新 結 合指 数 に つ い て
小 島 秀 夫*
(1982年9月30日受理)
On New Index of Association
Hideo KOJIMA*
(Received September 30,1982)
Abstract
This papel shows a new index of association developed by Hauser. Since the血rst modem investigation on soc屈mobihty study ill En創alld started, index of association has been an influenthl analytical tool. The index of association was supposed to eτadicate tlle influence of marginal trends of mob皿ty table. But as it came to be cleal that the index of association was not freed from marginal trends, little attention has been paid to it. Recently,
on the other hand,we obselve a remarkable development of logHnear analysis mainly develop一 ed by Goodman and its appHcatioll to mobjlity table. Applying log㎞ear model to mob皿ty table, a new index of assocbtion can be obtai皿ed. The new index of association does not have defects that the index of association has. In this paper,価rst, we show the logic of the new index of association. Then we apply it to Japanese mob皿ity tables. Also the diffbrence between these two indices is discussed.
問 題
イギリスにおいてグラースを中心とするグループが社会移動の研究を開始してから1980年にい たるまでに,確認されただけでも世界14ケ国において全国的規模の社会移動の調査が実施され ている1も こうした調査の数は,社会学における他の分野と比較すると必ずしも多いものとは受 けとられないかもしれないが,社会移動調査に必要とされる研究体制の確立や費用の点などを考え るのであれば,社会移動の研究は着実に世界各国で進展してきているといえる。
しかしながらこうした社会移動研究も,すべての学問がそうであるように,いくつかの批判に さらされながら今日にいたっている。そうした批判のなかでも主要なものは,マルクス主義から の批判と,学問の世界における古い世代からの批判である。マルクス主義からの社会移動研究に 対する批判は,社会移動の研究は歴史的に規定された巨視的な階級構造を無視し,階級を個々人 の社会的地位の測定・区分から得られた階層構造にすりかえて問題を綾小化している,という批
*茨城大学教育学部教育社会学研究室Sociology of Edllcation, Ibaraki University
判である2)。こうしたマルクス主義側からの批判に対しては,マルクスの階級理論では現代の階 級をとらえられなくなってきており,それであるがゆえに機能的階層論が受け入れられるように
なってきている,と反論しておくのみで十分であろう純
社会移動研究に対する古い世代からの批判は,社会移動の研究には理論がなく,あるのはただ 単なる複雑な統計学のデータへの適用のみである,というものである4もこの批判の背景にある
ものは,社会学において古い世代は統計学的知識を教育されなかったのに対し,若い世代は統計 学的知識を学ぶ機会があるという,社会学教育のあり方であると考えられる。社会移動研究に対 する古い世代からのこうした批判に対しては,若い世代からは社会移動研究には理論があるとい
う反論がなされている5)。社会移動研究に理論があるかどうかということは大きな問題であり,
本稿の範囲を超えることであるので,ここではこれ以上とり上げないが,この批判に対しては次 のことを指摘しておくことが必要である。たしかに社会移動の研究は統計学の発展とともに発展 してきており,統計学における分析技法がそのまま社会移動の研究に適用されているということ はある。しかしながら,ここで注意を向けるべき点は,そうした新しい分析方法を社会移動研究 に応用することによって,それまで明らかにされなかった事実が明らかにされるようになってき ていることである。これまで明らかにされなかった事実が明らかにされたり,新しい分析方法を 使用することによってこれまで考えられていた結果とは異なる結果が得られたりということによ って,社会階層・社会移動の理論も変化を強いられるのである。したがって,社会移動の研究を 単なる統計学の無差別的適用と考えるのは的を得ない批判であるといえる。社会移動研究の流れ はむしろ,こうした批判とは反対であるということが,これまでの一連の研究をみれば明らかに なるであろう。
今日では社会移動の研究は,社会学のなかでもく蓄積的社会科学(cumulative social science)〉
としてとらえられるようになってきている6)。なぜ社会移動の研究のみが,数多くある社会学の 領域のなかでく蓄積的社会科学〉としてとらえられるようになってきたのか。それは明らかに,
社会移動の研究は統計学における分析方法の発展とパラレルに発展してきているためである。こ れまでの社会移動の研究をふり返れば明らかなように,ダンカンによるパス解析の社会移動研究 への応用によって7),社会移動の研究は飛躍的な発展をみたし,さらにグードマンによって発展
されたログリニア分ド)の移動研究への応用によって,社会移動の研究は新たな局面をむかえて
いるのである。
