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雑誌名 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀

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(1)

宮城教育大学機関リポジトリ

知的障害特別支援学校高等部におけるコミュニケー ションに関する指導の現状と課題

著者 佐々木 健太郎, 野口 和人

雑誌名 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀

号 10

ページ 83‑92

発行年 2015‑06‑01

URL http://id.nii.ac.jp/1138/00000719/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

く研究報告>

知的障害特別支援学校高等部における コミュニケーションに関する指導の現状と課題

佐々木健太郎(宮城教育大学附属特別支援学校) 野口 和人(東北大学大学院教育学研究科)

本稿では,国立大学教育学部附属特別支援学校 3 9 校の研究資料を基に,知的障害特別支援 学校高等部におけるコミュニケーションに関する指導の現状と課題について調査することを 目的とした。その結果 32 校での実践報告が見られ, ( 1 ) コミュニケーションスキルの形成を 目指した取組, ( 2 ) 人とかかわることに関する態度や力の育成を目指した取組, ( 3 ) 生徒同士 の関係性に着目した取組に分類された。(1)のスキル形成に関する取組においては,スキルの 活用場面が限定され,般化が課題として挙げられていた。 ( 3 ) の取組については,十分な成果 が得られているものは多くなかったが,生徒同士の関係性を考慮することで,対象生徒の対人 関係に改善が見られたことや人間関係の拡大が見られた取組があった。以上の結果から,今後 求められる指導の方向性として,スキルを活用できる多様な場面を設定すること,生徒同士の 関係を構築することを基盤にコミュニケーションスキル等の指導を行うこと,卒業後の生徒の 様子から長期的な視点で指導内容を評価することが考えられた。

I  はじめに

知的障害特別支援学校において,コミュニケーションに関する指導は従前より重要視されてき た。学習指導要領では,昭和 46 年に創設された「養護・訓練」の中に「意思の伝達」として明記 され,平成元年の改訂では心理的適応」の項目の中に「対人関係の形成に関すること」が位置 付けられた。平成 1 1 年 に は 養 護 ・ 訓 練 」 か ら 「 自 立 活 動Jへ と 改 訂 が な さ れ コ ミ ュ ニ ケ ー ション J i 心理的な安定Jの項目に意思の伝達及び受容に関することや対人関係の形成に関する内 容が明記された。平成 21 年には,障害の重度・重複化や LD.ADHD などの発達障害への対応と して, i 人間関係の形成」という項目が新たに追加された。 2011 年の特別支援教育総合研究所の調 査によれば,現行の学習指導要領の改訂内容について個別の指導計画へ反映された内容として,

「人間関係の形成」が 72% と最も高く,学校現場における注目度と必要性の高さがうかがえた。近 年,文部科学省が推進しているキャリア教育においても,コミュニケーションや対人関係に関す

る能力は人間関係形成能力」として位置付けられ,その重要度はいっそう増している。

特別支援学校において,コミュニケーションに関する指導が拡充されてきた一方で,学校卒業 後の就労の場では,コミュニケーションや人間関係に関することが依然として課題とされており,

就労の継続を困難にする一因となっていることが指摘されている(障害者職業総合センター,

‑ 8 3  ‑

(3)

2 0 1 3 ) 。この課題に対し,就労後の支援としては,ジョブコーチによる支援や特別支援学校による フォローアップなど,様々な取り組みがなされている。その中の一つの取り組みとして,ナチュ ラノレサポートの形成がある。ナチュラルサポートとは,障害のある従業員に対する就労先の上司 や同僚などからの支援のことであり,いずれ撤退するジョブコーチへの過度な依存を避け,障害 者が日常的に支援を受けながら働けるようになるという点で大変重要であるとされている(障害 者職業総合センター, 2 0 0 8 ) 。ナチュラルサポートの形成により,障害者を取り巻く職場の人間関 係が円滑になり,就労の継続がなされたという事例は複数報告されている。例えば,陳 ( 2 0 0 4 ) は , 重度の知的障害者を対象とした調査を行いキーパーソン」となったある同僚との信頼関係の構 築を基盤とし,他の従業員とも関係を築き,就労の継続が安定していったことを報告した。エン パワメント研究所 ( 2 0 0 6 ) によれば,中度の知的障害を有する自閉症者を対象とした事例から,ジ ョブコーチが対象者と他の従業員の聞を仲介する形で支援を行うことで,対象者が他の従業員に も業務上必要なやり取りを行えるようになり,最終的には他の従業員も対象者のことを気に掛け るようになり,自然とコミュニケーションが円滑になっていった過程を報告した。このように,

