職種を越えたキャリア開発支援と 多元的ケアへの取り組み
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(2) ケア 専門職. ケア 専門職 賛同者. マギーズ 東京. ボラン ティア. 賛同者. 建築家. 用地 確保. ボラン ティア. 資金 調達. 広報. 建築家. マギーズ 東京. 資金 調達. 広報. 渉外. 用地 確保. 渉外. 図1 マギーズ東京プロジェクト初期の多職種チーム. 図2 マギーズ東京プロジェクト成熟期の多職種連携チー ム. をするのではなく,柔軟におのおのの強みを生かして協. 相談とは異なり,がん体験者自らが力を取り戻すための. 調する力をもつことが肝要と感じている.専門看護師・. 居場所とヒューマンサポートを提供することを目指して. 認定看護師は互いの活動を共有したり,評価するために. いる.. 定期的に一堂に会し,活動を振り返ったり,成果を示す. 発起人である訪問看護師とがん体験者がマギーズ東京. 指標を検討したり,課題について話し合ったりしている.. プロジェクトを立ち上げ,近隣の施設でがん看護に携. 個々の看護師が自身の能力向上に努め,力を発揮でき. わっている,趣旨に賛同したがん看護専門看護師・起業. るよう看護師としてのキャリアをつないでいくために. 家・建築家・市民たちが協働しており,まさに多元的ケ. は,教育プログラムの充実や外部研修の受講・専門分野. アといえるであろう.多元的ケアをつくっていくプロセ. の資格取得・進学・留学などを支援することも必要だが,. スとして,最初はこのようなケアセンターをつくりたい. その一方で,個々人のキャリアデザインに拠るところが. と願う,さまざまなバックグランドの人たちが集まって. 大きいと思われる.. きて,みな本業をもちつつ,それぞれの専門性を生かし. 進む方向に不安や迷いを感じるようなときに立ち止. て役割分担しながら随時連携し,補完し合う,図1のよ. まって,自分の強みはなにか,どんなことで力を発揮し. うなイメージであったと思う.. たいと望んでいるか,自分の存在価値はどこにあるかを. そして,グランドオープンの日が近づき,準備に拍車. 問いかけ,視野を広げて社会の動向に触れる機会をつく. がかかるなかで参加者が痛感していたのは,異なった職. ることが必要であると感じている.教育センターでは新. 種や立場の人たちと協働するためには,それぞれのモノ. たに中堅看護師のためのワークショップを開催し,自身. の見方や感じ方,信念や価値観を知り,それを理解した. のキャリアデザインを見直す場を設けている.チャレン. うえで合意を得るプロセスが大切であり,互いの密なコ. ジ意欲をさらに刺激するようなロールモデルを見つけら. ミュニケーションが鍵となることであった.図2に示す. れることを期待したい.. ように,役割分担後の共有,つまり職種間の輪,つなが りが不可欠と感じた.. Ⅱ.多元的ケアへの取り組み. マギーズセンターが最も大切にしている看護師や心理 士等専門職によるヒューマンサポートとは,訪れた人を. 筆者が考える多元的ケアの一例として,われわれがん. 温かく迎え入れること,その人がなにを求めているかを. 看護専門看護師がそれぞれの所属施設内ではなく,地域. 察知すること,その人にとって必要なケアを提供するこ. において多職種と共に行っている,新たな取り組みの実. と,その人がエンパワメントされて自分で歩んで行ける. 際について紹介する.これは,イギリスで広がっている. ように導くことである.あくまで訪れた人が主体なの. Maggie’s Cancer Caring Centre(以下,マギーズセン. で,人によってはリラックスでき,癒される空間を求め. ター)という,がん体験者やその家族・友人が,とまど. ていることもある.. い,孤独なとき,気軽に訪れることができる第二のわが. このようなヒューマンサポートを実現するためにス. 家のような場所を,日本の東京に開設するためのプロ. タッフに求められる能力は,業務遂行・問題可決志向で. ジェクト活動である.これまでの病院主体の患者教育・. はなく,情緒面に理解があること,訪れた人の自律を促. − 30 −.
(3) 聖路加看護学会誌 Vol.20 No.2 January 2017 すことができる(なにかをしてあげようとすることや, 答えを与えるのではない) ,医療者はすべてのエキス. コミュニティ. パートではないことを自覚していっしょに考えることが. マギーズ センター. できる,穏やかで落ち着きがあり笑みを絶やさない, ペースの調節ができる(病院とはペースが異なることを 意識する),つまり,これまで病院という機能のなかで 行ってきた合目的的なケアとの違いを認識し,意識変. 自宅. 革・行動変容が必要となる.. 連携 役割分担 相互補完 信頼. 医療施設. そしてこのような新たなケアに挑戦するには,新たな 視点での教育と学習が必要となり,マギーズセンターに. 図3 新しいケアのかたち. かかわるスタッフはすべて所定の研修を受けることを条 件としている.研修内容としては,その人らしさを知る ために聴く力を磨くことや,言葉にならないものを察知. できる.さまざまな立場でマギーズセンターにかかわる. することを目的とした,体験学習やワークショップを実. 人々,ボランティアを志願する人々,近隣の医療施設の. 施している.筆者自身もこの研修に参加し,これまでに. 人々,地域の人々の理解を促し,共に作り上げていくと. はない体験をしてみて,五感を研ぎ澄ますワークに新鮮. いう一体感をもてるような絆づくりにも力を入れていき. さを覚え,多くの気づきを得ることができた.. たいと思っている.. マギーズセンターが目指しているサポーティブケア は,これまで必要と感じつつも医療施設内ではなかなか できない,新しいケアのかたちへの挑戦だと感じてい る.図3に示すように,コミュニティのなかで,そこの 風土や特徴を踏まえつつ,医療施設と相互補完的に役割 分担しながら互いの信頼のもとに良好な連携ができれ. 参考文献 井部俊子,中西睦子(監) ,手島 恵(編) (2015) :看護にお. ける人的資源活用論 .日本看護協会,東京. 細矢美紀(2016) :マギーズ東京プロジェクトについて一緒に 考えてみませんか?.がん看護 ,21(6) :651−653.. ば,がん体験者に対するケアの幅がさらに広がると期待. − 31 −.
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