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「環境と人間」プロジェクト研究報告 『水・気候変動問題を中心としたSDGsのための教育』

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Academic year: 2021

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1.SDGs のための教育への取り組みとプロ ジェクト活動の概要  環境と人間プロジェクトでは、全世界で課 題となり、国連や各国の行政機関をはじめ、 民間企業、地方行政機関など、多くの場で取 り組みがなされ始めている SDGs(持続可能 な開発のための目標)への取り組みを行って いる。この SDGs の課題は、新学習指導要領 の改訂理由にも明記されているにも関わら ず、教育関係での取り組みがまだ十分になさ れていない現実がある。  このような状況の中で、環境と人間プロ ジェクトは、教育プログラムの開発と実践に ついて、多様なステークホルダーと連携し、 協働しながら模索してきた。 〈国内のステークホルダー別探究〉  ①行政との連携:日進市などとの連携  ②団体との連携: UR 都市機構と椙山女学 園大学教育学部宇土ゼミ  ③企業との連携: アサヒ飲料株式会社と椙 山女学園大学教育学部宇 土ゼミ  ④学校との連携: 神戸大学附属中等教育学 校、岡崎市立生平小学校、 椙山女学園大学附属小学 校  ⑤学会との連携: 日本国際理解教育学会の 研究・実践委員会 SDGs に関する 水・気候変動 教育プロジェクト 〈国外のネットワーク〉  ①ブルキナファソ:ル・クルーゼ学園  ②フランス: ストラスブール市の小学校、 教育委員会  ③フランス: アルザス地方 バール村の小 学校  これらのつながりの中で、特に今年度、 SDGs のための教育としての水・気候変動教 育に関わる教育プログラムの開発と実践に大 いにかかわり、たいへん関心を持っていただ いたのは、次の組織や機関である。  UR 都市機構は、団地の場所と予算の提供、 アサヒ飲料は学校呈示用のジオラマや教材の 無償提供など、連携を継続している。出張授 業の物語のキャラクターは昨年同様に使用す ることにした。また、研究的側面では、日本 国際理解教育学会の研究・実践委員会のプロ ジェクトとも一体となって研究を継続して、

水・気候変動問題を中心とした

SDGs のための教育

Education for SDGs about the problem of water and climate change

A Report of

‘Environment and Human being’

