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消 費 者 法 の 展 開 と 権 利

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(1)

消 費 者 法 の 展 開 と 権 利

法 の 実 現

― 消 費 者 及 び 消 費 者 団 体 の 役 割 を 中 心 と し て

深 津 健 二

目 次 一 は じ め に 二 消 費 者 法の 展 開 1 消 費 者政 策 の 変 遷 2 消 費 者法 制 の 変 容 三 権 利 法の 実 現 に おけ る 消 費 者 個人 の 役 割 1 消 費 者の 権 利 と 消費 者 法 2 消 費 者個 人 の 役 割 とそ の 限 界 四 権 利 法の 実 現 に おけ る 消 費 者 団体 の 役 割 1 消 費 者団 体 と N PO 法 人 2 消 費 者団 体 の 役 割 とそ の 可 能 性 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

(2)

五 結 び

一 は じ め に

消 費 者 法 は、 一 九 六

〇年 代 以 降 の 消費 者 問 題 の顕 在 化 に 伴 って 形 成 さ れ、 そ の 後

、 消費 者 問 題 の多 様 化

・ 複雑 化 に対 応 し て

、法 の 対 象 領 域を 拡 げ な がら 発 展 し てき た 法 分 野 であ る

。 そ して

、 多 発 す る消 費 者 契 約を め ぐ る 紛争 に 対す る 新 た な民 事 ル ー ル の整 備 が

、 一九 九

〇 年 代以 降

、 と り わけ 今 世 紀 に入 っ て 急 速 に進 め ら れ

、消 費 者 法 も新 た な段 階 に 突 入し て い る

。 なか で も

、 消費 者 法 が 前提 と し て き た「 消 費 者

」と い う 人 間 像は

、 消 費 者法 生 成 期 に おけ る「 消 費 者 保 護 さ れ るべ き 弱 み を 持っ た 生 活 者」 か ら

「 消 費者

自 立 して 行 動 し う る主 体

」 へ とそ の 捉 え 方は 大 きく 変 え ら れて き た

。 二

〇〇

〇 年 に はす べ て の 消費 者 契 約 を 適用 対 象 と する 消 費 者 契 約法 が 制 定 され た ほ か

、訪 問 販売 法 の 改 正法 で あ る 特 定商 取 引 法 や金 融 商 品 取 引 に 関 す る 特 別 法 で あ る 金 融 商 品 販 売 法 な ど が 成 立 し

、「 自 立

」 した 消 費 者 像を 前 提 と し た多 く の 消 費者 契 約 に 関す る 民 事 ル ール が 導 入 され た

。 ま た

、一 九 六 八 年に 制 定 さ れ て以 降、 一 定 の 役割 を 演 じ て きた 消 費 者 保護 基 本 法 も 二〇

〇 四 年 にお け る 大 幅な 改 正 で そ の名 称 か ら

「保 護

」 が 削 除さ れて

、 消 費 者基 本 法 に 改 めら れ て い る。 し か し

、「 自立

」 し た 消費 者 像 と は いっ て も

、 そ れ は 単 に 理 念 と し て 掲 げ る だ け な ら ば と も か く と し て、 具 体 的 な制 度 と し て直 ち に 機 能 させ よ う と する な ら ば

、 個々 の 消 費 者が

「 自 立

」し て 事 業 者 と対 等 の 立 場で 行 動 し う る前 提条 件 が 欠 けて い る 以 上

、そ れ は 単 なる 画 餅 に す ぎな い も の とな っ て し まう

。 そ こ で

、新 た な 民 事ル ー ル の 中 に盛 り込 ま れ た 消費 者 の 具 体 的な 権 利 を 行使 す る に あ たっ て は

、 啓蒙

・ 啓 発 を行 う 消 費 者 教育 の 側 面 並び に 消 費 者 相談

(3)

や 訴 訟 支 援 を 行 う 消 費 者 行 政 及 び 法 実 務 の 側 面 か ら の

「 自 立 支 援

」 が 制 度 と し て も 必 要 に な っ て く る わ け で あ る が、 そ れ だ けで は 心 許 な い法 制 度 と して 上 記 民 事ル ー ル が 導 入さ れ て き た経 緯 が あ る

。 し た が っ て、 い ず れ も全 面 的な 制 度 の 見直 し が 求 めら れ る の は 必至 で あ り

、す で に 消 費 者契 約 法 に つい て は 見 直 しが 徐 々 に 進め ら れ て いる と ころ で あ る

。な か で も

、 消費 者 団 体 によ る 差 止 訴訟 制 度 の 導 入は

、 同 法 に定 め る 不 当 勧誘 行 為 に 対す る 取 消 権や 不 当契 約 条 項 の無 効 を 消 費 者個 人 が 主 張す る 場 合 の困 難 に 対 応 する 新 た な 試み と し て

、 消費 者 法 の 生成

・ 発 展 の過 程 にお い て 重 要な 意 義 を 有 する も の で ある

。 そ し て、 こ の 制 度 はそ の 後 特 定商 取 引 法 や 景品 表 示 法 にも 拡 大 さ れて い る。 さ ら に

、消 費 者 団 体 訴訟 は

、 消 費者 個 人 が 行う 損 害 回 復 の困 難 に 対 応す べ く

、 事 業者 の 不 当 な事 業 活 動 によ る 利益 を 吐 き 出さ せ る 法 制 度と し て も

、導 入 の 是 非が 現 在 検 討 され て い る とこ ろ で あ る

。 す で に 制 度化 さ れ

、 さら に 対象 を 拡 大 しよ う と さ れて い る 消 費 者団 体 訴 訟 は、 必 ず し も 消費 者 個 人 の権 利 行 使 に おけ る

「 自 立支 援

」 の 制度 そ のも の と は いえ な い も の の、 権 利 行 使の 際 の 困 難に 対 応 し

、 被害 の 拡 大 を防 止 す る 制 度で あ る

。 と こ ろ で

、前 記 差 止 訴 訟が 認 め ら れて い る の は、 消 費 者 契 約法 第 二 章 に定 め ら れ た 手続 き に 従 い適 格 消 費 者団 体 とし て 認 定 され た 消 費 者 組織 に 限 定 され て お り

、後 述(三1

)す る よ うに

、 そ の ほと ん ど は N PO

NonProfitOr-

ganization

)、 す な わ ち 特 定 非 営 利 活 動 法 人 法

( N PO 法

) に 基 づ く 法 人 格 を 取 得 し た 特 定 非 営 利 活 動 法 人 で あ る。 そ し て

、同 法 に よ り法 人 格 を 取 得し た

「 消 費者 の 保 護 を 図る 活 動

」 を展 開 す る 消 費者 N P O 法人 の 中 に は、 本 来の

「 自 立 支援

」 の 活 動 とし て

、 啓 蒙・ 啓 発 と いう 消 費 者 教 育の 活 動 を 行っ た り

、 消 費者 相 談 を 含む 権 利 実 現を 支 援す る 活 動 を展 開 し た り する も の も 少な く な い

。し か し

、 N PO の 法 人 格を 取 得 し

、 その 活 動 の 幅を 拡 げ て いる 消 費者 N P O が消 費 者 の 権 利 法 を 実 現す る う え で、 ど の よ う な役 割 を 果 たし う る の か

、消 費 者 法 制は こ の よ うな 消 費 者N P O を ど の よ う に 位 置 づ け、 制 度 的 枠 組 み の 中 に 組 み 込 ん で い く べ き な の か

、 検 討 を 要 す る 点 も 少 な く な 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

(4)

