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アパレル企業の競争力低下とインフラ的役割としてのOEM・ODM

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(1)

アパレル企業の競争力低下とインフラ的役割として

のOEM・ODM

著者

加藤 秀雄

雑誌名

埼玉学園大学紀要. 経済経営学部篇

20

ページ

89-102

発行年

2020-12-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1354/00001309/

(2)

の商社等のODM事業は、アパレル企業に対 する売れ筋製品の企画提案や、製造小売業 (SPA6))の品揃えを支援する企画提案など、 製品企画の一端を担うようになっている。  本稿では、このように海外製品生産が本格 化し、さらに時を経る中で、商社等のOEM・ ODM事業がその存在感を増すことによって、 アパレル企業の製品企画、製品生産にどのよ うな影響を及ぼすことになり、結果としてア パレル企業の競争力低下に繋がってきたかに ついて、特にファッションアパレル品を手掛 けるアパレル企業7)を意識しながら整理して いくことにする。 1.商社等のOEM事業の基本的特質とイ ンフラ的役割の形成  まず最初に、商社等の海外製品生産事業、 すなわちOEM事業が、わが国の衣料品生産 において一般化することで、アパレル産業に おいて「誰もが利用できるという意味」での 「製品生産のインフラ的役割8)」をどのよう に形成してきたかということと、そのことが アパレル企業の経営にどのように影響してき  わが国のアパレル産業における衣料品(製 品)企画1)と製品生産2)で主導的な役割を担っ てきたアパレル企業の経営基盤が大きく揺れ 動いている。その要因は多岐にわたるが、ア パレル企業が手がけてきた製品生産面に目を 向けると、縫製業を直接組織してきた国内生 産時代から、商社等に生産委託するように なった海外製品生産時代3)への転換による影 響が特に注目できよう。この商社等への生産 委託は、業界ではOEM4)と呼び、現在では アパレル企業以外でも自社企画に基づく製品 生産を可能とする取引環境の形成に繋がった といえる。実際、製品生産に関わる企業は、 各種小売業を含めた多様な業種業態に広がり をみせている。  さらに、商社等のOEM事業は、単なる縫 製加工による製品生産だけでなく、生地提案、 生地調達、生産国別のコスト提案と品質保証 などに及ぶなど、衣料品づくりの様々な業務 領域に踏み込んできている。  その一つの到達点が、衣料品の企画、デザ インの「提案」を含めての製品生産である。 これを業界では、ODM5)と呼んでいる。こ

インフラ的役割としてのOEM・ODM

OEM/ODM as an Infrastructure Role and the Declining

Competitiveness of Apparel Companies

 

加 藤 秀 雄

KATO, Hideo

キーワード : アパレル企業、OEM、ODM

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コスト競争力の低下18)などにより低迷と縮小 に直面する繊維事業を、急角度で拡大する海 外生産に主体的に取り組むことでカバーしよ うとする経営方針を商社が打ち出していった ことを背景にしているといってもよいだろう。  さて、こうした商社等のOEM事業の基本 的特質は、次のように集約することができよ う。  一つは、OEM事業は、アパレル企業をは じめとする製品企画を手掛ける企業からの製 品生産の受託事業ということである。この受 託事業は、国内生産が活発な時代においては 見られなかったといっても過言ではない。事 実、国内では、アパレル企業の製品生産は、 縫製業とか自社工場で手掛けられるが、縫製 業との取引に商社等が生産面で関与すること はほとんどなかった。商社等は、衣料品生産 が糸、生地、衣料品に至る期間が長期にわた ることもあり、金融支援を目的にアパレル企 業と縫製業との取引に契約上で関わるにすぎ なかったのである。その意味では、製品生産 に商社が実質的に関わるのは、海外での OEM事業以降といってよいだろう。  二つは、OEM事業が海外を舞台に本格的 に展開されてきたという点があげられる。今 日では、国内生産の場でも、商社に製品生産 を委託するケースが少なからずみられるよう に変化しているが、もともとのOEM事業は、 海外での取引経験の乏しさ、あるいは人材面 の制約からアパレル企業に代わって、海外の 縫製業に対する生産面の様々な管理を手掛け ることから出発したと考えてよい。ただし、 商社は、海外での取引は長けていようとも、 製品生産としての縫製技術や生産管理に内部 で人材を備えていたわけでもなく、外部から 縫製技術者や生産管理者を登用せざるを得な たかについて分析を加えることにする。 (1)衣料品生産におけるOEM事業の基本的 特質  国内生産が活発であった時代9)、アパレル 産業における製品生産は、アパレル企業の製 品企画に基づき、外注(下請)工場として位 置づけられる縫製業との直接取引によって多 くが行われてきた。そうした国内生産優越時 代、総合商社、繊維専門商社などの商社等の 主要な役割は、原毛、綿花の輸入業務10)、生 地供給などの流通業務11)、そして衣料品完成 までの長期にわたる金融支援12)などであった。  また、衣料品に関わる海外事業という点で 総合商社を眺めると、60年代では第三国生産 における加工貿易事業13)、70年代には日本国 内向け衣料品生産での生産支援、金融支援、 貿易業務などに関わっていたことが認められ る14)。ただし、当時の生産支援は、その後の OEM事業とは異なり、ローカル企業に向け た技術支援や設備支援等というものであった。 さらにいうと、その頃の技術指導は、日本国 内のアパレル企業や縫製業の助けを借りると いうのが一般的であった。また、韓国、台湾 などでは、ローカル企業への資本参加という 形での海外生産にアパレル企業だけでなく、 総合商社も踏み込んでいくなど、事業内容は 徐々に変化していったのである15)  そして、80年代後半からの中国進出の開始16) 90年代に入ってからの本格化によって、商社 等は、海外事業を貿易業務、生産支援業務、 金融支援にとどめることなく、自らが製品生 産の受託者となる海外製品生産(OEM)事 業に進化させていったのである。これについ ては、バブル経済の崩壊による国内市場の低 迷に加えて、国内での生産力拡大の限界17)

