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4. 井戸型ポテンシャルのエネルギ固有値 3 ルギを持つということである. 熱学 統計力学 3 直接的には統計力学とは関係はないが, そのステップとして量 子力学の井戸型ポテンシャルを考える. 幅 a の量子井戸において,Schrödgr 方程式を解いて得られる 離散的なエネルギは以下のようになる.

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(1)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 1

§1.

熱学・統計力学とは

ニュートン力学は1つ巨視的な物体の運動を対象とした学問であるが,熱力学,統計力学は多 数の微視的な粒子の集団を対象とした学問である. 熱力学は,経験的事実から得られた基礎法則を基に築き上げられた理論体系である.熱現象を 物質の巨視的な性質から扱い,物質の性質を巨視的な物理量(エネルギ,温度,エントロピー, 圧力,体積,化学ポテンシャル etc…)を用いて記述する.熱力学は,エネルギ保存則を表す熱 力学第一法則と,エネルギを他の種類のエネルギに変換すると必ず一部分が熱エネルギに変換さ れる(Clausiusの原理),また,熱エネルギを全て他の種類のエネルギに変換することは不可能で ある(Thomsonの原理)という熱力学第二法則からなる †1 . 統計力学とは,熱力学における法則を根底に置きながら,ある微視的な系の振る舞いから,そ の系の巨視的な性質を導き出すための理論体系である. 熱力学は巨視的な系を取り扱うのに対し,量子力学などの微視的な領域と熱力学の巨視的な領 域の橋渡しをするが統計力学である.

§2.

熱学・統計力学で重要な積分公式

熱学・統計力学における計算では,以下の積分公式がよく登場する.これらは覚えておいて損 はない. απ α =

e- x2dx (2.1) 2 / 3 -2 2 e 2 α π α =

x x dx (2.2)

また,階乗のlogの近似式に,Stirlingの公式の公式(の公式の公式 Stirling’s formula)がある. N N N N!≅ log − log (2.3)

§3.

熱力学における関係式

熱力学における状態変数を以下に示す. p:圧力(pressure) V:体積(volume) T:温度(temperature) S:エントロピー(entropy) E:内部エネルギ(internal energy) H:エンタルピー(enthalpy) F:自由エネルギ(free energy)

G:Gibbsの自由エネルギ(Gibbs’s free energy)

それぞれの物理的な意味の説明は省略するが,それぞれにはお互いに相互的に成り立つ式が存在 する.それらは1つの図から簡単に導くことができる. †1 正確には,他にも熱力学第零法則と熱力学第三法則(Nernstの定理)がある. 2 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 左の図の見方であるが,EFGおよびHに関しては,求め る状態変数から時計回りに回った状態変数から,さらに時計回り に 進 ん だ 隣 の 状 態 変 数 と そ の 対 角 成 分 と の 積 の 和 ・ 差 に な る . 和・積は,対角成分が矢印の方向に進んだ場合は差,矢印の逆方 向に進んだ場合は和となる. ここから,以下の4つの基本関係式が得られる. E = H - pV (3.1) F = E - TS (3.2) G = F + pV (3.3) H = G + TS (3.4) また,EFGおよびHを全微分の形で表した形の式を求めるには,求める全微分量の両足 の状態変数のd●,d▲に,それぞれの対角線成分が係数として付く.その符号は,対角線成分か らd●,d▲方向に進む矢印に従う. dE = TdS - pdV (3.5) dF = -pdV - SdT (3.6) dG = -SdT + Vdp (3.7) dH = TdS + Vdp (3.8)

(3.5)~(3.8)式から,Maxwellの関係式(Maxwell relations)と呼ばれる8本の式を得ることがで きる.例えば,(3.5)式からは以下の2本の式が得られる. T S E V =       ∂ ∂ (3.9) p V E S − =       ∂ ∂ (3.10) Maxwellの関係式の別表現として,新たに4つの式が得られる.VTpおよびSに関して,1 本線もしくは2本線でつながれた変数同士を微分式にした等式が成り立つ.1本線でつながれた 変数同士は+,2本線でつながれた変数同士は-が付く. p S T V S p V T ∂ ∂ − = ∂ ∂ ∂ ∂ − = ∂ ∂ , (3.11) S V p T V S T p ∂ ∂ = ∂ ∂ ∂ ∂ = ∂ ∂ , (3.12) ここで,各状態変数のグループ分けをしておく.これら状態変数は,考える系の平衡状態で決 まった値を取る物理量で,状態量ともいう.状態変数は以下のような2つのグループ分けがある. 示強変数 示強変数 示強変数 示強変数:Tp etc… 示量変数 示量変数 示量変数 示量変数:ES etc… 直感的なイメージは,考えている系を2倍にしたとき,その値も2倍になるのが示量変数,不変 なのが示強変数である.

