︿ 論 説 ﹀
ア メ リ カ 会 社 法 に お け る 会 社 の 機 会 の 理 論 の 新 展 開 O
黒 木 松 男
1
第 第 第 第 第 第 第 第 第
輩金轟 葦肇 墾 董墾 笙轟
節 節 節 節 節 節
目次
序論
判例法における会社の機会の理論の展開
会社の機会の理論の意義
会社の機会の理論の伝統的適用基準
二段階ア︒フローチ(以上本号)
会社の機会の理論と公開会社・閉鎖会社
公開会社と閉鎖会社への適用の区別の必要性
会社の機会の理論の閉鎖会社への適用
会社の機会の理論の公開会社への適用
諺口による会社の機会の理論の分析と勧告
会社の機会の理論と社外取締役
会社の機会の理論と親子会社
会社の機会の理論と支配的株主
会社の機会の理論と日本法との関係性
結論
第 一 章 序 論
アメリカ会社法上︑会社役員および取締役は︑会社に対し受任者としての忠実義務(臨身oす越量畠oh一〇図9︒一身)
を負っているが︑この忠実義務違反の類型は︑いくつかに分類することが可能である︒すなわち︑ω会社との競業取
引(ooヨ冨菖昌σqげ⊆ω言$の鼠けゴ夢Φ8愚o冨訟8)︑ω会社の機会の奪取(岳⊆愚鋤江oづoh8唇o冨けΦo薯o含ロ巳量)︑
㈹会社との利益相反取引(げ蕊ぎΦ器ヨく9<ぎσqgoo廷ぎけohぎ8冨警)︑ω内部者取引(言ω置霞曾9α言σq)︑⑤少数
株主への抑圧(ob崔①ω︒・δ昌oh日ぎo暮図警舘導o匡霞︒︒)︑㈲支配権の売買(℃霞︒げ9︒ωΦo同の巴①oho8け8一)などであ
ユ る︒これらの違反類型のうち︑本稿では︑会社の機会の奪取を取り上げる︒この会社の機会の奪取を規制するために
判例法上考案された理論が︑会社の機会の理論(8弓o蜜80薯o答二巳け気α09二器)である︒
同理論は︑次章以降で詳しく触れるように︑アメリカの判例法のなかで生成し︑今日までその理論が積み上げられ
てきている︒また︑アメリカの会社法学者の間でも同理論についての活発な論議がなされている︒さらに︑アメリカ
法律協会(﹀巳90きい9≦ぎω馨暮①場以下﹀目と略称する)でも︑﹁コーポレート.ガバナンスに関する諸原則︑
分析と勧告︑試案その三﹂のなかで︑会社の機会の理論に関するひとつの公式を発表して以来︑その検討を継続して
ハヨ きた︒これに対し︑わが国では︑この会社の機会の理論について紹介されることはあっても︑同理論がわが国の判例
や学説に大きな影響を与えることはあまりなかった︒
その理由としてつぎのような点が考えられるであろう︒第一に︑わが国では︑適切妥当なコーポレート.ガバナン
スが行われていなかったという事実の存在である︒近年︑世界的な潮流としてコーポレート.ガバナンスに関する議
論がなされているが︑先進諸国のなかに数えられるわが国としては︑その中でも代表取締役社長に対するチェック機
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能が十分に働いていないのが実情であろう︒いわゆるサラリーマン取締役やサラリーマン監査役の存在による取締役会の業務監査機能の低下︑個人株主の減少・株式の相互保有の進展による法人株主の増大から生ずる株主総会の無機
能化︑また︑総会屋の暗躍による株主総会の形骸化︑以上のことなどから代表取締役社長および主要な役員は︑ワン
マン体制を引くことが容易になり︑または︑その責任を追求されるケースがそれほどないという状況に安住すること
ができた︒しかし︑このような状況は確実に変化してきている︒バブル経済の崩壊以後︑企業グループ内の株式の相
ア ら 互保有状況は弱まる傾向を示しており︑総会屋との関係を断ち切ろうとする兆しも見え始めている︒また︑経営者の
トップが行った様々な金融・証券・建設の不祥事件の頻発によって︑トップの悪事に会社の各機関がなんらものを言
えなかったという状況が露呈し︑わが国のコーポレート・ガバナンスのあり方が見直されるようになった︒それも単
に国内的な非難だけではなくて︑日米構造問題協議の毎年のフォロー・アップという外圧的非難の的にさらされてい
ることから︑その改善はある程度確実なものにならざるをえなくなった︒それ故︑平成五年の会社法改正は︑わが国
のコーポレート.ガバナンスを}歩進める意味で︑社外監査役制度の導入︑監査役会の法制化および株主代表訴訟制
度の改善を達成している︒さらに︑実際に大型の株主代表訴訟が数多く提起され︑経営者のトップの責任を追求する
ア 動きが現実化している︒このような状況からすると︑今後経営者のトップの責任を追求するケースが増加し︑その責
任の中身についての検討が今まで以上に必要となってくるであろう︒その意味で︑わが国においても忠実義務違反の