い。 本 稿 で は

、ま ず 消 費 者政 策 が 転 換 され

、 そ の 前提 と な る 消 費者 像 も

「 保護 さ れ る 者

」か ら

「 自 立し た 主 体

」へ と 捉え 直 さ れ る中 で

、 消 費 者法 は 行 政 規制 中 心 か ら民 事 ル ー ル の活 用 重 視 へと 変 容 し て きて い る が

、そ の 過 程 を整 理 する

。 次 に

、か か る 民 事 ルー ル を 活 用し て 消 費 者の 権 利 法 の実 現 を 図 るう え で

、 消 費者 個 人 が どの よ う な 役割 を 演ず べ き も のと さ れ て い るの か に つ いて 検 討 す る。 し か し

、 消費 者 法 の 担い 手 と し て の消 費 者 個 人が 権 利 法実 現 に貢 献 す る こと が 期 待 され る 一 方 で

、そ の 限 界 も指 摘 さ れ て いる と こ ろ であ る

。 そ こ で、 最 後 に

、民 事 ル ー ルの 活 用だ け で は なく

、「 苦 情 の発 掘

」 か ら消 費 者 相 談 も 含 め て

、消 費 者N P O な ど の 消 費 者 団 体 が 消 費 者 行 政 や 消 費 者 個 人 に よ る 権 利 法 の 実 現 を 図 る う え で の 困 難 を ど の よ う に 乗 り 越 え て い く こ と が で き る の か、 若 干 の 考 察 を 行 う。

二 消 費 者 法 の 展 開

1消費者政策の変遷

消 費 者 政 策 と は

、「 消 費 者 の 利 益 の 擁 護 及 び 増 進 に 関 す る 総 合 的 な 施 策

」 を 意 味 し

( 消 費 者 基 本 法 第 二 条 第 一 項)

、 国 や 地方 公 共 団 体 が消 費 者 問 題の 解 決 に 向 け て 展 開 す る 政 策 全 体 を 指 し て い る

。 わ が 国 の 消 費 者 政 策 は、 戦 後の 経 済 復 興期 を 経 て 高 度成 長 期 に 入り

、 大 量 生産

・ 大 量 販 売体 制 が 確 立さ れ る と と もに

、 そ れ に伴 っ て 消 費者 問 題 が 顕 在 化 し て き た 一 九 六

〇 年 代 以 降

、 本 格 化 し た

。 一 九 五

〇 年 代 か ら 六

〇 年 代 に か け て

、森 永 ヒ 素 ミ ル ク 事 件

(5)

(一 九 五 五 年) や サ リ ド マイ ド 事 件

(一 九 六 二 年

)、 カ ネ ミ 油症 事 件

( 一 九六 八 年

) など に 代 表 さ れる 食 品

・ 薬品 公 害事 件 が 相 次い で 発 生 し たほ か

、 欠 陥自 動 車 を めぐ る 問 題

( 一九 六 九 年

)も 発 生 し

、 従来 の 安 全 規制 で は 安 全性 を 欠く 商 品 の 市場 へ の 投 入 を阻 止 し え ない し

、 市 場原 理 に よ っ ても か か る 商品 を 市 場 か ら淘 汰 で き ない こ と が 明ら か にな っ た

。 また

、 戦 後 わ が国 に 導 入 され た 競 争 政策 立 法 も

、 その 後 数 次 の後 退 的 法 改 正に よ り 法 の運 用 が 停 滞 し、 ニセ 牛 缶 事 件( 一 九 六

〇 年) の よ う な不 当 表 示 に 対し て も 有 効な 対 策 を 取れ な か っ た

。し た が っ て、 こ の よ う な消 費者 問 題 へ 対応 す べ く

、 薬事 法

( 一 九六

〇 年

) や 景品 表 示 法

(一 九 六 二 年) な ど の 制 定に よ り 個 別分 野 の 法 令 整備 が進 め ら れ た。 し か し

、 消費 者 問 題 に対 応 す る 政 策を 担 当 す る部 局 が 各 行政 庁 に 分 散 され て お り

、問 題 へ の 迅 速か つ適 切 な 対 応を 進 め て い くう え で は 課題 も 少 な く なか っ た

。 そ こ で

、 今日 の 市 場 経 済体 制 下 に おけ る 消 費 者 安全 や 消 費 者選 択 に 対 す る消 費 者 の 権利 が あ る こと を 確 認 し たう えで

、 従 来 の縦 割 り 行 政 にお け る 限 界を 克 服 す べ く、 総 合 的 な消 費 者 政 策 を担 当 す る 部局 と し て 経済 企 画 庁 国 民生 活局 が 一 九 六 五年 設 置 さ れた

。 そ し て、 一 九 六 八年 に は

、 消 費者 保 護 基 本法 が 制 定 さ れ、 国 に 関 して は

「 経 済社 会 の発 展 に 即 応し て

、 消 費 者の 保 護 に 関 す る 総 合 的 な 施 策 を 策 定 し

、及 び こ れ を 実 施 す る

」( 第 二 条

)こ と が、 ま た 地方 公 共 団 体に 関 し て は

「国 の 施 策 に準 じ て 施 策を 講 ず る と とも に

、 当 該地 域 の 社 会 的、 経 済 的 状況 に 応 じ た消 費 者の 保 護 に 関す る 施 策 を 策定 し

、 及 びこ れ を 実 施す る

」( 第 三条

) こ と が それ ぞ れ の 責務 と し て 掲げ ら れ た

。 こ れ に よ り、 国 及 び 地 方公 共 団 体 によ る 消 費 者政 策 の 基 本 的枠 組 み が 出来 上 が っ た わけ で あ る が、 国 が 取 り組 む べき 消 費 者 政策 と し て 法 に盛 り 込 ま れた の は、 消 費 者 安 全 に 関 す る 施 策 と し て 危 害 の 防 止( 第 七 条

)、 消 費 者 情 報 に関 す る 施 策と し て 計 量 の 適 正 化

( 第 八 条

)、 規 格 の 適 正 化

(第 九 条)

、 表 示 の 適 正 化

( 第 一

〇 条

)、 消 費 者 選 択 に 関す る 施 策 とし て 公 正 自 由な 競 争 の 確保

( 第 一 一 条)

、 消 費 者教 育 に 関 す る施 策

( 第 一二 条

)、 消 費者 意 見 の 反映 に 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

(6)

関す る 施 策

(第 一 三 条

)な ど に と ど まっ た

。 ま た、 政 策 実 現 の手 法 も 主 とし て 行 政 に よる 事 業 者 規制 を 通 じ て弱 者 であ る 消 費 者を 保 護 し よ うと す る も ので

