NDC 536.9
浮上高さの低い(h/t≦3)周辺噴流の実験研究(第1報)
道満理正*三森太郎*
(昭和55年4月28日受理)
Experjmental research of peripheral jet in Low Lifting. (h/tE13) (Part 1)
Masatada DoMAN and Tar6 M!TuMoRi.
(Received April 28, 1980)
Air−floating devices and air curtains etc. are known as the applied technics of the peripheral jet, and in these cases height to jet thickness ratio h/t, where h is the height from a ground plate to a jet and t is a jet thickness,
has relatively high value. Because it is known that experimental results correspond to the Exponential theory and the Barratt theory in the high range of h/t. Reducing of h/t is possible on ground usage but many reports are not presented in the range of h/t,43.
So in this report experiment was undertaken with two dimensions model in the range of h/t L.(:3 and found that in the case of nondimensional power coefficient Cp theoretical computations didn t correspond to the experimental results, that it needed to find out the most optimum conditions by model.
1.緒 言
英国のホバークラフトSRN1がはじめてドーバー海峡を 横断したのは1959年だそうである。その間,ラムウイング 型,圧力室型,周辺噴流型等々いろいろな形式のA・C・V・
が開発,研究されて現在に至っている。こtsでは特に,周 辺ノズルから流出する噴流が境界面と噴流に囲まれた空間 に高い圧力場を作り,噴流自身轡曲して流れる周辺噴流型 A・C・V・を取り上げる。周辺噴流型A・C・V.はその現実的 な有用性からフレキシブルスカート,安定カーテンを発達 させ,更に側壁型A・C・V,,双胴船型A・C.V。へと開発が 進められている。しかし有用性に重点をおくこれらの研究 においては基礎的な現象の解明が不充分のまS,便宜的な 取扱いがなされている場合が少なくなくD,特にノズル幅 tに対する浮上高さhとの比h/tが大きいのが特徴で,
海上走行を目的としたものが多い。
ところがフランスでのアエmトランの実験2)のような浮 上高さの小さいh/t≦3の状態があまり解明されていな い。そこで鞘らは,ノズル幅30㎜の二次元鯉を作り
h/tが0.5〜3.0までを0.25きざみでノズルとグラウンド プレートとの角度θをh/tのそれぞれの値に対して45。,
600,75。,90。に変えて無次元圧力係数Cp,無次元流量係 tw C4,,無次元動力係数Cpを平衡状態で求めた。従来h/
t≦3で理論値と実験値が良く合うStanton−JonesのExpo・
neRtial theoryDとBarratt theoryi)と比較検討して次の結果 を得たので報告する。
2.実験装置及び実験方法
*機械工学科
2.三実 験 装 置
本研究に用いた装置の概略をFig.1に示す。周辺噴流実
験鑓1の二次元鯉は,ノズノ嘔30㎜下して三次元 流の羅を勘るため,長さを充頒く200㎜に取った。
ノズルaからの噴流とグラウンドプレートb,ボトムプレ ート。によりクッション室を形成して,噴流によりクッシ ョン室の圧力が外気より増大する。それ故,装置に歪の影 響酬ないように厚さ20㎜のアクリノレ板を全面的に使用
した。ノズル角度θは45。〜90。まで可変できるように,気 密が保持できるジャーナルが二つの側面板の中に嵌入され ている。またグラウンドプレートbは上下可動にしてノズ ルエッジからグラウンドプレートの高さhを変え得る構造
一13一
津山高専紀要第18号(1980)
にした。
圧力測定にはボトムプレート。に50㎜間隔で静圧孔
(0.5㎜φ)を12コ謝,グラウンドブ。レートにも同一孔 径,同一間隔で24コの静圧孔を設けた。ノズル出口におけ る全圧,静圧の測定は鰹1」㎜φ,全圧部孔径1㎜φ,
静圧部孔径0。3㎜鋤特製ピトー管を作り,0。5㎜ピッチ でトラバースさせるようになっている。これは外部の転輪 を回転させることによりラック&ピニオンの噛合いでラッ ク上に取付けたピトー管がノズル角度θにかsわりなくノ ズル出口の中心線上を噴流に対して直角にトラバースする ように作った。
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いて自由渦分布,ノズル部断面で全智は一定,ジェット運 動量一定,流線上で静圧が一定の仮定のもとにBarratt theoryが次式のように定義されている5)。
記号 Cp:無次元圧力係数 Ce:無次元流量係数 Cp:無次元動力係数
Pc:クッション室静圧(mmAq)
Pt:ノズル出口全圧 (mmAq)
h:浮上高さ (m)
t:ノズル幅 (m)
s:ノズル出口断面積 (m2)
θ:ノズル角度 (deg)
x:(t/h)(1十cose)=t/r ・4二揚力増大係数 1/(ゾx2+1−x)
P:空気密度 (kgs2/m4)
r:ゼット噴流の曲率半径 (m)
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1.ACY, Mode1
5, Strei 一Gage
a,N騒zzl已
d,Screen grid
2.Blovee 3, Scanner 4,Meneeneter
6, lndicator antp, 7, Electerenic pen−recorder
b, 6pDund ptane c, Bottom plane
8,S閣rge 電a胴k 「, DamFe「冊1鴨
Exponential theory
cp = llt;一 == i 一e一 2x
Q 1−eHX
Cq= sゾ忽
但し 噴流出口流量
1/ 7Pt h・ (i−e−x)
Q ==
1十cosθ
Fig.1 Arrangement of experiment.
