• 検索結果がありません。

幼児と高齢者の世代間交流に関する発達心理学的考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "幼児と高齢者の世代間交流に関する発達心理学的考察"

Copied!
142
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

幼児と高齢者の世代間交流に関する発達心理学的考

著者

南部 登志江

学位名

博士(教育学)

学位授与機関

大阪総合保育大学大学院

学位授与年度

2017

学位授与番号

甲第11号

URL

http://doi.org/10.15043/00000922

(2)

幼児と高齢者の世代間交流に関する

発達心理学的考察

大阪総 合保 育大 学大学 院

児童保 育研 究科 児童保 育 専攻

(3)

論文の要旨

本 論 文 で は 、 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 実 際 を 知 り 、 そ の 効 果 な ら び に 交 流 を 継 続 す る た め の 課 題 を 検 討 す る こ と を 通 し て 、 世 代 間 交 流 の 意 義 を 発 達 心 理 学 的 な 立 場 か ら 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。 「 序 章 」 で は 、 世 代 間 交 流 を 「 子 ど も 、 青 年 、 壮 年 お よ び 高 齢 者 と い う 世 代 の 異 な る 人 々 が 相 互 に 交 流 し 、 互 い に 自 分 た ち の 持 っ て い る 能 力 や 知 識 ・ 技 能 を 出 し 合 い 、 自 分 自 身 を 向 上 さ せ る と と も に 、 互 い の 生 活 文 化 や 価 値 観 へ の 理 解 を 深 め 、 か つ 、 自 分 の 周 り の 人 々 や 社 会 に 役 立 つ よ う な 健 全 な 地 域 づ く り を 実 践 す る 活 動 で あ る 」と 定 義 し 、世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 を 研 究 す る 意 義 と し て 次 の 四 つ を 挙 げ た 。 一 つ 目 の 意 義 と し て は 、 人 間 に お け る 世 代 の 重 な り に は 、 他 の 動 物 に 見 ら れ る 世 代 の 重 な り と は 異 な る 文 化 を 育 み 、継 承 し 発 展 さ せ る と い う 特 別 な 意 味 が あ る こ と が 挙 げ ら れ る 。 二 つ 目 の 意 義 と し て 、 世 代 間 交 流 を 通 じ て 相 手 を 理 解 し よ う と す る か か わ り が 、 自 分 自 身 の 成 長 ・ 発 達 を 促 し 、 ま た お 互 い に 影 響 し 合 い 、 さ ら な る 発 達 へ と つ な が っ て い く こ と が 挙 げ ら れ る 。 三 つ 目 の 意 義 と し て 、 幼 児 期 の 発 達 課 題 の 達 成 が あ る 。 す な わ ち 、 幼 児 期 は 、 歩 行 を は じ め 様 々 な 運 動 能 力 が 著 し く 発 達 し 、 認 知 能 力 が 増 し 生 活 空 間 が 拡 大 す る 時 期 で あ る 。 ま た 自 分 の 体 験 や 自 己 覚 知 を 自 己 概 念 と し て も て る よ う に な り 、 自 己 意 識 が 明 確 に な る 。 そ し て 自 己 意 識 が か か わ る 恥 や 罪 、 誇 り な ど の 自 己 意 識 感 情 を も つ よ う に も な る 。 こ れ ら が そ の 後 の 児 童 期 で の 意 識 的 で 自 覚 的 な 認 知 の 基 礎 形 成 に つ な が る 。 こ の 時 期 に 高 齢 者 を は じ め と す る 多 世 代 と か か わ る こ と に よ っ て 、 言 語 や 運 動 の み で な く 、 情 緒 の 発 達 が 促 進 さ れ る と 言 え る 。 四 つ 目 の 意 義 と し て 、 老 年 期 は 人 生 の 最 終 段 階 で あ り 、 そ れ ま で の 人 生 を 意 味 づ け 直 し 統 合 す る 時 期 で あ る の で 、 高 齢 者 に と っ て も 発 達 を 促 す 意 義 が あ る こ と が 挙 げ ら れ る 。 ま た ほ と ん ど 完 結 し て い る ラ イ フ サ イ ク ル に 対 し 英 知 の 感 覚 を 統 合 し て い く 課 題 も あ る 。 こ の 課 題 の 達 成 に 向 け て 、 高 齢 者 に は 、 文 化 や 英 知 を 次 の 世 代 へ 伝 承 し て い く こ と が 求 め ら れ る 。 エ リ ク ソ ン(2001)が 述 べ て い る よ う に 、 人 生 を 振 り 返 り 、 自 分 が 価 値 あ る 存 在 で あ っ た か 否 か を 考 え る と き 、 文 化 や 英 知 を 次 の 世 代 へ 伝 承 し て い く と い う 課 題 の 達 成 が 求 め ら れ る が 、子 ど も と の 世 代 間 交 流 は 、そ の 課 題 達 成 に つ な が る の で あ る 。こ れ に よ っ て も 、

(4)

幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 が 一 つ の 重 要 な 交 流 と 捉 え る こ と が で き る 。 第 1 章 「 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性 」 で は 、 我 が 国 の 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性 を 確 認 し た 。 さ ら に 交 流 を 困 難 に し て い る 要 因 の 一 つ で あ る 高 齢 者 の 認 知 症 症 状 の 理 解 や 支 援 の 必 要 性 が 確 認 で き た 。 第 2 章 「 世 代 間 交 流 に 関 す る 歴 史 と 近 年 の 動 向 」 で は 、 世 代 間 交 流 を 定 義 し た 上 で 、 文 献 研 究 を 通 し て 、 我 が 国 に お け る 世 代 間 交 流 の 歩 み を 明 ら か に す る と と も に 、 我 が 国 の 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 を 明 確 に し た 。 第 3 章 「 各 世 代 別 に 見 た 世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 」 で は 、 各 世 代 と 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 に つ い て 検 討 す る と と も に 、 世 代 間 交 流 の 中 で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 に 着 目 す る こ と の 意 義 と 必 要 性 を 明 確 に し た 。 こ れ に よ り 、 本 研 究 の 立 場 と 目 的 を 確 認 で き た 。 高 齢 者 と 幼 児 が 触 れ 合 う と い う 交 流 体 験 は 、子 ど も が「 高 齢 者 を 大 切 に す る よ う に な る 」、 「 人 の こ と を 思 い や る こ と が で き る よ う に な る 」、「 家 族 を 大 切 に す る よ う に な る 」、「 性 格 が や さ し く な る 」 な ど の 効 果 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 幼 児 期 に 高 齢 者 と 親 密 な 交 流 を も っ た 経 験 が あ る 子 ど も は 、 児 童 期 、 思 春 期 に お い て 、 高 齢 者 に 対 し て ポ ジ テ ィ ブ な イ メ ー ジ を も っ て い る こ と が 分 か っ た 。 し か し 実 際 に 行 わ れ て い る 活 動 で は 、 交 流 回 数 は 年 に 数 回 で あ っ た り 、 内 容 も 行 事 中 心 で あ っ た り す る こ と が 多 い 。 こ れ に は 、 交 流 の 仲 介 を 勤 め る 職 員 の 負 担 の 大 き さ や 、 施 設 を は じ め と す る 周 り の 職 員 の 理 解 不 足 、 さ ら に は 効 果 的 な 交 流 プ ロ グ ラ ム や 進 め 方 な ど の 知 識 ・ 経 験 不 足 な ど の 要 因 が 考 え ら れ る 。 第 4 章 「 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 実 態 に 関 す る 研 究 」 で は 、 保 育 所(園 ) ・ 幼 稚 園 の 職 員 を 対 象 と し た 世 代 間 交 流 の ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 に つ い て 発 達 心 理 学 の 観 点 か ら 考 察 し た 。 こ れ ら を 通 し て 、 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 は 、 そ れ ぞ れ の 発 達 課 題 の 達 成 や 自 我 の 発 達 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る こ と が 確 認 で き た 。 第 5 章 「 世 代 間 交 流 を 行 っ て い る 保 育 所 職 員 、 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 ヘ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 」 で は 、 日 常 的 に 世 代 間 交 流 を 行 っ て い る 施 設 の 保 育 所 職 員 、 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 ヘ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 か ら 、 具 体 的 な 交 流 内 容 の 実 際 や 職 員 が 考 え て い る 課 題 、 さ ら に 高 齢 者 の 認 知 症 症 状 に 対 す る 子 ど も た ち の 反 応 や 交 流 に 当 た っ て 職 員 が 留 意 し て い る こ と な ど が 確 認 で き た 。 第 6 章 「 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 場 面 の 観 察 」 か ら 、 仲 介 す る 保 育 士 や 施 設 職 員 の 進

(5)

行 方 法 な ど の 観 察 を 通 し て 、 よ り 具 体 的 に 幼 児 と 高 齢 者 の 交 流 の 状 況 、 相 互 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 仲 介 す る 保 育 士 や 施 設 職 員 の プ ロ グ ラ ム 構 成 や 進 行 方 法 の 工 夫 な ど を 知 り 、 交 流 の 効 果 や 課 題 を 確 認 で き た 。 交 流 場 面 の 観 察 や 交 流 後 の 子 ど も 、 高 齢 者 、 職 員 へ の イ ン タ ビ ュ ー か ら 、 世 代 間 交 流 は 子 ど も の 感 情 の 表 現 を 豊 か に し 、 自 分 た ち の 握 手 が 高 齢 者 の 感 情 を 高 め る 効 果 が あ る こ と を 実 感 し 、 自 己 昂 揚 感 を 高 め て い た 。 高 齢 者 に と っ て も 難 聴 や 認 知 機 能 の 低 下 な ど が あ る た め 、 子 ど も た ち が 行 っ た プ ロ グ ラ ム 内 容 は よ く 覚 え て い な い が 、 涙 が 出 る ほ ど か わ い く 感 じ た り 、 笑 顔 を 引 き 出 し た り 、 身 体 面 や 精 神 面 、 意 欲 や 自 己 肯 定 感 な ど の 効 果 に つ な が っ て い た 。 こ れ ら に よ り 、 エ リ ク ソ ン が 述 べ て い る 遊 戯 期 ( 幼 児 期 後 期 ) の 発 達 課 題 で あ る「 自 主 性 対 罪 悪 感 」と い う 社 会 的 葛 藤 か ら 自 主 性 を 獲 得 し た り 、高 齢 期 の「 統 合 対 絶 望 」 か ら 英 知 を 発 揮 し た り し て い る こ と が 確 認 で き た 。 第 7 章 「 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 望 ま し い 在 り 方 」 で は 、 世 代 間 交 流 活 動 が 活 発 と な り 発 展 し て い く た め の 方 策 と し て 、 交 流 を 支 え る コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 育 成 、 自 治 体 や 地 域 を 巻 き 込 ん だ 世 代 間 交 流 の 必 要 性 、 学 問 と し て の 分 野 の 構 築 な ど を 挙 げ た 。 終 章「 今 後 の 課 題 」に お い て 、幼 児 と 高 齢 者 施 設 を 利 用 し て い る 高 齢 者 と の 交 流 だ け で な く 、 も っ と 年 代 を 広 げ て 考 え る こ と や 地 域 の 健 康 な 高 齢 者 と 子 ど も の 世 代 間 交 流 に つ い て も 考 え る こ と な ど が 今 後 の 課 題 と し て 残 さ れ た 。

