はじめに
❶キウス 4 遺跡の概略
❷分析の対象と方法
❸分析結果
❹考察
おわりに本稿の目的は,1)北海道島における縄文文化後期後葉の石錐の機能・用途を明らかにし,2)石 錐をもちいた行為と社会の複雑化との関係の有無・内容を解明する点にある。分析対象は,千歳市 キウス 4 遺跡から出土した石錐 1315 点である。分析方法は,石器使用痕分析のなかの高倍率法を 採用した。分析の結果,1)石錐の機能は刺突ではなく穿孔である,2)石錐の主たる用途は皮革製 品製作,土器の施文・補修および石製垂飾の製作にあり,副次的な用途として角・骨・貝の加工が あげられる,3)平面形が I 字形のもの・菱形のもの・不定形のものは黒曜石で製作されるものが多く,
これらは土器施文・補修と皮革加工に利用される傾向がある,4)平面形が T 字形を呈する一群は 頁岩製が多く,これらは皮革加工とつよく結びついている,といった点が明らかになった。比較研 究としておこなった千歳市美々 4 遺跡出土石錐 162 点の分析でも同様の傾向が確認されたが,くわ えて I 字形・菱形を呈するチャート製石錐は貝の加工具として利用されていることも明らかになっ た。キウス 4 遺跡内においては,石錐の各型式に分布の明確な偏りはなく,皮革製品の製作が特定 の場所でおこなわれていたり,皮革資源が特定の分節集団によって制御されていたりする痕跡を見 いだすことはできなかった。
【キーワード】キウス 4 遺跡,石錐,石器使用痕分析,高倍率法
45
国立歴史民俗博物館研究報告 第208集 2018年3月
北海道千歳市キウス4遺跡 出土石錐の使用痕分析
高瀬克範
Functional Analysis of Late Jomon Drills : A Case Study on Stone Tools from the Kiusu 4 Site, Hokkaido, Northern Japan
TAKASE Katsunori 110.5
[論文要旨]
機能・用途推定と資源管理のあり方に関する検討