E

F

G

H

p

T

S

V

(2)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 3

§4.

井戸型ポテンシャルのエネルギ固有値

直接的には統計力学とは関係はないが,そのステップとして量 子力学の井戸型ポテンシャルを考える. 幅aの量子井戸において,Schrödinger方程式を解いて得られる 離散的なエネルギは以下のようになる. 2 2 2 2 2ma n En h π = (4.1) これは,電子が基底状態n = 1(絶対零度)においてもエネルギが 0とはならないことを表し,エネルギ準位が上がるほど高いエネ ルギを持つということである. ここで,電子の運動量のゆらぎ(fluctuation)を考える.揺らぎ∆pは以下のように定義される. p p p≡ − ∆ (4.2) ゆらぎの2乗(=分散)の期待値を計算すると以下のようになり,

( )

2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2pp p p p p p p p p p p p p = − − = − − = − − = − ∆ (4.3) 「2乗平均-平均2乗」の形になる. Heisenbergの不確定性原理∆xp≥hにおいて,∆x=aであることを考慮すると,エネルギ,つ まりここでは電子の運動エネルギの期待値は以下のようになる.

( )

2 2 2 2 2 2 2 1 2 1 2 2 2 2      ≥       + ≥ + = = a m a m m p m p m p m p K ∆ h h (4.4) (4.4)式の最右辺は,取り得る状態に関して,最もエネルギの低い状態を表している.(4.4)式と基 底状態におけるエネルギ(4.1)式を比較すると, 2 2 2 2 2 2 2ma ma h h π ↔ (4.5) となり,π 2 の誤差で,Heisenbergの不確定性原理からエネルギ固有値を見積もることができるの である.

§5.

カノニカル分布

系Aと熱浴Bは孤立系(断熱壁で囲まれ,外界との熱のやり とりがない)で,A,B 間はエネルギのみやりとりができる状況 を考える.このような状況に対応する統計分布を カノニカル分布カノニカル分布カノニカル分布カノニカル分布 (canonical distribution)という.カノニカル分布に従う統計集団 のことを,カノニカルアンサンブルカノニカルアンサンブルカノニカルアンサンブルカノニカルアンサンブル(canonical ensemble)という. 例えば§4で示した井戸型ポテンシャルのエネルギ固有値は, エネルギが高い状態ほど,それを取る確率が小さいことは直感的に分かる.ゆえに,電子がある エネルギ状態をとる確率Pnは,Enの減少関数となることが想像できる. 4 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 カノニカル分布に従うと,カノニカルアンサンブルにおける,ある微視的状態|n>(エネルギ En)をとる確率密度Pn[%]は以下のように考えられる. n E n P ∝e−β (5.1) これは,エネルギが高い状態ほど,それを取る確率がexp的に減少することを示している.ここ で,Enは微視的状態|n>のエネルギ固有値である.また,β は 逆温度逆温度逆温度逆温度(inverse temperature)であり, 以下のように定義される. kT 1 = β (5.2)

kはBoltzmann定数(Boltzmann constant),Tは熱浴の温度である.expをテーラー展開すると,

expの肩の値の無限等比級数となる.ゆえにexpの肩は無次元量でなければdimensionがおかしく なってしまう.このように,Boltzmann 定数とは,温度とエネルギの次元を結ぶための定数なの である. 全ての微視的状態について,その取りうる確率を計算するとΣ P n=1(=100%)にならなければ ならない.そのために,(5.1)式に規格化因子を付けて以下のように表す. n E n Z P = 1e−β (5.3) ここでZは 分配関数分配関数分配関数分配関数(partition function)であり,以下のように表される.

− = n En Z e β (5.4) 分配関数におけるΣ の意味は,系の取りうる全ての微視的状態の和を取れということである.つ まり,Z =exp(-βE1) + exp(-βE2) + exp(-βE3) + …と続く.

例えば,エネルギE1をとるような確率P1は以下のようになる. 1 e 1 1 E Z P = −β (5.5) ここで,系の全粒子数をNとした場合,状態|1>を取っている粒子数N1の期待値は,P1(状態|1> をとる確率密度)にNをかけてやればよい(つまり全粒子のうち,|1>を取る粒子の割合がとな るP1 )から,以下のようになる. 1 e 1 1 1 E Z N NP N = = −β (5.6) 次に分配関数の計算例を考える.代表的な例は 2準位系を取る粒子,例えば電子のスピンなど である.1つの粒子が上向きのスピン↑と下向きのスピン↓を取り,そのときに粒子が取るエネ ルギをε1,ε2とすると,E n = εnであるから,分配関数は以下のようになる. 2 1 e e e 2 1 1 βε βε β − − = − = + =

n En Z (5.7) n=1 n=3 n=2 熱浴 系 A B E

(3)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 5 粒子が2つある場合,En = En1 + En2 = εn + εnとなるから,分配関数は以下のようになる.