(6)

目 次

序 章 ... 1 Ⅰ 問 題 の 所 在 と 本 論 の 目 的 ... 1 Ⅱ 本 論 の 構 成 ... 4 第 1 章 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性 ... 6 Ⅰ 少 子 高 齢 化 と 世 代 間 交 流 ... 6 Ⅱ 我 が 国 の 高 齢 化 と 認 知 症 ... 11 第 2 章 世 代 間 交 流 に 関 す る 歴 史 と 近 年 の 動 向 ... 14 Ⅰ 我 が 国 に お け る 世 代 間 交 流 の 歩 み ... 14 1 1960年 ~ 1970年 代 ... 15 2 1980年 ~ 現 在 ... 15 Ⅱ 世 代 間 交 流 の 近 年 の 動 向 ... 17 Ⅲ 世 代 間 交 流 の 地 域 化 と 多 様 化 ... 22 1 子 ど も を 対 象 と す る 地 域 活 動 ... 22 2 高 齢 者 を 対 象 と す る 地 域 活 動 ... 24 3 伝 統 芸 能 を 取 り 入 れ た 活 動 ... 25 4 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 ... 26 第 3 章 各 世 代 別 に 見 た 世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 ... 28 Ⅰ 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 ... 28 1 乳 幼 児 期 に あ る 子 ど も と 高 齢 者 の 交 流 ... 28 2 児 童 期 に あ る 子 ど も と 高 齢 者 の 交 流 ... 30 3 思 春 期 に あ る 子 ど も と 高 齢 者 の 交 流 ... 31 4 大 学 生 と 高 齢 者 の 交 流 ... 32 Ⅱ 高 齢 者 か ら 見 た 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 ... 32 第 4 章 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 実 態 に 関 す る 研 究 ... 36 Ⅰ 幼 稚 園 ・ 保 育 所 の 職 員 を 対 象 と し た 世 代 間 交 流 の ア ン ケ ー ト 調 査 ... 36 1 目 的 ... 36 2 方 法 ... 37

(7)

3 結 果 ... 37 4 考 察 ... 46 第 5 章 世 代 間 交 流 を 行 っ て い る 保 育 所 職 員 、 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 へ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 ... 49 1 目 的 ... 50 2 方 法 ... 50 3 結 果 ... 51 4 考 察 ... 66 第 6 章 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 場 面 の 観 察 ... 70 Ⅰ 大 阪 府 B 保 育 所 幼 児 及 び C 保 育 所 幼 児 と D 高 齢 者 ケ ア 施 設 の 高 齢 者 と の 交 流 ... 70 1 B 保 育 所 幼 児 と D 高 齢 者 ケ ア 施 設 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 ... 70 2 C 保 育 所 幼 児 と D 高 齢 者 ケ ア 施 設 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 ... 71 3 B 保 育 所 幼 児 及 び C 保 育 所 幼 児 と D 高 齢 者 ケ ア 施 設 の 高 齢 者 の 交 流 の 考 察 ... 73 Ⅱ O 市 に あ る 複 合 型 福 祉 施 設 に お け る 世 代 間 交 流 の 観 察 ... 73 Ⅲ 大 阪 府 S 市 に あ る 保 育 所 幼 児 と 併 設 す る 高 齢 者 施 設 の 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 観 察 ... 77 1 目 的 ... 77 2 方 法 ... 77 3 結 果 ... 79 4 考 察 ... 91 Ⅳ 意 識 調 査 並 び に イ ン タ ビ ュ ー 、 観 察 か ら 見 た 世 代 間 交 流 の 研 究 方 法 の 考 察 ... 94 第 7 章 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 望 ま し い 在 り 方 ... 95 Ⅰ 世 代 間 交 流 の 実 態 と 成 果 ... 95 Ⅱ 発 達 的 観 点 か ら 見 た 世 代 間 交 流 ... 96 Ⅲ 世 代 間 交 流 の 継 続 ・ 発 展 ... 98 1 子 ど も と 高 齢 者 を 仲 介 す る コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 育 成 ... 98 2 自 治 体 や 地 域 を 巻 き 込 ん だ 世 代 間 交 流 ... 98 3 学 問 と し て の 分 野 の 構 築 ... 99 終 章 今 後 の 課 題 ... 101 1 保 育 士 と 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 の 合 同 学 習 会 や 支 援 マ ニ ュ ア ル の 作 成 ... 101

(8)

【 参 考 ・ 引 用 文 献 】 ... 103

Abstract ... 108

あ と が き ... 112

(9)

1

序 章

Ⅰ 問 題 の 所 在 と 本 論 の 目 的

「 世 代 間 交 流 」 は 1960年 前 後 か ら 注 目 さ れ る よ う に な り 、 自 然 発 生 的 な 世 代 間 交 流 が 活 発 化 し て き た が 、 筆 者 は 、 草 野 ( 2004) が 『 イ ン タ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン ― コ ミ ュ ニ テ ィ を 育 て る 世 代 間 交 流 ― 』 に お い て 、 「 世 代 間 交 流 」 を 「 子 ど も 、 青 年 、 中 ・ 高 年 世 代 の 者 が お 互 い に 自 分 た ち の 持 っ て い る 能 力 や 技 術 を 出 し 合 っ て 、 自 分 自 身 の 向 上 と、自 分 の 周 り の 人 々 や 社 会 に 役 立 つ よ う な 健 全 な 地 域 づ く り を 実 践 す る 活 動 で 、 一 人 ひ と り が 活 動 の 主 役 と な る こ と で あ る 」 と 定 義 し て い る の を 受 け て 、 世 代 間 交 流 を 「 子 ど も 、 青 年 、 壮 年 及 び 高 齢 者 と い う 世 代 の 異 な る 人 々 が 相 互 に 交 流 し 、 互 い に 自 分 た ち の 持 っ て い る 能 力 や 知 識 ・ 技 能 を 出 し 合 い 、 自 分 自 身 を 向 上 さ せ る と と も に 、 互 い の 生 活 文 化 や 価 値 観 へ の 理 解 を 深 め 、 か つ 、 自 分 の 周 り の 人 々 や 社 会 に 役 立 つ よ う な 健 全 な 地 域 づ く り を 実 践 す る 活 動 で あ る 」と 定 義 す る 。し か し 、筆 者 の 調 査 に よ れ ば 、都 市 部 で の 年 間 の 実 施 回 数 は 少 な い (南 部 ,2014)。 そ の 要 因 と し て 、 便 利 な 日 常 生 活 で 世 代 が 支 え 合 う 必 要 性 が 希 薄 に な っ て き た こ と や 子 ど も が 高 齢 者 と 触 れ 合 う こ と に 対 す る 不 安 を 抱 く 保 護 者 の 存 在 な ど が 報 告 さ れ て い る (關 戸 ,2006)。 高 齢 者 も 子 ど も も 同 世 代 同 志 や 介 護 者 、 保 護 者 と の か か わ り だ け で は 、 お 互 い に 対 し て 苦 手 意 識 を 抱 き 、 ま た 子 ど も に と っ て 高 齢 者 と は 笑 顔 な ど の 表 情 が あ ま り な く 怖 い 人 と い う 誤 っ た 認 識 を 抱 い て し ま う こ と が 危 惧 さ れ て い る 。 ま た 、 こ の 結 果 は 同 様 に 文 献 研 究 か ら も 職 員 の 時 間 的 な 負 担 や 事 故 が 起 こ ら な い か と い う 不 安 が 顕 在 し て い る こ と が 示 唆 さ れ て い る (藤 原 ,2012)。 一 方 、 国 外 に お い て は 、 ア メ リ カ で 1986年 に 「 ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン ・ ユ ナ イ テ ッ ド ( 諸 世 代 連 合 )」と い う 世 代 間 交 流 全 国 組 織 の 結 成 (Sally,1987)や 、英 国 を は じ め と す る 北 欧 で の イ ン タ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン・コ ミ ュ ニ テ ィ に 関 す る 活 動 報 告 が あ る (木 林 ,2005)。こ の こ と か ら 、 我 が 国 に お い て も 世 代 間 交 流 に 関 す る 組 織 的 な 研 究 及 び 実 践 活 動 の さ ら な る 進 展 が 急 務 な 課 題 と な っ て い る 。

と こ ろ で 、 エ リ ク ソ ン (Erik Homburger Erikson,1902-1994)( 2001) は 、 精 神 分 析 学 を 提 唱 し た フ ロ イ ト (Sigmund Freud,1856- 1939)の 心 理 ・ 性 的 発 達 段 階 を 基 盤 と し つ つ 、 心 理 ・ 社 会 的 側 面 を 強 調 し 、 人 間 の 一 生 を 人 生 の 周 期 (ラ イ フ サ イ ク ル )と し て 捉 え 、 8 段 階 に 区 分 し た 。 す な わ ち 、 ① 乳 児 期 、 ② 幼 児 期 初 期 、 ③ 遊 戯 期 (幼 児 期 後 期 )、 ④ 学 童 期 、 ⑤ 青 年 期 、 ⑥ 前 成 人 期 、 ⑦ 成 人 期 、 ⑧ 老 年 期 で あ る 。 そ し て 、 彼 は 、 各 発 達 段 階 の 対 立 す

(10)