、 消 費 者個 人 や 消 費 者の 団 体 が 政策 実 現 過 程 に関 与 し う る局 面 は 極 めて 少 なか っ た

。 たと え

、 法 制 度的 に 一 定 の関 与 が 可 能で あ っ て も

、主 婦 連 ジ ュー ス 事 件 に 象徴 さ れ る よう に

、 実 際の 法 運用 に お い ては

、 消 費 者 の関 与 に は 慎重 な 姿 勢 が続 け ら れ た

。 し か し

、 一九 七

〇 年 代か ら 八

〇 年 代に か け て

、消 費 者 安 全 をめ ぐ る 問 題に 加 え て

、 訪問 販 売 や マル チ 商 法 など 消 費者 契 約 を めぐ る ト ラ ブ ルが 続 出 し

、さ ら に は 消費 者 信 用 取 引を め ぐ る 紛争 も 発 生 す るな ど

、 消 費者 契 約 適 正化 の 取り 組 み が 大き な 焦 点 と なっ て い っ た。 そ し て

、消 費 者 選 択 の適 正 化 の 一環 と し て 個 別法 領 域 ご との 部 分 的 な対 応 が取 ら れ

、 一九 七 二 年 に 割賦 販 売 法 が改 正 さ れ たほ か

、 一 九 七六 年 に 訪 問販 売 法

( 二

〇〇

〇 年 に 法律 名 を 特 定 商取 引法 に 変 更

)が

、 ま た 一 九八 三 年 に は貸 金 業 規 制 法( 二

〇 六年 に 法 律 名を 貸 金 業 法 に変 更

) が それ ぞ れ 制 定 され てい る

。 こ のう ち

、 割 賦 販売 法 の 一 九七 二 年 改 正 では

、 わ が 国に 初 め て クー リ ン グ

・ オフ 制 度 が 導入 さ れ

、 そ の後 制定 さ れ た 訪問 販 売 法 に もク ー リ ン グ・ オ フ 権 に 関す る 規 定 が設 け ら れ

、民 事 ル ー ル とし て 消 費 者個 人 が 自 ら のイ ニシ ア テ ィ ブに よ っ て 被 害防 止 を 図 るこ と が で き る仕 組 み が よう や く 出 来上 が っ た

。 この よ う に

、消 費 者 が 選 択適 正化 の た め の施 策 に 主 体 的に 関 与 し うる よ う に な った 点 に つ いて は

、 特 に 注目 し て お く必 要 が あ ろう

。 と こ ろ で

、 一九 八

〇 年 代は

、 わ が 国の 経 済 社 会 のあ り 方 に 大き な 変 更 を 迫っ た 国 際 摩擦 の 激 化 やそ れ を 背 景 とし て行 わ れ た 規 制緩 和 が 次 第に 進 め ら れて い っ た 時 期で あ る

。 なか で も

、 一 九八 五 年 の アク シ ョ ン プロ グ ラ ム で は安 全規 制 の 緩 和 が行 わ れ

、 その 後 次 々 に安 全 規 制 は 後退 し て い った

。 ま た

、一 九 八 九 年 から 翌 年 に かけ て 行 わ れた 日 米構 造 問 題 協議 に お い て は、 小 売 流 通に 対 す る 政府 規 制 の 緩 和と 競 争 政 策の 強 化 が 合 意さ れ

、 一 九九 五 年 に 始ま る 規制 緩 和 推 進計 画 へ と 繋 がっ て い っ た。 一 九 八

〇年 代 に 世 界 的潮 流 と な った 自 由 化

・ 規制 緩 和 の 動き は

、 わ が国 で

(7)

も一 九 九

〇 年代 に 本 格 化し

、「 規 制 から 競 争 へ

」 とい う 経 済 社 会 の 変 化 に 合 わ せ て そ れ を 支 え る 法 制 度 も 大 幅 に 見 直し が 進 め られ る こ と に なっ た

。 そ の結 果

、 わ が国 の 経 済 政 策は 従 来 の 政府 規 制 に よ る産 業 保 護 政策 か ら 競 争政 策 へと そ の 重 心が 移 り

、 消 費者 政 策 も 従来 の 規 制 によ る 消 費 者 保護 の 政 策 から

「 自 立

」 した 消 費 者 象を 前 提 と し た政 策へ の 転 換 が図 ら れ る こ とと な る

。 二

〇 年に 制 定 さ れた 消 費 者 契 約法 に お い ては

、 こ の よ うな 政 策 転 換に 伴 い

、 消 費者 が 市 場 にお い て

「 自立

」 して 選 択 行 動を 取 れ る よ うに す る た めに

、 構 造 的に 存 在 し て いる 事 業 者 と消 費 者 と の 格差 を 踏 ま えた 新 た な 消費 者 契約 全 般 に 関す る 民 事 ル ール が 導 入 され た

。 そ して

、 消 費 者 政策 の 基 本 的枠 組 み を 定 めた 消 費 者 保護 基 本 法 も全 面 的な 見 直 し が行 わ れ

、 二

〇〇 四 年 改 正に お い て

、法 律 名 か ら

「保 護

」 を 削除 し て 消 費 者基 本 法 と なる と と も に

、こ れま で 国 内 外の

「 消 費 者 の権 利 宣 言

」等 で 確 認 さ れて き た 様 々な 消 費 者 の権 利 を 尊 重 すべ き こ と を謳 っ た 消 費 者政 策の 基 本 理 念が 新 た に 規 定さ れ た

( 消費 者 基 本 法 第 二 条 第 一 項

)。 さ ら に

、従 来 の 各 施 策 に 加 え て

「 消 費 者 契 約 の 適正 化

」 が 盛り 込 ま れ

( 第一 二 条

)、 今 日 の 消 費 者政 策 に お い て 消 費 者 契 約 を め ぐ る 問 題 が 重 要 な 柱 と な っ て き て いる こ と に 対応 し た 措 置 が取 ら れ た

。 こ の よ う に、 一 九 八

〇 年代 か ら 九

〇年 代 に か けて 進 め ら れ た規 制 緩 和 とい う 経 済 社 会に お け る 極め て 大 き な 政策 転換 に 対 応 して

、 消 費 者 政策 も

「 保 護か ら 自 立 へ

」と 政 策 転 換が 図 ら れ たわ け で あ る が、 消 費 者 契約 の 領 域 で 消費 者の 権 利 を 具体 化 し た と いう 点 で 一 定の 評 価 を 受 ける こ と は でき る と し ても

、 消 費 者 安全 の 領 域 にお い て い っ そう 問 題 が 深 刻 化 し た こ と を 見 落 と す べ き で は な い

。 消 費 者 安 全 規 制 の 緩 和 は

、他 分 野 の 規 制 緩 和 に 先 駆 け て 進 め ら れ、 今 世 紀 に入 る と 食 品 の安 全 性 を めぐ る 問 題 を はじ め と し て、 様 々 な 消 費者 安 全 を めぐ る 問 題 が噴 出 し た

。 二〇

〇三 年 に は 食 品安 全 基 本 法を 中 心 に 食品 安 全 関 係 法制 が 整 備 され た が

、 そ の後 も パ ロ マ湯 沸 器 リ コー ル 事 件

( 二〇 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

(8)

〇六 年

) に 対す る 行 政 の対 応 の 遅 れ や、 相 次 ぐ 食 品 表 示 偽 装 事 件 の 発 覚

( 二

〇 七 年

)、 さ ら に は 中 国 製 毒 入 り 餃 子事 件

( 二

〇〇 八 年

) に対 す る 対 応 の拙 さ な ど

、安 全 性 に 対 する 消 費 者 の信 頼 を 損 なう 事 件 が 続 出し

、 こ れ を契 機 に消 費 者 行 政そ の も の を見 直 す 事 態 に至 っ た

。 二〇

〇 七 年 九 月に 発 足 し た福 田 内 閣 は

、二

〇 八 年一 月 の 最 初の 施 政方 針 演 説 で、 そ れ ま で の産 業 優 先 の政 策 を 見 直 し

、「 生 活 者

・ 消 費 者 が 主 役 と な る 社 会 を 実 現 す る

『 国 民 本 位 の 行財 政 へ の 転換

』」 を

「 基本 方 針 の 第 一」 に 掲 げ

、 消 費 者 行 政 の 一 元 化 を 打 ち 出 し た

。 そ の 後

、 与 野 党 の 消 費 者 行 政一 元 化 に 対す る 考 え 方 に大 き な 隔 たり が あ っ たこ と か ら

、 様々 な 議 論 を呼 ん だ が

、 結局 は

「 消 費者 を 主 役 とす る 政府 の 舵 取 り役

」 と し ての 消 費 者 庁 が内 閣 府 の 外局 と し て 創 設さ れ る と とも に

、 政 府 案で は 消 費 者庁 の 単 な る諮 問 機関 と し て 位置 付 け ら れ てい た 消 費 者委 員 会 が 独自 の 事 務 局 を有 す る 第 三者 機 関 と し て発 足 し

