抄 録
第32回 甲信心エコー図セミナー
日 時:平成26年11月29日(土)
場 所:信州大学旭会館3階大会議室
当番幹事:新田 政男(新田内科クリニック院長)
1 ベーチェット病に合併した重症大動脈弁 閉鎖不全症および心室中隔解離の1例
佐久総合病院佐久医療センター臨床検査科
○佐藤アイコ,小林 伸,井出 剛 高見澤葉子,大森 麻希,土屋 美穂 鈴木 信三
同 循環器内科
堀込 実岐,川合雄一郎,土屋ひろみ 柳澤 聖,荻原 真之,木村 光 馬渡栄一郎,池井 肇,矢崎 善一 同 心臓血管外科
竹村 隆広
症例は77歳男性。主訴は食欲不振,呼吸困難感。既 往歴は66歳化膿性脊椎炎にて手術(明らかな起炎菌不 明),69歳原因不明の腹膜炎,小腸穿孔にて手術,71 歳左虹彩炎。現病歴7月に意識消失発作,完全房室ブ ロックあり前医で永久ペースメーカー植え込み術施行。
このとき重症大動脈弁閉鎖不全症を指摘。ペースメー カー植え込み後より37度台の微熱が持続,炎症反応上 昇あり。口腔内再発性アフタ,陰部潰瘍あり,ベーチ ェット病の疑いにて9月に当院内科紹介となった。10 月入院精査の結果口腔内再発性アフタ,皮膚症状,眼 症状,外陰部潰瘍の4主症状を認めベーチェット病と 診断。副症状では関節炎,回盲部潰瘍,血管病変を認 めた。Gaシンチでは明らかな集積認めず。SASP 内 服開始された。このとき重症の大動脈弁閉鎖不全症,
僧帽弁閉鎖不全症あり。心室中隔方向に突出するバル サルバ動脈瘤様所見を認め翌年1月13日に術前精査の ため心臓カテーテル検査を施行。外科的治療の予定と なっていた。その後より食欲不振,呼吸困難感が徐々 に増強し,1月24日入院となった。入院時現症は,体 温36.7℃,血 圧123/59mmHg,脈 拍80/分,心 音 levine / 度 拡 張 期 雑 音 あ り,肺 ラ 音 な し,浮 腫
(−)。胸部レントゲン所見は,CTR 60%,右胸水貯 留。胸部 CT 所見は,心拡大,上行大動脈基部左側か
ら心室中隔にかけて不整形の瘤を認めた。心エコー所 見は左心径 拡 大,左 室 壁 運 動 は び ま ん 性 に 低 下,
Severe AR,Severe MR,RCC 部に瘤様エコー像あ り,心室中隔へ突出し解離様となっている所見を認め た。心不全に対して内科的治療を開始したが反応せず,
徐々に心不全の増悪あり。ベーチェット病あり,ハイ リスクと思われたが内科的治療は限界であったため 第22病日に AVR+MAP+CABG 施行。全身麻酔後 PEA となり CPR 施行しながら体外循環を開始。術 中所見では大動脈弁は右冠動脈尖が消失,弁輪上部と 下部に小交通孔あり,同部交通孔間を切開すると交通 孔から心尖部側に心室中隔内の解離腔を認めた。術後 人工心肺からの離脱困難あり,IABP と PCPS 装着。
一 旦 PCPS 離 脱 し た が 第25病 日 腎 機 能 障 害 を 認 め CHDF 開始,第26病日血圧低下,除脈となり PCPS 挿入,第28病日再度循環不全に陥り多臓器不全も悪化 傾向,第32病日永眠となった。
ベーチェット病に合併した重症大動脈弁閉鎖不全症 および心室中隔解離の一例を経験したため報告した。
2 心内腫瘤を疑わせた血栓閉塞型バルサル バ洞動脈瘤の1症例
山梨県立中央病院検査部
○前島 誠,小山 直美,加藤 綾 飯泉 里映,内藤 葵,早川美代子 同 循環器内科
徳増 芳則,梅谷 健,中村 政彦 同 心臓血管外科
中島 雅人
【症例】79歳,男性。
【主訴】全身倦怠感,息切れ。
【現病歴】平成17年,バルサルバ洞動脈瘤の手術と 洞不全症候群による洞停止のためVVIペースメーカー の植え込みが行われた。