2 る 課 題 の 心 理 ・ 社 会 的 葛 藤 を い か に 克 服 し て い く か 、 が 人 間 の 人 格 形 成 に 深 く か か わ る と し た 。 乳 児 期 に 関 し て エ リ ク ソ ン (2001)は 言 う 。 乳 児 期 の 支 配 的 な 対 立 命 題 は 「 基 本 的 信 頼 対 基 本 的 不 信 」 で あ り 、 「 基 本 的 信 頼 な し に は 乳 児 は 生 き 延 び る こ と さ え で き な い … … 。 つ ま り 、 現 に 生 き て い る 人 は 、 皆 、 基 本 的 信 頼 を 獲 得 し 、 そ れ に よ っ て あ る 程 度 ま で 希 望 と い う 強 さ を 得 て い る と い う こ と に な る 。 基 本 的 信 頼 は 希 望 の 証 で あ り 、 こ の 世 の 試 練 と 人 生 の 苦 難 か ら 我 々 を 守 る 一 貫 し た 支 え で あ る 」 と 。 幼 児 期 初 期 に 関 し て 、 彼 は 、 「 そ れ は 自 律 性 対 恥 、 疑 惑 … … と い う 危 機 を 有 す る 段 階 で あ り 、 そ の 解 決 か ら 意 志 … … が 現 わ れ て く る 」 と し 、 具 体 的 に 「 子 ど も が 二 歳 ぐ ら い の 頃 、 驚 く ほ ど 意 欲 的 に な り 、 自 分 の 手 で な ん と か ス プ ー ン や 玩 具 を 握 ろ う と し た り 、な ん と か 自 分 の 足 で 立 と う 」と し た り す る 。「 子 ど も の 動 き は 遊 び 的 だ が 、 確 固 と し て 自 足 し て い る 。 彼 ら に は 歩 こ う と す る 強 い 意 志 が あ り 、 ま た 歩 く こ と が で き る こ と を 誇 示 し て い る 。 意 志 が 強 け れ ば 強 い ほ ど 、 歩 こ う と 試 み る 。 … … し か し や は り 限 界 は あ る 。 子 ど も は 、 度 を 越 え て コ ン ト ロ ー ル を 失 う と 、 不 安 定 な 状 態 に 後 戻 り し 、 自 信 を 失 い 、 自 分 の 能 力 に 対 す る 疑 惑 と 恥 の 感 覚 に 襲 わ れ る 」 と 述 べ て い る 。 こ の 時 期 に 子 ど も は 自 ら の 「 身 体 の 主 人 公 」 に な り 始 め 、 排 泄 と 保 持 を 通 し て 自 分 の 活 動 を コ ン ト ロ ー ル で き る 自 律 性 を 獲 得 す る 。 さ ら に 、 遊 戯 期 (幼 児 期 後 期 )は 、 エ リ ク ソ ン に よ る と 、 「 自 主 性 対 罪 悪 感 」 と い う 心 理 ・ 社 会 的 葛 藤 が 訪 れ る 段 階 で あ り 、 自 主 性 は 、 つ ま り 「 目 標 達 成 へ の 執 念 、 征 服 の 喜 び 」 を 指 し て い る 。 こ の 時 期 に 、 子 ど も は 自 ら の 「 心 の 主 人 公 」 に な り 始 め 、 自 分 の 心 に 決 め た こ と を 実 現 す る 自 主 性 が 育 つ 。 第 一 次 性 徴 に 伴 う 性 差 へ の 興 味 や 歩 行 に よ る 活 動 範 囲 の 拡 大 も 、 自 主 性 の 獲 得 に つ な が る 。 母 親 へ の 依 存 と と も に 母 親 か ら の 自 立 へ の 意 欲 が 見 ら れ 、 自 信 を つ け る と と も に 、 昂 揚 感 を 身 に つ け る こ と に よ っ て 外 界 に 積 極 的 に 働 き か け る よ う に な る 。 一 方 、「 老 年 期 に お け る 支 配 的 な 対 立 命 題 及 び 最 後 の 危 機 の テ ー マ 」 は 、 エ リ ク ソ ン に よ れ ば 、「 統 合 対 絶 望 」 で あ る 。 老 年 期 が 「 人 生 行 路 の 最 期 (そ れ が い つ 、 ど の よ う に や っ て 来 る か は 分 か ら な い が )に 示 さ れ て い る の で 、(絶 望 と い う )失 調 要 素 の ほ う が ま ず 頭 に 入 っ て く る が 、 し か し 統 合 は 、 こ の 最 後 の 対 立 命 題 か ら 熟 し て 生 ま れ る と 我 々 が 仮 定 す る 人 間 的 強 さ が 要 請 す る も の と 同 じ も の 、 つ ま り 英 知 … … と い う ひ と つ の 特 質 を 要 請 す る よ う に 思 わ れ る 」 と い う 。 英 知 と は 「 死 そ の も の に 向 き 合 う 中 で の 、 生 そ の も の に 対 す る 聡 明 か つ 超 然 と し た 関 心 」 に ほ か な ら な い 。 こ の 時 期 は 自 ら の 人 生 を 振 り 返 り 、 自 分 が 価 値 あ る 存 在 で あ っ た か 否 か を 考 え る 時 期 で あ り 、 文 化 や 英 知 を 次 の 世 代 へ 伝 承 し て い く と い う

(11)

3

課 題 の 達 成 が 求 め ら れ る 時 期 で も あ る 。 そ れ ゆ え 、 幼 児 と 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 を 通 じ て 相 手 を 理 解 し よ う と す る か か わ り が 、 自 分 自 身 の 発 達 を 促 し 、 ま た お 互 い に 影 響 し 合 い 、 さ ら な る 発 達 へ と つ な が り 、 発 達 課 題 の 達 成 に も つ な が る の で あ る 。

守 屋(2010)は 、 発 達 的 観 点 か ら 、 人 間 に は 「 生 物 的 自 我 (biological self)」、「 社 会 的 自 我 (social self)」、「 時 間 的 自 我 (temporal self)」の 三 つ の 自 我 が あ り 、生 物 的 自 我 と は 自 己 の 生 物 的 側 面 に 関 す る 意 識 内 容 で あ り 、 社 会 的 自 我 と は 自 己 の 社 会 的 側 面 に 関 す る 意 識 内 容 で あ り 、 時 間 的 自 我 と は 自 己 の 過 去 か ら 未 来 へ と 向 か う 時 間 的 側 面 に 関 す る 内 容 で あ る と 述 べ て い る 。 さ ら に 、 自 我 の 三 つ の 側 面 の う ち 、 生 物 的 自 我 は 誕 生 ま も な く の 時 期 か ら す で に 認 め る こ と が で き 、 社 会 的 自 我 も 、 生 後 2 か 月 頃 よ り 目 立 ち 始 め る 対 人 的 な 反 応 ( 他 者 に 対 し て 笑 う な ど ) に そ の 原 始 的 な 表 現 を 認 め る こ と が で き 、 幼 児 期 初 期 の 第 一 反 抗 期 に 明 確 に 認 め ら れ る と す る 。 一 方 、 時 間 的 自 我 は 、 青 年 期 初 期 の 第 二 反 抗 期 か ら 明 確 に 認 め ら れ る よ う に な る と 述 べ 、 人 間 の 独 自 性 と し て 次 の 7 点 を 挙 げ て い る 。 1 . 意 志 未 来 が あ る ( 未 来 を 意 識 し 、 未 来 に 向 か っ て 能 動 的 に 生 き る こ と )。 2 . 遊 び が 生 涯 み ら れ る ( 常 に 本 能 か ら 自 由 で あ る ) 3 . 発 達 が 生 涯 み ら れ る ( 常 に 未 熟 か ら 完 熟 へ の 途 上 に あ る )。 4 . 長 い 老 後 が あ る ( 寿 命 が 圧 倒 的 に 長 い )。 5 . 親 子 の 絆 が 生 涯 続 く 。 6 . 回 想 や 追 憶 に よ っ て 過 去 を 意 味 付 け 直 す こ と が で き る 。 7 . 知 識 を 叡 智 に 変 え て い く こ と が で き る 。 以 上 の 考 察 か ら 、 筆 者 は 世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 を 研 究 す る 意 義 と し て 次 の 四 つ を 挙 げ た い と 思 う 。 一 つ 目 の 意 義 は 、 人 間 に お け る 世 代 の 重 な り に は 、 他 の 動 物 に 見 ら れ る 世 代 の 重 な り と は 異 な る 文 化 を 育 み 、 継 承 し 発 展 さ せ る と い う 特 別 な 意 味 が あ る こ と で あ る 。 二 つ 目 の 意 義 は 、 世 代 間 交 流 を 通 じ て 相 手 を 理 解 し よ う と す る か か わ り が 、 自 分 自 身 の 成 長 ・ 発 達 を 促 し 、 ま た お 互 い に 影 響 し 合 い 、 さ ら な る 発 達 へ と つ な が っ て い く こ と で あ る 。 三 つ 目 の 意 義 と し て は 、幼 児 に 対 す る 幼 児 期 の 発 達 課 題 の 達 成 が 挙 げ ら れ る 。す な わ ち 、 幼 児 期 は 、 歩 行 を は じ め 様 々 な 運 動 能 力 が 著 し く 発 達 し 、 認 知 能 力 が 増 し 生 活 空 間 が 拡 大

(12)

4 す る 時 期 で あ る 。 ま た 自 分 の 体 験 や 自 己 覚 知 を 自 己 概 念 と し て 持 て る よ う に な り 、 自 己 意 識 が 明 確 に な る 。 そ し て 自 己 意 識 が か か わ る 恥 や 罪 、 誇 り な ど の 自 己 意 識 感 情 を 持 つ よ う に も な る 。 こ れ ら が そ の 後 の 児 童 期 で の 意 識 的 で 自 覚 的 な 認 知 の 基 礎 形 成 に つ な が る 。 こ の 時 期 に 高 齢 者 を は じ め と す る 多 世 代 と か か わ る こ と に よ っ て 、 言 語 や 運 動 の み で な く 、 情 緒 の 発 達 が 促 進 さ れ る と 言 え よ う 。 こ こ に 、 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 持 つ 重 要 な 意 義 の 一 つ が あ る の で あ る 。 四 つ 目 の 意 義 と し て は 、 老 年 期 は 人 生 の 最 終 段 階 で あ り 、 そ れ ま で の 人 生 を 意 味 づ け 直 し 統 合 す る 時 期 で あ る の で 、 高 齢 者 に と っ て も 発 達 を 促 す 意 義 が あ る こ と が 挙 げ ら れ る 。 老 年 期 は 、 老 年 期 以 前 を 生 き る 年 代 の 者 に 対 し 望 ま し い 老 年 像 を 示 す こ と が で き る 。 ま た ほ と ん ど 完 結 し て い る ラ イ フ サ イ ク ル に 対 し 英 知 の 感 覚 を 統 合 し て い く 課 題 も あ る 。 こ の 課 題 の 達 成 に 向 け て 、 高 齢 者 に は 、 文 化 や 英 知 を 次 の 世 代 へ 伝 承 し て い く こ と が 求 め ら れ る の で あ る 。 エ リ ク ソ ン(2001

)