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(2)OEM事業のインフラ的役割とアパレル 企業の経営基盤の変化  さて、こうした段階を踏みながらの商社等 のOEM事業の充実は、アパレル企業にとっ て製品生産という点で好都合であったのか、 また経営的に成果をあげたといえるのであろ うか。いうまでもなく、アパレル企業の経営 基盤は、国内と異なり、海外での生産事業を 管理・展開にするには、人材、資本力などに おいて十分とはいえなかった。その意味では、 それを補完すると共に、年々厳しくなるコス ト競争を製品生産面で商社等のOEM事業で カバーできたことは、好都合であったのかも 知れない。  しかし、これは、アパレル企業の競争力維 持という点で大きな問題を内在化する契機と なったことに留意しなければならない。先に みてきたように、国内生産時代のアパレル企 業の競争力は、内部に生産技術者、あるいは 生産管理者を備えての製品生産が大きな役割 を担っていた。それは、海外生産時代を迎え てのコスト競争力ではなく、国内生産をベー スとした細部にわたって縫製業を管理するこ とでの品質差別化を可能とする技術基盤とい うものであった。  アパレル企業個々により時間的な差はある が、海外生産品の取り扱い開始当初は、いず れの企業も、国内での製品生産を継続してい たこともあり内部に生産技術基盤を備えてい た22)。ところが、海外での生産委託品が大半 を占めるようになると、業務量が減少し技術 者を内部に抱えることができなくなっていく。 結果として、アパレル企業は、縫製現場との 接点を失うだけでなく、縫製技術、生産管理 などに長けた人材を失い、生産面のノウハウ の蓄積から遠のいていく。ここに、アパレル かった。その人材の多くは、早くから海外進 出していた一部のアパレル企業や縫製業で あったり、また国内生産の縮小に直面するア パレル企業、縫製業からであった19)。いずれ にしても、商社等のOEM事業の生産面での 担い手は、国内外を舞台とした製品生産の場 を焦点とした人材の流動化によって確保され たといえよう。  三つは、時代を経るにしたがって、事業内 容が変化してきたことがあげられる。その変 化は、多岐にわたっている。特に、注目して おきたいのは、製品生産の場としての縫製工 場が、中国でいうと合弁の日系縫製工場で あったのが、ローカル企業や資本投下した自 社工場等など多様化したことや、ASEAN諸 国への進出においては、日系企業、ローカル 企業、中国・韓国・台湾企業というようにさ らなる広がりを見せていったことである20) また、そうした地域的な広がりの下、それぞ れの生産基盤の違いを基礎としたコスト・品 質提案を含めた製品生産提案事業へと変化し ていったことも注目されよう21)  以上が、商社等の海外製品生産(OEM) 事業の基本的特質であるが、これはあくまで も基本形にすぎず、実際には様々なケースが みられる。とはいえ、それらに共通するのは、 アパレル企業等は製品企画し生産委託さえす れば、完成品が手元に届くというシステムが、 海外を舞台に形成されてきたという点にある。 それは、様々な業種業態にある企業の衣料品 づくりが可能になる生産条件が整ってきたこ とを意味している。本稿では、それを「製品 生産におけるインフラ的役割」と呼ぶが、そ のこととアパレル企業の競争力低下との関係 を明らかにすることが、分析目的の一つでも ある。それを次項でみていくことにする。

