<箇文>
ブラジルの社会成層化に関する考察
一ネ士会亨(客呈詔斉白勺木各三菫・つ夏喜Eヨララーホ庁一 エリア・リサーチ・グループ石田信義 Iはじめに 本研究は、ブラジルの社会移動の理解の一つとして、成層化過程を概観し、階 層移動の要因を捉える。特に、本稿においては、人種的要因が他の社会的、経済 的要因との関連の上で、今日の社会経済的な格差に対して少なからず影響を与え ているのではないかという点を述べるものである。 ブラジルの社会が、人種の混交とその複合的な文化の伝播の上に、様々な多様 性をもって成層化がなされてきたことは周知の通りである。従って、ここでは、 19世紀後半からの産業化社会に限定することなくそれ以前からのブラジル社会の 成層化の過程に関して歴史的に概観し、そこから欄屑化されてきた全体的な要因 が今日現れている社会経済的な格差の一因となっていると考える。本稿において は、経済的、社会的格差の現実を示した上で、文化的格差の-側面としての教育 を捉えた。即ち、伝統的に-部白人層のエリート教育を特徴としていたブラジル の教育は、産業化の進展と都市化を背景に国民意識の高揚と大衆化を目的として 1930年代以降に本格的に制度化され、特に学校教育があらゆる社会成員に対する 階層移動のメカニズムを提供したとされるが、これが、軍政、政治開放、そして 経済後退後の高度産業化の段階を迎え、職業の分化等にみられる階層分化が進む 今日において、人種的、社会的格差もしくは不平等を拡大していく傾向を持つ、 という問題点を指摘する。 Ⅱ成層化過程の概観 (1)階層研究の傾向と方法的検討 -1-ブラジルを含めラテンアメリカの社会階層あるいは社会階級(叩に関する研究 の傾向は、従来、19世紀までの奴隷制度、今世紀の社会変動、現在の都市化と貧 困を扱ったものの3つの主要テーマに分類することができる(2)。これに対し、 現代の社会の理解を求める関心からは、更に2つのテーマに分類されると思われ、 それは(1)産業化に伴う中間層の台頭、(2)急激な都市化の問題に関連した 貧困研究、スラム研究である。こうした研究における成果としては、(1)に関 し、ブラジルをも含めラテンアメリカ全域での中間層が「伝統」と「近代」の両 特徴を合わせ持ち、多かれ少なかれ社会経済的発展を担う上でジレンマに陥って いること、並びに中間層内の内的な多様性が認識された(31。また、(2)に関 しては、主に貧困の原因をめぐる研究が経済的、及び経済政策的な部分からなさ れた。例えば大土地所有制にみられる土地所有の問題、歴史的発展過程における 経済構造、特に一次産品輸出型経済の脆弱性を抱えたままでの過度の産業化に伴 う社会経済の複雑化、これにより格差が増えてきたことが指摘される141. ところで、上記の研究に比して人種と階層との相関に関する研究が、比較的な されていない。この点に関しては、方法的問題に加えて、ブラジルにおける人種 デモクラシーのイデオロギーの存在等が背景として考えられる(51。しかしなが ら、多様且つ多質な人種の混交がなされ、植民地時代に奴隷制度等の社会制度を 有していたブラジル社会に関して、その統合化の過程での成層化を捉える際に、 人種的要因を含めた文化的諸要因を成層化過程における1つの要因として認識し ない限り、社会の上下関係の現象の記述は社会の表層的な把握に終始してしまう であろう。 (2)成層化システムの形成 ブラジルにおいては、主にキリスト教的世界観を持つヨーロッパ出自の白人と 熱帯の先住民、アフリカ黒人との文化の融合によって伝統的社会が形成され、奴 隷制度及び家父長的社会制度のもとに最初の社会の層化がなされた。その後、独 立を契機として、国家としての統合化の動きがみられ、移民の導入と定着をみる 形でその後の近代化が進められて、社会の成層が複雑化し、今日に至っている。 従って、前述の如く、歴史の所産としての今日のブラジル社会全体の移動性を考 える場合には、近代産業社会での階層の上昇、下降という社会参加の要因だけで はなくて、それ以前の植民地時代以降培われてきた社会・文化の要因が、個人並 びに集団のレベルで積層化して作用しているのではないか、それが今日的な格差 -2-
の構造の一因をなしてはいないかという点を理解しておく必要がある。 図1は、社会の移動性を考慮した上での(1)植民地時代、(2)19世紀、
(3)20世紀以降、の3つのシステムの関連図である。(1)の植民地時代は社
会が前資本主義的段階にあって社会的移動性が少ない段階。(2)の19世紀は、 開港、独立、経済発展等を含む資本主義的発展がみられる段階であって、ブラジ ルの政治、経済、社会、文化のあらゆるセグメントが揺藍をみせている時期、(3)は資本毛義的発展をみせ、更に高度な産業化社会を迎える時期である(6)。
これを階層移動の点から説明を加えるならば、植民地時代の社会成屑は、明ら かにCasaGrande&Senzala即ち主人(白人)と奴隷(黒人とインディオ)と いう支配と被支配の社会関係より成り、その中IHIの位置を混血が占め、彼らが白 人の仕事を補佐する形で社会上昇していった。(2)の資本主義的発展段階にな ると、ヨーロッパを中心とした移民が各々新大地での動機を持ってこのブラジル の社会成層の上と下のIHIに入る形でシステム形成に参入してきた。そこで中Illl1FI を成した彼らは、時IHIの経過と共に上屑のオリガルキー勢力と結び付くもの、民 族企業を起こすlFi、中小企業主になる屑、中小麗民屑になるものと多岐に分化し ていく。これにより、植民地時代に奴隷として家父長的社会制度の下にあった下 層の黒人及びインディオは、奴隷解放後ヨーロッパ移民との競争の場に立たされ、 更に下に押し下げられる形でマージナルな胴としての社会参加の形をとっていく ことになる。こうしてみると、混血による肌の色の漂白化が下層から上層への上昇のための決定要因であった植民地時代とは異なり、移民が入った段階では、富、
