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配給組織の発展傾向 : 小売業のそれを中心として

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Academic year: 2021

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配給組織の発展傾向

    一小売業のそれを中心として一

       は  し  が  き  私は、本誌三十四号において、小売組織の発展傾向を、集中及び分散の発展過程として把握し、先づ小売業の端初的形 態である行商を、単純分散形態とみ、次の毅階の萬屋を単純集中形態と解し、その対立としての専門店を、分化形態とし て把握し、萬屋及び専門店の自己矛盾の統一としての百貨店を組織的集中形態と規定したが、更に本稿においては、百貨 店の次の段階に出現し、百貨店に対抗して競争上優位を占める連鎖店を、小売配給上の組織的再分散形態と解し、最後に 最近アメリカにおいて、特に注目をひきつつあるスーパー・マーケットを、組織的再集申形態として観察しようとするも のである。

      一組織的分散形態

 ここに連鎖店︵雷融β幹。邑とは﹃同一管理及び統制の下に立ち、且つ中央部の定めたる共通の政策及び営業方針を遵         奉し、共通の経営法を採用する数多の単位商店︵d諄望。塞︶より成立する﹄大規模小売業である。等しく大経営であるが 百貨店が集中的大経営であるのに対して、連鎖店は分散的大経営の小売形態である。小売経営において、百貨店の集中経 営と骨壷的に、分散経営の形態を採らしめた機動力は何か。それは消費の分散性で、対消費者商業の不可避な、且つ最も 理想的な形態は、常に消費者に追随して経営されねばならないという、最も単純にして基本的な理論によるものである。

     配給組織の発展傾向       一

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    ・醗給組織の発展傾向      

二 百貨店のもつ集中経営からくる自己矛盾を克服せんとして、一.方においては大規模経営による利益を確保しつつ、他方そ の手を消費者の門戸に伸し、店舗の位置については、住宅地にある﹂般小売商の与えると同一の利便を与えんとするとこ ろに、小売業の祉会的機能からみるも連鎖店は百貨店より、更に一歩前進せる小売形態といいうる。  その経済的特徴は  8 分散せる多数の単位店舗の存在−一社会経済的には、消費の分散性に対応するためには、多数の且つ地域的に分散 せる店舗を所有することの必要と、企業経営的には、小売業においては、一地域における一店舗えの集中形態には限界が あり、牧益を最大たらしめるには、複数の店舗の増大に依存せなければならないという、両者の要求を投合せしめたもの である。百貨店のもつ自己矛盾の一つは、右の方法で解決せられた。  目 取扱商品の専門化  これは三つの方面に現われる。ωは取扱商品種類の専門化、②反覆需要のある商品に専門化 ③最大多数の欲する商晶に専門化が行われる。このことは商品が当然最寄品の性質をもつことを意味する。百貨店が多種    ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ       ヘ  ヘ  ヘ  へ ふ へ 商品11多品種少量に対して、連鎖店は限定された商品11少品種多量による小売業であって、いはば我国における中小工業 の多品種少量生産に対して、大工業の少品種多量生産にも通ずるものがあり、ナイストロ教授は、これを小売配給におけ         るフォード式経営法とも見なしている。  ⇔ 統一的な指揮管理と資本基礎一大企業においては、多数の雇傭従業員を必要とするが、連鎖店においては多数の 従業員が各単位店舗に分散し経営に当る。これを能率的に統制するためには、中央部に有能な専門家を置き、凡ての経営 を標準化︵ω露巳胃爵豊8︶する。 商晶陳列法、店内設備、従業員の訓練、店内サーヴィス等凡て標準化することにより、 中央の指揮、管理が容易に且つ完全に行われる。大資本の基礎は高価なる経営費及びこれ等専門家に支払われる高給は、         これ等利益のあるものを相殺する傾向があるが、多数所属店舗に分配されることによって低減する。−