が 述 べ て い る よ う に 、 人 生 を 振 り 返 り 、 自 分 が 価 値 あ る 存 在 で あ っ た か 否 か を 考 え る と き 、 文 化 や 英 知 を 次 の 世 代 へ 伝 承 し て い く と い う 課 題 の 達 成 が 求 め ら れ る が 、子 ど も と の 世 代 間 交 流 は 、そ の 課 題 達 成 に つ な が る の で あ る 。こ こ に も 、 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 が 一 つ の 重 要 な 世 代 間 交 流 と 捉 え る こ と が で き る 意 義 が あ る の で あ る 。 少 子 高 齢 化 に あ る 現 在 の 我 が 国 に お い て 、 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 は 、 子 ど も に と っ て は 育 ち を 支 援 し 高 齢 者 へ の ボ ジ テ ィ ブ な 認 識 を も た ら す と と も に 、 将 来 の 社 会 的 活 動 へ の 参 加 を 促 す 原 動 力 に な る 。 ま た 高 齢 者 に と っ て も 今 ま で の 経 験 や 知 識 が 生 か さ れ る こ と に よ り 、 自 尊 感 情 や 有 用 感 も 高 ま る も の と 考 え る 。

Ⅱ 本 論 の 構 成

本 論 は 、 次 の 7 章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 第 1 章 「 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性 」 で は 、 我 が 国 の 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性 を 述 べ る 。 第 2 章 「 世 代 間 交 流 に 関 す る 歴 史 と 近 年 の 動 向 」 で は 、 世 代 間 交 流 を 定 義 し た 上 で 、 文 献 研 究 を 通 し て 、 我 が 国 に お け る 世 代 間 交 流 の 歩 み を 明 ら か に す る と と も に 、 我 が 国 の 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 を 明 確 に す る 。 第 3 章 「 各 世 代 別 に 見 た 世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 」 で は 、 各 世

(13)

5 代 と 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 の 現 状 と 課 題 に つ い て 検 討 す る と と も に 、 世 代 間 交 流 の 中 で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 に 着 目 す る こ と の 意 義 と 必 要 性 を 明 確 に す る 。 こ れ に よ り 、 本 研 究 の 立 場 と 目 的 を 確 認 す る こ と が で き る 。 第 4 章 「 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 実 態 に 関 す る 研 究 」 で は 、 保 育 所(園 ) ・ 幼 稚 園 の 職 員 を 対 象 と し た 世 代 間 交 流 に 対 す る ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 に つ い て 発 達 心 理 学 の 観 点 か ら 考 察 す る 。 こ れ ら を 通 し て 、 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 に は 自 我 が 深 く か か わ っ て お り 、 そ れ ぞ れ の 発 達 課 題 の 達 成 や 自 我 の 発 達 に お い て 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る こ と を 明 ら か に す る 。 第 5 章 「 世 代 間 交 流 を 行 っ て い る 保 育 所 職 員 、 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 へ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 」 で は 、 日 常 的 に 世 代 間 交 流 を 行 っ て い る 施 設 の 保 育 所 職 員 、 高 齢 者 ケ ア 施 設 職 員 へ の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 か ら 具 体 的 な 交 流 内 容 の 実 際 や 職 員 が 考 え て い る 課 題 、 さ ら に 高 齢 者 の 認 知 症 の 症 状 に 対 す る 子 ど も た ち の 反 応 や 交 流 に 当 た っ て 職 員 が 留 意 し て い る こ と な ど を 明 ら か に す る 。 第 6 章 「 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 場 面 の 観 察 」 か ら 、 仲 介 す る 保 育 士 や 施 設 職 員 の 進 行 方 法 な ど の 観 察 を 通 し て 、 よ り 具 体 的 に 幼 児 と 高 齢 者 の 交 流 の 状 況 、 相 互 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、 保 育 士 や 施 設 職 員 の プ ロ グ ラ ム や 進 行 方 法 の 工 夫 な ど を 知 り 、 交 流 の 効 果 や 今 後 の 課 題 を 検 討 す る 。 第 7 章 「 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 望 ま し い あ り 方 」 と し て 、 交 流 を 支 え る コ ー デ ィ ネ ー タ ー の 育 成 、 自 治 体 や 地 域 を 巻 き 込 ん だ 世 代 間 交 流 の 必 要 性 、 学 問 と し て の 分 野 の 構 築 に つ い て 検 討 す る 。 終 章 「 今 後 の 課 題 」 と し て 、 幼 児 と 高 齢 者 ケ ア 施 設 を 利 用 し て い る 高 齢 者 と の 交 流 だ け で な く 、 も っ と 年 代 を 広 げ て 考 え る こ と や 地 域 の 健 康 な 高 齢 者 と 子 ど も の 世 代 間 交 流 に つ い て 考 え る こ と が 残 さ れ て い る 。

(14)

6

第 1 章 少 子 高 齢 化 の 現 状 と 世 代 間 交 流 の 必 要 性

Ⅰ 少 子 高 齢 化 と 世 代 間 交 流

我 が 国 で は 、 世 界 に 類 を 見 な い 速 さ で 少 子 高 齢 化 が 進 み 、 総 務 省 統 計 局 発 表 の 「 人 口 推 計 」(2017)に よ る と 、2017 年 1 月 1 日 現 在 の 総 人 口 は 1 億 2682 万 2 千 人 で 、そ の 内 65 歳 以 上 の 人 口 は 3469 万 9 千 人 で 、 全 人 口 に 占 め る 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 割 合 は 約 27.6% で あ る 。厚 生 労 働 省 が 発 表 し た「 人 口 動 態 統 計 」(2017)に よ れ ば 、2016 年 の 出 生 数 は 97 万 6979 人 で あ り 、 1899 年 に 統 計 を 取 り 始 め て は じ め て 100 万 人 を 割 り 込 ん だ 。 ま た 、 1 人 の 女 性 が 生 涯 に 産 む で あ ろ う と 想 定 さ れ る 子 ど も の 数 で あ る 合 計 特 殊 出 生 率 は 2016 年 に は 1.44 で 、前 年 を 0.01 ポ イ ン ト 下 回 っ た 。こ の 数 値 は 、人 口 を 維 持 で き る 水 準 か ら は ほ ど 遠 く 、 今 後 も 減 少 が 続 く 見 通 し で あ る 。 参 考 と し て 図 1 の 年 齢 区 分 別 将 来 人 口 推 計 と 図 2 の 出 生 数 及 び 死 亡 数 の 将 来 推 計 を 示 し て お こ う 。 図1 年 齢 区 分 別 将 来 人 口 の 推 計 平 成 28年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府

(15)

7 図 2 出 生 数 及 び 死 亡 数 の 将 来 推 計 平 成 28年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府 高 度 経 済 成 長 期 に 産 業 構 造 が 変 化 し た こ と に 伴 い 、 社 会 構 成 の 基 本 単 位 で あ る 家 族 の 関 係 が 大 き く 変 化 し た 。 家 業 が 厳 然 と 存 在 し 、 家 族 全 員 で 営 ん で い た 時 代 で は 、 高 齢 者 は 重 要 な 働 き 手 で あ る と 同 時 に 、家 庭 の 中 で 子 ど も の 養 育 と い う 役 目 を も 担 っ て い た 。し か し 、 昨 今 で は 、親 と 子 、孫 と い っ た 三 世 代 世 帯 が 5.9%と 減 少 し 、夫 婦 と 未 婚 の 子 の み の 世 帯 が 29.5% と 最 も 多 く 、 次 い で 単 独 世 帯 が 26.9% と な っ て い る 一 方 で 、 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の い る 世 帯 は 全 世 帯 の 48.4% で 、高 齢 者 夫 婦 の み の 世 帯 や 高 齢 者 の 独 居 世 帯 が 増 加 し て い る ( 厚 生 労 働 省 ,2016)。 今 日 の 我 が 国 に お い て は 、 高 齢 化 が 急 速 に 進 展 し 、 高 齢 者 の 数 が 増 加 し て い る に も か か わ ら ず 、 都 市 化 や 核 家 族 化 の 進 行 に よ り 、 日 常 の 生 活 に お い て 、 子 ど も た ち が 高 齢 者 と 接 す る 機 会 は 減 少 し て い る 。 こ の た め 、 子 ど も た ち が 、 自 然 に 高 齢 者 と 触 れ 合 う 中 で 、 高 齢 者 に 対 す る 感 謝 と 尊 敬 の 気 持 ち や 思 い や り の 心 を 育 ん だ り 、 高 齢 者 の か か え る 問 題 や 「 老 い 」 や 「 死 」 と い う こ と の 重 さ を 、 身 近 な 問 題 と し て 学 ん だ り す る こ と が で き に く い 状 況 と な っ て い る 。 さ ら に 、 三 世 代 世 帯 の 減 少 に よ っ て 、 子 ど も が 大 人 や 高 齢 者 と の 日 常 的 な か か わ り の 中 で 学 ん で い た 社 会 性 や 風 習 と い っ た 「 英 知 の 学 び 」 が 減 少 し た 。 ま た 少 子 化 に よ る 兄 弟 数 の 減 少 は 異 年 齢 の 子 ど も 同 士 が 遊 ぶ こ と の 減 少 に つ な が っ た 。 そ の 上 、 テ レ ビ や ス マ - ト フ ォ ン 、 ゲ - ム 機 の 普 及 な ど に よ り 屋 外 で 遊 ぶ こ と が 減 少 す る な ど 、 遊 び の 内 容 や 形 態 が

(16)

8 変 化 し た こ と に よ り 、 年 長 者 か ら 年 少 者 へ の 生 活 の 知 恵 の 伝 承 や 仲 間 意 識 に よ る 子 ど も 同 士 の 結 束 な ど の 経 験 が 少 な く な っ た 。 ま た 子 ど も だ け で な く 、 親 世 代 に お い て も 、 女 性 の 社 会 進 出 、 仕 事 の 多 忙 さ 、 個 人 主 義 的 考 え 方 や 家 族 主 義 に よ る 生 活 か ら 、 育 児 不 安 や 子 ど も へ の 過 度 の 干 渉 な ど が 増 大 す る と と も に 、 地 域 に よ っ て は 地 域 力 の 低 下 か ら 子 ど も の 健 全 な 育 ち へ の 支 援 が 少 な く な っ た 。 こ の こ と は 子 ど も の い じ め 問 題 や 非 行 、 犯 罪 な ど に 結 び つ い て い る と 考 え ら れ る 。 高 齢 者 に お い て も 、 図 3 に 見 る よ う に 、 三 世 代 世 帯 の 減 少 や 高 齢 独 居 者 の 増 加 な ど か ら 今 ま で の 経 験 や 判 断 力 を 生 か す 機 会 が 減 少 し 、 反 対 に 生 産 性 の 低 下 や 加 齢 変 化 な ど か ら 、 社 会 で 支 援 ・ 保 護 さ れ る 立 場 と な る こ と が 増 え て い る 。 図 3 65 歳 以 上 の 者 の い る 世 帯 数 及 び 構 成 割 合 と 全 世 帯 に 占 め る 65 歳 以 上 の 者 が い る 世 帯 の 割 合 平 成 28 年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府 地 域 の 老 人 会 、 老 人 福 祉 セ ン タ ー や 老 人 大 学 、 デ イ サ ー ビ ス な ど 高 齢 者 同 士 に よ る か か わ り や 生 活 は 見 ら れ る が 、 孫 や 子 ど も と 触 れ 合 う 時 間 も 機 会 も 減 っ て い る こ と か ら も 、 成

