文字,漢語・漢字,正書法の授業計画(上)
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第41巻 第1号. 平成2年9月. ]oumalof Hokkaido University ofEducation(Section IC) VOL41, No‐I. September ,1990. 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業 計画 (上). 上. 勝. 夫・ 栄. 花. 寛・佐. 藤. 正. 行・ 土. 谷. 庸. 北星学園余市高校を訪れ, その実践に学んでいたときのことである. 子どもの学力を回復する試 みの一つとして, 漢字書きとりのクラス対抗コンクールが取りくまれていた. それにたいして, 三 上は, つ ぎのような意見を述べた‐ 「たしかに漢字は 一字一字覚えなければならないものである しかし この学校 効こ来ている子 , . , どもたちは, そのやり方 で落ちこぼされた経験者ではないのか. だから一 字一字練習するにして も, 今ま でとはちがう何かをもっ てそうするの でなければ, 努力は持続しえないと 思われる そ ‐ のためには, たとえば, 文字とは何か, 文字の発達の法則性, 日本 でいえば漢字の受容からかな の発明の過程のすばらしさ,にもかかわらず漢字の呪縛か ら開放されない日本語の特 質(漢語論) , 漢字の構造, あるべき正書法などに ついて, 子どもたちの興 味を喚起しながら, しかし, 今日の 国語国字政策のもと では, 漢字を覚えなければ, 仕事をするのに困っ たり, 時には差別されたり することもあるので, 頑張っ て勉強しようと でもいっ たメ ッセージを送って, 学習をはげまして やることが必要なの ではないか.」 これにたいして, 賛意はいただいたものの, では, そのような指導の内容をどうやっ て作るかと いう段になって, す ぐにはイメージがわかないと いう. そこで, とりあえず基本的な案を三上が作 成し’ 余市高校側 では子どもの実態にあわせて, それを修正して授業をす るという 思わぬ約束が で きてしまっ たの であっ た. ここに掲載するのは, その原案である 北星余市高 では 大幅な修正を . , くわえて独自の授業を行ない, その一部は, 同高編の好著 『授業でつっ ぱる』 に紹介されている ‐ 以 来 研究室の学生のなかに, 文字指導を卒業論文でとりあげる者が, ポツリポツリとあらわれ , 数年前には佐藤が漢語論の案をつくり, 今年も土谷が, 日本語の正書法について取りあげた これ . で曲がりなりにも当初の構想が完成したの で, 発表しておくこととしたの である ‐ 栄花 (当時, 明園小学校) が指導していた子どもの発 見もすばらしい 栄花が子どもに 「周一 と , . い う 字 を 「ま わ り」 と いう 意 味 だ と 教 え て い た と き の こ と だ あ る 子 ども が 「シ ン ニ ョ ウ の つ い た .. 『週』 も 『まわり』 と関係があると思う 一週間の場合も7日でひとまわりする と発言した 「調 . .」 .. 査の 調 も,. ま わ っ て よ く 調 べ る と いう こ と では な い だろ う か 」な ど つ ぎつ ぎと 発 言 がつ づ き 他 , - ,. の字も調べてみようという ことになっ た. 実に, 藤堂明保氏, さらにさかのぼればカールグレンの 発見を, 子どもたちは直観的にいいあてているのである ちなみに このとき栄花は 藤堂氏らの . , , 単語家族論については未見であっ た. こう して, 子どもの発見にう ながされて 漢字指導を構想し , ていた栄花も, 今回文字指導の計画作成に加わっ た . この計画の内容については, 執筆者の4人が, 共同の責任を負うもの である 内容は 「問題」と , , . それにたいする 「解説」 から構成されている‐ 授業にとりあげる際には このままではなく 内容 , , を精選し, 批判修正をくわえたもので行なっ ていただきたいと思う ..
(3) . 寛・佐藤 正行・土谷 庸一. 三上 勝夫・栄花. 文. 字. の. 歴. 史. 1. 文字の前史 文字は, ことばの録音機です‐ はなしことばの音声 が, すぐ消えてしまうの に た い して, 文 字 は 消 え な い こ と ば だ と い っ て. . も い い で し ょ う‐. 人類が, 文字を発明したの は, たいへんすば らしいことでした‐ 人類は文字によって, 記録 をしたり, 間接的に意志を伝達したりすること. しるしたものでしょう. け わしい登りのがけ道の入り口近く の岩にき ざ. ができるようになっ たのです‐ インデアンの書きしるした絵は, まだ文字に. ま れて い た と い いま す.. はなっていませんが, 何かを伝達しようとして 書かれたものであることは, まちがいありませ ん. たぶん,「このがけ道は, ヤギなら登れるが, ウマに乗っ て登ろうとすると, ひっくりかえる. と こ ろ で, こ の 絵 は, な に ご と か を 伝 達 しよ. うとしているよう です.考えてみましょう‐(絵 の上のほうはヤ ギ, 下はヒトの 乗っ たウマ で す‐). ので, やめろ」という意味だろうと 思われます‐ 日 本 人 も, アイ ヌ も, イ ン デア ン も 自分 の力. で文字を発明することはできませんでした‐ 文字を発明したのは, 古代中国文明, エジ プ ト文明, メ ソ ポ タ ミ ア 文 明 な どを つ く っ た 人 び と で し た‐. しかし, 文字をもたない人びとも, 伝達のためや 記録のためのくふうをいろいろおこないま した. これらのくふうや努力を 「文字の前史」 とよんでおきましょう‐ このイン デアンの手紙は,アメリカ合衆国 議会に湖の漁業権を請願したものだといわれています. 動物は七つの部族をあらわし, 頭と心臓が線でむすばれているのは, 部族の考えと 感情が一致して いることを示すといいます.. 沖縄には数字をわらの 結び目であらわす記録の方法がありました. ある人は,「中国または島津藩 の支配のもとに, 武器の使用を禁じられた沖縄人の間で空手が発達したように, 支配者から文字の 学習を許されなかっ た沖縄の民衆は 『わら ざん』 とよばれる一種の結縄を発明した.」 ともいってい ます‐ 図案化された絵で, 何かを表わそうというのは, 現在でもさかんに行なわれています. ス プー ン とフォ ークを交差させて, 食堂車付きを, コーヒーカ ッ プでビュ フェ 車付きをあらわすなどは, 鉄 道を利用して旅行した人はよく 知 っていることでしょう. 2.
