岡 山 医 誌 (1993) 105, 15∼27
PIE症 候群 の病態 に関 す る研究
第2編
PIE症
候 群 に お け るAspergillus抗
原 を
中 心 と し た 免 疫 学 的 検 討
岡 山大学 医学 部 第二 内科 学教 室(指 導:木 村郁 郎教 授)
佐
藤
恭
(平成4年10月1日
受稿)
Key words: Allergic bronchopulmonary aspergillosis, bronchoalveolar lavage, lymphocyte blastogenesis, PIE syndrome
緒 言
Pulmonary infiltration with eosinophilia syndrome(以 下:PIE症 候 群)の 成 因 に つ い て は,広 範 な 原 因 物 質 を 包 含 す る た め か 不 明 で あ る こ とが 多 く,発 生 機 序 の 詳 細 は 依 然 と して 明 ら か で は な い.し か し な が ら 薬 剤,真 菌,寄 生 虫 等 を 原 因 とす るPIE症 候 群 で は,そ の 病 態 に ア レル ギ ー 反 応 の 関 与 す る こ とが 次 第 に 解 明 さ れ つ つ あ る.Allergic bronchopulmonary asper gillosis(以 下:ABPA)は,1952年Hinsonら1)
に よ っ て 報 告 され て 以 来,英 国 を 主 と し て 多数 の 症 例 が 報 告2-6)さ れ て い る.PIE症 候 群 の 中 で はCrofton7)の 分 類 の Ⅲ 型Asthmatic pulmo nary eosinophiliaに 分 類 さ れAspergillus抗 原
に 対 す る種 々 の ア レ ル ギ ー 反 応 の 関 与 が 推 察 さ れ て い る.著 者 は 第1編 に お い て 気 管 支 肺 胞 洗 浄,bronchoalveolar lavage (BAL)8)9)に よ り, PIE症 候 群 の 肺 局 所 細 胞 反 応 に つ い て 検 討 し, 好 酸 球 以 外 に も リン パ 球,好 中球 な ど 多彩 な 細 胞 反 応 が 伴 っ て お り,複 雅 な 免 疫 ア レ ル ギ ー 機 序 の 存 在 が 推 定 さ れ た.一 方 で は 環 境 因 子 と し て 抗 原 の 存 在 と共 に,宿 主 側 に お け る 免 疫 異 常 の 存 在 が 本 症 発 症 の 上 で 重 要 と考 え られ て い る. 本 編 で はPIE症 候 群 の 中 で 抗 原 の 明 らか な ABPAと 共 に,Aspergillusの 慢 性 感 染 症 で あ り,病 像 の 異 な るAspergillomaに お い て, Aspergillus抗 原 に 対 す る宿 主 免 疫 能 につ い て の 検 討 を 行 っ た の で 報 告 す る. 対 象 と 方 法 1. 対 象 1) ABPA 当科 に お い てABPAと 診 断 し た症 例 は7例 (男性2例,女 性5例)で,年 齢 は 中 央 値 で48 歳(29∼69歳)で あ っ た.こ れ らの 症 例 は全 て 広 汎 な 気 管 支 攣 縮 発 作,即 ち 気 管 支 喘 息 と し て の 病 歴 を有 し て お り,そ の 罹 病 期 間 は1∼28年 で あ り中 央 値 は8.9年 で あ っ た.肺 浸 潤 影 は 全 例 に 認 め られ,そ の 全 て が 移 動 す る 陰 影 で あ っ た. ま た 中 枢 性 気 管 支 拡 張 症 に つ い て は,気 管 支 造 影 を行 っ た4例 中3例 に 証 明 され た.経 過 中, 喀 痰 中 にAspergillus菌 体 が7例 中5例 に検 出 さ れ た.ま た 褐 色 栓 子 の 喀 出 に つ い て も7例 中 5例 で 認 め ら れ た.末 梢 血 好 酸 球 増 多 は 全 例 に 認 め られ,好 酸 球 比 率 で は 平 均24.4 (15∼41)%, 好 酸 球 密 度 で は2560 (170∼4340)/mm3と 種 々 の 程 度 に 全 例 で 増 加 し て い た.こ の 他 に 後 述 す る検 査 成 績 を含 め,こ れ ら の 症 例 は 全 てRosenberg の 診 断 基 準10)を 満 た して お り,い ず れ もABPA と診 断 され た(Table 1).こ の7例 中3例 で BALを 施 行 した. 2) Aspergilloma 当 科 に お い て 肺 結 核 の 既 往 歴 の あ る 患 者,あ 15
る い は 現 在 治 療 中 の 患 者 に,胸 部X線 上fungus ballを 空 洞 内 に 認 め,持 続 的 なAspergillus菌 体 の 喀 出 が 証 明 さ れ る か,経 気 管 支 肺 生 検 に よ る 空 洞 壁 の 生 検 組 織 中 にAspergillusを 認 め た 男 性8例 を 疾 患 対 照 と し た 。 年 齢 は47∼73歳 に わ た り 中 央 値 は62歳 で あ っ た. 3) 健 康 人 対 照 ア レ ル ギ ー 疾 患 を有 さ な い健 康 な 当科 教 室 職 員24例(男 性24例,女 性0例)で 年 齢 は24∼33 歳 に わ た り中 央 値 は28歳 で あ っ た.
Table 1 Criteria for the diagnosis of allergic bronchopulmonary
aspergillosis (ABPA) in seven patients.