(

)(

)

( )

2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 2 1 1 2 e e e e e e e Z Z n n E E n n En = n n = + + = = − − − − = = − − = = −

∑∑

β β β βε βε βε βε (5.8) ここで重要なのは,前述の通り,分配関数の和は全ての取り得る状態について取ることである. 結果的に2粒子系の分配関数は,1粒子系の分配関数Z1の2乗になっている.一般的に粒子がN 個の場合では,ZN = (Z1) N となる.

§6.

期待値と比熱

ある系における,ある物理量の 期待値期待値期待値(期待値 expectation value)を考える.期待値とは平均値のこと である.例えば電子系のエネルギの期待値ならば,それぞれの粒子の最も取り易いスピン状態に おけるエネルギである.全ての粒子が下向きのスピンを持つ状況などは,取りうる確率が小さい ことは直感的に理解できる.物理量A nの期待値の定義は以下のようになる. n E n n n n n n A Z P A A =

= 1

e−β (6.1) エネルギの期待値は以下のようになる. Z Z Z Z E Z E n En n E n n n ln 1 e 1 e 1 β β β β β ∂ ∂ − = ∂ ∂ − = ∂ ∂ − = =

− (6.2) エネルギの期待値が求められると,その物質の 比熱比熱比熱(比熱 specific heat)が求められる.比熱とは, 物質1gあたりの温度を1 C° 挙げるのに必要な熱量のことである.比熱の定義を以下に示す. T E C ∂ ∂ = (6.3) 物質の持つ比熱を求めるから,Eはその物質が巨視的に示すエネルギ,つまりエネルギの期待値 でなければならない. 例えばエネルギ+ε と-ε のエネルギ状態しか取らない2準位系を考えたとする.このような系の 1粒子に関する分配関数Zは以下のようになる.

( )

βε exp

( )

βε 2cosh

( )

βε exp + − = = Z (6.4) N個の粒子では,2つのエネルギ状態を取る粒子が独立にN個存在することから,N個の粒子の 場合の分配関数ZNは単に(5.4)式をN乗してやればよい.

( )

βε N N N Z =2 cosh (6.5) N個の粒子の場合の分配関数Z Nが求められたから,エネルギの期待値と比熱が以下のように求め られる. ( )

(

( )

)

( )

( )

βεβε ε

( )

βε β βε β β 2cosh tanh sinh 2 cosh 2 ln lnZ N z N E N N N =− N =− ∂ ∂ − = ∂ ∂ − = (6.6) 6 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 ( ) ( ) ( )

( )

βε ε β β 2 2 2 cosh 1 T k N E T E T C B N N N = ∂ ∂ ∂ ∂ = ∂ ∂ = (6.7) T = 0K(β→∞)では,全ての粒子が最低のエネルギ状態を持つことが直感的に想像できるが, (6.6)式からもβ→∞とするとエネルギの期待値が−Nεとなることがわかる. ここで,準位間のエネルギ差分∆εを定義すると,∆ε = ε − (−ε) = 2εとなる.これを用いて(6.7) 式を変形すると以下のようになる. ( )

( )

(

)

(

)

(

)

{

}

2 2 2 2 2 2 2 2 2 cosh 2 1 2 cosh 1 2 cosh 1 cosh 1 T k T k Nk T k T k Nk T k T k Nk T k N C B B B B B B B B B B N ε ∆ ε ∆ ε ∆ ε ∆ ε ε βε ε         =         =         = = (6.8) 以上のような式の形の比熱を,Schottky型比熱という.Schottky型比熱の低温・高温極限を考え たグラフは以下のようになる.低温では比熱はexp的に増加し,高温では1/T 2 的に減衰する.前 者はエネルギにギャップがある(連続的ではない)系の特徴であり,後者は状態がどこかで打ち 切られるような系の特徴である. Schottky型比熱

§7.

グランドカノニカル分布

カノニカル分布では系Aと熱浴Bはエネルギのみをやりとり することができたが,ここでは同時に粒子のやりとりもできる場 合を考える.このような状況に対応する統計分布を グランドグランドグランドグランド カノカノカノカノ ニカル分布 ニカル分布 ニカル分布

ニカル分布(grand canonical distribution)という.グランドカノニ カル分布に従う統計集団のことを,グランドグランド カノニカルアンサングランドグランドカノニカルアンサンカノニカルアンサンカノニカルアンサン ブル

ブル ブル

ブル(grand canonical ensemble)という.系Aと熱浴Bは孤立系 であるため,エネルギと粒子数は保存される.