本稿はこうした社会移動の研究の流れにおいて,ハウザーによって提言された新結合指数を示 し,それを実際に日本のデータに適用してみるものである。この新結合指数も移動表をもとにし た分析から得られるものであるため,移動表分析の動向について簡単に触れておく必要があるであ1 ろう。移動表の分析についてはすでに,ホワイト,グードマン,ブードンなどによって研究が進 められているが9),新結合指数はグードマンによって提言されたモデルの特殊ケースである1叱 新結合指数を明らかにするために,まず初めに結合指数を示し,その問題点を指摘することが適
切であろう。
結 合 指 数
結合指数
結合指数は1940年代の終りの頃に,アメリカではゴールドヘイマーによって提案され,ロゴ フによって発展されたものである。ほぼ同じ時期に,イギリスではグラースらのグループ,スウ エーデンではカールソン,デンマークではスヴァラストガなども同様のアイデアを得ていた1鬼 結合指数は完全移動を仮定した場合の期待度数に対する実測度数の比で示され,主対角線上のセ ルの場合が結合指数主対角線以外のセルの場合が分離指数とよばれている1紘
ここでxljを世代間移動表における父職i(i=1,2,..」)と,本人(子ども)の職業j(j=1,2,..」)
に対応するセルの度数とし,さらに各々の行と列の合計をそれぞれΣ」X、j=XLと2iXi」=筑jとした 場合,セルijに対する結合指数は,
Rlj=x、」N/XL恥 (1)
と表わされる。ここで.Σ1Xi.=、ΣjX.j=Nである。この結合指数は,社会移動の分析に使用された
指数のなかでも最も影響力の強かったものであり,わが国においても1955年の第1回SSM(社
会階層と社会移動)調査の分析においてこの指数が使用された。しかしながら,そこでは実際には農業の世襲率が高いにもかかわらず,結合指数を使用することによって,農業の世襲率は全職 業のなかで1番低いといった事実とは反する報告がなされた1紘
結合指数の問題点
結合指数の問題点を明らかにするために,ここでは次のような仮説的データを検討してみるこ ととする。表1は,父職を行に子どもの職業を列にとった仮説的データである。表1で注意して おくべきことは,セル(1,1)の実測度数が1,000と
表1 仮説的データ
蛯ォいことと,それ以外のセルの実測度数はすべて
100であるということである・ 父職 本人(息子)の職業
¥1より求められた結合指数が表2に示きれている。 1 皿 皿 計
1 1,000 100 100 1,200表2において結合指数が1番大きいものは・セル(a H 100 100 100 300
2)(2,3)(3,2)(3,3)であり,ついでセル(1,1), 皿 100 100 100 300 それ以外のセルは0.5となっている。表1から明らか 計 1,200 300 300 1β00 なように,セル(1,1)の結合指数の値が1番大きく
なければならないのにもかかわらず・表2の結果はそうで 表2 結合指数
はない。また父職豆・皿についての結合指数の値はすべて等本人(息子)の職業
しくなければならないにもかかわらず,そうはなっていない。 父職 1 11 皿
こうした仮説的データを検討することによっても,結合指数 1 1.25 0.50 0.50 は誤りであることが明らかにされる。なぜこうしたことが起 H O.50 2.00 2.00 こるのであろうか。それはセル(1,1)の実測度数の大きさ 皿 0加 2⑳ 2DO と周辺度数の影響が混同されているためである。
結合指数が誤りであるということを,ここでは別の方法で明らかにしてみよう。ここで問題と されるのは期待度数である。周知のように,結合指数を求めるための期待度数は,
m、j=x、./NXx.j/N×N=x1.x.j/N (2)
と表わされる。ここで(2)式の対数をとると,
logmlj=10gx1.十logx.j−logN (3)
と書きかえられる。ここで,
μ一
J1・9鴫・(4)μ+勘一}、ξ1・9璃」(5)μ+μ・炉+ゑ1㎎職・(6)
とすると,③式は,
log mlj=μ十μ1{ザトμ2(j〕 (7)
と書きかえることができる 4!ここでパラメータの正規化は,ギ齢一ギ物・j・一・である.(3)式が
(7)式のように書きかえられることからも明らかなように,(7)式は移動表分析におけるログリニア
・モデルの一つである。したがって,ここで問題とされなければならないことは,このモデル
(完全移動モデル)がうまくデータに適合しているかどうかということである。ログリニァ・モデ ルの適合性は尤度比統計量(G2)〔likelihood−ratio statistics〕と自由度を求めることによって測ら
れる。G2は,
G2=22りiΣjxlj log(xlj/命ij) (8)
と表わされる。ここでXijは実測度数, fhi」は実際に求められた期待度数である。 G2は近似的に
κ2ェ布をすることが知られており,自由度を求めることによってモデルの適合性を調べること
が可能となる。表1に示された仮説的データのσは446.29であり,自由度は2x2=4であるか
ら明らかに統計的に有意であり,(7)式は成立しない。したがって完全移動モデルは誤りであり,誤ったモデルの下で求められた結合指数も誤りである。
結合指数は周辺度数の影響を除去するものとして開発されたものであるが,実際にはそうでな いことは次のようにして明らかにされる。(1)式に現をかけて,それを加算すると,
XijN一馬X、−N (9)ΣXLRlj=Σ1 1 X.j X.j 1
となる。このことは,(1)式にx.jをかけて加算した場合にでも成立する。(9)式が成立するという ことは,結合指数は周辺度数の影響からフリーでないということを意味する。したがってこのこ とは,まったく周辺度数の分布状態が等しいのではない限り,結合指数は等しくはならないとい うことを意味する。このように結合指数は周辺度数の影響からフリーではないのであるから,結 合指数を比較することによって変化をみるということは誤りである。
これまでみてきたように,結合指数は周辺度数の影響からフリーではなく,かっ実測度数の大 きさと周辺度数の影響が混同されていることが明らかにされているため,現在ではこの結合指数 はあまり使用されなくなっている監晃
ここで結合指数に内在している乗法モデルの重要性について述べておく必要があるであろう。
こうした結合指数に内在する乗法モデルについては,ロゴフやグラースらは気づいてはいなかっ
た。いま(1)式において,N=ax、/N=bbx.」/N=cj,Rlj=dijとすると(1)式は,
Xij=abiCjdij q(ル
