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免疫体の胎盤通過に就て

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Academic year: 2021

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.論

〔女手馨學蘇究:第14悉第2號頁85−88r昭和19年5月〕

免疫膿の胎盤i通過に就て

東京女子讐肇專門學校細菌學i教室

藪授」蕪博士:雫門門

ヒラ ノ ノリ

マサ 生後一箇年位までの小見が、傳染病に侵されにくvoと云ふことは、周知の事實である。その理由 :に就て、嘗てDuclaux, Arloing等は、父親の町勢艦が新生見に移行するからであると主張した けれども、1892年リチン及びアブリン免疫マウスに就て行ったEhrlichの有名なる實瞼によつて 父親の免疫は子に移行しなV・ことが立讃され、又卵性逡傅も成立しなbことが明かとなった。邸ち 一:冤疫の眞の遺子は否定されたけれども、胎兇及び新生児に免疫艦の存在することは確實である。そ 、の冤疫艦移行の鱗としては、次の四つが考へられてるる。 .1。母艦の胎盤を通過せる抗元が、胎見の艦内に於て自働的に手弄を産生せしめる(自働免疫)。 ・.2。母艦に於て産生された抗艦が、胎盤を通過して胎兇に移行する(被物性冤疫)。 13。門燈に存在する抗艦が、.哺乳によって薪生兇に移行する(被働性免疫)。 4.、疾病或は豫防接種によって獲得したi親の冤疫が、胎見の肺野プラスマに逡傳する。 躰種プラスマへの逡傅とは、例へばコレラの本場である印度人が、コンラに饗して比較的抵抗する ・が如きことを云ふのであって、一種の抵抗の遺傅である。これと同じやうなことが、實験的にも誰 明されてみる。Websterは!0匹宛のマウスを1群として、これに鼠チフス菌を:感染せしめた。 、このマウスは感染後2箇月以内に76%死んだ。生きit)1の闇に生れたマウスに同じやうに鼠チフ ス菌を感染せしめた。この時の死亡率は40%であって、封照マウスに於ては72%であった◎こ t/の生き残りを集め、、その間に生れた仔に感染せしめると、死亡率は更に低下して15%となり、蟹 .照に於ては70%であった。 かくの如きは・陶沐によって強壮なものが淺り・その抵抗性が遺傳するからであると解すべきで 1あって、国璽の遺傳ではなV・。 冤疫艦の胎盤通過 この問題は古くから研究され、その文獄は枚墨に邉ない程である。しかるに最:近Kuthner& 1’Ratnerが、免疫i艦の胎盤通過と胎盤の解剖學的構造との關係に就て論及し、又 Schneider& でSzathn激yが豚ペスト病毒を以て冤腐した豚の仔は、主として初孚しによって免疫されることを誰明 し、叉パラチフス菌や大腸菌を以て晃疫した山羊の仔の免疫も、’ヂフテリア毒素を以て免疫した馬 一一1一一

