• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) イ ダ バ グ ス ワ ヤ ン グ ナ ム

    学 位 論 文 題 名

    Biodesulfurization of Dibenzothiophene and Its Derivatives by an Isolate; SphiTzg07noTzas subarctica T7b     ( 分 離 株 Sphingomonas subarctica T7bに よ る     ジ ベ ン ゾ チ オ フ ェ ン お よ び そ の 誘 導 体 の 脱 硫 )

学位論文内容の要旨

    石油は、使用しやすく高カロリーで、欠かすことの出来ないエネルギー源として世界 中で使用されているが、その欠点のーっとして、硫黄分を含有するため、燃焼によって硫 酸イオンを生じることである。大気中に放出され酸性雨を発生するだけでなく、内燃機関 の劣化の加速が進み、さらにヒトの健康への影響も懸念されている。石油精製において脱 硫は、重要な技術課題であった。現在、最も広く用いられている脱硫方法は、水素添加脱 硫で高温下で触媒で反応を進行させている。この方法でほとんどの量のイオウ成分は、除 去できているが、それでも残留するイオウがある。残留しているイオウは、環状化合物な どの化学反応でも分解しづらい諸々の含硫化合物として存在している。さらなる脱硫のた め に は 、 貴 金 属 性 触 媒 の 寿 命 の 短 縮 を 伴 う よ り激 し い反 応 条件 が 要求 さ れる 。   そこでバイオ脱硫の可能性が浮上して、水素添加脱硫で反応しづらい含硫多重環状化合 物などの分解に期待が持たれた。本研究でのターゲットを軽油に絞ってバイオ脱硫を研究 した。軽油は、ジーゼル車の燃料として用いられ、排ガスは都市公害の原因のーっとなっ ており脱硫の要求は大きい。市販されている軽油は、脱硫されたものであるが、ガスクロ マトグラフィーでの分析では、多数のイオウを含んだピー.クが多数観察され、脱硫処理で きなかった化合物が多数含んでいることが判る。

1.脱硫微生物の探索

  本研究では、土壌サンプルから微生物を単離して、軽油から含硫化合物を分解して脱硫 する活性のある微生物を選択した。硫化化合物を特異的に検出できるADE検出器を備えた ガスクロマトグラフイーで軽油を分析すると、明瞭なピークとして検出され同定できる化 合物のほかに、多数の不明瞭な含硫化合物が検出できる。その面積はかなりの量となる。

このことは、特定の硫化物をモデル化合物として設定して、脱硫微生物を探索しても、実 際の応用には、問題を残すことになる。そこで、我々は、より広い範囲の硫化物を基質と

(2)

し て、脱硫 微生物の 探索に当たった。具体的には、市販軽油をアルミナカラムを通塔して、

吸 着される 画分をイ オウ源の 基質とし た培地でサ ンプルか ら集積培 養を行っ た。含硫化合 物 のみを濃 縮する方 法は無い ので、本 画分には、 含硫化合 物のほか に炭化水 素類も含まれ て いた。ま た本画分 は、水に は溶けな いので、有 機溶媒と してテト ラデカン に溶かして集 積 用の液体 培地の上 に乗せた 。

  サ ンプルは 、種々の 地域から 集めた土 壌であり、 北海道の 中でも原 油の出る 地域である 豊 富 町 から も 多数 の 土 壌サンプ ルを収集 した。土 壌サンプル167を個別に 集積培養 して、

テ トラデカ ン層に含 まれる含 硫化合物 が減少した 区を選択 し、さら に集積培 養を行い、最 後 に寒天培 地に集落 を形成さ せて単菌 を得た。軽 油を酸化 アルミの カラムを 通して含硫化 合 物を含む く画分を 濃縮した 。その濃 縮画分を共 存する環 境で微生 物を培養 し、油層から の 硫黄濃度 が減少し た微生物 を選択し た。北海道 の中でも 原油の出 る豊富町 の土壌サンプ ル の中に、 目的の微 生物が存 在した。 数種の微生 物が、脱 硫活性が あると判 定され、その 中 で 最 も活 性 の高 か っ たT7b株 を 同定 し た。 菌 の 形態 、生理学的 性質及び16SrRNAの塩基 配 列 よ り 駟hingomonas subarcticaと 同 定 さ れ 、Ssubarctica T7b株 と 命 名 し た 。