グランドカノニカル分布における分配関数を 大分配関数大分配関数大分配関数大分配関数(grand partition function)といい,以 下のようになる.

= = − + N N N N l N E G Z Z e βl βµ eβµ , (7.1) 熱浴 系 A B E N T C exp ∝ 2 / 1 T

(4)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 7 ZNはカノニカル分布における分配関数でZGNの和で表すことができる.また,µ は ケミカケミカケミカケミカ ルポテンシャル ルポテンシャルルポテンシャル ルポテンシャル(chemical potential)である †2 . (7.1)式より,粒子数Nが大きいほどZGは大きくなるから,粒子数の多い状態ほど取り得る確 率が高いように思えるが,そもそもE lは常にNの情報を持っている(依存している)ため,Nの 増加に伴って ZNは減少し,粒子数の多い状態ほど取り得る確率が高いというような状況は起こ らない. 次に,グランドカノニカル分布におけるNの期待値を考える.定義から求めると以下のように なる. G G G N N N G Z Z Z Z N Z N 1 e 1 1 1 ln µ β µ β βµ ∂ ∂ = ∂ ∂ = =

(7.2) また,エネルギの期待値を求めるには,<E>=<E-µN>+<µN>を用いて G Z N E ln β µ ∂ ∂ − = − (7.3) となることから,以下のようになる. G G Z Z E ln ln µ β µ β ∂ ∂ + ∂ ∂ − = (7.4)

§8.

量子統計

古典的な考えでは,粒子は位置と運動量が同時に確定し,さらに互いに区別が可能であった. しかし量子力学の世界では,Heisenbergの不確定性原理のために粒子の位置と運動量は同時には 確定せず,互いに区別することもできない.このような粒子を量子力学的粒子といい,以下の 2 種類が存在する.

Bose粒子粒子(粒子粒子 Boson):フォトン(photon),フォノン(phonon),マグノン(magnon) etc… Fermi粒子粒子粒子粒子(Fermion):電子,陽子,中性子,ニュートリノ(neutrino) etc…

量子力学的粒子は互いに区別することはできない.

結論から言うと,Bosonは1つのエネルギ準位にいくつでも存在することができる.一方で,

Fermionは1つのエネルギ準位に1つしか存在することができない(スピンを含めると2つまで).

つまり,Fermi粒子はPauliの排他律に従う.また,偶数個のFermionからなる粒子はBoson,奇

数このFermionからなる粒子はFermionとして振舞う.例えば 4 He原子は陽子,中性子,および 電子が2個ずつ存在し,Fermion 6個からなるため,Bosonとして振舞う. Bose粒子の特徴 Fermi粒子の特徴 †2 これは,考えている物質1molあたりのGibbsの自由エネルギに相当する. 8 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 7ページ下の図のような3準位系に同種粒子2個(スピン↑↓を持つ粒子2個)を入れる場合 を考えると,古典的粒子,Boson,およびFermionにおける状態の取り方は次のようになる. 古典的粒子 Boson Fermion 古典的粒子では粒子の区別が付くため,同じ状態に粒子2 個が入ることが許される.このとき, 同じ状態を取る確率は,3/9 = 1/3となる.一方で量子力学的粒子では粒子の区別が付かないため, BosonとFermionでは,粒子1と粒子2が状態1と状態2,もしくは状態2と状態1にあるとい う区別が意味をなさない.ゆえに,状態の取り方は全部で6通りとなる.Bose粒子では同じ状態 にいくつでも粒子が入ることができるから,同じ状態を取る確率は3/6 = 1/2となる.一方で, Fermionでは粒子が同じ状態を取ることはできないから,同じ状態を取る確率は0/6 = 0となる . 粒子の状態について,自由粒子と水素原子中の電子について例を見る. 自由粒子の状態は,運動量(= 波数)pとスピンSで状態が決定される.スピンSは以下のよ うに表される. S = 1/2 (8.1) S = (Sx , Sy , Sz) (8.2) スピンの大きさは1/2と分かっている.しかし,スピンの3成分を同時に確定することはできな い(量子力学における一般原理)ため,スピンの成分は1つまでしか確定することができない(2 成分確定すると,残りの1成分も確定する).通常は,S zを用いて自由粒子の状態を表す.よっ て,自由粒子の状態は以下のような3成分で表される. (p , S , Sz) (8.3) スピンの大きさは1/2で固定であり,通常は状態を指定する要素には含めない.運動量pを波数 kで扱う(p=hk)と,(8.3)式は以下のように表される. (k , Sz) (8.4) スピンのz方向成分のみを扱うため,スピンを↑↓というように表現しているわけである.蛇足 ではあるが,スピンとはイメージ的には電子の自転であるが,実際にはそれとは大きく異なる. 電子の持つ角運動量J(angular momentum)は軌道角運動量L(orbital angular momentum)とスピ ン角運動量S(spin angular momentum)の和であり,保存量(位置と速度を組み合わせた式の値 が不変)である. J = L + S (8.5) スピンを電子の自転と考えると,粒子の回転の表面速度が光速を超えてしまい,相対論的に反す るという問題が生じる.今は,スピンとは古典論に対応する物理量のない,電子の内部自由度と 考えるしかない. ε1 ε3 ε2 ε1 ε3 ε2 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 ○ ○ ○ 1 ○ 1 × 2 ○ ○ ○ 2 ○ ○ 2 ○ × 3 ○ ○ ○ 3 ○ ○ ○ 3 ○ ○ × 粒子1 粒 子 2 粒子1 粒 子 2 粒子1 粒 子 2