就労の場においては,コミュニケーションに課題のある障害者に対する支援として,他の従業員 との信頼関係を構築し,その上で本人のコミュニケーションスキルを発揮させるということがな されている。つまり,単にコミュニケーションスキルの形成のみを目指すのではなく,そのスキ ルが活用される条件として,本人を取り巻く人との人間関係の構築を考慮に入れていた。この視 点を基に,特別支援学校におけるコミュニケーションに関する指導について今一度整理し,検討 する必要があろう。

本稿では,研究推進校とされる全国国立大学附属特別支援学校の研究資料を基に,知的障害特 別支援学校高等部におけるコミュニケーションに関する指導の捉え方や取り組みの内容の動向を 整理し,今後の課題について明らかにすることを目的とする。

E  方法

1)分析の対象

全国国立大学附属特別支援学校 3 9 校の研究紀要及びそれに準ずる資料を基に高等部の取り組 みの中で、コミュニケーションに関する内容を取り扱っていた 32 校の資料を対象とした。研究に関 する資料は,不定期に発刊する学校もあったため, 2013 年から 2015 年までに発刊されたもので

あった。

2 ) 分析方法

資料の中の授業実践に関する部分を抜粋し, (1)コミュニケーションスキルの習得をねらった実 践 , ( 2 ) 他者とかかわることに関する態度や力の育成をねらった実践, ( 3 ) 生徒同士の関係性に着 目した実践,に分類した。さらに, ( 1 ) コミュニケーションスキルの習得をねらった実践について

‑84‑

(4)

は,①授業で習得をねらったスキル,②スキルの活用場面数,③評価方法,④評価場面数,⑤生 徒同士の関係性の考慮の有無,⑥その他(課題点等)の観点で整理した口 ( 2 ) 他者とかかわること に関する態度や力の育成をねらった実践, ( 3 ) 生徒同士の関係性に着目した実践については,①授 業の目標,②評価方法,③生徒同士の関係性の考慮の有無と考慮した点,④その他(成果及び課題 等)の観点で整理した

D

整理した結果を基に,全体としての傾向を分析した。

E  結果

1)コミュニケーションスキルの習得をねらった実践

1 4 校の取り組みが挙げられた。取り上げた学習形態は,作業学習の時聞が最も多く,その他,

自立活動や総合的な学習の時間,言語,朝の会等で、あった。作業学習を取り上げた実践において 習得をねらったスキルは,作業中の報告,連絡,相談といった基本的なやり取りが最も多かった (A

~G)。その他の実践で習得をねらったスキルは,質問に答える (H , L) ,映像を見て自他の行動を 振り返る(1),分かつたことを発表する ( J ,K),正しい言葉づかいで挨拶や報告をする (M),友 達と声を掛け合いながら朝の会を進行する (M) ,支援ツールを活用してやり取りする ( N ) ,とい ったことが挙げられた。スキルの活用場面及び評価場面は,ほとんどものが特定の授業の一場面 で、あった (A~E , H~J, L ,  N) 。複数設定していたものは,授業場面に加えて就業体験の場,家 庭などの学校から離れた場所であり,基本的には習得されたスキルが般化されたかどうかの確認 で、あった ( F ,G ,  K ,  M) 。他の場面への般化を課題としていた取り組みが複数あった ( C ,N) 。 以上の内容を表 1 に示した。