類型化に本格的に取り組む時が到来しているように思われる︒この会社の機会の理論の考察もその類型化の一つの試
みと考えられるであろう︒
第二に︑わが国特有の企業風土が考えられよう︒わが国の企業風土の特徴は︑終身雇用と年功序列型賃金体系にあっ
た︒その企業に勤めるということは︑厳密には︑就職ではなく就社であって︑一生その会社とともに運命を共にする
ということであった︒そのような状況においては︑会社に対する忠誠心と会社からの保護の期待が精神的支柱となり︑
会社に対し善かれと思うことはしても︑害悪を加えようとは決して思わない︑また︑会社も︑本人およびその家族の
ことを丸抱えで一生面倒をみることになる︒この日本的あるいはアジア的と言ってもいいかもしれない会社への強い
帰属意識が顕著な特徴を形作っているといえよう︒しかし︑このような美風が次第に崩れつつあるのが現実であろう︒
日本経済の長期的沈滞化と産業構造の空洞化がその主要な原因であろうが︑会社への帰属意識が徐々に緩み始めてい
るように思われる︒したがって︑会社に害悪を加える︑たとえば︑本来会社の利益となるはずのものを自己のために
奪ってしまおうと思うような経営者も増えてくる可能性が今までよりもあるであろう︒これも︑会社の機会の理論を
はじめとする忠実義務違反の規制がより必要とされる所以である︒
そこで︑本稿では︑第二章において︑アメリカ判例法の中で生成し発展してきた三つの会社の機会の理論の伝統的
な適用基準を︑その代表的な判例を通して︑その軌跡を跡づけ︑第三章においては︑ごo歪曾亀とO冨蒔が︑強力に
主張する同理論の公開社会と閉鎖社会への適用の相違について触れ︑両者の見解を検討してみる︒つぎに︑第四章で
は︑﹀ピ一は︑コーポレート・ガバナンスの諸原則の中で︑会社の機会の理論も取り上げ︑そのリステイトメントの
起草作業を行なってきたが︑一九八四年の試案(8暮9証くΦ脅鋤津)︑一九九二年三月三一日の最終草案(ゆ昌巴曾競け)
そして一九九二年五月=二日に採択されたリステイトメントの内容を紹介しながら︑﹀ピ一の見解を明確にしたい︒ま
た︑第五章︑第六章および第七章は︑各論的な問題として︑特に重要性を有する社外取締役︑親子会社︑支配的株主
に対する会社の機会の理論の適用の是非︑適用形態の問題を取り上げている︒そして最後に︑第八章では︑同理論と
日本法との関係性を検討することによって︑同理論の日本法への影響力がどの程度なのかを考えてみたいと思う︒
注
(1)これらの忠実義務違反類型が︑忠実義務違反のすべてではなく︑新たな違反類型が創造される可能性を常に秘めている︒
その意味でこれらの類型は流動的であろう︒
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2)oo愚o蜜80醤o詳蝿巳身山09隊器は︑通常︑会社の機会の理論と翻訳されているが︑日本法にはない概念であり︑さらに
正確な意味を期するという観点から︑本稿ではあえて8愚o冨審o薯o詳⊆巳蔓をコーポレート・オポチュニティーというカ
タカナの表記とすべきではないか︑または︑o薯o旨崔巳身を﹁機会﹂ではなく﹁好機﹂(σqoo侮o冨毯Φ)と訳して︑﹁会社の
好機の理論﹂と訳すべきではないか疑問に思った︒しかし︑現時点では︑従来より慣用されている﹁会社の機会の理論﹂を
使用することにした︒
(3)その研究として︑赤堀光子﹁取締役の忠実義務口﹂法学協会雑誌八五巻三号二一頁以下︑根本松男﹁アメリカ会社法の..U9昌器ohOo壱o富呂o薯o言口巳身︑.について﹂日本大学法学紀要五巻二三五頁以下︑砂田太士﹁﹃会社の機会の理論﹄
と競業取引規制﹂六甲台論集三〇巻二号一二八頁以下︑北村雅史﹁アメリカ法における会社の機会の理論O・⇔完そ
の展望と日本法への適用﹂法学論叢=九巻一号六六頁以下︑一二一巻二号八四頁以下︑田村詩子﹁会社の機会の奪取理論﹂
商事法務一二六四号三四頁以下︑神作裕之﹁商法における競業禁止の法理﹂法学協会雑誌一〇八巻一号九四頁以下︑二号一
頁以下など参照︒
(4)北村英章﹁平成五年度株式分布状況調査結果の概要﹂商事法務=二六五号一七頁以下︑船橋和幸﹁第五次六大企業集団の
実態調査﹂商事法務一三六五号二六以下頁参照︒
(5)高野栄一﹁企業対象暴力事案の対策および総会屋等の動向と取締状況﹂商事法務=二五五号三二頁以下参照︒
(6)吉戒修一﹁平成五年商法改正法の解説﹂商事法務=二二四号九頁以下参照︒
(7)座談会﹁株主代表訴訟制度の改善と今後の問題点﹂商事法務=二二九号=二頁以下参照︒
(8)じu腎巳器望飽9碧ぎ>Z霧冒︒屏孚︒けO︒愚︒雷ひ①○薯霞ε巳鉱Φ︒・"逡田﹃<● r切①<'δo工o麟(お︒︒HとO醇吋"
Oo唇o同9①り節多薯・鱒︒︒軽‑図語(一⑩c︒①)9