、 消費 者 の 立 場か ら 政策 を 展 開 する 行 政 組 織 へと 大 胆 な 改革 が 進 め られ た

。 か く し て

、消 費 者 の 権利 の 尊 重 が 消費 者 政 策 の基 本 理 念 と して 消 費 者 基本 法 に 明 確 に位 置 づ け られ る よ う にな っ たこ と に 加 えて

、 消 費 者 政策 を 担 う 行政 組 織 も 消費 者 の 立 場 から 政 策 展 開を 図 れ る 組 織へ と 改 編 され た こ と は、 消 費者 の 権 利 法 の 実 現 とい う 観 点 か らす れ ば

、 極め て 大 き な 意義 を 有 す る出 来 事 で あ った と い え よう

2消費者法制の変容

上 述

(二1

) し た よ う に、 消 費 者 政策 が 消 費 者の 保 護 を 目 指す も の か ら消 費 者 の

「 自立

」 を 促 すも の へ と 政策 転 換が 図 ら れ たこ と に 伴 い

、消 費 者 法 制も

、 近 年

、大 き く 変 容 して き て い る。 か つ て の 消費 者 保 護 政策 は

「 消 費者 保 護法

」 に よ り展 開 さ れ て きた が

、 そ れは 民 法 を 中心 と す る 私 法秩 序 を 改 変す る も の で はな く

、 消 費者 の 安 全 確 保や

(9)

不当 な 消 費 者取 引 か ら の被 害 を 防 止 する た め に

、公 法 的

・ 行 政的 な 事 業 活動 規 制 を 通 じて 消 費 者 保護 を 図 ろ うと す るも の で あ った

。 し た が って

、「 消 費者 保 護 法

」 は

「 公 法 的 規 制 に よ る 消 費 者 保 護 の 法 律 の 総 称

」 と い う 位 置 づ け がな さ れ て きた

、 い わゆ る 悪 徳

・ 悪質 商 法 が 横行 し

、 不 当 な勧 誘 方 法 や不 当 な 内 容 の契 約 な ど の消 費 者 契 約を め ぐる ト ラ ブ ルが 続 出 し

、 公法 的 な 事 業活 動 規 制 法の 中 に は

、 民法 の ル ー ルに 修 正 を 加 える 新 た な 民事 ル ー ル が導 入 され

、 消 費 者の イ ニ シ ア ティ ブ に よ って 法 実 現 を図 る も の が 出て く る よ うに な る

。 一 九 六 一 年に 制 定 さ れ た割 賦 販 売 法は

、 割 賦 販売 等 に よ る 取引 の 公 正 と健 全 な 発 達 を図 る こ と によ り 商 品 の流 通 を円 滑 に す ると い う 目 的 を掲 げ

、 消 費者 法 と い うよ り も む し ろ業 界 秩 序 維持 法 と し て の性 格 が 強 い法 律 と し て 出発 した

。 し か し、 一 九 七 二 年の 法 改 正 にお い て

、 法 目的 に

「 購 入者 等 の 利 益を 保 護

」 す るこ と を 付 け加 え た う え で、 わが 国 で 初 めて と な る ク ーリ ン グ

・ オフ 制 度 を 導 入し て

、 消 費者 の 利 益 保護 を 図 る 消 費者 法 へ と 転化 し た

。 クー リ ング

・ オ フ は、

「 熟 慮 期 間制 度

」 な いし は

「 無 条 件 解 約 制 度

」 と 呼 ば れ

、 一 定 の 期 間 内 で あ れ ば 消 費 者 は 自 由 に 契 約の 拘 束 力 から 離 脱 す る こと の で き る制 度 で あ る

割 賦 販 売 法に お け る クー リ ン グ

・ オフ は 店 舗 外で 締 結 さ れた ク レジ ッ ト 契 約に 限 定 さ れ ては い た が

、こ の よ う な新 し い 民 事 ルー ル が 導 入さ れ た 背 景 とし て

、 消 費者 信 用 の 多様 化 に伴 っ て

、 金融 知 識 や 法 律知 識 に 乏 しい 消 費 者 が不 当 に 不 利 益を 受 け る 事例 が 続 出 し たこ と

、 消 費者 の 権 利 宣言 や 消費 者 運 動 の高 ま り と と もに 消 費 者 によ る 事 業 者に 対 す る 責 任追 及 の 動 きが 強 ま っ て きた こ と

、 さら に は イ ギリ ス の一 九 六 四 年割 賦 購 入 法

Hire-PurchaseAct1964

) で 割 賦 を利 用 し た 訪問 販 売 に 対 して す で に クー リ ン グ

・オ フ 制度 が 導 入 され て い た こ とな ど が 挙 げら れ よ う

。 ま た

、 一 九七

〇 年 代 は、 不 意 打 ち 性・ 攻 撃 性 の高 い 販 売 方 法や 複 雑 で 幻惑 的 な 商 法 をめ ぐ る 消 費者 ト ラ ブ ルが 続 出し た 時 代 であ る

。 ブ リ タニ カ 商 法 の告 発

( 一 九七

〇 年

)、 消火 器 の 訪 問 販売 を め ぐ る問 題 の 噴 出( 一 九 七 一 年)

、 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

(10)

SF

( 新 製 品普 及

) 商 法へ の 苦 情 続 出( 一 九 七 二 年)

、 さ ら に は マ ル チ 商 法 被 害 者 対 策 委 員 会 が 結 成 さ れ る ほ ど の マル チ 商 法 被害 の 拡 大

( 一九 七 五 年

)な ど

、 悪 徳・ 悪 質 商 法 に対 す る 新 たな 法 的 措 置 の必 要 性 を 痛感 さ せ る 事件 が 続き

、 一 九 七六 年 に 訪 問 販売 法 が 制 定さ れ た

。 同法 は

、 訪 問 販売

、 通 信 販売

、 連 鎖 販 売取 引

( マ ルチ 商 法

) と いう 三つ の 取 引 類型 を 規 制 対 象と し て お り、 勧 誘 の 際 の氏 名 等 の 明示 や 契 約 締結 の 際 の 書 面の 作 成

・ 交付 な ど を 事 業者 に義 務 づ け

、そ の 違 反 に 対し て は 行 政処 分 で も っ ての ぞ む と いう 行 政 に よる 事 業 活 動 規制 を 中 心 とし て 特 殊 販 売の 適正 化 を 図 ろう と す る も ので あ っ た

。し か し

、 同 法に も

、 割 賦販 売 法 と 同様 に

、 民 事 ルー ル と し ての ク ー リ ン グ・ オフ に 関 す る規 定 が 盛 り 込ま れ て お り、 訪 問 販 売 及び 連 鎖 販 売取 引 に 関 して は 短 い 期 間で は あ っ た

、 こ れ 以降

、 自ら の 意 思 のみ で 契 約 の拘 束 力 か ら 離脱 す る こ との で き る 制 度の 対 象 が 拡大 さ れ て い くこ と に な る。 一 九 八