(17)

9 人 や 子 ど も が 高 齢 者 を お 荷 物 の よ う に 考 え 、「 な に も で き な い 」、「 き た な い 」な ど と 決 め つ け る こ と も 多 く な り 、 子 ど も に よ る 浮 浪 者 襲 撃 事 件 や 高 齢 者 に 対 す る 犯 罪 な ど の 問 題 も 起 こ っ て い る 。 こ れ ら の こ と か ら も 幼 児 期 か ら 高 齢 者 に 対 し て 適 切 な 知 識 を 身 に つ け て い く こ と が で き る よ う 、意 図 的 に 高 齢 者 と の 交 流 を 図 っ て い く 必 要 が あ り 、そ れ が 世 代 間 交 流 、 な か で も 幼 児 と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 を 意 図 的 に 行 う 意 義 で あ る と 言 え よ う 。 図 4 は 、 内 閣 府 に よ る 高 齢 者 の グ ル ー プ 活 動 へ の 参 加 状 況 で あ る 。 何 ら か の グ ル ー プ 活 動 に 参 加 し た 人 は 年 々 多 く な っ て お り 、2013 年 で は 61.0% の 人 が グ ル ー プ 活 動 に 参 加 し て い る 。 図 4 高 齢 者 の グ ル ー プ 活 動 へ の 参 加 状 況 平 成 28年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府 図 5 は 高 齢 者 の グ ル ー プ 活 動 に よ る 効 果 で あ る 。「 新 し い 友 人 を 得 る こ と が で き た 」「 生 活 に 充 実 感 が で き た 」 「 健 康 や 体 力 に 自 信 が つ い た 」 「 お 互 い に 助 け 合 う こ と が で き た 」 な ど 、 グ ル ー プ 活 動 を す る こ と に よ っ て 、 身 体 面 に も 社 会 面 で も 効 果 が 見 ら れ て い る 。 ま た 「 地 域 社 会 に 貢 献 で き た 」 と い う 回 答 に あ る よ う に 、 自 分 自 身 の 有 用 感 も 感 じ て い る 。

(18)

10 図 5 高 齢 者 の グ ル ー プ 活 動 参 加 に よ る 効 果 ( 複 数 回 答 ) 平 成 28 年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府 金 森(2012)は 、家 庭 で 高 齢 者 と 接 す る こ と が 少 な く な っ た 子 ど も と 生 き が い を 持 ち 自 立 し た 生 き 方 を 求 め ら れ る よ う に な っ た 高 齢 者 の 互 い の 社 会 的 ニ ー ズ に 対 応 す る こ と が で き る の が 高 齢 者 と 子 ど も の 仲 介 世 代 が 意 図 的 に 行 う 世 代 間 交 流 で あ る と 述 べ て い る 。 し か し 、 こ れ ら の 交 流 は ま だ 少 な く 、 そ の 頻 度 も 年 に 数 回 で あ っ た り 、 非 定 期 的 で あ っ た り す る こ と が 多 い 。1990 年 代 以 降 に は 、 高 齢 者 ケ ア が 施 設 で の ケ ア か ら 在 宅 ケ ア へ 移 行 さ れ 、 ま た 子 育 て 支 援 策 が 打 ち 出 さ れ 、 高 齢 者 施 設 と 、 保 育 所(園 )・ 幼 稚 園 な ど 、 子 ど も の 施 設 と を 合 築 ま た は 併 設 し 統 合 ケ ア を 行 う 傾 向 が 増 し て き た 。 し か し 、 実 施 率 は 半 数 に も 及 ん で い な い 状 況 で あ る 。 こ の よ う な 状 況 に 鑑 み 、本 論 で は 、保 育 所(園 ) ・幼 稚 園 の 幼 児 を 中 心 と し た 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 の 実 際 を 知 り 、 そ の 効 果 並 び に 交 流 を 継 続 す る た め の 課 題 を 検 討 す る こ と を 通 し て 、 世 代 間 交 流 の 意 義 を 発 達 心 理 学 的 な 立 場 か ら 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て い る 。

(19)

11

Ⅱ 我 が 国 の 高 齢 化 と 認 知 症

幼 児 と 子 ど も の 世 代 間 交 流 に お い て 、 交 流 を 困 難 に し て い る 要 因 の 一 つ に 高 齢 者 の 認 知 症 症 状 が 考 え ら れ る 。 ( 1 ) 認 知 症 と は 認 知 症 と は 、 脳 の 器 質 的 病 変 に よ っ て 記 憶 を 中 心 と し た 知 的 機 能 が 徐 々 に 低 下 し 、 日 常 生 活 の 遂 行 の 不 具 合 を 生 じ た 状 態 の こ と で あ り 、成 人 期 以 降 の 発 症 に 対 し て 用 い ら れ る( 北 川 、2010)。症 状 は 認 知 症 の 中 核 を な す 必 須 か つ 永 続 的 な 症 状 で ど の 人 に も 見 ら れ る 中 核 症 状 と BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行 動 ・ 心 理 症 状 ) と 言 わ れ る 症 状 が 見 ら れ る 場 合 が あ る 。 中 核 症 状 と し て は 、 記 憶 障 害 、 見 当 識 障 害 、 失 語 ・ 失 行 ・ 失 認 ・ 実 行 機 能 障 害 な ど が 見 ら れ る 。 ま た BPSD と し て は 、 徘 徊 、 妄 想 、 せ ん 妄 、 不 安 、 焦 燥 、 興 奮 、 攻 撃 、 無 関 心 な ど の 症 状 が 見 ら れ る 場 合 が あ る 。こ の BPSD に よ る 症 状 が 、周 り の 人 た ち に も 不 安 や か か わ り に 難 し さ を 感 じ さ せ る こ と が 多 く 、 子 ど も に と っ て も 慣 れ て い な い と び っ く り し て 、 時 に は 怖 い と 感 じ る 原 因 と も な る 。 保 護 者 も 暴 言 や 暴 力 的 な 行 動 が 子 ど も た ち を 怖 が ら せ た り 、 心 理 的 影 響 を 与 え た り す る の で は な い か と 危 惧 し て 、 高 齢 者 と の 交 流 を 躊 躇 す る 理 由 と な っ て い る 。 2012 年 の 厚 生 労 働 省 の 調 査 に よ る と 、 図 6 に あ る よ う に 、 全 国 の 65 歳 以 上 の 高 齢 者 に つ い て 、認 知 症 有 病 率 推 定 値 15% 、認 知 症 有 病 者 数 約 462 万 人 と 推 計 さ れ る と い う 。ま た 、 全 国 の MCI( 正 常 で も な い 、 認 知 症 で も な い 、 「 正 常 と 認 知 症 の 中 間 状 態 」 の 者 ) の 有 病 率 推 定 値 は 13% 、MCI 有 病 者 数 約 400 万 人 と 推 計 さ れ る 。団 塊 の 世 代 が 75 歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 に な る 2025 年 に は 、 認 知 症 高 齢 者 は 700 万 人 に な る と 推 計 さ れ 、 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 5 人 に 1 人 が 認 知 症 に な る と 推 計 さ れ て い る 。 ( 2 ) 認 知 症 施 策 推 進 5 か 年 計 画 ( オ レ ン ジ プ ラ ン ) 及 び 認 知 症 施 策 推 進 総 合 戦 略 ~ 認 知 症 高 齢 者 等 に や さ し い 地 域 づ く り に 向 け て ~ ( 新 オ レ ン ジ プ ラ ン ) 認 知 症 高 齢 者 数 の 増 加 に 対 し 、 国 の 施 策 と し て 2000年 に 介 護 保 険 制 度 の 制 定 、 2012年 の 認 知 症 施 策 推 進 5 か 年 計 画 ( オ レ ン ジ プ ラ ン ) の 策 定 が 挙 げ ら れ る 。 オ レ ン ジ プ ラ ン は 、 「認 知 症 に な っ て も 本 人 の 意 思 が 尊 重 さ れ 、 で き る 限 り 住 み 慣 れ た

(20)

12 地 域 の よ い 環 境 で 暮 ら し 続 け る こ と が で き る 社 会 」 の 実 現 を 目 指 す も の で あ る ( 厚 生 労 働 省 、2012)。こ の 実 現 の た め 、新 た な 視 点 に 立 脚 し た 施 策 の 導 入 が 積 極 的 に 進 め ら れ 、2012 年 度 か ら 2017年 度 ま で の 5 年 間 の 計 画 と し て 、 必 要 な 医 療 や 介 護 サ ー ビ ス 等 に つ い て 数 値 目 標 を 定 め て 整 備 が 図 ら れ て い る 。 さ ら に 2015年 に は 団 塊 の 世 代 が 75歳 以 上 と な る 2025年 を 目 指 し 、認 知 症 の 人 の 意 思 が 尊 重 さ れ 、で き る 限 り 住 み 慣 れ た 地 域 の よ い 環 境 で 自 分 ら し く 暮 ら し 続 け る こ と が で き る 社 会 を 実 現 す べ く 、 「 認 知 症 施 策 推 進 5 か 年 計 画 」 ( オ レ ン ジ プ ラ ン )( 2012年 9 月 厚 生 労 働 省 公 表 ) を 改 め 、新 た に「 認 知 症 施 策 推 進 総 合 戦 略 ~ 認 知 症 高 齢 者 等 に や さ し い 地 域 づ く り に 向 け て ~ 」 ( 新 オ レ ン ジ プ ラ ン ) を 策 定 し た 。 具 体 的 な 施 策 と し て は 次 の 7項 目 で あ る 。 1 . 標 準 的 な 認 知 症 ケ ア パ ス の 作 成 ・ 普 及 … … 「 認 知 症 ケ ア パ ス 」 ( 状 態 に 応 じ た 適 切 な サ ー ビ ス 提 供 の 流 れ ) の 作 成 ・ 普 及 2 . 早 期 診 断 ・ 早 期 対 応 … … か か り つ け 医 認 知 症 対 応 力 向 上 研 修 の 受 講 者 数 、 認 知 症 サ ポ ー ト 医 養 成 研 修 の 受 講 者 数 、 「 認 知 症 初 期 集 中 支 援 チ ー ム 」 の 設 置 、 早 期 診 断 等 を 担 う 医 療 機 関 の 数 、 「 地 域 ケ ア 会 議 」の 普 及 ・ 定 着 3 . 地 域 で の 生 活 を 支 え る 医 療 サ ー ビ ス の 構 築 … … 「 認 知 症 の 薬 物 治 療 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 」 の 策 定 、 精 神 科 病 院 に 入 院 が 必 要 な 状 態 像 の 明 確 化 、 「 退 院 支 援 ・ 地 域 連 携 ク リ テ ィ カ ル パ ス ( 退 院 に 向 け て の 診 療 計 画 ) 」 の 作 成 4 .地 域 で の 生 活 を 支 え る 介 護 サ ー ビ ス の 構 築 … … 「認 知 症 に な っ て も 本 人 の 意 思 が 尊 重 さ れ 、 で き る 限 り 住 み 慣 れ た 地 域 の よ い 環 境 で 暮 ら し 続 け る こ と が で き る 社 会 」 の 実 現 を 目 指 す 。 こ の 実 現 の た め 、 新 た な 視 点 に 立 脚 し た 施 策 の 導 入 を 積 極 的 に 進 め る 。 2013年 度 か ら 2017年 度 ま で の 5 年 間 の 計 画 と し て 、 必 要 な 医 療 や 介 護 サ ー ビ ス 等 に つ い て 数 値 目 標 を 定 め て 整 備 を 図 る 。 5 . 認 知 症 の 人 を 含 む 高 齢 者 に や さ し い 地 域 づ く り の 推 進 6 . 若 年 性 認 知 症 施 策 の 強 化 … … 若 年 性 認 知 症 支 援 の ハ ン ド ブ ッ ク の 作 成 、 若 年 性 認 知 症 の 人 の 意 見 交 換 会 開 催 な ど の 事 業 実 施 7 . 医 療 ・ 介 護 サ ー ビ ス を 担 う 人 材 の 育 成 … … 「 認 知 症 ラ イ フ サ ポ ー ト モ デ ル 」 ( 認 知 症 ケ ア モ デ ル ) の 策 定 、 認 知 症 介 護 実 践 リ ー ダ ー 研 修 の 受 講 者 数 、 認 知 症 介 護 指 導 者 養 成 研 修 の 受 講 者 数 、 一 般 病 院 勤 務 の 医 療 従 事 者 に 対 す る 認 知 症 対 応 力 向 上 研 修