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に比べ明らかに強まっていることがあげられ る。かつての量販店の衣料品の品揃えは、大 半がアパレル企業からの仕入によって成り 立っていた23)。しかし、最近では、量販店の 独自企画品が確実に増えてきている。その量 は、ユニクロ、良品計画、しまむらに比べる と、少ないのかも知れないが、自社企画によ る製品生産を商社等に委託することで製品化 するというケースを多々みることができる。 この点、これら量販店も、大手SPAと同様に、 海外の縫製現場に出向き、ユニクロほどでな いにしても、品質チェックを実施するなど、 製品生産面の技術的ノウハウを着実に蓄積し ているようにみえる。  三つは、有力セレクトショップなどにみら れる自社企画品の拡大があげられる。セレク トショップの商品構成は、海外輸入品に重心 を置く企業もあれば、国内アパレル企業の製 品選別という事業スタイルを取る企業がある というように様々である。しかし、昨今、有 力セレクトショップの自社企画品の取り組み は、もはやセレクトショップというよりも、 SPA型24)といってよいほどに変容している。 企業の製品生産面の競争力喪失の内部環境変 化をみていかなくてはならない。  一方、商社等のOEM事業の多面的な充実 は、アパレル業界の製品展開において、新た な競争局面としての外部環境変化をもたらし ていくことになる。  その一つは、ユニクロ事業を展開する ファーストリテイリングに代表されるSPAの 拡大発展に求めることができる。SPAの事業 内容は、個々の企業によって大きく異なるが、 製造小売業と重ねてみると、文字通り、「製造」 が製品生産を、「小売」が衣料品の小売を指し ている。とはいえ、ここでの「製造」は、自 らの工場で「製品を製造する」という意味で はなく、「製品生産に関わる」というように理 解すべきであろう。つまり、SPAは、自社の 衣料品企画を、OEM事業を展開する商社等 に委託し、製品化して自社の店舗で消費者に 販売するという事業内容を特徴としている。 この点、製品生産に関しては、今日のアパレ ル企業のそれとほぼ重なっているともいえる。  二つは、イトーヨーカ堂、イオンリテール に代表される量販店との競合関係が、かつて 図-1 衣料品の輸入品比率(推計)と輸入浸透率(参考) 0 20 40 60 80 100 70 75 80 85 90 95 00 05 10 15 推計・輸 入品比率 参考・輸 入浸透率 注:単位は、%。輸入品比率の推計は、「工業統計」と「繊維統計(生産動態統計調査)」の従業者数を比 較しての捕捉率で求めている。また、参考にあげている90年以降の「輸入浸透率」は、繊維輸入組 合の試算による。なお、89年以前は、同様の試算データに基づき、著者が追加した数値である。 資料:『工業統計表』各年版、『経済センサス』2011、2015年、『繊維統計年報』『繊維・生活用品統計年報』 『生産動態統計調査 繊維・生活用品統計編』各年版、『貿易統計』各年版、より作成。

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 こうしたOEMメーカーは、商社等とは異 なり、小ロットをはじめとする様々な委託内 容にきめ細かく対応することで存在感を示し ている。たとえば、中国を母国とする経営者 の下でのOEMメーカーは、日本企業では到 底太刀打ちできないほどのきめ細かなやり取 りが中国ローカル企業とできることの優位性 を備えている29)。こうした多様なOEMメー カーの存在は、アパレル産業における製品生 産の一般化をもたらし、差別化要素としての 地位を低下させていった理由の一つとして理 解しなければならないだろう。  一方、海外生産の進展により、縮小を続け 生産数量で1割30)を割り込んでいる国内生産 現場ではあるが、ここでのアパレル企業の製 品生産の取り組みは、国内生産の活発な時代 と同様の状況にあるのであろうか。アパレル 企業と縫製業は、かつてと同様に直接的な取 引関係を維持しているケースも少なくないが、 そうではないケースが増えてきていることに 留意する必要がある。  事実、国内生産の取引の場においても、商 社等のOEM事業の存在感が強まってきてい る。今なお、契約上の取引先は商社であろう とも、実質的には縫製業と直接やり取りをす るなど、製品生産の技術面、品質面を維持し ている企業もみられるが、国内生産品の比率 が低下している現在、商社に全面的に製品生 産を依存する企業も増えてきている。  このように国内生産の場においても、商社 等のOEM事業依存構造が強まるなど、アパ レル企業と各種小売業の生産面の違いが縮小 していることに留意しなければならない。 た と え ば、 自 社 企 画 品 割 合 は、TOKTYO BASEでは60%、ユナイテッドアローズでは 53%、ビームスでは60%強というレベルに達 しているのである25)  これらの小売業における自社の製品企画は、 まさにアパレル企業との直接的な競合そのも のといえよう。しかも、アパレル企業、各種 小売業共に、その製品生産は、OEM事業を 展開する商社等に委託するだけでなく、組織 する縫製業もほぼ同じである26)ことに留意す る必要がある。  いつのまにか、製品生産をリードしてきた アパレル企業は、自社企画に取り組む小売業 と、同一の生産条件の下で、製品生産を行う 「一企業27)」にすぎなくなっているのではな いだろうか。こうして、アパレル企業でなく とも、自社企画による製品化が商社等に代表 されるOEM事業を利用することで実現でき るという意味での「衣料品生産のインフラ的 役割」が、ここに成立したといえよう。すな わち、インフラ的役割とは、「誰もが利用でき る社会基盤的な存在」であり、もはやアパレ ル企業のみが製品生産によって製品差別化で きる時代でなくなったことを示している。  さらに、OEMとしての海外製品生産事業 は、総合商社、繊維専門商社、原糸メーカー 系商社などの商社等にとどまることなく、 様々な製品領域をカバーすべく、多くの企業 によって取り組まれていることも指摘されね ばならない。少なくとも、海外を舞台とした OEM事業が、すでに30年ほど経過している 現在、商社等からの独立者や、海外展開に取 り組んでいたアパレル企業や縫製業からの独 立 者 な ど に よ っ て 組 織 さ れ た「OEMメ ー カー28)」とも呼ぶべき企業の存在が数多く みられる。

