった.「する」と回答. ト『無関心群』,とした場合,『ダイエット群』は. した者を『喫煙群』,「しない」「以前していた」. 66.3%(472名),『無関心群』は18.5%(132名). を『非喫煙群』とした場合,『喫煙群』は男性22.5%. であった.『ダイエット群』の平均BMIは21.2で. (54名),女性8.8%(41名)であり,男性は女性. あり,「興味はある」では20.9,『無関心群』では. より『喫煙群』が多かった(P<0.001).また,. 20.1であった.性別でみると,男性は『ダイエッ. 1年生でも喫煙「する」が7.1%(14名),「以前. ト群』が47.5%(114名)に対し,女性は76.0%(354. していたがやめた」が6.1%(12名)であった.. 名)と『ダイエット群』が多かった(P<0.001).. 朝食摂取状況は,「毎日食べる」が40.0%(285 名),「食べることが多い」が28.7%(204名),「ほ. 4.生活習慣について. 平目の平均就寝時間は0時48分(男性:1時6 分,女性:0時42分)であり,平均起床時間は8. とんど食べない」が24.6%(175名),「全く食べ ない」が4.6%(33名)であった.「毎日食べる」「食 べることが多い」を食事摂取『良好群』,「ほとん. 257.

(5) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美. ど食べない」「全く食べない」を食事摂取『不良群』. は,サプリメントの摂取状況に有意差はなかった.. とすると,朝食摂取『良好群』が68.7%(489名),. 3)知 識. 『不良群』が29.2%(208名)であった.性別で. サプリメントを「食品」「薬」「どちらでもない」. みると朝食摂取『良好群』は男性60.0%(144名). に分類したとき,「食品」29.6%(211名),「薬」. に対し,女性は73.6%(343名)と女性の方が朝. 36.1%(257名),「どちらでもない」32.7%(233. 食を摂取している者が多かった(P<0.001).. 名)であり,「薬」が最も多かった.. 専攻別に見ると,『健康課程』では「食品」が 5.サプリメントについて. 37.3%(81名)と最も多く,『その他の課程』は「薬」. 1)言葉の認知度. が38.1%(177名)と最も多く,『健康課程』の方. サプリメントという言葉を「聞いたことがある」. が「食品」に分類した者が多かった(P<0.05).. は97.9%(697名)であり,性別でみると男性95.8%. 摂取経験別にみると,サプリメント『摂取群』. (230名),女性98.9%(461名)で,女性の方が「聞 いたことがある」者が多かった(P<0.01). 2)摂取経験. サプリメントを「現在摂取している」と回答し. 365名では,「食品」が34.2%(125名)と最も多く, 『非摂取群』338名では「薬」が40.2%(136名). と最も多く,『摂取群』の方が「食品」に分類し た者が多かった(P<0.05).. た者は16.6%(118名),「摂取したことがある」 34.7%(247名),「摂取したことはない」47.5%(338 名)であった. 「現在摂取している」「摂取したことがある」 者を『摂取群』としたとき51.3%(365名)であり, 『非摂取群』を上回った.性別でみると,『摂取群』. 6.サプリメント摂取者について サプリメントを「摂取している」「摂取したこ とがある」『摂取群』の365名に摂取状況を尋ねた. 1)摂取時期,種類および摂取理由 摂取を始めた時期(複数回答)をみると「高校. は男性が43.8%(105名),女性が55.6%(259名). 生」が42.2%(154名)と最も多く,次いで「大. であり,女性の方がサプリメントの摂取経験が多. 学生」3臥9%(142名),「中学生」13.4%(49名),. かった(P<0.01).. ダイエット経験別でみると,サプリメント『摂 取群』は『ダイエット群』の472名では55.7%(263 名),『無関心群』の132名では38.6%(51名)で. 「/ト学生」1.6%(6名)であった.. 摂取の種類についてみると,「ビタミン」が 70.7%(258名)と最も多く,次いで「鉄」31.2% (114名),「カルシウム」22.5%(82名)などであっ. あり,『ダイエット群』の方がサプリメント摂取. た.男性より女性が有意に高かったものとして「ビ. 経験が多かった(P<0.001).. タミン」(P<0.001),「コラーゲン」(P<0.01),. 飲酒の状況別で見ると,サプリメント『摂取群』. は飲酒をする者の651名では51.6%(336名),飲 酒をしない者の48名では37.5%(18名)であり,. 飲酒する者の方がサプリメント摂取経験があった (P<0.05).. 朝食の摂取状況別でみると,サプリメント『摂 取群』は朝食摂取『良好群』の489名では53.4%(261. 「鉄」(P<0.05)があった(表1).. 2種類以上のサプリメントを摂取している者の 割合は44.4%(162名)であった. サプリメント摂取の理由(複数回答)について みると,「体によさそう」が41.1%(150名)と最 も多く,次いで「食事が不十分」32.6%(119名), 「体調が悪い」26.8%(98名)などであった.そ. 名),朝食摂取『不良群』の208名では47.1%(98. の他としては,「部活動のため」「親や友人から勧. 名)であり,朝食摂取『良好群』の方がサプリメ. められて」などがあった.「疲れたから」は,男. ント摂取経験があった(P<0.05).. 性に多く(P<0.05),「体調が悪いから」は女性. その他,体型認識別,喫煙の有無,部活動別で. 258. に多かった(P<0.001)(表2)..

