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2 章地域福祉学習

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Academic year: 2021

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2 章 地域福祉 学習

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地域福祉 学習の現代 的視 角

猪 山 勝利

1 .地域福祉学習の基本性格

2 0 世紀末か ら 2 1 世紀へか けて、現代社会福祉 は大 きな構造的転換 を迎 えてい る

とりわけ、地域福祉 は社会福祉分野で も最 も大 きな構造的転換 に遭遇 して お り、新たな創造課題が多い。

この ような地域福祉 を学習す る地域福祉学習 は、基本性格 として単 に既存の 福祉 「 理解」学習 に止 まらず、現代的福祉創造 「 課題解決」学習 として設定 し

てい くことが求 め られている

つ ぎに、従来 の福祉学習 は生活支援や介護問題 な ど狭義の福祉分野の学習 に 限定 して展開 されがちであったが、 これか らの地域福祉学習 は他の生活 ・社会 課題 と連関 させて学習 を設定 してい くことが求 め られている

と言 うの も、現 代的福祉 は救貧時代 の福祉 の質 を超 えて、いわゆるノーマ リゼーシ ョン時代の 人間 らしさの質 を基本内容 として きつつあ り、「 福祉当事者」の就労 を含む総合 的生活保障 を基本内容 としつつあるか らである

さらに、現代的地域福祉学習 はその学習内容 に他領域 の社会課題 を内包す る だ けでな く、現代的地域づ くりとも連関 して学習内容 を設定す ることが求 め ら れている。すなわち、地域福祉学習 を 「 地域総合創造学習 」 1 領域 とす る基

本性格 を もつ ことであ り、 この ことは地域創造学習 を豊かにす るとともに、地 域福祉学習者の地域創造エ ンパ ワーメ ン トを主体的 に形成することに もなるの である

この基本性格規定 については、現代環境学習が 「 地域総合創造環境学 習 」 として生成 している視角 と論理 をこれか らの地域福祉学習 も積極的に導入

してい く必要がある ( 1 ) 0

‑ 1

89 ‑

(2)

福祉学習 に止 まらず、従来の学習 は知識修得学習に限定 さ・ れがちであ り、夷 践的活動性 を軽視す る 「 学習主義 」 を基本 としていた。近年、教育界 において

もようや く実習や体験学習 を導入 し始 めて きているが、基本的には学習主義 を 超 えず、学習者 を実践的主体者 として位置付 けず、 したがって学習 も具体的実 践性 を内包 し得ていない。

したがって、 これか らの福祉学習は地域福祉学習創造解決学習 として、創造 性 を内包 してい くことが求められてお り、学習 と実践 を総合化 して学習内容 を 構成 してい く必要がある。

3 .地域福祉学習の主体 ・

今 までの地域福祉学習 は、福祉提供者の学習 を主体 として きた。いわゆる福 祉当事者 は 「 福祉受益者」であ り、学習か らは疎外 されて, きたのである

その ため福祉当事者の自立性や主体性 は目標 とされて も∴ 自己形成され るこ七 が困 難であった。現代的地域福祉学習は、■この視角 こそ転換 してい く必要がある。

すなわち、地域福祉学習の第一の主体者 は、福祉当事者であ りヾ福祉当事者 を 単なる福祉受給者 という社会的位置付 けか ら 「 福祉主体者 」 と. して とらえ返 し てい くことで ある.一 福祉当事者が、福祉推進主体者 として学習 を展開する' . Eと r こそ福祉当事者の自立性 を形成する基本であ' り、地域福祉学習 も学習主義 を超

える創造実践性を形成する基本動因 となる

さらに、地域福祉学習 は従来の学 習主義 を超 えてい くことと共 に、学習者が学習の目的や内容 ・展開方法な どを

自己決定する学習 「 参画」 を基本 とすることが重要である。

第二に、 ・青少年の福祉学習の拡充である。従来の青少年の福祉学習は施設訪 問などの体験学習が主体であ り、地域福祉学習にまでは至っていなかった。 し か しJ ′青少年 も福祉推進の主体者 として、 これか らは地域福祉学習 に参画 して い くことが求められている. この点 、2 0 0 2 年度の教育課程の改定 によ

こ ,学校 の 「 総合的学習時間 」 を地域福祉学習 として活用 していけば、青少年の地域福 祉学習 は本格的に進展 してい くであろう

第三に、成人の地域福祉学習の拡充である.従来の地域福祉学習への成人の 参加 は専業主婦が主体であったが、 これか らは就労成人の地域福祉学習の拡充 を職域、地域 を問わず推進 してい くことが求められてお り、近年その動向が進

1

9 0‑

(3)

2

章 地域福祉学習

展 し始 めている。

第四は、高齢者の地域福祉学習への参加 の拡充である。高齢者 は福祉当事者 として も学習参画 をす る場合が多いが、いわゆる 「 元気」高齢者 も地域福祉学 習への積極的参加者 として参画す ることが求 め られてお り、近年高齢者の地域 福祉学習への参加 は飛躍的 に伸 びてい る。