(9)﹀日9︒9︒コb碧墓暮暮①Ψ℃身8寓︒hO︒愚霞9ΦΩ︒<Φヨ9︒昌8⁝匿巴琶︒・9︒昌働国①8日墓巳蝕8〜<9.一b﹄︒︒ω
(お㊤腿)・
5
第 二 章 判 例 法 に お け る 会 社 の 機 会 の 理 論 の 展 開
第 一 節 会 社 の 機 会 の 理 論 の 意 義
﹁会社の機会の理論﹂とは︑ある事業機会が当該会社の会社の機会と考えられる場合︑その会社の受任者である取
ユ 締役︑役員および支配的株主は︑自分自身のために︑その機会を利用したりまたは奪ったりしてはならないという理
論である︒
この機会の財産性は︑会社外の独立の第三者によるその奪取に対し会社が適法に異議を唱えることができる程度の
会社財産性を保有していないのは当然のことであるが︑会社内の受任者がその会社に属する事業機会を奪ってはなら
ないという程度の会社財産性を有している︒
受任者である取締役や役員は︑常に︑この会社の機会を利用できないのではなく︑例外的に︑つぎのことを立証す
ることができればその機会を利用することができる︒すなわち︑ω会社が資金的または法律的にその機会を利用する
ことができなかったこと︑すなわち会社の無能力(OO目bO緊⑳σΦ一口090b餌O一け図)︑ω会社がその機会の利用を拒否または
放棄したこと︑㈲会社が明示的に受任者によるその機会の利用を承認したことという三つである︒
そして︑受任者が会社の機会を取得し︑以上のような三つのうちのいずれかひとつの正当な抗弁を提起することが
できない場合︑会社に対する救済方法は︑奪われた資産の返還︑奪われた事業計画の移転および受任者がその機会か
ら得た利益の償還である︒これらは︑信託法の擬制信託(oo霧け霊o鉱くΦ訂岳け)の受託者の責任に由来し︑きわめて
ヨ 厳格な責任となっている︒
この会社の機会の理論の最も困難な問題は︑会社と受任者との間で︑どのような機会が会社に属していると考える
べきか︑また︑なぜ属していると考えられるのかという問題に答えることである︒換言すれば︑会社の機会とはなに
かという問題に答えることである︒つぎの節では︑アメリヵ判例法のなかで︑どのようにこの問題に答えてきたかと
いうことについて触れることにする︒
ア メ リカ会 社 法 に お け る会 社 の機 会 の理 論 の 新展 開
注 ( 1 ) ア メ リ カ 会 社 法 に お い て は ︑ 支 配 的 株 主 ( α o 日 冒 9 鉱 ⇒ ぴq の げ 鉾 魯 o 崔 Φ 同 ま た は 0 8 葺 o 巨 昌 σq 珍 舘 ① げ o 匡 ① 同 ) も ま た ︑ 会 社 の 機
会 の 理 論 に よ っ て 規 制 を 受 け る ︒ こ の 点 に つ い て は ︑ 第 七 章 で 詳 述 す る ︒
( 2 ) O 冨 同 ぎ ○ ゼ ・ O 詳 こ b . 鱒 鵠 こo .
( 3 ) 擬 制 信 託 は ︑ あ る 法 の 目 的 を 実 現 す る た め ︑ 信 託 設 定 の 意 思 表 示 が 存 在 し な い に も か か わ ら ず ︑ 信 託 が 設 定 さ れ た と 擬 制
す る こ と で あ る ︒ ア メ リ ヵ で は ︑ 他 人 を 騙 し て 得 た 金 銭 を 運 用 し て 大 き な 利 益 を あ げ た よ う な 場 合 ︑ 騙 し た 者 を 受 託 者 ︑ 騙
さ れ た 者 を 受 益 者 ︑ 騙 し て 得 た 金 銭 ま た は そ れ が 姿 を 変 え た 物 を 信 託 財 産 と す る こ と に よ り ︑ 不 法 な 手 段 で 得 た 利 益 に 源 を
も つ 利 益 す べ て を 吐 き 出 さ せ る 手 段 と し て こ の 法 理 を 積 極 的 に 用 い て い る ︒ こ の 会 社 の 機 会 の 理 論 の 場 合 は ︑ そ の 機 会 を 奪
取 し た 取 締 役 や 役 員 が 受 託 者 ︑ 会 社 が 受 益 者 と な る ︒ 田 中 英 夫 編 ・ 英 米 法 辞 典 一 九 〇 頁 参 照 ︒
第 二 節 会 社 の 機 会 の 理 論 の 伝 統 的 適 用 基 準
7 一利益または期待テスト(ぎ9冨ωけ霞国巻①9き2目Φ︒・け)
アメリカ判例法の伝統的な三つの適用基準のなかで︑一番最初に判例で用いられた基準は︑利益または期待テスト
でみ都・このテストは︑いまだに広く用いられている︒その構成要素は︑利益(ぎ9器︒︒け)︑期待(①砦8$暮図)およ
び重要性・必要性(①︒︒︒・Φ暮芭ξ・器8︒︒ω騨唄)である︒すなわち︑このテストによると︑会社の機会とは︑会社が利
益または期待を有していて︑会社にとって重要なまたは必要な事業機会(ぴ琶器︒︒︒︒○寒o円ε巳身)であるということ