(6) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. 表2 サプリメント摂取の理由. 表1 摂取の種類と性別 %(名). %(名). 性 別 全体 n=365. ビタミン. 鉄 カルシウム コラーゲン. 食物繊維 DHA. その他. 女. 男. n=105. n=259. 54.3. 77.2. 70.7. 性 別. 23.8. 22.5. 27.6. 34.4. *. 20.5. 1.9. 10.8. **. (30) (2) (28) 6.8. 5.4. 10.5. 4.4. 3.8. 4.6. 27.6. 14.7. 26.8. **. (*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001). 39.0. 31.4. 33.2. 13.3. 32.4. ***. (98) (14) (84) 12.3. 疲れたから. 18.1. 10.0. *. (45) (19) (26) 11.2. 12.4. 10.4. (41) (13) (27) 5.8. 4.8. 6.2. (21) (5) (16). ため. (67) (29) (38). 45.7. (119) (33) (86). ダイエットの. (16) (4) (12) 18.4. 32.6. 食事が不十分. なんとなく. (25) (11) (14). 検定. n=259. (150) (48) (101). 体調が悪い. (82) (29) (53) 8.2. 41.1 体によさそう. (114) (25) (89). 女. 男. n=105. ***. (258) (57) (200) 31.2. 全体 n=365. 検定. 0.8. おいしいから. 1.2. (3) (0) 15.9. その他. (3). 19.0. 14.7. (58) (20) (38) (*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001). 2)摂取方法. 説明書を読むかということについてみると,「読 むことが多い」が29.9%(109名)と最も多く,. 0.8%(2名)より多かった(P<0.05). サプリメントを選ぶ基準(複数回答)について. 次いで「必ず読む」29.6%(108名),「あまり読. みると,「値段」が51.2%(187名)と最も多く,. まない」23.8%(87名),「全く読まない」16.7%. 次いで「効果」49.6%(181名),「安全性」41.9%. (61名)であった.. 用法を守っているかということについてみる. (153名)などであった.. 性別でみると,女性に有意に多かったものとし. と,「守っている」81.4%(297名),次いで「気. て,「味」「容易に入手できる」(P<0.05)があっ. にしない」10.7%(39名),「守っていない」7.4%. た.専攻別でみると,『健康課程』に有意に多かっ. (27名)であった.. 用量を守っているかということについてみる と,「守っている」80.5%(294名)が最も多く,. たものとして,「値段」(P<0.001),「効果」(P. <0.01),「味」(P<0.05)があった(表3). 3)効果の実感. 次いで「守っていない」9.0%(33名),「気にし. サプリメントの効果の実感についてみると,「非. ない」6.8%(25名),「知らない」2.2%(8名). 常にある」6.0%(22名),「やや効果あり」38.4%. であった.「気にしない」は女性3.5%(9名)に. (140名),「あまり効果ない」17.0%(62名),「分. 対し,男性が15.2%(16名)と多かった(P<. からない」37.5%(137名)であり,「やや効果あ. 0.001).. り」が最も多かった.. サプリメントの摂取量に対する認識についてみ. サプリメントの分類別にみると,「食品」と分. ると,「種類によっては限度がある」が76.4%(279. 類した者は「やや効果あり」が44.0%(55名)と. 名)と最も多く,次いで「分からない」11.5%(42. 最も多かった.「薬」「どちらでもない」と分類し. 名),「少なく摂る方がいい」7.9%(29名),「多. た者は「分からない」が最も多く,それぞれ35.7%. く摂るほどよい」2.2%(8名)であった.「多く. 摂るほどよい」が男性で5.7%(6名)と女性の. (41名),39.7%(48名)であった.「薬」と分類 した者は「あまり効果なし」と回答した者が25.2%. 259.

