特別の教科 道徳
「考え,議論する道徳」を目指す授業実践
―道徳科における評価のあり方を探る―
藤田 範子
はじめに
本校では昨年度,「生徒が課題を主体的に見出す
『特別の教科 道徳』の授業研究」をテーマに,郷 土を愛する態度の育成を中心に研究が進められ,令 和元年月日に開催された本校の研究協議会にお いて公開授業が行われた。第学年,第学年を対 象とした「&郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛 する態度」の項目を取り扱うものであり,教材は第 学年は「ぼくのふるさと」,第 学年は「祭の夜 郷土の魅力にふれて」が使用され,%7をはじめとす る総合的な学習を幹としたカリキュラム・マネジメ ントの視点を取り入れ,郷土である滋賀県対してど のように向き合うかということについて,深く考え る機会となった。
滋賀県総合教育センターが示す「考える」とは,
「道徳的価値の理解を自分との関わりで考えるこ と」であり,「問題意識を大切にすることで,より 主体的に自分との関わりで考えること」である。
また「議論する」とは「物事を広い視野から多面 的・多角的に考えるために,多様な価値観の存在を 前提にして,他者と対話したり協働したりすること であり,児童生徒が本音で語り合う中で,多様な考 え方や感じ方に接し,その違いから問題意識を持つ こと」と捉えている。1)
本年度は,「探究的学習を通した,グローバル社 会に生きてはたらく資質・能力の育成」を研究テー
マとして掲げており,特別の教科 道徳においては 話し合い活動を通して仲間と意見交流し,「柔軟な 見方・考え方」,「多角的な見方・考え方」,「論 理的に発信する力」,「課題発見・解決力」などを 中心に育むことをねらいとした。
また,道徳科の評価については 中学校学習指導 要領「第 章 特別の教科 道徳」の「第 指導 計画の作成と内容の取り扱い」にあるように,「生 徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に 把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただ し,数値などによる評価は行わないものとする」と されている。学習における評価とは,生徒にとって は,自らの成長を実感し意欲の向上につなげていく ものであり,教師にとっては,指導の目標や計画,
指導方法の改善・充実に取り組むための資料となる ものである。
道徳教育における評価も,常に指導に生かされ,
結果的に生徒の成長につながるものでなくてはなら ない。学習指導要領第章総則の第ののでは,
「生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価 し,学習したことの意義や価値を実感できるように することと示しており,他者との比較ではなく生徒 一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面,
進歩の様子などを把握し,年間や学期にわたって生 徒がどれだけ成長したかという視点を大切にするこ とが重要であるとしている。
実践報告その第学年
本論の要旨
本校の教育目標は「郷土を愛し世界へはばたく心豊かな生徒の育成」であり,「思いやりや感謝の気持 ちを育てる心の教育の充実」を重点課題としている。さらに本年度は,「探究的学習を通した,グローバ ル社会に生きてはたらく資質・能力の育成」をテーマとし,道徳科ではの資質・能力の内,「多角的・
多面的な見方・考え方」「柔軟な見方・考え方」「論理的に発信する力」「課題発見・解決力」を仲間と 考え,議論する中を育むことをねらいとした。
また,道徳科の評価については生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生 かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとされている。学習における評 価とは,生徒にとっては,自らの成長を実感し意欲の向上につなげていくものであることから,年間に わたる生徒の考え方の変化を見とり,認め,励ますことで生徒の道徳的判断力,道徳的心情,道徳的実践 意欲と態度の育成を目指す。
■キーワード 考え,議論する道徳,ポートフォリオ評価,多面的・多角的