2 ) 他者とかかわることに関する態度や力の育成をねらった実践

スキノレの習得で、はなく,他者とかかわることに関する態度や力の育成をねらった実践は, 10 校 挙げられた。取り上げられた学習形態は,作業学習や生活単元学習などの合わせた指導に加えて,

国語や保健体育,職業などの各教科,及び特別活動と多岐に渡っていた。授業の目標は,作業学 習を中心とした働くことに関する学習においては,周囲の人と協力しながら作業できるという内 容のものが最も多かった (O~S)口その他の実践については,自分の思いや考えを他者に伝える (T,

V ,  X) ,仲間と協力してスポーツに取り組む ( U ) ,仲間と協力して役割分担して活動する (W) ,こ とを目標としていた。評価の方法としては,一連の学習の中で、のエピソードを列挙したもの (O~

Q ,  T ,  W ,  X ) ,行動指標を設定して継時的に観察したもの ( R , S ,  U) ,生徒自身の発言やワーク シートの記述を基にしたも (T,V) があった。個々の生徒の変容に加えて,集団の中でのかかわ り方の変容について触れているものが複数あった (0,W)。生徒同士の関係性について考慮してい るものが 1 件あった。その内容としては,作業学習における販売会の学習において,対象生徒が 参加した理由として,教師からの説明を受けたことに加えて特定の先輩に誘われたことがきっか けになっていたとのことであった。さらに,実際の活動場面においても,その仲間がいることで 安心して地域の人とかかわることができたとの報告があった ( Q ) 。具体的な内容を表 2に示した。

‑ 8 5  ‑

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。 、 。

表 1 . コミュニケーションスキルの習得をねらった実践

学習形臨 スキル又は自機

A  作業学習 ・ ‑ 担 指 示 当 者 に 対 に し f お て 願 、 手 い を し ま 挙 す げ J た と り 声 声 に に 出 出 し し て た 報 り 告 し す て る 糧 。事をする。

8  作業学習 ‑内容がわかるように確実に報告する。

自発的に作業の依頼をする。

作集学習

D  作襲学官 ‑一つの作業が終わったら、教師に報告することができる。

E  作撒学習 ‑作集の越中や終了時に報告ができる。

F  作車学留 手 想 鵬 定 壊 外 の と 興 質 な 問 る に 臓 替 " え の る や 。り取りに対応する

0

阪大きな F 衝ではっきりと報告する。

G  作雑学習

制 自立活動 ‑質問に替えることができる

醸題学習 臨 活 分 動 や の 友 険 避 機 の を よ 毘 か な っ が た ら と 自 こ 分 ろ や や 京 友 避 瀧 の と 活 の 難 動 現 費 撮 の り 遣 斑 い るを揺り濃る)。

J  学 総 習 合 の 的 な 時間

‑ 外 共 お 日 自 互 本 通 の い に 点 音 つ に や 脅 集 い 遣 て か や い 改 輯 っ の た め 理 お こ て t も と 獅 E し を ろ 実 ペ 量 さ 際 缶 え 、 の え 歯 晶 自 体 ラ 君 分 聴 こ 臨 た と か 治 ち か ら を で の 異 ら き 良文 る さ 北 . を を 考 嘩 え 仏 、

κ  進路、作聾 ‑ 相 話 手 す に こ 伝 と に わ 自 り 信 ゃ を す も い っ 話 た し り 方 で に き 競 る が よ う 付 に い す た る り 。、

L  雷梧 ‑鷺轄でのやり取りを聞いたことを器に、質問に対して的確に答える。

M  朝 チ ャ の レ 会 ンジタイム ・ ・ ‑ 宜 怪 T 掛 掛 繍 こ 寧 遣 と わ 臨 け け が な の り た 合 幸 で や 冒 仕 す り い 吉 す 、 葉 事 る 1 る E さ こ 遣 の が 世 . や と い 量 ら 部 が 言 や 、 持 分 で 葉 札 具 担 協 き 海 粧 合 る L 在 力 在 し し た 噌 て . し 確 量 い り 輔 睡 織 し 闘 の し 怠 し 、 金 が 、 自 で 主 吾 ら 分 、 輩 量 活 蹄 か め 同 動 ら 士 る に 量 予 こ で 取 報 ん と 置 り 告 で 献 組 薫 置 で 7 む を 葺 き る を. 