財産、地位等の獲得が階層上昇の決定要因となり、こうした中で黒人、インディ オ等の土地無き民は一周隔絶化されていった。そして(3)の新たな高度な産業 社会を迎える段階に至っては、社会の成員が職業の多様化に対応してどのように職業的地位を得るかという意味で、科学技術の習得等を含め広い意味での教育の
面が重要な役割を果たす段階になる。これは特に中間層において顕著になり、教
育の機会を礎得することによる上への縦移動が激しくなる。一方、下層において
は経済的、社会的上昇を目指すものの、実際的には高収入を求めての横移動を繰 り返す結果となった。 (3)各屑の特徴 上記のような時間的経過を経た今日の各隔の特徴を今少し述べてみると、上屑 は貴族家系、大地空の白人屑を中心とし、伝統的に家柄志向、ヨーロッパ志向が -3-く図l>ブラジルの社会成屑化過程 20世紀以田 1植民地時代 219世紀(開港、独立、奴隷制廃止、 コーヒー輸出発展)
八
上層く白人> R鹸家糸 大土地所有者 (旧オリガルキー努力) <白人> 貴大八
(主人)鰯》
、 > ポルトガル王室 族 貝 下降の傾向 一ジー ョンョ ニエ二 七七 <白人> 支配眉宝
$鰯室
中級甑人 自由粟専門家 小土地所有者 企業エリー 教育の機〈 貿易商人 小資産家 民族企業軽営者鯵>中小良国主
民一一中小農民層
植民者 1ンデイ弓2 毒 ← 下く白人> <混血> <黄色> 駆鞠所・商店社ロ 矼気工.鉛管工等 熟瞭労n審 混血 < > ムラトカポクロ <黄色> <混血> 都市肉体労曲者家内労06番未熟練労働者 高収地域入を求めてのHIV多助プ鷺丁工
(自由人)-鰯1
A‐雪iii1i⑬
零細良民 ムラト <インデ <黒人> 季節労働者 ボランテ ポイアス・ ‘フリァス 良材肉 地域間移動(鰯斑織I
下層く混血> <黒人> <黒人> ÷- Mn頃mal凸〆、▲
(奴韓)強く、またコスモポリタンであると同時に特権意識が強い層。中間1苗は、主に白 人、混血、そして黄色より成り、新大陸での利益追求を行うことによる社会的上 昇志向が強い。中llII川1内の上屑は政治、経済的椛力を持ち、ブラジルの日田化意 識を担い、なおも上への上昇を求めるものの、伝統的な貴族家系の)iiiに完全に組 みするまでには至らない。下屑は、就業機会を求めての職種間移動、地域'111移動 を繰り返して生活をする屑が大半を占める。このような特徴を人種的な面から整 理してみると、人種の混交が全ての社会屑においてみられたというよりも、上屑 は白人としての燗を成し、下層は黒人の1衝として、混血は中間層の中ないし下と して層を成したという歴史的所産としての人極の位階はそれほど大きな変化をみ せず、上屑は定椅的、中ll11層はこの府内での上下移1,1)、下層は横移動を繰り返し てきたとみることができるであろう(7)。 従って、成瞬化過径での移動の要因を全体的に捉えれば、図1における(1) の段階における階11W決定の生得的な要因である人極の問題、(2)の段階での喚 得的要因である財産と富の問題と(3)の段階での職業参加、地位達成のための 教育の穣会の痩得の問題、の各要因が複合的に絡んだ状況が今日の社会成臓であ ると考えられる。 Ⅱ社会経済的格差の状況 (1)経済の格差 以上のような成IW化をみせたブラジルの社会に関し、それが現実の姿として今 日どのように現れているかを経済的統計数値に基づいて考察すれば、次のような 格差の存在が示される。 表1にみる通り、1990年現住平均月収を上回る)Wは上層30%(Ⅶ、Ⅸ、股上層 行10%)であり、その内20%で全所得の73.9%を占めている(ちなみに1979年現 在は、全所得の74.1%)。これに対し、下脚30%(股下屑、Ⅱ、u1ili各10%)は 全所得の4.6%を占めるに過ぎない。このような所得階層分布の傾向は従来から 大きな変化をみせず、依然として大きな格差が数的に示される。 表2は、最低賃金による所得階層分布を地方別にみたものであるが、20超SM は3.4%、1/2SMは10.6%(1981年現在各々1.4%、15.6%)と開きがある。こ れを地方別にみると、国全休の中で北東部の低所得(1/2SM以下が21.9%、1/2 超~1sMが27.7%、20超SMが1.5%)と南西部の高所得(1/2SM以下が6.4 -5-
く表1>階層別所得分布1989~90年 注(1)階層は所得の低い順に区分したもの (露)1990年9月価格 出典:IBGE,AnuArioEstatlsticodoB「asill992,RiodeJaneiro、に 基づいて作成 %、1/2超~lSMが15.8%、20超SMが4.2%)の分布が対比的に認められる。
次にこうした経済の格差に関して、更に人種の構成と分布を考察に加える。も
とより、ブラジルの人種に関しては、ブラジル社会が広大で多様な自然環境の上
で多様且つ特徴的な社会経済的発展を地方別にみせ、その中で多様な植民や混交
がなされてきたという歴史的経緯があり、この点を考えると、地方レベルでの実
際の人種的要素並びに分布は多様であることが理解されている(8)。しかしなが
ら、本稿においては、公式のセンサスとしてPNADによってとられたBranco、Preto、Pardo、Amareloの皮膚の色による4分類に基づいて考察した(。)。尚、こ
うしたセンサスに関しては、調査が被調査者の自己申告に基づくものであること、更に、かつて自らを「黒人」と認識していても個人的な社会的上昇を果たした後
に自らを「混血」もしくは「白人」と再定義する可能性もあること等、その調査
方法に関しては、厳密さをめぐって論議を呼ぶところである。最近では、特に