(7) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美 表3 サプリメントを選ぶ基準 %(名). 性 別 全体 n=365. 女. 男. n=105 51.2. 値段. 専攻別. n=259. 45.7. 検定 健康 n=124 その他 n=235 検定. 53.3. 62.9. 44.3 ***. (187) (48) (138) 49.6. 効果. 49.5. (78) (104). 49.4. 60.5. (181) (52) (128) 41.9. 安全性. 35.2. 44.4. 39.5. (153) (37) (115) 23.3. 評判. 21.0. 22.7. 14.3. 原材料. 20.0. 25.0. 26.3. *. 29.0. メーカー. 16.2. 21.8. 9.3. 3.8. 17.7. 3.0 4.1. その他. 11.6. *. 15.7 8.1. (14) (19). 4.0. (11). 3.8. 16.6. 11.3. 4.2. (11) (0). *. (22) (37). (34) (4) (30). パッケージ. 18.7. (27) (39). 17.0. (61) (17) (44). 容易に入手で きる. 22.1. (36) (44). 18.5. (69) (21) (48) 16.7. 43.4. (31) (52). (83) (15) (68) 18.9. **. (49) (102). 23.9. (85) (22) (62). 昧. 42.6. (75) (100). (5) 4.2. 1.6. (15) (4) (11). 2.1 (5) 5.1. (2) (12). (*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001) 作用が怖い」3.8%(13名)であった.■その他」. 全体n=365. の記述の中にはよく知らない,頼りたくないとい. 食品 n=125. う意見もあった.. 薬 n=115. 「副作用が怖い」では,男性1.0%(1名)に. どちらでもな い n=121. 0%. 20%. 40%. 6(瑞. 80% 100%(呼く0・05). □非常に効果ありロやや効果あり田あまり効果なし■分からない■無回答. 図3 サプリメントの分類と効果の実感. 対し,女性4.6%(12名)と女性に多かった(P <0.05). 2)摂取に関する今後の意志 「摂取してみたい」26.9%(91名),「摂取の意. (29名)であり,「食品」と分類した者の11.2%(14 名)と比べて有意に高かった(P<0.05)(図3).. 志はない」47.9%(162名),「分からない」19.8% (67名)であった. ダイエット経験別でみると,『ダイエット群』202. 7.サプリメント非摂取者について サプリメントを摂取したことがない338名に, 摂取しない理由や今後の意志について尋ねた. 1)摂取しない理由 摂取しない理由(複数回答)についてみると,「必. 名で「摂取してみたい」が30.2%(61名)と,『無 関心群』79名での13.9%(11名)より有意に多かっ た(P<0.001).. 摂取しない理由別に摂取の意志をみると,「必 要ない」と回答した185名では「摂取の意志はない」. 要ない」が54.7%(185名)と最も多く,次いで「機. が61.1%(113名)と多く,「機会がない」と回答. 会がない」33.7%(114名),「経済的に無理がある」. した114名では「摂取してみたい」が40.4%(46名). 29.6%(100名),「体に悪い」4.4%(15名),「副. と多かった.. 260.

(8) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. た(P<0.05).. 8.ドリンク剤について. ドリンク剤の利用経験についてみると,「利用. サプリメント摂取経験別にみると,サプリメン. している」14.9%(106名),「利用したことがある」. ト『摂取群』365名ではドリンク剤『利用群』が. 60.5%(431名),「利用したことがない」23.2%(165. 81.1%(296名),『非摂取群』338名では69.2%(234. 名)であった.. 名)であり,サプリメント『摂取群』はドリンク. 「利用している」「利用したことがある」を『利. 剤利用経験が多かった(P<0.001).. 用群』とすると,『利用群』は75.4%(537名)で あった.性別でみると,『利用群』は男性80.0%(192. 9.自覚症状について(表4) 身体的および精神的な自覚症状(複数回答)に. 名)に対し,女性73.2%(341名)と男性に多かっ. 表4 自覚症状の訴え率 %(名). 喫 煙. 性 別. サプリメント摂取経験. 運動習慣. 全体 n=712. 経験群 非経験群 検定. 男 女. 検定 喫煙 非喫煙群 検定 ある ない 検定. n=240 n=466. n=96 n=600. n=287 n=383. n=365 n=338. 朝起きるのが 52.7 46.3 55.8 * (62) 64.6 52.0 * (13きミ) 48.1 57.7 * (205) 56.2 49.4 つらい (375) (111) (260) (312) (221) (167) だるい・疲れ やすい 目の疲れ 肩がこりやす しヽ. 49.6 47.5 51.1 (353) (114) (238) 46.6. 46.3. 62.5. 47.0. (332) (111) (219) 44.5 30.0 51.7 *** (317) (72) (241). 48.5. (60) (291) 50.0 46.8 (48) (281). 44.8. 45.0. (295) (86) (207). 冷え性である 41.4 19.2 53.2 *** 37.5 42.7. (34) (260). イライラする 24.6 19.6 27.5 * 27.1 24.8. (26) (169). 53.2. 50.7. 40.8. **. 47.1. 19.2. 46.6 35.5 **. 44.1. (170) (120). *. 47.7. 33.7. ***. (174) (114). 26.1 (75) 27.5 (79). 43.3 *** 39.5 29.6 ** (166) (144) (100) 40.7 *** 41.4 26.3 *** (156) (151) (89) 29.6 33.2 39.2 22.2 *** (85) (127) (143) (75) 32.9 21.3 *** 25.1 31.6 (72) (121) (120) (72). 18.1. (22) (115) 19.8 19.0 (19) (114) 17.7 19.2 (17) (115). 41.1. (172) (139). 27.2. 26.8 22.2 (98) (75). (64) (104). 22.9. *. 48.8 44.1 (178) (149). (117) (169). 46.5. 45.3. (194) (153). (111) (194). 22.3. (175) (47) (128) (26) (149). アレルギー体 19.4 12.5 23.2 *** 質である (138) (30) (108) 頭が痛い・重 18.8 15.4 20.8 しヽ (134) (37) (97) 風邪をひきや 18.7 20.8 17.8 すい (133) (50) (83). ***. (107) (178). ときどきめま 27.5 20.0 31.5 ** 27.1 28.2 (196) (48) (147). 