と書きかえられる。このようにすると,結合指数(dij=Rlj)をあたかも移動表分析における乗法 モデル(ログリニア・モデル)の一つのパラメータと考えることが可能となる。この乗法モデル
は,度数の全体的な大きさを示す主効果(a=N),父職と子どもの職業のそれぞれの大きさを示
す行効果(b、=xL/N)と列効果(cj=x,j/N)および相互作用効果(di」=Ri」)を含むものと考えるこ
とができる。換言すれば,移動表内の各々のセルは,主効果・行効果・列効果および相互作用効 果の積によって表わされる。相互作用効果とは,父職と子どもの職業のそれぞれの組合せにおけ る移動・非移動の傾向を示すものである。たとえば,職業構造の変動を除去した場合に,父職が 専門職であるとすればその息子はブルーカラーに移動するよりは,専門職にとどまりやすいといったことを示している。
表1のデータにおいて,a=1,b1=b2=b3=10,c1=c2=c3=10,d11=10それ以外のdi」=1とし た場合,
x11=(1)(10)(10)(10)=1,000,それ以外のセルについて,xij=(1)(10)(10)(1)=100
となって,データに完全に一致する1免ここで注意しておくべきことは,完全移動のモデルのも とでの行・列効果は,それぞれ%,%,%であるが,この場合には行・列効果が等しいというこ とである。このように⑩式で示されるような形でデータを再現することが可能であれば,結合指 数の問題点を克服した新しい指数を作ることが可能となるのではないか。しかしながら,結合指 数を⑩式で示される乗法モデルの一つのパラメータと考えるのは誤りである。なぜならば,結合 指数は完全移動の仮定のもとで求められたものであるから,実際の推定では,a,bLC」を求めることは可能であるが,dljを求めることは不可能であるためである。
新結合指数の論理
乗法モデル
これまでの議論で結合指数には問題があるが,結合指数に内在する乗法モデルの重要性が指摘 された。しかしながら,⑩式で示された乗法モデルでは結合指数は完全移動の仮定のもとで求め られたものであるため,相互作用のパラメータとして考えることはできないという欠点を有する ことが明らかにされた。ところで,もしdijに相互作用を認め,完全移動を仮定せず,セルの実 測度数xljを再現するような,それぞれのパラメータa, b。 Cj,dijを求めることが可能であれば,
結合指数の問題点を克服し,それにかわる新しい指数を作ることが可能となるのではないか。こ うした点に注目し,ハウザーは結合指数の問題点を除去した新結合指数を提言する1死以下で1よ その議論の過程を明らかにしよう。
ここでもxijを移動表におけるセルijの度数とする。 Hk(k=1,2,...K)は密度レベル(density 1evel)とよばれるもので,移動表内において相互作用の程度がほぼ等しいセルをまとめたもので ある。理論的には,Hkの最大個数は移動表内のセルの総数に等しいが,結果をうまく解釈する ためには,レベルの数はセルの数よりもはるかに少なくなければならない。移動表内のセルの各 々のセルの期待度数は⑩式と同様に,
E[x重j]=mij=αβi7」δij ¢O
と表現することができる。ここでセル(i,j)∈Hkに対してδij=δkであり,それぞれのパラメータは nlβi=n」7」=nin」δlj=1と正規化される。このモデルは,各々のセルの期待度数は,主効果(a),
行効果(βi),列効果(ろ)と相互作用効果(δij)の積として表わされることを意味している。二 っのパラメータ,βiと7jはそれぞれ職業の需要と供給の状態を示すものである。移動表内のセル はKレベルの密度レベルに分解され,それぞれ等しい密度レベルの各セルは,等しい相互作用パ ラメータδkを共有する。したがって,主効果,行効果,列効果を除けば,それぞれのセルの期待 度数は一つのパラメータによって決定される。そのパラメータは,移動表内の他のセルのパラメ 一タと比較した場合の移動または非移動のレベルを示すものである。この相互作用のパラメータ は相互作用の高低を示しているということで,レベル・パラメータともよばれる。
新結合指数
さて,こうしたモデルの適合度はどのようにして測ることができるであろうか。この場合の適 合度も,通常のログリニア分析と同様に,G2を求めることによって測ることができる。通常,求 めるモデルが最初から得られることはまれであり,G2の変化をみることによってモデルの改良を 数回行なうことが,最終モデルを得るのに必要とされる。G2とともにモデルを改良するための
もう一つの有効な方法は残差(residua1)を求めることである。残差とは,セルの実際の度数と あるモデルのもとで求められた期待度数の比率の対数をとったものであり,
1・9(e・」)=1・9(x・j/命・」)=1・gx、「1・9命、」 ⑫
で表わされる。ここで,Xijはセルの度数であり,命ijは期待度数である。⑫式から明らかなように 期待度数が実際の度数と等しい場合には残差は0となるため,残差の変化をみることによっても モデルの改良が可能となる。ここで実際のパラメータの推定についてみてみよう。実際のパラメータの推定では⑪式は,
A A A
ス、j=∂β、7jδ、j q3
と表現される。また,⑫式より, 〆
el」=Xij価ij ⑭
であるから,⑭式を⑬式に代入し,
X、」=∂β1デj3、j・、」 ⑮
A
得る。ここで,O∂式をσβ1γ」で除して,
AR毒一.弄ii−3、j・、」 ⑯
αβ1rj
が得られる。⑮式から⑯式への変形は,⑩式から(1)式への変形とパラレルである。このようにし て求められる鵡は新結合指数とよばれる。⑯式から明らかなように新結合指数はレベル・パラ メータ(相互作用パラメータ)と残差の積として表わされる。新結合指数はレベル・パラメータ と残差によって決定されるのであるから,明らかに周辺度数の影響からフリーである。
新結合指数のみが移動表についての新しい情報を提供するものではない。新結合指数を求める 過程で得られる密度レベルも移動についての新しい情報を提供する。密度レベルは,それぞれの セルの相互作用の程度を示すものであるから,すべてのセルの密度レベルを求めることによって,
ある職業の移動・非移動の程度を視覚的に理解することができる。また,異なる時点での移動表 を比較することによって,それぞれの時点での職業の移動・非移動の程度がどう変化してきてい
るのかを理解するのに有効である。もし,カテゴリー数の等しい移動表が数ケ国について得られ たならば密度レベルは社会移動の国際比較の有効な方法となる1蒐