-6- 階層(1) 全所得に占める割合(%) 1989 1990 平均月収(クルゼイロ) (*) 1989 1990 %%%%%%%%%% 0000000000 1111111111 層層層層層層層層層層 下ⅡⅢNVⅥⅦⅦⅨ上 最 最 7520034577 ●●●■凸●■●●● 0123457068 114 8533499009 ●C●●●●●●勺● 0123457175 114 7468702836 4615865606 5798901786 9p99900リ0□ 4827324291 11234699 2 6529511368 0059502939 2109673651 999006006■ 3692732518 1123479 1 ブラジル 100.0 100.0 59 836 42 047<我2>股低賃金(SM)による所得陪肘分布(1990年) -コ 注IC1%は小数点以下第2位を四捨五入 出典;IBGE,AnudrioEstatTsticodoBrasill992,RiodeJaneiro,に基づいて作成。 人数(ガハ) 櫛成比(%)l*I 人数(万人) 榊成比(%) 人数(ガハ) 綱成比(%) 人数(ガハ) 櫛成比(%) 人数(〃A) 榊成比(%) 人数(〃A) 櫛成比(%) 1/2SM以下 l/2超~1s11以下 1超~2SⅡ以下 2超~3sM以下 3超~5sM以下 5超~1OSM以下 10超~2OSM以下 20超SM 計 60685394 ■ ◆ □ ● ■ S ● 印 皿四mu嘔吃53 5 1 7 jIjjjj1 0000000
、鍬、鋼、趣、脚、蝿汕鋼、麩
〃ⅡⅢCfⅡ、5JⅡ、JHl■〃■、JOB■■Ⅱ凸 11 1 0 m 1叩-9
mm ’6 1 0 的 u jjjjjjjj 06038635 ● ◆D M⑫鋼⑫斜⑬鰯⑬鋼⑬釦⑬皿⑬8⑬ 207 (3.1) 89368539 ■ ● ロ ウ O ● ■ ● 6嘔皿吃肥皿63 0 |伽 -1 6 7 3 jjjIjI11 64447141唾輌伽麹伽駈仰噸似血仰妬皿溺皿
1.720 (25.6) 97159865 ● ● 勤”密88521 100.0麺
jjJ1jIjj 23443292鱒躯叩卸噸蛎睡皷鰯纈脚郵⑤畷㈹
醜
3 j 4 C 8 4 1 48380242 ● 6暉釦迪旧咀74 100.0 jjjIjIjI 31069959副m、仰”、、佃噸仰四岫簡化蝿帖
1,068 (15.9) 66184014| ●’ 7応麹週Ⅳ燗63’ 0 伽 1 59334665’0 C O ● ● 7面錘哩腿哩64-㈹ -1 。■■1上■■■I1-Ij101-IrIIⅡP■ⅡⅡ00■0■ⅡⅡI01IIIiIlIⅡlIIIIIlIIr0lbⅡ■■■。Ⅱ081口■■■IIlIIIBⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡⅡ1口■rII0Ⅱ1-Ⅱ 11jIjj11 96234293 $●●●■◆●心 錯仏剖価晦⑰詔⑰而灯弱灯釦⑰劃⑲ 1 1 0 ● わげ 4 北東部 人数(ガハ) 綱成比(%)<表3>人穂別人口櫛成(10歳以上)1990年
雨f;i器;唾瓦TRrl=x不}竿il輌司miIf慌而ト天jjf三iii平雲孟i=irトラーープi回f需壺iii云干i=↑ずii雲l壼i=i丁I
人人血色 白黒混黄 81.407 (100.0) 7.264 (100.0) 57,822 (100.0) 811 (100.0) 55.3 1.379 (1.7) 76 (1.0) 3.573 (6.2) 6 (0.7) 27.4 12.651 (15.5) 2.283 (31.4) 28,149 (48.7) 12 (1.5) 29.4 43.495 (53.4) 3.879 (53.4) 17,877 (30.9) 632 (77.9) 66.0 18,畷;7 (23.3) 698 (9.6) 3,110 (5.4) 135 (16.6) 82.8 4.925 (6.0) 328 (4.5) 5.113 (8.8) 26 (3.2) 47.4 4.9 15 5.3 5.9 3.0 3.2 39.3 71.0 65.3 27.1 13.6 49.2 0.6 0.1 0.03 1.0 0.6 0.2_iLmiIflml…_L2lllii4ul-)…|…穏劉)|Ⅲ~・
出典:IBGE,AnudrioEstatfsticodoBrasi11992,RiodeJaneiro・に基づいて作成。 65.883 (44.7)璽鵤)|、。
10雫J1|]000
09p「etoとPardoの区別の暖昧さを考慮してこの両者をAfro-Brazilianと総称し、こ れとWhiteとの2分法で人種別データを糖理して都市賃金労働者を考察した方法 もある(’01。また、人種の分布が広大な地域にわたって多様なことから、南部で 混血とされる人が北部、北東部においては白人とみなされるということもある。 しかしながら、本稿の目的はブラジル社会の成禰化を人種との関連によって国レ ベルで考察するものであり、その限りにおいて、ここでは上記の4分類に基づき、 以下のように人種の構成と分布の傾向を鞍理して、社会経済的な格差の理解への 手がかりとした。 表3は地方別の人種別人口構成を示したものである。これによると白人が南部、 南東部、黒人が北東部、南西部、混血が北部、北東部、黄色人が南西部にそれぞ れ多いことが示される。また、就業別に人種榊成をみると、表4の通り、白人は 農業と工業部門、黒人は農業とサービス部門、混血は農業、黄色人は商業に多い。 <表4>部門別就業人口櫛成比(%)1987年 注(掌)エンジニア、弁謹士、建築技術者、手続代行人、システムアナリスト、 社会学者等
出典:IBGE,PesquisaNacionalporAmostradeDomicnios-1987
-CordaPopula5節,RiodeJanei「0,1990.及び
