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習志野市防災アセスメント調査

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習志野市防災アセスメント調査

(概要版)

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目 次

第 1 章

業務概要 ... 1

1. 1 業務の内容 ... 1 1. 2 業務の構成 ... 1

第 2 章

地震災害危険度調査 ... 2

2. 1 地震動の予測 ... 2 2. 1. 1 想定地震 ... 2 2. 1. 2 地震動の予測結果 ... 3 2. 2 液状化危険度の予測 ... 10 2. 2. 1 概 要 ... 10 2. 2. 2 予測結果 ... 10 2. 3 急傾斜地崩壊危険度の予測 ... 13 2. 3. 1 概 要 ... 13 2. 3. 2 予測結果 ... 13 2. 4 建物被害の予測 ... 17 2. 4. 1 概 要 ... 17 2. 4. 2 予測結果 ... 17 2. 5 地震火災の予測 ... 20 2. 5. 1 概 要 ... 20 2. 5. 2 予測結果 ... 20 2. 6 ライフライン被害の予測 ... 26 2. 6. 1 上水道被害の予測 ... 26 2. 6. 2 下水道被害の予測 ... 28 2. 6. 3 ガス被害の予測 ... 28 2. 6. 4 電力・通信被害の予測 ... 29

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2. 9. 2 予測結果 ... 38 2. 10 避難者数の予測 ... 39 2. 10. 1 概 要 ... 39 2. 10. 2 予測結果 ... 39 2. 11 帰宅困難者の予測 ... 40 2. 11. 1 概 要 ... 40 2. 11. 2 予測結果 ... 40 2. 12 震災廃棄物の予測 ... 41 2. 12. 1 概 要 ... 41 2. 12. 2 予測結果 ... 41 2. 13 災害シナリオの作成 ... 42 2. 14 応急対応能力算定調査 ... 45 2. 14. 1 救出活動 ... 45 2. 14. 2 応急医療 ... 47 2. 14. 3 避難所 ... 48 2. 14. 4 給 水 ... 51 2. 14. 5 備蓄食料 ... 53 2. 14. 6 備蓄物資 ... 54

第 3 章

風水害・土砂災害危険度調査 ... 55

3. 1 内水はん濫危険度調査 ... 55 3. 1. 1 内水はん濫 ... 55 3. 2 土砂災害危険度調査 ... 56

第 4 章

災害危険性の総合的把握 ... 57

4. 1 主な被害想定結果のまとめ ... 57 4. 2 防災課題のまとめ ... 58

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第 1 章 業務概要

1. 1 業務の内容

東日本大震災の教訓をふまえ、習志野市地震被害想定調査(平成 18 年 3 月公表)で 検討した被害想定項目の見直しを行うとともに、風水害・土砂災害の危険性に関する 現状整理を行い、災害特性に基づく防災上の問題点と防災対策の方向性をまとめる。 想定地震は、千葉県地震被害想定調査(平成 20 年 3 月公表)により設定された東京湾 北部地震(M7.3)を含む 2 ケースを設定するものとする。

1. 2 業務の構成

本業務の構成は、次のとおりとする。 (1)地震災害危険度調査 ① 地震動の予測 ② 液状化危険度の予測 ③ 急傾斜地崩壊危険度の予測 ④ 建物被害の予測 ⑤ 地震火災の予測 ⑥ ライフライン被害の予測 ⑦ 交通施設被害の予測 ⑧ 津波・護岸被害の予測 ⑨ 人的被害の予測 ⑩ 避難者数の予測 ⑪ 帰宅困難者の予測 ⑫ 震災廃棄物の予測 ⑬ 災害シナリオの作成

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第 2 章 地震災害危険度調査

2. 1 地震動の予測

2. 1. 1 想定地震 平成 19 年度千葉県地震被害想定調査では、「東京湾北部地震(M7.3)」「千葉県東方 沖地震(M6.8)」「三浦半島断層群を震源とする地震(M6.9)」が想定された。このうち、 習志野市に最も大きな影響を与えるものは「東京湾北部地震(M7.3)」である。この地 震の震源は、南関東で警戒すべきフィリピン海プレート上面であり、地震発生確率の 高さや経済的・社会的な影響の大きさから、習志野市だけでなく、南関東において警 戒すべき地震でもある。 また、フィリピン海プレート上面を震源とする切迫性の高い地震が「南関東のどこ でも発生する」可能性があることから、あらゆる可能性を想定し「東京湾北部地震 (M7.3)」の震源を習志野市の直下に設定する考え方もある。 以上のことを踏まえ本業務では、習志野市に最も大きな影響を及ぼす「東京湾北部 地震(M7.3)」と、将来想定しうる最大クラスの「習志野市直下の地震(M7.3)」の 2 つを想定地震とした。想定地震の断層の緒元を表- 2. 1.1、震源断層の位置を図- 2. 1.1 にそれぞれ示す。 表- 2. 1.1 想定地震の震源断層の緒元 項目 東京湾北部地震 習志野市直下の地震 規模 マグニチュード 7.3 マグニチュード 7.3 長さ 64km 30km 幅 32km 15km 上面深さ 17km 5km

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(a)東京湾北部地震(M7.3) (b)習志野市直下の地震(M7.3) 図- 2. 1.1 想定地震の震源断層位置 2. 1. 2 地震動の予測結果 平成 19 年度千葉県地震被害想定調査で想定した東京湾北部地震(M7.3)による 250m メッシュ単位の震度分布を図- 2. 1.2、計測震度分布を図- 2. 1.3 にそれぞれ示す。本業 務の想定結果である 50m メッシュ単位の震度分布を図- 2. 1.4、計測震度分布を図- 2. 1.5 にそれぞれ示す。 東京湾北部地震(M7.3)による習志野市における地震動の強さは、震度 6 弱から 6 強である。とくに、JR 総武線の南西側は、震源域と近く、地盤も相対的にゆれやすい ため、主に震度 6 強の強い揺れに見舞われる。 習志野市直下の地震(M7.3)を想定した 50m メッシュ単位の震度分布を図- 2. 1.6、 計測震度分布を図- 2. 1.7 にそれぞれ示す。 習志野市直下の地震(M7.3)による習志野における地震動の強さは、震源域から距 離が近いため、ほとんどの地域で震度 6 強の強い揺れに見舞われる。

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図- 2. 1.2 平成 19 年度に千葉県が想定した東京湾北部地震(M7.3) による震度分布(250m メッシュ単位)

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図- 2. 1.3 平成 19 年度に千葉県が想定した東京湾北部地震(M7.3) 6 強

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図- 2. 1.4 東京湾北部地震(M7.3)による震度分布 (50m メッシュ単位)

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図- 2. 1.5 東京湾北部地震(M7.3)による計測震度分布 6 強

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図- 2. 1.6 習志野市直下の地震(M7.3)による震度分布 (50m メッシュ単位)

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図- 2. 1.7 習志野市直下の地震(M7.3)による計測震度分布 6 強 6 弱

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2. 2 液状化危険度の予測

2. 2. 1 概 要 液状化現象とは、図- 2. 2.1 に示すように、砂質土に富む地下水位の浅い地盤が地震 動のような繰り返し外力を受けると、砂粒子のすき間に存在する水の圧力が上昇し、 地下水とともに砂が地表に吹き上げる現象である。 平成 23 年(2011 年)3 月 11 日の東日本大震災では、東京湾岸や千葉県の一部など、 戦後に造成された比較的新しい埋立地や新興住宅地で液状化現象が多発し、習志野市 でも、埋立地が広がる国道 14 号より南の地域を中心に液状化現象が多発し、家屋が傾 いたり、上・下水道管が破損したりする被害を受けた。 本業務では、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査で適用された道路橋示方書1)によ る液状化解析手法を採用した。 図- 2. 2.1 液状化の概念図 2. 2. 2 予測結果 液状化危険度を予測するにあたり、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査および平成 23 年度東日本大震災千葉県液状化調査で収集・整理したボーリング資料に、千葉県地 質環境インフォメーションバンクホームページに掲載しているデータを加え、50m メ ッシュ単位の液状化危険度判定を行った。収集したボーリングデータの本数は、計 103 本で、液状化現象の対象になる微地形区分ごとに一つの代表ボーリングデータを選定 し危険度判定を行った。 東京湾北部地震による液状化危険度分布を図- 2. 2.2、習志野市直下の地震による液 状化危険度分布を図- 2. 2.3 にそれぞれ示す。液状化の可能性がある微地形のうち、国 道 14 号以南の埋立地では、2 つの想定地震による液状化危険度の程度が最上位段階で ある「高い」と予測された。埋立地は地下水位の浅い砂地盤からなり、地震の揺れで 液状化現象が起こりやすい。東日本大震災時にも液状化による建物被害が多く発生し た。 液状化危険度の判定区分を表- 2. 2.1 に示す。 地下水位 沈下 噴砂・噴水 砂粒子 間隙水