次節では,1975年のSSM調査で得られた純世代間移動表(父職×本人の初職)をもとにして,
実際に新結合指数を求めてみることにしよう。ここで職業世襲のみを問題にするのであれば主 対角線上のセルについてのみ新結合指数を求めればよいわけであるが,モデルの評価との関係で 新結合指数をすべてのセルについて求め,その結果を結合指数と比較してみることにする。
新結合指数の実際
密度レベルの設定
表3は,75年SSM調査で得られた純世代間移動表である。表3において注意しておくべき点
は,専門職と非熟練から管理職に移動している者が存在しないということである。表4は,それ それのセルに対して与えられた密度レベル(Hk)である。表4の数字は各々のセルの密度レベル を示しているが,ここでは数値が小さいほど強い相互作用の程度を表わし,反対に数字が大きい ほどより弱い相互作用の程度を表わす。密度レベルを示す数字自体は単なるラベルであるから,数字の大小に一貫性があればどのような数字が使用されても結果に影響を与えることはない。
表3 純世代間移動表
本人(息子)の初職父主職
専 門 管 理 事 務 販 売 熟 練 半 熟 非 熟 農 業 計
専 門 41 0 49 8 7 7 5 3 120
管 理 30 14 56 21 32 13 6 9 181事 務 17 1 54 28 34 26 10 6 176 販 売 19 2 71 70 49 35 11 6 263
熟 練 16 3 39 34 164 39 20 9 324
半 熟 il 2 29 11 42 42 6 4 147 非 熟 3 0 10 6 28 27 10 4 88 農 業 44 4 127 88 189 154 49 452 1,107
言十 181 26 435 266 545 343 117 493 2,406
資料:1975年SSM調査
表4 密度レベル(Hk) (純世代間移動)表4は最終的に推定された密度レベルを
示すものであるカ㍉前述したようにデータ 父主職 本人偲子)の初職 (1) (2) (3) (4) (6) (5) (7) (8)にうまく適合するモデルは,ア・プリオリ (1)専門 3 7 4 6 7 7 6 6
には決定され或データに適合するモデル (2)管理 4 2 5 6 6 7 7 5
を探すためにはく探求的方法(exploratory (3)事務 5 6 5 5 6 6 6 6 method)〉がとられる19もこのく探究的方 (4)販売 5 6 5 4 6 6 6 6
(5)熟練 6 5 6 5 4 6 6 6
法〉とは,まず初期のモデルを設定し,そ (6)半熟 6 5 6 6 6 5 6 6
のモデルの改良を繰り返す作業を通じて, (7)非熟 7 7 6 6 6 5 5 6
最終的に採用されるモデルを探り出そうと (8)農業 6 6 6 6 6 6 6 1
いうものである。では,初期のモデルはどのように設定されるであろうか。現在のところ,初期 モデルの設定方法には二つの方法がみられる。第1の方法は理論的方法とよばれるもので,ゴー ルドソープなどヨーロッパの研究者によって多く採用されている方法であるが,これまで蓄積さ れてきている階級理論にもとついて,初期のモデルを設定しようとするものである2叱この方法 は理論を志向するという点で重要であり,カテゴリー数が少ない場合には有効であると考えられ る。しかしながら,カテゴリー数が多い場合や異なる社会の職業移動を分析する場合などには適
、 切な判断ができないおそれが多分にある。第2の方法は,第1の方法が理論的であるのに対し,
デ_タに適合するモデルを探すことを主眼とする方法である21も具体的には,カテゴリー数が少
22)ない場合には主対角線上のセルをすべてブロック(block) した準完全移動モデルを適用し,カテ
ゴリー数が多い場合には主対角線上のセルとそれに隣接するセルをブロックし,準独立モデルを 適用し,各々のセルの期待度数を求める。次の段階としてさらに,求められた期待度数と実際の セルの度数の比率をとり,その比率の値がほぼ等しいものに同じ密度レベルを与え,初期の密度
レベルが設定される。
このようにして設定された初期モデルは,G2の変化と残差を調べることによって,さらに改 良され最終モデルが得られる。表4はこうした過程を経て得られた最終モデルである。このモデ ルでは,自由度が43であるのに対しG2は26,89であり統計的に有意でなく,モデルを採用するこ
とができる。
表4の読み方を説明しよう。表4は周辺度数の影響を除去した場合の,それぞれの職業間の相 互作用の程度を示すものである。専門職を例にとって説明しよう。父親が専門職である場合には,
その息子も専門職(レベル3)につくものが多く,ついで事務職(レベル4)につくものが多い。
専門職から管理職への移動,専門職からマニュアル・農業への移動にはレベル6・7が与えられ ており,この移動はあまりみられないことが明らかにされる。
こうした予備知識を得た上で,表4の密度レベルからどのような所見を得ることができるであ ろうか。表4では7つのレベルが設定されている。ここで注目すべきことは,それぞれのレベルの配置 は,主対角線をはさんでほぼシンメトリーとなっている,ということである。主対角線をはさんで密 度レベルの最も大きな差は,専門職と管理職間にみられる。専門職から管理職への移動にはレベ ル7が与えられているが,管理職から専門職への移動にはレベル4が与えられている。主対角線 上のセルに7レベルのうち,5レベルが配置されている。このことは,親と子の職業構造の影響 を除去した場合でも,それぞれの職業の世襲の程度には差がみられるということを意味している。
職業世襲の程度が1番高いのは農業であり,ついで管理的職業,専門職となっている。販売と熟 練は,レベル4でほぼ同程度の世襲化を示している。世襲の程度が1番低い職業は,事務・半熟 練・非熟練であり,レベル5が与えられている。農業の世襲の程度が現在でも高いというのは,
農業という職業の家業的性格を考えれば明らかなことであろう。また,農業のそうした特殊性を 考えれば,農業の世襲率は今後も急激には減少しないことは容易に予想される。7レベルのうち,
5つのレベルが主対角線上に配置されているということによって,父職×初職のデータでは,グ ≧
黹hマンがイギリスのデータを使用して発見した職業的地位の非世襲化は23!どの職業において も認められないといえる。したがって,現代の日本社会ではまだ父親の職業によって,子どもの 初職も規定されているといえる。