VEJA-30deMaio,1990,p43に基づく。 -9- ブラジル 白人 黒人 混血 黄色 農業 工業 建設業 商業 サービス業 補助サービス業 運輸・通信 社会 公務員 その他 (●) 616669817O B日■■●●●●勺● 4761723843 21 11 3068270427 ●①●●●■●●●● 0952634953 21 11 8529635920 ●●●●■●●●●● 5597413542 21 2 4591784308 ●●由●●C●、●中 1470813641 31 11 8042011193 ●●●●●●●●●● 6627453338 11 11 1 計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0<表5>人種別月額平均所得(経済活動人口)1987年7月(CZ$) 北部|北東部|南西部|南部l中西部 ブラジル 10,615(214)噸 白人 11,932 6.687 12.598 8.367 11,993 4,326(87) 黒人 6,944 3,164 4,734 4.775 5。414 4,984(100) 4,053 1厘血 8,159 3.721 5,832 69771 18,681(377) 3.048 21,935 17,543 16,307 黄色 23.128 平均8,270(167) 9,212463710,33717,71119,330 注*カッコの中はドル。
出典:IBGE,PesquisaNacionalporAmostradeDomicflios-1987
-CordaPopula璽0,RiodeJaneiro,1990.に基づく。
更に、表5の人種別月額平均所得においては、南部、南西部における黄色及び白 人の高所得が認められる。ここでの黄色人は大多数が日系人で、これに少数の韓 国人、中国人等のアジア系が加わるが、彼らの口人を凌ぐ高所得は雑誌記事等で 紹介され、特にこの日系人の教育熱心さを捉えた教育特集がジャーナリズムでと り上げられたい’)。一方、こうした白人、黄色人の高所得に対して、混血及び黒 人の所得は低く、特に、北東部の黒人、混血は、南西部の黄色人のほぼ6分の1 である。こうした点を考え合わせると、表2で示された地方別の所得格差がその まま人種別の所得格差に一致しているところが理解されるのである。 (2)人種的差別の問題 上記は、数的に現れた格差の傾向であるが、ここで人種の差別に関わる問題を 論じる必要がある。人種からくる社会差別という面に関しては、ブラジルでは概 して人種差別よりも階級差別が強いと言われる。この点は、スペイン系植民地と ポルトガル系植民地の人種的融合過程における社会・文化的背景の異なり、更に、 北米の人種問題を視野に入れたブラジル人知識人1画による人種イデオロギーの普 及’12)、北米をはじめとする他の文化圏での人種問題の深刻さ等、他の地域との 比較の観点に立った場合にそのように現実を認識することができるであろう。他 方、図1でみたように、植民地時代の奴隷制度に基づく成個化過程が巌然として あったことを考えた場合、今日でも人種の偏見や不平等が、フォーマルにもイン フォーマルにも存在していないかどうかを捉える視点も社会の実態把握のために -10- ブラジル 北部 北東部 南西部 南部 中西部 人人血色 口黒混黄 10,615(214)* 4,326(87) 4,984(100) 18,681(377) 11,932 6,944 8,159 23,128 6,687 3,164 3,721 3,048 12,598 4,734 5,832 21,935 8,367 4,775 4pO53 17,543 11,993 5,414 6,771 16,307 平均 8,270(167) 9,212 4,637 10,337 7,711 9,330必要であろう(’31 . 例えば、そうした観点で人種の問題に対して総合的なアプローチを行ったHa- senbalgによる考察の中で、特にその箸 noBrasilm41には、巻末に付録として1968年から1977年にかけてブラジルの新 聞紙上に掲職された主な人種差別に関わる蕊件報道が48件掲載されている’’5)。 その内容の主なものは、白人で構成される様々な「クラブ」から黒人が閉め出さ れた件、役柄をめぐっての黒人アーチストと白人の俳優との対立、黒人男性が白 人の恋人の父親から撃たれた件、黒人女性が仕事上の接客で白人から露骨に人種 差別的な発言を受けて辱めを受けたこと等であるが、総じて白人のクラブと黒人 との接触に当たっての摩擦や事件が多く示されている。 ところで上の資料は軍政の時期における情報であるが、90年に入っても、同じ 様に黒人と混血が差別的な待遇を受け、社会的な状況は以前と変わっていないと いう内容の記事が雑誌等で紹介されている。例えば、VEJAの調査により、皮 膚の色の違う典型的な白人、黄色人、黒人の3人に同一の行動を試験的にとらせ て相手の対応を調べた結果、商店や施設の対応が3人各々に対して異なり、白人 が優遇され、黒人がその逆であったこと。黒人の企業家に対する金融機関の対応 や周囲の評価に同じ様な例があったこと。また公営企業に関する調査を行った社 会学者の言葉として、入社時にはなかったが昇進時においては白人と黒人との差 別の状況がみられ、黒人の昇進に対して白人は決していい感情を抱いていなかっ たこと等が記事として公表されている(’61。 こうしたことを考虚に入れると、特に上屑もしくは中間層の上ないし中のいわ ゆるクラブ社会を栂成する白人を中心とした厨と下層の混血及び黒人との間には、 社会経済的格差のみならず人種的差別・被差別感が存在していることは否定しき れない。 (3)職業の分化と階臘移動 上のような差別感もしくは格差が存在する社会に参加する成員は、今日富と並 んで職業地位の達成をもって社会的上層を目論むのが一般的とされる。そこでこ の職業を考えた場合、特に90年に入って以降ブラジルでは一層分化の傾向がみら れ、このことが前述の格差を更に広げていく要因の1つとなっているのではない かと考えられる。例えば、80年代の経済の停滞後、産業活動は自由化へ動き、政 治的には民主化が進み、あらゆる社会層の社会参加への機会が増えたことは周知 -11-
