2. 6. 1 上水道被害の予測
習志野市には、習志野市営水道と千葉県営水道がある。市営水道はJR総武線より北 側の習志野市域と、船橋市の三山全域のほか、習志野や田喜野井の一部に給水してい る。千葉県営水道はJR総武線より南側(海側)の地域が給水区域となっている。
被害予測手法は、平成19年度千葉県地震被害想定調査と同様に、日本水道協会(1998)
が1995年(平成7年)兵庫県南部地震における水道管路の被害分析に基づいて提案し た予測方法を用いた。具体的には、地表の最大速度から推定される標準被害率曲線に、
管種、管径、地形・地盤、液状化による補正係数を乗ずることにより、対象とする埋 設管の単位長さあたりの被害件数(被害率、箇所/km)を予測する。これに、管路の 延長を乗ずることにより被害件数を予測する。
上水道被害予測結果を表- 2. 6.1に示す。
表- 2. 6.1 上水道被害予測結果 想定地震 管路延長
(km)
被害箇所数
(箇所)
被害率
(箇所/km)
東京湾北部地震
431 180 0.42
習志野市直下の地震 306 0.71
復旧日数の予測は、1995年(平成 7年)兵庫県南部地震における供給系ライフライ ンの被害分析から得られた能島ら(2003)1)の手法を用いた。
東京湾北部地震の平均計測震度5.9の場合、習志野市直下の地震の平均計測震度6.2 の場合、最大計測震度6.4の場合を想定し、震災30日経過後までの復旧率を表- 2. 6.2 に示す。
表- 2. 6.2 上水道復旧率
経過日数
(日目)
復旧率 東京湾北部地震
平均計測震度5.9 の場合
習志野市直下の地震 平均計測震度6.2
の場合
最大計測震度6.4 の場合
1 3% 1% 0%
2 8% 2% 1%
3 13% 5% 2%
4 18% 7% 3%
5 23% 11% 5%
6 29% 14% 7%
7 34% 18% 10%
8 39% 21% 12%
9 43% 25% 15%
10 47% 29% 18%
11 52% 32% 21%
12 55% 36% 24%
13 59% 40% 27%
14 62% 43% 30%
15 65% 46% 33%
16 68% 50% 36%
17 71% 53% 39%
18 73% 56% 42%
19 75% 58% 45%
20 78% 61% 48%
21 79% 63% 51%
22 81% 66% 53%
23 83% 68% 56%
24 84% 70% 58%
25 86% 72% 60%
26 87% 74% 63%
27 88% 76% 65%
28 89% 78% 67%
29 90% 79% 69%
2. 6. 2 下水道被害の予測
平成19年度千葉県地震被害想定調査では、国土交通省「大規模地震による下水道被 害想定検討委員会(第1回、2005)」の被害予測手法を用いて、埋設管を対象に被害予 測を実施した。具体的には、地震動の強さと液状化の程度から推定される管種ごとの 平均被害率に、それぞれの管種延長を乗じることによって被害延長を算出する。下水 道被害予測結果を表- 2. 6.3に示す。
表- 2. 6.3 下水道被害予測結果 想定地震 管路延長
(km)
被害延長
(km)
被害率
(%)
東京湾北部地震
450 21.2 4.7
習志野市直下の地震 32.5 7.2
2. 6. 3 ガス被害の予測
ガス管の被害は、東京都(1997)の手法から算出した。この手法は、兵庫県南部地 震の被害データから、地表最大速度と都市ガス管の被害率との関係を標準被害率に設 定し、これに液状化および管種による影響を考慮・補正して被害量を算出する。
ガス管の被害予測結果を表- 2. 6.4に示す。
表- 2. 6.4 ガス管被害予測結果 想定地震 管路延長
(km)
被害箇所数
(箇所)
被害率
(箇所/km)
東京湾北部地震
363 7 0.02
習志野市直下の地震 14 0.04
2. 6. 4 電力・通信被害の予測
中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」(2005)では、1995年(平成7年)兵 庫県南部地震における被害実績をもとに、揺れによる電柱・電話柱の折損率、建物全 壊による電柱・電話柱の折損率を設定している。また、火災による電柱・電話柱の折 損率は、出火点の有無を考慮し、出火点がある場合は100%、出火点がない場合は0%
として算出した。
習志野市内に存在する電柱・電話柱の本数を表- 2. 6.5、想定地震ごとの電柱・電話 柱の被害予測結果を表- 2. 6.6にそれぞれ示す。また、電柱被害から停電軒数を算出し た。東京湾北部地震による停電軒数は 11,003軒、習志野市直下の地震による停電軒数
は13,469軒となった。
表- 2. 6.5 電柱・電話柱の本数
種別 本数
東京電力柱 12,503本
NTT柱 7,126本
表- 2. 6.6 電柱・電話柱の被害予測結果
想定地震 電柱被害予測 電話柱被害予測
被害本数 被害率 被害本数 被害率 東京湾北部
地震 7,247 58.0% 4,131 58.0%
習志野市直下の
地震 10,621 84.9% 6,053 84.9%