術後は,ペースメーカーチェック以外は近医にて経
過観察を行っていた。
平成25年10月,ペースメーカー外来受診時,全身倦 怠感と息切れの訴えがあり,心機能評価目的で心エコー が依頼された。
【心エコー所見】
1.両心房拡大,左室肥大,大動脈拡大を認めた。
2.心機能は EF 63%と保たれていたがE/eʼ9.8とや や拡張能の低下を認めた。
3.胸骨左縁長軸像では,大動脈基部から無冠尖側へ 突出する55mm 大の充実性構造物を認め,心尖部 四腔像では右心房内腫瘤様に描出された。
4.充実性構造物の付着部位には明らかな有茎性は認 められなかった。
5.大動脈弁は2尖弁が疑われ,軽度の大動脈弁狭窄
(Vel max 2.76m/s)を認めた。
【経過】心エコー所見にて,血栓と腫瘤を疑う充実 性構造物の存在と2尖弁を疑う軽度 AS があり,経過 観察となった。心エコー後に精査目的で撮影された CT 検査で,過去の CT 履歴と比 した結果,バルサ ルバ洞動脈瘤のパッチ閉鎖術の施行が確認された。
【CT 所見】上行大動脈基部の拡大,腫瘤状造影欠 損あり。単純 CT で辺縁部に淡い高吸収域があるもの の有意な造影効果とは言い難い。単純 CT の性状を加 味しパッチ術後のバルサルバ洞動脈瘤内の血栓である と診断された。
【まとめ】心エコーでは心房内腫瘤,あるいはバル サルバ洞血栓の両方の可能性を考えたが,心臓の3次 元構造をイメージすることや,腫瘤の動きを詳細に観 察することで鑑別が可能であったかもしれないと考え る。
また患者さんの病歴等を確認する重要性を再認識し た症例であった。
3 急性心筋梗塞の発症を契機に診断に至っ た巨大冠動脈瘤の1例
社会医療法人財団慈泉会相澤病院 臨床検査センター
○丸山 希望,三村 隆典,山本みどり 菊地 広美,上野 里奈,小林 美佳 同 循環器内科
嘉嶋勇一郎,加藤 太門,麻生 真一 鈴木 智裕
同 心臓血管外科
谷島 義章,山浦 一宏,恒元 秀夫
【症例】49歳,男性。
【主訴】左上肢の痺れ,胸部不快感,盗汗。
【既 往 歴】大 動 脈 弁 閉 鎖 不 全,高 血 圧,糖 尿 病,
COPD,不安神経症。
【現病歴,経過】
就寝中に左上肢のしびれ・胸部圧迫感・盗汗を認め 覚醒。再び就寝したが再度胸部不快感が出現し当院救 急外来を受診した。受診時の心電図・胸部レントゲン では以前と著変なかった。
心臓超音波検査では,高度な大動脈弁逆流と左室内 腔の拡大を認め,全体的な contractionは低下してい たが以前と同様であり,asynergyは認められなかっ た。また,心窩部からの観察にて肝臓と右房の間,心 囊腔と思われる部分に円柱様の腫瘤像を認め,管腔様 に見られたが,内部に血流は確認できなかった。
血液検査にて心筋逸脱酵素の上昇あり,虚血性心疾 患の可能性を考慮し,冠動脈造影を施行。その結果,
左回旋枝 13と右冠動脈 2に巨大な冠動脈瘤と狭窄 が認められた。瘤内血栓による末梢への塞栓による心 筋梗塞と考えられたが,PCI 不適病変でありヘパリ ン点滴にて保存的加療継続となった。後日,追加評価 として冠動脈 CT を実施。左回旋枝は拡張と狭窄が断 続的に存在し,右冠動脈は拡張が高度で蛇行もあり狭 窄の有無についての詳細な評価は断定しがたく,今後 の冠動脈血行再建の是非についてはさらに心筋シンチ を実施し検討することとした。全身状態安定したため 2週間で退院,その後は外来対応となった。
冠動脈瘤は通常無症状であり,心臓超音波検査・
CT スキャン・冠動脈造影などで偶然に発見されるこ とが多い。また,血栓塞栓症や冠動脈瘤破裂による心 タンポナーデにより発見されることもある。今回心筋 梗塞の発症を契機に,心臓超音波検査にて異常構造物 を捉え,冠動脈造影にて冠動脈瘤と診断された症例を 経験したので報告する。