の通りである。これは従来よりも産業活動における経営者間、労働者間の競争が 激化したことを-面では意味する。例えば、企業活動をみれば、経済苦境や経営 環境の悪化を乗り切るために、大企業等にみられる人材戦略等では、労働の質を 重視する方向性が示され、そのため、少数繍鋭でより高度な専門性を人材に求め、 効率の良い生産水準維持のために人員削減を行って管理部門の人員までが生産ラ インに配属されるようになったこと。更に、伝統的な職業、例えば医師や弁護士 等の専門職においても、従来よりも多様な職種への応用能力や運営能力が求めら れる傾向にある。こうした動きの中で、中層のホワイトカラーの中では企業を退 職して自営の経済活動を自己の能力で行おうとする層、あるいはかつてブルーカ ラーの職種と言われていた比較的単純な労働に就く層が増加したと言われる('71。 ここで理解できるように、前述図1の(3)の段階でのシステム内部で職業の分 岐と多様化がみられ、特に中層の中ないし下が、居住の形態や消費等具体的な生 活の内容での変化をも含めて階層的な下降の傾向を示していることが認められる のである。 こうした点を考えると、他の層に比し、従来から専門技術的な訓練や教育の機 会に恵まれなかった未熟練労働者や季節労働者等の下胸(図1参照)の労働者層 は、下降をみせる中層との接触が増え、成層化のシステムにおいては全体として 一層下へ押し下げられる方向にあると思われる。 Ⅳ教育と人種的要因との相関 (1)階層要因としての教育について 前述の職業地位への到達に関しては、自ずとその成員の教育機会の痩得が密接 な関連を有することは明らかである。その意味で、社会の移動性を検証する目的 から教育を階層移動の要因として捉える場合、その先行的な研究の代表例として はJos6Pastoreの調査が知られる。ここでは、移動研究にあたって学歴を教育水 単としての計測可能な変数とし、センサスデータに基づいて2世代間にわたる移 動を説明している(’81。これによると、下掴は就労する年齢が若くまた教育の水 鎚も低かったが、2世代にわたることによって変化がみえ、下層の農民層が都市 労働者掴へ移り、そして企業経営者層の構成も変化してきたことを示している。 この点は、従来硬直的と言われ続けてきたブラジルの階屑移動に対して、今日で はかなりの流動性が認められるということを述べたものであるが、センサス自体 -12-
に人種別のデータが示されていないため、階層を等質的に捉えざるを得ない。 一方、人種の問題に関し、根底的な問いかけを歴史研究の脈絡において成して きたOctaviolanniは、教育という場がブラジル人にとって真に開かれた民主的 な場であるかどうかという点に関して、教育のシステムが公立対私立、普通科対 宗教科、専門技術教育対大学教育、無料対有料というように明瞭に区分されてい るある種分断のシステムになっているとする('’1。そこでは経済的、社会的障壁 がネグロやムラトの教育へのアクセスの可能性を制限している。このシステムの 中に移民が1世代から3世代にわたって入り、固有の社会文化的な背景を持ちな がらこの社会での価値、規範、権力を伴う社会的、政治的アイデンティティーを 求めて社会上昇を成した。こうした状況においては、ネグロやムラトには大学教 育等の高等教育の機会を獲得することが条件的に困難であったとされる。こうし た歴史研究に基づく見解に対しては今日的な実証性を加味して相対的に考察する 必要がある。 (2)教育格差の現状 上述の点を考慮して、実際の教育の現状がどのような傾向で現れているかを示 すと以下の通りである。 表6は、1990年現在の所得階層別に非識字率を地方別に整理したものである。 これによると、1/4sM以下の非識字率が45.8%を占めていることに対して、2S M超が3.8%と大きな開きをみせ、また、地方別にみても、北東部、北部が高く、 南部、南西部が低い。このように経済の格差そのものを非識字率が反映している。 く表6>所得階層(月額所得)別非識字率(%)1990年 出典:IBGE,AnuarioEstatfsticodoBrasill992,RiodeJaneiro、に 基づいて作成。 -13- ブラジル 北部 北東部 南西部 南部 中西部 1/4sM以下 1/4~1/2SM以下 1/2超~1sM以下 1超~2SM以下 2SM超 89568 ■●勺●■ 56213 4321 52417 ●●⑰●白 77814 2211 39206 ■●●□甲 78606 5432 11574 ●●●●● 65693 221 29038 CB■■■ 41482 221 37572 ■●●Ce 12244 4321
く表7>人種別非識字率(%)(7歳以上)1990年 その他申告なしを含む。 IBGE,AnuA「ioEstatisticodoBrasill992,RiodeJaneiro、 に基づいて作成。 注* 出典 く表8>就学生徒数(5歳以上〉1990年 単位千人
(1)Pre-escolar(2)1qgrau(1二serie~84series)
(3)229「au