(21)

13 認 知 症 の 出 現 率 は 年 齢 が 高 く な る に つ れ て 上 昇 す る た め 、 今 後 も さ ら に 増 加 す る と 推 計 さ れ る 。 子 ど も と 高 齢 者 の 世 代 間 交 流 を 考 え る と き 、 認 知 症 症 状 に つ い て の 理 解 や 支 援 を 考 え る 必 要 が あ る で あ ろ う ( 2012年 9 月 厚 生 労 働 省 公 表 新 オ レ ン ジ プ ラ ン ) 。 図 6 65歳 以 上 の 認 知 症 患 者 数 と 有 病 率 の 将 来 推 計 平 成 28 年 度 版 高 齢 者 白 書 ( 全 体 版 ) 内 閣 府

(22)

14

第 2 章 世 代 間 交 流 に 関 す る 歴 史 と 近 年 の 動 向

現 在 の 我 が 国 に お い て 、 世 代 間 交 流 は 、 そ の 必 要 性 は 理 解 さ れ て き て い る 。 し か し 、 世 代 間 交 流 は あ ま り 進 ん で い な い 。 そ こ で 本 章 で は 、 我 が 国 の 世 代 間 交 流 の 歴 史 的 進 展 と 近 年 の 動 向 に つ い て 明 ら か に す る 。

Ⅰ 我 が 国 に お け る 世 代 間 交 流 の 歩 み

今 日 、 世 代 間 交 流 が 様 々 な 場 で 注 目 さ れ 、 そ の 必 要 性 が 叫 ば れ る よ う に な っ て い る が 、 世 代 間 交 流 と は 何 な の か 、 そ の 定 義 を 確 認 し て お こ う 。 す で に 述 べ た よ う に 、 筆 者 は 、 草 野 ( 2004) が 『 イ ン タ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン ― コ ミ ュ ニ テ ィ を 育 て る 世 代 間 交 流 ― 』 に お い て 、 「 世 代 間 交 流 」 を 「 子 ど も 、 青 年 、 中 ・ 高 年 世 代 の 者 が お 互 い に 自 分 た ち の 持 っ て い る 能 力 や 技 術 を 出 し 合 っ て 、 自 分 自 身 の 向 上 と、自 分 の 周 り の 人 々 や 社 会 に 役 立 つ よ う な 健 全 な 地 域 づ く り を 実 践 す る 活 動 で 、 一 人 ひ と り が 活 動 の 主 役 と な る こ と で あ る 」 と 定 義 し て い る の を 受 け て 、 世 代 間 交 流 を 「 子 ど も 、 青 年 、 壮 年 及 び 高 齢 者 と い う 世 代 の 異 な る 人 々 が 相 互 に 交 流 し 、 互 い に 自 分 た ち の 持 っ て い る 能 力 や 知 識 ・ 技 能 を 出 し 合 い 、 自 分 自 身 を 向 上 さ せ る と と も に 、 互 い の 生 活 文 化 や 価 値 観 へ の 理 解 を 深 め 、 か つ 、 自 分 の 周 り の 人 々 や 社 会 に 役 立 つ よ う な 健 全 な 地 域 づ く り を 実 践 す る 活 動 で あ る 」 と 定 義 す る 。 草 野 (2004)に よ れ ば 、 19 世 紀 の 日 本 に お い て 世 代 間 交 流 は 、 ご く 普 通 の こ と で あ り 、 明 治 初 期 に 日 本 を 訪 れ た 欧 米 人 も 、 日 本 で は ど こ へ 行 っ て も 子 ど も の 姿 が 見 ら れ 、 家 族 で 農 作 業 を し た り 、 大 人 が ど こ へ 行 く に も 子 ど も を 連 れ て 行 っ た り と い っ た 光 景 が 見 ら れ た と 感 動 的 に 述 べ て い る と い う 。 も ち ろ ん 、 現 代 の 日 本 に お い て も 子 ど も の 姿 や 子 ど も を 連 れ て い る 大 人 た ち を 見 る こ と は で き る が 、 か つ て の 欧 米 人 た ち が 述 べ て い る ほ ど 印 象 的 な 光 景 で は な い の で は な い か と 考 え ら れ る 。 そ ん な 印 象 を 与 え て い た 日 本 で あ る が 、い つ の 間 に か 日 本 に お い て も 世 代 間 交 流 は 計 画 し て 、 意 図 的 に 行 わ な け れ ば な ら な い も の に な っ て し ま っ た 。 草 野(2004)は 、そ の 世 代 間 交 流 の 歴 史 に つ い て 1960~ 1970 年 代 と 1980 年 ~ 現 代 に 分 け て 述 べ て い る 。

(23)

15 1 1960年 ~ 1970年 代 日 本 で は 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 に 新 憲 法 、 新 民 法 な ど が 制 定 さ れ 、「 家 」 制 度 の 廃 止 、 夫 婦 家 族 制 度 の 導 入 に よ り 社 会 の 価 値 観 や 意 識 が 大 き く 変 化 し た 。1960 年 前 後 か ら 産 業 構 造 の 変 化 に よ り 、 第 一 次 産 業 か ら 第 二 次 産 業 、 第 三 次 産 業 が 急 激 に 増 加 し 、 人 々 は 農 村 か ら 都 市 へ と 移 住 し 、 人 口 の 都 市 集 中 、 地 方 の 過 疎 化 が も た ら さ れ た 。 ま た 三 世 代 家 族 が 減 少 し 、 核 家 族 化 が も た ら さ れ た 。 家 族 形 態 の 変 化 に よ り 家 族 の 機 能 も 変 化 し て 、 家 族 の 教 育 力 の 低 下 が 指 摘 さ れ る よ う に な っ た 。 こ の 時 期 に は 、 日 本 の 伝 統 や 文 化 を 次 世 代 に 伝 承 す る こ と や 高 齢 者 の 社 会 的 孤 立 を 防 ぐ こ と な ど を 主 な 目 的 と し て 、自 然 発 生 的 な 世 代 間 交 流 が 地 方 に も 都 市 部 に も 生 ま れ て き た 。 老 人 ク ラ ブ や 保 育 所(園 )、 子 ど も 会 な ど 、 地 域 を 中 心 と し た 取 り 組 み が 見 ら れ た が 、 そ の 数 は ま だ 少 な い 状 態 で あ っ た 。1970 年 頃 か ら は 学 校 を 中 心 と し た 形 態 の も の も 少 し ず つ 実 践 さ れ て き た 。 こ の 時 期 の 世 代 間 交 流 に は 、 現 在 の 世 代 間 交 流 に 連 な る よ う な 活 動 が 増 え て く る が 、 ま だ 「 世 代 間 交 流 」 と い う 名 称 は 使 わ れ て い な か っ た 。 2 1980年 ~ 現 在 1980 年 代 か ら「 世 代 間 交 流 」と い う 言 葉 が 、家 族 以 外 の 世 代 間 交 流 、地 域 で の 世 代 間 交 流 の 意 味 で 使 わ れ る よ う に な っ た 。 全 日 本 社 会 教 育 連 合 会 の 月 刊 誌 『 社 会 教 育 』 が 1981 年 12 月 号 に お い て 初 め て 「 世 代 間 交 流 と 社 会 教 育 」 と い う 特 集 を 組 み 、 文 部 省 ( 当 時 ) が 1984 年 に 開 始 し た「 高 齢 者 の 生 き が い 促 進 総 合 事 業 」の 一 つ と し て「 世 代 間 交 流 事 業 」 と い う 名 称 が 各 地 で 用 い ら れ る よ う に な る と 、 世 代 間 交 流 は 家 族 以 外 の 世 代 間 交 流 と し て 認 知 さ れ る よ う に な っ た 。 1980 年 こ ろ か ら 、高 度 成 長 期 に 入 り 、都 市 化 、過 疎 化 が 本 格 的 に 進 行 し た 。大 都 市 、首 都 圏 へ の 一 極 集 中 か ら 多 極 分 散 型 の コ ミ ュ ニ テ ィ づ く り が 言 わ れ る よ う に な り 、 家 族 は 、 核 家 族 化 、 単 身 家 族 化 、 個 人 化 傾 向 を 強 め 、 同 時 に 女 性 の 就 業 、 高 学 歴 化 が 進 み 、 子 育 て や 介 護 に 関 連 し た 諸 問 題 が 社 会 問 題 と み な さ れ る よ う に な っ た 。 1990 年 代 以 降 に な る と 、少 子 高 齢 化 は さ ら に 進 行 し 、そ の よ う な 中 で 、高 齢 者 施 設 と 保 育 所 (園 )・ 幼 稚 園 な ど の 子 ど も の 施 設 を 合 築 ・ 併 設 し 、 そ こ で 「 統 合 ケ ア 」 を 行 う と い っ た 試 み も 増 え て い っ た 。 し か し 、 そ れ に よ っ て 各 施 設 に 、 世 代 間 交 流 の 計 画 ・ 実 施 等 を 行 う ス タ ッ フ 、 コ ー デ ィ ネ ー タ ー 等 が 配 置 さ れ て い な い こ と 、 世 代 間 交 流 の 必 要 性 が 十 分 に