2.2実 験 方 法
ノズル角度θを45。,60。,75。,90。の4種と,浮上高さ をh/t=・O.5〜3.Oまでを0.25間隔で11種の測定をレイノ ズル数1×104〜25×104の範囲で行い,ノズル出ロ圧力は ノズル幅の方向にピトー管を0.5㎜ピッチでトラバースし 約60点の圧力分布を調べ,ノズル中心部の値を代表値とし て計算に使用した。各測定点から測定器へは十ニチャンネ ルのスキャンナー3に自作六チャンネルのスキャンナーを 接続し,一台の超精密歪抵抗型圧力変換器5とベッツ型水 マノメーター4を並列に継ぎ,マノメーター側にコックを 入れて圧力変換器とこれに附随したアンプ,レコーダーを 補正しながら測定を行った。
3.理 論
各無次元係数は,空気を完全流体とみなし,ジェットの 曲率半径は各流線において一定,ジェット内の全圧は一定 と仮定してExponential theoryが,またノズル出口にお
・・一 i 1−e−x P−e−2x)3/2(1+cose)
Barratt theory
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P=
C
以上の理論式を用いて,.実験値を整理したものがFig.2
〜4である。
4.結果と考察
実験によって得られたデータから無次元圧力係数Cp,無 次元流量係tWCe,無次元動力係数Cpを算出してExponent−
ia1 theory, Barratt theoryによる各係数と比較した。
1)無次元圧力係数,Cpと1/xの関係をノズル角度を
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浮上高さの低い(h/t≦3)周辺噴流の実験研究(第1報)道満・三森
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1/x Fig.2 Relation between non−dimensional pressure coefficient and non−dimensional hover height.
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ficient and non−dimensional hover height.
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ig.3 Relation between non−dimensional flow coef−
ficient and non−dimensional hover height.
えたデータと両理論値の曲線とを比較した。理論的には
/xが0になるところ,即ちh=0ではノズルからの噴 は閉塞されて1になるが,3≧1/x≧0.5の範囲でx=
t/h)・(1+cosθ)とxのこのような性格をもとにして
ラフを検討すると,ノズルとグラウンドとの角度θが 5。のときは1/xが0.5〜1.6まではBarratt theoryに殆ん
一致しているが,1.6より大きくなるとやs小さい値を る。θが60Q,750のときは殆んどBarratt theoryに一致 ている。θが90。で1/x=O.5はBarratt theoryに沿っ いるがO.75〜2.5を過ぎるところではExponential theory 一致している。以上θ=60。,75。の場合はBarratt theory おける仮定がより実験値に近似している。
θが45Qのとき1/κが0.5〜L 6まではBarratt theoryに 致しているのも前記と同じ性格とみなすことができ,
0。,75。,のときもノズル出ロとグラウンドプレートとの 触部における運動量とジェットの運動量が比較的一致し
,ジェットの曲率半径のとり方が良く合うからである。
が90。のときは1/xが0.75よりExponential theoryの仮 に実験値が近づいたと考えられ,ジェットの各流線の曲 半径がほぼ一定である。
2.無次元流量係数 Cqと1/xの関係はFig.3に示す うにExponential theoryとBarratt theoryとが良く合っ いる。ノズルとグラウンドプレートとの角度θが45。,.