さらに、 日本 の教育界で は学校教育が主導であったため、年齢発達段階毎の 学習展開がなされがちであ り、異世代間の交流 ・協同による学習展開は些少で あった。 これか らは、世代間の交流 ・協同による地域福祉学習の拡充が望 まれ るが、幸 い教育界 において 「 学校 ・地域 」 融合施策が取 り組 まれ始 めてお り、

今後 は世代間の協同は飛躍的に進展 してい くであろう。

4 .地域福祉学習の学習推進 システム

現代 の生涯学習推進構造 は、学校主体型か ら多重構造化 して潜 り、その基本 / 類型 として、「 個的」学習次元、「 社会的」学習次元、「 公的」学習次元が析 出で

きる(2)

0

地域福祉学習 は、 その性格上、学校や社会教育 な どの 「 公的 」 次元で展開さ

れ るだけでな く、「 社会的」次元 において も強化 され る ことが求 め られている が、近年 の生涯学習への参加者 の拡大 によ り、「 社会的」次元 の学習 も拡充 し始

めている

特 に、学習集団の学習や地域社会 の地域福祉学習が拡充 してお り、

今後 は職域での福祉学習の発展が望 まれ る。 しか も、それ らの学習が分離 して 展開 され るのではな く、現代分権社会形成 の視点か ら提唱 されている公民協働 の推進形態 として、「 公的」次元 の学習 と 「 社会的」次元 の学習の協 同化が積極 的 に取 り組 まれてい く必要があろう

さらに、住民の地域福祉学習 に対 して公行政の多様 な支援が望 まれるが、従 来の行政支援 は教育行政サイ ド、厚生行政サイ ド毎 に分立 して支援がなされ る

ことが多 く、住民の地域福祉学習 も行政毎 に系列化 されがちであった。 そのた め、学習 ネ ッ トワークが形成 しに くく、地域福祉学習の総合化が進展 しに くい だ けでな く、学習の実践化や学習 と実践 の結合がなされ に くかった。 これか ら は、地域福祉学習 に対する行政支援 は、行政サイ ドのネ ッ トワーク化、協 同化 によ り総合化 してい く必要がある

‑ 191 1

(4)

1 . イ 社会的」次元の地域福祉学習

( 1 ) 学習集団の地域福祉学習 ,

最近の生涯学習の進展により、「 社会的」次元の学習 は拡充 しているが、その 中で も、学習集団の主体的学習 は増大 している。特 に、近年は地域学習集団の 学習の発展 は目覚 ま. しく、一 多様 な学習集団が組織化 されつうある。地域学習集 団の多 くが、直接福祉 にかかわ る集団やな くて も地域福祉学習 を進 める度合い が高 まっている。

そのなかで も、地域福祉の当事者の学習集団や地域福祉サポー ト学習集団の 組織化 は増大 してお り、福祉活動学習だけでな く、多様 な社会領域学習 を展開 す るとともに、地域福祉推進主体 として眉己形成 しつつあるo とくに、福祉当 事者の集団や福祉 NPO の地域福祉学習 は公的学習水準 を超 える学習展開 をし 始 めている

(3)

直接福祉課題 を設定 してない学習集団において も、地域福祉学習 を活動 に取 り, 込んでいる学習集団は増 えているが、特 に、地域づ くり集団の福祉学習 は活 発 になってい. る。その理由七 しては、地域福祉が地域協同生活づ くり. の基本課 題であることが認識 されはじめた ことが基底 にあるが、地域福祉学習が基本理 念 とする共生や協同理念が現代地域づ くりの基礎理念であることが 自覚 され、

地域福祉への取 り , 組 みは地域住民の協同性 を高めるとの認識が定着 しているか らである。

さらに、教育関連の学習集団や環境 ・文化関連の学習集団において も地域福 祉学習の取 り組 みは進 んでお り、その学習 の取 り組 みが福祉集団 とのネ ッ ト

ワ」ク化 を形成する基盤 として作用している.

・ ( 2) ・地域 ユミュニティの地域福祉学習

こ こで問題 とする地域 コ ミュニティとは、伝統的な基礎集落ではな く、基本 的には小学校区ない し中学校区範囲の地域社会であ りこ住民の現代協同生活の 結節点 を形成す る基本居住区である

地域 コ ミュニティは、近年神戸市や福岡 県久留米市のように、行政の地域施策 による地区福祉センターや学校 ・公民館

‑ 1 9 2‑

(5)

2

章 地域福祉学習

な ど教育施設の設置 も起因 とな り、従来の基礎集落では対応で きなかった協同 生活 を組織化 しつつある

(4)0

地域 コ ミュニテ ィの協同生活課題 として、地域環境課題、地域文化課題、地 域教育課題 な どと並んで重視 され る課題が地域福祉課題 であることにもよ り、

地域福祉学習 を活発 に とりくむ地域が増加 している。 その取 り組 みの特質 とし て、福祉学習 を地域づ くりと内在的に連関 させている点 において、福祉実践 と 結合 している