(24)

16 認 識 さ れ て い な い こ と が 明 ら か に な っ て い っ た 。1990 年 代 以 後 、高 齢 者 福 祉 施 策 と し て 施 設 か ら 在 宅 重 視 の 施 策 が 打 ち 出 さ れ た 。 ま た 少 子 高 齢 化 へ の 対 策 と し て 、 国 や 地 方 自 治 体 に よ る 子 育 て 支 援 の 方 策 が 打 ち 出 さ れ た 。 1993 年 、総 務 庁 老 人 対 策 室 で は 、同 年 に 行 っ た「 世 代 間 交 流 に 関 す る 調 査 研 究 」の 結 果 を 基 に 、 市 町 村 の 施 策 担 当 者 向 け に 「 高 齢 者 と の 世 代 間 交 流 の 手 引 き 」 を 作 成 し て い る 。 1994年 3 月 、 厚 生 労 働 大 臣 の 私 的 懇 談 会 「 高 齢 社 会 福 祉 ビ ジ ョ ン 懇 談 会 」 が 「 21世 紀 福 祉 ビ ジ ョ ン ~ 少 子 ・ 高 齢 社 会 に 向 け て ~ 」 を 提 言 し 、 そ こ に お い て 、 「 高 齢 者 、 障 害 者 、 子 ど も た ち が と も に 安 心 し て 暮 ら す こ と が で き る ゆ と り と ふ れ 合 い の 住 宅 ・ ま ち づ く り 」 と 併 せ 、 高 齢 者 、 障 害 者 、 子 ど も な ど を 含 め 、 「 地 域 に 住 む 人 々 の 精 神 的 な 絆 を 強 め る よ う な 交 流 の 促 進 、 世 代 間 の 文 化 や 生 活 の 知 恵 ・ 知 識 の 伝 承 が 図 ら れ る 」 よ う な 「 現 代 の 井 戸 端 会 議 」 を 意 識 的 に 現 出 し て い く こ と が 大 切 で あ る と 強 調 さ れ た 。 そ し て 、 そ の よ う な 世 代 間 交 流 の 一 環 と し て 、 学 校 や 福 祉 施 設 、 社 会 教 育 施 設 に お け る 地 域 住 民 と の 交 流 や 、 学 校 と 福 祉 施 設 、 保 育 所 (園 )と 老 人 ホ ー ム の 合 築 ・ 併 設 、 隣 設 や 交 流 を 進 め て い く こ と も 有 益 で あ る と 提 唱 さ れ た 。 1997 年 9 月 の 中 央 教 育 審 議 会 第 二 次 答 申 「 21 世 紀 を 展 望 し た 我 が 国 の 教 育 の 在 り 方 」 は 、 第 5 章 に お い て 「 高 齢 社 会 に 対 応 す る 教 育 の 在 り 方 」 に つ い て 論 じ 、 今 日 、 子 ど も た ち が 日 常 生 活 の 中 で 、 高 齢 者 と 触 れ 合 う 機 会 は 減 少 す る 傾 向 に あ る の で 、 「 今 後 、 幼 稚 園 か ら 高 等 学 校 ま で の 各 学 校 段 階 に お い て 、 子 ど も た ち と 高 齢 者 が 実 際 に 交 流 し 、 触 れ 合 う 体 験 活 動 や 、 子 ど も た ち が 高 齢 者 の 介 護 や 福 祉 に 関 す る ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 を 体 験 す る こ と な ど を 一 層 重 視 し て い く こ と が 必 要 で あ る 」 と 述 べ て い る 。 こ う し た 取 組 を 進 め る に 当 た っ て は 、 学 校 の み で は な く 、 地 域 社 会 や 学 校 外 の 関 係 施 設 と 積 極 的 に 連 携 し て い く こ と が 大 切 で あ り 、 具 体 的 に は 、 介 護 や 福 祉 の 専 門 家 の 協 力 を 求 め た り 、 青 少 年 教 育 施 設 や 公 民 館 等 の 社 会 教 育 施 設 、 高 齢 者 福 祉 施 設 や 青 少 年 団 体 、 社 会 教 育 団 体 、 福 祉 関 係 の 団 体 な ど と 連 携 を 図 っ た り す る こ と を 提 唱 し て い る 。 さ ら に 、 答 申 は 、 具 体 的 な 体 験 活 動 と し て 、 地 域 や 学 校 の 実 態 に 応 じ 、 幼 稚 園 や 小 学 校 の 段 階 に お い て は 、 地 域 の 高 齢 者 を 学 芸 会 や 運 動 会 な ど の 学 校 行 事 な ど に 招 待 し た り 、 高 齢 者 福 祉 施 設 を 訪 問 し 、 高 齢 者 の 豊 か な 体 験 に 基 づ く 話 を 聞 い た り す る な ど 、 高 齢 者 と の 触 れ 合 い を 行 う プ ロ グ ラ ム に 積 極 的 に 取 り 組 む こ と が 大 切 で あ る と 提 言 し 、 幼 稚 園 や 小 学 校 段 階 で 、 実 際 に 介 護 体 験 を 行 う こ と に つ い て は 、 子 ど も の 発 達 段 階 か ら 難 し い 面 も あ る が 、 高 齢 者 福 祉 施 設 な ど を 訪 れ 、 実 際 に 高 齢 者 を 介 護 し て い る 様 子 を 見 た り 、 介 護 の 簡 単

(25)

17 な 手 伝 い を 行 っ た り す る な ど の 工 夫 を し つ つ 、 取 り 組 ん で い く こ と も 考 え ら れ る と 述 べ て い る 。 1998 年 6 月 30 日 の 中 央 教 育 審 議 会 答 申 「 新 し い 時 代 を 拓 く 心 を 育 て る た め に 」 は 、 子 ど も た ち が 創 造 的 で 活 力 に 満 ち た 国 を つ く る 営 み や 地 球 規 模 の 課 題 に 取 り 組 み 、 世 界 の 中 で 信 頼 さ れ る 日 本 人 と し て 育 つ よ う 、 社 会 全 体 で 子 ど も た ち の 「 生 き る 力 」 を 育 む こ と が 大 切 で あ る と し 、 こ の 「 生 き る 力 」 を 育 て る 学 習 活 動 に お い て 「 世 代 間 交 流 活 動 が 担 う 役 割 に は 大 き い も の が あ る 」 と 指 摘 し 、 身 近 な 地 域 の ボ ラ ン テ ィ ア ・ ス ポ ー ツ ・ 文 化 活 動 、 青 少 年 団 体 の 活 動 、 地 域 の 行 事 に 積 極 的 に 参 加 さ せ る こ と を 推 奨 し て い る 。 こ れ ら を 受 け て 、 1998 年 12 月 に 公 示 さ れ 、 2002 年 4 月 に 施 行 さ れ た 小 学 校 学 習 指 導 要 領 に お い て 、 そ の 第 1 章 「 総 則 」 の 第 5「 指 導 計 画 の 作 成 等 に 当 た っ て 配 慮 す べ き 事 項 」 の (11)に 、 「 開 か れ た 学 校 づ く り を 進 め る た め 、 地 域 や 学 校 の 実 態 等 に 応 じ 、 家 庭 や 地 域 の 人 々 の 協 力 を 得 る な ど 家 庭 や 地 域 社 会 と の 連 携 を 深 め る こ と 。ま た 、小 学 校 間 や 幼 稚 園 、 中 学 校 、 盲 学 校 、 聾 学 校 及 び 養 護 学 校 な ど と の 間 の 連 携 や 交 流 を 図 る と と も に 、 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 や 高 齢 者 な ど と の 交 流 の 機 会 を 設 け る こ と 」 が 規 定 さ れ た 。

Ⅱ 世 代 間 交 流 の 近 年 の 動 向

21 世 紀 に 入 っ て も 、我 が 国 に お け る 少 子 ・高 齢 化 は 一 層 進 行 し 、高 齢 者 と 青 少 年 と の 世 代 間 交 流 の 必 要 性 と そ の 意 義 が 強 調 さ れ 、 か つ 、 国 及 び 地 方 公 共 団 体 を 挙 げ て 様 々 な 施 策 が 講 じ ら れ て い る に も か か わ ら ず 、 各 種 調 査 を 総 合 す る と 、 高 齢 者 は 、 と り わ け 若 年 層 と の 交 流 機 会 が 少 な い 状 況 に あ る 上 、 少 子 化 に よ る 若 年 層 の 減 少 は こ れ を さ ら に 推 し 進 め る で あ ろ う と 予 想 さ れ る 。 保 育 所 に お け る 地 域 に 向 け た 取 り 組 み は 、 1987年 の 「 保 育 所 機 能 強 化 費 」 の 予 算 措 置 に 始 ま り 、 1989年 に は 、 「 保 育 所 地 域 活 動 事 業 」 が 創 設 さ れ る 。 さ ら に 、 1994年 の エ ン ゼ ル プ ラ ン 策 定 以 降 、 保 育 所 に は 、 地 域 に 存 在 す る 最 も 身 近 な 児 童 福 祉 施 設 と し て 、 地 域 の 子 育 て 支 援 の 役 割 が よ り 積 極 的 に 求 め ら れ る よ う に な っ た 。 渡 辺 (2004)も 言 う よ う に 、 厚 生 省 は 、 1987年 か ら 、 保 育 所 措 置 費 の 中 に 保 育 所 機 能 強 化 推 進 費 加 算 項 目 を 作 っ て 、 延 長 保 育 、 地 域 の 実 状 に 応 じ た 特 別 の 保 育 科 目 ( 老 人 福 祉 施 設 訪 問 等 世 代 間 交 流 事 業 、 地 域 の 異 年 齢 児 と の 交 流 事 業 、 入 所 児 童 の 保 護 者 へ の 育 児 講 座 、 郷 土 文 化 伝 承 活 動 ) を 設 定 す る な ど の 保 育 所 機 能 の 強 化 推 進 を 図 る た め の 経 費 に つ い て 加 算 す る よ う に な っ た 。こ れ は 、1989

(26)