出移動・入移動について,それぞれの職業別にみた場合,どのようなことが明らかにされるで あろうか。専門職の場合は,専門職にとどまるか,あるいは事務職に移動する者が多く,管理職 およびマニュアルに移動するものは少ない。専門職への入移動は,管理職からが多く,ついで事 務・販売となっており,マニュアル層からは少ない。管理職についてはどうであろうか。管理職 から事務職に移動するよりも,管理職から専門職に移動するものが多いことが明らかにされる。
また,数はそれほど多くはないが,管理職から事務職への移動と管理職から農業への移動がほぼ 等しいということは注目される。管理職への入移動が比較的多いのは熟練・半熟練からであり,
その他の職業からは少ない。事務職の世襲率はレベル5と相対的に低く,移動も専門・販売への 出移動がマニュアル的職業よりもやや多くみられる程度である。したがって,父親が事務職であ る場合には,その子どもはどのような職業にもほぼ等しくついているといえる。事務職への入移 動は,専門職からが相対的に多く,ついで管理職・販売となり,マニュアルからは相対的に少な い。販売の出移動についみると,専門職・事務職への出移動が相対的に多く,マニュアルへの移 動は相対的に少ない。販売への入移動は事務と熟練からが相対的に多く,その他の職業からは相 対的に少ない。
こうしたノンマニュアル的職業の出移動をみることによって明らかにされることは,ノンマニュアル とマニュアルの境界に断絶が存在しないことである。これまでの移動分析の結果では,上昇移動の場合 には境界は存在しないが,下降移動の場合にはノンマニュアル・マニュアル・農業といった境界 が存在するといわれてきている2秘すなわち,下降移動する場合でもノンマニュアル的職業であ ればノンマニュアル的職業の内だけで下降移動し,ノンマニユアルからマニュアルへ下降移動す ることは少ないという説が支持されてきている。しかしながら,表4の密度レベルをみる限りで は,ノンマニュアルとマニュアル,マニュアルと農業の間にはそれほど大きな断絶はみられず,
これまで言われてきたような,ノンマニュアル・マニュアル・農業内でのみ移動が多く認められ るという説は支持されない。
マニュアル的職業についてみてみよう。熟練の世襲率は販売の世襲率にほぼ等しい。熟練から 販売および管理職への出移動が相対的に多く,その他の職業への出移動はほぼ等しい。熟練への 入移動は,半熟練・非熟練からが相対的に多い。半熟練については,同じ職業にとどまるものと 管理職へ移動するものがレベル5でほぼ等しいということが注目される。その他の職業への出移 動はほぼ等しい。半熟練への入移動は非熟練からが多く,その他の職業からは少ない。非熟練か
らの出移動については,半熟練への移動が相対的に多いことが明らかとなる。反対に,非熟練へ の入移動はどのような職業からもほぼ等しく行なわれている。農業の出移動についてみると,次 のような特色があることが明らかにされる。すなわち,農業の世襲率はきわめて高いが,それ以 外についてはすべてレベル6が与えられていることである。このことは,父親の職業が農業であ
る子どもが農業以外の職業につく場合,その移動がマニュアル的職業に限定されているというこ とはなく,すべての職業に等しくついているということである。この意味では,職業達成の機会 は開かれているといえる。農業への入移動も,すべての職業からほぼ等しく行なわれている。
残 差
密度レベルからこれまで述べてきたことが明らかにされるが,モデルの改良と適合性を調べる
表5残差(1・gell)
本人(息子)の初職父主職
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(1)専門 .00a} * .04 −.06 −.22 .05 −.05 .05
(2)管理 一.04 .00a} .07 .22 −.20 −.02 .25 −.11
(3)事務 .03 .00 .09 −.01 −.09 −.08 .00 .11
(4)販売 一.13 .41 .08 .04 .00 −.07 −.18 −.17
(5)熟練 .20 .18 .00 −.16 −.02 −.02 .35 .17
(6)半熟 .24 .19 .11 −.30 .19 −.11 −.44 −.23
(7) ヲド熟 .28 * 一.43 −.39 .31 −.03 .02 .29
(8)農業 一.06 −.23 −.10 .08 .00 .08 −.03 .00a)
a)は期待度数と実測度数が等しいもの
*は定義されないもの
ために,G2と同時に各々のセルの残差を求めることが必要とされる。残差は,⑫式のように表 現されるが,表5には各々のセルの残差が示されている。残差は小さければ小さいほどモデルの 適合度はよいと判断されるが,残差が±α20以内であれば,適合度はよいと判断される。
表5に示されたそれぞれの残差をみてみると,セルの度数が小さな場合を除いて,残差は小さ いことが明らかにされる2駄すなわち,モデルはうまく適合しているといえる。セル(1,1),
(2,2),(8,8)では実測度数と期待度数が一致している。残差が±0.20を超えるセルがいくつ かみられるが,これはセルの実測度数が小さいことによるもので,モデル設定の誤りによるもの
ではない。
残差は次のように解釈される。残差は期待度数よりも実測度数が大きい場合にはプラスの値をとり,
反対に実測度数よりも期待度数が大きい場合にはマイナスの値をとる。したがってたとえばセル(1,6)
の残差0.05は,専門職から半熟練への実際の移動量は,表2に示されているモデルのもとで推定 される移動量より,e・°5=1.16倍大きい,ということを意味している。また,たとえばセル(1,4)
の残差一.06は,専門職から販売への移動量は,表2のモデルのもとで推定される移動量よりも e−・°6=0.94倍,すなわち6%少ないということを意味している。
ここに示された残差は最終モデルのもとで得られたものであるが,最終モデルを得るプロセス では,この残差の変化を調べることが重要な役割を果たしている。
行・列・レベルパラメータ
表6は,表2に示されたモデルのもとで求められた,行・列・レベルパラメータを加法モデル
表6 パラメータ(加法モデル)
行。列・レベルのカテゴリー
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
行 (父職) 一.765 −.074−.126 .155 .219 −.195 −.716 1.495