〇 年代 に 入 る と

、消 費 者 契 約に 関 す る トラ ブ ル も 多 様化

・ 複 雑 化し て く る

。 訪問 販 売 法 の規 制 対 象 とな っ た 契 約 類 型 を め ぐ る ト ラ ブ ル も 依 然 と し て 少 な く な か っ た が

、さ ら に 新 し い 取 引 類 型 を め ぐ る ト ラ ブ ル が 続 出 し た

特 に

、 一九 八 五 年 の豊 田 商 事 事 件や 抵 当 証 券、 海 外 先 物 取引 な ど を めぐ る 消 費 者 被害 事 件 が 多発 し

、 消 費者 行 政の 問 題 点 が指 摘 さ れ る とと も に

、 消費 者 契 約 に関 す る 法 制 度の 不 備 も 露呈 し た

。 ク ーリ ン グ

・ オフ 制 度 は

、宅 地 建物 取 引 業 法に も 一 九 八

〇年 改 正 で 不当 勧 誘 行 為規 制 と と も に導 入 さ れ

、ま た

「 海 外 商品 市 場 に おけ る 先 物 取引 の 受託 等 に 関 する 法 律

」( 一九 八 一 年 制定

)、 豊 田 商事 事 件 を 契 機と し て 制 定さ れ た

「 特定 商 品 等 の 預託 等 取 引 契約 に 関す る 法 律

」( 一 九 八 六 年制 定

)、

「 抵当 証 券 業 の 規制 等 に 関 する 法 律

」( 一九 八 八 年 制定

) な ど に も盛 り 込 ま れた

。 さ ら に

、 クー リ ン グ

・オ フ に 加 え て、 割 賦 販 売法 に は

、 一 九八 四 年 の 改正 に よ り 抗 弁権 の 接 続 規定 が 設 け られ

、 割賦 購 入 あ っせ ん と ロ ー ン提 携 販 売 とい う 三 者 以上 の 取 引 類 型に お け る クレ ジ ッ ト 契 約で は

、 販 売業 者 に 対 する 支 払拒 絶 事 由 をも っ て 信 用 供与 者 に も 対抗 で き る こと に な り

、 消費 者 が 自 らの イ ニ シ ア ティ ブ で 被 害の 拡 大 防 止を 図

(11)

る途 が 開 か れた

。 た だ

、こ の 抗 弁 権 接続 規 定 の 意味 す る と こ ろは

、 販 売 業者 に 支 払 い を拒 絶 し う る事 由 が 存 在し て いる 間 は

、 それ を 以 て 単 に信 用 供 与 者へ の 立 替 払契 約 に 基 づ く支 払 い を 拒絶 し う る に すぎ な い も のと さ れ

、 債務 の 消滅 や 既 払 金の 返 還 ま で は認 め ら れ ず

悪 徳

・ 悪質 商 法 か ら の消 費 者 被 害の 救 済 と い う点 で 実 効 性に 乏 し い とい う 批判 が 強 か った

。 一 九 九

〇 年代 は

、 一 九 八〇 年 代 に 推し 進 め ら れた 規 制 緩 和 が一 九 九

〇 年の 日 米 構 造 問題 協 議 で の合 意 を 経 て質 的 に変 化 し た 時代 で あ る

。 すな わ ち

、 一九 八

〇 年 代の 規 制 緩 和 は、 消 費 者 安全 規 制 の 緩 和を 除 い て

、既 得 権 益 を有 す る事 業 者 側 の「 総 論 賛成

、 各 論 反対

」 と い う強 い 抵 抗 に 遭い

、 遅 々 とし て 進 ま な かっ た が

、 一九 九

〇 年 の日 米 合意 と そ の 後の フ ォ ロ ー アッ プ 会 合 では

、 競 争 政策 の 強 化 と 一段 の 政 府 規制 の 緩 和 が 求め ら れ

、 結局 一 九 九 五年 以 降の

「 規制 緩 和 推 進計 画

」と な っ て あら ゆ る 分 野 で規 制 緩 和 が進 め ら れ た

。そ し て、 見 直し の 対 象 とな っ た 規 制は

、 需給 調 整 を 行う

「 経 済 的 規制

」 だ け では な く

、 消費 者 安 全 規 制な ど の 消 費者 保 護 に 関 する

「 社 会 的規 制

」 も 含ま れ てお り

、 消 費者 被 害 の 救 済や 消 費 者 取引 の 適 正 化へ 向 け た 取 り組 み が 強 く求 め ら れ る よう に な る

。か ね て よ り欠 陥 製造 物 に よ る消 費 者 被 害を 救 済 す る ため に

、 民 法の 過 失 責 任 制度 を 厳 格 責任 に 転 換 す るこ と の 必 要性 が 指 摘 され て きた が

、 一 九九

〇 年 代 に 入る と 製 造 物責 任 法 の 制定 を 求 め る 消費 者 運 動 もそ の 広 が り を見 せ

、 よ うや く 一 九 九四 年 に法 制 化 さ れた

。 た だ し

、広 く 適 用 除外 が 認 め られ て い る こ とや 欠 陥 の 推定 規 定 の 導 入が 見 送 ら れた こ と

、 さら に は開 発 危 険 の抗 弁 が 認 め られ た こ と など

、 被 害 救済 の 実 効 性 とい う 点 で は不 十 分 な も のに と ど ま った

。 し か し

、こ れに よ り 安 全性 を 欠 い た 商品 に よ る 拡大 損 害 に 対 して

、 消 費 者が 民 事 救 済を 受 け る 際 に、 消 費 者 にと っ て は 大 きな 壁と な っ て いた 過 大 な 立 証責 任 の 一 部が 軽 減 さ れ るこ と に な り、 僅 か な 一歩 で は あ る もの の 民 事 ルー ル に お け る前 進と 捉 え る こと が で き よ う

消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

) 一 一

(12)

そ し て

、 一九 八

〇 年 代か ら 九

〇 年 代に か け て 進め ら れ て き た規 制 緩 和 によ る 経 済 社 会シ ス テ ム の大 転 換 は 個別 の 法領 域 は も ちろ ん の こ と

、司 法 制 度 その も の さ えも 大 き く 揺 さぶ り

、 様 々な 側 面 か ら 司法 制 度 改 革が 進 め ら れる こ とと な っ た

。今 世 紀 に 入 って こ こ 一

〇年 は

、 消 費者 法 の 領 域 では ド ラ ス ティ ッ ク な 変 化が 見 ら れ る。 二

〇年 に は、 す べ て の消 費 者 契 約 を対 象 と す る消 費 者 契 約法 が 制 定 さ れ、 不 当 勧 誘行 為 に 対 す る消 費 者 の 取消 権 と 不 当 契約 条項 に 対 す る無 効 が 定 め られ た

。 当 初の 構 想 に あ った 事 業 者 の情 報 提 供 義務 と 義 務 違 反に 対 す る 取消 権 が 事 業 者側 の強 い 抵 抗 に遭 っ て 結 局 盛り 込 ま れ なか っ た り

、 取消 権 の 対 象と な る 不 当勧 誘 行 為 が 限定 的 で 狭 く、 ま た 無 効 とな る 不 当 契 約 条 項 の リ ス ト 化 が 十 分 で な か っ た り す る な ど、 法 制 定 を 求 め て き た 消 費 者 の 期 待 を や や 裏 切 る も の と なっ て し ま っ た

し か し、 取 引 の 専 門家 で あ る 事業 者 と 生 活 をす る う え で取 引 社 会 の 中に 組 み 込 まれ て し ま う消 費 者と の 間 で 締結 さ れ る 契 約に あ っ て は、 契 約 当 事者 を 対 等 な もの と し て 取り 扱 う 法 制 度は バ ラ ン スを 欠 く 結 果を 招 来す る だ け であ り