- 122 - 主題名:「日本から来たおばさん」
*内容項目&国際理解,国際貢献
・出典:「わたしが会ったアジアの子ども」
偕成社 年 主題設定の理由
今日,私たちは,国際社会のグローバル化の進展に より,さまざまな文化や伝統などを持った他国の人々 と地球規模の相互依存関係の中で生きている。国際社 会で主体的、創造的に生きていくため,日本人として の自覚を持ち,自国の文化や伝統について理解を深め ていきたい。また,他国の文化や伝統などを理解し,
それらを尊重し,国際的視野を持ってともに生き,世 界の平和と人類の発展に貢献する意欲を感じ取らせ るようにしたい。
本学級の生徒は,意識調査によると将来外国へ留学 して勉強したい,働きたいという生徒が名,観光・
旅行に行きたいという生徒が過半数を超えている。前 時の振り返りでは,インドネシアの生活環境や教育の 実情を知り,主人公である小林好美子さんの活動内容 を称賛し,自分たちにも何かできることはないかと考 える生徒が複数いた。
中学生の時期は,他教科等の学習と相まって,これ
学習過程公開授業時間目
①前時の学習過程
まで以上に世界のさまざまな国々に対しての興味や 関心が高まり,見知ったことを自分の生活に生かそう とするようにもなる。また,諸外国のさまざまな分野 についての情報に触れ,海外での仕事に憧れを持った り,国際協力に関心を持ったりするときでもある。他 教科等との関連を持たせ,広く世界の諸情勢に目を向 け,日本人としての自覚を持ちつつ国際理解を深める ようにしたい。
主題の学習目標
ドクー村の人々の生活改善のために献身的に取り組 む主人公の考え方や行動を通して,世界の中の日本人 としての自覚を持ち,他国の人々の文化や習慣を尊重 し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に 寄与しようとする態度を育てる。
主題の評価
①国際的視野に立って,他国の人々のために献身的 に努力する主人公に共感し級友と意見交流して いる様子の観察や,自分の意見をまとめたワーク シートなどの内容から把握する。
②風習・文化の尊重と健康な生活習慣を身に付ける ことのどちらを大切にするべきかという主人公 の葛藤に共感し級友と意見交流している様子の 観察や授業での生徒の発言から把握する。
- 121 -
特別の教科 道徳
「考え,議論する道徳」を目指す授業実践
―道徳科における評価のあり方を探る―
藤田 範子
はじめに
本校では昨年度,「生徒が課題を主体的に見出す
『特別の教科 道徳』の授業研究」をテーマに,郷 土を愛する態度の育成を中心に研究が進められ,令 和元年月日に開催された本校の研究協議会にお いて公開授業が行われた。第学年,第学年を対 象とした「&郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛 する態度」の項目を取り扱うものであり,教材は第 学年は「ぼくのふるさと」,第 学年は「祭の夜 郷土の魅力にふれて」が使用され,%7をはじめとす る総合的な学習を幹としたカリキュラム・マネジメ ントの視点を取り入れ,郷土である滋賀県対してど のように向き合うかということについて,深く考え る機会となった。
滋賀県総合教育センターが示す「考える」とは,
「道徳的価値の理解を自分との関わりで考えるこ と」であり,「問題意識を大切にすることで,より 主体的に自分との関わりで考えること」である。
また「議論する」とは「物事を広い視野から多面 的・多角的に考えるために,多様な価値観の存在を 前提にして,他者と対話したり協働したりすること であり,児童生徒が本音で語り合う中で,多様な考 え方や感じ方に接し,その違いから問題意識を持つ こと」と捉えている。1)
本年度は,「探究的学習を通した,グローバル社 会に生きてはたらく資質・能力の育成」を研究テー
マとして掲げており,特別の教科 道徳においては 話し合い活動を通して仲間と意見交流し,「柔軟な 見方・考え方」,「多角的な見方・考え方」,「論 理的に発信する力」,「課題発見・解決力」などを 中心に育むことをねらいとした。