2. 方 法
1) Aspergillus fumigatus (Af)抗 原,PPDに よ る皮 膚 反 応 Af抗 原 は 鳥 居 社 製 診 断 用10,000倍 液 を 用 い, 前 腕 皮 内 へ0.02ml注 射 し,20分 後,8時 間 後, 48時 間 後 に 計 測 し,各 々 を即 時 型,遅 発 型,遅 延 型 反 応 と し た.判 定 は 石 崎 ら11)の 皮 膚 反 応 判 定 基 準 に 従 っ て 行 っ た.即 ち,膨 疹 直 径5mm以 下,ま た は 発 赤 直 径9mm以 下 を 陰 性,膨 疹 直 径 6∼9mmま た は 発 赤 直 径10∼19mmを 疑 陽 性,膨 疹 直 径10∼14mm,ま た は 発 赤 直 径20∼39mmを 陽 性,膨 疹 直 径15mm以 上 ま た は 発 赤 直 径40mm以 上 を強 陽 性 と判 定 し た. PPDは 日本 ビー シー ジー 社 製 一 般 診 断 用(5 μg/ml) 0.1mlを 前 腕 に 皮 内 注 射 し,48時 間 後 に 計 測 し た.判 定 は4mm以 下 を陰 性,5∼9mmを 疑 陽 性,10∼19mmを 陽 性,20mm以 上 を強 陽 性 と 判 定 し た.
2) 血 清 総IgE値,Aspergillus RAST score の 測 定
血 清 総IgE値 は プ リ ス トIgEキ ッ ト “第 一 ” を 用 いIgE paper radioimmunosorbent test
(PRIST)に よ り 測 定 し た.Aspergillus RAST scoreはRASTキ ッ ト“第 一 ”を 用 いradioaller
gosorbent testに よ り 測 定 し,score 0∼4ま で を 判 定 し た. 3) Af抗 原 に 対 す る 沈 降 抗 体 の 測 定 ゲ ル 内 二 重 拡 散 法(Ouchterlony法)12)を 用 い て 測 定 し た.隣 接 す るwellに 各 々Hoilister-Stier社 製 ス ク ラ ッ チ 用Af抗 原 液 と 被 験 者 血 清 を 滴 下 し,72時 間 後 に 沈 降 線 の 明 瞭 さ,線 の 数 よ り(1+)∼(3+)ま で の 半 定 量 を 行 っ た. 4) BAL法 BALは 第1編 で 記 載13)の ご と く気 管 支 鏡 を 右 肺 中 葉 にwedgeし,生 理 食 塩 水50mlを4回, 合 計200mlを 注 入,吸 引 し,回 収 さ れ た 洗 浄 液 は フ ィ ル タ ー で 濾 過 後,細 胞 成 分 を 遠 心 分 離 し, 細 胞 数 の 算 定 並 び に 細 胞 分 類 を 行 い,一 部 は lymphocyte blastogenesisに 用 い た.
5) Af抗 原,PHAに 対 す るlymphocyte blas togenesis
BAL液 中 リ ン パ 球 は,マ ク ロ フ ァ ー ジ の 除 去 な ど のpopulationに 影 響 を 与 え る 操 作 は 行 わ ず, リ ン パ 球 数 で5×105/mlと な る よ う に10% FCS
ABPAの
免疫 学 的検 討
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加RPMI 1640に て 調 整 し た.末 梢 血 リン パ 球 は ヘ パ リ ン加 末 梢 血 よ りConray-Ficoll比 重 遠 沈 法 に よ り単 核 球 を分 離 し,リ ンパ 球 数 で1×106/ mlと な る よ うに10% FCS加RPMI 1640に て 調 整 し た.各 々 の リ ン パ 球 浮 遊 液 を100μlず つ microplate (Nunc社 製)の 各wellに 分 注 し た. Af抗 原 凍 乾 末(鳥 居 薬 品 製)はRPMI 1640に て10mg/mlに 調 整 し,さ ら にAf抗 原 液 をRPMI 1640に て5倍,25倍,125倍 に 各 々 希 釈 し た3濃 度 の 抗 原 液 を作 製 した.各 濃 度 の 抗 原 をtripli cateに て 各wellに50μlず つ 添 加 し,37℃ に て 6日 間 培 養 し た.ま たPHA (Gibco)に っ い て は150μg/mlの 濃 度 に 調 整 し,そ の50μlを 同 じ く triplicateに て 各wellに 添 加 し,4日 間 培 養 し た.培 養 終 了7時 間 前 に3H-thymidine 1μCiを 各wellに 加 え,automatic cell harvesterに て 細 胞 成 分 を採 取 し,liquid scintillation counterに てDPMを 測 定 し た.抗 原 あ る い はPHA非 添 加 培 養 に お け るcontrol DPMを 同 時 に 測 定
し,添 加 培 養 のDPMと の 比 を 求 め て,stimula tion index (SI)と し,各 抗 原 濃 度 の 内,最 も高