( 3 ) 職域 の地域福祉学習

周知の ように、近年、 日本 において も企業 の社会貢献が本格化 しはじめてお り、社会貢献 のなかで も文化 とな らんで福祉 は

2

大領域 と言われ るほ ど大 きな 比重 を占めてい る。 そのような企業の福祉貢献 の取 り組 みは、職域 の多様 な福 祉学習 を推進 している

その

1

は、企業全体 の福祉活動のための福祉学習の推進であ り、企業 によっ ては福祉読本の作成 をする組織 も出始 めている

その 2 は、地域の地域福祉学習への支援であ り、支援 の内容 も資金援助 だけ でな く、講師派遣や施設貸与 もあ り、少数で はあるが福祉学習奨学金 を提供す

る企業 も出始 めてい る。

その

3

は、進 んだ企業で は社員が 自主参加 する福祉学習への支援 をしてお り、

「 企業市民活動 ・学習

」 (5)

の主体形成 を助成す るところも出始 めている

その傾 向 は、特 に、いわゆる地場産業 と言われ る企業 において進展 している0

2. 「 公的 」 次元の地域福祉学習

(1)

青少年の 「 学社融合」学習の推進

青少年の福祉学習分野 における学校教育の取 り組 みについては、

1

章で論及 しているので、本章では学校 を除 く青少年の福祉学習 について論及 したい。

今後、青少年の地域福祉学習で注 目すべ きは、いわゆる 「 学社融合」形態で 推進 され る地域福祉学習である

学校 と地域 コ ミュニテ ィが協 同 して、地域福 祉学習 と地域福祉実践 を総合的に展開する学社融合形態の地域福祉学習 は、学 校内の知識学習主体 の福祉学習 を超 えて、地域福祉実践 を通 して青少年の 自信 や誇 りを形成 した り、世代間の交流 による人間的社会性 を育成す る

この形態

‑ 193 ‑

(6)

地域づ くりを結合す る地域福祉学習 を創出す ることさえある。

、 ( 2) 社会教育施設での地域福祉学習

社会教育施設での地域福祉学習は、多様 な構造で展開 しはじめているがこそ の

1

は、福祉当事者の地域福祉学習学習であ り( 3 ) 、障害児 ・者や高齢者 とその 家族の地域福祉学習が活発化 している。その学習 は福祉活動学習だけでな く、

仲間づ くり学習や生活支援の実践的学習へ拡充 し、近年では就労学習 も内包 し

つつある

r

その 2 は、いわ ゆる福祉 ボランティアの学習である .1 0 数年前は、ボランティ ア学習は福祉理解の入門学習が主流であったが、今 日では保健や医療 ともネ ッ

. トワークした実践的学習内容 も導入 されつつあ り、福岡市のボランティア大学 の ように地域づ くり実践 を組み入れはじめる学習 も展開 している

‑その

3

は、地域福祉

NPO

の生成が基盤 とな. り、地域福祉の高度専門的学習 を展開す る学習 もまだ些少であるが生成 しつつあ り、今後 この種の学習が拡充 してい くと思われるム

‑( 3) 福祉行政の地域福祉学習

福祉行政の地域福祉学習 は、初期の啓発学習 を超 えて、今 日では地域福祉ボ ランティアや福祉

NPO

の養成学習や介護資格養成学習 など地域福祉推進の本 格的学習 を組織化J Lつつある

さらに、福祉 と保健、医療 とのネ ッ トワーク学習やそれ らに加 えて、地域文 化や地域づ くりとの連関学習 も形成 されはじめつつある( 6 ) 0

(注)

( 1 ) 一猪 山勝利 ' 「 水辺環境 の創造 と環境学習」長崎大学生涯学習教育研究 セ ン ター運営委員会 『 地域環境の創造 』 !大蔵省印刷局 2 0 0 0 年 〜 ( 2) 猪山勝利 丁地域創造 と、 生涯学習 システムの組織化

小林文人、猪山勝利編

̲ , 著 『 社会教育の展開 と地域創造』東洋館 1 9 9 6 年

生活 クラブ生協他 ′ 『 参加型福祉社会 を拓 く』風土社 2 0 0 0 年

(4)

l猪山勝利、‑ 杉本伸一 「 現代地域 コ ミュニティ創造 に関する研究 」■I

1 9 4

(7)

2

章 地域福祉学習

平成

1 0

年度長崎大学生涯学習教育研究 セ ンター年報

1 99 9

(5) 早瀬

昇 「 企業 と非営利活動 のパー トナーシップ形成 」 『ボランティア活動

研 究

7 号』大阪ボランテ ィア協会 1 9 92

(6) 猪 山勝利 「健康増進 と生涯学習

長崎大学生涯学習教育研 究 セ ンター運営

委員会編 『 生活 ・地域か らの健康づ くり』大蔵省印刷局 1 995

ー 1

9 5

参照

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