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 ⑭ サーヴィスの単純化一1掛売及び無料配達等のサーヴィスを排除して、これを小売価格引下に転嫁する主義も、連 鎖店の一特質である。現金持帰り、サーヴィス廃止等、制限されたサーヴィスより生ずる経済は、経営費を節約し、小売 価格を低廉にして、消費者大衆にアピールすることとなる。集中的大経営である百貨店が、消費者を集中せしめるために は、絶えず各種のサーヴィスを提供することを不可欠の手段たらしめ、経営費の増大に自己を苦しめる矛盾を、連鎖店は       ヘ  ヘ   ヘ  ヘ サーヴィスを払いのけて、売買純化に向うことによって解決せんとした。  国 大量購入−機械生産は大量生産であり、標準化・規格化された商品であるが、この種の商品の売捌機関の出現は 生産者の要求であり、この種の販売機関に生産者が特典を与えることは自明の理である。百貨店がどちらかと云えば手工 業的製品一少量生産を販売するに対し、連鎖店が標準化せる機械製品巨大量生産を取扱うところに、連鎖店は百貨店に比 して、生産者と結び付いているところに、小売配給機関としての新しい性格を見出し得る。そして、そのことは商人排除 を一段とおしすすめ、配給過程の短縮化乃至単純化を齎すものといえる。  因 企業上の危険分散  企業経営の危険を分散することは絶えず企図されているところであるが、連鎖店は多数の所 属店舗を分散せしめることによって、これを実現している。  ところで、アメリカにおいては、一九二〇年以降は、百貨店時代に代位して、連鎖店時代と称せられる程、連鎖店の小 売業界に占める地位は優勢である。百貨店が寧ろ産業資本主義の段階における産物とすれば、連鎖店は独占資本主義の段 階における独占的小売業の典形的なものである。即ち独占資本主義段階において、巨大な生産資本から吐き出す膨大な商 品群の壷口︵○鼻§︶として発生し、発展したものであるが、しかし同時にこの段階における消費様式の変化もその発展を 助長したことは確実である。即ち消費過程にも分化を生じ、買物と娯楽の分化は、商店をして娯楽・慰安のサーヴィスを 不必要ならしめ、小家族主義はアパート式生活を標準的なものとして、大きな設備晶より手頃な商品に向わしめ、定攻入

     配給組織の発展傾向      

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     配給組織の発展傾向       暗

者の増加は当座買︵団嘗㍗8−暑暮葛ξ冒σq︶、現金買の傾向を発展せしめた。連鎖店の急速な発展が、アメリカでは一九二〇 1一九三〇年の物価謄貴時代にあることに顧みても、人戸が家計の経済を図るため、出来るだけ安く買物を済せる必要に 迫られたこと、自動車の発達が安い商店に容易に消費者を引付けたこと等、消費過程からの刺激が連鎖店たる新形態の小 売配給機関を発達せしめたことは、十分首肯できることである。  しかし連鎖店にもその経営上困難な諸問題が随伴し、連鎖店のもつ自己矛盾が露呈されている。  ω 非弾力性一連鎖店制度は、これを常に成功的に経営するには、標準化方法を必要とするが、これは屡汝特殊な地 方的必要に投合するに、弾力性を欠ぐこととなる。標準化は連鎖店のもつ最も大きな強味であるが、標準化は右の点にお いて連鎖店経営に対する一つの矛盾であるといえる。  ② 使用人の問題i大規模・分散形態から来る困難で、多数の使用人を、分散的な形の下において、如何にその入事 上の刺激を保持して、能率を上げさせるかということは、連鎖店の大きな悩みである。且つ合理化、標準化経営をおしす すめる程、労働の機械化、労働の節約を齎して、従業員の出機と能率の低下を招来するおそれがある。  ③ 連鎖店反対遮動  連鎖店が強力な中央の統制の下に、無数の店舗を地方にもっことは、ωその地方の既存小売業 者の反対があり、回購買力を中央に吸上げられるものとして地方団体の反対があり、㈲連鎖店の進出は当該地方の農産物 の価格を下落させる傾向があるとの理由で協同団体からの反対があり、目連鎖店が地方の公共運動に加入せず、又その地 方の利益の開発に参加せないことに対する不断の不平があり、困労働組合からは、連鎖店を目して失業を増加し、その他 の方面の労働者を増大する一因であると抗議する。  ㈲ 営業費の上昇・1最後に連鎖店の営業費が相互競争の結果上昇の傾向にあるという事実である。営業費の上昇を防 止する方法として、連鎖店を合併、合同することにより、益々大規模化の方向に向はしめることになりつつあるが、この

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問題は連鎖店の経済的長所を消滅せしめるものとして注目すべきことで、 ﹃連鎖店経営は、その将来の営業費が減少する よりも寧ろ上昇することは、可成り確実である。かくて連鎖店が現在旧式の商品配給制度に勝って有する一切の営業費上       ④ の利点は、もしこれを適当に防衛するに非ざれば、将来の競争的闘争にて皆無に帰するおそれがある。﹄ と説くナイスト ロ教授の主張には連鎖店の将来に対する多分の示唆が含まれている。