(4)Superior lBGE,AnuArioEstatfsticodoBrasill992,RiodeJaneiro・に 基づいて作成。 注* 出典 表7は、人種別の非識字率を地方別にみたものである。全体としては黒人、混 血の順に非識字率が高く、これに比し、黄色(日系人)の比率が低い゜地方別に みれば北東部における黒人、混血の率が他の地方に比して非常に高いことが示さ れる。 表8は、就学生徒数を人種別にみたものであるが、それぞれの教育段階全体に 占める割合が、白人、黄色が高学歴になるにつれて高まることに対して、黒人、 -14- ブラジル 北部 北東部 南西部 南部 中西部 白人 黒人 混血 黄色* 1132 ●●●● 2092 132 317 ●の● 085 111 9489 ,●●● 0016 3541 3349 ,●●● 8061 21 0173 ●■●● 9913 12 051 ●●● 242 132 平均 19.6 14.2 39.1 11.2 11.0 17.6 人数ロ ブラジル 樹成比(%) ブラジル 白人 黒人 混血 黄色 就学前教育(1) 初等教育(2) 中等教育(3) 高等教育(4) 8 4 9 巳 3 416 366 276 9’●可、 831 2 0000 ●●●● 0000 0000 1111 8036 0●●● 0258 5567 7534 B●●● 3431 0114 ●CG● 5307 4431 4436 ●●●C O012混血は一層低くなっていることが理解される。特に高等教育の就学数に関しては、 白人78.6%に対して黒人が1.4%と極端な数値の開きがみられる。 更に、図2はブラジルの教育問題の1側面を表したものである。即ち、フォー マルな制度としての教育の機会を得て初等教育に参加したものを100%とした場 合、初等を終えて中等へ進学するものは、その20%にまで年々減少していくとい う現実である。即ち、初等の段階で学校教育についたとしても、経済的な理由で 仕事につく等、教育の場から去っていく児童が圧倒的に多いのである。まして高 等教育へ進むものは6%に満たないことを示している。 就学した児童が初等教育の初期の段階で公の教育機関から去ることは、学歴別 の賃金格差や熟練格差の問題に関連するものであり、教員の給与待遇、授業日数、 教育投資の問題等と並んで、社会経済的な根本的課題の解決に関わる問題の1つ である。 これに関連した研究の1つとして、Lovellは、60~80年の20年間、確かに教 育の水準が全体として上昇し、あらゆる社会集団の間での教育へのアクセスは全 体的には高まったが、これを白人(White)とアフロ・ブラジリアン(Afro- Brazilian)の2つに分けて相対)的に捉えた場合、前者と後者の差が依然大きく、 後者による高学歴の教育へのアクセスが極めて限られていることをセンサスデー タに基づいて示した。特に、女性全体の就学年数が男性に比して増加の割合が高 かった一方で、高学歴水準の到達に関しては、白人女性とアフロ・プラジリアン の女性との間では前者の増加の割合が高く、後者との差が広がっている。また、 両者の問での賃金格差も依然高いことが示されている(20)。従って、こうした面 を考慮すると、教育における人種間でのギャップの存続がなお認められるのであ る。 このように、教育の機会を獲得して社会参加していく層はかなり限られている ことが理解される。即ち、学校教育の必要性を認識し、読み書きをよくし、競争 し、より高学歴を求めて社会上昇を志向する白人及び黄色人を中心とした上層及 び中間層と、学校教育の機会を得ず、非熟練労働を主な生計手段として彼ら独自 の文化のパターンに基づいて共棲する黒人及び混血を中心とした下層との格差は、 決して今日に至って縮小の方向にあるとは言えないであろう。逆に最近のブラジ ルの高度産業化と自由経済化の動きの中で、根底的な人種間の確執あるいは人種 差別に関わる社会的摩擦の起きる可能性は否めない。 -15-
<図2>進級状況
(1978年第1グラウ1年入学者=100%として)
年年年年年年年年年年年年
ね刀帥皿、銅酔鱈妬師躯”
999999999999 111111111111 100 55.3 2345678 年年年年年年年 生生生生生生生 46.2 37.2 ) 38.5 29.0 23.2)獺
生生生 年年年 123 高等教育(大学) 2~6年間出典:Minjst6tiodaEduca93。
VEJA-20deNOvembmll91P、49に基づいて作成。 -16-◆結語 ブラジルが、多櫛な人種の混交による社会の形成過程を持ち、様々な側面での 多様性と統一性を伝統的に残しつつ、急速な社会・経済的な近代化による社会の 変化と多様化をみせてきたことはよく知られる。この社会経済の発展を担った廟 は、前述図1にて概観した通り、植民地時代からの上層に出自を持つ白人掴とヨ ーロッパ的な背景を持つ中間層のエリートであった。そしてとりわけ、そのエリ ートの持つ価値志向は、次世代への文化的な継承を実現すべき様々な分野に反映 し、大きな影響を残してきたと言える(211. -方、ブラジルの社会の成層化の過程において階層移動をもたらす要因として は家柄、人種、富、及び、職業地位、またその獲得のための教育であることは一 般に認められているが、本稿で示したように、今日的に表出している社会的、経 済的格差の現実の中には、それらの要因が複合化されて現れており、従って、各 要因が時間的経過によって明瞭に区別された形で社会への影響力を持っているわ けではないと思われる。 とりわけ、その階鬮基噸の1つである教育を捉えた場合、本稿でみたように、 経済的格差にそのまま符合する形で人種別識字率、就学数分布と就学年数等の格 差が今日なお示されている。つまり、ブラジルにおける社会参加としての教育の 機会は、戦後の制度的充実や大学教育、職業教育コースの拡大強化等で幅広い社 会層に増大した一方で、その専門分化と高度化は逆に社会の不平等化を押し進め ていく結果をもたらす傾向にある。これは、「現場で教育を与える側の有する特 定の文化の型は、階廟的不平等構造の維持、または再生産に寄与する。」という 論(220に共通するものである。即ち、特定の人種的、社会的出自を持つ教育者と 被教育者との間での文化の伝達もしくは継承が如何にあったかがその社会の階層 移動の実際の姿を表していると思われる。 更にこれらには、教育をも含めたブラジルの政策的な問題が関わっている。即 ち、ブラジルには広大な土地を-極的、及び開拓的に開発し、対外依存性を有し ながら急速に政治的、経済的近代化を進めてきた歴史的経緯がある。そこにおい て主動的な役割を担ってきたエリート層による政治、経済、及び社会的政策の実 際に関しては、最近80年代の経済危機を乗り越えたネオ・リベラリズム的政策に おいても社会階層の固定化もしくは不平等化をもたらす傾向から脱却できていな い課題があり、教育の格差是正等を含めた総合的な政策の有無とその実際が将来 17-