、 両 者 の情 報 力

・ 交渉 力 に お ける 歴 然 と し た構 造 上 の 格差 を 直 視 し た法 制 度 を 創設 し よ う とす る 試み は

、 ま さに 時 代 の 要 請に 適 っ た もの で あ る

。 ま た

、 二

〇〇

〇 年 に は

、消 費 者 契 約法 の 制 定 に加 え て

、 金 融商 品 販 売 法が 制 定 さ れ たほ か

、 訪 問販 売 法 が 改 正さ れ て 特 定 商 取 引 法 と な っ て い る。 金 融 商 品 販 売 法 は

、 金 融 商 品 販 売 業 者 と そ れ 以 外 の 者 と の 金 融 商 品 取 引 に 関 し て、 民 法 の 不法 行 為 責 任 の特 則 を 定 める も の で ある

。 同 法 は

、金 融 商 品 販売 業 者 に 金 融商 品 取 引 に関 す る 重 要 事項 の説 明 義 務 を課 し た う え で、 義 務 違 反に 対 す る 損 害に 対 し て は、 損 害 額 の推 定 規 定 を 置い て

、 被 害者 の 立 証 責 任の 軽減 を 図 っ てい る

。 そ の後

、 二

〇 三年 改 正 で

、断 定 的 判 断 の提 供 禁 止 規定 が 加 わ り

、禁 止 規 定 違反 に 対 し ても

、 同様 の 立 証 責任 軽 減 が 図 られ て い る

。 一 方

、 訪 問販 売 法 は

、 一九 九 六 年 改正 で 規 制 対象 に 電 話 勧 誘販 売 が 追 加さ れ て

、 行 為規 制 と ク ーリ ン グ

・ オフ が

一 二

(13)

定 め ら れ た

。 さ ら に、 一 九 九 九 年 改 正 で 特 定 継 続 的 役 務 提 供 規 制 が 追 加 さ れ

、 行 為 規 制 と 中 途 解 約 権 が 定 め ら れ た。 と り わ け、 消 費 者 の 中途 解 約 権 の制 度 化 は

、契 約 の 拘 束 力か ら 離 脱 する た め の 新 たな 民 事 ル ール を 追 加 した も ので

、 消 費 者取 引 の 適 正 化を 図 る う えで 極 め て 重要 で あ る

。 そし て

、 二

〇〇

〇 年 の 改 正は

、 法 律 名を 特 定 商 取引 法 に 変 更 す る と と も に

、 業 務 提 供 販 売 取 引 を 新 た に 規 制 対 象 に 加 え

、 行 為 規 制 と ク ー リ ン グ

・オ フ が 定 め ら れ た ほ か、 連 鎖 販 売取 引 と イ ン ター ネ ッ ト 通販 の 規 制 を強 化 し た

。 こう し て

、 同法 は

、 次 第 に規 制 対 象 を拡 大 し な がら

、 特定 商 取 引 に関 す る 行 政 的規 制 だ け では な く

、 民事 ル ー ル と して も 重 要 な役 割 を 演 ず るよ う に な る。 な か で も

、二

〇 四 年 の 改 正 は

、 民 事 ル ー ル と し て 重 要 な 権 利 が 付 け 加 え ら れ た。 そ れ ま で は

、 不 当 勧 誘 行 為 を 禁 止 し た う え で、 も し そ の違 反 が あ っ た場 合 に は 指示 や 命 令 な どの 行 政 的 な措 置 で 対 応す る こ と に なっ て い た が、 そ れ に 加 えて 不 当 勧 誘 行 為 の 一 部 に 対 し て 取 消 権 が 消 費 者 に 与 え ら れ た

も ち ろ ん、 消 費 者 契 約 法 の 不 当 勧 誘 行 為 に 該 当 す れ ば、 消 費 者 は取 消 権 を 行使 で き る の であ る が

、 特定 商 取 引 法 でも

、 六 つ の規 制 対 象 行 為類 型 の う ち、 訪 問 販 売( 第 九条 の 二

)、 電 話勧 誘 販 売( 第 二 四 条の 二

)、 連 鎖販 売 取 引( 第 四

〇条 の 三

)、 特 定継 続 的 役 務提 供( 第 四 九 条 の二

) 及び 業 務 提 供誘 引 販 売 取 引( 第 五 八 条の 二

) の 五類 型 に お い て、 不 実 告 知及 び 故 意 の 事実 不 告 知 があ っ た 場 合に

、 取 消 権 の 行 使 が 可 能 と な っ た。 特 定 商 取 引 法 に お け る 取 消 権 は 不 実 告 知 及 び 故 意 の 事 実 不 告 知 に 限 定 さ れ て い る が、 消 費 者 契約 法 の 不 実 告知 及 び 故 意の 事 実 不 告 知 に よ る 取 消 権 と 比 べ て

、「 重 要 事 項

」に 限 定 さ れ て い な い こ と から

、 そ の 適用 範 囲 は 広 くな っ て い る

さ ら に

、特 定 継 続 的 役務 提 供 で 認め ら れ て い た中 途 解 約 権が 連 鎖 販 売取 引 に拡 大 さ れ たこ と も

、 民 事ル ー ル の 充実

・ 整 備 とい う 観 点 か らは 見 逃 せ ない 改 正 点 で ある

。 次 に

、 消 費者 契 約 法 の 二〇

〇 六 年 改正 に お い て消 費 者 団 体 訴訟 制 度 が 創設 さ れ た こ とは

、 そ れ が消 費 者 契 約法 の 不当 勧 誘 行 為と 不 当 契 約 条項 の 差 止 めに 限 定 さ れる も の の

、 消費 者 法 の 実現 に と っ て

、画 期 的 と もい え る 重 要な 意 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

) 一 三

(14)