(5)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 9 水素原子中の電子の状態は,主量子数n,軌道角運動量量子数l,および磁気量子数mで指定 される.磁気量子数はSSzで指定される.軌道角運動量Lは同様にLLzで指定される.ゆ えに,水素原子中の電子の状態は以下のように表される. (n , m , l)(n , S , S z , L , Lz) (8.6) Fermion は各状態に入る量が決まっているため,エネルギが低い順に状態が次々と埋まってい く(外部エネルギによって高い順位へと遷移する).最もエネルギの高い状態を持つ電子の持つ エネルギをFermiエネルギエネルギエネルギエネルギEFという(金属では8eV程度).(8.4)式から,粒子の状態はkによっ て区別され,エネルギが低い状態から順に埋まっていく.以下の図のように,波数空間で電子は 球状に状態を埋めていく.この球面をFermi面面面面という.また,この球の半径をFermi波数波数波数波数kFと いう.固体の物性を決定するのは,Fermi面近傍の電子である.

§9.

理想

Fermi

気体と理想

Bose

気体の分配関数

ある準位系において,エネルギεjの準位に粒子nj個が存在する場合,その系のエネルギの総和 Eと全粒子数Nは以下のようになる. L + + = =

k1 k1 k2 k2 i ki kin n n E ε ε ε (9.1)

= i ki n N (9.2) ここで,カノニカル分布における分配関数(5.4)式

− = i E N i Z e β (5.4) において,Eiが(9.1)式で表されるから,iによる和はnkjによる和で表すことができる.つまり, 下のようになる.

{ }

(

, ,L

)

2 1 k k j n n n i → = (9.3) 以上より,(5.4)式は以下のようになる.

{ }

      ∑ − = j n i ki ki N n Z 'exp β ε (9.4) 10 熱学・統熱学・統熱学・統熱学・統 計力学計力学計力学計力学 Σに付いている’(ダッシュ)は,系の粒子数Nが一定の条件の下での和という意味である. (9.2)式と(9.4)式をグランドカノニカル分布に適用すると,以下のようになる.

{ }

(

)

{ }

(

)

{

}

{

(

)

}

(

)

{

}

∑∑

∑∑

        − − = − − − − =       ∑ − − =       ∑ −       ∑ = = i ki ki n k k k k n n N n i ki ki n i ki ki N i ki N N N G n n n n n n z Z ki k k j j µ ε β µ ε β µ ε β µ ε β ε β βµ βµ exp exp exp exp ' exp ' exp e 2 2 1 1 1 2          L L (9.5) (9.5)式の3段目のΣΣは,expの中のnkiを各準位にある粒子数の数だけ和を取れということである. ゆえに,4段目のΣの上限は,Fermionならば1つの準位に粒子1つしか入れないため1であり, Bose粒子の場合は1つの準位にいくつでも粒子が入ることができるため∞である. よって,理想Fermi気体の大分配関数は以下のようになる. ( )

{

}

+ − − = i G ki Z 1 e βε µ (9.6) 同様に,無限等比級数の和の式を用いることで,理想 Bose気体の大分配関数は以下のようにな る †3 . ( )

+ − − = i G ki Z βε µ e 1 1 (9.7) 各準位の粒子数の期待値<nki>は以下のようになる.