になる︒利益は︑すでに現存する利益でなければならないし︑また︑期待は︑現存する利益から生ずる明白な期待
(け9︒昌σq芭Φ①×b①o鐙昌身)でなければならない︒そこでつぎに︑これらの構成要件を︑利益または期待テストを適用
した︑二つの代表的な判例を通して検討してみよう︒
ヨ まず第︼に︑ピ9σq鉾号︿.﹀口巳ω8昌い一ヨ①卸G︒8昌Φ09事件を見てみよう︒同事件は︑会社の機会の理論の初期
の代表的な古典的判例である︒
本件は︑原告﹀昌巳ω8昌曽旨Φ卸ω8器Oo・(以下︑﹀じG︒社とする)が︑同社の取締役である被告ピ簿σq舘α①らに
対し︑訴訟を提起したものである︒>UG︒社は︑石灰石の切り出しを業とし︑その石灰石の採石場の三分の一の所有
権を有していたが︑事業を拡張しようとしてその採石場の残りの三分の二の半分つつの所有者である○ξ尻8b霞と
]≦舘江ロにその購入を交渉していた︒Oξ翼ob霞の土地には︑その当時︑抵当権が設定されていたので︑﹀いω社と
○プニ曾obΦ円との間では︑○腎一︒︒8b霞はできるだけ早く抵当権を抹消して>bω社へ売却し︑それまでは﹀じの社が
O腎一曾ob興の土地に賃借権を設定するという契約を締結していた︒また︑ζ碧けぎの土地については︑︾いω社は︑機
会のあるたびに購入交渉をしていた︒そのような状況にあるにもかかわらず︑い9σq9︒巳Φらは︑取締役在任中︑独自
に交渉して○ξ冨8づΦ円と]≦9寡冒の土地を自分らのために購入してしまった︒そこで︑﹀ピo︒社は︑ピ9㈹9巳Φらに対
し︑購入した土地の引渡を求める訴訟を提起した︒第一審および控訴審では原告﹀いω社の請求を認容したので︑
b鋤σq碧創Φらはアラバマ州最高裁判所に上告した︒
最高裁のの鍔愚㊦判事は︑○ぼ幹ob興の土地のピ9σq鋤冨Φらによる取得については︑その土地が会社がすでに存在
する利益を有する財産であり︑会社が存在する権利から生ずる期待を保有する財産である場合または会社役員らによ
る妨害行為が︑その会社の創設目的の実現にむけてそれを阻むような場合に該当し︑購入したい9σq9巳Φらの土地は︑
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﹀ピω社に引渡す必要があるが︑と霞江口の土地については︑上記の場合に該当せず︑冨σq鎚伽Φらはその引渡をする必要はないと判示し起・すなわち︑○ξ蓉ob霞の土地に対して︑﹀ピω社は︑賃借してその土地を使用し︑収益を得る
ことによって利益を有していたのであり︑また︑その現存する利益から生ずる明白な期待を保有していたことになる
のである︒これに対し︑窓碧試昌の土地については︑そのような現存する利益や明白な期待を有していなかったこと
になる︒
ハヨ つぎに︑じuξロ<・団oヨ事件について検討してみよう︒この事件も︑利益または期待テストを適用した判例として
きわめて有名な事件である︒その事件の概要はつぎのようなものである︒じσ霞びq家と団03家は︑昔からの親しい家
族同士であったが︑ブルックリンですでに不動産経営をしていた=o讐家の人々は︑しロ霞σq家の人々に︑ブルックリ
ンでアパート経営を一緒にするよう勧誘した︒その後話がまとまり︑一九五三年に両家の人々は︑ブルックリンで低
廉な家賃のアパート経営のためのビルを購入する︑Up蚕巳切①巴身Oo愚.(以下︑U切社とする)を設立した︒同社
の株式は︑平等の割合で︑ΩΦ○茜Φ団o巨︑ζ9×出o筥およびじ口霞σq夫人に割り当てられた︒また︑同社の取締役には︑
株主となった三名が就任した︒しu霞σq夫人の夫のbu霞σq氏が︑同社の会計係・税金プランナーを担当し︑団o≡家の人々
が現実の不動産経営を担当した︒二︑三年後︑∪切社は︑当初購入したビルを売却して新たなビルを購入し︑さらに
二つのビルも購入した︒この間︑閏o旨家は︑以前と同じように︑個人的にまたは全株所有の他の会社を通して九つ
の同様なビルを取得していた︒切霞σq家と団○ヨ家のこの共同経営はしぼらくは順調に推移したが︑鵠o巨家がカリフォ
ルニアに引っ越すことになり︑それを契機に両家の間に亀裂が生じ始め︑反目するようになった︒そこで︑∪図社の
株主で取締役でもあったし口霞σq夫人は︑原告となって︑一九五三年以後に国oヨ家によって取得された九つのアパー
ト用のビルは∪菊社に帰属すべき会社の機会であると主張し︑被告=○筥家の∪切社の取締役に対し︑株主代表訴訟
を提起した︒
これに対し︑ニューヨ⁝ク州地方裁判所は︑原告は被告=o窪らがブルックリンで発見したすべてのアパート用の
ビルを∪切社に提供することを期待していたけれども︑両者の間にはそのような合意は存在していなかったこと︑原