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表- 2. 2.1 液状化危険度の判定区分[平成 19 年度千葉県地震被害想定調査より] 判定条件 液状化危険度判定 15 < PL 5 < PL ≦ 15 0 < PL ≦ 5 PL = 0 液状化危険度が高い 液状化危険度がやや高い 液状化危険度は低い 液状化危険度は極めて低い

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図- 2. 2.3 習志野市直下の地震(M7.3)による液状化危険度 (50m メッシュ単位)

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2. 3 急傾斜地崩壊危険度の予測

2. 3. 1 概 要 本調査では、土砂災害危険箇所を対象にし、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査の 手法を用いて危険度評価した。千葉県では、まず、急傾斜地斜面カルテをもとに、平 常時(降雨時)の急傾斜地崩壊危険度を判定した。次に、その判定結果に地震動の強 さを加味し危険度評価を行った。ただし、急傾斜地法(急傾斜地の崩壊による災害の 防止に関する法律)に基づく対策工事が完了済みの箇所は、崩壊する危険度が低いと みなした。 2. 3. 2 予測結果 東京湾北部地震による急傾斜地崩壊危険度の予測結果を図- 2. 3.1、習志野市直下の 地震による予測結果を図- 2. 3.2、そのリストを表- 2. 3.1にそれぞれ示す。 東京湾北部地震による急傾斜地崩壊危険度の予測結果は、対象の37箇所のうち、25 箇所が「危険性が高い(A)」、6箇所が「危険性がある(B)」、対策工事が完了した6箇 所が「危険性が低い(C)」と予測された。 一方、習志野市直下の地震の場合は、震度6強の強い揺れに見舞われるため、平常時 の急傾斜地の状態によらず、対策工事が完了した6箇所を除いては、全て「危険性が高 い(A)」と予測された。

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表- 2. 3.1 急傾斜地崩壊危険度の予測結果 箇所番号 (箇所名) 対策工事 点数 東京湾北部地震 習志野市直下の地震 震度 被害ランク 震度 被害ランク Ⅰ-0086(屋敷 1) なし 15 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0087(屋敷 2) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0088(屋敷) 有り 20 6 弱 C 6 強 C Ⅰ-0089(屋敷 4) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0090(屋敷 5) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0091(花咲) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0092(鷺沼 1) なし 18 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0093(鷺沼) 有り 16 6 弱 C 6 強 C Ⅰ-0094(実籾 1) なし 14 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0095(実籾 2) なし 11 6 弱 B 6 強 A Ⅰ-0096(実籾 3) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0097(実籾 4) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0098(実籾 5) なし 11 6 弱 B 6 強 A Ⅰ-0099(実籾 6) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0100(実籾 7) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0101(実籾 8) なし 17 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0102(実籾本郷) なし 11 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0103(実籾本郷 2) なし 14 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0104(新栄) なし 15 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0105(谷津) 有り 11 6 強 C 6 強 C Ⅰ-0106(津田沼 1) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0107(津田沼 2) なし 17 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0108(津田沼 3) なし 14 6 強 A 6 強 A Ⅰ-0109(藤崎) 有り 16 6 弱 C 6 強 C Ⅰ-0110(藤崎 2) 有り 18 6 強 C 6 強 C Ⅰ-0111(藤崎 3) なし 21 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0112(本大久保 1) なし 11 6 弱 B 6 強 A Ⅰ-0113(屋敷 6) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-0114(屋敷 7) 有り 13 6 弱 C 6 強 C Ⅰ-1264(藤崎 4) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅰ-2062(本大久保 2) なし 16 6 弱 A 6 強 A Ⅱ-0156(藤崎 5) なし 14 6 弱 A 6 強 A Ⅱ-0157(実籾 9) なし 11 6 弱 B 6 強 A Ⅱ-0158(津田沼 4) なし 18 6 強 A 6 強 A Ⅱ-0159(藤崎 6) なし 11 6 弱 B 6 強 A Ⅱ-7012(新栄) なし 8 6 弱 B 6 強 A Ⅲ-1001(本郷) なし 11 6 強 A 6 強 A [危険性判定ランクの説明] ・A:危険性が高い ・B:危険性がある ・C:危険性が低い

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2. 4 建物被害の予測

2. 4. 1 概 要 本調査では、習志野市の固定資産税台帳データ(平成 24 年 1 月時点)および市有建 物データ(平成 24 年 4 月時点)を用いて建物被害を予測した。このデータを構造別・ 建築年代別・階数別に集計し、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査で適用された手法 を適用し、揺れおよび液状化による 50m メッシュ単位の建物被害想定を行った。 2. 4. 2 予測結果 東京湾北部地震の揺れおよび液状化による建物被害を集計した結果を表- 2. 4.1、建 物被害分布を図- 2. 4.1、にそれぞれ示す。また、習志野市直下の地震の揺れおよび液 状化による建物被害を集計した結果を表- 2. 4.2、建物被害分布を図- 2. 4.2 にそれぞれ 示す。なお、建物被害は、揺れおよび液状化による被害をそれぞれ算出し合計したも のである。

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表- 2. 4.1 東京湾北部地震(M7.3)の揺れおよび液状化による建物被害

想定地震 建物棟数 全壊棟数(率) 半壊棟数(率)

東京湾北部地震 33,540 2,240 ( 7% ) 6,051 ( 18% )

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表- 2. 4.2 習志野市直下の地震(M7.3)の揺れおよび液状化による建物被害

想定地震 建物棟数 全壊棟数(率) 半壊棟数(率)

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2. 5 地震火災の予測

2. 5. 1 概 要 建物が大規模に倒壊するような激甚災害の場合、火災の発生が懸念される。木造建 物が密集し、空地や幅員の広い道路が少ない地域では、延焼の可能性がある。 1980 年(昭和 55 年)以前の木造建物が多く分布している地域では、地震の揺れによ る建物被害が多いため、出火の可能性が高い。状況によっては延焼する可能性もある。 本調査では、以下を考慮して、想定する地震が発生した場合の出火・延焼被害予測 を行った。 ① 地震(揺れ)により全壊した建物から出火・延焼すると仮定した。 ② 出火要因は、一般火気器具、電熱器具、電気機器・配線、化学薬品とし、出火率が もっとも大きくなる「冬の 18 時」を想定し、全出火件数を予測する。 ③ 全出火件数から、住民の初期消火活動で消しきれない炎上出火件数を求める。初期 消火率は地震動の強さにより設定する。 ④ 出火・延焼の設定は、50m メッシュ単位で行い、炎上出火件数を出火危険度の高い メッシュに振り分け、出火点メッシュを設定する。 ⑤ 消防力を考慮し、消火可能な出火点メッシュを算定する。 ⑥ 出火点メッシュのうち、消火可能なものを除いたものを延焼出火点メッシュとし、 風速(9m/s)、風向(北北西)を考慮して延焼シミュレーションを行う。 ⑦ 延焼シミュレーションより延焼範囲を予測し、焼失棟数を算出する。 2. 5. 2 予測結果 全出火件数および炎上出火件数を表- 2. 5.1 に示す。 東京湾北部地震の場合、全出火件数 30 件に対し、初期消火で消えなかった炎上出火 件数は 16 件である。一方、習志野市直下の地震の場合、全出火件数 61 件に対し、炎 上出火件数は 33 件である。 焼失棟数については、想定した地震発生後 24 時間以内に焼失するメッシュ内に存在 する木造建物現況棟数(裸木造棟数と防火造棟数の和)と焼失率から焼失棟数を算定 する。なお、消火可能な地点の焼失棟数は、消火可能な時点での焼失面積から推定し、 最小でも火元の建物は 1 棟焼失するものとした。 また、延焼シミュレーションから算定した焼失棟数から、揺れおよび液状化による 建物被害とのダブルカウントを除去し、最終的な焼失棟数は、ダブルカウント除去後 の焼失棟数を採用した。 焼失棟数を表- 2. 5.2 に示す。東京湾北部地震による焼失率分布を図- 2. 5.1、焼失棟