的にも問われる状況にある。 他方、政治的民主化及び経済の自由化と並んで、今日、長期的歴史的観点から みれば社会・文化的に比較的大きな変化がみられることも事実である。信仰の問 題を例えてみれば、国家としての文化的統一性の1つの象徴であったカトリック 教に関し、かつて国民の大多数がカトリック教徒であるとされたが、70年代以降 徐々に中間層のカトリック教会離れがみえ、90年代にはいってからは信仰に関わ
る多様な分化が起こっている’231。そして多様な層が、各々独自の文化の背景を
有して楼みわけを行っている。 以上のように一方で価値の多様化の兆しや柔軟性がみられると同時に、他方で は、各々の層がある特定の状況下で独自の遮りM1様式と固有の観念を持つという文 化の位相での根元的な硬直性も認められる。 従って、変化の過程にあるブラジル社会の成層化の過程及び今日的な格差の実 態を廻識すれば、ブラジル社会の格差とその展望は、政治、経済の現実のみの要 因ではない根元的でなおかつ歴史的に個人並びに集団の両レベルの深層に根ざし た社会・文化的問題として捉えるべきであると言えるであろう。 【注】 *本論文は、第31回ラテン・アメリカ政経学会(平成6年11月13日)における筆 者の研究報告「ブラジルの社会成層化過程に関する考察」に基づいて再構成し たものである。 (1)階層・階級に関し、本研究においては社会成層論のアプローチを基礎とす る。即ち、社会の上下関係への重胸的構造を捉える立場に立ち、階層を従 来の階級・身分・カースト等の概念を否定することなくそれらの上位概念 として用いる。言い換えれば、上下関係の現象を記述して社会の実証的把 握を重視する立場である。(福武画、日高六郎、高橋徹共編「講座・社会 学」別巻、東大出版会、1970年.p、181参照。)また「成層」は、様々な 集群の人々の間に栂造化された不平等と定義することができる(Giddens, AnthoHy,…gHLUK,Po1icyPress,1989.(松尾、成富、西岡他共 訳、『社会学」而立書房、1992年。p、204.)。 (2)上智大学イベロアメリカ研究所「ラテンアメリカの社会階級」(ラテンア -18-メリカ文献シリーズNo.1)1987年、参照。 (3)中間層研究に関しては、伝統的上下2階級櫛造が分化していくプロセスの 中での性格描写を行ったCWagley、並びに、産業化過程で台頭した新中 間階級の特徴を分析したBresserPereiraの業績が従来から知られてい る。ラテンアメリカ全域の中間屑に関する理論的研究の趨勢に関しては、 Johnson、Stavenhagen、Jos6Nunのアプローチ、そしてケーススタディ への進展が一般に認識されており、我が国においては、ブラジルの中間層 と政治、経済との関わり(水野一論文)、アルゼンチン中間層とペロニズ ムの関連に言及した中間層の構造的内容分析(松下洋論文)(上智大学イ ベロアメリカ研究所編「ラテンアメリカの中間階級―その政治、経済、 社会的地位に関する研究』1982年。)。また、松下洋「中間屑の存在と役 割」(松本電治、加茂雄三編「ラテンアメリカハンドブック』講談社、 1985年、pp、320-331.)参照。 (4)西川大二郎「ラテンアメリカの富と貧困」及び、細野昭雄「土地所有制度 と農業構造」(松本電治、加茂雄三編、前掲、pp272-306.)に詳述。ま たラテンアメリカ経済の基本的発展プロセスの概観によってその点を指摘 したものとして、西島章次「ラテンアメリカ経済再生の条件」(小池洋一、 西島章次綱、『ラテンアメリカの経済」新評論、1992年、終章pp258- 262.)。 (5)この背景について、ThomasE、Skidmoreは、①第二次世界大戦後アフリカ 新興諸国の台頭をみたブラジル人エリートに人種デモクラシーのイデオロ ギーが浮上したこと、②軍事政権下での人種問題に対するメディア、出版 等の統制管理、③ブラジルの学界、特にサンパウロ学派が、社会階級が社 会研究、文化研究を行う根本的変数であるとする信念が根強かったことを あげている。しかしタブー視されたトピックが80年代以降全面に出始めた とする。(Skidmore,ThomasE., Race-and-ClassinBrazil:HistC calPresDective Wisconsin,theBoardofRegentsoftheUniver- System,1983.(Luso-BrazilianReviewXX,1.pp. sityofWisconsinSystem,1983.(Luso-BrazilianReviewXX,1.pp lO4-117.)一方、我が国でブラジルの階級と人種との関連を詳述したもの として、石井陽一「ブラジルにおける人種と階級の相関』神奈川大学人文 研究所、1976年。(人文学研究所報No.10、pp、1-17.) BresserPereira,LC.、PesenvolvimentoeCrisenoBrasill930-1983 (6) -19-
15▲ediS宮oS5oPaulo,EditoraBrasiliense,1987.参照。
(7)その意味で、Azevedoの社会成層と人種構成との相関に関する考察は、成 層の根本に関して今日的な意義を失っていないと考えられる。Azevedo, RiodeJaneiro, Thalesde, EditoraCi 福嶋正徳「EditoraCiviliza9zoB「asileira,1966.