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たかに重なるものといってよいだろう。 ① アパレル企業にみる企画提案の受け入れ 理由  ODM事業を受け入れていった理由の一つ を、アパレル企業の多くが採用せざるを得な かった経営環境変化にみることができる。わ が国の衣料品市場規模は、バブル経済期の90 年、91年頃をピークに縮小基調に突入する。 中でも、高級・高額品の販路でもある百貨店 における衣料品売上高(商業動態統計調査) は、91年の5兆円から、95年4.4兆円、2000年 4兆円、05年3.4兆円、10年2.8兆円、15年2.2 兆円、19年1.8兆円というように、すさまじ い落ち込みを示している。この製品を手掛け ていたのが「百貨店アパレル」と呼ばれるア パレル企業であり、有力アパレル企業が多く を占めていた。  当然のことながら、市場規模の縮小、百貨 店ルートでの売上減は、これら有力アパレル 企業の経営を圧迫し、何らかの対策の必要性 を増していくことになる。もちろん、積極的 な拡大路線を選択することも可能ではあるが、 多くは売上高の維持に向けて販売体制の強化 を図る一方、減量経営にも乗り出すという難 しい舵取り局面を迎えていたのである。  減量経営の一つが、製品企画部門の縮小で あった。アパレル企業にとって、製品企画部 門は、コア部門であるが、多くのデザイナー が契約を打ち切られ縮小する。しかし、経営 面では売上高の確保のために、一定数の製品 アイテムを市場に投入することから逃れるこ とはできない。ここに、商社からの企画提案 を、製品アイテムの不足をカバーする役割と して受け入れていかざるを得ない内部事情を 指摘することができる。 2.ODM事業への到達と製品企画競争の 激化の下でのアパレル企業  時代はアパレル産業のものづくりを、さら に変容させていくことになる。製品生産が商 社等のOEM事業への依存を強めることで、 アパレル企業がもう一つのコア機能である 「製品企画」を強化していったのではと想像 していたが、アパレル企業、特に大手アパレ ル企業の多くは、コア機能である製品企画体 制を縮小という形での減量経営に踏み出して いたのである。企画デザインを担当するデザ イナーとの契約を解除するなどして企画体制 を縮小し、販売体制の強化に力を入れるとい う構図である。  ここでは、こうしたアパレル企業をめぐる 企画体制の縮小により、それを補完する役割 が期待されることになる商社等のOEM事業 の一つの発展形ともいえる企画デザインの提 案を含めたODM事業がもたらした影響につ いてみていくことにする。 (1)衣料品企画デザインにおけるODM事業 の基本的特質  先に指摘したように、ODM事業は、OEM 事業の延長上にある。単純には、OEM事業に、 「企画提案」が加わることであるといっても よい。とはいえ、この「企画提案」は、製品 生産の発注者、あるいは個別の委託内容に よって、その関わり方が異なっていることに も留意しなければならない。ここでは、それ をいくつかのケースを例示しながら、商社等 のODM事業の基本的特質を理解しておくこ とにする。こうした基本的特質は、アパレル 企業や各種小売業が、商社等のODM事業と しての「企画提案」を、なぜ受け入れていっ

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出来上がっている製品を仕入れるケースも少 なくないが、金額的には、商社等のOEM事 業の下での「企画提案」による製品生産が多 くを占めているようである。特に、商社等の 中でも、繊維専門商社の企画提案の占める割 合が少なくない32)  その企画提案を、バイヤーが単純に選別す るというのではなく、デザイン、生地、品質、 コストなどを含めての修正変更が繰り返され ているようである。これは、すでに、しまむ らだけでなく、多くのSPAが商社等の企画提 案に対して、自社の製品展開方針に即した修 正意見を含めた企画検討が繰り返されるなど、 「製品仕入」とは明らかに異なる取引形態に あるといってよい。さらに、しまむらの場合 には、売上規模が大きいこともあり、自社に よる製品企画と海外での縫製加工発注という 直接貿易にも乗り出すなど、その品揃え方法 は多様化し続けている。  こうした「しまむら」にみられる商社等の 企画提案(ODM)の位置づけは、「品揃えと しての役割」と「量的確保の役割」、そして「売 れ筋製品の確保」といった点に求めることが できるが、先のアパレル企業のODMの受け 入れと、それほど大きく異なるようにはみえ  ただし、商社等のアパレル企業への企画提 案は、当初はあくまでも「提案」にすぎず、 アパレル企業を製品企画のプロ集団として評 価するならば、デザインを含めての各種検討 を繰り返すことが前提になっていたように思 える。とはいえ、商社側で企画提案を手掛け る人材が、アパレル企業の元社員、あるいは 契約していたデザイナーであったこともあり、 いつのまにか、アパレル企業からの企画提案 要求は、「今売れる製品の提案」となり、その 採用が増えていったようである。  結果、アパレル企業の「商社等による企画 提案」の受け入れは、一つは「アイテム数の 補強」、二つは「売れ筋製品の確保」を目的 とするようになったといえよう。 ② 豊富な品ぞろえの実現のためのODM事 業の活用   次 に、 小 売 業 に み るODM事 業 の 活 用 を、 数多くの商社等と取引している「しまむら」 を例にあげながら理解していくことにしよう。  「しまむら」31)では、自社のバイヤーが、 多くの企業(商社等、アパレル企業など)と 製品仕入の交渉を重ね豊富な品ぞろえを実現 しているといわれている。もちろん、すでに 図-2 百貨店とスーパーの衣料品販売額の推移 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 80 85 90 95 00 05 10 15 百貨店 スーパー 注:単位、億円。 資料:『商業動態統計調査』各年版、より作成。