2.  Sphin.goMD門甜ぷめロ朋ffcロT7bの特性試験

  バイオ脱 硫として は、すで に石油脱 硫微生物は 報告され ている。 その中で も脱硫活性が 高い尺轟DあcDccD恥属微 生物、なかでも報告の多いR.Pヴめ卿Drおを用いて、性能比較を行 っ た 。 そ の 結 果 、 S. ぷ め ロ 朋 ffcロ T7bの 有 用 な 特 徴 が 明 ら か と な っ た 。   軽油中の 硫黄化合 物をガス クロで検 出知るとdibenZ0thiophen(DBT)が、最 も高いピー クと し て 検出 さ れる 。 軽 油と 培 養液 の2層 系 での 脱 硫処理を 行うと、DBTの脱硫に 関して は、R.Pッ崩′叩〇′むKA2‐5.1株を用いてもSs甜6ロ朋灯cロT7b株においても、すみやかに脱硫 され た 。 両株 の 違い が 見 られ た のは 、 ア ルキ ル 化 され たDBTお よ ぴbenZomiophen(BT) の脱硫であった。より長い鎖長のアルキル基の修飾がある基質については、Ss 6ロ問ffcロT7b 株においてのみ脱硫が起こっていた。特に4,6‐dipropylDBT、4,6‐dibutylDBT、4,6‐dipentyl DBT、4‐hexylDBT、2.dodecylBT、および7.dodecylBTに関しては、R.¢り´脇pp〇rむKA2‐5−1 では、全く脱硫できなかったが、&s甜6ロ朋ffcロT7bでは、可能となっていた。&sめ鮒ガcロT7b は、従来 報告のあ る脱硫微 生物の中 でより広い 基質特異 性を備え た微生物 であった。しか も、それ ぞれの基 質を単独 に試験し た場合およ びすべて を混合し た場合で も脱硫性能を発 揮した。 一方、脱 硫は、他 の硫黄源 があった場 合、即ち 硫酸イオ ン、メチ オニンあるいは シスチンが存在すると大幅な阻害を受けた。

  脱硫によ って生成 される化 合物につ いて調べた ところ、Gibb s反応に陽性の物質が精製 されてお りGC‐MS分析 で2‐hydroxybiphenylと同定した。このことは、本株の脱硫機序は、

R轟Dあc〇ccD甜s属などで 知られている4S系あるいは、IGTS8を経由して脱硫されていると予 想される 。アルキ ル基が、 付いたま まこれらの 系を通過 するのか 、最初に 側鎖が分解され るのかは、まだ不明である。

(3)

3.S subarctica T7bを用いたジャー培養による脱硫試験

  ジ ャー フ ァー メ ンタ ー を 用い てpH制 御した 培養をとも なう脱硫処 理を行った 。S subarcticat T7bの生育は、pH 7.0制御では、pH 6.0区と比べ大幅に高くなった。しかし、脱 硫率は、pH 7.0制御とpH 6.0制御区で大きな差が見られず、72時間の培養後の脱硫率は、

pH 7.0制 御で約68%、pH 6.0では60%であった。生育量あたりの脱硫率を考えると、

pH 6.0制御区の方が高いことになる。R.erythroporis KA2‑5‑1の脱硫処理上の問題点のーつ として軽油と培地の界面に菌体と混合した分離の面倒な層ができるが、S subarcticat T7b では、その層はより軽度なものであった。

