第3学年1組 理科学習指導案
指導者 T1 T2 1 単元名 「 化学変化とイオン 」 2 指導観 ○ 私たち人類は,これまで様々な物質やエネルギーを入手し,それを有効に利用することで生活を豊かにして きた。その生活に欠かすことのできない物質やエネルギーを手に入れるために,私たちは多くの場面で化学変 化を利用している。このように,私たちの日常生活を支える物質やエネルギーと化学変化の関わりについて知 ることは,人類がこれまで築き上げてきた科学技術の成果の一端に触れることであり,大変意義深いことであ ると考える。 本単元「化学変化とイオン」は,水溶液の電気的な性質や酸とアルカリの性質についての観察,実験を行い, 結果を分析して解釈し,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させ,イオンのモデルと関連付けてみる 微視的な見方や考え方を養うことが主なねらいである。また,本年度から新学習指導要領の移行措置により復 活した内容でもある。この単元の学習により,生徒は電解質水溶液の電気分解や化学電池のしくみなど,これ までに獲得してきた知識では説明できない事象を,イオンという新たな概念を導入することで考えることがで きるようになる。生徒の科学の世界観を広げるという意味でも重要な単元であると考える。 ○ 本学級の生徒(男子18名,女子14名)は,全般的に授業における反応はよく,学習にも積極的に取り組む ことができている。反面,発問内容が科学的な思考を要するものになると考えることをあきらめてしまったり, 班内で私語を始めたりするなど,学習意欲が続かない生徒も一部ではあるが見受けられる。 具体的には,右表のような理科学習に関するアンケートの 結果から,93%の生徒が「観察や実験をすることが得意 (好き)である」と回答している。しかし「実験結果を記録 すること」や「実験結果の理由を考えること(考察)」に対 しては,過半数の生徒が苦手意識をもっていることがわかる。 さらに「自分の考えを発表すること」に対して苦手意識をも つ生徒が8割近くいることもわかる。これについては,授業中の生徒の様子からも,質問に対する発言数は多 いのだが,自分なりの考えを根拠を示して表現することや,観察・実験結果からわかったことを日常の生活や 場面に関連付けて考察するということが少ないことからもうかがえる。そのため,このことをより重視した学 習を進めていく必要があると考えた。 ○ そこで,本単元の指導にあたっては,生徒の学習への興味・関心や意欲を保ちながら,苦手と感じている生 徒の多い科学的な思考力の育成や,自分の考えをまとめたり発表したりする理科における言語活動の充実を考 えた。 単元の学習計画については,まず1次では水溶液の電気伝導性を調べる実験を行い,塩酸と塩化銅水溶液の 電気分解で生成する物質からイオンの概念を導入する。2次では,原子の構造について説明を行い,原子とイ オンの関係を確認させる。そして3次では,化学変化で電気エネルギーを取り出す化学電池のしくみを,イオ ンの考えで説明できるように学習を進めていく。 また,本単元は移行措置により本年度から新たに復活した内容であるため,新学習指導要領の改訂の趣旨に のっとり,実験結果を分析して解釈できる時間を確保したり,その結果を発表させ意見を交流したりする時間 を確保したいと考えている。そのために2名体制で指導を行い,学級を2分して少人数グループで実験方法の 説明を行ったりTTによる実験支援などを行ったりすることで実験を手際よく実施させ,実験結果をもとに考 察する時間を確保して科学的に考える機会を増やす授業を実施するようにしたい。このことは,理科における 言語活動の充実にもつながると考えている。 得意(好き)← → 苦手(嫌い) 実験結果を予想すること 9.7% 38.7% 45.2% 6.5% 観察や実験をすること 41.9% 51.6% 6.5% 0.0% 実験結果を記録すること 3.2% 29.0% 48.4% 19.4% 実験結果の理由を考えること 6.5% 38.7% 32.3% 22.6% 自分の考えを発表すること 3.2% 19.4% 51.6% 25.8% 班やグループで話し合うこと 16.1% 45.2% 38.7% 0.0%3 単元の目標 ○ 化学変化のしくみやイオンの存在について関心を持ち,進んで観察・実験を行うとともに,実験レポートに 日常生活での現象や事象と関連付けて記述することができる。 ○ 原子や分子,イオンなどの粒子概念をもとに化学変化を説明し,観察・実験の結果と関連付けて考察するこ とができる。 ○ 水溶液の電気伝導性や電気分解の実験を安全に行ったり,その結果や調べたことに自らの考えをふまえたレ ポートを作成したりすることができる。 ○ 原子の構造を理解し,イオンの概念を身につけるとともに,電解質水溶液が電流を流すしくみや化学電池で 電流が生じるしくみを,イオンを用いて説明することができる。 4 評価規準 ア 自然への関心・意欲・態度 イ 科学的な思考 ウ 観察・実験の技能・表現 エ 自然事象についての知識・理解 ① 電流が流れる水溶液に関心をも ち,電流が流れない水溶液とのち がいについて調べてみようとす る。 ② 電気分解で両極に何が生成する かに関心をもち,実験により確か めてみようとする。 [行動観察,質問紙] ③ 原子やイオンのつくりについて 関心をもち,調べてみようとす る。 [行動観察] ④ 電池をつくる金属極板の組み合 わせに関心をもち,金属板の表面 に起きていることを調べてみよう とする。 [行動観察] ① 水溶液の電気伝導性の有無と電 極の変化の有無を関連づけて説明 することができる。 ② 実験結果から,電気分解のとき 両極で起こっている化学変化を説 明することができる。 [ワークシート,ペーパーテスト] ③ 原子が電気的に中性となるわけ を,原子の構造をもとに説明する ことができる。 [ペーパーテスト] ④ 化学電池は,電解質水溶液中の イオンの仲立ちによりできている ことが説明できる。 [ペーパーテスト] ① 複数の水溶液の電気伝導性につ いて,器具を正しく操作し,調べ ることができる。 ② 装置を組み立てて,塩酸や塩化 銅水溶液を電気分解することがで き,両極にできる分解生成物を同 定することができる。 [行動観察,ワークシート,レポート] ③ 化学電池をつくり,金属板の種 類を変えたり,電極を変えて調べ たりするなどして,化学電池のし くみを調べることができる。 [行動観察,レポート] ① イオン,電離,電解質,非電解 質について説明することができ る。 [ペーパーテスト,発表] ② 原子の構造を説明することがで きる。 ③ イオンのでき方を説明すること ができ,主なイオンのイオン式を 書くことができる。 ④ 電離のようすをイオン式を使っ て表すことができる。 [ペーパーテスト,発表] ⑤ 化学電池では,−極の金属が陽イ オンとなって溶け出し,回路に電 子を供給していることが説明でき る。 [ペーパーテスト,発表] 5 計画(10時間) 次 (時間) 学習活動・内容 手立ての内容・方法・留意点 評価規準 1 (5) 本時 2/5 電池に使う水溶液の性質を調べよう (1) 電流の流れる水溶液,流れない水溶液 ・いろいろな水溶液の電気伝導性を調べる。 (2) 塩酸と塩化銅水溶液の電気分解 ・塩酸と塩化銅水溶液を電気分解する実験を行う。 ・電流が水溶液中をどうして流れるか,実験結果をもとに考 える。 (3) イオンと電解質・非電解質 ・電解質水溶液と非電解質水溶液の違いについて知る。 ・電気分解のしくみを,イオンを用いて考える。 ・ これまでの学習内容に系統性をもたせるために, 化学電池の実験で用いた水溶液を用いて電流が流れ るかどうか確認させる。 (うすい塩酸,食塩水,砂糖水など) ・ 塩酸の電気分解と塩化銅水溶液の電気分解の双方 の実験結果を比べて考察させるため,2つの実験を 同じ時間内に実施する。 ・ イオンの概念を習得させるために,イオンの存在 を知らせ,電解質と非電解質の違いをイオンを用い て考えさせるようにする。 ア-① イ-① ウ-① ア-② イ-② ウ-② エ-① 2 (3) 原子とイオンの関係を調べよう (1) 原子の構造 ・原子の構造(原子核,電子,陽子,中性子)を知る。 (2) イオン ・原子とイオンの関係について知る。 ・イオンの表し方について知る。 ・ 原子の構造や原子とイオンの関係については,微 視的な思考が必要であるので,それらをモデルで表 し,そのモデルを多用して視覚的に考える手立てを 講じるようにする。 ア-③ イ-③ エ-② エ-③ エ-④ 3 (2) 電池とイオンの関係について調べよう ・化学電池で電流が流れるしくみには,イオンが関与してい ることを知る。 ・ 化学変化でのイオンのはたらきを確認させるた め,化学電池のしくみをイオンを用いて考えさせる ようにする。 ア-④ イ-④ ウ-③ エ-⑤