告は一九五三年以前の山03家の人々によるビルの取得を知っており︑また︑一九五三年以後のそれについても気づ
いていたことを理由として︑会社の機会の成立を否定した︒さらに︑連邦第二巡回区控訴裁判所も︑会社の機会の違
法な奪取はなかったという地裁判決を支持した︒その支持にあたり︑同裁判所は︑ニューヨーク州法の下においては︑
取締役によって取得された財産にはその取得の時にその財産につき利益または明白な期待を有していた時にのみ会社
の機会となるとし︑本件では出o巨らによって取得されたアパート用のビルが∪國社にとって必要性があったとか︑
∪即社がその取得を追求していたという形跡もないと判示した︒この判決の特徴は︑第一に︑利益または期待テスト
を適用するにあたり︑明確につぎの事業範囲テストを学者の手によるあまりにも広すぎる概念であると非難したこと
であり︑第二に︑常勤(h二〒鉱きΦ)と非常勤(℃9詳‑江8Φ)の相違によって︑取締役の義務の範囲や程度に違いを設
けたことである︒
注
(1)9鉾ぎoPo騨こPB9
(2)9碧貫Ob・9ひこ薯.図謡‑詑①σ
(3)b誌鋤aΦ︿●︾目一︒︒⇔8い一白①飽ω8器Ooこ鵠ωρ一8(﹀冨︒H㊤OO>●(4)冠.鉾鱒O一●
(5)しqξ昌く・国︒3︒︒︒︒o閂毬︒︒⑩刈(卜︒α9﹃﹂⑩8.
(6)冠・9︒ひ◎︒論丁㊤OPなお︑田冨判事の反対意見がある︒同判事は︑たとえ明示的な合意がない場合であっても︑=o琶家の
人 々 は ︑ ∪ 国 社 に そ の 財 産 の 提 示 を す べ き 義 務 が あ る と 主 張 し ︑ ま た ︑ 切 ξ σQ 家 の 人 々 は 出 0 3 家 の 人 々 に よ る ビ ル の 取 得
を 認 識 し て い な か っ た と し ︑ 事 実 に 関 す る 評 価 に 反 対 し て い る ︒ 写 暮 Φ O 図 1 ㊤ O G︒ . ( 7 ) 切 歪 曾 畠 塵 O 再 ぎ ︒ b . 鼻 ・ " b ﹂ 9 p
二 事 業 範 囲 テ ス ト ( [ 一昌 ① O h しU = ω 一 昌 Φ ω o自 ] UΦ ω 廿 )
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11 事業範囲テストは︑会社の機会をつぎのように定義している︒すなわち︑会社の機会とは︑当該会社の事業の範囲
内の機会である︒そして︑当該会社の事業の範囲内かどうかは︑ω当該会社の事業が︑その事業機会について︑基本
的知識(h茸量8①暮9︒一ぎo記巴σqΦ)︑実務経験(胃碧け言巴①×℃巴88)および事業遂行能力(㊤び筥蔓8b霞警①)を
有していること︑ωその事業機会が︑当該会社の財政状態からして当該会社の事業に論理的にまたその性質上採用さ
れ得るものであること︑および㈹その事業機会が︑当該会社の事業拡張についての合理的必要性(話器o霊玄①
器巴ω)と熱望(鋤QDb一憎9◎け一〇昌)とうまく調和することによって決定される︒端的な表現をすれば︑当該会社の事業と
その事業機会とが密接にかかわっているかどうかである︒
この事業範囲テストは︑利益または期待テストよりも会社の機会の成立を容易にする︒すなわち︑取締役や役員は︑
自分自身のためにその事業機会を取得できる範囲が狭められることになり︑取締役や役員にとっては厳しい規制になっ
ている︒その意味で︑利益または期待テストは事業範囲テストの部分集合であり︑事業範囲テストは︑あらゆる事業
機会を実質的に包摂するよう広く定義されている︒しかしながら︑実際的には︑裁判所がある事業機会が当該会社の
事業範囲内にあるかどうかを検討する場合には︑裁判所は︑以上のような決定基準を概念的に当てはめるのではなく︑
当該会社の経済的効率性(①︒80巳o①hh三8身)をおおざっぱに︑かつ手早く調査しているようである︒そして︑
この事業範囲テストは︑個々の裁判所によって︑かなり狭く解釈されることもあるし︑きわめて広く解釈されること
も あ る よ う で あ る ︒ そ こ で ︑ つ ぎ に こ の 事 業 範 囲 テ ス ト の リ ー デ ィ ン グ ・ ケ ー ス で あ る 〇 二 夢 く ・ U o 津 鴇 ぎ o ・ 事 件
と 区 霞 二 αq き ︿ . ⊂ 巳 貯 G︒ 餌 三 昌 σq ω ﹀ ︒︒ ︒︒ o o 冨 鉱 8 事 件 に 触 れ る こ と に す る ︒
ヨ まず︑Ω暮げく.ピohダぎρ事件を検討してみよう︒原告ピo津社は︑菓子類および清涼飲料水の製造販売を業と
する会社であり︑被告Ω暮げは︑同社の取締役︑被告Ω蚕8社は︑いo津社に清涼飲料水用のシロップを製造し︑
ぴohけ社にそのシロップを供給していて︑その株主はΩg夢および彼の家族であった︒Ω暮げは︑一九三一年から一九
