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学 位 論 文 内 容 の 要 旨
論 文 提 出 者 葛島 康平
論 文 審 査 委 員
(主 査)朝日大学歯学部 教授 北井 則行
(副 査)朝日大学歯学部 教授 江㞍 貞一
(副 査)朝日大学歯学部 教授 田沼 順一 論 文 題 目
軟骨石灰化不全ラットにおける下顎頭軟骨の形態学的ならびに分子生物学的検索
論文内容の要旨
【目的】下顎頭軟骨は軟骨表層部に特有の線維層を有し,長管骨の関節頭軟骨や頭蓋底軟骨の形 態学的な特徴とは異なる.軟骨細胞の成熟は,Indian hedgehog (Ihh)-Parathyroid hormone-related
protein (PTHrP)シグナルのネガティブフィードバック機構により軟骨細胞の増殖と肥大化が制御
されている.全身における未熟な軟骨や低身長を示すSD
ラット由来の自然発症型軟骨石灰化不全(CCI)ラットが
Tanaka
らにより確立された.これまでの兄妹交配よりCCI
ラットが約25%の頻
度で誕生することから,相同染色体のホモ接合により形質発現を示す常染色体劣性遺伝性様式を とると予測されている.また,胎生致死ではないため生後の変化を観察できる.そこで本研究で は,生後2週齢のSD
ラットとCCI
ラットを用い,下顎頭軟骨の形態的発育異常とこれに関連す る分子を明らかにすることを目的とした.【材料と方法】生後2週齢の雌
SD
ラットとCCI
ラット(各20
匹)を10%
ホルマリンで灌流固 定後,下顎頭を含む顎関節領域を摘出し,10%EDTA脱灰液を用い,4℃で10
日間脱灰した.そ の後,矢状断方向で厚さ4μmのパラフィン切片を作製し,一部はNucleoSpin® total RNA FFPE
を 用いてtotal RNA
を抽出した.形態学的検索は,Hematoxylin-Eosin (H-E) 染色とSafranin O/Fast Green(SOFG)染色にて,下顎頭軟骨における軟骨組織や軟骨細胞の成熟について観察を行った.
軟骨内骨化における破骨細胞数は,
TRAP
染色にて計測した.また,軟骨細胞の増殖活性は,予め 腹腔内投与した5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)の免疫染色と染色体ヌクレオソーム構成タンパク
をエンコードするhistone4C(H4C)mRNA
のin situ hybridization(ISH)にて検索した.下顎頭軟
骨の成熟は,Ihh-PTHrPシグナルに関与するIhh
とGLI family zinc finger 1(Gli1)mRNA
の発現をISH
にて組織学的に検索し,Real time PCRを行った.【結果】H-E染色と
SOFG
染色において,SDラットと比較して,CCIラットでは,軟骨長径と幅 径の増加,細胞の配列異常ならびに軟骨基質の分布異常が認められた.TRAP 染色陽性の破骨細 胞数は,石灰化した軟骨直下部においてSD
ラットとCCI
ラット間で有意差は認められなかった.BrdU
免疫染色とH4C mRNA
のISH
において,広範囲の増殖軟骨細胞層にBrdU
陽性細胞とH4C
mRNA
の局在が認められた.2
また, Ihhと
Gli1 mRNA
のISH
において,Ihh mRNAの局在は,SDラットでは前肥大軟骨細胞層 に認められたのに対し,CCI
ラットでは,前肥大軟骨細胞層から線維層にかけて認められた.一方,Gli1 mRNA
の局在は,SDラットでは肥大軟骨細胞層から前肥大軟骨細胞層にかけて認められたのに対し,
CCI
ラットでは肥大軟骨細胞層から線維層にかけて認められ,特に増殖軟骨細胞層におい て強い局在が認められた.IhhとGli1 mRNA
のReal time PCR
においては,CCIラットではいずれ の分子も有意に高い発現量が認められた.【考察】CCIラットにおける形態学的検索から,軟骨幅の増大,軟骨細胞の配列異常および軟骨基 質の分布異常を示すことが考えられる.TRAP 染色の結果から,SD ラット,CCI ラットともに破 骨細胞による吸収は同等に行われていると考えられる.BrdU免疫染色と
H4C mRNA ISH
の結果か ら,下顎頭軟骨における軟骨細胞の過剰増殖が起きていることが考えられる.また,CCIラットにおける
Ihh
とGli1 mRNA
の検索から,両分子の過剰発現と発現局在の異常が考えられる.特に,前肥大軟骨細胞層から線維層における両
mRNA
の過剰発現は,増殖軟骨細胞が過剰増殖して,軟骨 細胞の供給源が増しただけでなく,その後の成熟がIhh-PTHrP
シグナルのネガティブフィードバッ ク機構によって抑制された結果であり,Real time PCRによる発現量からもこれを裏付けることが できると考えられる.【結論】CCIラットの下顎頭軟骨は,軟骨細胞の過剰増殖により下顎頭軟骨が増大し,一方で軟骨 細胞の成熟が遅延することで下顎頭軟骨の成長が遅延すると考えられる.この発症機序に