Research Project

「環境と人間」プロジェクト研究報告

椙山女学園大学教育学部教授

宇土 泰寛

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協働的研究活動を行った。学校関係では、岡 崎市立生平小学校で、昨年に引き続き、第 2 回目の出張授業を行い、学校内の教員研修で も協力することができた。  このように昨年度からの研究実践を継続し ながら、今年度、新たにつながりができたも のがある。  行政機関では、名古屋市の図書館関係者と のつながりである。それは、新しい図書館づ くりの部署の方がたいへん関心を示し、子ど もたちのジオラマによる学びの場にも参加 し、建設的な協議を行うことができた。そこ では、新しい図書館の在り方として、ジオラ マなどの現実社会を模した具体物と絵本や映 像などを融合する場としての図書館の新構想 があり、今後の行政関係との新しい関わりが 生まれる可能性を強く感じたことから、今後 ともつながっていきたい。ゼミ生の中に、絵 本と SDGs の関係を卒業研究に取り上げた学 生もいて、図書館の司書の方から専門的な助 言をいただき、大いに参考になった。  このように、ESD や SDGs への行政機関の 関心はたいへん高まっており、日進市とはよ り具体的な協議を継続しており、更に、新た に他の県からの打診も来ており、最近の関心 の高まりは驚くほどである。  また、名古屋市の国際交流の中心である「名 古屋国際センター」とのつながりがより強く なってきた。特に、今回のプロジェクト活動 の成果を「グローバルユースデー」(2019 年 3 月 16 日)で、発表することになった。この グローバルユースデーは、名古屋国際セン ター交流協力課が担当しており、「グローバ ルユースデーは、グローバルに活躍している 若者の団体、自分にできる活動を探している 若者、若者を応援したい人がつながり、それ ぞれ世界を変える新たな一歩を踏み出すイベ ントです。」とチラシの中に記載されている。  また、今年度、読売新聞社などマスコミと のつながりもできた。そのきっかけは、団地 で行っている活動の場と読売センター星ヶ丘 とのつながりからである。読売新聞社は、「読 売 KODOMO 新聞」を発行している。この新 聞は、1 週間分の政治や経済、事件、スポー ツなどをたいへんわかりやすく掲載してい る。団地のジオラマの交通、気候変動、水問 題なども扱っていて、内容的にもつながり、 センター自体が開放されていることから、そ こでの話し合いもできるのである。  団体関係では、外国人児童生徒に日本語を 指導している団体である「らくらく日本語教 室」との協力である。らくらく日本語教室が、 この夏休みに、特別に虹ヶ丘団地で開催され ることになり、ゼミへの協力依頼が来た。そ こで、ゼミプロジェクトの目的は、持続可能 な町づくりと多文化共生の町づくりでもある ことから、外国人児童生徒への支援は、大い に関心があり、協力することにしたのである。  教育研究関係では、椙山女学園大学で開催 した国際理解教育学会研究・実践委員会の 水・気候変動プロジェクトの研究会で、宇土 ゼミの 4 年生が昨年までのプロジェクトの流 れと研究的意義、そして、今年度の課題を発 表した。また、宮城教育大学で開催された日 本国際理解教育学会においてプロジェクトの 研究発表を宇土、林で行った。また、三重県 で開催された東海ブロック国際理解教育研究 大会でも SDGs の指導助言とプロジェクトの 紹介を行った。ここでは、山本典弘研究員が 発表を行い、多くの参加者から賞賛を浴び

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た。その中で、宇土ゼミの学生の出前授業も 紹介された。  このような国内の動きに対して、海外で は、フランス、ブルキナファソとのつながり の結節点となるフランスのパリにある日本文 化会館との関係から共催による公演活動を実 施することになった。今回の環境と人間プロ ジェクトの関連予算で、この大陸を越えたプ ロジェクトの事前打ち合わせのために、林敏 博研究員に、会議に参加してもらった。  パリでの公演活動の内容は、国内での様々 な活動が土台となっているので、主な活動を 紹介する。 2.ジオラマを使った地球子ども広場プロ ジェクトの活動 (1)西山っ子地球子ども広場 〈場所〉  虹ヶ丘中団地の事務室(UR 都市機 構提供)  〈時間〉  2018 年 5 月 ~ 2019 年 1 月、 月 2 回 程度 16:30 ~ 18:00 〈目的〉  自分の住む町づくりをジオラマで 実際に制作し、電車などの模型を動 かすことにより、運転手や駅員など の役になる活動を通して、想像力を 働かせ、それをきっかけに世界にも 興味を持つなど知的な活動をするこ とができる空間をつくる。今年度は、 水・気候変動問題とモビリティ・マ ネジメントは今まで通り継続しなが ら、英会話を用いて外国語学習にも つなげる。 〈内容〉  工作やフィギュア、プラレールでま ちのジオラマをつくり、持続可能な まちづくりを行う。 〈活動メンバー〉 宇土ゼミの 4 年生を中心に、他のゼ ミ生や、3 年生のメンバー、そして プロジェクトに関心のある 2 年生メ ンバーなどが参加して実施する。 〈活動〉 ①東海地区のジオラマづくり 愛知県・岐阜県・三重県を表した 東海地区のジオラマを中心に地域 の問題を探究し、地球的課題につ なげる ② 地球子ども広場プロジェクトのプ ログラムと教材開発のための基礎 研究  1)SDGs についての基礎研究  2) 水・気候変動問題と他の目標 と の つ な が り  ⇒  モ ビ リ ティ・マネジメント、まちづ くり、防災教育  3) 世界の水・気候変動問題の実 態    ⇒ 問題次元のトピック  4) 水・気候変動教育の取り組み と課題    ⇒  教育として取り組むテー マ    →リテラシー  5) 水・気候変動教育のプログラ ム開発    (情意・認知・価値・技能の 4 つの側面論) (2)ジオラマのプログラムづくり 1)ジオラマの物語づくり     ☆ スタディサプリや教科書を使って何年生