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であり、ダブルカウント除去後の焼失棟数は 4,529 棟である。 習志野市直下の地震による焼失率分布を図- 2. 5.3、焼失棟数分布を図- 2. 5.4 にそれ ぞれ示す。延焼シミュレーションによる焼失棟数は 7,040 棟であり、ダブルカウント除 去後の焼失棟数は 5,852 棟である。 表- 2. 5.1 地震火災予測結果(冬の 18 時・風速 9m) 想定地震 全出火件数 炎上出火件数 東京湾北部地震 30 16 習志野市直下の地震 61 33 表- 2. 5.2 焼失棟数[24 時間後] 想定地震 建物棟数 焼失棟数(率) 全壊を除く 焼失棟数(率) 東京湾北部地震 33,540 4,889 ( 15% ) 4,529 ( 14% ) 習志野市直下の地震 7,040 ( 21% ) 5,852 ( 17% )

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2. 6 ライフライン被害の予測

2. 6. 1 上水道被害の予測 習志野市には、習志野市営水道と千葉県営水道がある。市営水道は JR 総武線より北 側の習志野市域と、船橋市の三山全域のほか、習志野や田喜野井の一部に給水してい る。千葉県営水道は JR 総武線より南側(海側)の地域が給水区域となっている。 被害予測手法は、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査と同様に、日本水道協会(1998) が 1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震における水道管路の被害分析に基づいて提案し た予測方法を用いた。具体的には、地表の最大速度から推定される標準被害率曲線に、 管種、管径、地形・地盤、液状化による補正係数を乗ずることにより、対象とする埋 設管の単位長さあたりの被害件数(被害率、箇所/km)を予測する。これに、管路の 延長を乗ずることにより被害件数を予測する。 上水道被害予測結果を表- 2. 6.1 に示す。 表- 2. 6.1 上水道被害予測結果 想定地震 管路延長 (km) 被害箇所数 (箇所) 被害率 (箇所/km) 東京湾北部地震 431 180 0.42 習志野市直下の地震 306 0.71 復旧日数の予測は、1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震における供給系ライフライ ンの被害分析から得られた能島ら(2003)1)の手法を用いた。 東京湾北部地震の平均計測震度 5.9 の場合、習志野市直下の地震の平均計測震度 6.2 の場合、最大計測震度 6.4 の場合を想定し、震災 30 日経過後までの復旧率を表- 2. 6.2 に示す。

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表- 2. 6.2 上水道復旧率 経過日数 (日目) 復旧率 東京湾北部地震 平均計測震度 5.9 の場合 習志野市直下の地震 平均計測震度 6.2 の場合 最大計測震度 6.4 の場合 1 3% 1% 0% 2 8% 2% 1% 3 13% 5% 2% 4 18% 7% 3% 5 23% 11% 5% 6 29% 14% 7% 7 34% 18% 10% 8 39% 21% 12% 9 43% 25% 15% 10 47% 29% 18% 11 52% 32% 21% 12 55% 36% 24% 13 59% 40% 27% 14 62% 43% 30% 15 65% 46% 33% 16 68% 50% 36% 17 71% 53% 39% 18 73% 56% 42% 19 75% 58% 45% 20 78% 61% 48% 21 79% 63% 51% 22 81% 66% 53% 23 83% 68% 56% 24 84% 70% 58% 25 86% 72% 60% 26 87% 74% 63% 27 88% 76% 65% 28 89% 78% 67% 29 90% 79% 69%

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2. 6. 2 下水道被害の予測 平成 19 年度千葉県地震被害想定調査では、国土交通省「大規模地震による下水道被 害想定検討委員会(第 1 回、2005)」の被害予測手法を用いて、埋設管を対象に被害予 測を実施した。具体的には、地震動の強さと液状化の程度から推定される管種ごとの 平均被害率に、それぞれの管種延長を乗じることによって被害延長を算出する。下水 道被害予測結果を表- 2. 6.3 に示す。 表- 2. 6.3 下水道被害予測結果 想定地震 管路延長 (km) 被害延長 (km) 被害率 (%) 東京湾北部地震 450 21.2 4.7 習志野市直下の地震 32.5 7.2 2. 6. 3 ガス被害の予測 ガス管の被害は、東京都(1997)の手法から算出した。この手法は、兵庫県南部地 震の被害データから、地表最大速度と都市ガス管の被害率との関係を標準被害率に設 定し、これに液状化および管種による影響を考慮・補正して被害量を算出する。 ガス管の被害予測結果を表- 2. 6.4 に示す。 表- 2. 6.4 ガス管被害予測結果 想定地震 管路延長 (km) 被害箇所数 (箇所) 被害率 (箇所/km) 東京湾北部地震 363 7 0.02 習志野市直下の地震 14 0.04

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2. 6. 4 電力・通信被害の予測 中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」(2005)では、1995 年(平成 7 年)兵 庫県南部地震における被害実績をもとに、揺れによる電柱・電話柱の折損率、建物全 壊による電柱・電話柱の折損率を設定している。また、火災による電柱・電話柱の折 損率は、出火点の有無を考慮し、出火点がある場合は 100%、出火点がない場合は 0% として算出した。 習志野市内に存在する電柱・電話柱の本数を表- 2. 6.5、想定地震ごとの電柱・電話 柱の被害予測結果を表- 2. 6.6 にそれぞれ示す。また、電柱被害から停電軒数を算出し た。東京湾北部地震による停電軒数は 11,003 軒、習志野市直下の地震による停電軒数 は 13,469 軒となった。 表- 2. 6.5 電柱・電話柱の本数 種別 本数 東京電力柱 12,503 本 NTT 柱 7,126 本 表- 2. 6.6 電柱・電話柱の被害予測結果 想定地震 電柱被害予測 電話柱被害予測 被害本数 被害率 被害本数 被害率 東京湾北部 地震 7,247 58.0% 4,131 58.0% 習志野市直下の 地震 10,621 84.9% 6,053 84.9%

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2. 7 交通施設被害の予測

2. 7. 1 緊急輸送道路被害の予測 1978 年(昭和 53 年)宮城県沖地震をはじめとする過去の地震被害で発生した路面の 亀裂、法面の崩壊などと地盤種別の関係から被害率を設定した手法を用いて算出した。 緊急輸送道路の被害予測結果を表- 2. 7.1 に示す。緊急輸送道路の全延長は約 70.5km で、東京湾北部地震による被害箇所数は 8.4 箇所である。一方、習志野市直下の地震に よる被害箇所数は 9.7 箇所である。 表- 2. 7.1 緊急輸送道路の被害予測結果 緊急輸送道路種別 道路延長(km) 東京湾北部地震によ る被害箇所数 習志野市直下の地震 による被害箇所数 国道・有料道路 16.9 2.3 2.7 主要地方道(県道) 10.1 1.2 1.3 市認定道路 43.5 4.9 5.7 合 計 70.5 8.4 9.7 2. 7. 2 橋梁被害の予測 被害予測対象は、習志野市が指定した緊急輸送道路のうち、橋長 15m 以上の橋梁と する。被害予測に必要な項目は、市から借用した橋梁経過年数資料(平成 24 年 4 月現 在)から、建設年次、耐震補強の有無・実施時期などを用いた。 橋梁の被害は、道路施設の所在地における SI 値に応じた被害率とする。 23 箇所ある橋梁のうち、被害予測の対象になる橋梁は 10 箇所で、東京湾北部地震の 場合、中規模被害が 1 箇所、大規模被害が 6 箇所、落橋・大被害が 3 箇所である。一 方、習志野市直下の地震の場合、中規模被害が 1 箇所、大規模被害が 2 箇所、落橋・ 大被害が 7 箇所である。 想定地震別の被害予測結果を表- 2. 7.2 に示す。

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表- 2. 7.2 被害予測結果 番号 橋梁名称 東京湾北部地震 習志野市直下の地震 SI 値 被害状況 SI 値 被害状況 1 鷺沼中央跨線橋 69 中規模被害 103 中規模被害 2 千鳥橋 76 大規模被害 119 落橋・大被害 3 菊田川2号橋 83 落橋・大被害 116 落橋・大被害 4 菊田川3号橋 82 落橋・大被害 116 落橋・大被害 5 袖ケ浦2号立体橋 82 落橋・大被害 117 落橋・大被害 6 東15号橋 82 大規模被害 116 落橋・大被害 7 まろにえ橋 76 大規模被害 108 大規模被害 8 ふれあい橋 82 大規模被害 116 落橋・大被害 9 菊田川1号橋 83 大規模被害 116 落橋・大被害 10 しらさぎ橋 71 大規模被害 102 大規模被害 2. 7. 3 鉄道被害の予測 1978 年(昭和 53 年)宮城県沖地震の鉄道被害(軌道)に基づき、震度と地盤種別を 考慮して設定された被害率を用いて鉄道路線の被害予測を行った。 鉄道の被害予測結果を表- 2. 7.3 に示す。鉄道の全延長は約 17km で、東京湾北部地 震による被害箇所数は 16.0 箇所である。一方、習志野市直下の地震による被害箇所数 は 19.3 箇所である。 表- 2. 7.3 鉄道の被害予測結果 路線名 路線延長(km) 東京湾北部地震に よる被害箇所数 習志野市直下の地震に よる被害箇所数 JR 総武本線 2.9 2.2 3.1 JR 京葉線 3.6 5.3 5.3 京成本線 7.2 6.2 7.7 京成千葉線 1.7 1.3 1.8 新京成線 1.6 1.0 1.4