また,道徳科の評価については 中学校学習指導 要領「第 章 特別の教科 道徳」の「第 指導 計画の作成と内容の取り扱い」にあるように,「生 徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に 把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただ し,数値などによる評価は行わないものとする」と されている。学習における評価とは,生徒にとって は,自らの成長を実感し意欲の向上につなげていく ものであり,教師にとっては,指導の目標や計画,
指導方法の改善・充実に取り組むための資料となる ものである。
道徳教育における評価も,常に指導に生かされ,
結果的に生徒の成長につながるものでなくてはなら ない。学習指導要領第章総則の第ののでは,
「生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価 し,学習したことの意義や価値を実感できるように することと示しており,他者との比較ではなく生徒 一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面,
進歩の様子などを把握し,年間や学期にわたって生 徒がどれだけ成長したかという視点を大切にするこ とが重要であるとしている。
実践報告その第学年
本論の要旨
本校の教育目標は「郷土を愛し世界へはばたく心豊かな生徒の育成」であり,「思いやりや感謝の気持 ちを育てる心の教育の充実」を重点課題としている。さらに本年度は,「探究的学習を通した,グローバ ル社会に生きてはたらく資質・能力の育成」をテーマとし,道徳科ではの資質・能力の内,「多角的・
多面的な見方・考え方」「柔軟な見方・考え方」「論理的に発信する力」「課題発見・解決力」を仲間と 考え,議論する中を育むことをねらいとした。
また,道徳科の評価については生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生 かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとされている。学習における評 価とは,生徒にとっては,自らの成長を実感し意欲の向上につなげていくものであることから,年間に わたる生徒の考え方の変化を見とり,認め,励ますことで生徒の道徳的判断力,道徳的心情,道徳的実践 意欲と態度の育成を目指す。
■キーワード 考え,議論する道徳,ポートフォリオ評価,多面的・多角的
道 徳
— 123 —
②本時の学習過程
- 123 -
②本時の学習過程
- 124 -
実践報告その第学年
主題名:「六千人の命のビザ」
*内容項目&国際理解,国際貢献
・出典:「六千人の命のビザ」大正出版年 主題設定の理由
本題材は約年前の実話であり、現在とは時代背 景は大きく異なるが、国際社会に生きる人として大切 にすべきことは今も昔も変わらないことを示してく れる。当時、強い偏見を持たれていたユダヤ人に対し て深い愛を持って接し、自分の立場を守るよりも、彼 らの命を助けることを選択した杉原千畝さんから学 ぶことは、現代の私たちにも多くある。
本校生徒年生の多くは世界の諸問題に関心を持 っていたり平和のために貢献したいという気持ちを 持っている。このことは、英語科 年の夏休み課題
「世界の諸問題についての解決策を考え自分でにで きることを書こう」においても、%LZDNR 7LPH(総合 学習)での学習発表においてもうかがい知ることがで きた。また、月の人権学習においては「日本人って 誰のこと?」を時間にわたり実施した。それぞれの 人の違いや良さを活かしながら協力していくことが、
これからの共生社会では必要であることを学んだ。
しかしながら、生徒たちは授業以外の場面で、平和 についてや、世界の諸問題解決のために何をすべきか を考える機会が少ない。また、実生活において、国際 交流やボランティア活動の機会がほとんどなく、平和 ではない地域の人々や、助けが必要な人々へ思いを巡 らせる機会も少ないであろう。
これからのグローバル社会においては、生徒たちは 日本国内だけでなく、世界の様々な問題に気づき、そ
学習の過程公開授業時間目
①前時の学習過程