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の何の教科のどの単元での学習かを調べ る  ☆ ジオラマを使って、子どもたちの疑問や 課題を引き出し、探究する  ☆ その探究を具体物との対話を通して深め る 〈問題次元のトピック〉  ①地震    ②洪水    ③台風  ④津波    ⑤土砂崩れ  ⑥干ばつ  ⑦山火事   ⑧竜巻    ⑨堤防決壊  ⑩住宅浸水  ⑪火事    ⑫病気  ⑬交通事故  ⑭海洋汚染  ⑮渡り鳥  ⑯モビリティの問題(渋滞・排気ガス)  ⑰公共交通(鉄道・航空機・船)  ⑱列車事故  ⑲氷床の融解  ⑳海面上昇  高潮 〈解決次元のトピック〉  ①鳥・飛行機からの見方  ②レゴを使った問題解決の取り組み   二階建ての家、堤防、ダムなど 2)ジオラマの多言語化  言語学習と社会的関係の学習の並立   ジオラマの様々な具体物の名称・水気候変 動の概念・モビリティ関係概念等の多言語 化  言語: 日本語/やさしい日本語、英語、フ ランス語、ポルトガル語、スペイン 語、中国語、ベトナム語、ネパール 語 3)ジオラマの地図化・イラスト化  ①絵地図・イラストマップ  ② 俯瞰的なイラスト、微細な部分のイラス ト → 多言語化のテキストにも使用  今年度は、ジオラマのハードづくりは、ほ ぼ完了し、子どもたちのジオラマへのかかわ り方、その中で生まれるコミュニケーション や認識の拡大、学びのコミュニティの生成、 そこでのルールの発生、問題解決のための振 り返る内省力、解決策の提言など、多くの資 質形成にも役立った。これらは、エンゲスト ロームの拡張的学習理論やレイブとウェン ガーの正統的周辺参加理論などにも通じる学 びの発生であった。  そこで、これらの学びから生まれる過程を 考察し、その中にしかける多様な要素や項目 を考えたとき、上記の物語化や多言語化が生 まれたのである。  そして、これらの新たな学び合いの姿か ら、名古屋市の図書館構想とつながったり、 多言語活動のプログラム化にあたって、椙山 女学園大学の英語学習を担っているウェスト ゲイト(WG)のネイティブの先生方の助言 などとつながったりしたのである。  ただ、この大きな固定型のジオラマでは、 移動することができず、この団地の場所に来 ないと参加できないという問題がある。  そこで、移動型のジオラマができないかを 検討することにしたのである。 (3)移動型ジオラマの制作  大学の中での制作、団地以外の場所でのプ ロジェクト活動に向けて、まず全体の大きさ とパートの大きさを検討した。しかも、移動 するときに、箱に入れられる大きさと高さを 考えて、全体のデザインも考えた。このデザ インの中に、しかける要素が、学びのテーマ と内容と関わるのである。  団地のジオラマに比べて、全体のサイスは かなり小さくなることから、団地のように愛 知・岐阜・三重のような大きなブロックごと