(

)

{

}

{

(

)

}

(

)

{

}

(

)

{

}

() ) ( ) ( 1 1 exp 1 exp exp exp 1 j G j G ki ki n ki j G ki ki n ki ki n ki ki ki n ki G ki Z Z n n Z n n n n n Z n ki ki ki ki µ β µ ε β µ ε β µ ε β µ ε β ∂ ∂ = − − ≡ − − − − =         − − =

    L L (9.8) ) ( ln 1 j G ki Z n µ β ∂ ∂ = (9.9) ここで定義したZG (j) は大分配関数のj番目の要素である.(9.9)式に,理想Fermi気体の大分配関 数を代入すると以下の式を得る. (ε µ)

( )

ε β fF n ≡ + = 1 e 1 (9.10) †3 等比数列をa+ar+ar2+…+ arnとすると,数列の和は

(

)

r r a S n − − = + 1 1 1 となる. 無限等比級数では,n∞(r<1)より, r a S − = 1 となる. EF kx ky Fermi面

(6)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 11 同様に,(9.9)式に理想Bose気体の大分配関数を代入すると以下の式を得る. (ε µ)

( )

ε β fB n ≡ − = 1 e 1 (9.11) (9.10)式をFermi-Dirac分布関数分布関数分布関数分布関数(Fermi-Dirac distribution function),(9.11)式をBose-Einstein分布分布分布分布 関数

関数関数

関数(Bose-Einstein distribution function)という.また,Fermi-Dirac分布関数とBose-Einstein分布 関数を合わせた統計を 量子統計量子統計量子統計量子統計(Quantum statics)という.Fermi-Dirac分布関数およびBose-Einstein 分布関数は,波数空間における,あるエネルギε を持つ格子点における平均粒子数を表す.ゆえ に,同じエネルギを持つ格子点には同じ確率で粒子が占有することになる. Fermi-Dirac分布関数の概形は以下のようになる. T = 0Kではµ = εFとなり,εF以上のエネルギを持つFermionは存在できない.しかし,温度が有 限になるにつれてµ 以上のエネルギを持つ粒子が存在できるようになってくる.これは,Fermion である電子を例にとった場合,温度が高くなるにつれてエネルギを受け取った電子が熱励起し, 半導体内で伝導電子として振る舞うことを意味する. 次に,古典的粒子と量子力学的粒子の関係と性質について考える. 系が高温の場合,粒子は古典的な振る舞いを示し,その分布は以下のMaxwell-Boltzmann分布分布分布分布 関数 関数関数

関数(Maxwell-Boltzmann distribution function)に従う.

(

)

(

)

        + +       = T k v v v m T k m v v v f B z y x B z y x 2 exp 2 , , 2 2 2 2 / 3 π (9.12) ここで,vxvy,およびvzは古典粒子の持つxy,およびz方向の速度である. 系が低温になると,粒子は量子統計に従うようになる.その理由は,粒子の量子(quantum) 的振る舞い,つまり波動性と粒子性を合わせ持つ性質による.量子の波動性を見た場合,その波 動,つまりde Broglie波(de Broglie wave)は以下の式を満たす.

λ

h

p= (9.13)

一方で,気体分子運動論におけるエネルギ等分配則(law of equipartition of energy)によると,熱 平衡状態にある系の1自由度あたりにkBT/2のエネルギが分配される.量子の粒子性を見た場合, 以下のように粒子の持つ運動エネルギの平均値が,3自由度分だけ分配されるエネルギに等しい. T k v m B 2 3 2 1 2 = (9.14) 12 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 (9.13)式と(9.14)式より, T mk h h m p m v m T k B B 3 2 1 2 1 2 1 2 3 2 2 2 2 2 =      = = = λ λ (9.15) となり,以下のde Broglie波長と温度に関する重要な関係式が得られる. T mk h B 3 = λ (9.16) 上式は,系の温度が低くなるほど,de Broglie波の波長が長くなることを意味している.このよ うに,低温ではde Broglie波の波長が長くなり,ついには粒子間距離程度にまで長くなることを 量子力学的効果という.量子力学的効果によって低温の系において粒子は量子統計に従うように なる.de Broglie 波長が粒子間距離程度まで長くなると,粒子の振る舞いが顕著に量子統計に従 うようになる.

§10.

理想

Fermi

気体の状態密度と

Sommerfeld

展開

物理量の計算には,

= i ki ki n E ε (10.1) 以上のような形の和が多く登場する.上式をエネルギの積分で近似する方法を考える.上式のnki はFermi-Dirac分布関数f (εki)に等しい. あるエネルギε までに存在する粒子の全状態数をΩ

( )

ε とすると,状態密度状態密度状態密度状態密度D(εεεε)(density of state; DOS)を以下のように定義する.

( )

ε ε ∂ Ω ∂ = D (10.2) 状態密度とは,量子力学的な微視的状態が,ある微小なエネルギ範囲にどのくらい存在するかを 表したものである. 状態密度を用いると,(10.1)式のような式を以下のようにエネルギ積分で近似して表すことが できる.

( )

( ) ( )

≅ = ε f ε εf ε Dε dε E i ki ki (10.3) このように和の式の変数を連続的にし,状態密度をかけて積分することで近似することができる. 次に,理想Fermi気体の比熱の温度依存性を考える.比熱の定義は(6.3)式で示される. T E C ∂ ∂ = (6.3) 1 µ f(ε) ε 0 = T 0 ≠ T

(7)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 13 ここで,ある物理量h(ε)とf(ε)との積の積分の式を以下のように近似することができる.