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86 の仔の冤疫もM初乳によることを認め、母親の冤疫が子に傳はるのは、動物の種類によって、或ぼ 初乳により、或は胎盤通過によるのであって、子宮に於ける血管と胎兇の血管との蘭にある中隔の. 構造がこれと關聯を有するのであると説明して以來、本間題は俄然新たなる姿を以て學界に再登場・ するに至ったのである◎ われわれは、胎盤を通過する免疫髄は如何なる種類のものか、凝集素は通過するけれども、殺菌 素は通過しないと云ふやうなことはないか、叉免疫艦は母野及び胎児に同じ割合に存在するか、ど‘ うか等の問題に就て特に研究したので、鼓にはわれわれの研究を中心として述べようと思ふ。 滅殺素及び抗毒素 先年本校細菌學教室に穿て良田は、人血清を以てインフルエンザ・ヴィールスに封ずる中和試瞼 を行ひ、新生見血清のヴィールス中廊力は、母艦血清みそれを遙に凌駕してみることを誰明した。 次に痘毒に卜する中和抗艦を槍死したQ種痘免疫の胎盤通過は古くから入艦並に動物に就て研 究されてるる。Buckardtは妊娠末期に母野に種痘を行ひ、分娩後新生兇にも種痘を施したが陰性 であったと云ひ、Bahmは29例の善感母艦から生れた薪生干に種痘を行ひ、8例に於て不善態 であったと報告してみる。しかるにこれとは反封に、薪生見の痘毒に樹する冤疫は、微弱であると 主張するものもある(Palm&Walff。西川)。 良田は母艦に新生児血清に於ける痘毒中和物質の量的關係を研究し、母艦血清に於ける申和物質1 は・新生児血清に於けるよりも穂、多いヵ澗等であって、稀に薪生児』購に多いごとを認めた。 三碧ヴィールスに封ずる平和物質も、大旨痘毒に於けると同様の成績を得た。 以上の成績から考察して、濾過性病原髄に即する中和物質、帥ち滅殺素は胎盤を通過すると断定 して差支へないと思ふ。 次に濾過性病原艦と多くの共通黙を有する毒素に封ずる抗毒素に就て述べる。 野人はヂフテリーに饗して冤疫であることはいふまでもないことであるが、この成人に存在する・ ヂフテリー毒素に鍬する抗毒素が、騎帯血液に移行することに就て、Fischl&v。 Wunschheim、 が詳細に研究しぐ麟帯血清の約83∼84%はヂフテリー毒素を■艦内に於ても試験管内に於ても中 和することを嚢附した。1913v. Gr6硫&K:assowitzはユ43組の母艦及び膀帯弓打を研究し、 膀帯血清に存在する抗艦と、選のヂフテリー抗毒素とは異るものであると主張した◎その眞儒は姑 く措き、爾氏は膀帯血汐に於ける抗毒素償は、往it母艦血清に於けるよりも高いことを認めた。 1911年Wegeliusは、ヴィブリオリジン及び破傷風毒素を以て牝の家兎及び山羊を、ぬ部は妊. 戸前にも一部は妊娠中に自働的に免疫し、他は同一種属の免疫血清を以て被働性に冤縛した結果、 敦れの場合に於ても抗艦が胎児に移行することを認め、殊に被働性に冤疫した場合に於ては、屡々 菟疫血清の敷覆がs母膣血清に於けるよりも小兜に多いと主張した。 わが國に於ては、眞柄博士がヂフテリー及び破傷風抗毒素の胎盤通過を詳細に研究し、殊に破傷 風アナ.トキシンを以て妊婦を免疫し、それによって新生見の潮曇破傷風を豫聴せんとしてみる。 前述のやうに、抗禮が母国よりも膀帯血清の方に多いごとが屡ミであるが、そのことに絶て。 一 2一一一

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87 Wegeliusは胎盤は輩に濾過器の如く被働性に働くのではなく、自働的に働くのであらうと述べて みる。しかし未だ既判なことは判らない。 凝集素及び殺菌性抗膿 凝集素の胎盤通過に干ては無数の研究報告がある。その中には胎盤通過を否定してみる報告もあ るけれども、大勢は胎盤通過を認めてみる。 良田の平野にまると、凝集素は多くの場合に於て胎盤を通過してみる。凝集便は母艦血肝に高く / i新生兇1血清に低v・。 凝集素が胎盤を通過しても、その他の抗禮も亦通過するとは限らな》・。しかるに。從來母艦及び 志生野血清の殺菌力を比較した報告は、殆んど見回らない。良田は強弱二種の腸チフス菌株を用ひ て、母艦及び贋帯血清の殺菌作用を比較した。元來腸チフス菌にi封ずる血清の殺菌作用は、著明で はない。從ってこれに封ずる殺菌性物質が、胎盤を通過するや否やを試験するには.甚だ不適當で あるけれども・一慮本丁馳試みたの妨るP その結果は、母艦血清には丁度ながら殺菌力が認められたにも拘らす、膀帯血清には殆んど認め られなかった。 同様の實験はコレラ菌に就労も行はれたけれども、成績は腸チフス菌に於けると同様に、殺菌性 抗艦の胎盤通過を認めなかった。コtzラ菌を以て菟疫すれば、殺菌性抗艦は相當産生されるけれど も、妊婦に本丁のワクチンを注射することは禁忌であるために、これ以上の研究を入艦に就て行ふ ことは不可能である。