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の区域分けは行わず、名古屋を中心に、都市 部と山間部、田舎エリア、郊外の住宅開発エ リア、近郊の住宅地と都市の形成過程を意識 して、デザインを考えた。  次のテーマは、東海地域で SDGs の課題に 大きくかかわる木曽三川である。この地域の 水との闘い、水との共生は、これからの気候 変動による異常気象の増加と激化を考えた場 合、この地域の歴史と現在の取り組みは極め て重要なものになる。そこで、ここには岐阜 城や信長の楽市楽座なども配置して、ジオラ マへの学習者の関わり、問題意識によって は、歴史的な学びもできるようにデザインし ているのである。現在のこの地域の特性も実 際に現地を訪問し、堤防と住宅の高低差、位 置関係、堤防道路なども再現することにした。  次は名古屋市の都心部のテーマである。こ こでは、新幹線の駅と在来線の駅の配置、駅 前の街づくり、そして、名古屋城、熱田神宮 などの配置である。また、モビリティ・マネ ジメントとしての交通機関、実際に走ってい る在来線の JR 東海、名鉄、近鉄、貨物など を再現することにした。また、交通機関の歴 史も意識し、新幹線の O 系と N700 系、在来 線に蒸気機関車や電気機関車も配置すること にした。さらに、名古屋城や名古屋の街づく りの歴史的事実を再現するために、堀川、七 里の渡しの熱田と桑名、木曽川のいかだ、飛 騨の山々の森林、川の上流部など、名古屋の 街づくりに欠かせなかった木材の運輸に関 わった舟運も再現することにした。  このような日本の具体的なデザインに対し て、海外のジオラマをどのように配置するか は大きな課題であった。ここには、実際にジ オラマを制作する技術的な課題もあり、ジオ ラマ制作を担当する渋谷純一協力員との協議 を何回も行うことになった。今回は、団地の ジオラマと異なり、限られたスペースの中で の再現である。その話し合いの中で、日本の 山脈の反対側をフランスの山脈にするという アイデアである。この発想から、日本の再現 部分の周辺に、パートをつくり、ヨーロッパ、 アフリカ、アメリカ、オーストラリアをつく ることにした。  このデザインを実際に作るためには、様々 なパートや素材が必要であり、渋谷純一協力 員の専門的な知識と技術が大いに役に立っ た。そして、団地で使っているプラレールは 広い場所が必要であり、このコンパクトなス ペースでは一周もできないことから、エヌ ゲージを採用することにした。  そして、何か月もかけて、学生の参加も得 ながら、移動型のジオラマを作製した。まだ、 最終的には完成していないが、多様な学びの しかけが入り込んだジオラマである。そし て、外国は、元の大きさの 4 つのコーナーを 生かして作ることにした。一つは、新幹線か ら見える京都の東寺の五重塔をイメージした 日本コーナー、次は、雪を被った山々と入り 江の海岸と農場をイメージしたヨーロッパの コーナー、そして、まだ、完成していないが 赤茶けた大地のアフリカのコーナー、広大な 農場が続くオーストラリアのコーナーを予定 している(ブラジルと交流が可能となったら 南アメリカコーナーを追加する)。 3.SDGs のための教育についての小学校へ の出前授業 (1)宇土ゼミを中心とした大陸間水・気候 変動教育プロジェクトの活動