( ) ( )

( )

(

) ( )

2

( )( )

2 0 0h f d h d F h F 6 h F kBT F ε π ε ε µ ε ε ε ε ε ≅

ε + − + ′

∞ (10.4)

上式のような展開を,Sommerfeld展開展開(展開展開 Sommerfeld expansion)という.上式を用いて,粒子数 の期待値からケミカルポテンシャルを求めると以下のようになる.

( ) ( )

( )

(

) ( )

( )( )

(

) ( )

( )( )

( )

( ) ( )

2 2 2 2 2 2 0 0 6 6 6 T k D D T k D D N T k D D d D d f D N B F F F B F F F B F F F F ε ε π ε µ ε π ε ε µ ε π ε ε µ ε ε ε ε ε ε ′ − = ∴ ′ + − + = ′ + − + ≅ =

(10.5) (10.5)式の結果から,エネルギの期待値は以下のようになる.

( ) ( )

( )

(

)

( )

(

( )

)

( )

( )

(

)

( )

(

( )

( )

)( )

( )

( )( )

2

( )( )

2 0 2 2 0 2 2 0 2 2 0 0 6 6 6 6 T k D E T k D d D T k D D D d D T k D D d D d f D E B F B F B F F F F F F B F F F F F F F ε π ε π ε ε ε ε ε ε π ε ε ε µ ε ε ε ε ε π ε ε ε µ ε ε ε ε ε ε ε ε ε ε ε ε + = + = ′ + + − + = ′ + − + ≅ =

= (10.6) エネルギの期待値が求められたので,(6.3)から比熱の温度依存性を計算すると以下のようになる.

( )

k T T D T E C = F B ∝ ∂ = 2 2 3 ε π (10.7)

Appendix1.Bose-Einstein

凝縮

体積Vの箱に閉じ込めた質量mN個のBosonからなる理想Bose気体を考える.この系の温 度が低くなる(β が大きくなる)ほど,(9.11)式のBose-Einstein分布関数

( )

( ) 1 e 1 − = βεµ ε B f (9.11) から,温度が高いときに比べて,大きいエネルギを持つ粒子(大きい速度を持つ粒子)が存在す る確率はより小さくなる.つまり,系の温度が低くなるほど,粒子は低いエネルギに落ち着くの である.しかし,粒子は単調にエネルギの低い状態に落ち着くわけではなく,ある温度 TBを境 界に系のほぼ全ての粒子が最もエネルギの低い状態に落ち込む現象が起きる. TBを転移温度(transition temperature)といい,以下のように表される.

( )

3 / 2 2 2 / 3 2      = V N mk h T B B π ζ (AP1.1) ここで,ζ(n)はリーマンのζ関数である. 14 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 温度がTB以下で最低エネルギ状態を占める粒子数N0(T)は以下のように表される.

( )

                − = 2 / 3 0 1 B T T N T N (Ap.2) このように,理想Bose気体の温度が転移温度TB以下になると,ほぼ全ての粒子が最低エネルギ 状態に落ち込み,絶対零度では全粒子が最低エネルギ状態を占めるようになる.このような現象 をBose-Einstein凝縮凝縮(凝縮凝縮 Bose-Einstein condensation; BEC)という.BECでは,全ての粒子が1つの 状態を占め,全てのde Broglie波長が揃うため,個々のde Broglie波長が重なり合って系全体が マクロな波動を作り出す. BECが起こるということは,全粒子が最低エネルギ状態に落ち込み,同じ運動状態を取るとい うことである.同じ運動状態を取るということは,Bose 粒子である 4He (液体)を例に取ると, 液体中の速度分布が一定になり,液体の粘性が無くなるということである.このような現象を, 超流動 超流動 超流動 超流動(superfluidity)という†4.超流動状態では,液体の粘性が無くなるから,ビーカの中で渦 を起こした場合,その渦は消えることなく存在し続ける.他にも,ビーカの壁を液体がよじ登っ たり,ビーカのそこから染み出すといった不思議な現象が起こることが知られている.

Appendix2.Fermion

Boson

の再考

2粒子系を考える.粒子の空間座標を(x,y,z)で,粒子のスピン状態をµで表すとする.空間座標 とスピンを合わせた粒子状態をまとめて以下のように表すとする †5 .

(

1 1 1 1

)

2

(

2 2 2 2

)

1 , , ,µ , ξ , , ,µ ξ = x y z = x y z (AP2.1) この系の2つの粒子の状態を表す波動関数をψ で表すとすると,ψ はξ1とξ2の関数で表される.