義 を 有 す る も の で あ る

。 消 費 者 個 人 に よ る 被 害 予 防 や 救 済 の た め の 民 事 ル ー ル の 整 備 が 進 め ら れ て き た が

、 後 述

(三1

) す る よう に

、 個 々の 消 費 者 が自 ら の イ ニ シ ア テ ィ ブ で 権 利 実 現

・法 実 現 を 図 る と い っ て も

、 そ の 力 に は 限 界が あ り

、 また 消 費 者 問 題は 消 費 者 個人 の 問 題 で ある と 同 時 に消 費 者 全 体の 問 題 で も ある

。 し た がっ て

、 消 費 者全 体の た め に 消費 者 団 体 が 権利 実 現

・ 法実 現 の 過 程 に関 与 し う る制 度 の 創 設は

、 消 費 者 法の 発 展 過 程に お い て 極 めて 意義 深 い 出 来事 と い え よ う。 そ し て

、 二〇

〇 八 年 に は、 複 雑 化

・巧 妙 化 し て いる 悪 徳

・ 悪質 商 法 に 対応 す る た め に、 特 定 商 取引 法 と 割 賦 販売 法が 一 体 で 改正 さ れ

、 指 定制 の 廃 止 や信 用 供 与 者 の責 任 強 化 など

、 法 制 定 以来 最 も 大 規模 な 見 直 しが 行 わ れ た

な かで も

、 民 事ル ー ル に 関し て は

、 訪 問販 売 に お ける 過 量 販 売 取消 権

、 通 信販 売 に お け る返 品 制 度

、ク ー リ ン グ・ オ フ制 度 の 拡 大、 抗 弁 対 抗 の場 合 の 既 払金 の 返 還 など

、 い ず れ も重 要 な 改 正が 行 わ れ て いる

。 こ れ に加 え て

、 上述 の 消費 者 団 体 訴訟 制 度 は

、 特定 商 取 引 法に も 拡 大 され

、 消 費 者 契約 法 の 手 続き に 基 づ い て認 定 さ れ た適 格 消 費 者団 体 に対 し て

、 上記 五 類 型 の 不当 行 為 に 対し て 差 止 請求 権 が 付 与 され て い る

。な お

、 景 品 表示 法 は 民 事ル ー ル を 定 める もの で は な いが

、 同 様 に 二〇

〇 八 年 改正 に お い て

、不 当 表 示 に対 し て 適 格消 費 者 団 体 によ る 差 止 訴訟 の 提 起 が 可能 にな っ た

。 以 上 の よ うに

、 一 九 九

〇年 代 以 降

、と り わ け 今 世紀 に 入 っ て消 費 者 法 は変 容 し

、 従 来の 行 政 規 制を 中 心 と し た消 費者 保 護 法 から

、 そ の 行 政規 制 に 加 えて

、 消 費 者 及び 消 費 者 団体 の イ ニ シア テ ィ ブ に よる 権 利 実 現・ 法 実 現 を 図る 仕組 み が そ の大 き な 柱 の 一つ に 成 長 した 新 し い 消 費者 法 へ と その 姿 を 変 えつ つ あ る

一 四

(15)

三 権 利

法 の 実 現 に お け る 消 費 者 個 人 の 役 割

1消費者の権利と消費者法

消 費 者 法 は、 消 費 者 問題 に 対 応 す べく 消 費 者 の権 利 確 保 と いう 観 点 か ら形 成 さ れ て きた 一 群 の 法制 度 で あ る。 す なわ ち

、 消 費者 問 題 は 一 九六

〇 年 代 に顕 在 化 し

、消 費 者 保 護 の必 要 性 が 叫ば れ る よ う にな っ た こ とは 上 述

(二1

) のと お り で ある が

、 消 費 者問 題 の 拡 大・ 深 刻 化 に伴 っ て

、 本 来、 法 制 度 の中 で 保 障 さ れて い る べ き消 費 者 の 利益 と は何 か を 確 認し

、 そ れ を 消費 者 の 権 利と し て 宣 言し た う え で

、権 利 の 具 体化 を 図 る 消 費者 政 策 を 展開 す る た め の裏 づけ と し て の法 制 度 と し て、 生 成

・ 発展 し て き た のが 消 費 者 法で あ る

。 よ く 知 ら れて い る よ う に、 最 初 の 消費 者 の 権 利 宣言 は

、 一 九六 二 年 の アメ リ カ に お ける 消 費 者 の四 つ の 権 利 であ る。 ア メ リ カで は 当 時 深 刻な 消 費 者 問題 が 発 生 し てお り

、 ケ ネデ ィ ー 大 統領 は

「 消 費 者保 護 に 関 する 特 別 教 書

」を 連邦 議 会 に 送り

、 漓「 安 全で あ る 権 利(righttosafety

)」

、 滷「 知 る 権 利

righttobeinformed

)」

、 澆「 選ぶ 権 利(righttochoose

)」

、 潺「 意 見 を 聴 いて も ら う 権利

righttobeheard

)」 の 四 つを 今 日 の 経 済社 会 に お いて 早 急に 確 立 さ れる べ き 権 利と し て 提 示 した

。 一 九 五〇 年 代 か ら 六〇 年 代 に かけ て

、 消 費 者問 題 は 世 界各 地 で 深 刻な 社 会問 題 と し てク ロ ー ズ ア ップ さ れ て いた が

、 ケ ネデ ィ ー 教 書 にお け る 消 費者 の 権 利 宣 言の 影 響 は 極め て 大 き いも の があ っ た

。 その 後

、 ニ ク ソン 政 権 や フォ ー ド 政 権で も 同 様 の

「消 費 者 保 護に 関 す る 特 別教 書

」 が 議会 に 送 ら れ、 潸

「消 費 者 教 育 を受 け る 権 利(righttoconsumereducation

)」 や 澁「 被 害 救済 を 受 け る権 利

righttoredress

)」 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

) 一 五

(16)

が追 加 さ れ た。 わ が 国 で も、 ケ ネ デ ィー 教 書 の 翌 年に 国 民 生 活向 上 対 策 審 議会 が ま と めた

「 消 費 者 保護 に 関 す る答 申

」 に おい て 同様 の 権 利 宣言 が な さ れ ると と も に

、こ れ ら の 権利 実 現 に 向 けた 消 費 者 行政 を 強 化 す るた め の 法 律の 整 備

、 行政 へ の消 費 者 意 見の 反 映

、 さ らに は 消 費 者行 政 の 総 合調 整 機 関 の 創設 な ど が 提言 さ れ た

。し か し

、 よ うや く 一 九 六八 年 にな っ て 制 定さ れ た 消 費者 保 護 基 本 法に は

、 消 費者 の 権 利 に つい て 何 ら 言及 す る 規 定 は設 け ら れ なか っ た

。 すな わ ち、 同 法 の 目的 は

、「 消 費者 の 利 益 の擁 護 及 び 増 進 に 関 す る 対 策 の 総 合 的 推 進 を 図 り

、も つ て 国 民 の 消 費 生 活 の 安 定及 び 向 上 を確 保 す る こ と」

( 第 一 条) に あ り

、「 国

、 地 方 公 共団 体 及 び 事業 者 の 果 たす べ き 責 務 並び に 消 費 者の 果 たす べ き 役 割を 明 ら か に する と と も にそ の 施 策 の基 本 と な る 事項 を 定 め

」て い る

( 第 二条

) に す ぎず

、 消 費 者の 具 体的 権 利 と して だ け で は なく

、 政 策 目標 と し て も消 費 者 の 権 利を 掲 げ る こと は な か っ た。 そ の 後

、 国際 機 関 や 国 際団 体 に よ る消 費 者 の 権 利宣 言

・ 消 費者 保 護 へ の取 り 組 み が 進め ら れ る ほか

、 法 制 度 の中 で政 策 目 標 とし て あ る い は具 体 的 権 利と し て 消 費 者の 権 利 を 掲げ る 国 々 が現 れ る よ う にな る

。 ま ず、 一 九 七 五年 に EE C 閣 僚 理事 会 で

「 消費 者 保 護 及 び情 報 政 策 に関 す る 基 本 計画

」 が 初 めて 採 択 さ れ た。 同 計 画 の中 で は

、 アメ リ カ で の 消 費 者 の 権 利 宣 言 を 受 け て

、ほ ぼ そ れ に 相 当 す る 五 つ の 権 利

( 安 全 に 関 す る 権 利

、経 済 的 利 益 に 関 す る 権 利、 救 済 を 受け る 権 利

、 情報 と 教 育 に関 す る 権 利、 消 費 者 意 見に 関 す る 権利

) が 掲 げ られ

、 こ れ ら各 権 利 の 具 体化 が加 盟 国 に 共通 す る 政 策 目標 と な っ た。 そ れ 以 降

、E C 及 び 現在 の E U に至 る ま で

、 消費 者 の 権 利実 現 が 共 通 の目 標 と な っ て お り

、E U 設 立 条 約 に も EU が 消 費 者 の 権 利 実 現 に 取 り 組 む べ き こ と が 定 め ら れ て い る

(第 一 五 三 条)