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 岡崎市立生平小学校への出前授業を、アサ ヒ飲料(株)と連携して、今年度も 10 月 22 日(月)に実施した。  今年度の授業は、水・気候変動教育のパー トⅡをなすものであり、そのプログラムの理 論的根拠は、4 つの側面論(情意・認知・価値・ 技能)を基盤にした態度形成をなすものであ る。昨年のパートⅠは、平常時の日常生活で の水の循環の物語であり、水の循環、水のろ 過実験、映像、すごろくをキーワードにした 「水の循環と森の物語」であった。  これに対して、今年度は、昨年度の平常時 に対して、気候変動による異常気象を題材に した「日本と世界の異常気象の物語」である。 ここでは、熱による対流と土砂崩れ実験を取 り入れ、価値的側面では、四つのコーナーを、 技能的側面では、すごろくにより、異常気象 時の行動の仕方や判断を題材にしている。  更に、3 年生を基盤にした新ゼミを中心に、 教育学部の他ゼミ生、国際コミュニケーショ ン学部生も参加した大陸間水・気候変動教育 プロジェクトの活動を継続して実施してお り、パートⅢとして、SDGs の根幹となる地 域と地球システムの連関を踏まえて、地球温 暖化と異常気象についての物語を制作中であ る。  この 3 部作の物語は、水・気候変動教育に おいて、たいへん重要な作品であることか ら、この物語の多言語化も今後の課題として いきたいと考えている。そのためにも、もは や教育学部だけではなく、椙山女学園大学の 多様な専門性を生かす学部を越えた活動が重 要であり、人間学研究センターの存在もます ます重要になってくると考える。学生の方か ら学部を越えた活動が始まっているのはたい へん心強いことである。  これらの活動を、国内的には、名古屋国際 センター主催のグローバルユースデーで、多 くの人々の前で発表し、国外的には、パリの 日本文化会館で発信することになった。 (2)生平小学校出前授業 2018 授業プログ ラム  2018 年度の 4 年生のゼミのメンバーは、 昨年度のパートⅠの物語の考察と実際の出前 授業の映像を見て、全体で話し合った。更に、 2017 年度の卒業生が大学に来た際に、いろ いろな話を聞き、進め方の概要を知った。今 回は、水問題より気候変動の問題が大きな課 題であるので、気候変動についての学習も 行った。気象そのものからの学習である。台 風についての学習から異常豪雨など、理科の 学びも重要であった。この学習にも役立った のが、スタディサプリによるオンライン学習 である。現在、教育学部で教職試験用に用い ているリクルート社のオンライン学習であ り、単なる教職試験用だけではなく、教材づ くりにも大いに役立つことがわかる。  このような基礎的な学習から、物語を絞り 込んでいった。それが、以下のコンセプトと 物語である。 1)コンセプト  今年の夏は記録的な猛暑が各地で観測さ れ、地震、台風などの自然災害も多く発生し ました。異常気象と呼ばれるこの気候変動問 題は実は日本以外の世界各国でも起きていま す。前回登場したアサヒ飲料のキャラクター であるエコるん・ニコるん・しずくちゃんを はじめ新しいキャラクターも登場し、今地球 規模で起きている異常気象について学びま

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す。また、今回のテーマである自然災害から の防災についてゲーム形式で行い、子どもた ちの考えを発表できる場を設けます。 2. 授業の流れ(70 分授業) 時 間 側面 内容 2  導 入 プロローグ 自己紹介・ みなさん今年は台風や大雨がす ごく多かったですね。 ・ “異常気象”という言葉知ってい ますか? ・ 台風や地震などの自然災害から 身を守るためにはどんなことを しなければならないのか考えて いきましょう。 8 情意 的 側 面 異常気象の物語 (前半) ・ しずくちゃんの友達ミスティとの電話 10 異常気象の物語 (後半) ・ 世界のニュースを見て、世界の異常気象を知る。 ・ 日本ではどんな異常がおきてい るんだろう。 5 認知 的 側 面 実験① 対流実験 実験② 土砂崩れ実験 【対流実験】 ナレーター 「ミスティはどんなと ころに居たのでしょう か?」       「実際に実験してみよ う!」 ・ 対流実験を通してミスティが居 た場所を再現する。 【土砂崩れ実験】 ・ 雨がたくさん降ると山はどうな るのだろう。 10 休憩 5 価値 的 側 面 問題提起 【4択クイズ】 ・ 実際に自然災害が起きたときど んなことをすればよいのだろう。 (各選択肢にいる児童に考えを聞 く。) 20 技能 的 側 面 ゲーム 【すごろく】 集中豪雨・地震(分岐ルート)、土 砂災害での防災サバイバルゲーム 2 実践 的 側 面 異常気象の物語 (もしもの話) ・ もしエコるんがニコるんの指示通 り す ぐ 避 難 し て い た ら ど う なっていたのだろう。 8 まとめ ・ 児童がこの授業で学んだことや 感想などを発表する。  今回の出前授業を行うに当たって、基本的 な知識からプログラム作りまで、様々な段階 があった。SDGs のための教育づくりに向け て、学校教育の中でどのように水・気候変動 教育を具体化していけばよいかについて、基 礎的な調査研究をしながら、具体的な授業実 践の在り方を探究することから始まった。そ のために、世界の水・気候変動教育の実践動 向を探り、最新の教育実践について、学会の 研究会などで意見を聞き、自ら発表した。更 に、アジア・アフリカ・ヨーロッパなど大陸 を越えて、世界で何が起こっているかを調べ ることも必要であった。また、授業づくりそ のものでも、情意的側面の物語の具体的な キャラクターとそのイメージづくり、認知的 側面の実験用のジオラマづくり、技能的側面 のすごろくの内容とやり方の開発など、様々 な体験をすることができた。 (3)生平小学校の現職研修  岡崎市立生平小学校での出前授業の後、小 学校との研究の連携を更に強化し、水・気候 変動に関する教育実践をサポートするため に、先生方への現職研修を以下の資料で行っ た。 水・気候変動問題から考える SDGs 時代の教育 宇土泰寛(椙山女学園大学)  水からの問いは、まさに人類自らの問い、 つまり人類の歴史への問いであり、未来への 問いでもある。そして、未来社会を担う子ど もたちの教育への問いでもある。  「水・気候変動問題から考える SDGs 時代 の教育」を探究することは、日本の教育を問 い直し、新たな教育創出に大いに役立つこと である。