列 (初職) 一.183 −2.410 .918 .365 1.210 .934 −.106 −.725 レベル(密度) 2.592 2.372 1.910 .943 .356 −.218 −1.029 一
総平均=2.751
の形で表現したものである。
行および列パラメータを比較することによって明らかにされるのは,農業の急激な縮小と,事 務および熟練・半熟練の急激な拡大である。これらの行・列パラメータは,職業構造の変動,出 生率の差,調査対象者の年齢差といった要因をも反映している。
レベル・パラメータについてみよう。レベル・パラメータは相互作用の程度によって,プラス からマイナスに一貫して変化している。レベル・パラメータは次のように解釈される。たとえば
レベル1とレベル7を比較した場合,加法モデルで表現すれば,レベル1はレベル7よりも3.62
=2.529−(−1.029)倍大きい。これを乗法モデルで表現すれば,レベル1で示される移動・非 移動はレベル7で示される移動・非移動よりも,e3°62=37.34倍大きい。レベル・パラメータ間 にみられる最小の差は,レベル1とレベル2であるが,それでもレベル1で示される移動・非移 動はレベル2で示される移動・非移動よりも♂2=ヱ.25倍大きい。個々のレベル・パラメータは 以上のように解釈されるが,ここで重要なことは,それぞれのレベル間に一貫した差がみられる ということである。
新結合指数と結合指数
A
アれまでにレベル・パラメータは加法モデル(109δi」)で表現されており,残差はlogei」であ ることが明らかにされた。ここで,新結合指数は⑯式のように表現されているが,両辺の対数を
とると,
串 A
撃盾〟@R里」=:lo9δij十lo9εij (助
のように表現される。すなわち,αの式の右辺からも明らかなように,加法モデルで表現されたレ ベル・パラメータに残差を加えると,新結合指数の対数をとったものが得られるという関係にな っている。表7はそれぞれのセルについて,レベル・パラメータと残差を加えたものを示したも のである。具体的に例を示してみよう。たとえば,専門職から事務職への移動を示すセル(1,3)
にはレベル4が与えられており,そのレベル・パラメータは.943である。一方,セル(1,3)の 取
c差は.04である。したがって,log Rij=.943+.04=.983となる。
レベル・パラメータに残差を加えることによって求められた数値の対数をはずせば,新結合指
数が得られる。表8は,このようにして求められた新結合指数を示したものである。一九表9
*
¥7 レベル・パラメータ+残差(logRlj)
本人(息子)の初職
父主職 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(1)専門 1.91 .00 .98 −.28 −1.25 −.98 −.27 −.17
(2)管理 .90 a37 .43 .00a}一.42 −1.05 −.78 .25
(3)事務 .39 −.22 .45 .35 −.31 −.30 −.22 一11
(4)販売 .23 .19 .44 .98 −,22 −.29 −.40 −.39
(5)熟練 一.02 .54 −.22 .20 .92 −.24 .13 −.05
(6)半熟 .02 .55 −.11 −.52 −.03 .25 −.66 −.45
(7)非熟 一.75 .00 −.65 −.61 .09 .33 .38 .07
(8)農業 一.28 −.45 −.32 −.14 −。22 −.14 −.25 2.59
a)log R轟=0のもの表8新結合指数(R㌔)
父主職 本人(息子)の初職
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(1)専門 675 0.00 2.66 .76 .29 .38 .76 .84
(2)管理 2.46 10.70 L54 1.00 .66 .35 .46 1.28
(3)事務 1.48 .80 1.57 1.42 .73 .74 .80 .90
(4)販売 1.26 1,21 1.55 2.66 .80 .75 .67 .68
(5)熟練 .98 1.72 .80 1.22 2.5ユ .79 1.14 .95
(6)半熟 1.02 1.73 .90 .59 .97 1.28 .52 .64
(7)ヲド熟 .47 0.00 .52 。54 1.09 1.39 1.46 1.07
(8)農業 .76 .64 .73 .87 .80 .87 .78 13.33
表9結合指数(R、j)
本人(息子)の初職父主職
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(1)専門 4.54 0.00 2.26 .60 .26 .41 .86 .12
(2)管理 2.20 7.16 1.71 1.05 .78 .50 .68 .24
(3)事務 1.28 .53 1。70 1.44 .85 1.04 1.17 .ユ7
(4)販売 .96 .70 1.49 241 .82 .93 .86 .ll
(5)熟練 .66 .86 .67 .95 2.23 .84 1.27 .14
(6)半熟 .99 1.26 1.09 .68 1.26 2.00 .84 .13
(7)非熟 .45 0.00 .63 .62 1.40 2.15 2.34 .22
(8)農業 .53 .33 .63 .72 .75 .98 .91 199
には新結合指数との比較を目的として求められた結合指数が示されている。ここで結合指数と新 結合指数を比較した場合の差異を明らかにしてみよう。
比較のために,まず主対角線上のセルに注目し,結合指数と新結合指数とをそれぞれ使用した 場合の世襲率の順位のちがいをみてみることとする。結合指数を使用した場合の世襲率の高い職業
は,管理,専門,販売,非熟練熟純半熟練,農業,事務となっている。販売・非熟練・熟練
と半熟練・農業の世襲率はほぼ等しいといえる。この結合指数を使用した分析で留意すべき点 よ農業の世襲率が下位から2位に位置していることである。このことは,われわれの日常経験