い 反 応 性 を示 したSI値 を も っ て 表 した. 成 績 1. Af抗 原 に 対 す る 各 免 疫 学 的 検 査 1) Af抗 原 並 び にPPDに よ る 皮 膚 反 応 Af抗 原 に よ る即 時 型 皮 膚 反 応 で は,ABPAで 陽 性4例,強 陽 性3例 と7例 全 例 が 陽 性 で あ っ た. 一 方,検 査 を実 施 したAspergilloma 6例 で は 疑 陽 性3例,陽 性1例,強 陽 性2例 で あ り,3 例 が 陽 性 で あ っ た.遅 発 型 反 応 で はABPAで 陽 性4例,強 陽 性1例 と7例 中5例 が 陽 性 で あ り2例 は 陰 性 で あ っ た.ま たAspergillomaで は3例 が 陽 性,3例 が 陰 性 で あ っ た.遅 延 型 反 応 で はABPAで 陽 性4例,強 陽 性1例 と7例 中5例 が 陽 性 で,2例 は 陰 性 で あ った.Aspergil lomaで は3例 が 陽 性,3例 が 陰 性 で あ っ た (Table 2). PPDに よ る 皮 膚 反 応 はABPA 7例 で 疑 陽 性 1例,陽 性2例 で あ り,陰 性 は4例 で あ っ た. corticosteroid(以 下:ス テ ロ イ ド)非 投 与 時 の ABPA 4例 で は 陽 性1例,陰 性3例 で あ っ た. Aspergilloma 7例 で は 強 陽 性1例,陽 性3例, 疑 陽 性1例,陰 性2例 で あ っ た.ABPAと Aspergilloma両 群 に お け るPPD陰 性 例 は い ず れ も,以 前 の 病 歴 あ る い は 検 査 成 績 か らPPDの 陰 転 化 と推 定 さ れ た.Af抗 原 とPPDの 遅 延 型 皮 膚 反 応 の 関 連 で は,施 行 した13例 中ABPAの 2例 とAspergillomaの3例 を除 い た8例 に 一 方 が 陽 性 の 場 合,他 方 が 陰 性 で あ っ た(Table 2),
2) 血 清 総IgE値 とAspergillus RAST Score ABPAに お い て血 清 総IgE値(RIST)は 平 均3400 (1500∼7700)IU/mlと 種 々 の 程 度 に 全 例 で 増 加 して い た.IgE RAST scoreは 症 例7を 除 く6例 に 陽 性 で あ り,scoreは2∼3で あ っ た. RAST score陽 性 者6例 で は,皮 膚 反 応 の 即 時 型 とほ ぼ 相 関 し て い た が,遅 発 型,遅 延 型 との 関 連 は な か っ た.一 方,Aspergillomaで は 血 清 総IgE値 は2例 で810, 8210 IU/mlと 高 値 で あ っ たが,他 の4例 は 正 常 範 囲 であ った.IgE RAST scoreは 検 討 さ れ た5例 全 例 が 陰 性 で あ っ た (Table 2).
Table 2 Skin reactivity to Af antigen and PPD,
serum
IgE
(RIST
& RAST)
and
precipitating
antibody of patients with
ABPA and aspergilloma.
3) Af抗 原 に 対 す る 沈 降 抗 体 ABPAに お け るAf抗 原 に 対 す る 沈 降 抗 体 の 半 定 量 検 査 の 成 績 で は,7例 全例 で(1+)∼(3+) と種 々 の 程 度 に 陽 性 で あ っ た.Aspergillomaに お い て も 同 様 に8例 全 例 で(1+)∼(3+)と 陽 性 で あ っ た(Table 2).
4) Af抗 原 に対 す るABPA及 びAspergilloma の 末 梢 血 リ ンパ 球 の 反 応 性 健 康 人 対 照24例 に お け る,末 梢 血 リ ン パ 球 の Af抗 原 に 対 す る 反 応 性 の 検 討 で はSI 1.22± 0.64 (mean±SD)に 対 し,ABPA 7例 で は 4.32±2.75と 健 康 人 対 照 に 比 べ 有 意 に 反 応 性 の 亢 進(p<0.05)を 認 め,ス テ ロ イ ド非 投 与 時 の 4例 の み で はSI 6.08±2.18と さ らに 高 い 反 応 性 亢 進(p<0.05)を 認 め た.ま たAspergilloma 8例 に お い て もSI 7.63±3.85と 健 康 人 対 照 に 比 べ 有 意 に 反 応 性 は 亢 進 して い た(p<0.01). ABPAとAspergilloma両 群 間 で は リンパ 球 反 応 性 の 差 は 認 め られ な か っ た(Fig. 1).
Fig. 1 Peripheral blood lymphocyte blas togenesis induced by Af antigen in patients with ABPA and aspergilloma. Significantly higher responsiveness of
lymphocyte of ABPA and aspergilloma was shown.
ABPA: steroid (-)
Aspergilloma
Fig. 2 Relationship between lymphocyte blas
togenesis
of peripheral
blood
and
delayed type skin reaction to Af antigen
and PPD.