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同社の場合、他社とは比べようもないほど生 産ロットが巨大33)であり、東レに代表される 合繊メーカーによる生地企画提案や、商社に よる商品企画提案が積極的に行われているよ うである。しかし、それらはあくまでも、同 社が主導権を持っていると想像できるように、 商社側からはODMという取引であるという ような説明をこれまで聞いたことがない。こ こには、同社と商社等の力関係を反映した「特 別の取引関係」にあるのではないかと想像し ている34)  他方、セレクトショップにおける自社企画 品の製品生産は、商社等のOEM事業によっ て実施されているが、両者間において企画提 案としてのODM事業の存在を意識するよう な説明を受けたことはほとんどなかった。そ れは、セレクトショップの製品企画は、自社 の明確なコンセプトの下で実施しているケー スが多いことを背景にしているのであろう。 他方、商社側に立つと、セレクトショップの 製品コンセプトに対応する企画提案の難しさ や生産量の制約も、企画提案としてのメリッ トが小さいことが理由にあげられよう。  いずれにしても、こうした各種小売業にお いて、その企業の経営方針、売上規模、製品 構成などによって、商社等の企画提案を受け 止める取引環境は自ずと異なっているといえ るのではないだろうか。あるいは、商社等の ODM事業は、OEM事業の業務内容の広がり の中にあって、一つの到達点と位置づけられ るように、自社企画による製品展開に取り組 むアパレル企業、各種小売業において、「企画 提案」をことさら取り上げる必要もないほど、 製品生産の中の一つの役割にすぎなくなって いるのかも知れない。 なくなっている。 ③ 量販店における企画提案の位置づけ  著者は、量販店における製品仕入れや、自 社企画品の製品生産について聞き取りしてき たが、うかつにも商社等のODM事業の活用 については強く意識していなかった。それは、 自社企画品の多くが、商社等のOEM事業へ の委託であり、海外での縫製加工に量販店と してどのように関与するかに関心を寄せてい たためでもある。それゆえ、自社企画品を手 掛ける海外縫製工場での生産チェックは、委 託した商社等に任せきりもあるが、自社の社 員、あるいは外部委託するなどして実施して いることなどの確認にとどまった。  少なくとも、量販店の商品構成は仕入品と 自社企画品だけでなく、この中間的な位置に ある商社等のODM品も一定程度を占めてい るのではないだろうか。ただし、こうした点 は、現時点では確認できておらず、これ以上 は記述することを避けなくてはならない。い ずれ、こうした点についても、明らかにして いきたいと考えている。 ④ その他小売業における企画提案の位置づけ  その他の小売業で注目しておきたいのは、 SPAを代表するユニクロ事業等を手がける ファーストリテイリングであり、自社企画品 の割合を拡大しているセレクトショップであ る。  まず、ファーストリテイリングの製品生産 に関しては、商社等のOEM事業に依存して いることは周知のとおりであるが、先の量販 店に比べると、海外縫製工場でのチェック体 制は格段に充実している。この点、製品企画 に関しては、大半が自社で手がけているが、

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 そうした厳しい評価は、たとえアパレル企 業個々が、自社の製品企画に力を入れようと も、似通った商品が、これまで以上に増えて きたことで、アパレル企業が育ててきたブラ ンドイメージから遠ざかっているのではとの 見方に重なっているのではないだろうか。繰 り返しになるが、アパレル企業の商社等 ODM事業の下での「企画提案」の採用は、 アパレル企業個々の個性を失わせるものであ り、いかに個性的な製品企画に力を入れたと しても、売れ筋製品の確保を目的にした時点 で、企業全体の製品イメージの低下をもたら したというのは言い過ぎであろうか。  ここには、アパレル業界における「真似(模 倣)の文化」に対する危機感の欠如が、強く 影響しているのかも知れない。また、「流行と はそういうものだ」という声が聞こえてきそ うである。 ② 同質化のもう一つの要因としてのクイッ クレスポンス  さらに、こうした「売れ筋製品の確保」に よる「同質化」を、一段と進める役割を担っ たアパレル業界のもう一つの潮流を指摘して おかねばならない。それは、「クイックレスポ ンス(QR)35)」である。このQRは、アパレ ル業界における最大の問題ともいえる「在庫 問題36)」の解決策として注目された「生産シ ステム」の一つである。これは、店舗等で売 れている情報を日々分析し、追加生産し、需 要に迅速に応えるという考え方の下で構築さ れた生産システムということができる。  通常、衣料品の生産数量(ロット)は、製 品企画の段階でのマーチャンダイザー37) よる販売数量の設定を起点に、生産地等で規 定されている最低ロットや生産期間等を考慮 (2)同質化をめぐるODM事業とクイックレ スポンス  とはいえ、こうした企画提案をめぐる商社 等のODM事業の広がりは、アパレル企業の 競争力という点では、様々な影響を及ぼして いることが指摘されねばならないだろう。そ の一つは、アパレル企業に対して指摘されて いる「製品の同質化」という問題である。 ① ODM事業の活用の下での同質化の懸念  いったい、アパレル企業は、「企画提案」の 受け入れによって、「アイテム数の補強」と「売 れ筋製品の確保」という目的は達成できたの であろうか。もし、達成できたのであれば、 それは企業経営面に貢献できたのであろうか。 こうした命題を前にしたとき、前者の目的達 成という点では、特に異論はないが、後者に ついては必ずしも企業経営においてプラス効 果をもたらしたとはいいがたいのではないか と考えている。  それは、多くの有力アパレル企業が、「アイ テム数の補強」に際して「売れ筋製品の確保」 を求めたということが大きく影響している。 言い換えると、売れ筋製品によるアイテム数 の補強を商社等に「企画提案」として求めた とき、「売れ筋衣料品の企画」が提案されるが、 それは他のアパレル企業も同様の提案を求め るなど、結果として「同じような企画提案」 が広がることをもたらしたともいえる。もち ろん、まったく同じ企画提案ではなく、デザ イン等に違いはあるが、消費者からみると、 ほぼ同じ商品にしかみえない差でしかなかっ たというのが実態ではなかろうか。そうした 企画提案が横行し、それがアパレル企業個々 の製品として世に出てきたことに、消費者は 厳しい目を向けていくことになる。