4 妊娠・出産を契機に著明な肺高血圧を呈 した1例
長野赤十字病院検査部
○倉嶋 俊雄,宮崎 洋一,山崎 修子 山田美智冶,山岸 夏子
同 循環器センター
島田健太郎,吉岡 二郎
【症例】患者:38歳女性,主訴:呼吸苦,既往歴:
なし,現病歴:妊娠36週頃より喘鳴あり,40週で正常
分娩により出産(第2子)。産後4日目夜より SpO2 低下傾向となり,翌日呼吸不全が悪化し当院に救急搬 送された。
【入院時身体所見】身 長145cm,体 重45kg,体 温 36.5℃,血圧153/114mmHg,脈拍103回,呼吸数20 回,SpO291%(10L マスク), p音亢進,末梢冷 感なし,バチ指(−)
【入院時検査所見】胸部レントゲン:CTR 59%,
左第2弓,右第2弓突出,心電図:右軸偏移,右室肥 大,造影 CT:肺塞栓像は認めず,肺野に特記事項な し,肺血流シンチ:明らかな集積欠損は認めず,心エ コ ー:右 心 系 の 拡 大 と 右 室 圧 負 荷 所 見,TRPG 51 mmHg,IVC 径14mm,呼吸変動あ り,約 8mm の ASD 二次孔欠損あり to & fro する Shunt 血流を認め た。Qp/Qs≒1.6,RVH(−),MRI:右心系の拡大,
13mm 大の ASD
【入院時経過】心不全の治療として hANP+ドパミ ン投与したが息切れが悪化したため,ドパミン+ミル リノン持続静注とし,利尿剤と PH の治療を兼ねて アムロジピンにてコントロール。1回目の右心カテ評 価後,ボセンタン,ワルファリン開始,シルデナフィ ル,ベラプロスト順次追加。HOT パス開始。薬効評 価のため2回目の右心カテを施行した。
【1回目心カテ所見】有意狭窄なし,PCW 2/9/1,
r‑PA 83/33/48,m‑PA 78/30/46,RV 80/‑2/1,RA 1/0/0,PVR 940,Qp/Qs=1.2,CI 2.92/2.35(ther- mo/Fick)
【2回目心カテ所見】PCW 9/9/8,r‑PA 86/26/46,
m‑PA 86/28/47,RV 90/2/11,RA 4/3/1,PVR 684,
Qp/Qs=1.5,CI 3.48/3.09(thermo/Fick),急性 肺 血管試験は陰性であった。
【考察】妊娠・出産を契機に急激な呼吸不全を発症 したため,当初は産褥性心筋症を疑ったが,左心不全 は否定的であった。肺血栓塞栓症も疑ったが肺血流シ ンチの結果からは否定的と考えられた。ASD もある ことより Eisenmegerの可能性も考えられたが病歴,
心エコー所見,心カテ所見からは否定的と思われた。
妊娠・出産を契機に急激に肺血管抵抗が高まり著明な 肺高血圧が生じたものと思われた。現在経過観察中で あり,今後の経過が注目される。
5 嵌頓の危険のあった左房粘液腫の1例
昭和伊南総合病院検査科○玉木 愛実,林 弥生,井口智恵子 白鳥 良太
同 循環器内科
富永 新平,山崎 恭平 相澤病院心臓血管外科
山浦 一宏
症例は58歳女性。20年来の喫煙習慣があり,糖尿病,
高血圧で近医にて内服治療をしていた。バレーボール の片付け中に胸痛を訴え,救急車にて当院救急外来を 受診した。来院時,血液検査では特記所見なかったが,
心電図にて , ,aVF 誘導の ST 変化があったた め,不安定狭心症の可能性も考え緊急で冠動脈造影を 行った。その結果,冠動脈に有意狭窄はなく,冠攣縮 性狭心症の可能性が高いと考えた。冠動脈造影時,心 房中隔から左房内腫瘤への流入血流を疑わせる細血管 が 見 ら れ た。来 院 時 の 心 エ コ ー で 左 房 内 に35×40 mm の巨大腫瘤像を認めた。巨大腫瘤像は有茎性で 可動性が高かったことから,粘液腫をうたがった。緊 急検査の後,引き続き術前検査のため入院となった。
