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研 究 進 捗 状 況 報 告 書 九州保健福祉大学大学院

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Academic year: 2021

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研 究 進 捗 状 況 報 告 書

九州保健福祉大学大学院 医療薬学研究科長 殿

学生番号:11D1603 氏名:津波古 梨花 指導教授:黒川 昌彦

【研究題名】

Naringenin suppresses neutrophil infiltration into adipose tissue in high-fat diet-induced obese mice

【投稿予定雑誌名】

Journal of Natural Medicines. 2020 Jan;74(1):229-237. (doi:10.1007/s11418-019-01332-5)

【要 旨】

現在、肥満は世界的な健康問題となっている。我が国でも、肥満が原因となる 2 型糖尿病やアテロ ーム性動脈硬化症などの肥満関連疾患の患者数は増加している。その結果、肥満関連疾患の年間医療 費が増大し社会問題となっている。このため、社会全体として健康食品やサプリメントなどの食品成 分によるセルフメディケーションが注目されている。しかし、食品成分の有用性評価は十分に行われ ていない。

肥満は慢性炎症性疾患であり、様々な免疫細胞が脂肪組織に浸潤することで炎症を引き起こす。こ れにより、脂肪組織の炎症が増悪し、炎症性アディポカインの分泌が増大することにより、インスリ ン抵抗性や 2 型糖尿病などの肥満関連疾患の発症に寄与する。免疫細胞の中でもマクロファージは、

肥満の進行期に脂肪組織へ浸潤することで炎症を引き起こす重要な役割を持つ。我々はこれまでに、

柑橘類フラボノイドのナリンゲニン(Nar)が、高脂肪食誘導性肥満の進行期において MCP-1 を抑制す ることで、脂肪組織へのマクロファージ浸潤を抑制することを報告している(Biochem Biophys Res Commun. 2014 Nov 7;454(1):95-101)。一方、肥満の脂肪組織への他の免疫細胞に対する Nar の影響 は不明である。好中球はマクロファージと同様に、高脂肪食負荷数日後から脂肪組織に浸潤し、好中 球エラスターゼを分泌することによりインスリン抵抗性を引き起こすことが報告されている。そこ で本研究では、脂肪組織への好中球浸潤に対する Nar の影響を解析することで、肥満関連疾患に対 する有用性を評価した。

Nar は、高脂肪食誘導性肥満マウスの脂肪組織への好中球浸潤を有意に抑制した。また、Nar は、

高脂肪食により増加した脂肪組織中の MCP-3 や MIP-2 などのケモカイン発現を抑制する傾向が見ら れた。MCP-3 は脂肪細胞から分泌され、マクロファージ遊走性および好中球遊走性を持つケモカイン である。一方、MIP-2 は主にマクロファージから分泌され、好中球の遊走・活性化に重要なケモカイ ンであることが知られている。これを踏まえて次に、培養細胞を用いたin vitro実験を行った結果、

Nar は 3T3-L1 脂肪細胞における MCP-3 発現・分泌を抑制した。一方、RAW264(マクロファージ様)細 胞における MIP-2 分泌・発現には影響しなかった。これまでの報告と今回の研究結果から、以下のメ カニズムが示唆された。Nar は、脂肪細胞における MCP-3 発現抑制を介して、脂肪組織への好中球浸 潤を抑制する直接的作用を持つ。一方、好中球遊走・活性化作用を持つ MIP-2 発現に影響しなかっ た。しかし Nar は、MCP-1 および MCP-3 発現を抑制し MIP-2 の分泌細胞であるマクロファージの浸潤 を抑制することにより、間接的に好中球浸潤を抑制する作用を持つことが示唆された。本研究結果 は、Nar が免疫細胞の機能を制御することによって、肥満関連疾患の予防につながる可能性を示唆し ていると考える。

参照

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