5) 末 梢 血 リン パ 球 幼 若 化 反 応 と遅 延 型 皮 膚 反 応 の 関 係 ABPAとAspergillomaに お け る皮 膚 反 応 検 査 に お い て,Af抗 原 とPPDに 対 す る 遅 延 型 皮 膚 反 応 を,陽 性 並 び に 疑 陽 性 ・陰 性 の 症 例 に 区 分 して,各 々 の 群 に お け るAf抗 原 に 対 す る末 梢 血 リン パ 球 の 反 応 性 を比 較 し た. Af抗 原 で は 遅 延 型 皮 膚 反 応 陽 性8例 でSI 5.25±3.30,陰 性5例 でSI 5.24±3.20, PPD に つ い て は 陽 性6例 でSI 3.64±1.48,疑 陽 性 ・ 陰 性8例 でSI 7.41±4.02とPPD陽 性 の 群 で 低 値 で あ り,PPD疑 陽 性 ・陰 性 の 群 が 高 値 で あ っ た.次 に ス テ ロ イ ド投 与 後 のABPA 3例 を 除 い た 比 較 で は,Af抗 原 陽 性6例SI 6.52± 2.71,陰 性4例SI 5.74±3.44, PPD陽 性5例 SI 4.19±0.72,疑 陽 性 ・陰 性6例SI 9.05±3.10 とAf抗 原 陽 性 及 びPPD疑 陽 性 ・陰 性 の 群 で 高 値 で あ り,Af抗 原 陰 性 及 びPPD陽 性 の 群 で 低 値 で あ っ た.さ らにAf抗 原 陽 性 並 び にPPD 陰 性 群4例 に つ い て検 討 す る とSI 7.62±2.67ABPAの
免疫 学 的検 討
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で あ っ た.同 様 にSI 5.0以 上 の 反 応 性 の 亢 進 を 認 め た5例 中4例 がAf抗 原 陽 性 で あ り,6例 中5例 がPPD皮 膚 反 応 陰 性 で あ っ た(Fig. 2). 2. Af抗 原 に よ る末 梢 血 リンパ 球 幼 若 化 反 応 に 対 す る ス テ ロ イ ド治 療 の 影 響 ス テ ロ イ ド非 投 与 時 に お け るABPA 4例 の Af抗 原 に 対 す る 末 梢 血 リンパ 球 幼 若 化 反 応 はSI 6.08±2.18と 著 明 に 亢 進 し て い た.一 方 ス テ ロ イ ド投 与 後 に 測 定 し た5例 に お け る反 応 性 はSI 1.78±0.87と 有 意(p<0.05)に 低 下 し て お り, 健 康 人 対 照SI 1.22±0.64と 差 を認 め な くな っ て い た.ま た ス テ ロ イ ド投 与 前 後 に 測 定 し た2 例 で は,ス テ ロ イ ド投 与 前SI 4.34, 4.44に 対 し,投 与 後 に は 各 々SI 1.01, 1.98と 低 下 し て い た(Fig. 3).Fig. 3 Lymphocyte blastogenesis of peripheral blood induced by Af antigen in patients
with ABPA before and after corticoster oid therapy. 3. 臨 床 経 過 と検 査 成 績 の 経 時 的 変 動 経 過 を追 え た 症 例3に お け る,呼 吸 器 症 状, 肺 浸 潤 影 の 出 現 して い る ス テ ロ イ ド非 投 与 時 の 成 績 で は,血 清 総IgE値 は1785I.U/ml.,末 梢 血 好 酸 球 密 度(比 率)は4064/mm3 (32%)と い ず れ も 高 値 で あ り,Af抗 原 に 対 す る 末 梢 血 リン パ 球 の 反 応 性 もSI 4.34と 亢 進 し て い た.ス テ ロ イ ド 投 与 後 は 肺 浸 潤 影 が 消 退 し,呼 吸 器 症 状 も消 失 し た 時 期 に は,血 清 総IgE値 は365I.U/ml,末 梢 血 好 酸 球 密 度(比 率)82/mm3 (1%)と 低 下 し, ま たAf抗 原 に 対 す る反 応 性 もSI 1.01と 低 下 して い た.し か し な が ら ス テ ロ イ ド減 量 中,再 び 肺 浸 潤 影 が 出 現 し咳 嗽,喘 鳴 の 出 現 し た 時 期 に は 血 清 総IgE値1607I.U/ml,末 梢 血 好 酸 球 密 度(比 率)936/mm3 (9%)と 再 び 上 昇 を 認 め,Af 抗 原 に 対 す る反 応 性 に つ い て もSI 5.20と 上 昇 して い た.こ こ で ス テ ロ イ ドを 増 量 す る こ とに よ り再 び 臨 床 所 見 及 び 検 査 値 が 改 善 す る と共 に, 末 梢 血 リン パ 球 の 反 応 性 もSI 1.80と 再 度 低 下 した(Fig. 4). 症 例3と 同 様 に症 例4に お い て も臨 床 症 状 と して 呼 吸 困 難 が 強 く,肺 浸 潤 影 の 出 現 して い る 時 期 に お け る ス テ ロ イ ド非 投 与 時 の 血 清 総IgE 値 は1500I.U/ml,ま た 末 梢 血 好 酸 球 密 度(比 率) は4346/mm3 (41%)と 高 値 を 示 して お り,末 梢 血 リン パ 球 のAf抗 原 に 対 す る反 応 性 もSI 4.44 と亢 進 し て い た.ス テ ロ イ ド投 与 と共 に,臨 床 所 見 の 改 善 に一 致 して 血 清 総IgE値680I.U/ml, 末 梢 血 好 酸 球 密 度(比 率)306/mm3 (4%)と 低 下 し,Af抗 原 に 対 す る反 応 性 もSI 1.98と 低 下 し た(Fig. 5). 4. PHAに 対 す る末 梢 血 リン パ 球 の 反 応 性 ス テ ロ イ ド非 投 与 時 に 検 討 で き たABPA 4 例 に お け る末 梢 血 リン パ 球 のPHAに 対 す る反 応 性 はSI 46.31±15.35で あ り,健 康 人 対 照24 例 のSI 34.74±12.40と 比 較 して,や や 高 値 と な る傾 向 で あ っ た.