。 ま た

、 国際 連 合 に おい て も

、 一 九八 五 年 に

「 消 費 者 保 護 の た め の ガ イ ド ラ イ ン

」 が 総 会 決 議 で 採 択 さ れ

、そ の中 で 消 費 者は 安 全 で あ る権 利 と 公 正か つ 継 続 的 な経 済 社 会 に関 す る 権 利

(知 る 権 利

、選 ぶ 権 利

、救 済 を 受 け る権

一 六

(17)

利な ど に 相 当す る も の

)を 有 す べ き こと が 確 認 され て い る

。 一方

、 消 費 者団 体 の 国 際 組織 で あ る IO C U

Inter-

nationalOrganizationofConsumersUnions

、 一九 九 五 年 から C IConsumersInternational

に名 称 変 更

)は

、 ケネ デ ィ ー 教書 の 四 つ の権 利 を 出 発 点に さ ら に 救済 を 受 け る 権利 や 消 費 者教 育 を 受 け る権 利 な ど 四つ の 権 利 を付 け 加え た 権 利 宣言 を 行 い

、 消費 者 の 八 つの 権 利 の 実現 に 向 け た 消費 者 運 動 を展 開 し て い る

次 に

、 法 制度 の 中 で 消費 者 の 権 利 宣言 を 行 っ てい る 事 例 と して は

、 一 九七 九 年 に タ イで 制 定 さ れた 消 費 者 保護 法 があ る

。 同 法は

、 消 費 者に

「 知 る 権 利」

、「 選 ぶ 権利

」、

「 安 全で あ る 権 利

」及 び

「 補 償を 受 け る 権利

」 の 四 つ の権 利 があ る こ と を規 定 し て お り、 そ の 権 利実 現 の た め に 消 費 者 保 護 委 員 会 が 創 設 さ れ て い る

( 第 四 条

)。 そ の 後、 同 法 は、 一 九 九 八年 の 法 改 正 によ り

「 公 正な 取 引 に 関す る 権 利

」 が追 加 さ れ

、現 在 で は 五 つの 権 利 が 消費 者 保 護 委 員会 によ っ て 保 障さ れ て い る

。な お

、 一 九九 七 年 に は

、憲 法 上 で も国 民 の 権 利と し て 消 費 者の 権 利 の 保障 に 関 す る 規定 が設 け ら れ

(第 五 七 条

)、 そ の 後 の 政 変に よ り 新 たに 制 定 さ れ た 二

〇 七 年 憲 法 で は 情 報 及 び 請 願 に 関 す る 権 利 と して

、 消 費 者の 知 る 権 利 と被 害 救 済 を 請 願 す る 権 利 が 保 障 さ れ て い る

( 第 六 一 条

)。 ま た

、 韓 国 で は

、 わ が 国 の 消 費者 保 護 基 本法 を モ デ ル にし て 一 九 八〇 年 に 制 定さ れ た 消 費 者保 護 法 の 中に

、 一 九 八 六年 の 改 正 によ り 消 費 者の 権 利が 盛 り 込 まれ

、 I O C Uの 八 つ の 権利 に ほ ぼ 相当 す る 権 利 が掲 げ ら れ てい る

。 さ らに

、 中 国 で も、 一 九 九 三年 に 制定 さ れ た 消費 者 権 益 保護 法 で 九 つ の 消 費 者 の 権 利 が 盛 り 込 ま れ た

。そ の 中 に は

、「 安 全 で あ る 権 利

」や

「 知 る 権 利」

、「 選 ぶ 権 利

」 な ど こ れ ま で の 消 費 者 の 権 利 宣 言 に ほ ぼ 沿 っ た 権 利 が 掲 げ ら れ て い る も の の、 消 費 者 の

「 人 格 権」 や 消 費 者に よ る

「 監 視権

」 と い った 中 国 特 有の 事 情 を 反 映し た 権 利 も含 ま れ て い る。 そ し て

、 わが 国 で も よ うや く 二

〇四 年 の 消 費者 保 護 基 本 法の 改 正 に よっ て

、 消 費 者政 策 の 基 本理 念 が 示 さ れ、 その 中 に 消 費者 の 権 利 が 掲げ ら れ る よう に な っ た

。消 費 者 基 本法 第 二 条 第一 項 で は

、 次の よ う に

、 漓「 安 全 で ある 消 費 者 法 の 展 開 と 権 利 法 の 実 現

(都 法 五 十 一

) 一 七

(18)

権利

」、 滷「 選 ぶ 権利

」、 澆「 知 る 権利

」、 潺「 消 費者 教 育 を 受け る 権 利

」、 潸「 意 見 を 聴い て も ら う 権利

」及 び 澁「 被 害 救 済 を 受 け る 権 利

」 の 六 つ の 消 費 者 の 権 利 を 示 し た う え で

、 そ の 権 利 を 尊 重 し た 消 費 者 政 策 の 展 開 を 求 め て い る。

消 費 者の 利 益 の 擁 護及 び 推 進 に 関 す る 総 合 的 な 施 策

( 以 下

「消 費 者 政 策

」と い う。

) の 推 進 は

、 国 民 の 消 費 生 活 に おけ る 基 本 的 な需 要 が 満 たさ れ

、 そ の健 全 な 生 活 環境 が 確 保 され る 中 で

、 消費 者 の 安 全が 確 保 さ れ

、商 品 及 び 役務 に つ い て 消費 者 の 自 主的 か つ 合 理 的な 選 択 の 機会 が 確 保 され

、 消 費 者 に対 し 必 要 な情 報 及 び 教 育の 機 会 が 提供 さ れ

、 消 費者 の 意 見 が消 費 者 政 策 に反 映 さ れ

、並 び に 消 費者 に 被 害 が 生じ た 場 合 には 適 切 か つ 迅速 に 救 済 され る こ と が 消費 者 の 権 利で あ る こ と を尊 重 す る とと も に

、 消費 者 が 自 ら の利 益 擁 護 およ び 増 進 の ため 自 主 的 かつ 合 理 的 に 行動 で き る よう 消 費 者 の 自立 を 支 援 する こ と を 基本 に 行 わ れ なけ れ ば な らな い

。 と

こ ろ で

、消 費 者 の

「 権利

」 と い う 場 合

、 ど の よ う な 意 味 を 持 つ も の で あ ろ う か

。 す な わ ち

、「 権 利

」 と い っ て も、 そ れ を

「 人権

」 と し ての

「 権 利

」と 捉 え る の か、 政 策 目 標と し て の

「 権利

」 と 捉 える の か

、 消費 者 の 権 利 をど のよ う に 理 解 して お く か は、 消 費 者 法と 消 費 者 政 策を 考 え て いく う え で

、 重要 な 手 掛 かり と な る も ので あ る

。ケ ネ ディ ー 教 書 や国 連 の ガ イド ラ イ ン

、 さら に は E Uや I O C U など の 権 利 宣言 は い ず れ も消 費 者 政 策を 展 開 し てい く うえ で 目 標 とな る

「 権 利

」で あ る と いえ よ う

。 また

、 韓 国 や 中国 の 消 費 者法 に 規 定 さ れる 権 利 も 消費 者 個 人 の具 体 的な 私 法 上 の「 権 利

」 で ある か と い えば

、 政 策 目標 と し て の

「権 利

」 に 近い も の と 見 るべ き で あ ろう

。 た だ し、 韓 国で は

、 一 九八

〇 年 の 憲 法改 正 で 消 費者 保 護 運 動を 行 う こ と を国 民 の 権 利と し て 認 め るよ う に な った こ と か ら

、消

一 八

参照

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② 

江口 文子 主な担当科目 現 職 消費者法 弁護士 現代人権論. 太田 健義

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その2年目にはその数798件におよんだ。 その 届出相談, および行政にたし、する大衆からの