三五年にかけて同社の社長としていo砕社を支配していた︒
いo津社は︑当初︑コーラ飲料の取引についてはOOo餌100寅社としていたが︑取引価格の条件が悪く︑℃Φびω碧o
(H)①boα一ー︹)O一90)に変更した︒その当時︑℃obω㌣Oo鼠は︑2鉾δコ巴勺①b訟Oo冨社(以下︑Z℃O社とする)によって
製造されていたが︑その後同社は一九三一年五月に破産した︒2℃O社の社長であった霞①σQ舘αq巴は︑同社の再建の
話をΩ鋸夢にもちかけ︑新会社勺①℃餓lOO冨社を設立した︒その設立の両者の間の条件は︑ωζ①σq鎗σq9が勺Φb巴100冨の秘密の製法と商標を取得し︑新会社にこれらを譲渡する︑②新会社は︑額面五ドル︑授権資本三〇万
株で設立する︑㈲新会社の株式は︑ζΦσq碧σq9とΩロ夢がそれぞれ三分の一ずつを保有し︑残りの三分の一は︑金庫
株(訂①鋤豊鰭︒︒8鼻)として︑新会社の運転資本として使う︑というものであった︒新会社勺Φb訟100富社は↓九三
一年八月に設立され︑Ω轟8社も一〇万株を取得した︒
Ω=ぎは︑ピ○津社と勺Φb巴⊥Qo冨社の上に君臨し︑レo津社の取締役会の承認を得ずに︑同社の運転資金︑工場施設︑
原材料︑信用︑業務執行者および従業員を︑勺Φ窃竿Oo冨社の再建のために使用した︒その結果︑勺Φ窃㌣Oo冨社は︑
その事業を発展させ︑ピo津社に大量の製品を販売してきた︒この時の売買価格はΩロ爵の一存で決められた︒
原審は︑Ωg夢およびΩ窮8社の有する℃①冨竿Oo宣社の株式は︑当初からいo津社の財産であり︑Ω暮げおよび
Ω蚕8社は︑株式およびその株式から生ずる一切の権利をピo津社に引き渡さなければならないと判示した︒さらに︑
デラウェア州最高裁判所は︑前述した事業範囲内の決定基準を述べた後で︑ピo津社と勺㊦℃︒︒工Qo冨社の事業には密接
な関係があり︑℃魯巴100冨社の株式︑商標︑製法︑のれん︑事業を取得する本件事業機会は︑ピo津社の事業範囲内
に属し︑Q暮げは︑自己のためにその機会を利用することはできないと判示し起︒この事件では・Ω暮犀が・いo津社
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の物的・人的資源を利用したことも考慮されているが︑たとえ︑〇二§の会社資源の利用がなくても結論に違いはな
ら いと思われる︒
ソつぎに︑事業範囲テストのもう一つの代表的な判例である閑霞鼠σq9昌く・C巳身oQ魯くぎσq諺︒・︒・o︒一9二︒昌事件を見てみ
よう︒本件は︑O巳畠o︒9<冒σq諺ωωo鼠9江o昌(以下︑d巳身社とする)の株主が提起した株主代表訴訟で︑損害賠償と
救済命令を求めた事件である︒被告であるO巳身社は︑貯蓄貸付業を営む会社であり︑住宅抵当ローンの引受を主
たる業務としていた︒同社の取締役五人のうち三人が︑℃寅鑓ぎω霞碧8諺σq8身一口o・(以下︑コ﹀社とする)の取
締役を兼任していた︒国﹀社は︑C巳ξ社の紹介を得て︑住宅抵当ローンの借り主に住宅保険を販売し︑住宅抵当ロー
ンに関する他の保険もあわせて販売していた︒同社の事務所はご巳身社の所有するビルの一画を賃借していた︒原
告株主の区①巳αqp口は︑d巳身社の取締役らと℃H>社は︑本来︑⊂巳貯社の事業範囲内に属すべき事業機会を違法に
取得したと主張した︒これに対し︑イリノイ州地方裁判所は︑被告ζ巳身社の同社は保険を引き受けることを法律
によって禁止されていたという抗弁を認めて︑原告の請求を棄却した︒しかし︑イリノイ州の控訴裁判所および最高
裁判所は︑原告の請求を認容した︒同最高裁判所は︑当該取締役らは︑利害関係のない取締役または株主に相当する
会社に対して︑その事業機会に関する適切な事実を開示することによって︑会社がその事業機会を取得するかまたは
拒絶するかに関する法的権限の疑義について︑会社自体の判断をなすチャンスが与えられるべきであり︑会社は︑適
切な事実の十分な開示に基づき︑会社の現在または将来の会社経営に合理的に付随する事業をしたいかどうかを決定
ア する機会が与えられるべきであると判示した︒この最高裁判所判決は︑事業範囲テストを適用し︑住宅抵当ローンの
引受と住宅保険の販売は確かに別個のものであるが︑この両者は︑同一の事業範囲内のものと解している︒なぜなら︑
両者は︑密接に機能的に関連し︑この事業は︑同一の機会に二つのサービスを顧客に提供するものだからである︒
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注
(1)Q暮﹃︿'bo津堕ぎ︒こ⑳﹀︒b︒αα竃(U①一.一㊤G︒㊤)●この基準は︑デラウェア州最高裁判所のい餌旨o昌判事によって提示さ
れたものである︒
(2)Ω舘ぎob・o騨こ娼b・卜︒培幽鵠.