(4) . 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上). 2. 文字の誕生 伝達や記録のためにくふうされた絵が発展 し て, 単語に対応す る記号の体系ができあがっ た とき, 文字が誕生しました‐ 単語は有限です‐ 文字は, ことばを書きしるす記号の体系 です. と こ ろ で, こ と ば に は, い く つ か の. 単位があります‐ たとえば,. しか し単語をく みあわせて つく る文は無 限 で す. 有限の単語を文字であらわすことができれ ば, 無限の文も書き あらわせるのです‐. 一 精舞 寵 愛畿塾 ユーフラ. (a). (b) (c) のように, ことばは文 (a) からなり, 文 は単語 (b) のくみあわせからなり, 単語 は音 (c) からなりたっ ています.. 文字 (ウルク文書) は, 襖形文字にやがて発展 していっ た, もとの絵文 字の姿を示すだろう と. 文字は, 文, 単語, 音のうち どれに対応 した記号として, その歴史をはじめたと思. い わ れ て い ま す.紀 元 前 3100 年 こ ろ の も の と い う の で,い ま か ら 約 5000 年 前 と いう こ と に な る. い ま す か‐. で し ょ う‐ 初期の絵文字 後世の変化Lた位置初期のバピ リェャ文字ァヶ“ァ女字 意味. ナルメル王の パレ ッ トと呼ばれる記念碑が, ナイル. J. ヤ. ヤ. 心. 合. 漁. T鳥. 川 中 流の ヒ エ ラ コ ン ポ リ ス と いう と こ ろ か ら 発 見さ れ. ています‐ これには, ヒェロ グリフといゎれる文字が -しるさ れて います‐ これも, 紀元前3100年, 今から. 秋. 魚. 0年前のものと推定されています‐ 500 えんすい. しようとん. 黄河の支流の酒 旦水という川の近く, 小 屯とい う村から文字のしるされた骨や亀の甲らがたく さん発見されました. これは古く段という時代 のうらないの結果をしるしたものだと考えられ ています‐ 現在の漢字の起源 です‐ こう し て, いく つ か の 文 明 の も と で 誕 生 し た. 文字はその後, さま ざまな民族のことばを書き しるすために用いられ, 改良されて, 今日にま で い た っ て い る と い え る の です‐. 文字は絵から出発しま したが, 次第にもとの 絵の姿を失っ ていきました‐ このような文字を 使いこなすには, 訓練が必要となり, そのよう な訓練の機会にめ ぐまれない民衆の手には, 文 字 は ほ ど 遠 い も の と な っ て いき ま し た . 3.
(5) . 三上 勝夫・栄花. 寛・佐藤 正行・土谷 庸-. 3. 文字の第二の誕生. 単語を書きあらわす文字 (表語文字, 表意文 字) の発明を, 文字の誕生というとしたら, 音 を書きあらわす文字 (表音文字) の発明は, 文 ヒ エ ロ グリ フ か ら ロ ー マ 字 がう ま れ, 漢. 字からは, かなもじがうまれま した. これ は文字の歴史にとって第二の誕生とでもい う べ き, か がや か し い でき ご と で し た.. 6字,かなもじは46字 さて,ローマ字は2 0字, 漢字が初 です. ヒエロ グリフが約300 0字あっ たのにく 期の甲骨文字でも約400 らべて, ローマ字やかなも じは数がきょく. 字 の 第 二 の 誕 生 と い っ て も よ い で し ょ う.. シ ナ イ 半 島か ら 発掘 さ れ た 紀 元 前1800~ 1600年ころ のものと考え られるいくつ かの 碑 文には,32個に類別さ れる文字が刻ま れていま した. この文字は原シナイ文字と呼ばれ, シナ イ 半 島 の 人 び と が, エ ジ プ ト の ヒ エ ロ グリ フ を 用 い て 自分 たちのことばを, 書きあらわ したの. たんに少ないですね. それはなぜでしょう. だと考えられています. そのときに, 彼らは, ヒエロ グリフを音をあらわすのに用いたの だと. か.. い い ま す. 例 え ば, 牛 の. こ と を 彼 ら は 「ア リ フ」 と い い ま し た‐ そ こ で, 牛 の 頭 の 形 を し た. こ の 文 字 が, ア リ フ ・ ベ ト, す な わ ち 後 の ア ル フ ァ ベ ッ ト の は じ. まり であるこ とは, このような文字の通称にもあらわれています. この文字は, やがて, 海上の商業活動をさかんにおこ なっ たフ ェニ キア人の実用のために用いられ, さらにギリシア人たちによって, ギリ シ ア ア ルフ ァ ベ ッ ト に つ く り か え ら れ て, 実 用 の ほ か に も, 文. 学や科学の文 字として用いられました. その後ローマ人によって使 用されるようにも なり, これがローマ字となりました. 漢字からは, 日本人の手によって, かな文字が生みだされました. つ ぎには, 漢字からか な文字をつくり だした日本人の知恵を調べて. 鰹. 十嘘、. ヒエロ グリフで, 「アリフ」 の最初の音 (A) をあらわすことにしま した. また, 家をあらわすのヒエロ グリフを借りて, 「B」の音をあ らわしました. 彼らは家のことを 「ベ ト」 と呼んでいたの です.. ’ ’ ” …塁; y ; ri キ・ ¥麦 蔓唖 r q 蔓 ;r;r ;r ir琴 ー”* も歩21 A け け” 蝦 { B( 撃 B ゆ OO 繰り [ B 「 ‘ 」 r 響 ‘ 様 纂 c ,竪q. 銀1ロ 包恐 D. 宰E y 喫日 滋ぬ } , Y. Y. 電, の. 騨・“z▼. 翻 ー. 増. 4 Z常 ヌ. H W l 練 eW q 亨 ・ ‐ ‐ 0 1 敦 “ ? 盤}I h K鰹 K 亀 { 一’ I 仇 e ( 触 L 為ゴ l 獣 M ‘- ▼. 凸. 鴻 触. 1 7 4「 1 0 N. 鍔 , x O @ ・ 。 。 e全) O 0、 . -P o oo ?即 O IW. \ \. α や キ蟹 [ 恕. みることにしま す.. 4. 漢字の伝来. しょう‐ これ が読みあげら れ る の を 聞 い た こ と は, 一 4. 時 如 是 我 聞 一1. つ ぎの資料には, どこか で遭 遇 した こ と があ る で. ・ 衆 菌ムー 大比 丘 1. [問い4]. 日本が大和朝廷によって統一されていった時 代に, 多数の帰化人が朝鮮半島から渡来し, 日 本に高い文化をはこんできました. 伝説によ れ わに ば, 百済の王仁が, 応神天皇のまねきで,『論語』 十巻と 『千字文』 一巻を持参しました. これが, わ が国への 漢字の伝 来であると いわ れて いま す.これをそのまま信じることはできませんが,.