(

ξ1,ξ2

) (

ψ 1, 1, 1,µ1; 2, 2, 2,µ2

)

ψ ψ = = x y z x y z (AP2.2) 2つの粒子を同等のものと考えると,2 つの粒子を交換しても系の状態に変化は無く,粒子の持 つ因子のみが異なるはずである.

(

ξ1,ξ2

)

ψ

(

ξ2,ξ1

)

ψ iθ e = (AP2.3) 上式において,もう一度粒子を交換すると,

(

)

(

)

(

2 1

)

2 2 1 1 2,ξ ψ ξ ,ξ ψ ξ ,ξ ξ ψ iθ iθ e e = = (AP2.4) となり,ここから以下の式が得られる. 1 1 2θ = iθ =± i e e (AP2.5) †4 実際には,4Heでは0Kにおいても全粒子の10%程度しか最低エネルギ状態をとらない.これは,4Heが 液体であり,理想Bose気体ではないからである.しかし,それでも全体の10%もの粒子が最低エネルギ 状態を取るということは注目に値する. †5 ここまで来ると,もはや量子力学の話である.

(8)

熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 熱学・統計力学 15 (AP2.3)式より,以下の関係が成り立つことがわかる.

(

ξ1,ξ2

)

ψ

(

ξ2,ξ1

)

ψ =± (AP2.6) 上式において,+ を取る場合は粒子の交換に対して対称であると言い,-を取る場合は粒子の交 換に対して反対称であると言う.粒子の交換について対称的な波動関数で表される粒子がBoson であり,反対称的な波動関数で表される粒子がFermionである.全ての粒子は,BosonかFermion に分けられる.種々の粒子のBosonかFermionかの振り分けは§8で示した通りである.

問題なのは,どのようにして粒子がBosonとFermionに分類されるのかである.相対論的量子 力学(relativistic quantum mechanics)によると,1/2の偶数倍のスピンを持つ粒子がBosonで,1/2 の奇数倍のスピンを持つ粒子がFermionである. 原子を構成する要素,つまり陽子,中性子,および電子は全て Fermion である.例えば, 4 He では陽子,中性子,および電子の数は2個ずつであり,その合計のスピンは1/2の偶数倍となる から, 4He はBosonである †6 .一方で 3He では陽子および電子の数は2個ずつ,中性子の数は1 個であるから,その合計のスピンは1/2の奇数倍となり, 3 HeはFermionである 4

HeはBosonであるから,極低温においてBECが起こり,超流動となる.しかし,Fermionで

ある

3

Heでも超流動が確認されている.これは,極低温(この場合2.6 mK)で2つの

3

Heの電子

が弱い磁気相互作用によって結合し,Cooper対(Cooper pair)というものを作る.つまり,2つ の 3 Heが結合し,1/2の偶数倍のスピンを持つようになるのである.これによって2つの 3 He が Bosonとして振る舞い,超流動となるのである.

Appendix3.Legendre

変換

独立変数がxy,およびzの関数f(x,y,z)を考える.fの全微分は以下のようになる. Zdz Ydy Xdx dz z f dy y f dx x f df ≡ + + ∂ ∂ + ∂ ∂ + ∂ ∂ = (AP3.1)

上式のLegendre変換変換(変換変換 Legendre transformation)を行う.これは,独立変数(x,y,z)を別の独立変数

の組(X,y,z)に換える変換である.新たな関数f’を用意する. f ’ = f - Xx (AP3.2) f ’の全微分を取ると, df ’ = df - xdX - Xdx (AP3.3) となり,これを元の(AP3.1)式に代入すると以下のようになる. df ’ = -xdX + Ydy + Zdz (AP3.4) こ れは,Legendre 変 換によ って f(x,y,z)f ’(X,y,z)に変 換され たことに なる. 例えば ,ここ から f ’(X,y,z)f ’’(X,Y,z)に変換するならば,f’’ = f ’ - yYを用意すればよい.この2段のプロセスは, g = f - Xx - Yy (AP3.5) という関数を用意すれば,f(x,y,z)g(X,Y,z)に1度で変換することができる. †6 陽子と中性子を結びつけるπ中間子の存在があるではないか,という反論がありそうだが,π中間子はス ピン0のBosonであるため,ここでは考慮されない. 16 熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学熱学・統計力学 これは,(3.5)式 dE = TdS - pdV (3.5) において,自由エネルギ(3.2)式 F = E - TS (3.2) を用いて,独立変数をSからTに変える変換を行うことができる.(3.2)式の全微分は, dF = dE - SdT - TdS (AP3.6) であるから,これを(3.5)式に代入すると, dF = -SdT - pdV (AP3.7) が得られ,Legendre変換を行ったことになる.

参照

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