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9霧ぎ国・国・。b・騨鼻・、緒方清・緒方豊喜共訳 Z望。。窪。目噂国国’o℃●9ひ・噸P紹. 客蟹ω茸。目噛℃.国.o℃●o霊。やn①N。 Z場貯。目讐旧●、国●ε●。罫魍℃●P①c。. 売買組織論 三〇五頁

      二組織的再集申形態

      ヘ  ヘ       ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  へ  商品の小売大量配給過程において、百貨店の﹃集中﹄そのものに内包する矛盾を、 ﹃組織的分散﹄の方法で克服せんと       ヘ  へ したものが連鎖店であるとの観方が成立するならば、蓮鎖店の﹃分散﹄からくる経済的困難と不利とを解決せんとした新       ヘ   ヘ   ヘ   ヘ   ヘ   ヘ   ヘ   へ 形態のスーパー・マークットを、小売商業の﹃組織的再集中形態﹄とみて差支えないであろう。  スーパー.マークット︵。Q巷霞富胃ざけ。Q琶Φ︶とは﹃主として食料雑貨︵o§巴①㎝︶の廉売を目的とする綜合商品の大規模        小売経営施設﹄であると定義されているが、論者の中にはスーパー・マーケットの提供するの。罵あ心門8乃至○器ヂき㍗        ② 。胃qなるサーヴィス方法に着目して、これをスーパー・マークットの本質的特徴と見徹すものもある。  スーパー・マークットの本質は、それではどこに求め得られるのであろうか。  黒山に指摘できることは、大規模経営という点である。この点は百貨店、連鎖店共に等しく大規模経営ではあるが、百 貨店の物的大経営、連鎖店の資本的大経営に比すれば、スーパー・マークットは物的には百貨店の大経営のもつ弱点を排

     配給組織の発展傾向      

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     配給組織の発展傾向、       六

除し、資本的には連鎖店の多数店舗所有からくる短所を揚棄して、寧ろ物的、資本的には中規模経営ともいうべきである が、しかし一般の小売商業に比すれば、大規模経営であることは否定できない。 スーパー・マークット協会︵目①ω暮葭 冨舘竃二塁蜂暮。︶でも、 ﹃スーパー・マークットは、最低営業面積五千平方沢、 ︸ク年販売高二十五万ドル以上﹄の商店と         定義しているのをみても、スーパー・マークットの大規模性が理解できる。  第二は、廉価主義である。スーパー・マーケソトでは凡て高度に専門化し、標準化し、定型化した商品を部門制度の経 営により行うものであるが、何れもωΦ需あ補薬8或は○霧7弩早。鷺曙システムを世用し、極度にサーヴィスを排除して 経営費の低下を図り、これを販売商品の価格に転嫁することにより、廉価販売を企図とするところに大ぎな特徴を見出し うる。百貨店の物的集中大経営から必然的に生ずる過剰組織化の欠点を除去し、連鎖店の分散的大経営による広汎なる地 域性から生起する困難を回避すると同時に、百貨店、連鎖店のもつ部門制、標準化、合理化の方法を両者から摂取するこ とにより、配給費を最少化しめるところに、より新しい小売配給形態と称しうる。          その第三は食料晶中心の小売市揚たる点にある。尤も上林正規教授は℃菖暮。屡H島の所説を紹介して、販売商品の部 門的形態として三種の市場類型に分ち、ω高度に部門化された各種の綜合食料品市揚︵弓冨○舞嘉さ8旨露影け冨・隔89轟昆3 回各種食料品部門に加うるに、喫茶及食堂、ガス・ステーション、薬品、化粧品、煙草等の部門を有するもの。㈲各種食 料品に加うるに多種類の専門商晶を取扱うもの、等があり、純粋な食料品市立から、日用雑貨を加、兇た食料・雑貨市揚に        発展する傾向にあることは、最近のスーパー・マーグソトの動向を示すものとして注目されるが、仮例、スーパー.マー ケットが食料品の外に可成り広範園の日用雑貨を取扱うに至っても、その百貨店との本質的相異は、前者が買廻章中心の 市揚であり、後者が食料品中心の定型化した日用雑貨品市場たる点において、両者はあくまで、質的に区別されるもので ある。樹連鎖店との相違は、スーパー・マーケソトは連鎖店が連鎖組織を不可欠主要素とするが、そのd掛けは小規模で