N  記載なし ‑ひらがなシートを活用して教師の質問に替える。

活用場面撤 酔冊の方法 酔備場面撤 人間関係の考撒 その他(醜臨点場) 行動の生組

な し

行動の生起 な し

行動の生起

定 的 作 な め 鎌 場 ヱ ら れ 面 韓 た か 以 エ ら 外 偶 親 で 知 以 の 外 的 端 な の 部 端 場 へ 部 関 の へ へ 般 の の 化 段 般 が 階 化 見 が が ら d れ 鵬 S 襲 越 な い 。 で あ 。 意 る 臨 。 指 し

行動の生起 な し 他の場面での臨し方がよくなって者た。

行動の生起 な し

行動の生起

2  2  な し

行動の生起

車 作 確 寓 周 車 毘 曹 作 し 先 内 た で 容 車 . も

4 .

担 活 聾 用 当 q : . 者 し 惇 て が 畢 い 寵 叫 た わ 喪 . っ 曹 て と も い ツ う ー よ ル う に を 活 、用できるか

3  3  な し

正答したかどうか な し 他の場閣の臨地なし

φ

活動の様子

な し 活動の練子

な し

2  { の 活 枝 酔 動 肉 価 の 及 ) 様 び 子 実習先から 3  な し

正答したかどうか な し

行動の生起

き 寓 E に ま

ど E た の 興 遣 曹 曹 . 生 を 味 の 先 伝 聾 仕 で 壷 持 も え も 事 唖 宜 よ つ の う f 極 量 嘩 h と 的 か 行 す ら に 状 る 撞 仕 こ 理 棋 事 と 費 事 が を 毘 批 す で な た き る が 脂 た 樺 ら 燭 . 子 作 軍 ! が こ 聾 躍 対 毘 す で し 晶 る も 、 れ こ 積 z と た a 極 が ー . 的 で ス に

3  な し

:a帯したかどうか な し 選択肢のない質問に替えることができなかった。

(6)

、 00 

j

表 2 . 人とかかわることに関する態度や力の育成をねらった実践

学習形態 スキル又は目樺 評価の方法

‑話し合いを通して、協力したり、状況判断したりしながら作業する姿 エピソード O  作業学習

‑友遣と雷藁をかけ合いながら、協力して作業することがで曹る。 エピソード p  作集学習

‑周囲の人と関わったり、状混を見て判断したりする力を高める. エピソード Q  仕事

‑まわりの人と適切にかかわり、集しんで仕事に向かうことができる。

捜 発 決 成 宮 め 立 聾 申 ら 回 命 れ 由 有 数た 平 無 や 連 、り 切 取 なりの R  職蝶

行動指機

s  産鑑社会と人間

T  生活単元学習 ‑ 校 難 仲 外 し 間 む 学 に こ 習 向 と に け が 向 て で け 自 き て 分 る 、 の こ 自 と 思 分 に い の つ を し い 伝 た て え い 考 た こ え り と た す や り る 学 、こ 般 と の が 仲 で 脅 間 る が。 エ ワ ピ ー ソ ク ー シ ド ー トの記録

‑ 仲 味 防 間 御 方 と の す 協 る 友 力 相 遣 し 手 に て チ ボ 、 ー ー チ ム ー ル の ム を 友 パ の 遣 ス 勝 す が 利 る い を 。る 目 中 指 で そ 、うとして、 行動の生起 U  保健体育

v  間栢 ‑現場実習で行う自己 PR を作成し、発寝する。 発 発 褒 賓 内 の 容 様 子 、

‑ 時 こ 間 と 分 が た に で ち 合 曹 で わ る 考 せ . え た て 行 役 動 割 が 分 で 担 き を る L よ . う 進 に 行 ず す 川 戸 る こ ブ と で が 協 で 力 曹 し る て . 取り組む エピソード 職叢敏学科 ‑ 自