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1)SDGs と世界の動向  1992 年 の 地 球 サ ミ ッ ト 以 来、ESD、 MDGs 等、様々な対応がなされてきた。そし て、2015 年 9 月の国連持続可能な開発サミッ トで、「持続可能な開発のための 2030 アジェ ンダ」が採択され、17 の目標と 169 のター ゲットを持った目標として提起されたのが、 2016 年から 30 年までの「持続可能な開発目 標(SDGs)」 で あ る。 こ の 目 標 の 中 で、 COP21 のパリ協定は、地球社会全体の切迫 した問題として気候変動をとらえ、その解決 のために、水・気候変動教育も提起しており、 日本でも、SDGs としての水・気候変動教育 やそれにつながる教育の実践的展開が望まれ ているのである。 2)地球と地域の水・気候変動問題と教育  地球の長い歴史と人類の歩み、そして、人 類と地球の未来にかかわる地球温暖化の問題 は、気候変動、異常気象を世界的な規模で引 き起こしており、日本も例外ではない。 気候変動への対策:緩和(mitigation)と適 応(adaptation)  緩和策: 省エネルギー、再生可能エネル ギー、二酸化炭素の吸収する森林 の確保など  適応策: 気温や海水面上昇への人や社会・ 経済の調節による影響の軽減、感 染症、渇水      →  教育の場 省エネルギー、熱 中症、感染症、自然災害等へ の防災教育         気候変動 地球規模の大きな 問題なので、自分の日常生活 の問題ととらえにくい  今までの「地球温暖化」学習 知識の集積  ⇒ 自分事へ、態度形成へ 3)世界の気候変動教育への取り組み  ユネスコは、気候変動教育を重視、SDGs のための教育に関する中で、気候変動に対応  ホールスクールアプローチ    「学校ガバナンス」「教授と学習」「地域 連携」「施設と運営」の 4 つの領域に    「 持 続 可 能 性 の 学 校 文 化(School Culture of Sustainability)」を浸透させ る手法   ①気候変動をすべての教科で   ② 創造的思考・社会的想像力、問題解決 的な思考、協同的な学び   ③ アクション志向の教育と気候アクショ ンのモデル化     生物多様性と自然、エネルギー、水、 交通   ④地域パートナーシップ  知識の集積ではなく、価値変容の教育 4)生平小学校の取り組み  ふるさと学習・愛鳥活動    裏山に小鳥の森 児童と PTA 昭和 53 年(1978 年)    愛鳥活動・ふるさと学習・野鳥クラブ・ 緑を育てる集会・野鳥を知ろう集会    水浴びのバードバス・ジャンボ餌台・巣 箱・野鳥の子育てを手伝う・餌の確保で 栽培    学校を中心とした地域が「愛知県鳥獣保 護地域」に指定 昭和 63 年(1988 年)  愛鳥活動のテーマ     知ろう・学ぼう 野鳥から 守ろう、築 こうふるさとの美を 平成 1 年(1989 年)    学 級 の マ ス コ ッ ト バ ー ド  平 成 4 年 (1992 年)