56.4. (123) (216) 46.3 49.1 (133) (188). 37.3. (295) (46) (248) (36) (256). 肌が荒れやす 35.1 18.3 43.3 *** 34.4 35.8 しヽ (250) (44) (202) (33) (215) にきび∴吹き出 34.7 21.3 41.4 *** 32.3 35.7 物が出やすい (247) (51) (193) (31) (214) しばしば下痢ま 31.2 23.8 35.0 ** 36.5 30.5 たは便秘になる (222) (57) (163) (35) (183) いがする. 42.9. 38.7. (43) (270). ストレスを感 41.4 35.8 44.4 * 35.4 43.3 じる. *. 23.8 14.2 **. 21.4. (52) (82) 17.4. (87) (48). 22.2 15.1 *. 20.9. (50) (80) 19.5. (81) (51). 23.6 13.3 ***. 19.6. (56) (75). (86) (45). 胃の調子が悪 18.5 14.2 21.0 * 29.2 16.8 ** 15.0 21.9 * 23.6 12.4 *** (132) (34) (98). しヽ 息切れしやす しヽ 貧血・貧血ぎ みである 眠れない・寝 つきカミ悪い. 口内炎ができ やすい 生理不順・無 月経. (104) (31) (73) 14.3 0.4 21.5 (102) (1) (100). 食欲がない. その他 症状なし. 14.2 (34) 7.5 (18) 21.3 (51). (28) (101) (43) (84) 19.5 31.3 15.8 *** 13.6 21.7 ** (91) (30) (95) (39) (83) 23.4 *** 16.7 18.2 15.7 20.6 (109) (16) (109) (45) (79) 12.9 ** 30.2 13.5 *** 17.8 14.9 (60) (29) (81) (51) (57). 17.8 (127) 17.8 (127) 15.6 (111) 14.6. 4.6. 12.9. 5.0. 15.7. 4.5. (33) (12) (21) 0.7 (5). 2.9 7.5 0.6 (21) (18) (3). 9.4. ***. 15.8. (9) (95) 9.4 15.3 (9) (92) 4.2. 4.8. (4) (29) 0.8. (0) (5) *** 2.1 3.2 (2) (19). (86) (42). 19.7. 15.7. (72) (53). 23.0 12.4 *** (84) (42) 16.4 14.8 (60) (50). 10.8 17.5 * 16.7 12.1. (31) (67) 10.5 18.0 (30) (69) 3.8. 5.7. (11) (22) 0.8. (0) (3) 4.5 1.8 * (13) (7). (61) (41). **. 18.1. 9.5. **. (66) (32) 6.0 3.3 (22) (11) 0.5 (2). 1.1 5.0 *** (4) (17). (*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001). 261.

(9) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美. ついてみると,「自覚症状は全くない」が2.9%(21. の痩せは月経の発来を遅らせ,しばしば無月経を. 名)であり,ほとんどの学生が何らかの症状を感. 招く.また,ダイエットによって若い時に増加し. じていた.性別で見ると,症状がない者は男性に. なければならないはずの骨密度が減少してしま. 多かった(P<0.001).また,運動習慣がある者. い,若くして骨租紫症になってしまう危険がある.. (P<0.05),サプリメント『非摂取群』(P<0.001). そして,極度の痩せ願望は神経性食思不振や過食. で症状がないという者が多かった.. 症といった摂食障害のきっかけになることもあ. 自覚症状の内容では,「朝起きるのがつらい」. る.今後,自身が子どもに教育する立場になる者. が52.7%(375名)と最も多く,次いで「体がだ. として,自分自身について正しい体型認識を身に. るい・疲れやすい」49.6%(353名),「目が疲れ. つけることが必要であると考える.. やすい」46.6%(332名),「肩がこりやすい」44.5% (317名)などであった.. 性別で見たとき男性が有意に多かったものとし ては,「眠れない・寝つきが悪い」の1項目だけで,. 女性が有意に多かった項目として「肩がこりやす い」「冷え性である」など13項目あった.. 喫煙の習慣別にみると,喫煙習慣がない者の方. 自分自身の体型に関する認識を性別でみると, 『太め』とした者は男性で30.4%,女性で50.9% であり,国民栄養調査8)とほぼ同じ結果であった. 実際のBMIと体型認識のずれについては,女 性はBMIで低体重・標準であるにもかかわらず 『太め』と感じている者が47.3%と多く,国民栄 養調査8)と同様の傾向がみられた.テレビや雑誌. が有意に多い項目はなく,喫煙習慣がある者の方. などに登場する女性がますますスリムになり,そ. が有意に多い項目としては「息切れがしやすい」,. の姿が標準化,理想化され「痩せていたほうが美. 「眠れない・寝つきが悪い」など5項目あった.. 運動習慣の有無でみると,運動習慣がある者の. しい」という思い込みを作っていることも原因の. 一つであると考えられる.. 方が有意に多い項目はなく,運動習慣がない者の 方が有意に多い項目としては「だるい・疲れやす い」「肌が荒れやすい」など10項目あった.. サプリメント摂取経験別でみると,サプリメン ト『非摂取群』の方が有意に多い項目はなく,『摂. 2.ダイエット経験について. ダイエット経験について,『ダイエット群』は 66.3%であり男性よりも女性が多かった.今回の. 調査で女性の平均BMIは20.2であり,ダイエッ. 取群』の方が有意に多い項目としては「冷え性で. トの必要があると思われるBMI25.0以上の者が. ある」「にきび・吹き出物が出やすい」など13項. 1.1%であったことを考えると,不必要なダイエッ. 目あった.. トをしている者も多いと推察される.女性のダイ エット志向は,自分の体型に関して誤った判断を. Ⅳ.考 察 1.体型について. 理想体重から算出した理想BMIの平均は男性. していること,社会的な背景が関係していると思. われる.また,田村ら9)の調査では,ダイエット の開始年齢は中学生が多く,第二次性徴の急激な 体重増加の時期と関連があるとされる.ダイエッ. 21.6,女性19.4であり,標準体重に近いBMI21.0. トは栄養状態の悪化や体力の低下につながるの. ∼23.0を理想とした者は男性で46.3%,女性で. で,自分自身の体型について正しく判断できるこ. 10.5%であった.BMI21.0以下を理想とした女. とが望まれる.. 性が多く,女性の誤った痩せ願望が改めて確認さ れた.肥満と生活習慣病発症の関連が強調され,. 中年の肥満について問題となっていたが,近年若. い女性の痩せが問題となってきている6)7).女性. 262. 3.生活習慣について. 平目の平均就寝時間は0時48分,平均起床時間 は8時00分であり,平均睡眠時間は7時間6分で.