. ‑ 3 自 年 分 生 の と 意 の 見 思 を い 発 出 表 作 す り る の こ 活 と 動 が を で み き ん る な 。で話し合うことができる。 エピソード

x  特別活動

一 一 一

人間関保の考慮 その他(課題点等) な し 互 状 生 徒 い 混 の に 同 応 良 士 さ じ で を て 役 認 全 割 め 員 分 る で 担 搬 一 を 手 緒 柔 が に 軟 毘 清 に ら 掃 変 れ す え た る て 。場 い 面 た が 。毘られた。

な し ‑ 作 の こ と 車 量 が 由 聴 雛 桟 を し 理 揖 い は 解 徹 向 し 子上 が 自 し 分 見 た も で が れ 輔 、 た 生 衝 . 健 し一 主 人 連 一 と 人 協 が 力 、 し 協 て 力 停 す 車 る 苦 こ 行 とう

あ り ‑ 教 安 活 師 心 動 か に し て ら 参 地 の 加 説 域 し 明 の た 以 こ 人 と 外 遣 が に と 分 か 先 か か 輩 る わ か 。 る ら 仲 こ の 間 と 欝 や が い 教 で や 舗 き 特 た が 定 。 側 の に 先 い 鑑 る が こ い と で る 、から

な し

‑ 他 決 な の め っ た 友 ら れ 。 遣 た とやり取りについては、教師に対して自ら行うように のやり取りの経験が必要である。

な し

なし

仲 歯 藁 間 の の 意 褒 出 見 を が 尊 少 重 な し い な 生 が 徒 ら が 話 自 し 分 合 の い 患 に い 多 を 加 伝 し え て よ い う た と 。していた

なし

なし ‑ 自 で 分 曹 た の 。畏所について理解を深めた。本番も堂々と艶聾することが

なし 左 単 考 に 取 自 遣 価 え 適 蝿 り 組 の る や 切 的 む こ 片 作 $ に と 律 軍 判 付 話 が 子 由 断 け し 畠 合 が は 様 が 聖 控 毘 い で 子 と 、 ら き 割 や な 役 れ る ベ 分 り 割 よ た ー 担 う 由 ス 初 . し に め 卦 な を 立 担 考 は か っ 朝 を っ え て す た て 断 き る こ 自 酎 た と こ 分 鑑 でと自しが、か行ゲでっ動ルきたー由、が協プベ.力向ー~しで . なし ‑ 生 事 こ が と 〈 桂 で 由 が 舎 き 生 で た が 徒 曹 . 中 た が 心 . 主 と 体 f ; i . 的 唱 、 I 全員由意見壷開いて向容を決定する

こ発費していた。意見を引き出すこと

』 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‑ 一 一 一

(7)

3 ) 生徒同士の関係性に着目した実践

生徒同士の関係性に着目した実践は 8 校あった。取り上げた学習形態は,作業学習が最も多く,

その他は生活単元学習,コミュニケーションの学習,言語・経済生活で、あった。作業学習に関す る実践は,集団で課題を解決したり作業に取り組んだりするという形態の中で,特定の二者に注 目するもの (Y,Z ) ,集団内全体のやり取りの変化を追跡するもの ( a ,b,c )が中心で、あった。そ の結果,相手の様子を見ながら作業はしていたものの,積極的なかかわりは見られなかったなど,