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2. 8 津波・護岸被害の予測

2. 8. 1 津波浸水の予測 今回、被害想定を行った想定地震は、大きな津波が発生する地震ではないため、こ こでは、千葉県および国が行った津波浸水予測結果を示す。 (1)千葉県の津波浸水予測 平成 23 年度に千葉県が行った津波浸水予測のうち、習志野市における最大津波高や 津波到達時間が予測されるのは、元禄地震と東京湾内の最大クラス津波(東京湾口 10m) の 2 ケースである。 習志野市における最大津波高と津波到達時間を表- 2. 8.1 に示す。また、市内の最大 津波高が最も高い東京湾内の最大クラス津波(東京湾口 10m)による想定浸水範囲と、 標高分布を重ね合わせたものを図- 2. 8.1 に示す。 津波による河川への遡上は、計算最小メッシュである 12.5m 以上の川幅を有してい るものが対象とされ、習志野市では菊田川が対象となった。県による津波浸水予測結 果によると、いずれのケースにおいても、菊田川への遡上が認められるものの、市内 の陸上への浸水は認められなかった。なお、谷津川、高瀬川は県の津波想定の検討対 象外とされたことから、これらの河川と、これらの河川が接続する谷津干潟への遡上 は検討されなかった。しかし、予測される津波高や周辺の地盤高等から、これらの河 川等においても、菊田川と同様の状況となることが想定される。 表- 2. 8.1 最大津波高および津波到達時間 (防潮施設が機能しない場合、水位抽出点:習志野) ケース名 最大津波高 T.P(m) 津波到達時間(分) 第一波 最大津波高 元禄地震による浸水範囲予測 1.5 79.9 155.6 東京湾内で想定される最大クラ ス津波(東京湾口 10m)での 津波浸水予測 2.3 46.8 59.4

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(2)国の津波浸水予測 中央防災会議は、平成 24 年(2012 年)3 月 31 日に公表した第一次報告において、 最新の科学的知見に基づき、南海トラフで発生しうる最大クラスの地震・津波(南海 トラフ巨大地震)の検討を進め、50m メッシュの地形データ等を用いて海岸における 津波高等の予測結果を取りまとめた。また、平成 24 年(2012 年)8 月 29 日に公表し た第二次報告において、津波断層モデルの点検・修正等を行い、10m メッシュの地形 データ等を用いて、津波による浸水域・浸水深等の予測結果を取りまとめた。 南海トラフ巨大地震の断層モデルは合計 11 ケース検討された。これらの検討ケース における習志野市の最大津波高は 3m と予測されているが、陸上への 10 ヘクタールを 超える浸水は認められないという結果となった。 千葉県における 11 ケースの最大値の最大津波高を図- 2. 8.2 に示す。 図- 2. 8.2 最大クラスの津波高(11 ケースの最大値、満潮位)

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2. 8. 2 護岸被害の予測

護岸の被害予測は、以下の手法によって検討した。

① Ishihara & Yoshimine(1992)1)による液状化による体積圧縮ひずみと FL値の関係

を使用し、さらに 1964 年(昭和 39 年)新潟地震での新潟市川岸町付近の 6 地 点の沈下量検討結果から、PL値を算定した。 ② 液状化による体積圧縮ひずみから算定した地盤の沈下量と、この PL値の関係を 求めた。 ③ 一般に地震による堤防の沈下は、液状化による浮力が働くため、最大 0.75H(H は堤防の高さ)といわれている。 ④ この 0.75H を最大沈下量として、②の関係を基に、PL値と堤防沈下量の関係を 表- 2. 8.2 のようにとりまとめた。 ⑤ 護岸の被害予測では、表- 2. 8.2 の関係をもとに、堤防の高さだけを使用して、 地震後の堤防沈下量の定性的検討を行った。 護岸の位置と東京湾北部地震による液状化危険度の PL値分布を図- 2. 8.3、護岸の位 置と習志野市直下の地震による液状化危険度の PL値分布を図- 2. 8.4 にそれぞれ示す。 護岸が、両想定地震ともに、PL値が 20 を超えるところに位置するため、被害程度の 目安は「詳細検討が必要であると考えられる」となった。沈下量の目安は、堤防の高 さの 0.75 倍になると予測される。 表- 2. 8.2 PL値と堤防沈下量の目安 PL値 沈下量の目安 (H は堤防の高さ) 被害程度の目安 0 ≦ PL 5 0.0H 堤防沈下は生じないと考えられる 5 < PL 15 0.25H 小規模な堤防沈下が生じると考えられる 15 < PL 20 0.50H 中規模な堤防沈下が生じると考えられる 20 < PL 0.75H 詳細検討が必要であると考えられる

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2. 9 人的被害の予測

2. 9. 1 概 要 人的被害は平成 19 年度千葉県地震被害想定調査をベースに、人口動態データを整理 し、死傷者を要因別に算出した。 ① 人口動態基礎データ 人的被害予測の基礎データとして、習志野市の登録人口データ(平成 24 年 3 月 時点)、平成 20 年第 5 回東京都市圏パーソントリップデータをもとに、時刻別人 口を整理し、人口動態基礎データを作成した。 ② 建物被害による人的被害予測 建物被害による人的被害は、揺れと液状化による建物被害結果から死傷者数を 算出した。 ③ 地震火災による人的被害予測 地震火災による人的被害は、炎上出火家屋からの逃げ遅れ、閉じ込めの要因別 に死傷者数を予測した。 2. 9. 2 予測結果 想定地震ごとの人的被害の予測結果を、要因別に表- 2. 9.1 に示す。 表- 2. 9.1 人的被害の予測結果一覧(冬の 18 時・風速 9m) 項目 東京湾北部地震 習志野直下の地震 死者合計 223 人 520 人 建物被害による死者 162 人 423 人 火災による死者 61 人 97 人 負傷者合計 1,813 人 4,250 人 建物被害による負傷者 1,683 人 4,049 人 うち重傷者 69 人 184 人 火災による負傷者 130 人 201 人 うち重傷者 37 人 57 人

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2. 10 避難者数の予測

2. 10. 1 概 要 自宅が被災した人、上水道の途絶により自宅での生活が困難な人は、避難所での生 活をおくるか、親類等をたよって疎開する。1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震や 2004 年(平成 16 年)新潟県中越地震では、避難人口がもっとも多いのは地震発生直後から 1 週間までの間であった。とくに前者の地震は広域にわたって著しい建物被害が認めら れたことを受け、地震発生から 1 ヶ月が経過しても相当数の避難者が発生した。つま り、自宅が被災した人は、長期的な避難所生活を余儀なくされる可能性が高い。一方、 自宅の被災はまぬがれても上水道の供給停止にともなう生活支障が避難の理由であれ ば、上水道の復旧が進むにつれて避難人口は減少する。 以上の傾向をふまえ、ここでは、平成 19 年度千葉県地震被害想定調査に基づき、建 物被害やライフライン被害に伴い避難所生活または疎開を強いられる住居制約者数を 算出した。自宅の被害を受け避難する人と、自宅の建物自体は被害がないが断水によ り避難する人の 2 種類を想定し、発災 1 日後、4 日後、1 ヶ月後で算出した。なお、発 災 4 日後の断水により避難する人は、1 日目の断水人口の 7 割が回復すると想定した。 発災 1 ヶ月後の断水により避難する人は、上水道の復旧目標日数が 30 日(中央防災会 議、2004)であるため、上水道は発災 1 ヶ月後で復旧するとした。 建物被害による避難率は、室崎ら(1996)1)による神戸市内震度 7 地域の住民へのア ンケート調査により、全壊・焼失住宅で 100%、半壊住宅で 50.3%とする。断水による 避難率は、東京都(2006)のアンケート結果をもとに設定したライフライン被害によ る避難率を適用し、45.4%とする。なお、避難所へ避難する人(避難所生活者数)と、 避難所以外へ避難する人(疎開者数)はおよそ 65:35 とした。疎開者は市外に避難す る人を指す。 2. 10. 2 予測結果 避難人口の予測結果を地震発生の経過日数ごとに表- 2. 10.1 に示す。