4.  固定化菌体法による脱硫試験

  S subarctica T7bの培養菌体を緩衝液中で脱硫反応をさせたところ反応は進行し、特徴的 な基質特異性も保たれていた。このことから固定菌体法を試みた。工業的には、培養系よ りも固定化菌体化したカラムなどを通塔させて脱硫する方が合理的である。S subarcticat T7bを種々の素材で固定化菌体を作成して脱硫性能を調べた。アルギン酸を用いた系では、

耐久性が悪かったが、ポリビニールアルコール類では、繰り返し使用に耐える固定化菌体 を作ることに成功した。濃度や粒子径を検討し、より効率に脱硫できる固定化菌体を試作 し、培養系に匹敵する脱硫と、10回の繰り返し使用を確認した。

(4)

学位論文審査の要旨

    学 位 論 文 題 名

    BiodesulfuriZationofDibenZOthiopheneand

ItSDeriVatiVeSbyanISOlate;5ク カf移 ≦pケ銘 〇 刀C硲S釘み ロ 〆CガC口T7b

( 分 離 株SPhingomonas subarctica T7bによ る ジ ベ ンゾ チ オ フェ ン お よび そ の誘 導 体 の脱硫 )

  本論文は 、7章から なり、図32、表10、文献141を含む総頁数132の日本語論文である。

別に参考論文1編が付されている。

  本論文は、石油中の環状硫黄化合物中でもジベンゾチオフェン(DBT)およびその誘導体を バイオ脱硫によって分解することに関している。水素添加脱硫で反応しづらい含硫多重環状 化合物などの分解が課題である。本研究でのターゲットを軽油に絞ってバイオ脱硫を研究し た。軽油は、ジーゼル車の燃料として用いられ、排ガスは都市公害の原因のーっとなってお り脱硫の要求は大きい。市販されている軽油は、脱硫されたものであるが、ガスクロマトグ ラフイーでの分析で多数のイオウを含んだピークが観察され、脱硫処理しきれなかった化合 物が多種類含んでいることが知られている。

1.脱硫微生物の探索

  本研究では、土壌サンプルから微生物を単離して、軽油の含硫化合物を脱硫できる微生物 を選択した。軽油でも多数の含硫化合物が存在するので、特定の硫化物をモデル化合物とし て脱硫微生物を探索しても、実際の応用には問題が残こる。そこで、我々は、より広い範囲 の硫化物を基質として、脱硫微生物の探索に当たった。具体的には、市販軽油をアルミナカ ラムに通塔して、吸着画分をイオウ源とした集積培養を行った。含硫化合物のみを濃縮する 方法は無いので、本画分には、含硫化合物のほかに炭化水素類も含まれていた。また本画分 は、水に不溶なのでテトラデカンに溶かして集積培地に加えた。

  サンプルは各地から集めた土壌サンプル167を個別に集積培養して、テトラデカン層に含 まれる含流化合物が減少した区を選択し、さらに集積培養を行い、最後に寒天培地に集落を 形成させて単菌を得た。北海道の中で石油の出る豊富町の土壌サンプルに、目的の微生物が 存在した。数種の微生物に脱硫活性がある、その中で最も活性の高かったT7b株を同定した。

菌の形態、生理学的性質及び16SrRNAの塩基配列よりSphingomonas subarcticaと同定され、

S.subarctica T7b株と命名した。

    ー1348 ‑

蔵 篤

行  

  輝

野 田

淺 横

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

2.昂カingomonas subarctica T7bの特性試験

  す で に 石 油 脱 硫 微 生 物は 報告 され てい る。 中で も 脱硫 活性 が高 いRhodococcous属 微生 物と の性能比較を行い、S. subarctica T7bの有用な特徴が明らかとなった。

  軽油 中の 硫黄 化合 物を ガス ク ロ、 で検 出知 るとdibenzothiophen (DBT)が、 最も 高い ピーク と し て 検 出 さ れ る 。 軽 油 と 培 養 液 の2層 系 で の 脱 硫 処 理 を 行 う と 、DBTの 脱 硫 に関 して は、