とは矛盾するものである。なぜならば社会移動の調査では子どもから父親の職業の情報を得る のが通常とられる方法であって,父親から子どもの職業についての情報を得るわけではないため である。したがって,農業という職業の特殊性を考えれば,親が農業であるからといって,その 子どもも農業であるとは限らないが,子どもが農業である場合には,その親はほぼ農業であると いってよく,農業の世襲率は高くなければならないはずである。実際に,75年の世代間移動表 を安田指数で分析した結果では,農業の開放性は低いことが報告されている2叱換言すれば農 業の世襲率は高いのである。なぜこうしたことが出てくるのか。それは結合指数は周辺度数の影 響からフリーではないためである。今度は,新結合指数を使用した場合の世襲率の順位をみてみよう。新結合指数を使用した場合
の世襲率の順位は,農業,管理,専門,販売,熟練事務,非熟練半熟練となっている。結合
指数と新結合指数を使用した場合に,特に大きな差のみられる職業は農業である。
結合指数と新結合指数の差は,今みたような世襲率の順位の差異のみではなく,世襲率の程度 のちがいにもみられる。たとえば結合指数でみた場合,世襲率の1番高い管理職と1番低い農業 の比率は4.2であるが,新結合指数を使用した場合には,世襲率の1番高い農業と1番低い半熟 練の比率は,10.41となっており,結合指数と新結合指数ではこのように大きな差がみられる。
結合指数と新結合指数でこのような差が現われるのは,結合指数では相互作用の程度が考慮され ていないのに対し,新結合指数においては相互作用の程度が考慮されているためである。
主対角線に隣接するセルについてもみてみよう。ここでも,結合指数を使用した場合と新結合 指数を使用した場合では,大きな差のみられるセルがある。たとえば,熟練から販売への移動は,
結合指数でみた場合には多いが,新結合指数でみた場合には少ない。今度は反対に,非熟練から 農業への移動についてみると,結合指数ではあまりその移動はみられないという結論が得られる が,新結合指数でみた場合には,非熟練から農業への移動が多く観察されることが明らかにされる。
このように,結合指数を使用した場合と新結合指数を使用して得られる結論は異なるため,移
動についての理論も当然変えられなければならない。 9
要約と結論
本稿はハウザーによって提言された新結合指数の理論を示し,そして実際に日本のデータを使 用して新結合指数を求めてみることであった。新結合指数を使用した分析結果から,次のような
ことが明らかにされた。
(1)職業構造の影響を除去した場合,世襲率の高い職業は移動表の上位と下位に位置している。
すなわち,専門・管理・農業の世襲率は高い。これらの職業の世襲率の高さは,これまで結合 指数などを使用して分析された結果よりも高い。
(2)』主対角線上のセルに注目した場合,そうした世襲率の高いセルに隣接して.世襲率の低いセ ルの存在が明らかにされる。特に農業に隣接している半熟練・非熟練においては,世襲率は低
くなっている。
(3)専門・管理職については,下降移動の距離が長くなるにつれて,移動する人が少なくなると いう傾向が認められる。しかしながら,熟練・半熟練・非熟練・農業については,このことは 認められない。これらの職業においては,移動する場合にはすべての職業にほぼ等しく移動し ているという傾向が認められる。たとえば,非熟練であるからといって,移動はマニュアルに 制限されているということはない。
密度レベルを使用したこうした分析は,社会移動表のみならず,他のクロス表の分析にも適用 することができる。たとえば,教育移動表への適用は可能である。また,密度レベルは周辺度数 の影響を除去した場合の相互作用の程度を示すものであるから,密度レベルは社会的距離を示し ていると考えることができる27もしたがって,たとえば配偶者選択の社会階層差を明らかにする ことに,この密度レベルは適しているであろう。その密度レベルは,社会的距離を示している。
さらに,社会移動の国際比較にこの指数を利用することは可能である。
注
1)この点については,Featherman, David L, Robelt M. Hauser, and William H. SeweU., Toward com一 parable data on inequality and stratification:perspectives on the second generation of mtio皿al mol)皿ity studies. 跣θ、4〃3θ7 ㏄η50cわ ρg 3 ,9(1974),18−25.を参照。この他に,ブラジルなどで調査が行なわれ
ており,実際の数はこれより多くなると思われる。こうした移動のデータは現在,SSRC(Social Science
Reseaτch Counc皿)が中心になって集められている。2)こうしたマルクス主義側からの批判については,小山陽一「階級と社会体制」濱島朗編『体制の社会学』
(有斐閣,1964)濱島朗「階級構造と階級区分」富永健一・倉沢進編「階級と地域社会』 (中央公論社,
1971)などを参照せよ。
3)現在ではソ連などにおいても社会移動の研究が行なわれており,大学入学の階層差も大きいことなどが 明らかにされている。ソ連の社会移動研究については,石川晃弘「階級一ソヴェト社会の階層的構造一↓
辻村明編『現代ソヴェト社会論』 (日本国際問題研究所,1970))Dobson, Richard B., Mobihty and
stratification in the Soviet Union. In Alex Inkeles,ασ乙(Eds.),1977,.4朋〃α Rεレ∫θw o∫50cめ1δgア3.
Annual Reviews Inc., Palo Alto.
4)この批判の代表的なものとしては,Coser, Lewis W, Two methods in search of a substance. !4醒θ7 c飢 80c∫01θ9加1 Rθyfθw,40,(1975),691・700.がある。この論文では他に,エスノメソドロジーが批判されて
いる。
5)批判に対する反論としては,Horan, Patrick M., Is status attainment lesearch atheoretical? ㌧4〃2餌o飢 50 め109ゴcα1Rθy∫εw,43,(1978),534−541.がある・社会移動研究に理論があるかどうかということは,理
論をどのレベルで考えるかによるものと思われる。
6)Featherman, David L., Stτatification and social mobility:two decades of cumulative social science.