(3)Ω賃芸︿.ぴohダぎoこ鈎﹀・卜︒αqOω(U㊦一'一㊤︒︒㊤)・この事件については︑加藤徹﹁アメリカ法における取締役の競業避
止義務﹂阪大法学七七・七八号一六四頁以下に詳細な紹介と検討がなされている︒
(4)寧鉾G・お1蟄伽・
(5)O毎言︒b.葺."PB刈・
(6)内Φ三σq彗︿・ご巳帯留く話﹀︒︒のa9βG︒ミ乞・国﹄島ω⑩(目§ら).
(7)年9︒ひら︒︒・
(8)O冨憎貫8●9けこbも●鱒ωHI鱒G︒鱒●
三 公 正 テ ス ト ( 国 巴 窪 ① ︒D ︒・ 弓 Φ ω ひ )
この公正テストは︑アメリカの会社法学者のしuo=9⇔鼠口①によって唱えられた見解である︒すなわち︑会社の機会
の理論の真実の基礎は︑会社の利益がその保護を必要とする場合︑受任者による当該会社の機会の奪取行為が有する
特定の事実に関する不公正さ(=蒐巴3Φωω)である︒したがって︑裁判所は︑この特定の一連の事実について︑なに
が公正(h鉱﹃)かつ衡平(Φρ乱3三Φ)なのかという倫理的基準(9三〇巴︒・$蓬舘房)を適用すべきであるという見
解である︒そして︑この公正または衡平の倫理的基準の内容としてつぎの七つの要素が考えられている︒ω特別のま
たは独自の価値を有する機会が存在しているかどうか︑若しくは︑当該会社の事業あるいは当該会社の発展にとって
その機会が必要かどうか︑②職務上の地位による会社役員にその機会が提示されたかどうか︑㈹当該会社は︑積極的
にその機会を追い求めていたかどうか︑もしそうならば︑当該会社がその機会を獲得するための努力を断念したかど
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うか・④会社役員が︑会社のためにその機会を獲得することを義務づけられていたかどうか︑⑤会社役員が︑その機
会を獲得し発展させるために︑当該会社の資金または施設を利用したかどうか︑⑥その機会の会社役員による奪取が︑
彼を会社と敵対する立場にしたかどうか︑あるいは会社役員が会社に転売しようとしたかどうか︑ω当該会社は︑そ
の機会を利用するための財政上またはその他の能力を有していたかどうかというものである︒しかしながら︑この倫
理的基準は︑一応の内容であって︑現在までの数多くの判例のなかで裁判所によって提示された公正テストのあらゆ
ヨ る要素を︑より明確な表現で要約することはきわめて困難なことである︒
この公正テストをはじめて採用した判例は︑∪ロ臥8<.U霞h8卿Op︒暮ぎσq"ぎo.事件であった︒∪崔巴h㊦①即
098言σQ"ぎρ(以下︑U鱒O社とする)は︑石油製品とくにガソリン︑灯油その他の燃料の取引業を営んでおり︑
被告の○碧巳口σqは︑同社の副社長兼取締役であった︒彼は︑同じ石油製品を取り扱う別会社を設立し︑その社名を
℃霧50Ω霧Oo愚・(以下︑℃○社とする)として︑同社を経営・支配した︒09目言閃は︑ナチュラルガソリンの取
引に進出しようとしたが︑勺Ω社は︑そのガソリンの貯蔵所と輸送施設がなく︑実務経験のある社員もいなかったの
で・≦⑳霞魯社からナチュラルガソリンを℃Ω社が購⁝入して︑それをU卿O社に転売するという経路を表面的には
とったが・その実体は︑ナチュラルガソリンの貯蔵所や輸送施設は︑U節○社のものを使った︒したがって︑℃Ω
社による購入は単なる帳簿上の操作にすぎなかった︒原告のU霞h8は︑∪飽○社の株主であったが︑○⇔昌昌一昌σqの
行為は︑取締役の忠実義務に違反するとして彼が得たすべての利益を会社に引き渡すべきであると主張して代表訴訟
を提起した︒これに対し︑マサチューセッツ州最高裁判所は︑前述したじQ簿一冨暮言①の公正テストを引用した後︑
09︒目一品の行為のなかで︑U卸O社の貯蔵所や輸送施設を使用した点および∪馳O社に転売した点に不公正さが
あるとして︑被告の責任を認めた︒
⑤ 言 釜 丁 注
じ口亀①暮ぎρ800壱︒雷ぎ蕊"p図8(円Φ<︒①ユ.一㊤軽①)●
固・ご08㊤節け鵠O①●
O冨同ぎo㍗臼けこbb.鵠卜︒c︒lN8●
∪霞h8<'U霞h①Φ鱒Oき巳品"ぎρ噂○◎OΣ●国.豊認鵠(]≦9︒︒︒︒.一逡Q◎)
第 三 節 二 段 階 ア プ ロ ー チ
アメリヵ判例法の中では︑前述した三つの会社の機会の理論の伝統的適用基準のいずれかを適用して︑会社の機会