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最後に、アパレル企業の今後の発展を構想す るとき、外部依存構造としてのOEM・ODM をどのように位置づけられるかについて整理 しておくことにする。  繰り返しになるが、アパレル産業における 「OEM」は、誰もが利用できる「インフラ的 役割」を担っている。その誰もがというとき、 海外生産当初はアパレル企業が、その利用者 であり、海外生産におけるコスト削減による 価格競争力という利益を享受する立場にあっ たが、それを各種小売業が自社企画に踏み出 し利用するや否や、製品企画と製品生産に存 立基盤を求めてきたアパレル企業の頭を超え た取引を可能とする生産環境という役割を拡 大することになったのである。  こうした時代の変化は、アパレル企業に とって、自らのコア事業としての製品生産の 多くを失うことに繋がっていったようである。 とはいえ、海外での製品生産をアパレル企業 がコントロールするのは容易ではなく、海外 進出したアパレル企業の多くは縮小撤退の道 をたどっていったことは周知のとおりである。 その意味では、海外の縫製工場を組織、管理 する「新たな仲介者」としての商社等の存在 を、食い止めることなどは現実的でなかった のかも知れない。これは、時代の変化に打ち 負かされたとの見方もできるが、OEMの持 つ経営効率面の魅力の前に、次代の発展に影 響することを見通せなかったともいえるので はないだろうか。  また、アパレル企業と縫製業の取引に商社 が介在しようとも実質的な直接取引に近い生 産面の折衝が維持されてきたと思われる国内 生産の場においても、生産量の激減の前に、 アパレル企業内部にかつてのような生産技術 基盤を備えておくことが、経営面で非効率に して最終的な生産数量が決められている。た だし、販売数量計画に基づき、全量が初期生 産に実施されることもあれば、追加生産的に 繰り返すというケースなど、アパレル企業は、 様々な工夫に取り組み続けてきた。それでも、 多くの製品において、売れ残りが発生してい るのである。この解決策としてのQRは、追 加生産を前提としながらも、機会損失を極力 抑えるという考え方を基礎にしている。  とはいえ、追加生産の上限は、在庫されて いる生地の量に規定され、それ以上の追加は、 生地生産、染色加工などの期間を考えると、 大半がシーズン遅れでようやくできあがると いうように、これまた縫製加工の前段階での 在庫保有に規定されるという制約下に置かれ ている。  一方、商社等の売れ筋製品の企画提案 (ODM)では、生地在庫を気にすることなく 追加発注が自社企画品よりも比較的容易で あったように思える。それは、商社等が複数 のアパレル企業に対して同じ生地で企画提案 することで可能になっていたというのは、う がった見方にすぎないのであろうか。  いずれにしても、アパレル企業が「売れ筋 製品の確保」を目的とした商社等の企画提案 の下でのODM委託に依存し続ける限り、Q Rを採用するか否かに関わらず、市場からの 「同質化したアパレル業」という評価を打ち 崩すことはできないといっても過言ではない。 3.アパレル企業にとってのOEM・ODM の位置づけと今後の発展課題  以上のように、アパレル企業の今日の経営 基盤の揺れ動きは、OEM、ODM委託という インフラ的機能への依存構造が、一つの要因 となっていることが認められよう。ここでは、