18 年 度 か ら は 「 保 育 所 地 域 活 動 事 業 」 に 組 み 込 ま れ 、 補 助 金 に 切 り 換 え ら れ た 。 保 育 所 に お け る 地 域 活 動 事 業 は 、 保 育 所 が 地 域 に 開 か れ た 児 童 福 祉 施 設 と し て 、 日 常 の 保 育 を 通 じ て 蓄 積 さ れ た 子 育 て の 知 識 、 経 験 、 技 術 を 活 用 し 、 ま た 保 育 所 の 場 を 活 用 し て 、 子 ど も の 健 全 育 成 及 び 子 育 て 家 庭 の 支 援 を 図 る も の で あ る 。 こ の た め 、 保 育 所 は 、 通 常 業 務 に 支 障 を 及 ぼ さ な い よ う 配 慮 を 行 い つ つ 、 積 極 的 に 地 域 活 動 に 取 り 組 む よ う に 努 め る 。 保 育 所 地 域 活 動 は 、 市 町 村 の 保 育 担 当 部 局 や 他 の 保 育 所 な ど 関 係 施 設 や 機 関 と も 密 接 な 連 携 を と り つ つ 、 多 様 化 す る 保 育 需 要 へ の 対 応 、 地 域 に 開 か れ た 保 育 所 と し て 専 門 機 能 を 地 域 に 生 か す こ と を 趣 旨 と し て 、 12項 目 の 事 業 の 中 に 「 世 代 間 交 流 」 も 含 め ら れ 、 老 人 福 祉 施 設 ・ 介 護 老 人 保 健 施 設 等 を 訪 問 し た り 、施 設 や 地 域 の お 年 寄 り を 招 待 し た り し て 、劇 、季 節 的 行 事 、 玩 具 製 作 、 伝 承 遊 び 等 を 通 じ て 世 代 間 の 触 れ 合 い 活 動 が 行 わ れ て い る 。 1998年 12月 に 改 訂 さ れ 、 2000年 度 よ り 施 行 さ れ た 『 保 育 所 保 育 指 針 』 や 『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 で は 、 幼 児 の 生 活 は 、 家 庭 を 基 盤 と し て 地 域 社 会 を 通 じ て 次 第 に 広 が り を も つ も の で あ る こ と に 留 意 し 、 家 庭 と の 連 携 を 十 分 に 図 る な ど 、 幼 稚 園 や 保 育 所 に お け る 生 活 が 家 庭 や 地 域 社 会 と 連 続 性 を 保 ち つ つ 展 開 さ れ る よ う に す る こ と 、 そ の 際 、 地 域 の 自 然 、 人 材 、 行 事 や 公 共 施 設 な ど を 積 極 的 に 活 用 し 、 幼 児 が 豊 か な 生 活 体 験 を 得 ら れ る よ う に 工 夫 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。 そ し て 、 『 保 育 所 保 育 指 針 』 に は 、 「 幼 児 の 生 活 と 関 係 の 深 い 人 々 と 触 れ 合 い 、 自 分 の 感 情 や 意 志 を 表 現 し な が ら 共 に 楽 し み 、 共 感 し 合 う 体 験 を 通 し て 、 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど に 親 し み を も ち 、 人 と か か わ る こ と の 楽 し さ や 人 の 役 に 立 つ 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ う に す る こ と 」 が 規 定 さ れ て い る し 、 『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 に も 、 「 人 間 関 係 」 に お い て 「 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど 自 分 の 生 活 に 関 係 の 深 い い ろ い ろ な 人 に 親 し み を も つ 」 と い う 内 容 が 規 定 さ れ 、 そ の 取 扱 い と し て 、 「 幼 児 の 生 活 と 関 係 の 深 い 人 々 と 触 れ 合 い 、 自 分 の 感 情 や 意 志 を 表 現 し な が ら 共 に 楽 し み 、 共 感 し 合 う 体 験 を 通 し て 、 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど に 親 し み を も ち 、 人 と か か わ る こ と の 楽 し さ や 人 の 役 に 立 つ 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ う に す る こ と 」 が 挙 げ ら れ て い る 。 な お 、2008年 3 月 に 改 訂 さ れ 、2009年 4 月 よ り 施 行 さ れ た 現 行 の『 保 育 所 保 育 指 針 』『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 に お い て も 、 ほ ぼ 同 様 の 趣 旨 の こ と が 規 定 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 幼 児 の 生 活 は 、家 庭 を 基 盤 と し て 地 域 社 会 を 通 じ て 次 第 に 広 が り を も つ も の で あ る こ と に 留 意 し 、 家 庭 と の 連 携 を 十 分 に 図 る な ど 、 幼 稚 園 や 保 育 所 に お け る 生 活 が 家 庭 や 地 域 社 会 と 連 続 性 を 保 ち つ つ 展 開 さ れ る よ う に す る こ と 、 そ の 際 、 地 域 の 自 然 、 人 材 、 行 事 や 公 共 施 設 な ど の 地 域 の 資 源 を 積 極 的 に 活 用 し 、 幼 児 が 豊 か な 生 活 体 験 を 得 ら れ る よ う に 工 夫 す る こ と と

(27)

19 さ れ て い る 。 ま た 、 「 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど の 自 分 の 生 活 に 関 係 の 深 い い ろ い ろ な 人 に 親 し み を も つ 」 と い う 内 容 が 規 定 さ れ 、 そ の 取 扱 い と し て 、 『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 で は 、「 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど の 自 分 の 生 活 に 関 係 の 深 い い ろ い ろ な 人 と 触 れ 合 い 、 自 分 の 感 情 や 意 志 を 表 現 し な が ら 共 に 楽 し み 、 共 感 し 合 う 体 験 を 通 し て 、 こ れ ら の 人 々 な ど に 親 し み を も ち , 人 と か か わ る こ と の 楽 し さ や 人 の 役 に 立 つ 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ う に す る こ と 」 が 挙 げ ら れ て い る 。 さ ら に 、 2017年 3 月 に 改 訂 さ れ 、 2018年 4 月 よ り 施 行 さ れ る 『 保 育 所 保 育 指 針 』 『 幼 保 連 携 型 認 定 こ ど も 園 教 育 ・ 保 育 要 領 』 『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 に お い て も 、 ほ ぼ 同 様 の 趣 旨 の こ と が 規 定 さ れ て い る が 、 こ れ ま で 、 例 え ば 、 『 幼 稚 園 教 育 要 領 』 で 「 幼 児 の 生 活 は 、 家 庭 を 基 盤 と し て 地 域 社 会 を 通 じ て 次 第 に 広 が り を も つ も の で あ る こ と に 留 意 し 、 家 庭 と の 連 携 を 十 分 に 図 る な ど 、 幼 稚 園 に お け る 生 活 が 家 庭 や 地 域 社 会 と 連 続 性 を 保 ち つ つ 展 開 さ れ る よ う に す る こ と 、 そ の 際 、 地 域 の 自 然 、 人 材 、 行 事 や 公 共 施 設 な ど の 地 域 の 資 源 を 積 極 的 に 活 用 し 、 幼 児 が 豊 か な 生 活 体 験 を 得 ら れ る よ う に 工 夫 す る も の と す る 」 と さ れ て い た も の が 、 「 地 域 の 自 然 、 人 材 」 に 新 た に 「 地 域 の 自 然 、 高 齢 者 や 異 年 齢 の 子 供 な ど を 含 む 人 材 」と「 高 齢 者 」が「 異 年 齢 の 子 供 」と 共 に 書 き 加 え ら れ て い る こ と が 注 目 に 値 す る 。 そ し て 、 こ れ ま で と 同 様 、 「 高 齢 者 を は じ め 地 域 の 人 々 な ど の 自 分 の 生 活 に 関 係 の 深 い い ろ い ろ な 人 と 触 れ 合 い 、 自 分 の 感 情 や 意 志 を 表 現 し な が ら 共 に 楽 し み 、 共 感 し 合 う 体 験 を 通 し て 、 こ れ ら の 人 々 な ど に 親 し み を も ち , 人 と か か わ る こ と の 楽 し さ や 人 の 役 に 立 つ 喜 び を 味 わ う こ と が で き る よ う に す る こ と 」 も 挙 げ ら れ て い る 。 こ の よ う に 、 高 齢 化 ・ 長 寿 化 が 進 む 中 で 、 保 育 所 や 幼 保 連 携 型 認 定 こ ど も 園 、 幼 稚 園 の 段 階 か ら 高 等 学 校 ま で の 各 学 校 段 階 に お い て 、 子 ど も た ち 自 身 が 高 齢 者 と な っ た と き に 生 き 生 き と 充 実 し た 生 活 を 送 る こ と が で き る よ う な 基 礎 を 培 う こ と が 極 め て 重 要 で あ る こ と が 繰 り 返 し 強 調 さ れ る よ う に な っ て き て い る 。 同 時 に 、 子 ど も た ち の 発 達 段 階 に 応 じ 、 子 ど も た ち が 、 高 齢 社 会 は ど の よ う な 社 会 で あ り 、 今 後 、 ど の よ う な 問 題 が 生 じ る か な ど と い っ た 、 高 齢 社 会 に つ い て の 基 礎 的 な 理 解 を 深 め 、 介 護 や 福 祉 の 問 題 な ど の 高 齢 社 会 の 課 題 に つ い て 考 え を 深 め て い く こ と も 重 要 で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。 も ち ろ ん 、 高 齢 者 と 触 れ 合 う 体 験 活 動 を 行 う に 当 た っ て 留 意 す べ き こ と が あ る こ と も 事 実 で あ る 。 ま ず 、 何 よ り も 、 子 ど も た ち と 高 齢 者 が 対 話 を 通 じ て 、 「 心 の 交 流 」 を す る こ と が 重 要 で あ る 。 今 日 で も 、 様 々 な 交 流 が 試 み ら れ て い る が 、 や や も す れ ば 、 子 ど も た ち が 高 齢 者

参照

関連したドキュメント

高齢者介護、家族介護に深く関連する医療制度に着目した。 1980 年代から 1990

et

[文献] Ballarino, Gabriele and Fabrizio Bernardi, 2016, “The Intergenerational Transmission of Inequality and Education in Fourteen Countries: A Comparison,” Fabrizio Bernardi

Using an “energy approach” introduced by Bronsard and Kohn [11] to study slow motion for Allen-Cahn equation and improved by Grant [25] in the study of Cahn-Morral systems, we

“Breuil-M´ezard conjecture and modularity lifting for potentially semistable deformations after

In Section 2, we establish conditions under which (1.2) is well-posed using stable families of generators of semigroups and Kato’s stability conditions [8, 11]; our work also

Examples of directly refinable modules are semisimple modules, hollow modules [1], dual continuous modules [2], and strongly supplemented modules [6].. In [B, lroposition

((.; ders, Meinungsverschiedenheiten zwischen minderjähriger Mutter und Vormund, JAmt