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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

CYPを阻害するフラノクマリン、ベンゾフランおよ びクマリン誘導体の合成とCYP阻害メカニズムに関 する研究

著者 山口  由基

学位名 博士(薬学)

学位授与機関 北海道医療大学

学位授与年度 平成25年度 学位授与番号 30110乙第108号

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00006644/

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学 位 論 文 要 旨

CYPを阻害するフラノクマリン, ベンゾフランおよび クマリン誘導体の合成とCYP阻害メカニズムに関する研究

平 成 2 5 年 度

北 海 道 医 療 大 学 大 学 院 薬 学 研 究 科 山 口 由基

[目的] CYP3A4はヒト肝臓に発現するCYPのうち最多の30% を占める分子種であり, 幅広

い基質認識性を示すことからCYPで代謝される医薬品の30 ~ 50% をCYP3A4が担う. 従って,

CYP3A4 により代謝される多くの薬物と CYP3A4 阻害剤との相互作用が明らかとされている.

CYP3A4 活性を阻害する食物として挙げられるグレープフルーツジュース (GFJ) に関しての

研究から, フラノクマリン誘導体であるベルガモチン (1) やパラジシンA (2) が医薬品代謝阻 害の原因物質として同定されている. 一方, CYP2A6は, 代謝を行う医薬品がテガフールおよび ニコチンなど数種類に限られることから, 薬物代謝における重要性が低いとされている. また, 活性欠損遺伝子も発見されており, その保有者は喫煙由来の口腔がん罹患率が低いことが明ら かとされている. 加えて, CYP2A6活性の低いヒトでは, 喫煙により体内に取り込んだニコチン の代謝が遅くニコチンの血中濃度が長時間維持される為, 通常のCYP2A6活性を有するヒトと 比較すると新たな喫煙を必要とするまでの時間が長いことも明らかとされている.

本研究では, フラノクマリン誘導体によるCYP3A4活性の阻害に対する構造活性相関研究を

行った. さらに, 選択的な CYP2A6 阻害剤の開発すなわち禁煙補助薬および発がんリスク軽減

薬の開発を目的とした.

[方法] CYP3A4阻害メカニズムにmechanism based inhibition (MBI) を有するGFJ含有フラノ クマリン誘導体1 (CYP3A4 IC50: 4.5 ~ 22.0 µM) および2 (CYP3A4 IC50: 0.07 ~ 0.09 µM) をリー ド化合物として新規フラノクマリン誘導体5, 6を合成した (Fig. 1, 2). 加えて, 合成した誘導体

の CYP3A4 に対する阻害活性の測定を行い, CYP3A4 阻害活性に必須な構造の探索を行った.

CYP2A6阻害による新規禁煙補助薬の開発には, 3 (CYP2A6 Ki: 0.80 µM, CYP3A4 Ki: 25.0 µM) および4 (CYP2A6 Ki: 0.84 µM, CYP3A4 IC50 > 100 µM) をリード化合物として新たな化合物5, 7 および8を合成した (Fig. 1, 2). 加えて, 合成した誘導体のCYP2A6に対する阻害活性の測定に より, 強力かつ選択的なCYP2A6阻害剤の探索を行った.

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[結果・考察] 合成した誘導体とCYP3A4阻害活性との構造活性相関を行った (Fig. 3). 9-ゲラ ニロキシフラノクマリン (9) は, CYP3A4阻害作用 (IC50: 0.18 µM) を示し, そのCYP3A4阻害 メカニズムにMBIを有することから, フラノクマリン単量体1の等価体としての可能性を有し て い る. さ ら に, CYP3A4 阻 害 様

式に MBI を有するカプロン酸エ ステル誘導体10がCYP3A4 IC50: 0.08 µMを示したことから, 1の等 価体としての可能性が示唆された.

加えて, 10類似構造のフラノクマ

リン単量体5種は, 2と同程度のCYP3A4阻害剤であることが明らかとなった. 側鎖にカプロン 酸エステル構造を有することで阻害能が増大したと考えられる. さらに, フラノクマリン二量 体11 (CYP3A4 IC50: 0.03 µM), 12 (CYP3A4 IC50: 0.02 µM) は2よりもさらに強力にCYP3A4を阻

害し, MBIを有することが明らかとなった. フラノクマリン誘導体とCYP3A4との構造活性相

関研究の結果, 1の等価体としてフラノクマリン単量体10種を見出した. 加えて, 2の等価体と してフラノクマリン二量体 7 種の探索合成を達成した. 今後, 簡便に合成可能なこれらの誘導 体を組み合わせることにより, in vitroまたはin vivoの実験系において, 医薬品とGFJまたはフ ラ ノ ク マ リ ン 類 と の 相 互 作 用 測 定 が 可 能 と な る. ま た, 入 手 困 難 な フ ラ ノ ク マ リ ン 類 に よ る

CYP3A4阻害に関して詳細なメカニズム解析のツールとしても期待がかかる.

合成した誘導体30種あまりとCYP2A6阻害活 性との構造活性相関を行った (Fig. 4). CYP2A6と の親和性の増大を期待し4をリード化合物として 合成した 13 (CYP2A6 Ki: 0.45 µM, CYP3A4 Ki:

12.5 µM) は, CYP2A6 に対しての阻害活性は増大

せ ず, 期 待 に 反 し て CYP3A4 に 対 し て の 阻 害 活 性 が 増 大 す る 結 果 と な っ た. 化 合 物 13

CYP3A4 に対して非競合阻害を示した為, 化合物を取り込む際に重要な働きをするとされてい

るフェニルアラニンクラスターと π-スタッキングすることで CYP3A4 の基質取り込みを阻害 したものと推察される. また, クマリン誘導体14 (CYP2A6 Ki: 0.08 µM, CYP3A4 Ki: 424.0 µM) は, CYP2A6 に 対 し て 極 め て 選 択 的 で 強 力 な 阻 害 剤 で あ り な が ら MBI を 示 さ な い こ と, 15 (CYP2A6 Ki: 0.01 µM, CYP3A4 Ki: 46.60 µM) は選択的で非常に強力なCYP2A6阻害剤であるこ とが明らかとなった. 化合物15はCYP2A6に対してMBIを示したことから, 14よりも強力な

CYP2A6阻害作用を示した物と考えられる. 本研究により, これまでに開発された CYP2A6 阻

害剤よりも強力で選択的な阻害剤の開発に成功した. 長期的に使用される医薬品は他の薬物の 体内動態に影響を与えないことが望まれている為, 本研究での知見をもとに, 薬物相互作用を 誘発しにくい喫煙による発がん予防薬や禁煙補助薬の開発が期待される.

参照

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