(8)福嶋正徳「ブラジル社会の柔軟性」拓殖大学海外事情研究所、1977年、pp、 9-30.(海外事情シリーズ3)及び、三田千代子「人種と社会」(山田睦 男編、『概説ブラジル史』有斐閣、1986年。pp、228-243.)参照。 (9)IBGE,PesquisaNacionalporAmostradeDomicIlios(全国居住者標本調査)によるCordaPopulag面oの分類に基づいた。
(10)LovelLPeggyA., US, LatinAmericanResearchReview、voL29ONo、3,1994.ppl2-14. (11)代表的なものとして、VEJA,20deNovembro,1991,pp、56-58.0GLOBO‐ JornaldaFamflia,26deFevereiro,1989. (12)Skidm0re,op・Cit.,pp、105-109. LovelLop・Cit.,pp、10-11.またこの点に関しては、中川文雄「ブラジ ルにおける人種関係一人種デモクラシー批判拾頭下での現状一」(星 野妙子、米村明夫縞「ラテンアメリカ」(地域研究シリーズ13)、アジア 経済研究所、1993年。pp297-309.) (13)三田千代子「ブラジルの人種関係」ラテンアメリカ論築No.9-10合併号、 1976年。pp、97-105.参照。 (14)Hasenbalg,C、Alfred.,、エ且§_LL(tradug3bdePa
Burglin),RiodeJaneiro,Edi85esGe-、エ且§LL(tradug節dePatric
raL1979.(originalingles: ) (15)idem,pp271-281."Incidentesdediscrimina槙oRacialeRacismoRe-gistradospelalmprensaentre12.09.68e06.09.77.,. (16)VEJA30deMaio,1990,pp、42-44. (17)経済の苦境下にあった80年代初頭には非専門的部門の解腿をもって人員削 減していたものが、90年代に入ってからはBRASTEMPやPHILIPS社その 他の代表的な大手の企業において直接生産に従事しないgerentesやsu-perviso「s等の層の人員削減や役員の顧問契約解除等の経費削減の動きが -20-一方であり、他方では、経済の将来的展望を開くための高学歴の専門家の 人材養成を求める社会の動きもジャーナリズムで報じられるようになった。 (VEJA18deMarco,1992,VEJA,l5deSetembro,1993等) (18)Pastore,Jos6, S:rOPa- ulo,T・AQueir0z,Editor,Ltda.,1979. 封sC12
3△edi9嵐0,SHbPa-
(19)Ianni,Octavio, DciaisnoBrasil ulo,EditoraBrasiliense,1987.特に、第3版で新たに設けた第12章“Educa蝉oemobilidadesocial,“pp263-280.
(20)Love11,0p、Cit.,p、15,pp21-22. (21)前山隆「日系人(ブラジル)-中間マイノリティの問題」(綾部恒雄編 『文化人類学7-世界の少数民族』、アカデミア出版会、1990年、pp、 208-221.参照。 (22)このような視点は、教育と社会の平等化の関連を捉える際の文化的再生産 論において中心とされており、我が国における社会移動研究・調査におい てもそうした実態が示された。(1985年SSM全国調査委員会『1985年社 会階層と社会移動全国調査報告書』第3巻教育と社会移動、1988年9月、 ppl89-191) (23)Ludwig,A「minK, ston,1985,p、65. Bo- 及びVEJA-25deDezembro,1991,pp32-38. 【上記以外の主な参考文献】 (1) DieguesJr.,MEtrEtniaseCulturasnoBrasil RiodeJaneiro,Edito-raCiviliza8zoBr2
Ribeiro,Darcy,2 1978. CupertinqFausto, neiro,EditoraCil Pastore,Jos6(ed S3roPaulo,Livrari Hasenbalg,Carlos Brasileira,1976. 0DilemadaAm6ricaLatina (2) RiodeJaneiro,Vozes, (3) RiodeJa-Civi1iza篦0
BraSileira,1978. (ed.), (4) JOh Dli LivrariaPiomeira CarlosA.,Nelson Editorao1983、 doValleSilva, (5) RacaeODortunidades -21-」adeRacialnoBrasj-l-ContemDor 、且§_Led,porPeggyALovell),BeloHorizonte・UniversidadeFede- raldeMinasGerais,1991. (6)福嶋正徳「中間層と労働市場」(山田睦男『現代ブラジルの社会変動』ア ジア経済研究所、1975年。) (7)BorgesPereira,JoiroB.,『ブラジル黒人に関する人類学的・社会学的 研究一歴史と現状一」上智大学イペロアメリカ研究所、1983年。(イ ベロアメリカ研究Vol.V,No.1) (8)松本幹雄「ブラジルと鯨国の社会・文化的変化への視点」(ラテン・アメ リカ時報、1993年9月号) (9)Willis,PaulE., 1977.(『ハマータウンの野郎ども ̄学校への反抗 H誠、山田潤訳、筑摩書房、1985年。) ・労働への順応」熊沢誠、山田1 (10)Lamphere,Louise,Structurin2 Diversitv:ethnolzraphicperspectives Chicago,TheUniversityofChicagoPress, 1992. (11)安田三郎「社会移動の研究」東京大学出版会、1971年。(東大社会科学研 究叢書37) (12)直井優、原純輔、林甫編『リーディング日本の社会学8 ̄社会階屑.社 会移動」東大出版会、1986年。 -22-