In James E Short, J二(Ed.),7%ε5競θqプ300わ108ア Pアoわ ε用3α層、砕o∫pεo 乱(Sage Publications,1981),
Beverly H皿1s.
7)Blau, Peter M., and Otis Dudley Duncan,艶ε、4配θア加πOc偲μ わηα13 アμo如アθ.(W皿ey 1967), New York.
8)本稿はログリニア分析の知識を前提としている。ログリニア分析については,次の文献が参考になる。
Leo A. Goodman,、4η4かz ηg g雄1 砂 かθ/α εgorゴoσ1 Dα 4.(Abt,1978), Cambridge. Stephen E. Fienberg,
η1θ11履か3 3qプαo∫争σ勿∬扉εdα 8goア ω11)αm.(MIT Press,1977), Cambridge G. Nige1. G皿bert,ル7bdθ 一 1加8300fθ研(George AUen&Unwin,1981), London. Yvonne M.M。, Bishop, Stephen E. Fienberg, and Paul W.Honand, Dなcアε∫8、M㍑1 加〃謝の4π⑳∫f鼠(MIT Press,1975),Cambridge.
9)この点にっいては,西田春彦「度数データの分析一世代間mover−stayerモデルの場合一」『大阪大 学人間科学部紀要」6,1980を参照。なおホワイト,グードマン,ブードンの文献については,西田
論文に掲載されているものを参照せよ。
10)Leo A. Goodma11, Some multiplicative models fbτthe analysis of cross−classified data. In L. Le Cam α厩(Eds・)・P70cεθ4∫カ830〃みε5α飾βeアκθ1の2のη3ρo伽η20η1吻 乃θ㎜∫∫ω13観誌 ゴoMηd乃o肋わ ∫りろ
(Univ。 of Cahfolnia Pless,1972), Berkeley.
11)結合指数の歴史的説明については,安田三郎『社会移動の研究』 (東京大学出版会,1971)p.74を参
照せよ。12)本論では議論を簡単にするため結合指数と分離指数の区別はしていない。
13)安田三郎 前掲書p.82.
14) Stephen E. Feinberg, op. cit., pp.13−14.
15)最近,結合指数を使用したものとしては次のようなものがある。今田高俊「社会的不平等と機会構造の
趨勢分析」富永健一編『日本の階層構造』(東京大学出版会,1979)平田公一「定年退職者の職業移動・引退・生活水準一計量社会学的分析一」 『社会保障研究17』 (1982)
16)ここでの数値は説明を目的とするものであって,実際の推定では同じ数値が得られるとは限らない。こ の例では,後述する新結合指数はdllニ10とそれ以外のdij=1である。新結合指数を理解するためには,
ここでのロジックを理解しておくことが重要である。
17)ハウザーは,彼の一連の論文で新結合指数を提示している。ハウザーは新しい指数を,new mobility ratioとよんでいるが,本論では結合指数に対して,新結合指数とよんでおく。
Robert M. Hauser, A structu正al model of the mob∬ity table. ,50c加1 R)roε∫,56(1978),919−953. Robert MHauser, Some exploratory methods fbr modeling mobility tables and otheτcross−classified data.
In Karl F. SchuessleL(Ed.),30cわbg1αz1〃2痂od配) Ogア.(Jossey−Bass,1980), San Francisco. David L.
Featherman alld Robert M. Hause1,0ρρoπμπ∫孟アρη4ασηgε.(Academic Press,1978), New York. Robert MHauser, The structure of social relatiollships:cross・classifications of mob皿ty, kins臨ip, and f士iend・
ship. CDE Working Paper井80・15,(1980).
18)実際に密度レベルを使用して,社会移動の国際比較をしたものとしては,Erikson。 Robert, John H.
Goldthorpe, and Lucienne Portocarero, Social fluidity in industrial nations:England, Flance and Swe一 den・ 7物θ・8r 勧」∂μγη〃o/5b薇)Jogア,33(1982),1・34.がある。
19)この具体的な手続きについては,Robert M. Hauser,1980,0p. cit.を参照せよ。なお,この方法 に対しては,モデルがデータにうまく合いさえすればよいという誤った批判がなされている。そうした点
については,K.1. Macdonald, On the R)rmulation of a structural model of the mobility table. 50 あ∫b7cε∫,60(1981),557・571.を参照。
20)John H. Goldthorpe,50c加1物b ゴ義ア&C働∬5〃配αμ7θ η、蔽)4θアηβガ砂肱(Cbτendon Press,1980), Oxford.
特にCh.4を参照。
21)Robert M. Hauser,1980,0p.cit.を参照せよ。そこでは本論よりも詳しい探求の手続きがとられて
いる。
22)セルを無視することを意味する。グードマンは,blank outという用語を使用しているが,同じことを示
している。 ]Leo A. Goodman, How to ransack social mobility tables and othel kinds of closs−classifica一 tion tables, !4〃3ε7 αzηJdε〃ηα10∫30cめ109ア,75(1969),1−39.
23)Leo A. Goodman,1969,0p. cit.を参照。
24)こうした点については,たとえば,Peter M. Blau, and Otis Dudley Duncan,跣ε.4〃2θ7磁ηOco〃ρo め〃α1 引T 〃o顔7a(W迅ey,1967), New York.特にpp.45−47を参照せよ。
25)経験的にはセルの実測度数が10以下の場合には残差は大きくなる。
26)この点については,富永健一編,前掲書,p.61を参照せよ。
27)ロゴフは,結合指数を社会的距離移動率とよんでいたことに注意する必要があるであろう。
Natalie Rogoff, Rθcθη 7}8ηd∫加Oc πρρ わ澱1物ゐゴ ア.(Free Press,1953), Glencoe・