(10) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. あった.男性が女性より遅く就寝し,起床が18分 遅かった.女性は朝の支度に時間がかかることと,. 4.サプリメントについて サプリメントという言葉を「聞いたことがある」. 朝食摂取率が女性の方が多かったことが一因と考. 者は97.9%であり,ほとんどの者が大学までにど. えられる.. こかで触れていると思われる.. 体育以外での運動習慣について,「ある」と回. サプリメントの摂取経験についてみると,『摂. 答した者は男性で62.5%,女性で29.0%であり,. 取群』は51.3%であり,男性では43.8%,女性で. 国民栄養調査8)の結果よりも運動習慣のある者が. は55.6%であった.杉山ら3),中山ら4),大島5). 多かった.大学生ということもあり,運動部に所. が女子学生に対して調査した結果と,今回の女子. 属している者がいることと関係があると思われ. 学生の調査結果はほぼ同じであった. サプリメントの分類について「食品」「薬」「ど. る.. 飲酒の習慣について,飲酒を「する」者は91.4%. ちらでもない」がともに30%前後であり,サプリ. であり,週2∼3回以上飲酒する者は21.8%で. メントが食品であると知っている者は全体の3分. あった.1年生の飲酒についてみると,未成年が. の1程度であった.. 多いと思われるが90.8%が「する」と回答してい. 専攻別でみると,『健康課程』の者は『その他. た.飲酒は体の発育・発達への影響を考慮し20歳. の課程』よりも「食品」に分類した者が多かった.. からとなっているが,外見からは年齢の区別がで. このことから健康の分野を専門としている者はサ. きないことや日本の飲酒に関して寛容な環境が未. プリメントについて学ぶ機会があると考えられる. 成年である1年生の飲酒を助長しており,問題と. が,逆に専門としなければ学ぶ機会がないとも捉. 思われる.. えることができる.食薬区分の見直しによりサプ. 喫煙の習慣について,『喫煙群』は13.5%であり,. リメントが身近になったことを考えると,専門や. 男性は22.5%,女性は8.8%であった.国民栄養. 興味関心だけではなく,全ての人に学ぶ機会がな. 調査8)の結果と比較したところ,今回の調査の方. ければならないと考える.特に,中村2)も述べて. がやや低い値を示した.また,1988年の同大学の. いるように,サプリメントは栄養教育と共に普及. 調査結果10)と比較すると,男性は51.6%から半. すべきであり,今後の子どもへのサプリメントに. 減しているが,女性は4.7%だったものがほぼ倍. 関する教育の必要性を考えると,教員として専攻. になっていた.日本たばこ産業の調査によると,. にかかわらず正しい知識を持つことが必要になる. 全国的に男性の喫煙率は年々減少しているのに対. と考える.. し,女性の喫煙率は年々増加している.特に若い. 摂取経験別でサプリメントの分類についてみる. 女性の上昇率が大きく,それが,女子学生にも現. と,『摂取群』は『非摂取群』に比べて「食品」. れているものと思われる.また,1年生の喫煙に. と分類した者が多かった.しかし,50%以上はサ. ついてみると,7.1%が「する」と回答しており,. プリメントが「食品」であると知らずに摂取して. 他の学年よりは低い値であったが,ほとんどの者. いたという結果から,サプリメントに関しての認. が未成年であることを考えると少ないとはいえな. 識不足を解消する必要性が感じられた.. い.また,「以前喫煙していたがやめた」という. 者が6.1%いることも大きな問題である.喫煙は. 5.サプリメント摂取者について. 年齢に関係なく健康を害するものであり,特に成. 1)摂取時期,種類および摂取理由. 長期の体への影響は計り知れない.早期の禁煙教 育が望まれる.. 摂取を始めた時期をみると,「高校生」が42.2% と最も多く,「中学生」という者も13.4%いた.. この結果だけではなく,大学生の約半数がサプリ メントの摂取経験があるということからも,サブ. 263.