6 本時 平成21年10月29日(金)第5校時 於 理科室 (1) 本時の指導観 前時までに,生徒は化学電池の実験で用いた水溶液について,電流が流れるものと電流が流れないものがあ ること,また電流が流れる水溶液では電極のまわりで変化が起こっていることを実験によって確認している。 本時では,前時の実験で用いたうすい塩酸の電気分解と塩化銅水溶液の電気分解を行い,その結果を比較・ 検討することで,電流が流れる水溶液の電気分解で両極に生成する物質を確認することがねらいである。また, 溶質が電気分解するとき,何極にどの物質が生成するかを確認することで,次時以降のイオンの学習につなげ たいと考えている。そのため,まず実験方法の説明を短時間で確実に生徒に伝えるため,各班の生徒を2グ ループに分けて2人の教師が分担して理科室内で同時に実験方法を説明する。生徒は,説明を受けた実験方法 を班に持ち帰り,順に実験を行う。その後,各班で行った2つの実験の内容や結果について,班ごとに発表さ せる機会を設定し,実験結果の交流も図るようにする。そのことで,実験結果をわかりやすくまとめることや, 他の班に自分たちの結果を伝えたりするなどの,理科における言語活動も意識的に行わせたい。 (2) 主眼 ○ 塩酸と塩化銅水溶液を電気分解する実験を行い,その結果を比較・検討することで両極に生成する物質を 指摘し,電気分解のとき両極で起こっている化学変化について,実験プリントに記述することができる。 (3) 準備 ○電気分解装置 ○うすい塩酸 ○塩化銅水溶液 ○電源装置 ○ビーカー ○バット ○導線 ○マッチ ○水性インクで着色した水 ○炭素棒 ○発泡ポリスチレン板 ○ろ紙 ○薬さじ ○学習プリント (4) 展開 学習活動・内容 評価 指導上の留意点 形態 配時 T1 T2 1 本時のめあてを確認する。 2 班内で2グループに分かれ,分担して 実験方法や実験操作上の注意を聞き,実 験計画に沿って実験A,実験Bの順に実 験を行う。 実験A:塩酸の電気分解 実験B:塩化銅水溶液の電気分解 ・両実験とも,電極での変化の様子や電 極に生成する物質について調べる実験 を適宜行う。 3 実験結果を表にまとめ,班ごとに発表 する。 4 学習プリントをまとめて提出する。 ア-② ウ-② イ-② ・めあてを提示する。 ・実験が進んでいるか点検す るため,机間指導を行う。 (主に左側の班を担当する) ・実験結果のまとめをして いる生徒や,発表準備を している班を適時,支援 する。 ・学習プリントを提出する ように促す。 ・T1の指示に注目できて いない生徒を,適時指導 し,注意を促す。 ・実験が進んでいるか点検す るため,机間指導を行う。 (主に右側の班を担当する) ・実験結果のまとめをして いる生徒や,発表準備を している班を適時,支援 する。 一斉 一斉 ↓ 小グループ ↓ 班 個人 班 ↓ 一斉 個人 5 30 10 5 電流が流れる水溶液を電気分解して,その変化を調べよう。 ・2つの実験方法を同時に説明し,その時間を短縮 するために,各班の班員を2グループに分け,T1 が実験A,T2が実験Bの実験方法の説明を担当 し,理科室内で2ヵ所に別れて同時に説明するよう にする。
理科学習プリント(10月 日) 組 番 氏名 【テーマ】 塩酸と塩化銅水溶液の電気分解 【めあて】 【準備するもの】□電気分解装置 □うすい塩酸 □塩化銅水溶液 □電源装置 □ビーカー □バット □導線 □マッチ □水性インクで着色した水 □炭素棒 □発泡ポリスチレン □ろ紙 □薬さじ 【実験方法】 ・実験A担当者( )( )( )・実験B担当者( )( )( ) 【実験結果】(実験A・実験Bとも,+極と-極で生成した物質を,どのように調べたか記録する) 【考察】 実験A「塩酸の電気分解」 実験B「塩化銅水溶液の電気分解」 1 下図のように装置を組み立て,塩 化銅水溶液に電流を流す。 2 電極のようすを観察する。 3 電源を切ったあと,+極と-極で 生成した物質の性質を調べる。