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   全校縦割り探鳥会 様々なサミットに参 加し発表    ESD 教育の理念のもと愛鳥活動の年間 計画作成 平成 25 年(2013 年)    アサヒ飲料と椙山女学園大学の出前授業 の実施 水・気候変動教育 平成 29 年 (2017 年)  ふるさと学習 身につけさせる力   ・ふるさと発見力  ・問題解決力   ・表現力  生平小学校と SDGs    15:陸の豊かさを守ろう、11:住み続 けられるまちづくり、13:気候変動、6: 安全な水   169 のターゲットと関連させながら   「学びの地図」として展開 5)椙山女学園大学出前授業の構成  水と森の関係を探る 安全でおいしい水が できるまで(椙山女学園大学版)2017 年 〈プログラム概要〉  ①プロローグ 水への問いかけ  ② 水の循環 「エコるん」、「ニコるん」の 水の物語  ③ろ過装置でのきれいになる水の観察  ④山のないブルキナファソの映像  ⑤自らの水の使用量と世界の使用量を問う  ⑥水のすごろく 説明とグループワーク  ⑦学んだことの振り返り  ⑧誓いの地図と水への誓いの言葉

 ⑨ 3 か 国 の「I LOVE WATER」 合 唱 の 映 像  ⑩エピローグ 水への乾杯  態度形成と 4 つの側面論 情意的側面:② 「エコるん」、「ニコるん」の 水の物語 認知的側面:③ ろ過装置での実験と観察        科学的認知による体験的理解      :④ブルキナファソの映像         山や地形など自然環境と世界 への認知的拡大 価値的側面:⑤ 世界の水の使用量と自分の水 の使用量との視覚的な比較と 自らへの問い 技能的側面:⑥ すごろくに描かれている水へ の態度や技能をゲームをしな がら学ぶ 2018 年  ☆ 日常生活(水と森の物語)→異常事態(異 常気象の物語)⇔地球と地域のつながり 異常気象の物語(2018 年版) 6) SDGs としての水・気候変動教育に向け て  大陸間水・気候変動教育プロジェクト:学 校、学びづくりの基盤として、各教科の単元 で学習する「学習の知」を活かし、自らの地 域の「ローカルな知」を創出し、表現ステー ジへと進めていく。そして、大陸を越えて各 国のローカルな知を地球規模の学び合いの場 としての新たな学びのステージに提起し、グ ローバルな知へと探究を深めていく教育実践 の構想力と実践力が重要であると考える。そ の手法として、科学と音楽を融合したミュー ジカル、ショートストーリー、俯瞰的でハン ズオンで学べるジオラマを通したプロジェク ト活動、大陸を越えた交流を創り出すための クロマキー等の技術を使った合成映像、これ らを探究的な学びに活かす AR(拡張現実) などを探究していくことも、新たな時代の教 育実践として探究される必要があると考え る。