R. erythroporis KA2‑5‑1株を用いてもS.subarctica T7b株においても、すみやかに脱硫された。

両 株 の 違 い が 見 ら れ た の は 、 ア ル キ ル 化 さ れ たDBTお よ ぴbenzothiophen(BT)の 脱 硫 で あ っ た。 より 長い 鎖長 のア ルキ ル 基の修飾がある基質について は、S.subarctica T7b株に おいて のみ脱硫が起こった。特に4,6‑dipropyl DBT、4,6‑dibutyl DBT、4,6‑dipentyl DBT、4‑hexyl DBT、 2‑dodecyl BT、 およ び7‑dodecyl BTに関しては、R.erythroporis KA2‑5‑1では全く脱硫 できな かったが、S.subarctica T7bでは可能であ った。ぷ.subarctica T7bは、既知の脱硫微生物の中 で 最 も 広 い 基 質 特 異 性 を備 えた 微生 物で あっ た。 し かも 、そ れぞ れの 基質 を単 独に 試験 した 場 合 も す べ て を 混 合 し た場 合も 脱硫 性能 を発 揮し た 。一 方、 脱硫 は、 他の 硫黄 源が あっ た場 合 、 例 え ば 硫 酸 イ オ ン 、 メ チ オ ニ ン あ る い は シ ス チ ン が 存 在 す る と 大 幅 な 阻 害を 受け た。

  脱硫 によ って 生成 され る化 合 物に つい て調 べた とこ ろ、Gibb s反 応に 陽性 の物 質が 生成さ れ て お りGC‑MS分 析 で2‐hydroxybiphenylと 同 定 し た 。 こ の こ と は 、 本 株 の 脱 硫 機 序 は 、 Rhodococcous属 な ど で 知 ら れ て い る4S系 あ る い は 、IGTS8を 経 由 し て 脱 硫 さ れ て い る と 予 想 さ れ る 。 ア ル キ ル 基 が、 付い たま まこ れら の系 を 通過 する のか 、最 初に 側鎖 が分 解さ れる のかは、まだ不明である。

3.  固 定化 菌体 法に よる 脱硫 試験

  S.subarctica T7bの 培養 菌体を増殖を伴 わない緩衝液中でも脱硫反応は進行し、広い基質特 異 性も 保た れて いた 。S. subarcticat T7bを種々の素材で固定化菌体を作成して脱硫性能を調 べ た 。 ポ リ ビ ニ ー ルア ルコ ール 類で は、 繰り 返し 使用 に耐 える 固定 化菌 体 を作 るこ とに 成功 し た。 濃度 や粒 子径 等を 検討 し、 培養 系に 匹敵 する 脱硫 と、10回の繰り返し使用を確認した。

  以 上 の よ う に、 本研 究は 軽油 の微 生物 脱 硫に おけ る新 たな 可能 性を 切り 開く ため の基 礎と な る 重 要 な 知 見 を 与 え る も の で あ る 。

  よ っ て 審 査 員 一 同 は , イ ダ バ グ ス ワ ヤ ン グ ナ ム が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

1349

参照

関連したドキュメント

*ホバークラフト 記念祭で,幼稚 園児や小学生を乗 せられるものを作 ろうということで 始めた。右写真の 上は人は乗れない

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

 第一の方法は、不安の原因を特定した上で、それを制御しようとするもので

また、学位授与機関が作成する博士論文概要、審査要 旨等の公表についても、インターネットを利用した公表

「日本国憲法下の租税法律主義については,立 法過程での権力の乱用,つまり議会の課税立法 権を制約する実体的な憲法原理 0 0 0 0 0 0 0

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

報酬で強制脱会活動を手助けしたりしていた。ディプログラミングは、1

横断歩行者の信号無視者数を減少することを目的 とした信号制御方式の検討を行った。信号制御方式