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2. 11 帰宅困難者の予測

2. 11. 1 概 要 震災時には、鉄道などの交通網の支障により、通学・通勤などの滞在先から自宅ま で帰宅することが困難となる帰宅困難者の発生が予測される。帰宅困難者が発生した 場合、帰宅困難者自身の安全の問題や、多数の徒歩帰宅者による緊急路を含む道路渋 滞などの問題が予想され、帰宅不能の場合には交通機関の復旧までの避難場所の確保 などが必要となる。 本調査では、平成 22 年度国勢調査である従業・通学者数のデータを用いて、「習志 野市内に従業・通学する他の市町村民の滞留帰宅困難者数」および「他の市町村に従 業・通学する習志野市民の帰宅困難者数」を予測した。 まず、習志野市から他の市町村に従業・通学している人数と他の市町村から習志野 市に従業・通学している人数を市区町村ごとに整理した。次に習志野市役所と対象市 区町村役場の距離に応じて帰宅困難率を設定し、市区町村ごとの従業・通学人数に帰 宅困難率を乗じて帰宅困難者数を算出した。 帰宅困難率については、中央防災会議(2005)を参考に、習志野市役所から半径 10km での市区町村に通っている従業・通学者および居住市区町村から習志野市役所までが 半径 10km 内の従業・通学者は、全員が発災当日に帰宅でき、また半径 20km を超える と全員が帰宅困難と過程し、その間 1km ごとに帰宅困難率を 10%ずつ変化させた。 2. 11. 2 予測結果 帰宅困難者数の予測結果を表- 2. 11.1 に示す。周辺市区町村から習志野市への通勤・ 通学者による市民以外の滞留帰宅困難者は 16,190 人となり、習志野市から周辺市区町 村への通勤・通学者による習志野市民の帰宅困難者は 32,632 人と予測された。 表- 2. 11.1 帰宅困難者 区分 千葉県 東京都 茨城県 埼玉県 神奈川県 その他 合計 習志野市内に通勤・ 通学する他の市町村民 9,631 3,089 794 1,719 665 292 16,190 他の市町村に通勤・ 通学する習志野市民 4,067 26,699 140 652 859 215 32,632

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2. 12 震災廃棄物の予測

2. 12. 1 概 要 1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震においては、家屋の倒壊、ビルの破損、主に高 架となっている交通施設崩壊等によって大量の瓦礫が発生した。兵庫県南部地震では およそ 2,000 万トンの災害廃棄物が発生し、その 4 分の 3 にあたる 1,450 万トンは住宅・ 建築物系被害によって発生したものである。ほとんどの災害廃棄物は埋め立てに使用 されたが、兵庫県はこれらの瓦礫処理に約 2,650 億円を要した。また、災害廃棄物の運 搬などにより交通渋滞、騒音、振動、事故、アスベスト等粉塵公害など多くの問題が 発生した。 本調査では、揺れ・液状化による建物被害予測結果と地震災害により発生する焼失 棟数から、災害廃棄物量の予測を行った。 建物被害予測調査、地震火災被害予測調査で予測された被害量をもとに、千葉県市 町村震災廃棄物処理計画策定指針(千葉県環境生活部一般廃棄物課、平成 13 年 3 月) で示されている「がれきの発生量の推計方法」に基づいて、災害廃棄物量を算出した。 算出は、大破を全壊、中破を半壊と見なして行った。 2. 12. 2 予測結果 震災廃棄物の予測結果を表- 2. 12.1 に示す。 東京湾北部地震による震災廃棄物量は、合計 1,655,322 トンになると予測された。内 訳は、大破の震災廃棄物が 201,237 トン、中破の震災廃棄物が 462,457 トン、焼失の震 災廃棄物が 991,628 トンである。 習志野市直下の地震による震災廃棄物量は、合計 2,598,886 トンになると予測された。 内訳は、大破の震災廃棄物が 473,779 トン、中破の震災廃棄物が 697,196 トン、焼失の 震災廃棄物が 1,427,911 トンである。 表- 2. 12.1 震災廃棄物の予測結果

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2. 13 災害シナリオの作成

市職員は、災害発生が平日の勤務時間であれば庁内にいる可能性は高いが、平日の 夜・早朝、土・日・祝日の場合は、自宅や外出先から参集しなければならない。自治 体職員も被災者となる可能性がある。災害対応のために参集しなければならない一方、 家族や近所(あるいは自分自身)が被災し、目の前の現実を目の当たりにして、参集 するか否かの選択に迫られるかもしれない。職員が被災をまぬがれ無事に参集できて も、指示を仰ぐべき上司が参集していないケースも考えられる。多忙な初動対応のた め、不眠不休の過剰労働が課せられるかもしれない。1995 年(平成 7 年)兵庫県南部 地震、2011 年(平成 23 年)東日本大震災は象徴的な大震災であるが、それ以外にも 2000 年(平成 12 年)鳥取県西部地震、2003 年(平成 15 年)宮城県北部地震、2004 年(平 成 16 年)新潟県中越地震などで、地方自治体の職員は災害対応のための過剰労働を強 いられた。 ここでは、これまでの被害想定結果をもとに、東京湾北部地震による災害シナリオ を表- 2. 13.1、習志野市直下の地震による災害シナリオを表- 2. 13.2 にそれぞれ示す。 なお、災害発生時刻は、冬の 18 時を想定した。また、良好な天候条件下で地震が発 生し、災害対策本部長や市防災担当者は地震により死亡もしくは重傷を負うことなく 勤務できたなど、ある種、理想的な状態が前提である。