について裁判所は判断して来た︒ところが︑一九七四年のミネソタ州最高裁判所のζ筥霞く●ζ臼興判⁝灘が出されて以来︑これらの三つの基準を結合させ︑その基準の適用過程を二つの段階に区分する二段階アプローチ
(σ≦olの8℃書胃09︒9)が︑有力になっている︒
この二段階アプローチは︑まず︑第一段階で︑その機会が会社に属すべき機会かどうかを決定する︒この第一段階
ヨ で適用されうるテストは︑利益または期待テストと事業範囲テストであるが︑この決定は︑当該会社がその機会に現
存する利益または期待を有しているかどうか︑あるいは︑その機会が当該会社の現在または将来の事業ときわめて密
接に関係するかどうかを検討することによってなされる︒そして︑第一段階をクリアしてはじめて第二段階に進む︒
第二段階で適用されるテストは公正テストである︒この段階では︑会社の機会を奪取した取締役や役員が︑会社に対
して負う忠実義務(α暮図oh一〇鴇巴身)︑誠実義務(αロ蔓ohαqoO創h巴爵)および公正取引義務(身釘oh蜜貯
Ω$ぎσq)に違反したかどうかを検討する︒第一段階の利益または期待テストもしくは事業範囲テストの立証責任は︑
ら 原告が負担し︑第二段階の公正テストの立証責任は︑被告が負担する︒なぜなら︑取締役や役員の行為の公正さに関
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する事実については彼らの方が︑よく知っているからである︒
つぎに︑]≦巳醇く◎ζ旨霞事件を通して二段階アプローチを検討してみょう︒本件の事件の概要は︑つぎのような
ものである︒竃旨霞≦器8社は︑ある種の清掃用の布地を製造することと︑それに付随するまたはそれに必要な事
業を営むことを目的とする会社であり︑被告切巳o言げとしo①口宣ヨぎは︑同社の役員兼取締役であった︒即巳9讐と
し口雪宣日ぎは︑第二次世界大戦中︑ζ旨興≦舘8社の事業内容では加工した当該布地に関するアメリカ政府の要請に
こたえられなくなったので︑新たに⊂巳けζ鋤壼富9霞冒σq社を作り︑ζ巳霞≦塁9社から布地を購入し︑それを加
工︑梱包して︑ζ臼霞を霧8社に売却した︒このように︑図&9喜とじdΦ邑9日ぎによっていくつかの被告会社が設
立された︒原告であるζ筥興≦9ω8社の株主は︑口&9喜としu窪廿日ぎおよび彼らの支配する被告会社を相手取っ
て代表訴訟を提起し︑被告らはζ巳霞≦9珍Φ社に正当に属すべき会社の機会を不当に奪取したとして︑被告らがそ
れによって得た財産および利益をζ 一霞≦霧9社に返還することを請求した︒
これに対し︑ミネソタ州最高裁判所は︑前述の二段階アプローチを採用することを明らかにし︑第一段階で︑事業
範囲テストを適用し︑各被告会社の事業は︑ζ旨興≦霧け①社の事業範囲に属さないとし︑ただある一部の事業が
ζ自霞≦9︒︒8社の会社の機会に属すると判断し︑第二段階で︑公正テストを適用して︑被告らの行動は︑会社に対
して不公正でなく︑不誠実でもない︑さらに忠実義務にも違反していないと判断して︑原告の請求を棄却した︒
このような二段階アプローチに対しては︑実際なにか意味のある方法で分析をしているとは思えないし︑また本来
不明確な法領域にさらに混乱を付け加えているに過ぎないという批判がなされている︒
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1注
]≦旨霞く・]≦巳ΦびBb︒Z●≦.豊コ(ζぎp一Φ謹γ
(2)OO﹃bO﹃Oけ㊦ObづO円け=昌詳klζ一=Φ憎︿・ζ一一一Φ円‑勺居Ob㊦﹃﹀もb一一〇9怠O昌OhけげΦ国⇔一目昌①のG自UOOσユ昌Φ一昌けげΦOO円℃O昌ゆけ①
○娼℃○円叶ロ昌騨図﹀円①O}鱒q・OO円b︒ [・幽Oα(H⑩日刈).
(3)︼≦旨霞く●竃已雪判決では︑この第一段階で適用されるテストは︑事業範囲テストの方が適切であるとしている︒ζ旨需
く.ζロ一Φ﹃︾bQbQ鱒ワ﹃・〜ぐ●図◎﹃一"coH(ζ一昌コ●一⑩刈ら)●
(4)O一9D居犀"OO●O一けこ娼.図凶㊤.
(5)ζ筥零く︒ζ巳Φさ誌卜︒Z◎≦.建刈ピ︒︒図(ζ一目﹂⑩課γ
(6)bσ毎曾︒図卸○奪貫︒戸︒貯"薯●8c︒︾8㊤■9簿蒔"8.︒詳こP鱒b︒⑩●