(6) . 日本の文字の歴史の一断 面を示す生きた化石と考え られますが, それはなぜで し ょ う.. 聞, 蟻山 中 奥 舎- 城 書. 悌 住 王’. 度や二度はあるはず です.. 千人 ー 漏巳 倶 皆 是 阿. 羅漢 諸 ・ ・. 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上). 帰化人たちによ っ て, はこびこまれた高度な文 化のなかに, 漢字もふくまれていただろうとい うことは, 確か です. 問題4は 「お経」 です . 漢字もさることながら, 渡来した新しい文物 のなまえで, そのまま日本語のなかにとり入れ られたものも少なくありませ んでした. リン ゴ ウ (林檎) , ゴマ (胡麻) , ミソ (未讐) , センベ イ (煎餅) などが, そうだといわれています. さて, 伝えられた漢字は, 当然はじめは, 中 国語をあらわすものとして, 用いられました . 漢字をつかいこなし, 日本語を書きあらわす ためには, その後の長い努力が必要 でした.. 5. 訓 読 の く ふう. つ ぎの漢字のいみを, できるだけ簡潔に い っ て み ま し ょ う‐. 伝来したてのころは, 漢字は, 中国語をあら わすものとして, 当然のことながら, 中国語の 発音で読まれたわけ です. ただし, 帰化人や日 本人の耳に聞こえ, 発音できる範囲でのこと で あ っ た は ず な の で,よ ほ ど託 っ た 発 音. q) 山. 岳. 峰. 丘. 岡. @) 書. 遡. 退. 譜. 嬰. 私た. ちが英語を発音するよりは, はるかにましだっ たにせよ -- であっ たにちがいありません.そ れにしても, とにかく中国流の発音による読み ではありました‐ これを音読といいます.. ところで, 漢字であらわされる語や文の意味 を理解しようとしますと, その意味を日本語でいいかえること, 翻訳が必要 です 「池」という字に ‐ た い して, 「サ ワ」 でも 「ヌ マ」 でも よ さ そ う な も の が, 「イ ケ」 と 読 ま れ る よ う に な る に は ず い ,. ぶんと, 知恵も, 時間もかかっ たことでしょう.. 中 国 では, 「山一 を 〈△ の 形 を し た, 地 面 か ら グ ン と と び でた と こ ろ〉 の こ と を い っ て いま す こ .. れは, 日本人が「ヤマ」といっ ているもの ではないか, 渡来人はそう気づき, 「山一という漢字は「ヤ マ」 の こ と だよ, と 教 え て く れ た の では な い で し ょ う か. と こ ろ が 漢 字 に は, 「山一 の よ う な も の だ け れ ども, 「岳」.「峰」.「丘」.「岡」 と 区別 が あ り ま す .. ・岳……かたくて, ごつ ごつしていて, 岩石でできている山. . 峰.…. ・〈 型 に, す る どく と が っ た 山. て っ ぺ ん . ・ 丘‐…・く ぼん だ と こ ろ の ま わ り に あ る, こ だ か い 山 . ・ 岡・ ・…・山 の 背 が, か た く て た い ら な 大 地 . こ れ ら は, そ れ ぞれ 日 本 語 で 「タ ケ」・「ミ ネ」・「オ カ」.「オ カ」 を さ し て い ま す だ か ら こ れ ら ‐ , の 漢 字, 「岳」・「峰」 は, 「タ ケ」・「ミ ネ」 と 読 も う では な い か と な り ま た 「丘」‐「岡」 は 日 本 , , , 語 では 区別 して い な か っ た の で, どち ら も 「オ カ」 と な っ た の で し ょ う ‐ 「池 に た い して は そ の 読 み が 「イ ケ と 固 定 さ れ 他 の 漢 字 も 「山 は 「ヤ マ 「 「 」 」 一 」 , , , 天」 は ア. メ」 と読みが固定されていって, いわゆる訓読みが成立してきます ですから, 訓読は 漢字の意 . , 5.