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表- 2. 13.1 東京湾北部地震(M7.3)が発生した場合の想定被害シナリオ 経過時間 災害項目 建物被害 △建物全壊多数 △余震によりさらに一部の建物が損壊 △応急危険度判定開始 終了および被害程度見積もり ・重機類の不足 △建物半壊多数 △一部住居に避難勧告 ・道路被害による重機類の活用困難 △谷津、津田沼、袖ヶ浦1・3丁目など国道14号沿線で、木造建物に多数の被害が発生 △取り壊し作業開始 ・大量の瓦礫の発生による重機類の運用支障 ・被災建物の取壊し、道路啓開の遅延 救出活動 △倒壊建物内に多数の要救助者が閉じ込められる △深夜に入り、住民による救助の効率低下 △救出者にクラッシュ △これ以降生存率低くなり △このころ救出活動打ち切り ・重機類の不足による、被災建物内に取り残さ △1時間後までは △2時間後くらいまでは住民主体の救助 症候群が急増する 生存率は1~2割  れた被災者の救出困難 ほとんど救助不能 △救助隊が到着し始める △火災の被害を受けた地域に救助隊が投入される △延焼による危険や細街路が閉塞した地域は救助隊が夜間到達できない 火災 △谷津、津田沼、袖ヶ浦、大久保など、木造住宅の多い地域から多数の火災通報 △通電火災が数日に1件の割合で発生 ・消防署自体の被災 △周辺住民の初期消火により、小規模な火災は一部鎮火 ・液状化による道路面被害、建物倒壊などに △30件前後の出火を確認 △延焼火災が拡大 △延焼がさらに拡大し、一部主要道路が火災のため通行不能に  よる道路閉塞から、消防車両が運用困難と △消防活動によっても鎮火に至らず延焼を始める火災が十数件発生 △このころ、延焼遮断帯となる道路や空地などの影響で、延焼の勢いが収まる  なる可能性 △延焼火災の拡大により、国道14号一帯、 ・消防水利被害による消防用水不足 京成大久保駅周辺一帯で多数の家屋が焼失 ・電力不足、ハードウェア被害による 消防活動 △消火活動開始、通報件数に対し消防車両が不足 △火災が拡大する間も、平行して救出活動を行う △通報などにより随時出動 △結果検証を行う  消防指揮システム停止の可能性 △一部の火点のみ鎮火 △鎮火の確認 ・延焼のため救出活動困難 △破壊消防など、延焼の防止に努める △火災が一段落したことから、救護・救命活動に中心に移行 ライフライン 道路交通 △国道14号より海側の埋立地で △交通規制開始 △倒壊建物、地震火災の拡大で規制区域がさらに拡大 ・復旧状況の伝達 液状化により一部幹線道路に △被害状況調査開始 △緊急輸送路の啓開活動が火災の影響で遅れる ・緊急輸送道路の確保 亀裂・破損が発生 △倒壊建物などからの瓦礫多く、道路啓開が遅れる ・火災発生現場付近では避難する住民の車、 △京成津田沼・谷津駅周辺などで △緊急輸送路確保 △応急復旧作業開始  放置車両などで道路が閉塞する可能性 建物倒壊による細街路閉塞 鉄道 △非常停止 △乗客に負傷者発生 △被害状況調査開始 △乗客を地元避難所へと誘導 △一部区間運行停止して再開 ・発災時車両脱輪、横転など重大事故の可能性 △車両内に乗客残留 △負傷した乗客の搬送開始 △バスによる代替輸送開始 △乗客がJR津田沼、京成津田沼駅周辺などに多数滞留 △軌道、架線被害など復旧開始 供給処理施設 △ほぼ全て供給停止 上水道 △遮蔽するか通水する △消防水利の不足 △重要施設、避難場所への △ほぼ復旧 ・取水、導水施設被害による応急給水遅れの かで一部混乱 漏水箇所の発生 応急給水開始 △一部施設復旧開始  可能性 △取水、導水施設の被害確認 △取水、導水施設の応急処置開始 ・道路被害による給水車の運用困難 下水道 △被害状況調査開始 △し尿処理応援のための △避難所などに仮設トイレ建設開始 ・バキュームカーによる屎尿回収の遅れ バキュームカー手配  から衛生面悪化の可能性 ・道路被害によるバキュームカーの運用困難 ガス △被害状況調査開始 △一部で放散措置 △施設修復始まるが、開栓はできない △25%程度復旧 ・ガス管被害によるガス漏れ火災の可能性 △火災の影響もあり、修復作業が進まず △開栓時の注意広報を開始 △復旧工事開始 △建物倒壊による 電力 △延焼の拡大により架線、変圧器が △延焼の影響を受けなかった地域では、電力の一部再開 ・電柱の被災が甚大のため復旧に要する資機材 電柱・電話柱の 破損、停電範囲が拡大する △延焼の影響により、電柱の約半数が機能停止 △40%程度復旧 △80%程度復旧 △一部を除き  調達困難 折損 ほぼ復旧 通信 △延焼の拡大により電話柱の破損が多数発生 △回線の自動制御解除 △一部を除きほぼ復旧 ・災害伝言ダイヤル利用法の周知が十分でない △通話が集中し輻輳状態発生  場合、安否確認など市内外から通話が集中し △回線の自動制御開始  続ける 人的被害 △医療施設の被災 △軽傷者は自力来院 △一部医療物資、医師が地域外から到着 ・PTSD発症に備え、精神科医による (医療) △手術中の緊急措置 △後方搬送体制の模索 △後方搬送開始 △避難所医療の開始 △内科医の需要増加  カウンセリング等の必要性 院内死傷者の発生 △外科医の需要大 △重症患者が増える (遺体の安置が増える) △医療機関の復旧活動 △精神科医の需要増加 ・薬剤師の必要性 △非常電源への切り替え △一部病院内でトリアージ実施 △救護所開設 ・病院施設被害の際の救急医療の継続 △室温低下の影響で、容体悪化 △救急活動開始と共に ・常に増加する職員の負担、疲労に対するケア する入院患者ら発生 搬送される患者増加 ・暖房などで使用される非常電源・燃料の備蓄 被災住民 ・避難所内での環境悪化による傷病者拡大 (避難行動)  の可能性 住民 △夜間、寒さのため △深夜のため、建物倒壊の不安が少ない被災者は △ライフライン途絶の影響を受けて △このころより避難所内でのストレス、 △避難者数は減少 ・人口が密集している状態のため感染症の急速 行動開始が遅れる 一晩自宅待機を選択 自宅を離れる避難者が発生 衛生状態が原因での傷病者発生 自宅の被災による  な拡大の危険 △半壊以上の被災では、余震による危険から深夜であるが避難行動開始 避難者を除いては ・避難所開設前に避難を開始する住民への対応 2日後 3日後 5日後 3時間 6時間 12時間 24時間 問題点・課題 発生 15分 1時間 1週間 2週間 3週間 4週間

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表- 2. 13.2 習志野市直下の地震(M7.3)が発生した場合の想定被災シナリオ 経過時間 災害項目 建物被害 △建物全壊多数 △余震によりさらに一部の建物が損壊 △応急危険度判定開始 終了および被害程度見積もり ・重機類の不足 △建物半壊多数 △一部住居に避難勧告 ・道路被害による重機類の活用困難 △谷津、袖ヶ浦など国道14号沿線で、木造建物に特に多数の被害が発生 △取り壊し作業開始 ・大量の瓦礫の発生による重機類の運用支障 △津田沼、屋敷、藤崎、鷺沼などの住宅地で、木造建物に大きな被害が局所的に発生 ・多数の被災建物取壊し、道路啓開の遅延 救出活動 △倒壊建物内に多数の要救助者が閉じ込められる △深夜に入り、住民による救助の効率低下 △救出者にクラッシュ △これ以降生存率低くなり △このころ救出活動打ち切り ・重機類の不足による、被災建物内に取り残さ △1時間後までは △2時間後くらいまでは住民主体の救助 症候群が急増する 生存率は1~2割  れた被災者の救出困難 ほとんど救助不能 △一部地域に救助隊が到着し始める △火災の被害を受けた地域に救助隊が投入される △延焼による危険や細街路が閉塞した地域は救助隊が夜間到達できない 火災 △谷津、津田沼、袖ヶ浦、大久保、屋敷、鷺沼台、藤崎など市内各所から多数の火災通報 △通電火災が数日に1件の割合で発生 ・消防署自体の被災 △周辺住民の初期消火により、小規模な火災は一部鎮火 ・液状化による道路面被害、建物倒壊などに △60件前後の出火を確認 △延焼火災が拡大 △延焼が急速に拡大し、多数の道路が通行不能  よる道路閉塞から、消防車両が運用困難と △消防活動によっても鎮火に至らず △このころ、延焼遮断帯となる道路や空地などの影響で、延焼の勢いが収まる  なる可能性 延焼を始める火災が30件程度発生 △延焼火災の拡大により、国道14号付近から ・消防水利被害による消防用水不足 京成実籾駅に至る習志野市中部で多数の家屋が焼失 ・電力不足、ハードウェア被害による 消防活動 △消火活動開始、通報件数に対し消防車両が不足 △火災が拡大する間も、平行して救出活動を行う △通報などにより随時出動 △結果検証を行う  消防指揮システム停止の可能性 △一部の火点のみ鎮火 △鎮火の確認 ・延焼のため救出活動困難 △破壊消防など、延焼の防止に努める △火災が一段落したことから、救護・救命活動に中心に移行 ライフライン 道路交通 △国道14号より海側の埋立地で △交通規制開始 △倒壊建物、地震火災の拡大で規制区域がさらに拡大 ・復旧状況の伝達 液状化により一部幹線道路に △被害状況調査開始 △緊急輸送路の啓開活動が火災の影響で遅れる ・緊急輸送道路の確保 亀裂・破損が発生 △倒壊建物などからの瓦礫が多く、道路啓開が遅れる ・火災発生現場付近では避難する住民の車、 △京成津田沼・谷津駅周辺などで △緊急輸送路確保 △応急復旧作業開始  放置車両などで道路が閉塞する可能性 建物倒壊による細街路閉塞 鉄道 △非常停止 △乗客に負傷者発生 △被害状況調査開始 △乗客を地元避難所へと誘導 △一部区間運行停止して再開 ・発災時車両脱輪、横転など重大事故の可能性 △車両内に乗客残留 △負傷した乗客の搬送開始 △バスによる代替輸送開始 △乗客がJR津田沼、京成津田沼駅周辺などに多数滞留 △軌道、架線被害など復旧開始 供給処理施設 △ほぼ全て供給停止 上水道 △遮蔽するか通水する △消防水利の不足 △重要施設、避難場所への △ほぼ復旧 ・取水、導水施設被害による応急給水遅れの かで一部混乱 漏水箇所の発生 応急給水開始 △一部施設復旧開始  可能性 △取水、導水施設の被害確認 △取水、導水施設の応急処置開始 ・道路被害による給水車の運用困難 下水道 △被害状況調査開始 △し尿処理応援のための △避難所などに仮設トイレ建設開始 ・バキュームカーによる屎尿回収の遅れ バキュームカー手配  から衛生面悪化の可能性 ・道路被害によるバキュームカーの運用困難 ガス △被害状況調査開始 △一部で放散措置 △施設修復始まるが、開栓はできない △25%程度復旧 ・ガス管被害によるガス漏れ火災の可能性 △火災の影響もあり、修復作業が進まず △開栓時の注意広報を開始 △復旧工事開始 △建物倒壊による 電力 △延焼の拡大により架線、変圧器が △延焼の影響を受けなかった地域では、電力の一部再開 ・電柱の被災が甚大のため復旧に要する資機材 電柱・電話柱の 破損、停電範囲が拡大する △延焼の影響により、8割以上の電柱が機能停止 △40%程度復旧 △80%程度復旧  調達困難 折損 通信 △延焼の拡大により電話柱の破損が多数発生 △回線の自動制御解除 △一部を除きほぼ復旧 ・災害伝言ダイヤル利用法の周知が十分でない △通話が集中し輻輳状態発生  場合、安否確認など市内外から通話が集中し △回線の自動制御開始  続ける 人的被害 △医療施設の被災 △軽傷者は自力来院 △一部医療物資、医師が地域外から到着 ・PTSD発症に備え、精神科医による (医療) △手術中の緊急措置 △後方搬送体制の模索 △後方搬送開始 △避難所医療の開始 △内科医の需要増加  カウンセリング等の必要性 院内死傷者の発生 △外科医の需要大 △重症患者が増える (遺体の安置が増える) △医療機関の復旧活動 △精神科医の需要増加 ・薬剤師の必要性 △非常電源への切り替え △一部病院内でトリアージ実施 △救護所開設 ・病院施設被害の際の救急医療の継続 △室温低下の影響で、容体悪化 △救急活動開始と共に ・常に増加する職員の負担、疲労に対するケア する入院患者ら発生 搬送される患者増加 ・暖房などで使用される非常電源・燃料の備蓄 被災住民 ・避難所内での環境悪化による傷病者拡大 (避難行動)  の可能性 住民 △夜間、寒さのため △深夜のため、建物倒壊の不安が少ない被災者は △ライフライン途絶の影響を受けて △このころより避難所内でのストレス、 △避難者数は減少 ・人口が密集している状態のため感染症の急速 行動開始が遅れる 一晩自宅待機を選択 自宅を離れる避難者が発生 衛生状態が原因での傷病者発生 自宅の被災による  な拡大の危険 △半壊以上の被災では、余震による危険から深夜であるが避難行動開始 避難者を除いては ・避難所開設前に避難を開始する住民への対応 △谷津、津田沼、袖ヶ浦、鷺沼台、大久保、屋敷などで、火災の拡大による避難者が多数発生 ほぼ全員帰宅する ・地震火災の延焼のため避難所を開設でき △延焼の拡大により、一部の避難所・避難場所が使用不能に △緊急輸送路啓開の遅れや緊急車両の確保が進まず  ない可能性 △避難所開設始まる 物資搬入の遅れとなり避難所の物資が枯渇 ・安否情報など情報窓口としての要求が △安否情報を求める要求が高まる △応急危険度判定の結果  拡大し人員不足となる可能性 △避難勧告を受けて各地で避難が始まる 自宅を離れ避難所生活を ・避難者同士でのトラブル防止 △食料品、飲料水、日用品、毛布などの分配開始 開始する住民が現れる  (長期化することによる、避難生活に対する  ニーズ、モチベーションの変化) 住民以外 △直後は行動不能、生活圏外の被災で混乱 △帰宅方法を模索する △手持ちの衣類、食料などが限られている △通常の避難所における問題に加え ・寒さ対策 △京成線各駅、JR津田沼、新習志野駅などで 難しい場合は避難所生活に ために避難所での生活困難 生活圏内でないことによる心理的 ・地震火災の延焼により避難行動中に被災する 帰宅困難者多数発生 △避難所内で寒さなどによる ダメージなどが増大  可能性 △冬季夜間であることから徒歩による避難行動困難 △徒歩で帰宅を開始した帰宅困難者が 健康への影響が出始める であり、習志野市内での一時避難を模索 国道14号を移動、谷津、津田沼の △交通機関の復旧に伴い、帰宅困難者の流出が増加する △深夜を迎える前に手近の建物へ移動 避難所、商業施設などが混雑 △JR津田沼駅付近の複合施設・大規模商業施設などが混雑する 2日後 3日後 5日後 3時間 6時間 12時間 24時間 問題点・課題 発生 15分 1時間 1週間 2週間 3週間 4週間