ま た ス テ ロ イ ド投 与 時 に 測 定 し た5例 で はSI 43.71±12.51で あ り,ス テ ロ イ ド投 与 に よ るPHAに 対 す る リン パ 球 の 反 応 性 に は 変 化 を 認 め な か っ た(Fig. 6). 5. ABPAのBAL液 中 リン パ 球 のAf抗 原 に 対 す る 反 応 性 ス テ ロ イ ド非 投 与 時 のABPA 3例 に お い て BALを 施 行 し た.こ の 時 のBAL液 中総 細 胞 数6.45±6.66×106で あ り,細 胞 分 類 で は マ クロ フ ァー ジ54.1±28.8%,リ ン パ 球19.4±1.46%, 好 中 球19.7±28.7%,好 酸 球6.77±4.7%,好 塩 基 球/肥 満 細 胞0.06±0.12%と リンパ 球 と顆 粒 球 の 増 加 が 認 め ら れ た(Table 3).BAL液 中 リ ン パ 球 のAf抗 原 に 対 す る 反 応 性 は,各 々SI 8.29, 11.34, 3.87 (7.83±3.76)で あ り,健 康
人 対 照7例 のSI 0.80±0.22と 比 べABPAに お い て 反 応 性 亢 進 が 認 め ら れ た(Fig. 7).こ の ABPA 3例 の 末 梢 血 リ ンパ 球 の 反 応 性 に つ い て もSI 6.57, 8.97, 4.34と 亢 進 が 認 め られ て お り,症 例 が 少 な い もの のBAL液 中 リン パ 球 の 反 応 性 との 間 に(r=0.992)正 の 相 関 が窺 わ れ, 肺 局 所 に お い てAf抗 原 に 感 作 さ れ た リン パ 球 が し 末 梢 血 中 へ 移 行 して い る 可 能 性 が 示 唆 され た(Fig. 8). Fig. 4 Clinical course and laboratory findings in case 3 with ABPA.
Laboratory findings as eosinophil percents in peripheral blood, serum IgE level and lymphocyte blastogenesis were corelate with clinical severity of symptons.
Fig. 5 Clinical course and laboratory findings in case 4 with ABPA.
Fig. 6 PHA response of peripheral blood lymphocyte in patients with ABPA.
Corticosteroid therapy did not alter the lymphocyte response to PHA.
ABPAの
免 疫 学的検 討
21
Table 3 BAL findings of 3 cases with ABPA.
Fig. 7 Blastogenic response of BALF lymphocyte induced by Af antigen in patients with ABPA.
Fig. 8 Corelation of between lymphocyte blas togenesis in BALF and peripheral blood.
考 察
真 菌 は 至 る 所 に 普 遍 的 に 存 在 し,四 季 を 通 じ て 放 出 さ れ る 胞 子 の 総 数 は 空 中 花 粉 よ り,は る か に 多 い と い わ れ て い る14).室 内 外 で 高 率 に 検 出 さ れ る 空 中 真 菌 胞 子 と し て は,Cladosporium, Penicillium, Alternaria, Candida, Aspergillus
等15)が 検 出 さ れ る.そ の う ち のAspergillus (A) 属 に はA. fumigatusの 他,A. flavus, A. nidulans, A. niger, A. terreus, A. oryzae等 が
存 在 し,通 年 性 に 検 出 さ れ,季 節 的 変 動 は 少 な く,胞 子 は10μm前 後 と 花 粉 よ り 小 さ く,呼 吸 器 疾 患 と の 関 連 で そ の 重 要 性 が 広 く認 識 さ れ て い る.真 菌 発 育 の 至 適 温 度 は,一 般 的 に18∼32℃ 程 度 で あ る が,Aspergillus属(特 にA. fumigatus)は 人 の 体 温 で あ る37℃ 前 後 で も よ く 発 育 す る.Aspergillusを は じめ とす る真 菌 類 が 肺 臓 に 対 す る 臓 器 親 和 性(病 原 性)を 有 す る16)17) こ とは よ く知 ら れ て お り,大 多 数 の症 例 で は 気 道 を 介 して 侵 入 し,気 管 支 や 肺 に 種 々 の病 巣 を 形 成 す る.肺 ア ス ペ ル ギー ル ス 症 は 非 ア レ ル ギ ー 性 疾 患 で あ る肺 炎 型 及 び 菌 球 型 と,ア レル ギ ー 性 疾 患 で あ るABPAと に 大 別 さ れ る.肺 炎 型 は 特 に 宿 主 免 疫 能 低 下 に 際 し て 生 じ,菌 球 型 はそ の 多 くが 既 存 の 空 洞や 嚢 胞 な どの 中 にAsper gillUSに よ る 菌 球 を 形 成 す る 限 局 型 の 病 変 で Aspergillomaと 呼 称 さ れ る.今 回 検 討 し た Aspergilloma症 例 は全 て結 核 性 空 洞 に続 発 した もの で あ っ た.一 方,Aspergillusに よ る ア レ ル ギ ー 性 疾 患 と して は 気 管 支 喘 息18),過 敏 性 肺 臓 炎19),ABPA1-6)等 の 病 像 形 成 が知 られ て い る. ABPAに お い て は ア トピ ー 素 因 と共 に,種 々 の ア レ ル ギー 反 応 の 関 与 が 推 定 さ れ て お り,今 回 ABPAとAspergillomaを 対 比 してAspergil lusに 係 る免 疫 学 的 機 序 の 解 析 を 行 っ た. 今 回 検 索 したABPA 7例 に お い て 末 梢 血 好 酸 球 は 平 均24.4%と 増 加 して お り,BALを 施 行 し た3例 のBAL液 中 好 酸 球 も平 均6.77%と 増 加 を 認 め た.ま た 皮 膚 反 応 で は,7例 全 例 にAf 抗 原 を用 い た即 時 型 反 応 を認 め,血 清 総IgE値