(7) . . 三上 勝夫・栄花. 寛・佐藤 正行・土谷 廟一. 味を日本語で端的にいいあらわしたものといえます.. 漢字を訓読するために, 日本語があらたにつくりだされたと考えられる例もあります‐ 「遡」にた. い して の 「サ カ ・ ノ ボ ル」, 「譜」 に た い し て の 「ソ ラ ニ ・ ス ル」 な ど が そ う で す‐ 日 本 人の く ふう. のあとがしのばれますね. 6. 固有名詞・「てにをは」 と表音化 漢字という 外国語の文字を用いて, 日本語を あらわれそうとするとき, 一番こまるのは, 人. [問い6.a]. に報道され, 話題となっ た埼 玉古墳群の稲荷山古墳から出 分です. -一 線の字を読んで 其児名加蓬披余其児名平娃居臣世 々為杖刀人. 音枢事米室今疫加多支歯大王寺在新鬼宮時吾. 左治天下令作此百練利刀記吾率事根原也. み てく ださ い‐. . 罰ダー - ” ー 討可輔リ 3 ‘ー,E, 一 ゴミ ,. 土した刀剣の文字の後半の部. 」・ 〜 . - . 右 に あ る の は, 1978 年 9 月. 名や地名のような固有名詞を書きあらわそうと す る 場 合 です‐ 「や ま △」を あ ら わ す に は, 「山」 の 字 を あ て て, 「ヤ マ」と 読 め ば, な ん と か な り ま した. と こ ろ が, 「ワ カ タ ケ ル」 と い う 人 や,. 「シキ」 という土地は それをあらわす字がは , じ め か ら あ る わ け で は な い の で, た い へ ん こ ま っ た の で は な い で し ょ う か. そ こ で, く ふ う. されたのが, 漢字を意味とは関係 なく, 音だけ をあらわすものと してつかうという 方法です‐ たとえば, 「ワ」の音をあらわすためには, 古く. は 「ワ ク」 と いう 読 み 方 で伝 わ っ て い た 「獲」 と いう 字 をつ か い, 「力」 は 「加」 の 字 を つ か う 「 と い っ た 具 合 です. 「乎 獲 居」 は 「オ ワ ケ」 , 斯 「 「 鬼」 は 「シ キ」 , 獲 加 多 支 画一 は ワ カ タ ケ ル」 と 読 む の だ そう です‐ オ ワ ケ と いう 人 が, ワ カ. タケル大王 (雄略天皇と考えられています) が シキの宮に朝廷をおいたときにつかえたという こ と を 記 念 し て, こ の 刀 を つ く っ た と い う の で. しょう‐ 朝廷の力 が, 関東にまで及ん でいたと いう こ と が, わ か り ま す‐. [問い6・b]. . 天平宝字二年孝謙天皇詔書の下書きとい. 謡う. われているものです. 文中, 小さな字で書 か れて い る の は なん で し ょ う か‐ 読 み 下 し. 文を参考にして考えてみま しょう. ‘ : 1 ‐ iま. 、. 然↑ て. イ 皇う 労ま と’. . . 者. 著 労 岐. . つ ぎに, 用 言 な どの 語 尾 や 「て に を は」 を 正. 確に書きあらわそうとする場合も, 漢字の音を かりました. この 資料 では小さく 書いてある字 が, それにあたり ます‐ それぞれ, ト(止) , テ ) 家 と ( 家利 ケリ (氏) , 読 , ,ニ ( ) ,キ (岐,奔) みます. この文では, 天皇として政治を行なう ことは, 苦労が多いということが述べられてい ますが,一字一句正確に書き しるされています‐ ようするに, 固有名詞や 「てにをは」 を正し く発音できるように書くためのくふうとして, 漢字の音だけをかりて用いること, すなわち表 音化が行なわれたということなのです‐ このよ. 6.
(8) . . . 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上). 然皇止坐氏天下政乎関. . 天の下 の 政 を聞こしかす. 事 に在 り け り、. うな漢字の用い方は 今でも残っています‐「日米 会 談」 の 「米」 と は 何 の こ と で し ょ う‐ こ れ は ア メ リ カ を さ し て い る の です ね. 「亜 米 利 加」と. 漢字で書いたものの略です‐ 「米」 とあっても, こ れ は 音 だ け を か り た も の で あ っ て, 「コ メ」と. は関係ありません‐ もっ とも, 最近はアメリカ が 日 本 に 米 を 売 り た い と い っ て お り, お お い に. 関係がでてきたのかもしれませんが. 7. 万葉がな この歌を, 漢字かなまじり文でかくと, こう なります‐ 奈良時代つくられた 『万葉集』 という歌 集があります. そのなかのひとつ をとりあ. うらうらに. 照(れ)る春日に. 情 悲 (し) も. ひばりあがり. ひとりしおもへば. げてみましょう‐ 気 づ い た と 思 い ま す が, こ れ は も う, わ た し. 宇良宇良爾 照流春日爾 比婆理安我理 情悲毛 比登里志於母倍婆 こ の 歌 の な か に, あ る 鳥 がう た いこ ま れ. ていますが, さて, なんという鳥でしょう.. たちが用いている, 漢字かなまじり文とほとん ど 同 じ も の で す. 「照」・「春 日」.「情 (こ こ ろ)」・「悲」な どは, 漢 字 を 訓 読 み し て つ か っ て. います. 「宇良宇良爾 (うらうらに)」・「比婆理 安我理 (ひばりあがり)」 などは, 漢字一字が日 本語の-音節に対応する表音文字として使われ て い ま す. 「う らう ら」と は, 日 の 光 が あ か る く,. の どか に 照 っ て いる こ と で す. こ の こ と ばに ぴ っ た り あ て は ま る 漢 字 が お そ らく な か っ た の で し ょ う‐ そ の た め, 漢 字 の 音 だ け を か り て 「う らう ら に」 と 書 い た の です 「照 流」 の 「流」 「安 我 理一 , .. の 「理一 は, いまの送りがなですね‐ こうして, 日本語を充分に書きこなすことのできる方法を, 古代の人びとは発見したの でした ‐ これは, ノー ベ ル賞やフィ ールズ賞を何百個あげてもたりないほどの大発明なのだと 思い ま す. こ れを 「万葉がな」 と呼んでいます.. 8‐ かな文字 万葉がなは大発明ではありましたが, こまっ [問い8] つ ぎのひらがなは, どの漢字からできた もの でしょうか.. た こ と も あ り ま し た. ま ず, ひ と つ の 音 に た い して, 万 葉 が な が い く つ も あ る こ と. 「夕」の 音 に は, 「田」・「他」・「手」・「多一な どと, よ く 使. われていたものだけでも, 7, 8個はあったの で す‐ し か も, 「手」 は 「夕」 と も 「テ」 と も 使 7.