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2. 14 応急対応能力算定調査

2. 14. 1 救出活動 1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震の事例から、自力脱出困難者と全壊率の関係式 により自力脱出困難者数を算出した。自力脱出困難者のうち 70%は住民等によって救 出され、残りの 30%が消防によって救出されると設定した。なお、算出時刻は 18 時と する。想定地震別の自力脱出困難者数を表- 2. 14.1 に示す。 表- 2. 14.1 救出活動の対象者 想定地震 自力脱出困難者数の 合計(人) 消防による救出対象者(人) 木造建物 非木造建物 合計 東京湾北部地震 610 108 75 183 習志野市直下の地震 1,630 278 211 489 救出活動の条件を以下のとおり設定した。 ① 救出隊は消防本部および消防団を対象とした。 ② 救助工作車が 2 台あることから、地震発生直後から 2 隊の救出隊(レスキュー 隊)が出動するものとした。 ③ 消防団員は 167 人(平成 24 年 4 月 1 日現在)である。そのうち地震発生直後に 動員できるのは、習志野市地震被害想定調査(平成 18 年 3 月)で動員できる人 数と全消防団員の割合を適用して 39 人と設定した。また、6 時間以内に団員の 半数が救出活動に加わるとした。 ④ 救出時間は、1995 年(平成 7 年)兵庫県南部地震における消防救助記録から、 救出隊 5 人編成で 1 人の救出に木造建物の場合 117 分、非木造建物の場合 252 分を要するとした。 ⑤ 夜間(午後 6 時から午前 6 時まで)の救出活動能率は、昼間の 1/3 とした。 ⑥ 現場への駆けつけ時間は、習志野市地震被害想定調査(平成 18 年 3 月)と同様

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想定地震別の救出活動算定結果を表- 2. 14.2 に示す。 東京湾北部地震の場合、全員を救出するのにかかる最大時間は 55 時間で、10 時間以 内で救出可能な人数は 20 人、10 時間以内で全員を救出するためには 238 隊が必要とな る。 習志野市直下の地震の場合、全員を救出するのにかかる最大時間は 153 時間で、10 時間以内で救出可能な人数は 20 人、10 時間以内で全員を救出するためには 811 隊が必 要となる。 表- 2. 14.2 救出活動算定結果 想定地震 消防による救 出対象者(人) 救出所要時間 (時間) 目標時間 10 時間 救 出 可 能 者 (人) 救出不可能者 (人) 全員救出する ために必要な 救 出 部 隊 数 (隊) 東京湾北部 地震 183 55 20 163 238 習志野市直下 の地震 489 153 20 469 811

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2. 14. 2 応急医療 震災時の医療機関の物的な医療機能を対象とし、建物被害やライフラインの支障に よる医療機能低下の評価および、予測される患者数に対する利用可能な病床数の過不 足量を算出した。 ■要転院患者数 災害時に医療機関建物の損傷などによって被害を受けることが予想され、被災した 医療機関から転院する必要がある要転院患者数を算出した。 ■医療需給過不足数 災害時の医療機能支障を定量化するために、地震後の対応能力がどれだけ不足する かを算出した。 要転院患者数を表- 2. 14.3、医療需給過不足数を表- 2. 14.4 にそれぞれ示す。 表- 2. 14.3 入院患者数および要転院患者数 想定地震 入院患者数(人) 要転院患者数(人) 東京湾北部地震 1,084 204 習志野市直下の地震 1,084 319 表- 2. 14.4 医療需給過不足数 項目 東京湾北部地震 習志野市直下の地震 重篤 ICU 病床数 6 6 緊急入院需要量(人) 40 93 対応可能重篤患者数(人) 1 1 医療需給過不足数(人) -39 -92 重傷 病床数(ICU 除く) 1,387 1,387 入院需要量(人) 291 519 対応可能重傷者数(人) 192 126