0。,750のときは両theoryの曲線に良く一致しているこ は前記1)で述べた同じ角度のBarratt theoryの仮定と 験値が比較的一致していることになり,ジェット運動量 定,ジェットの曲率半径一定のとり方がよく合うからで る。θ・=90。の場合には1/x=O.5〜1.5までは両theory りやN低い値をとり,2以上で両theoryに近似してい
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ることは1/x=0.5〜1.5の範囲でジェットの各流線の曲 率半径が両theoryに比較して小さい値をとり,実験値の データの方が理論値より縮流をなす効果があると考えられ
る。
3.無次元動力係数 ノズル出口の噴流のエネルギーと 周辺噴流のエネルギーの比で,Cpは周辺噴流装置のノズ ル角度θで浮上高さhを保つため浮上に要した動力の効率 をあらわす。Cpと1/xの関係をFig.4に示す。いつれも 0.25≦1/x≦3の間にCpminのところがあり,各角度に 対し理論値と同様の傾向がある。
θ=45。のときは,1/x =・O.・75,h/t=1.45でCpmin=
O. 51に対し理論値はExponential theoryで1/x=1.40,
h/t=2.39,Cp min=0.45, Barratt theoryで1/x=
1.5,h/t=2.56, Cpmin=0.46とCpminの値が実験値 より高い浮上高さのところで低い。θ==60。のときの実験値 では1/∬=0.80,h/t篇1.20でCpmin =O. 54に対して Exponential theoryでは1/x=1,40, h/t=2.10, CP min ・O.52, Barratt theoryでは1/κ騙1.50, h/t=
2,40,Cpmin=O.53となり,低い浮上高さのところで少し 大きい。θ=75。のときの実験値では1/x=1,h/t=
1.26,C1)min=0.64で, Exponential theoryの1/x=
1.40,h/t=1.76, Cp min=O.62と, Barratt theoryの 1/x=1・60,h/t=2・01, CPmin=0.64の間にありいず れも1/xの低いところにある。θ=90。のときの実験値で は1/x=2.10,h/t=2.10, Cp/min=0.69で, Expo−
nential theoryの1/x=1.44, h/t=1.44, Cp min=
0.78,Barratt theoryのi/劣=1.65, h/t=1.65, Cp min=0.97と比較すると二つの理論値に対していずれも低 い浮上高のところでCp minの値が低い。θが小さい45。で は実験値が理論値より大き.く,θが大きくなるとその差は 減少して,θ=90。では逆に理論値より小さくなりその差が 拡大している。またCpminは1/x, h/tの値が理論値 に比べ,どの角度においても小さいところ,即ち低い浮上 高さのところにあり,実験値と理論値との違いが可成りあ ることがわかる。このことはCpそのものが動力の効果を 表わすので,空気の粘性による損失が相乗的に作用して,
その影響による実験値と理論値の違いが顕著にでてくるの である。h/t≦3のような低い浮上高のときはCpについ て理論値を適用することは動力計算の点で大きな誤差を生 ずると言える。
Barratt theoryとのひらきは大きくないので両theoryを 採用しても大きな違いはない。
2)無次元流量係数Cqについても1)と同様のことが言
える。
3)無次元動力係数Cpについては両theoryとのひらきが あるので実験値を採用した方が良い。
以上に基づいてh/t≦3の周辺噴流型A.C・V・を計画す るにあたって,その使用目的,使用条件により次のことが 言える。
1)浮上に要する動力損失をあまり問題にせず,ペイロ ードの大きなA・C・V・の計画のときにはExpone皿tial theory,
Batratt theoryによる計算値を採用しても差:支えない。
2)浮上に要する動力の効率の良い事を目的とした計画 の場合はCpの最も低い箇所を選び,それに対応するh/t,
θを選ぶようにすべきである。
3)1),2)の条件を同時に考慮しなければならないと きは両条件に対して,ペイm一ド,A.C.V・の自重,浮上 の条件,機体の大きさ,縦横の長さ,浮上の動力源のパワ ー等よりCp, Cq, Cpの最適条件を決めて具体的にA・C・V・
の計画をしなければならぬ。
本研究は周辺噴流の未だ充分に知られていない分野に対 しての調査をしたのであるが,ノズル内の速度分布,クッ ション室内のはく離点呼に関しては今回ふれていないが,
今後ともその分野に対する調査を進めたいと思う。
終りに,本実験研究に終始ご指導ご助言を賜わった大阪 府立大学工学部教授,宮井善弘工学博士と同研究室の安富 善三郎工学博士に厚くお礼申し上げるとともに熱心に協力 頂いた本校卒業生に深く感謝いたします。
参 考 文 献
1)川野洋典,A.C.V.の研究,12−2,1979,16 2)中山泰喜,A.C.V.ニュース,4−4,1970,12〜16
3) Stanton−Jones, R. 1.A.S. 1961 Paper 61−45 4 ) Barratt M.J. Tech. Memorandum 1961 HDL/61/115 5)安富善三郎,宮井善弘,Curtain・jetの性質 unpublished 2ev6
5.む す び
h/t≦3の周辺噴流の特性をノズルとグラウンドプレ ーとの角度について調査してExponential, Barratt,両 theoryと比較検討をしたが,その結果次のことが言える。
1)無次元圧力係数CpについてはExponential theoryと
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