(9) . . 三上 勝夫・栄花. え. め. け. や. す. ゆ. ま. の. 由. 也. 計. 乃. 末. 女. 寸. 衣. 魔・佐藤 正行・土谷 廟一. われています. それから, どれが訓読みで, どれが万葉がな なのかも, はっ きり 区別しづらいですね‐. さらに, 区別しようと小さく書いても, 漢字 は画数 が多くてたいへんです. そのため, 時をへて, 万葉がなをしぼっていき, 文字の形をかんた んにつくり かえて, 「かなもじ」 を作りだしたのです.. - … 墓園 雲 霞 瀞豊麗驚ム と い っ て い た か ら です.. 〃ヂテデアタz〃 う,ブ丁う ー 宏参妾歩ある(1 1 『禰鋼巧【 九 .・ 事濠不明- 2デ ,す 忌乙・ ィ噌卿蜘謬噂岬 ミミ 霞灰ー 才ラ声ろ多グブづ イィ ー 参テ. いつごろうまれたのかというと,今から1100年くらい前だといわれていま す. 漢字がつたわっ てから, じつに 400 年 ほ ども た っ て か ら です. 今 見 つ かっ ているひらがなで, 年代のわかっ ているうち, 一番古いものは, 醍醐 寺五重の塔の天井にかかれている 「らくがき」 です. 塔をつく っ た大工さ. 琴 電 龍 書 辱 雪 の イア. んが書いたのでしょうか. 一方かたかなは, 仏教などの中国の本に, ふりがなや送り がなを書くた “ つく ら. . ら- - .でー. ,し. 一部分 を つ か っ て い ま す.. 織 に -が. そ して, か な も じ と い う 表 音 文 字 を 用 い て, 右 の よ う に, む ず か し い 漢. 字の読み方を書いていたものもあります.. ふたつもじ/牛の角もじ/すぐなもじ/ゆがみもじと/君はおぼゆる. づ ぅ. ふ. たごフ. 舵氾椿議. . ミぁ r , 嫌鰯捌酬琳) { 貴爪駁書粒製公刊の沌製 本による )宍 敬服書 鯨 蜜. こんな歌が 『徒然草』 のなかにのっています. これは, 今でいうとラ ブ レターなのです. むか しは歌でかいていたよう ですね‐ ところで, 「ふたつもじ」 「牛の角もじ」 「(まっ)す ぐなもじ」 「ゆがみも じ」 とは, それぞれあるひらがなのことをさ していて, 4文字の語になっ ています. どんなことばか, わかりますか? 日本語の正書法 1. 五十音. 右に書いてあるのは かな文字をならべた,「いろはうた」と「五 十音図」 です. それぞれ, どんな規則があ りますか. 8. 「い ろ は う た」 です. 「い ろ はう た」 も 「五. 十音」 も, かなもじを だ ぶ る こ と な く, ひ と. つずつ 並べたもの です.. 酔 ひ も せ ず. 浸 け 有 きぷ ・為 夢 館 の 見 え 奥 じ て 山. 常 な ら む. 我 が 世 た れ ぞ. 敗 り ぬ ろ を. 色 は に ほ ヘ ど.
(10) . 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上) ゑ ひ も せ す. あ さ き ゆ. げ ふ こ え. う ゐ の お. つ ね な ら. わ か よ. め. て. く や. む. れ そ. み し. た. ち り ぬ る を. ろ は に ほ へ. ま. ん わ ら や ま は な た さ か あ り. み ひ に ち し き い. る ゆ む ふ ぬ つ す く う め へ ね て せ け え. れ. を ろ よ も ほ の と そ こ お. し か し, い い か げ ん に な ら べ て は お ぼ えつや , ら い です ね そ こ で 「う た」 に な る よ う に な ら . べ た も の が, 「い ろ はう た」 です ‐. むかしは,かな文字を習う とき,「いろはうた」 を つ か い ま した二 でも, わ た し た ち が か な 文 字 を 習 っ た と き は, 「五 十 音」で し た み の ま わ り ‐. で 「五十音」 を使っ ているものが, よくありま す. 辞書でも使っていますね 出席番号という . も の も そう で す. た い て い は 名 字 でき め て い ,. ますね‐ ここで, 「名前の出席番号」というもの を作ってみては どう でしょうか きっ と 意外 . , な順番になると思います . 「五十 音 図」は,. 一番古い もので平安時代の中ころ です‐ そのころは 「五音」といって , い ま し た‐ しか も, 行 な どの 順 番 が 今 と は 違 っ て い ま し た , ‐. 江戸時代に はいっ て, 今のような順番にし 「五十音」となづ , けたのは, 契沖という 人です 契沖は 「悉雲 (しっ たん) 」 . , というイン ドの古代文字を勉強しました そして 古代イ ン , . ドの音声学によっ て整理さ れた音の順序から 日本語にある ,. 養護二 。 ‘サ ヒ ニ も 、. . . 音 を 順 に ぬ き だ す と, {ア・イ ・ ウ・ エ・ オ → 力 行→ ガイテ→ サ. 行→ザ行→タイテ→ダイテ→ナキ テ→ノイテ→バ行→マ行→ヤイテ→ラ 行→ワイテ}となり, 今の五十音図の順番のもとになりました . 五十音図をローマ字 でかいてみると そのしくみがよくわか , ります. ア行. 力行. サ行. N. タ行. 行 行. ナ行. 行. ヤ行. ワ行. 行. a y i 盈. k /. と, これまたゆか いなことに [k] が頭に全部つ. k a a ア段. い て い ま す‐ 「五 十 音 図」と は な ん と も み ご と な ,. i イ段 u ウ段. n u. e エ段. t e h o. ア 段 を 横 に み て いく と, a-ka-sa-ta ‐…・ ・と,. おもしろいことに全部 [a] がついています ま ‐ た, 力 行 を 縦 に み て いく と ka-ki-ku-ke-ko ,. h. r U. ご 一 : 〉 ” - 」 ロ ー 嚇 ー● ▲ マー v ・ 反覆”嫌鳶鱗2率 { - ”9 1 院本文 学 摩 耗参 m .. S O. o オ段. 表です ね. ローマ字 での 「五十音図」 をみると かな文字 , と い う の は 基 本 的 に, {k s t, n h m , , , , , y, r, w} の 子 音 と {a i u e o} と , , , ,. いう母音のくみあわせ で, できていることがわか り ま す‐ こ の こ と は, つ ぎの よ う な こ と か ら も ,. たしかめら れます‐. 初期 の こ ろ の テ ー プ レ コ ー ダ (フ ル ト ラ ッ ク の も の) は 「逆 再 生 す る こ と が で き ま し た. ふ き 」 ,. こんだ音を逆 回転させ て聞くことが できるのです さて 「タケヤブ ヤケタ のような回文を ‐ , 」 , こ の レ コ ー ダー に ふ き こ ん で逆 再 生 し た ら や は り 「タ ケ ヤ ブ ,. ヤ ケ タ」 と 聞 こ え る で し ょ う か ?.