は1500∼7700I.U/mlと い ず れ も上 昇 が 認 め られ た.ま たAf抗 原 特 異 的IgE RAST scoreは7 例 中6例 に お い て 陽 性 で あ り,陰 性 の1例 に つ
い て は 以 前 か ら断 続 的 に 行 わ れ た ス テ ロ イ ド投 与 の 影 響20)が 考 え ら れ た.一 方,疾 患 対 照 と し て のAspergillomaで の 血 清 総IgE値 は2例 の み で 高 値 で あ り,RAST scoreは 全 例 陰 性 で あ っ た.ABPAで はAspergillus特 異 的IgEが 高 値 で あ り,本 症 に お け る好 酸 球 増 多 機 序 の 一 部 にIgEを 介 す るECF-A21)が 関 与 し て い る と 思 わ れ た.Pattersonら22)はAf抗 原 感 作Tリ ン パ 球 がnon-specific IgE-stimulating factor を放 出 しIgE産 生 が 亢 進 し,ま たAf抗 原 が suppressor T-cellを 抑 制 す る機 序 も推 定 して お り,Af抗 原 刺 激 を 受 けIgE高 値 とな っ た 宿 主 に お い て は,こ の 様 な 機 序 が 働 い て い る こ とが 推 察 さ れ た. 気 管 支 喘 息 の 粘 稠 な 喀 痰 や Ⅰ型 ア レ ル ギ ー 反 応 に よ る 反 応 産 物 がAspergillus発 育 の よ い 培 地 と な り,更 に 多 量 の 抗 原 が 作 用 す る こ と に よ り,沈 降 抗 体,ELISA法 に よ るspecific IgG23)24), Arthus型 の 皮 膚 反 応 等 に証 明 さ れ る III型ア レ ル ギ ー 反 応 が 惹 起 さ れ る.こ の 沈 降 抗 体 と抗 原 が 形 成 す るimmune complexも 重 要 な役 割 が 推 定 さ れ て お り,ア レ ル ギ ー 反 応 に よ る 局 所 の 血 管 透 過 性 の 亢 進,好 中 球 遊 走,補 体 の 活 性 化 か ら局 所 の 炎 症 反 応,組 織 破 壊 を もた ら し25),繰 り返 す 好 酸 球 肺 浸 潤26)27)と共 に 慢 性 化 例 に お け る 肺 の 線 維 化,中 枢 性 気 管 支 拡 張 に 見 ら れ る 気 管 支 壁 破 壊 な ど を も た らす と考 え ら れ て い る,今 回検 討 し たABPA 7例 全 例 に お い てOuchterlony法12)に よ るAspergillusに 対 す る 沈 降 抗 体 が 認 め ら れ て い る.ま た7例 中 5例 にAf抗 原 に よ る 遅 発 型 皮 膚 反 応 が 認 め ら れ た.沈 降 抗 体 と抗 原 の 反 応 す る Ⅲ 型 ア レル ギ ー 反 応 のABPAの 病 態 に お け る好 酸 球 の 増 多 , 肺 浸 潤 に 補 体 由 来 のECF-C28)29)の 関 与 が 窺 わ れ て い る.ABPAのBAL液 中 に 好 酸 球 と共 に 増 加 す る 好 中 球 も,Ⅲ 型 ア レ ル ギ ー 反 応 の 関 与 に よ り集 積 し て い る可 能 性 が あ り,肺 組 織 の 器 質 的 障 害 の 進 展 に お い て 重 要 と考 え ら れ る.ま たAspergillomaに お い て も遅 発 型 皮 膚 反 応 は 6例 中3例 と半 数 の 症 例 で の み 陽 性 で あ った が, 沈 降 抗 体 は全 例 陽 性 で あ り,ABPAと 同 様 に 器 質 的 肺 病 変 の 形 成 に 免 疫 複 合 体 や 活 性 化 補 体 成 分 が,重 要 な 役 割 を 果 た して い る可 能 性 が 考 え ら れ た. ABPAの 肺 組 織 中 に は好 酸 球 の 浸 潤 と共 に, 肉芽 腫 の 形 成 と単 核 球 の 浸 潤 が 報 告30)31)され て い る.ま たAspergillomaに お い て も 肉 芽 腫 形 成32)を 伴 う こ と が知 られ て い る.従 っ て リン パ 球,マ ク ロ フ ァ ー ジ 系 の 関 与 す る Ⅳ 型 ア レ ル ギ ー 反 応 が こ れ ら の 疾 患 に お い て 働 い て い る こ と が 示 唆 され て い る.ABPAに お け る 細 胞 性 免 疫 の 関 与 に つ い てRosenbergら10)は 全 血 法 を 用 い てlymphocyte blastogenesisを 行 い6例 中 5例 に 幼 若 化 反 応 の 亢 進 を認 め,ABPAに はAf 抗 原 感 作 リ ンパ 球 の 存 在 す る こ と を報 告 して い る.し か しな が らHaslamら33) .はABPA 9 例,Aspergilloma 3例 に 全 血 法 に よ る lymphocyte blastogenesisを 行 い,各 々1例 ず つ に 反 応 性 亢 進 を認 め た の み で あ り,Af抗 原 に よ る 皮 膚 反 応 で も遅 延 型 反 応 は 殆 ど認 め ず,Af 抗 原 感 作 リ ンパ 球 の 関 与 に 否 定 的 な報 告 を して い る .一 方,末 梢 血 か ら分 離 し た リン パ 球 に よ るblastogenesisで はFormanら34)がABPA 5例,Aspergillbma 4例 に お い て,Aspergil lomaの1例 を除 い て,い ず れ もAf抗 原 に 対 す る 反 応 性 亢 進 を認 め て い る.