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しているファーストリテイリングなどのSPA の製品企画の自由度は、着実に高まっている。  この点、アパレル企業における製品企画は、 コア機能そのものであり、それを一部であろ うとも外部依存という道を選択した結果、自 らの存立場面を見失っていくことになったの ではないだろうか38)。にもかかわらず、アパ レル企業の開発体制は、社内に企画ノウハウ を蓄積するという構図ではなく、デザイナー 個々人の能力、感性の上に築くだけでなく、 それらのコア人材の多くが様々な形態の契約 で成り立っていたという点に最大の問題を指 摘することができよう。  以上のようにアパレル企業の製品企画と製 品生産の構造は、外部環境としての海外を舞 台としたOEM生産を起点とし、様々な提案 を加えながら最終的には製品企画の提案まで に到達したことによって、大きく揺れ動いて きたといっても過言ではない。  もはや、アパレル企業のみが、製品企画、 製品生産をリードする時代ではなくなってい るとの認識にもとでは、製造、卸、小売とい う分類で、アパレル産業を構成する企業群の あり方を構想してはならないのかも知れない。 しかし、アパレル企業がその存在感を強く打 ち出すには、「自社の企画体制の強化」であり、 先の「自社による製品生産の管理体制の強化」 という二つのコア事業体制の再構築に求めざ るを得ないのではないだろうか。 1)衣料品(製品)企画とは、素材、デザイン、数 量等に関しての検討を行う業務である。 2)製品生産とは、縫製加工による完成品づくりを 指すが、生産管理、生産技術、納期管理などを含 なっているという事情を指摘しておかねばな らないだろう。  一方、商社等の企画提案に基づくODM事 業は、アパレル企業にとって、どのように位 置づけることができるのであろうか。これを 各種小売業との対比を通じて整理しておくこ とにする。  一つは、アパレル企業にとっての製品企画 と、各種小売業にとっての製品企画は、業種 業態という観点からすれば、明らかな違いが みられるということである。少なくともアパ レル企業にとっての製品企画は、外部活用が 少なくなかった製品生産と異なり、自らの存 立基盤そのものであるのに対し、各種小売業 のコア機能は、「小売り機能」であり、製品企 画は企業によって強弱は異なるが、あくまで も補完的な位置にあるといっていいのではな いだろうか。  とまれ、時代はそうしたところにとどまっ てはいない。先のような位置づけがアパレル 企業や各種小売業に妥当するのであれば、ア パレル企業が置かれている今日の経営環境の 厳しさは軽減されているのではないだろうか。 ここに、アパレル企業の置かれている今日的 状況の困難と混迷の一つの要因をみることが できる。  これに対して、各種小売業が手がける製品 企画は、それぞれの個性的な事業展開が可能 な条件が整ってきている。実際、仕入的な品 揃えから、企画提案を採用しながら、自社企 画要素を拡大することで独自の店舗構成を築 き上げていった「しまむら」や、同様に仕入 から出発しながら、拡大発展の過程において、 自社企画と原糸メーカー、総合商社などと共 同開発に踏み出し、今日では圧倒的な生産量 を保証することで企画と生産の主導権を獲得

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11)国内生地産地をめぐる生地流通は、産地内では 産元商社、産地問屋、買継商などが、産地外では 総合商社、繊維専門商社、生地コンバーター、集 散地問屋、二次卸など、様々な流通卸売業が関わっ てきた。その中で、総合商社が強く関わってきた のは、国内生産が活発な時代で、生産量が一定規 模に達していた生地などの国内市場投入や輸出な どであった。 12)衣料品生産は、原料、糸、生地、染色、縫製な どが長期間にわたることもあり、金融支援が求め られていたが、それを手掛けていたのが総合商社、 繊維専門商社などであった。 13)わが国の総合商社などによる海外における加工 貿易は、日本から生地を供給し、二次製品として の衣料品を保税地区で完成させ、欧米へ輸出する ということに、一つの端緒をみることができる。 14)先の加工貿易は、欧米の輸入規制により、日本 向けの衣料品体制の構築へと転じていく。 15)加藤・奥山(2020)、13-18頁。 16)わが国縫製業の中国進出は、1985年の岐阜のサ ンテイ衣料品(現、サンテイ)が最初といわれて いる。しかし、それ以前において技術指導を主に、 中国生産品を輸入する総合商社、繊維企業(たと えば、東京の黒沼染工場は技術指導を含めて生産 関与)などが先行的に動いていたようである。 17)わが国のバブル期以前の労働事情は、人手不足 が深刻で、他の産業に比べ賃金水準が劣っていた 縫製業では、極めて厳しい状況下にあった。その 深刻度は異なるが、人手不足という点では、70 年代、80年代を通じてみられる。これに対して、 時代は生産力拡大を求め続けていたが、国内では 十分に応えることができなかった。 18)バブル経済の崩壊とともに、市場規模は縮小に 転じるだけでなく、低価格品需要が拡大するが、 国内生産の国際コスト競争力は低下し続けており、 結果として低価格の輸入品の拡大をもたらしてい くことになる。 19)この時代までは、国内アパレル企業、縫製業に おいて、生産管理者、生産技術者が多数みられた。 20)加藤・奥山(2020)、22-24頁。 21)日本アパレル産業における海外生産品は、9割 む。 3)国内支持用向けの海外生産が本格化するのは、 バブル経済崩壊以降のことである。それ以前の日 本企業が関わる衣料品生産は、米国向け第三国生 産に始まり、70 年代の日本向け生産など、様々 な前史がみられる。これについては、加藤・奧山 (2020)、13-18頁を参照されたい。

4)OEMとは、original equipment manufacturingの略 で、委託者のブランドで製品を生産することをい うが、アパレル産業では、委託者に代わって縫製 業を組織し、衣料品生産を管理することを意味し ている。

5)ODMとは、original design manufacturingの略で、 委託者のブランドで製品を設計・生産することを いうが、アパレル産業では、委託者に衣料品の企 画提案から製品生産まで手掛けることを意味して いる。