(11) . 三上 勝夫・栄花. 魔・佐藤 正行・土谷 庸-. 2. 歴史的か なづかいと現 代かなづかい 大正時代でも書きことばは, 今のかなづかい と違っています‐ これを 「歴史的かなづかい」. [問い2.a] わ た しは, バ ナ ナ を た べ た‐. ]と このような文のとき, 下線部は [wa 「 発音しますね‐ どう して, は」と書くので しょう. まえにや っ た, 万葉がなに ヒントがあり. といいます‐ 歴史的かなづかいは, 古代 (奈良 時代 ぐらい) の発音をもとに, かなづかいを決 めているので, 現代の発音とはずれているので す‐. ha ] と発音します たとえば, 「は」 の文字は [ hwa ] と発音して ] にちかい [ ね. 当時は [ha. ます.. いました‐ ところが, 平安時代にはいると, こ ]と発音する とばのうしろにつく 「は」は, [wa ] ま ように 変わってきました. ワ1もむ , [kahwa. 佐久波奈波 宇津呂布等伎安里 安之比奇乃. と い っ て い た の が, [kawa] と な っ た の です.. さくは なは うつろふとき あり あしひきの. このように, 音声 が変化しても, 文字による表 記は固定して, 変わらないできたのです. それ が, 発音と表記のずれとなってきます. ですか ら, 逆にいうと, 歴史的かなづかいで古代の 発 音をしるこ とができるともいえる でしょう.. 夜麻須我乃禰之 奈我久波安利家里 やます がのねし. ながくはありけり. [問い2. b] . . ろ じ て主 ろ む ぃ も も 渋 た 足 心 に こ 又 こ お じま も ゎ く よ よ ぎの ほ こ い 、が るこがそセテ マの主rhいぬ ぐ 。T この ら か門 つか 、か は こ な 、の に二て う q p ば. をな の そ うと 円 友 たもの . の せ. . . . これは, 大正 7年 の 小 学校 の 教科 書に のっていた詩です‐ 今のか なづかいでは, どう つ づ っ て い る で し ょ う‐. しかし, そうはいっても発音とずれているの は, 文字を使っ ていくうえで, たいへんです. ] という発音を歴史的かなづかいでは, [kる .「か う」. (咲 こ う → 「さ か う」). .「くわう」. ) (光線→ 「くわうせん」. .「か ふ」. (甲 乙→ 「か ふ お つ」). などと, ずいぶんと書き方があります‐ 946年に 「現代かなづか このよう な問題は1 い」 の方針がきまり, 解決しました. つまり, 現代の発音をも とに, か なづか いをなお して い っ た の で す‐ 今, わ た し た ち が 日 常 使 っ て い. るかなづかいですね. これによって, ずいぶん 苦労がなくなっ たと思いませんか.. 3. 現代かなづかいの問題 点 (1). [問い3.a] つ ぎの文は, どう読めるでしょう‐. 10. 「現代かなづかい」 では, オ段のの ばす音は 「う」 をつ けてあらわすことになっ ています‐ ですから, 「東京一 は 「とうきょう」 となるので すね‐ しかし, 「こう し」のよう なときはどう で し ょ う か. 「コ ー シ」 な の か, 「コ ・ ウ ・ シ」 な.