入院4病日目,夕方から夜間にかけて持続する胸部不 快感を訴えるナースコールがあった。処置中に胸痛,
呼吸苦が増悪し,SpO2の低下を認め,意識レベルの 低下の後,心肺停止となったため,心肺蘇生術を行っ た。蘇生後,胸部レントゲン写真で高度の肺鬱血を認 め,急性左心不全と診断した。心エコー図では,粘液 腫が入院時と比 し,僧帽弁により近接しており,こ れが嵌頓した可能性が高いと考えた。そのため,準緊 急で相澤病院心臓血管外科にて摘出術を施行した。腫 瘍は病理検査において粘液腫と診断された。術後,胸 部症状の再発や心不全 Controlの悪化なく,経過は良 好である。今回我々は,僧帽弁に嵌頓の危険があった 左房粘液腫を経験したのでここに報告する。
6 心臓カテーテル検査中に大量喀血を来し た,右室二腔症の1例
JA 長野厚生連北信総合病院臨床検査科
○成澤 仁志,西澤 欣一,西尾 幸彦 同 循環器内科
関 年雅,清水 貴裕,金城 恒道 渡辺 德
症例は,85歳男性。55歳時に心雑音を指摘され心臓 カテーテル検査を施行,VSD+右室二腔症と診断さ
れ,その後,心エコーにてフォローアップしている患 者である。83歳より COPD 増悪,HOT を導入して いる。
平成26年5月12日夜間に頻拍発作が出現し,当院 CCU へ不整脈加療のため緊急入院した。入院後,頻 脈は落ち着いたが,夜間を中心に徐脈が出現し,徐脈 頻脈症候群によるペースメーカー植え込みの適応と判 断された。
ペースメーカー植え込み術を施行するにあたり,右 心系の解剖学的評価および,VSD+右室二腔症の血 行動態評価目的で5月28日に心臓カテーテル検査を予 定施行。右内頸静脈よりスワンガンツカテーテルを挿 入,右肺動脈楔入圧を測定後,急に咳き込み大量喀 血し意識レベル低下,呼吸停止状態となる。直ちに CPR 開始,気管内挿管するも鮮血の喀血が続き,ダ ブルルーメン気管チューブ挿管に入れ替え,左分離肺 換気を行った。
造影 CT にて右肺に大きな血腫を確認,右肺動脈中 葉枝からの出血が疑われ,肺動脈が解離・破裂した可 能性が高いと判断した。止血のためコイル塞栓術を施 行し止血に成功したが,5月30日,再出血・出血性シ ョックにより永眠,剖検を行った。
右室二腔症は右心室内の異常筋束により,右室が流 入路側の高圧腔と流出路側の低圧腔の2つの腔が形成 された病態で,80〜90%の症例に VSD が合併との報 告がある。本症例でも,VSD シャントが流入路側の 高圧腔に認められた。肺動脈は低圧側に位置するため,
右室二腔症が肺血管に影響を与えることは考えにくい と思われる。
今回,我々は,右室二腔症+VSD の右心カテーテ ル中に肺動脈破裂という,1例を経験したので,剖検 結果をふまえ報告する。
7 大動脈四尖弁の6症例
信州大学医学部附属病院臨床検査部
○倉田 淳一,福岡 奈那,中澤希世子 矢吹 唯,菅野 光俊,本田 孝行 同 循環器内科
井口 純子,南澤 匡俊,元木 博彦 小山 潤
【はじめに】大動脈四尖弁(以下 QAV)は稀な先 天性弁膜疾患であるが近年報告例が増えてきている。
当院では2009年12月から2014年11月の5年間に経胸壁 心エコー検査(以下 TTE)にて6例の QAV を経験
した。今回我々はこの6症例について若干の文献的考 察を加え報告する。
【6症例のまとめ】
年 齢 46〜83歳 男 女 比 5:1 高 血 圧 全 例 CTR 41〜52% 当院 TTE における頻度 0.025
%(5年間24,100例中の6例)
【TTE 所見】