(11) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美. リメントに関する教育を行う時期としては,中学 校や高校における栄養や食物に関する学習と同時. 2)摂取方法. 摂取にあたって説明書を読んでいるか否かをみ. に行うことが望ましいと考えられる.また,中学. ると,「必ず読む」「読むことが多い」を合わせて. 生,高校生はダイエットを初めて行った時期とし. も59.5%であり,説明書は軽視されていた.薬と. てもあげられており,美容に関する興味が大きく. の併用で副作用の出るものや,体調によっては摂. なる時期である.情報が氾盲監し,個人に取捨選択. 取してはいけないサプリメントもあるため,摂取. が任されている部分もあり,情報処理能力の未熟. の際には必ず読むべきであると考える.. な中高生には正しい知識を適切な方法によって習 得させることが必要と考える. 摂取している種類についてみると,「ビタミン」. 用法を守っているか否かをみると,「守ってい ない」「気にしない」と回答した者が合わせて 18.1%,用量を「守っていない」「気にしない」「知. が最も多く,杉山ら3),中山ら4)の「ビタミンC」. らない」と回答した者は合わせて18.1%であり,. が多かったという結果とほぼ同じであった.. 用法・用量を守っていない者が多かった.サプリ. 今回の調査では,「ビタミン」の摂取が男性. メントは栄養素が凝縮されているため手軽に摂取. 54.3%,女性77.2%と女性の方が多かったことか. できる反面,過剰摂取によって悪影響があるもの. ら,美容効果を期待してという部分が大きいと考. もある.特に,今回の調査で摂取している者が多. えられる.「コラーゲン」でも女性の摂取が多く,. かったどタミンやミネラル主体のものは,純度が. 美容を目的としてサプリメントを摂取しているこ. 高いため注意が必要である.サプリメントは食品. とがうかがわれた.複数のサプリメントを摂取し. の機能を強調した製品であり,医薬品と食品の互. ている者は44.4%であり,サプリメント同士の飲. いの性質を兼ね備えているというサプリメントの. み合わせや相互作用についての知識も必要になっ. 特性の理解を徹底することが必要と思われる.. てくると考える.. 摂取の理由についてみると,「体によさそう」. サプリメントの摂取量についてみると,男性で 5.7%が「多く飲むほどよい」と回答した.しかし,. が最も多く,杉山ら3)の結果と同じであった.し. 特定のサプリメントを過剰に摂ってもバランスが. かし,野中11)も述べているようにサプリメント. 乱れるだけで代謝がH滑に行われないため,多く. は医薬品と異なるため,科学的な調査や実証は求. の栄養素を多く摂れば摂るほどよいというもので. められておらず,簡単に“健康によい’’との判断. はないということ,効果も期待できるが副作用も. のみで利用されることは現状では適切とは思われ. 無視できないということもあり,正しい摂取の方. ない.自分の体調に目を向け,必要な栄養素を選. 法について広く認知される必要がある.また,「少. 択することが望ましいと考える.. ない方がよい」と回答した者も全体で7.9%にお. 男女とも「食事が不十分だから」という理由も. よび,サプリメントの正しい摂取方法である,日. 32.6%と多く,美容ばかりではなく,本来の目的. 常の食事で不足する栄養素を補うという根本的な. である健康に配慮してのサプリメント摂取者も多. サプリメントの役割が理解されていないと推測さ. かった.. れる.. その他の記述には,中高生期の部活動のためと. サプリメントを選ぶ基準についてみると,「値. いう者もおり,体を作る目的でサプリメントを摂. 段」を挙げた者が51.2%と最も多かった.「原材料」. 取していた者もいた.また,親や友人に勧められ. を挙げる者が18.9%と少なく,「安全性」を考え. てという回答もあり,自分に必要であるか深く考. る者も半数以下という結果であった.健康食品の. えることなく摂取している者もいると思われる. 中には効能や安全性が確認されていない商品も多. が,摂取の際には自分の体調に目を向け,必要な. い12)ことを考えると,問題と思われる.中村13). 栄養素を選択することが望まれる.. も述べているように,サプリメント摂取は全て自. 264.