十分な成果を得られなかったものがあった (Y,Z ) 。それに対して,目的意識を共有して互いの得 手不得手を踏まえながら自発的に役割分担をして作業に取り組むようになった ( a ,b ) ,大集団の 中では自分の思いを言えない生徒がべアの学習では自分の苦手なことを相手に伝えることができ た(C),など一定の成果を挙げているものもあった。集団で、製菓作業を行った生活単元学習の実践 においても,やり取りする場面を意図的に設定することで,互いの信頼関係が強まり,形式的な やり取りがより自然なものになっていったことが報告された ( d ) 。個別的な学習において特定の二 者を組み合わせた取り組みでは,特定の他者とのかかわりを通して対象児の不適切なかかわりが 減り,他の場面でも吃音が減ったなどの成果が得られたものや ( e ) ,対象児が安心して発言できる だけでなく,放課後一緒に帰ったり,休日に出かけたりするなど他者との関係そのものが構築さ れたとするもの ( f ) があった。以上の内容を表 3 に示した。

‑ 8 8  ‑

(8)

。 、

表 3 . 生徒同士の関係性に着目した実践

学 習 形 館 授 集 の 自 擁 作 農 学 習 ‑お互いの旗持ちを思いやり、協力し合う聾 Y 

作 業 学 置 ‑ グ か ル け ー 合 プ い や 、 協 ペ ア 力 で し て の 活 活 動 動 す を る 通 こ し と て が 、 仲 で き 間 る 同 . 士で冨薫を

作 業 学 習 f 標題解決するカ J r 自己寵織するカ J a 

作 業 学 習

生 産 ‑一緒に活動を作っていく仲間として友達を理解する.

生 活 単 元 学 習

周自囲分のの意人と思かをか相わ手りに合伝いえなるがことらが活動できするる. ことができる.

コ の ミ 学 ュ 習 ニケーション ‑特定の他者とかかわりを増やすこと.

書語・経済生活

. r 伝 で 自 き え 分 る て の よ み 思 う た に い り な を す る 自 る . 分 の の も 雷 よ い 藁 も で の 言 だ っ J て と み 感 た じ る り 、ことが f 

評 価 方 法 関係性への考慮 その他{聾題点等)

エピソード

特 他 定 の の 集 ニ 団 者 と の の 間 間 保 保 を と取り上げた.

学 こ 共 融 と 桂 有 引 が 組 す 生 う む 畠 置 か こ 中 を が と 期 で え が 、 る こ 、 件 L . 自 鋼問 喜 と 的 び 閏 な 、 巴 輔 躍 世 り 割 向 . の 量 畢 担 晶 L い る 書 生 . 、 か し 聾 ん か の ど わ 共 き 9 層 な 合 住 ど 色 輔 、 寄 な 薗 d 理 が 事 め ら 車 う 停 る も車堵 I こ

特 ど か の か 定 よ わ の う 他 っ に て 者 い とたか 他 特 基 盤 定 の の メ と ン し 他 て バ 者 意 ー を 図 も 世 割 的 定 わ に し 組 り 関 や み わ す 合 り い の わ人せをた構. 成した. 積先極輩的たちなの関暢わ子りはを見見なられがなら活かっ動たしもてのいのた. 、

エピソード 外傷からの畏注作集をチームで行う.

仕 車 調

E 目 事 置 的 L わ 合 費 意 の り が っ 分 蝿 樺 て 生 t を 手 す 摺 る 共 曹 不 民 司 と 有 揖 同 も 士 し し 市 手 て を 聾 L 車 自 、 作 が こ 全 分 車 う 毘 が 体 と 両 ら で で も 容 れ 可 に き チ 困 る 払 っ 開 こ た ー と b ム こ を L と カ 1 、 考 書 が 圃 え 阻 曹 て ゐ 拍 っ 宮に た 全 両 輔 員 . 容 冒 で 量 し 奮 出 て し し も 合 〈 合 っ 中 い て で.、

エピソード

ス Z

仕 そ 句 E タ z か " の , 3 ヲ t に 自 名 フ = 揖 に 取 構 の 組 手 切 虚 生 組 ん 不 位 桂 む だ 骨 一 が 相 . 手 定 担 手 量 で 当 と 生 位 す 協 か 牢 る 力 し < な し、 がら 壇 互 ス 量 立 毘 タ ち a b . ι

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1 . 5 h m e D t な F る め 学 い . た ん 人 仏 把 牽. 