丸山はSlide cell c解ltureによって・母艦及び下帯三夜の殺菌力を比較した。それによると・母 艦血液は可なり殺菌的に作用するけれども、下帯血液にはこの作用が殆んどなV・。母艦のこの殺菌 作用が何によって起るのかは、未だ明かでない。丸山によると、’母艦血清の喰菌率の高V・場合には 膀帯血清の、それも高V・g從ってトローピンは胎盤を通過すると噺言して良い。しかるに、母艦の全 一血液に於ける殺菌性物質は、胎盤を通過しない。1それ故にこのものはトロ・一・・e”ンでもなく、溶菌素 でもなV・。オプソ=ンに就ては、未だ研究が完了してみない。 以上蓮べたところによつて明かであるやうIC ,人に於ては母罐に存在する免疫艦が、胎盤を通過 して胎児に移行する。而して抗毒素及びヴィールスに封ずる滅殺素は、往ミ三門血清より賂膀帯血 清に多く、凝集素ば常に母艦血清に多量に謹明され、殺菌性抗艦の胎盤通過は困難のやうである。 初学に於サる抗髄 胎見が隼れて新生見となり、平帯が切れると、母と新生見との生物學的の聯絡は、母乳によって のみ瞥まれる。Ehrlichはリチン及びアブリン冤疫マウスの乳母交換試験によって、母親の免疫謄 は乳に移行し、哺乳によって野生兄は、母の胎内に於て受けた控壁性菟疫を雄持することが出下る のであると沸くた。この意見は今日に於ても、一部の學者から、新生児冤疫の鐵則の如く考へられて るる。しかしtS母乳への穿下早め移行に就ては、意見が置々であり、叉たとへ免疫髄が母乳に移行 するとしてもその冤疫農の幾何が清化管から吸牧されるかN“問題である。 一一一 3 ・一

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88 Salgeはヂフテリβ抗毒素に就て研究し、抗毒素が腸管から吸牧されるのは、た1“抗毒素を含有 する同種驕の乳を與へた時のみであって、入の孚L児に抗毒素を含有する山羊の孚Lを與へても、腸管 からの被働性免疫は成立しないと主張した。最近Schneider&Szathnary(1938)は4歳の牝牛 ゆ をヂフテリア・アナトキシン及び腸チフス菌を以て免疫し、抗艦が乳汁に移行するや否やを實験 し、分娩3週前には、乳に於ける凝集素は5000倍、抗毒素領は1400倍で、血清に於けるよりは 遙に高く1、分娩期には凝集債は1000倍、抗毒素債は1000倍となり ’,他方憤の血清を検査すると、 の 哺乳前には凝集素は全然謹明されづ㍉抗毒素も痕跡を誰明するに過ぎなかったけれども、哺乳後に は凝集素も抗毒素も明かに誰明されたので・母艦から新生児への抗腿の移行は、牛に於てはた穿哺 乳によってのみ行はれるのであると主張した。 良田は入乳に就て實験し、次のやうな成績を得た。母乳としては、分娩後なるべく早期に分泌せ ちれた初乳を探り、これを高速度遠心器を以て遠心分離し、その上清を用ひた。 その結果、初乳に於ける凝集素は、母艦血溝に於けるよりも多かったにも拘らす、殺菌作用も殺 菌性補艦も誰明されなかった。 次いで作用機韓に補艦を必要としない痘毒滅殺素を槍査したけれξも、この場合に於ても、母艦 :血清には滅殺素が明かに誰明されるにも拘らす㌔母乳には讃明されす、叉分娩前種痘を行ひ、滅殺 素産生の著明なものに於ても同様であった。 これを要するに、初心には凝集素は誰明されるけれども、殺菌性痴話は謹明されな㌔㌔從って出 歯によって薪生見を冤私することは不可能であると思考せざるを得なV・○母乳榮養見が人工榮養見 に比して、疾病に歯する抵抗性の張v・ことは確實であるが、ζれは母孚しに於ける抗艦と關係がある のではなく榮養にその原因をおくべきである。 (昌本女子署學研究會第1同総會講演要旨) 一 4 一一一

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