(12) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. 己責任であり,自分には何が必要かを勉強しなけ. 食事で足りない部分をサプリメントによって補う. ればならず,サプリメントや栄養に関する教育の. という柔軟な考え方も必要になってくると思われ. 充実が求められる.. る.. 今回の調査の中でも説明書を読まないと回答し. 「副作用が怖い」「体に悪い」という者もおり,. た者が約半数にのぼり,消費者自身がサプリメン. サプリメントの正しい知識が広まることによっ. トを摂取することについて真剣に考える必要があ. て,サプリメントの摂取者はさらに増えるのでは. る.サプリメントはヒトの体内に入るものであり,. ないかと考えられる.. 安全性が最優先されるものであるが,一方で消費. その他の記述の中でも,「よく分からない」「薬. 者にとって見極めは困難である14)ことから,誰. に頼りたくない」という意見がみられ,サプリメ. にでも容易にサプリメントを見極めることができ. ントに関する認識の低さがうかがわれた.. るような表示の基準や制度の充実も大切であると. 2)摂取に関する今後の意志. 思われる. 3)効果の実感. サプリメントの効果の実感についてみると,全 体では「やや効果あり」と並び,「分からない」. 「摂取してみたい」26.9%,「分からない」19.8%. であり,今後サプリメントの摂取者は増加してい くものと思われる.. 性別でみると,女性の方がサプリメントに関す. が多かった.杉山ら3)の研究においても60%以上. る関心が高く,ダイエットや美容に関する興味と. の者が「効果を実感できていない」という結果に. 同様のものではないかと思われる.サプリメント. なっている.薬のような形態から,薬効や即効性. やダイエット 美容に対する関心は,健康への関. を期待して摂取している者も多いと思われる.. 心につなげることができると考える.このような. サプリメントの分類別で効果の実感についてみ たところ,「薬」と分類した者では「あまり効果. 興味関心の高さを生かし,教育の中に取り入れて いくことが望まれる.. がない」という者が多かった.しかし,サプリメ. ントは医薬品と異なり,特効薬的な効果を期待す るものではなく食品として日常的に摂取するもの. 7.ドリンク剤について. ドリンク剤の利用経験についてみると,『利用. であり,さらに厚生労働省所管である日本健康・. 群』は75.4%であり,女子大学生を対象とした杉. 栄養食品協会(JHNFA)が,「健康補助食品は効. 山ら3)の調査結果の62.8%より高かった.. 果があるかもしれないし,ないかもしれない.. サプリメントの摂取経験別でみると,サプリメ. MAY(確率論)の世界.」15)と述べていることか. ント『摂取群』ではドリンク剤を利用している者. らも,サプリメントの効果については,人それぞ. が多く,サプリメントの『摂取群』は健康食品に. れの感じ方次第であり必ずしも何らかの成果が現. 興味があり,ドリンク剤や健康食品を利用するこ. れるとは限らない,ということを知った上で摂取. とに抵抗がないと思われる.サプリメントの摂取. することが望まれる.. 経験がない者でもドリンク剤を利用している者が 30%以上おり,サプリメントよりも気軽に利用で. 6.サプリメント非摂取者について. きるのではないかと思われる.. 1)摂取しない理由. 「必要ない」が54.7%と最も多かった.食事で. 8.自覚症状について. 栄養を摂ることは望ましい形であるが,食物自体. 身体的および精神的な自覚症状の訴え率につい. の栄養分の減少や現代人のどタミン・ミネラル消. てみると,「自覚症状は全くない」という者は2.9%. 費量の増大によって,食物からの栄養摂取だけでは. とわずかであり,ほとんどの者は何らかの症状が. 必要量を十分に摂ることは難しくなっている1)13). あった.. 265.

(13) 芝木美沙子・野館由紀子・笹嶋 由美. 性別で訴える自覚症状の違いをみると,「自覚. 性は76.0%と多かった.特に女性では,現在の. 症状の全くない者」は21名中18名が男性であった.. BMIをみると不必要なダイエットを行ってい. 男性で多かった項目は「寝つきが悪い,眠れない」. る者も多いと思われ,誤った体型認識と社会的. だけであったが,これが就寝時間の遅れにつなが. な背景が女性のダイエット志向を助長している. り,そのため起床時間が遅くなり,朝食を摂取し. と考えられる.. ないことにも影響を及ぼしているものと思われ. 3)飲酒をする者は91.4%,喫煙をする者は. る.女性の訴える症状では,肌のトラブルや貧血,. 13.5%であった.未成年者がほとんどと思われ. 血行不良によるもの,胃腸のトラブル,ストレス,. る1年生の飲酒者は90.8%,喫煙者は7.1%で. アレルギーなどがあった.杉山ら3)の調査の結果. あり問題である.. より全体的にやや低い値を示した. 喫煙の状況別でみると,「息切れしやすい」「体. 4)サプリメントという言葉を聞いたことがある 者は97.9%であり,ほとんどの者が大学までに. がだるい・疲れやすい」などで喫煙群の有訴率が. どこかで触れていると思われる.また,サプリ. 高く,喫煙の影響が考えられる.. メント摂取経験がある者は51.3%であり,男性. 運動習慣の有無で比較すると,全体的に運動習 慣のない者の有訴率が高かった.特に差の大き かった項目をみると,「体がだるい・疲れやすい」, 「肌が荒れやすい」,「にきび・吹き出物が出やす. より女性の方が多かった. 5)サプリメントについて「食品」であると正し く認識してい. る者は約3分の1であった.摂取. 経験のある者であっても正しく分類している者. い」があり,適度な運動習慣は新陳代謝を高め,. は34.2%と半数以下であり,認識不足解消の必. 良質な睡眠にもつながり,体調を整えることに役. 要性が感じられた.. 立っているのではないかと推察された.. サプリメントの摂取経験別でみると,杉山ら3). 6)サプリメントの摂取を始めた時期は,「高校 生」が42.2%と最も多かったが,「中学生」が. の調査と比較したとき全体として低い値となって. 13.4%もいたことから,サプリメントに関する. いる.『摂取群』と『非摂取群』で比較すると,. 教育を行う時期としては,中学校や高校におけ. 奥の項目で『摂取群』が高い値を示した.体の不. る栄養や食物に関する学習と同時に行うことが. 調を訴える者にサプリメントの摂取者が多く,サ. 望まれる.. プリメントで体調の改善を図ろうとしている者も いるのではないかと考えられる.. 7)摂取しているサプリメントの種類をみると, ビタミンが最も多く70.7%であった.複数摂取 している者は44.4%おり,サプリメント同士の. Ⅴ.まとめ 北海道教育大学教育学部旭川校の学部生712名. 飲み合わせや相互作用についての知識も重要に なってくると思われる. 8)サプリメント摂取の理由をみると,「体によ. を対象に健康,生活習慣およびサプリメントの利. さそう」が41.1%と最も多かった.また,親や. 用実態について調査したところ,以下のような結. 友人に勧められてという受動的な理由もあり,. 果を得た.. 摂取の際には自分の体調に目を向け必要な栄養 素を選択することが望まれる.. 1)標準体重に近いBMI21.0∼23.0を理想とし た者は,女性では10.5%と少なく,BMI21.0. と半数以下であった.サプリメントは食品とし. 以下を理想とした者が64.6%と多く,女性の. て日常的に摂取するものであり,特効薬的効果. 誤った痩せ願望が改めて確認された.. を期待するものではないという前碇で摂取する. 2)ダイエット経験がある者は66.3%であり,女. 266. 9)サプリメントの効果を感じている者は44.4%. ことが望ましい..