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るに対して、スーパー・マークソトは、連鎖組織を本質的なものとするものでなく、単位経営そのものの大規模である点 に、両者もまた異なる小売形態である。  スーパー・マーケットは、近年アメリカにおいて著しい発展を遂げつつある大規模小売形態で、一九二〇年⋮一九三〇 年を百貨店時代、一九三〇年一一九四〇年を連鎖店時代、一九三〇年−一九三五年時代を自由連鎖店時代、一九三五年以 後をスーパー・マークット時代︵oD⇔bO犀 冒9犀犀①鈴 卜瞠。︶と称するものもある。  スーパー.マークットの発生は、一九三〇年の不況時代に出発したといわれるが、このことは、資本主義の独占段階に おいて、技術の革新、大規模生産、大量生産、専門化、標準化、定型化による大量幽の商品を、如何にして容易迅速に.販売 せんとするかの生産者側の強い要求と、消費大衆の生活水準の上昇、従ってまた同時に生存競争の激化による限られた牧 入によって出来るだけ多くの生活需要を充さんとする欲求、消費過程における分化、標準化、購買慣習の変化、加えて自 動車、道路の異常な進歩普及等の両者の必要が、配給過程に反映した最も近代的な科学的小売配給形態である。

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 以上私は、      かかる発展過程 を通じてみられる小売配給組織の問題点を要約すれば、       、  先づ第一に、小売配給組織の集中及び分散には、つねに小売配給の専門化及び合成の要因を内包しつつ発展していると。

     配給組織の発展傾向       七

上林正矩 現代商業論 一二一頁 上林正矩 前掲書   一二二頁 向井鹿松百貨店の過去現在及将来二四一頁 小林正規 前掲書 一二九f=二〇頁 国。き曽臼∪.冒霞書9昌象亀昌覗β8らoa詳2話整き卓覗ゴ聾℃霞日胃ぎ叶●鰍2ヨ筥。陶寓鴛ぎ菖昌酷く。朗葺くHH目◎サωcoP       三 結      語    小売配給過程における発展傾向を、小売組織の集中及び分散の発展過程としてとらえたが、

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     醗給組織の発展傾向      

入 いうことである。近代資本主義社会の典型的小売配給形態である百貨店、連鎖店、スーパー・マークットの三つの形態に ついてみるも、百貨店が多品種少量取扱いに対して、連鎖店は小品種多量取扱いであり、更にスーパー・マークットは特 定商品︵食料品・雑貨︶の多量取扱いである如く、取扱商品上の専門化が発展し、又経営活動についてみるも、百貨店のサ ーヴィス主義に対して、連鎖店の制限サーヴィス主義、更にスーパー・マーケソトは、端的に云って、サーヴィス廃止主 義ともみることができる。そしてかかる取扱商品の専門化、経営活動の制限化をみながらも、その専門化の菜園において 取扱商品の大量化の傾向がみられる。  小売配給過程における集中.分散の発展傾向からみられる第二の問題は、配給組織一般の単純化傾向である。そしてこ のことは同時に商人排除の傾向を意味するものである。百貨店から連鎖店へ、連鎖店からスーパー・マークットへの発展 をあとづけるとき、百貨店よりも連鎖店の方が、問屋、卸売等の中間商人を排除して、より生産者及び消費者に結付き、 更に連鎖店よりもスーパー.マークソトの方が、直接に生産者及び消費者に連結せんとする傾向が強い。即ち配給組織一 般の単純化  配給費節約の傾向がここにみられる。  第三の問題は、小売配給が生産者本位から消費者本位に移行する傾向のあることである。それは店舗の立地において、 取扱商品において、販売技術において、消費者の消費方法に強く吸引せられていく傾向のあることである。小売業が対消 費者商業であることから、消費の動向が小売配給を強く規制することは、当然であるが、然し、経済社会が生産問題の解 決にあらゆる関心を払っていた時代においては、小売配給も寧ろ生産者本位であることを免れないが、生産問題の解決が 如何にしてその生産された商品を消費にまで配給するかということによって、その死命を制せられる時代に入るに及ん で、消費の地位は急激に重要性を加え、消費に直接接触する小売配給が、生産者本位から消費者本位に転換することは当 然といいうる。

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