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 ⇒  生平小学校の教育実践を、フランス・ ブルキナファソとの大陸を越えた教育 実践として、SDGs15 陸の豊かさを 守ろう(自然環境・気候変動・生態系) の「鳥」を共通テーマにつなぐ。     フランス:ストラスブール 絶滅危惧 種(鳥)シュバシコウ、多文化共生、 交通まちづくり     ブルキナファソ:コシアカツバメ、砂 漠化(水・気候変動)、教育・貧困  学生たちによる出前授業や現職研修をきっ かけに、生平小学校の 3 年生が自分たちで 「SDGs スゴロク」をつくったというニュー スが伝わり、この 2 月に実物を研究室に持っ て来てくれたのである。それは、「森を守ろ う」「水を守ろう」「自然災害から守ろう」「愛 鳥活動・ふるさと学習」の 4 つのゾーンから なるスゴロクで、本当にすばらしいものだっ た。学生たちも、自分たちの活動が子どもた ちに受けつがれたことに対して、大きな感動 を受けたのである。 4.大陸を越えた学校のネットワークを核に した地球社会の未来づくりへ  水・気候変動教育プロジェクトの今回の出 前授業の物語づくりで、世界の現実を渡り鳥 の“とびお”に乗って、エコるん、ニコるん、 しずくちゃんが世界の様子を見る旅に出たの である。そこで、たいへんな洪水が起こって いるインドの次に、学生が取り上げたのが、 水のない国としてのブルキナファソである。  この物語をフランスとブルキナファソの学 校に送ったら、ブルキナファソの先生から、 首都のワガドゥグーで洪水が起こっていると いうメールが返って来た。そして、衛生上の 問題が起こっているとのことだった。  これには、学生もたいへん驚き、やはり、 日本だけでの情報では、わからない世界の現 実があることを実感したのである。これも、 直接、大陸を越えて、ブルキナファソの先生 とメールでのやり取りができたからである。  しかし、21 世紀の今、世界は大陸を越えて、 様々な情報を交換し、実際に対話できる超ス マート社会になってきているにも関わらず、 教育の現場では国内志向が強く、今回の学習 指導要領における社会に開かれた教育課程の 意義として、教育の場の世界に開かれた意識 改革が必要であるとも言える。今回は、その 未来への小さな挑戦でもあったのである。  学校現場へと羽ばたく学生たちが、社会で 新たな未来を拓くことを期待し、単なる国際 交流から、地球的課題を世界の人々と共に解 決していこうとする新たなグローバル教育の 視点から、さらなるプロジェクトの挑戦が必 要と感じる。そのためにも、初等教育レベル での大陸を越えた研究実践ネットワークが必 要であり、図―1 のようなネットワークをフ ランスとブルキナファソにも提案し、実施す ることになったのである。このネットワーク は、大学レベルでの交流は盛んに行われてい るが、日仏の初等教育をはじめ、多くの世界 の初等教育学校において、未来に向けてたい へん意義のある実践がなされているにも関わ らず、交流はあまり行われていないのが現実 である。  このような現実に対して、未来の地球社 会、地域社会に大きな影響を及ぼす国連の SDGs とパリ協定を共通課題として、日仏が 核になりながら、大陸を越えて、ブルキナファ ソ、その後は、ブラジル、オーストラリア等

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ともネットワークを創り、地球社会の未来づ くりに貢献することを目指して、大陸間水・ 気候変動教育プロジェクトは活動を行ってい る。  この活動は、2014 年の ESD 世界会議が日 本で開催され、日本でのユネスコスクール加 盟校が増えたにも関わらず、自らの地域のみ に留まっている学校が大半であり、世界との ネットワークづくりのモデルにもなりうるプ ロジェクトとも言える。  そのために、日本の教育界にも広げること を目的として以下のように、今後の予定を組 んでいる。  ① パリでの地球子ども広場と大陸間教育交 流 2019 年 3 月    パリ日本文化会館 「地球子ども広場で の大陸を越えた学び合い活動」  ② 日本国際理解教育学会 国際シンポジウ ム 2019 年 6 月   シンポジウムテーマ    大陸を越えた学びの場としての地球子ど も広場と多文化共生の学校・地域づくり    ~日本・ブルキナファソ・フランスの学 び合い活動を中心に~    ブルキナファソ・フランスの学校関係者 を日本に招聘しての国際シンポジウム   会場:名古屋市・椙山女学園大学  ③ 東海ブロック国際理解教育研究大会 国 際教育交流とシンポジウム 2019 年 11 月    シンポジウムテーマ    多文化共生の心を育み、持続可能な社会 づくりをめざした国際理解教育    ~「愛・地球」つなげよう学びの世界地 図~   会場:名古屋市・椙山女学園大学 図―1 大陸間水・気候変動教育ネットワーク

参照

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