6)SPAとは、specialty store retailer of private label apparelの略で、衣料品の製造から小売りまでの 機能を統合した業態を指す。なお、この製造とは、 縫製工場を自社に備えての製品生産ではなく、製 品企画を意味している。 7)著者は、アパレル企業を大きく、ファッション 衣料品を手掛ける企業と、ユニフォームを手掛け る企業に分けて分析を加えている。本稿では、前 者のファッションアパレル企業を強く意識した経 営環境の変化を、OEM・ODMに焦点を当てて分 析している。この点、ユニフォームアパレル企業 では、学校服に代表されるように、社内に縫製工 場を構えることも多く、また製品企画は大半が自 前という例にみられるように、異なった分析が求 められる。 8)ここでいうインフラ(インフラストラクチャ) 的機能とは、誰でもが利用できる社会的基盤とい う意味を込めて使用している。 9)国内生産が活発な時代は、バブル経済のピーク 時である1990 年頃まで続く。崩壊後は、縮小へ と向かう。加藤・奥山(2020)、70-80 頁。 10)衣料品の原材料となる天然素材の大半は、海外 からの輸入品であり、その輸入業務を手掛けてい たのが総合商社であったことはいうまでもない。

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31)しまむらは、2017年8月30日訪問。 32)たとえば、訪問した繊維専門商社としては、タ キヒョー、名古屋瀧定、住金物産(現日鉄物産)、 モリリン、津田駒などがあげられる。 33)業界では、ユニクロの生産ロットは、10万単位 ではなく、100万単位に達しているといわれてい る。ただし、これについては、ユニクロに直接確 認したものではないことと、こうしたロットが及 ぼすであろう生産体制とコストとの関係について は、今後の研究課題の一つである。 34)一般には、生産ロットが大きくなると、生産性 が向上すること、生地代も格段に安くなることが 指摘できるが、それがどれほどであるかは極めて 興味深いものがある。 35)QRシステムは、小売段階の情報を短期間で追 加発注し、在庫をなくすることと、機会損失を失 わないことを目的にブームとなるが、衣料品生産 (縫製加工)の川上段階での生地生産、染色加工 と一体化できていたわけではなかったようである。 このため、生地在庫をいかに消化するかといった 当初目的とは異なる方向に転じていった。 36)衣料品の売れ残りについては、年10億点(朝日 新聞デジタル2018年7月3日)、年14億点(NHK クローズアップ現代2018年9月13日)などという ように、国内市場に投入されている年約40億点の 2、3割に達する。こうした点については、仲村・ 藤田(2019)が、詳しい。 37)マーチャンダイザー(MD)は、商品化計画や 商品製作計画を担っている。 38)「外は単純なもの、標準なもの、内は難しいもの、 個性的なもの」という一般的な原則が、衣料品デ ザインにもありそうである。また、製品生産にも 同様の原則的なものが見え隠れするが、今日では、 原則とは異なるケースが多々見られるなど多様化 の時代を迎えているといってもよい。 参考文献 板木雅彦(1984)「韓国繊維産業の発展と国際的連 関」『経済論叢』第133巻第4・ 5号、362-384頁。 上田和宏(1992)「アパレル産業の海外展開-岐阜 ほどに達するなどの勢いを示したが、他方で、 OEM・ODM事業を手掛ける企業は増え続けるな ど過当競争時代へと突入していたこともあり、単 なる製品生産のみでは、生き残れないという厳し さを増していたことを背景にしている。 22)有力アパレル企業の中には、自社工場を備えて いたところもあるが、自社工場を持たずとも、縫 製業を組織管理するためには、社内に生産技術者 を抱えていることが少なくなかった。このことに より、品質、コスト面で優位に立つことができた という背景が指摘されねばならない。 23)量販店の仕入品の多くは、地域的には岐阜アパ レルが多く、次いで大阪アパレルなど、量販店向 けアパレル企業の集積地からであった。 24)自社企画品を手掛けるセレクトショップの業態 を見たとき、製品企画と小売りが主になっている。 これは、SPAそのものといっても過言ではない。 25)TOKTO BASE(2018 年9月21日訪問)、ユナイ テッドアローズ(2018年3月12日訪問)、ビーム ス(2018年9月28日訪問)。 26)商社等が組織する海外縫製工場では、アパレル 企業、SPA、セレクトショップ、量販店などの区 別なくラインを流れているというケースも少なく ない。 27)製品生産面において、アパレル企業と各種小売 業の違いが縮小していることを示している。 28)アパレル業界では、OEM事業を手掛ける企業 の中で、商社、アパレル企業、縫製業などから独 立し、小規模で受託生産管理している企業を 「OEMメーカー」と呼んでいる。また、企画提案 しての受託生産企業は、「企画会社」とも呼ばれて いる。 29)著者は、OEMメーカーの中で、日本に留学後、 OEMメーカーとして事業を立ち上げた企業を2 社訪問している。彼らの強みは、出身地の工場と、 直接中国語でキメの細かい打ち合わせができるこ と、また中国側の事情を熟知した上での取引がで きることである。 30)日本市場における国内生産品の割合の推計につ いては、加藤・奧山(2020)、4-7頁を参照された い。

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参照

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