(14) 大学生の健康と生活習慣およびサプリメントの利用実態に関する調査. 10)サプリメントを選ぶ基準で「原材料」や「安. 全性」を挙げる者が少なかった.健康食品の中 には効能や安全性が確認されていないものも多. い.サプリメントの摂取は全て自己責任といわ れる現代では,自分には何が必要かを勉強する. 用状況と食生活について,羽衣学園短期大学研究紀要, 40:31−41,2004. 5)大鳥博人:本学学生のサプリメントについて,名古 屋女子文化短期大学研究紀要,29:32−35,2004 6)平野和子:女子学生のボディイメージとダイエット 行動について,神戸文化短期大学研究紀要,26:1−12, 2002. 必要がある. 11)ドリンク剤の利用経験のある者は75.4%であ り,気軽に体調や症状に合わせて利用している. 7)山口明彦,森田勲,武田秀勝:痩せ願望青年期女子. 学生の「美容」か「健康」かの志向の違いによる体型 および減量法に関する意識について,学校保健研究,42 :185−195,2000. と思われる. 12)自覚症状の有訴率についてみると,「全く自. 8)厚生労働省:平成14年度国民栄養調査の概要につい て,http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1224−4.. 覚症状はない」という者は2.9%とわずかであっ. た.有訴率の最も高かったものは「朝起きるの がつらい」の52.7%であり,現代人の夜型生活 の現われではないかと思われる.サプリメント 摂取経験のある者は有訴率が高い傾向にあり, 体調の改善を図る目的でサプリメントを摂取し ている者もいると思われる.. html,2003 9)田村裕子,野々上敬子,前橋明:中学・高校生のダ イエットに関する研究,運動・健康教育研究,13: 40−48,2003. 10)横田正義:青少年の喫煙について(第1報)教育大 学学生における喫煙の実態,北海道教育大学紀要(第. 二部C),41:21−34,1990 11)野中博:医師から見たサプリメントー適切な使用が 望まれるサプリメント,医学のあゆみ,208:980−983,. サプリメント摂取に関しては,三食の食事はき ちんと摂ること,その中で不足しているものを把 握し補助的に取り入れることが前碇としてある. また,サプリメントの摂取は全て自己責任であり, 氾盲監する情報を取捨選択する知識が必要である.. これらのことから,美容に関する興味が大きくな. 2004 12)国民生活センター:過信は禁物!サプリメント,た. しかな目,197:10−15,2002 13)中村丁次:自分を守るための新・サプリメント活用. 法,週刊朝日増刊号,107:104−107,2002 14)徳山尚吾:サプリメントをめぐる現状,臨床と薬物. 治療,21:711−715,2002 15)日本健康・栄養食品協会:使用は個々人が柔軟性を. る中高生期に,関心の高さを生かして栄養やサプ. もって一健康補助食品の基礎知識,http://www.jhnfa.. リメントに関する正しい知識を習得させることが. Org/colum3.html,2003. 必要であり,教育の充実が望まれる. ノ稿を終えるにあたり,お忙しい中アンケート調. (芝木美沙子 旭川校助教授). 査にご協力いただきました北海道教育大学旭川校. (野館由紀子 旭川校大学生). の学部生の皆様に深く感謝いたします.. (笹嶋 由美 旭川校教授). 文 献 1)横井直美:サプリメントとは一食生活とその必要性, 一宮女子短期大学研究報告,40:189−200,2001 2)中村丁次:食生活のアンバランスとサプリメント, 医学のあゆみ,208:975−977,2004 3)杉山寿美,上本久美,石永正隆:女子大学生のサプ リメントの利用実態と食に関する保健行動,日本栄養・. 食糧学会誌,55:97−103,2002 4)中山玲子,黒川由美:女子短大生のサプリメント利. 267.

(15)

参照

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