今 回 の 検 討 で は Af抗 原 を 用 い た 皮 膚 反 応 に お い て,遅 延 型 は ABPA 7例 中5例 が 陽 性 で あ り,Aspergilloma で は 施 行 して い な い2例 を 除 い た6例 中3例 が 陽 性 で あ っ た.ま た 末 梢 血 リ ンパ 球 のAf抗 原 に 対 す るblastogenesisが ス テ ロ イ ド非 投 与 時 のABPA 4例,Aspergilloma 8例 に お い て 平 均SI 6.08, SI 7.63と 各 々 著 明 に 亢 進 し て お り, 両 群 共 に リ ンパ 球 のAf抗 原 に 対 す る反 応 性 の 亢 進 を 認 め た が,ABPAとAspergillomaの 間 に 明 ら か な 差 は 見 られ な か っ た.ABPA 3例 で 施 行 したBALに よ る検 討 で は,好 酸 球,好 中 球 と共 に リ ンパ 球 が 肺 局 所 で 増 加 し て お り,こ の リ ン パ 球 のAf抗 原 に 対 す る 反 応 性 は 平 均SI 7.83と 亢 進 して お り,少 な く と もABPAの 肺 局 所 に は,Af抗 原 感 作 リンパ 球 が 存 在 し て お り, 病 像 形 成 に Ⅳ 型 ア レ ル ギー 反 応 の 関 与 し て い る こ とは 明 らか と考 え られ た.一 方,Af抗 原 に 対
ABPAの
免 疫 学的検 討
23
す るlymphocyte blastogenesisがSI 5.0以 上 に 亢 進 した6例 中5例 で は,PPD皮 膚 反 応 は 陰 転 化 して お り,Af抗 原 に 対 す る リン パ 球 の 特 異 的 な反 応 に伴 い産 生 され るMIFな どのlympho kineに よ る 影 響35)と 考 え ら れ た. ス テ ロ イ ド治 療 のlymphocyte blastogenesis に 対 す る 影 響 の 検 討 で は,ABPAに ス テ ロ イ ド を投 与 し た と こ ろAf抗 原 に 対 す る 末 梢 血 リ ン パ 球 の 反 応 性 は 平 均S .I 6.08か ら,平 均S.I 1.78 ま で 低 下 し た.ま た ス テ ロ イ ド投 与 前 後 で経 時 的 に 検 討 で き た2例 で は,ス テ ロ イ ド投 与 と共 に 反 応 性 は低 下 し,ス テ ロ イ ド減 量 に 伴 っ て 反 応 性 が 再 度 亢 進 す る こ と が 示 され た.し か し な が らFormanら34)はABPAとAspergilloma に お い て,Af抗 原 に 対 す る リン パ 球 の 反 応 性 は, 病 勢 や 肺 病 変 の 活 動 性,そ の 他 の 免 疫 学 的 検 査 と相 関 し な か っ た と述 べ て い る.今 回検 討 し た 成 績 で は 症 例3,4の い ず れ に お い て も,Af抗 原 に 対 す る 末 梢 血 リン パ 球 の 反 応 性 は,臨 床 症 状,胸 部 浸 潤 影,末 梢 血 好 酸 球,血 清 総IgE値 の い ず れ と も相 関 が 認 め られ,ABPAの 病 状 を 反 映 して お り,病 態 形 成 に 密 接 に 関 連 す る と考 え られ た. 末 梢 血 リンパ 球 の 非 特 異 的T-cell mitogenで あ るPHAに 対 す る反 応 性 の 検 討 で は,ス テ ロ イ ド投 与 群 に お い て や や 低 下 傾 向 が 見 られ た の み で,経 時 的 に 検 討 した2例 に お い て もあ ま り 変 化 しな か っ た.一 方,Af抗 原 に 対 す る 反 応 性 は 著 明 に 抑 制 され て お り,ス テ ロ イ ドが 抗 原 特 異 的 な リン パ 球 の 反 応 の み を抑 制 し,非 特 異 的 なmitogenで あ るPHAに 対 す る 反 応 は 影 響 を あ ま り受 け な い もの と思 わ れ た.Rosenberg10), Forman34)ら も 同 様 に,PHAと 比 べAf抗 原に よ り感 作 さ れ た リン パ 球 の み が ス テ ロ イ ドに よ り特 異 的 に 抑 制 され る こ と を 報 告 して い る. BAL液 中 リン パ 球 の 特 異 抗 原 やPHAに 対 す る 反 応 性 の 検 討 は,過 敏 性 肺 臓 炎36)37)38)にお い て 診 断 や 肺 局 所 免 疫 能 の 評 価 な ど の 目 的 で 行 わ れ て い る.ABPAに お け る 同様 の 検 討 は こ れ ま で 報 告 が な い.ス テ ロ イ ド非 投 与 時 のABPA 3例 に お い て,Af抗 原 に 対 す るBAL液 中 lymphocyte blastogenesisを 行 い,3例 全 て に 高 い 反 応 性 が 認 め ら れ た.肺 局 所 に お け る病 態 に リ ン パ 球,マ ク ロ フ ァ ー ジ 系 の 関 与 す る こ と を 直 接 証 明 し た もの で あ り,肺 局 所 に お け るAf 抗 原 に 対 す る免 疫 反 応 に 伴 い,種 々 の サ イ トカ イ ンが 産 生 され,ABPAを は じめ とす るPIE症 候 群 に お い て,肺 病 変 の 形 成 に 寄 与 して い る も の と思 わ れ た. 以 上 よ りABPAの 病 態 に は Ⅰ型,Ⅲ 型 と共 に Ⅳ 型 ア レ ル ギー 反 応 が 病 像 形 成 の 上 で,重 要 な働 き を し て い る と思 わ れ,種 々 の 病 像 を形 成 し う るAspergillusに 対 す る,こ の 様 な宿 主 の 免 疫 応 答 能 に よ っ てABPAが 発 症 し,ス テ ロ イ ドの 投 与 に よ り これ ら の 反 応 が 特 異 的 に 抑 制 さ れ,病 態 が 改 善 す る と思 わ れ た. 結 論
ABPA 7例 とAspergilloma 8例 に お いてAf 抗 原 に 対 す る 免 疫 能 の 検 討 を行 い,以 下 の 結 果
を得 た.