Hurwitz らの分類 type a 1例 type b 3例 type f2例
到達度による AR 重症度 中等度5例,高度1例 縫線(以下 raphe)有 5例
【考 察】QAV の 頻 度 は 剖 検 例 報 告 で は0.008〜
0.033%,TTE 施行例報告では0.013〜0.043%,大 動脈弁置換術例報告では0.55〜1.46%とされる。当 院では TTE 施行例で0.025%と同等であった。しか し過半数の4件は直近の1年以内であり,経年により 機器更新された心エコー機器の性能向上が寄与した可 能性が考えられた。今回我々は Hurwitz らの分類に よって分類したが rapheを有する QAV が5例含まれ る。最近の報告では rapheを有する QAV で重症 AR を発症したという事例がある。また当院での6症例も 全て中等度以上の AR を合併しているため rapheを 有する QAV が重症 AR を合併する可能性が考えられ た。
【結語】QAV は稀ではあるが心エコー機器の性能 向上により発見する機会は今後増加する可能性がある。
rapheを有する症例 も 含 め,QAV は 中 等 度 以 上 の AR を合併しやすく心機能の慎重な経過観察が必要で ある。
8 3Dエコーによるファロー四徴症(TOF)
術後の右室評価
長野県立こども病院エコーセンター
○齊川 祐子,安河内 聰,蝦名 冴 同 循環器小児科
安河内 聰,瀧聞 浄宏,田澤 星一 中野 裕介
同 臨床検査科
齊川 祐子,蝦名 冴,柴田 綾 日髙恵以子
【目的】3Dエコー解析(3DE)を用いて TOF 術後 の右室を評価する。
【対象】術後の TOF 患者19名(TOF),対象として 正常心の小児11名(Nomal)
【方法】3DE の位置情 報 か ら 三 尖 弁 輪(TV),肺 動脈弁輪(PV),心尖部(Apex)を決定し,右室を inflow,apical,outflowに3分割した。これより求 められる各分画の容積および EF と TV‑Apex,PV‑
Apex 距離変化率を右室全体の容積,EF および推定 の右室圧と比 した。
【結果】体表面積あたりの右室容積は TOF 群96±
27ml/m ,Normal 群57±14ml/m ,右 室 EF は TOF 群48±7%,Normal群54±7%であった。
3分画において TOF 群は Normal群に比 して,
全右室容積に占める各容積比率が,apicalで有意に 上昇し,EF では,inflow EF が低下し,apical EF は 上昇傾向であった。
TOF 群はN群に比 して TV‑Apex,PV‑Apex の距離変化率は有意に低下し,RV EF と有意に相関 していた。PV‑Apex は三尖弁逆流から推定した右室 圧と有意に相関していた。
【考察】今回検討した TOF 群では,右室容積は拡 大し,EF は低下傾向であった。3分画では,全容積
に占める apical容積の増大,apical EF が上昇傾向を 示し,inflow EF が低下していた。さらに,三尖弁輪,
肺動脈弁輪の長軸方向の可動性低下が右室 EF 低下に 反映されていた。術後 TOF では,VSD 閉鎖,右室 流出路再建術の影響により,右室の長軸方向の動きが 制限され,さらに中等度以上の PR により,右室の拡 大をきたしていると考えられている。今回の我々の結 果はそれを支持するものであり,3Dエコーで右室を 評価することは,術後 TOF 評価に有用である可能性 が示唆された。
特別講演
座長:筑波大学医学医療系循環器内科教授 青沼 和隆
「右室を心エコーで診る
―3次元エコー法の可能性―」
筑波大学医学医療系循環器内科講師 石津 智子