(12) . 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上) の か, は っ き り し ま せ ん 「コ ー シ」な ら「講 師」 . か も し れ ま せ ん が, 「コ ウ シ」な ら「子 牛」で し ょ. こう しが近寄っ てきた‐ おうをおおう.. . ま た, オ 段 の 例 外 は, こ ん な に あ り ま す .. [問い3.b]. おおかみ. オ段ののばす音に は, 例外があり ます.. 「お お き い の よ う に 「お を つ け る も 」 」 ,. ほのお. こ お り (氷 ・ 郡) こ おる. の ですね. こういう例外をどれくらい思 い. ほお (ほっぺた). だせ る で し ょ う‐. もよ おす とおい. い き どお る. しお お せ る. いとお しい. とおす. と お (十). こおろ ぎ ほおずき. おおう (覆う). お お い (多 い ・ 覆 い) おおよそ. お おむね. とおる おおきい. おおやけ. おおせ (仰せ). さ らに, 「大 (お お)」 を つ か っ た こ と ば 「大 阪」.「大 だ い こ」 な ども い れ る と ま だ ま だ あ り ま , す‐ こ れ ら の 例 外 は, 歴 史 的 か な づ か い で 「お ほ か み」.「こ ほ り の よ う に 「ほ と 書 い て い た も 」 」 ,. のです. (ただし, 「とお (十)」 は 「とを」 でした ) . こ こ で, 小 学 校 一 年 生 の と き に 習 っ た じ ゅ も ん を 思いだしておきましょう 例外の語を こうや っ . , ておぼえたものでした ね‐ 「と お く の お お き な こ お り の う え を お お く の お お か み , , , , , と お ず つ, と お っ た.」 お な じ 「オ ー」 と い う 発 音 に 「う」 を つ け る か 「お」 を つ け る か と 書 き わ け る こ と は 意 味 が あ , ,. るのでしょ うか‐ それほ ど意味があるとは 思 え ま せ ん. の ば す 音 に は か た か な の よ う に 「一一 を , ひくのが一番明解 です‐ 「おうをおおう -- 王を追おう ! 一 王を 覆う. →おーをおお-! →おーをおおう. 4. 現代かなづかいの問題点 (2) 現代かなづか いは, 現代の発音をもとにした. [問い4 . a]. も の です が,「お お か み」な どの よ う な ほ か に も ,. つ ぎのロー マ字の部分 をひらがなになお して み てく だ さ い.. KO陀wα. ZWα Z ・ 比o7 2“Z. e・o」 と 発 音 す る に も か か わ ら ず, 「は・へ・を」 山田さん. 斉 藤さ ん. imZWQ ・ こ の 本, omos ・Soだdewα. さ よう な ら. ・ 大 sαe , 食べ な い . KOをoe き て ごら ん. ・認め ざる o えない. そ の ひ と つ に 助 詞 の 「は ・ へ ・ を」 の つ か い. 方があります‐( 1 )でも少しふれたように 「wa.. ・ Dewα さ よ う な ら . KO惚wα. まだ例外があります‐. と書くのは, 歴史的かなづ かいをそのままひき ついだからです. こういうつかい方がひろく定 着していた ことと, なにより, 規則的でないつ かい方のおかげで, 助詞としてのはた らき, 句 のきれめがあきらかになりやす いという利点が あるため, 逆に便利になっていると思います. なか でも 「を」 は, 助詞の場合にしかつかわな い も の な の で, こ と ば の き れ め が, と く に 見 わ 11.
(13) . 三上 勝夫・栄花. 寛・佐藤 正行・土谷 晴一 け や す い で し ょ う. し か し 「は」 の 場 合, 助 詞. [問い4 - b] どちらのかなづ、かいが,ただしいですか. ・(みかずき・みかづき) ・ちじむ・ち ぢむ) ・(つずく・つづく) .(いちじく・いちぢく) ・(ひ と つ ず つ ・ ひ と つ づ っ). といっ ても女性などがよくつかう「すてきだわ」 というときの助詞もあるので, 気をつけなけれ ばなりませ ん.. つ ぎに, 「ぢJ と 「づ」 を つ か う 例 外 の こ と に ふ れ ま し ょ う. 「ぢ.づ」 は 「じ・ ず」 と 同 じ 発. 音なので, 原則としてつ かわない文字となっ て いますが, つ ぎの 二つの場合には, 例外として 用いられます. ①. 連濁. ②. 同音の連 呼. ①の 連濁というの は, 二つの 語がく み あわ. ・(つまずく・つまづく) ・(もとずく・もとづく). さ っ て, 一 つ の 語 に な る と き, う しろ の こ と ば. ・(がまんずよい・がま んづよい). の語頭 がにごろこ とです. たとえば,. 「は な (花)」+ 「ひ (火)」 → 「は な び」 「あ お」.「そ ら」 → 「あ お ぞ ら」. 「 のよう なことがおこります. こういう場合, 「ぢ」 や づ」 が登場します. 「 「はな (鼻)」+ 「ち (血)」 → はなぢ」 「が ま ん」+ 「つ よ い」 → 「が ま ん づ よ い」. 「 「 ②の同音の 連呼とは, 同じ音のく り返しとみることです‐ たとえば, ただし」 のように. た」 かな と 「だ」 が同じ音とみる のは, どうも不自然ですが, よくわかりません. ただ, 万葉がなから o ) がまだ発明されていなかっ たので, 文字のうえで 区別をつ けて もじになっていくときに÷ 濁点 ( 「 づく・つづ いなかっ たことが, 関係あるかも しれません‐ こういう 同音の連呼に あたる例外は, つ り ・ ち ぢ む ・ つ く づ く ・ ち ぢ れ る ・ つ づ み」 な ど が そ う で す. 「 「 「 と考え しか し, こ う は い っ て も 判 断 す る の は た い へ ん で す. も と づ く」 は, も と」 に つ く」 「 とに なっ ら れ そう です が, 「つ ま ず く」 は, 「つ ま さ き」 を つ く」 いう も と の 形 は, 思 い 出 せ な い こ 「 と 書 き ま す‐ て い る の です. そ れ に, 「世 界 中」 は 「中 (チ ュ ウ)」 の 音 が あ る の に, せ か い じ ゅ う」 「 「チ カ ラ ズ ク」 は 「ち か ら ず く」 と 「ち か ら づ く」 と で は, 意 味 が 違 っ て き ま す. デ ズ ッ パ リ」 , 「ぢ」と「づ」 う な どは, こ と ば の なり た ち が は っ き り し な い た め, ど ち ら か 決 め か ね ま す. こ の よ に,. う をつかう例 外は, めんどう です. 今のところ, ただしく 書くには, 辞書をひくしかなさそ です. 5. お く り力ぐな. ・ パ ー テ ィ ー ( ) 行 っ た. こ の ( ) の な か に, {へ.に.を} の助. 詞をいれると, それぞれこの文は, どう読 め る で し ょ う か.. 12. おくり がなは, 語を識別 するためにつ けられ ます. ですから, あいまいなつけ方 では, 読み がはっ きりして きませ ん. 問題の 文では, もし 「パーティ ー (へ.に). 「 行 っ た」な ら「い っ た」と な る で し ょ う が, パ ー テ ィ ー (を) 行 っ た」 だ と, 「お こ な っ た」 と 読. むことになる でしょう. しかし, このようなま ぎらわしいつ け方は, 語の識別をするはずのお くりがなの役割りを充分はたしている とはいえ.