エピソード

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やり取りの肉容

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授 業 中 の 会 話

意 対 象 図 児 的 i がこ組関み心合を持わつせ先た輩. を 休 安 心 日 し に て 交 発 溝 言 ず で る き よ て う い に た な . っ 授 た 業 . 後、一緒に下校したり、

(9)

W  考察

本稿では,研究推進校である全国国立大学附属特別支援学校 39 校の研究資料を基に,高等部に おけるコミュニケーションに関する指導の取り組みについての文献調査を行った。その結果, 32  校がコミュニケーションに関する内容を取り扱っており,現在もなおコミュニケーションに関す

る指導が重要視されていることが確認された。その内,コミュニケーションスキノレの習得を目指 した取り組みを行っているものが最も多く 14 校,次いで,人とのかかわりに関する態度や力の育 成を目指した取り組みを行ったものが 10 校,最後に生徒向士の関係性に着目した取り組みを行っ たものが 8 校あった。スキルの習得を目指した取り組みは作業学習を取り上げているものが多く,

そのスキルの活用場面は授業時間中の一場面のみであり,他の場面への般化が課題として挙げら れていた。人とのかかわりに関する態度や力の育成を目指した取り組みについては,作業学習以 外の取り組みも含まれており,エピソードによる評価が中心であった。生徒同士の関係性に着目

した取り組みは,作業学習において集団で課題を解決してしえ様子を取り上げたものが多かった が,集団内の生徒同士の具体的なやり取りの内容まで分析しているものはなかった口ごく少数で はあるものの,意図的な生徒のベアリングにより,生徒同士の関係そのものが構築されたり,他 者へのかかわり方に改善が見られたりしたものがあった。

以上の結果から,今後,特別支援学校において求められるコミュニケーションに関する学習内 容について考察する。まず,卒業後を見据えたコミュニケーション能力というのは,本来,環境 が変わっても汎用的に活用できることが求められていると思われる。今回の結果では,コミュニ ケーションスキルの習得を目指した取り組みが最も多かった。ただし,それらのほとんどはスキ ルを活用する場面が授業内の特定の場面に限定されていた。それらの中には,他の場面への般化 が課題として挙げられているものもあった。スキルを習得することは大変重要なことであるが,

それらを活用することの意味を生徒自身が理解できなければ,環境が変わったときに活用される ことはないと思われる。今後求められる指導の方向性のーっとして,スキルを活用できる場面や 状況そのものを増やし,学習したスキルが汎用的なものであると感じられるような授業設定の必 要性が考えられよう。

次に,生徒同士の関係性に着目した取り組みにおいて,十分な成果を得ているものは多く見ら れなかったが,意図的にベアリングを設定し,生徒同士の関係性を構築することによってかかわ り方に改善が見られたものがあった。これは,就労後のナチュラルサポートの形成過程に見られ た対象者の変容と合致するものであり,生徒同士の関係性がスキルを活用する上で,重要な条件 となることが確認された。作業学習を取り上げた実践においても,集団内の生徒同士のやり取り の活発化が見られたものがあった。その過程においても,生徒同士の信頼関係が構築され,相互 理解がなされた結果,具体的なやり取りも増えていったことが考えられる。今回の資料から得ら れた結果においては,その過程について詳細に分析を加えているものは見られなかった。今後,

生徒同士の関係性を構築し,その上で個々の生徒のコミュニケーション能力を育てていくという

‑9 0  ‑

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視点での授業作りが求められる。さらに,その過程について分析していく必要があると考えられ