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2. 14. 3 避難所 建物被害、ライフラインの機能停止等によって発生が予想される避難所生活者数を 算定し、避難所収容能力をもとに、充足率を算定した。 避難所収容能力算定の流れを図- 2. 14.1 に示す。 図- 2. 14.1 避難所収容能力算定の流れ 避難所収容能力算定の対象者は、避難者予測調査で算定された避難所生活者数とす る。この避難所生活者は、建物被害によって住家を失った人に加え、ライフライン機 能障害による避難所生活者を含めたものである。避難所生活者は以下のとおり設定し た。 ① 避難者予測調査で算定された建物被害と建物焼失による避難所生活者を基本と する。 ② 避難所生活者数が最多となる地震発生 1 日後の避難所生活者数とした。 ③ 避難所の収容可能な人員は、屋内面積 3.3m2当たり 2 人で算出した。 ④ 習志野市では市有建築物を対象に、平成 29 年度までに耐震改修を行うことを目 指している(市有建築物の耐震化整備プログラムより、平成 24 年 4 月)。その ため、避難所収容能力は、全ての避難所の耐震改修が完了したことを前提に算 出した。 避難所生活者数 【需要】 避難所の収容可能な 面積、人数の整理 収容可能人数 【供給】 充足率の算定

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東京湾北部地震による避難所生活者に対する収容能力算定結果を表- 2. 14.5 に示す。 市全体の避難所充足率は 37%で、避難者の約 6 割が収容できない結果となった。小学 校区ごとは、実花・袖ヶ浦東小学校区の避難所充足率は 100%を上回るものの、他の小 学校区は 100%を下回る結果となった。 習志野市直下の地震による避難所生活者に対する収容能力算定結果を表- 2. 14.6 に 示す。市全体の避難所充足率は 30%で、避難者の 7 割が収容できない結果となった。 小学校区ごとの充足率も 100%を下回る結果となった。 表- 2. 14.5 東京湾北部地震(M7.3)による避難所生活者に対する収容能力算定結果 小学校区 避難所名称 面積(㎡) 収容人員 小学校区ごと収容人員 A 最大避難所 生活者 B (1日後) 避難所 充足率 A÷B 実花小学校(体育館等) 885 536 習志野高等学校(体育館等) 4,458 2,702 東習志野小学校(体育館等) 866 525 第四中学校(体育館等) 1,753 1,062 東部体育館 2,912 1,765 第二中学校(体育館等) 1,098 665 実籾小学校(体育館等) 835 506 屋敷小学校(体育館等) 814 493 第六中学校(体育館等) 2,446 1,482 大久保東 大久保東小学校(体育館等) 824 499 499 2,992 17% 大久保 大久保小学校(体育館等) 875 530 530 4,816 11% 藤崎小学校(体育館等) 814 493 第五中学校(体育館等) 1,621 982 鷺沼 鷺沼小学校(体育館等) 855 518 518 5,033 10% 津田沼 津田沼小学校(体育館等) 1,097 665 665 5,236 13% 谷津小学校(体育館等) 984 596 第一中学校(体育館等) 1,634 990 向山 向山小学校(体育館等) 813 493 493 2,415 20% 谷津南 谷津南小学校(体育館等) 885 536 536 3,765 14% 袖ヶ浦西 袖ケ浦西小学校(体育館等) 802 486 486 3,330 15% 袖ケ浦東小学校(体育館等) 1,743 1,056 第三中学校(体育館等) 814 493 袖ケ浦体育館 2,409 1,460 秋津 秋津小学校(体育館等) 850 515 515 2,981 17% 香澄小学校(体育館等) 855 518 袖ヶ浦東 3,010 2,688 112% 藤崎 1,476 3,914 38% 谷津 1,587 5,937 27% 実籾 1,172 3,210 36% 屋敷 1,976 3,205 62% 実花 3,238 2,457 132% 東習志野 3,352 3,621 93%

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表- 2. 14.6 習志野市直下の地震(M7.3)による避難所生活者に対する収容能力算定結果 ※合計は、小数点以下の四捨五入の関係で合わない場合がある。 小学校区 避難所名称 (㎡)面積 収容人員 小学校区ごと収容人員 A 最大避難所 生活者 B (1日後) 避難所 充足率 A÷B 実花小学校(体育館等) 885 536 習志野高等学校(体育館等) 4,458 2,702 東習志野小学校(体育館等) 866 525 第四中学校(体育館等) 1,753 1,062 東部体育館 2,912 1,765 第二中学校(体育館等) 1,098 665 実籾小学校(体育館等) 835 506 屋敷小学校(体育館等) 814 493 第六中学校(体育館等) 2,446 1,482 大久保東 大久保東小学校(体育館等) 824 499 499 4,218 12% 大久保 大久保小学校(体育館等) 875 530 530 6,683 8% 藤崎小学校(体育館等) 814 493 第五中学校(体育館等) 1,621 982 鷺沼 鷺沼小学校(体育館等) 855 518 518 6,206 8% 津田沼 津田沼小学校(体育館等) 1,097 665 665 5,918 11% 谷津小学校(体育館等) 984 596 第一中学校(体育館等) 1,634 990 向山 向山小学校(体育館等) 813 493 493 2,737 18% 谷津南 谷津南小学校(体育館等) 885 536 536 4,303 12% 袖ヶ浦西 袖ケ浦西小学校(体育館等) 802 486 486 3,806 13% 袖ケ浦東小学校(体育館等) 1,743 1,056 第三中学校(体育館等) 814 493 袖ケ浦体育館 2,409 1,460 秋津 秋津小学校(体育館等) 850 515 515 3,375 15% 香澄小学校(体育館等) 855 518 第七中学校(体育館等) 2,072 1,256 36,014 21,827 21,827 72,888 30% 58% 97% 67% 27% 43% 27% 24% 藤崎 屋敷 実籾 東習志野 実花 97% 1,172 1,976 谷津 5,475 合計 香澄 袖ヶ浦東 3,108 3,079 3,010 1,774 6,714 1,476 1,587 3,325 4,978 4,376 4,586 3,238 3,352

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2. 14. 4 給 水 地震後の給水需要量を算出した。地震発生日からの経過日数に応じて給水量を増加 させる場合の給水量の設定には、(財)水道技術研究センターが 1995 年(平成 7 年) 兵庫県南部地震などの実績をもとに定めた給水量の目安を用いた(表- 2. 14.7)。ここ で、対象となる給水人口は、建物の被災による避難所生活者と、建物は被災しなかっ たが断水する人口を合計したものである。 表- 2. 14.7 (財)水道技術研究センターによる給水量の目安 時期 目標給水量 主な用途 地震発生~3 日目 3 リットル 飲料(生命維持に最小限必要) 4 日目~10 日目 20 リットル 飲料、水洗トイレ、洗面など(日周期の 生活に最小限必要) 11 日目~21 日目 100 リットル 飲料、水洗トイレ、洗面、風呂、シャワ ー、炊事など(数日周期の生活に最小限 必要) 21 日目~ 被災前の給水量 (約 250 リットル) ほぼ通常の生活(若干の制約はある) 習志野市では、非常用飲料水として、22 箇所の備蓄倉庫に 254 箱(1 箱=12 リット ル)、すなわち、3,048 リットルの飲料水を備蓄している。また、市内 7 箇所に非常用 給水施設が設置されており、そのうち 3 箇所の給水場から、県水道局(船橋水道事務 所)や市企業局の給水車へ給水を行う。給水場には十分な水が確保されているため、 災害時の給水能力を左右するのは、給水タンク車等の運搬能力である。そこで、県水 道局(船橋水道事務所)と市企業局が保有する給水車の台数と給水タンク容量、それ による運送可能な回数を 1 日 3 回と設定し、備蓄の飲料水による供給に加えた。1 日当 たり給水車等により給水できる量は 33,000 リットルである。ただし、給水車等からの 供給は震災 2 日後からにする。 東京湾北部地震による給水能力算定結果を表- 2. 14.8 に示す。発災 1 日後の避難所生 活者数が 58,304 人で、必要とする給水量は 174,912 リットルである。市の供給量 3,048

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表- 2. 14.8 東京湾北部地震(M7.3)による給水能力算定結果 発災経過 日 数 避難所 生活者数 1 日・1 人当たり必要 量(リットル) 要給水量 (1 日当たり、リットル) 過不足量 (1 日当たり、リットル) 1 日後 58,304 3 174,912 -171,864 4 日後 28,516 20 570,320 -537,320 1 ヶ月後 15,750 250 3,937,500 -3,904,500 表- 2. 14.9 習志野市直下の地震(M7.3)による給水能力算定結果 発災経過 日 数 避難所 生活者数 1 日・1 人当たり必要 量(リットル) 要給水量 (1 日当たり、リットル) 過不足量 (1 日当たり、リットル) 1 日後 72,888 3 218,664 -215,616 4 日後 42,854 20 857,080 -824,080 1 ヶ月後 29,982 250 7,495,500 -7,462,500

参照

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