(14) . 文字, 漢語・漢字, 正書法の授業計画 (上) ま せ ん. そ れ では, 「お こ な う」 の棲湯合 どこ か ら お く れ ば い い で し ょ う か 「行 な う と 「な か , 」 , 」 .. らおくればよいの ではないでしょ うか. こうすれば, 読み方のまちがいはずっ とおこりにくく なり ます. おくりがなのつけ方の原則 は, 活用語尾からおく るということです . 「書く」 --. か-かない か- -き ま す か -く か -け ば か--こ う. か - いた です か ら, 「書」 の 漢 字 に は, 変 化 し な い 「か」 の 部 分 を 読 ま せ る こ と に し て 「書 く」 「書 こ う と 」 ,. するのです. しかし, こういう原則をたてても, かならずしもうまくはいきません さきほ どの「お .. こ なう」 も, 原 則 に の っ と れ ば, 「行 っ た」 と な り ま す ほ か に も 「開 け る」 は 「ア け る」 と も 「ヒ ‐ ラ け る」 と も 読 め ま す し, 「汚 れ る」 は 「ョ ゴ れる」 か 「ケ ガ れ る」 か わ か り ま せ ん 「す く な い , 」 .. は, 原則どおりに書くと 「少い」 となります. しかし, 「すく なくない」 というときには 「少くな , い」 では, う っ か り す る と 「す く な い」 と 読ん で し ま いそ う です .. このように, おくりがなは, 原則をたてよう としても, かならず例外が でてきますし 原則をつ , らぬけば読み方のま ぎらわしいものがでてきます 何かうまい方法はないもの でしょ うか かんた . . んであり, しかも例外の 少ないおくりがなの規則をみつけることができた なら きっ と国民栄誉賞 , くらいは, もらえるでしょ う. それま では, わからないとき, 辞書をひいてみる しかやはりなさそ う です. 6. 正書法 ここまで, いろいろ見てきたように, 日本語の表記は ながい時間をかけて 現在の姿に変化し , , , それでも まだ, 辞書をひかなけれ ばわからなかっ たりします . ことばの書きあらわし方をきめたものを 「正書法」 といいます さしずめ かなづか いがそう で , . しょうか. 日本語の正 書法は, 今までのところをみたか ぎり では まだ問題がずい ぶんあり よい , , 正書法にはなっ ていません. て き ま した. む か し に く ら べ る と, ず い ぶ ん と 便 利 で か ん た ん に な っ た と 思いますが ,. と こ ろ で, 正 書 法 と は, 厳 密 に い う と 「ひ と つ の 語 に ひ と つ の 書 き あ ら わ し方 を き め る こ と」 , inu] と いう 語 に た い し て 「犬」 「い ぬ」 「イ ヌ」 と い ろ です. 日 本 語 は そ の 点 どう で し ょ う か. [ , ,. いろな書 ‐きあらわし方があります. どうも, かなづかいの問題だけではなさそう です‐ 戦後, 日本語の書きあらわし方をも っ とよく していこうと いろいろなことがなされました そ , ‐ のひとつに, 「現代か なづかい」 があります 現代の発音とはずれている 「歴史的かなづ かい をな . 」 おしていこう というものです. またひとつに 「当用漢字」の制度もつくられました つかう漢字を , . 制限していき, むずかしい漢字はつかわないようにしようとす るものです それまでは むずかし . , い漢字がずいぶんつかわれていました だから 新聞にもふりがながついていたの です しかし ‐ , . , むずかしいことばだと, ふりがながあってもわかりません たとえば農業用語に 「播種」 とか 「搾 . 13.
(15) . 三上 勝夫・栄花. 寛・佐藤 正行・土谷 庸一. 「 か いう 乳」 と いう の が あ り ま す. そ れ ぞれ, 「は し ゅ」 さ く に ゅ う」 と 読 み ま す が, な ん の こ と と と, 「た ね ま き」 「ち ち し ぼり」 の こ と です. こ れ な ら, 漢 字 で 書 か な く て も い い です ね.. じつのところ, おくりがなも, 漢字で書かなければなにも問題はお きません. 和語 (漢字がつ た す わるまえか らあったことば) を漢字で書こうとするので, おくりがなが必要になってくるので . そうはいっても, 今のところ漢字がなく てはこまります. これは一つの矛盾です. 解決の一つの 方法として, むずかしい漢字をつかわなくても, 充分表現でき, ただしくつ たえることができるこ とばをえ らんでいくことが重要に なるといえる でしょ う.. 参考文献 ( 62年 中央公論社) 19 加藤一朗 『象形文字入門』 ( 3年 平凡社) 1 96 『日本語の歴史2 文字とのめぐりあい』 ) 岩波書店 『 9 7 1年 ( 1 化史 文字の文 晃 』 藤枝 『 店 ) 岩波書 ( 6 8年 19 かな』 小松茂美 ( 7 2年 東京大学出版会) 9 1 古田東朔 築島 格 『国語学史』 『岩波講座 日本語8 文字』 7年 岩波書店) ( 19 77 7 8 8年 大修館) ( 19 小泉 保 『日本語の正書法』 ( 1 981年 東京法令) 『国語教育史資料第二巻 教科書史』. (三上勝夫 本学教授札幌分校) (栄花 寛 本学非常勤講師) (佐藤正行 札幌市立東月寒小学校教諭). (土谷庸一 札幌市立手稲鉄北小学校教輸). 14.
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