最後に,授業に対する評価に関して,今回取り上げた実践はコミュニケーションスキルの指導 に関しでも,人とかかわることに関する態度や力の育成に関しても,基本的には授業の特定の場 面,あるいは在学中に限定されたもので、あった。学校卒業後の就労の場で,依然としてコミュニ ケーションに関わることが課題として挙げられている中で,在学中の授業でコミュニケーション スキルを習得することにどのような意味があるのか,卒業後の生活にどれだけ役に立っているの か,ということについて再度検討していく必要があると考えられる。生徒同士の関係性に着目し た取り組みにおいても,生徒同士のかかわりが促され,休日に共に活動するなどの関係の構築が なされた例があったが,そのような関係が学校卒業後を見据えた際にどのような意味を持つのか 考える必要があろう。校内研究の一環として卒業生の就労先の職員に対して,求められるコミュ ニケーション能力の内容について調査しているものは見られた(例えば,宇都宮大学教育学部附属 特別支援学校, 2 0 1 4 ) 。しかしながら,卒業生の生活のありょうそのものの追跡調査を行い,その 結果から在学中の指導内容に対して評価を加えているものは見られなかった。今後,在学中の指 導と卒業後の就労支援を区別して考えるのではなく,卒業後の生徒の様子を追跡し,長期的な視 点から学校での取り組みを評価し,絶えずフィードパックしていくような取り組みや仕組みが必 要であると考えられる。

V  おわりに

最後に,筆者らが取り組んだ生徒同士の関係の構築を基盤とした作業学習の取り組みについて 紹介する。宮城教育大学附属特別支援学校高等部では,平成 2 3 年度から平成 2 5 年度までの 3 年 間 主 体 的 に 学 習 に 取 り 組 む 生 徒 の 育 成 J を研究テーマに作業学習の授業実践に取り組んできた。

生徒の主体性を育むため,必然的に判断が求められる状況など,状況を授業の中に設定するとい う視点を取り入れた。その具体として,生徒同士で作業の打合せを行い,進捗状況に合わせてそ の日の作業内容を決定するという活動を段階的に取り入れた。その結果,年度当初は,教師対生 徒で,なおかつ形式的なかかわりが中心であった集団が,徐々に生徒同士のやり取りの頻度が増 え,なおかっその内容も非形式的なものへと発展していった。最終的に,生徒同士の会話は授業 以外の時間にも波及していった(佐々木・海野・島津・鈴木・野口, 2 0 1 3 ) 。今後も,単に個々の 生徒にコミュニケーションスキルを習得させるとしづ視点だけでなく,生徒同士(将来的には職場 の同僚と)関係を構築していくという視点を踏まえた授業作りの取り組みが望まれる。

【文献】

1 ) エンパワメント研究所. ( 2 0 0 6 ) . 社会の中で働く自閉症者たち. 9 0 ‑ 9 4  

2 ) 国立特別支援教育総合研究所. ( 2 0 1 1 ) . 特別支援学校における新学習指導要領に基づいた教育 課程編成の在り方に関する実際的研究

‑ ‑ A

n y  

(11)

3 ) 佐々木健太郎・海野善和・島津真樹・鈴木徹・野口和人. ( 2 0 1 3 ) . 特別支援学校高等部木工班 における生徒の主体性を高める作業学習の授業作りの取組一生徒の内発的動機付けを促す状況 作 り を 通 し て 平 成 25 年度宮城教育大学特別支援教育総合研究センター紀要, 8 , 89 ・ 99

4 ) 障害者職業総合センター. ( 2 0 0 8 ) . 障害者に対する職場におけるサポート体制の構築過程‑ナチ ュラノレサポート形成の過程と手法に関する研究‑

5 ) 障害者職業総合センター. ( 2 0 1 3 ) . 障害の多様化に応じたキャリア形成支援のあり方に関する 研究

6 ) 陳 麗停. ( 2 0 0 4 ) . 知的障害者の一般就労継続に対する職場同僚の支援活動について.社会福 祉学, 45 ( 2 ) ,  56‑66 

7 ) 宇都宮大学教育学部附属特別支援学校. ( 2 0 1 4 ) . 子ども一人一人が輝く学校作り 本人・社会 のニーズに応じたキャリア教育と教育環境

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参照

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