1) ABPAで はAspergillomaに 比 べIgE RIST高 値,Aspergillus RASTも 高率 に 陽 性 で あ っ た. 2) ABPAに お け るAf抗 原 に 対 す る皮 膚 反 応 の 検 討 で は即 時 型,遅 発 型,遅 延 型 の 各 反 応 が 高 率 に 認 め られ,Aspergillomaで はや や 低 率 で あ っ た. 3) ABPAとAspergillomaで は,Af抗 原 に 対 す る 沈 降 抗 体 が 各 々 全 例 に 陽 性 で あ っ た. 4) ABPAとAspergillomaで は,Af抗 原 に 対 す る 末 梢 血 の リ ンパ 球 幼 若 化 反 応 の 亢 進 が 同 程 度 に 認 め られ た. 5) ABPA及 びAspergillomaのAf抗 原 に 対 す る 末 梢 血 リ ンパ 球 の 反 応 性 と皮 膚 反 応 の 関 連 で は,Af抗 原 に 対 す る 遅 延 型 皮 膚 反 応 陽 性 あ る い はPPD皮 膚 反 応 疑 陽 性.陰 性 群 が,Af抗 原 陰 性,PPD陽 性 群 に 比 ベ リ ンパ 球 は 高 い 反 応 性 を示 し て い た. 6) ABPAに 対 す る ス テ ロ イ ド投 与 後,亢 進 して い たAf抗 原 に 対 す る末 梢 血 リ ンパ 球 の 反 応 性 は 著 明 に 減 弱 した が,PHAに 対 す る反 応 性 は 影 響 さ れ な か っ た. 7) ABPAのBAL液 中 細 胞 成 分 には 好 酸 球, 好 中 球 と共 に リ ンパ 球 の 増 加 が 認 め ら れ た. 8) ABPAのBAL液 中 リン パ 球 のAf抗 原
に 対 す る 反 応 性 は 有 意 に 亢 進 し て お り,肺 局 所 に 感 作 リ ン パ 球 が 存 在 した . 稿 を終 わ る に 当 た り御 指 導,御 校 閲 を賜 りま した, 木 村 郁 郎教 授 に深 謝 いた し ます.さ らに 直接,御 指 導,御 教 示 い ただ き ま した,多 田慎 也 講 師 に 深 謝 い た します. なお 本 論 文 の要 旨は,第36回(昭 和61年10月)日 本 ア レル ギー学 会 総 会 に お い て発 表 した. 文 献
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ABPAの
免疫 学 的検 討
27
Studies
on the pathogenesis
of PIE
syndrome
Part
2. The analysis
of allergic
and immunological
mechanisms
in PIE
syndrome
using
Aspergillus
antigen
Kyo SATO
Second Department
of Internal
Medicine,
Okayama
University
Medical School,
Okayama
700, Japan
(Director:
Prof. I. Kimura)
Various allergic and immunologic mechanisms have been postulated in the pathogenesis of PIE syndrome. In this study, the immune response to Aspergillus antigen was examined in patients with the PIE syndrome of allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA) and those with aspergilloma to elucidate the immune mechanisms which regulate the pulmonary changes in PIE syndrome.
The same Aspergillus species causes different clinical disease entities such as Aspergillus pneumonia, aspergilloma, ABPA and even hypersensitivity pneumonitis. The specific IgE against the Aspergillus antigen for the type ‡T allergy existed in patients with ABPA but not in those with Aspergilloma. However, the prepicitating antibody for the type ‡V allergy and enhanced lymphocyte blastogenesis against Aspergillus antigen for the type ‡W allergy were found in both the patients with ABPA and those with aspergilloma while pulmonary infiltra tion, dyspnea and the grade of peripheral eosinophilia correlated with the level of serum IgE and responsiveness of lymphocyte against Aspergillus antigen.
These findings indicate that the characteristics of the immune responses of the host play a crucial role in the pathogenesis of PIE syndrome.