れらを解決していくために他国の人々と協力して生 きていく必要がある。世界のどの地域に住む人をも取 り残さない平和な世の中を築いていくためには、一人 一人が、他者に流されず、勇気を持って自分で善悪の 判断をし、決めたことをやり遂げる強さを持つことが 必要であろう。それだけでなく、人とつながっていく ことや、人を巻き込んでいくこと、連携していくこと も大切だと考えられるようになる必要がある。人と人 がつながってどのような社会を作っていくことが平 和につながっていくのかを考えさせたい。
主題の学習目標
①道徳的価値に基づいて考え決断することはどういう ことかを理解し、決断したことをやり遂げるには勇 気と強い意志が必要であることを学ぶ。
②杉原さんの葛藤を通して,世界の中の日本人として,
人類愛の精神に基づき,国際的視野に立って,世界 の平和と人類の発展に寄与するためには、今、どの ように生きるべきなのかを考える。
主題の学習評価
①国際的視野に立ち,人類愛の精神に基づき行動し た杉原さんの姿から学び、自分が信じて決断した ことをやり遂げることの価値をどのように考え、
自分の生き方につなげていくかを生徒のワークシ ートから把握する。
②どのような社会であれば、もっと多くの人を巻き 込んで平和に貢献することができるかを考える。
議論時の様子や発表の様子、そしてワークシート から把握する。
道 徳
— 125 —
②本時の学習過程
②本時の学習過程
- 125 -
②本時の学習過程
②本時の学習過程
- 126 - 考察
①議論を深めるための手立て
本研究のねらいとする「考え,議論する道徳」の授 業を展開するために,どこに焦点を当て議論させるの かを先行授業を繰り返しながら改善した。
第学年では,議論の際に視覚教材として心情円を 使用し,どちらの意見により共感しているのか,また 議論の前と後でどのように変化したかを示した。議論 の柱は,「子どもの命を守るため」という同じ思い が基盤にあるとした上で,その土地の風習・文化を 守るべきかどうかという議論を行った。最初は医学 的根拠に基づいた小林さんの行動に共感する生徒が 多かったが,仲間と議論する中で,さまざまな感じ 方,考え方を吸収し最終的に心情円に示す割合に変化 のあった生徒が多かった。第学年では生徒の思考を
可視化させるために,第時では心情円を用いて自分 の考えを記述させた。図
第 時では,つの事例に関して行動を起こせる か起こせないかを数直線上で,自分の考えがどの位 置にあるかを示した。生徒の中には,矢印で位置を 示すだけでなく,心情を場合分けし,自分の置かれ ている状況をイメージして心が揺さぶられている様 子が見られた。図
② 課題
内容項目をグローバル社会に関連させようと考え,
第学年,第学年共に&国際理解,国際貢献の 題材を使用したが,先行授業を受けて授業検討をする 中で,中心発問をどこに持ってくるかで議論の濃淡が 大きく変わってくるという点が挙がった。教材が,主 人公のとった行動は国際的視野に立った国際貢献の ための行動であるため,その考えに生徒の大半が最 初から傾きすぎてしまったため,「考え,議論する」
という本来のねらいが薄れてしまった。生徒がより 深く葛藤するような発問にするためには,どの教材 で,何に着目して議論させるかを,予想される生徒 の反応やつまずきをイメージしながら組み立てなけ ればならない。
生徒の振り返りから
○第学年 議論後の考え方の変化
・自分が父母の立場だったときに,知らない人に 健康のすべてを任せることは容易ではないなと 感じたので父母の意見に少し納得できた。でもや はり小林さんの意見を優先しなければ子どもの 健康は保証されないので,小林さん寄りの意見で あることは変わらなかった。
・父母の意見も大切にしたいが,あくまでも迷信
図生徒の思考の変化ワークシートより
図心情円を用いた話し合いの様子 図ワークシートより
図第学年心情円を用いたワークシート
道 徳
— 127 —
生徒%のポートフォリオより抜粋
私は男子と女子はそこまで協力しなくても,クラ スは成り立つだろうと思っていましたが,「友達 とともに」の授業を受けてから,やっぱり男女協 力することにより過ごしやすいクラスができる のだなと思いました。男子と女子は意見が違った りしてけんかになったりすることが多いけれど,
そんな対称的な意見でも,その意見をくっつけた り,良いところを取り出していったりして,みん なで協力することが大切だと思いました。その結 果が体育祭のロープジャンプです。私はクラス全 員でそれぞれのかけ声をかけていたので,とても 跳びやすかったです。
◎評価文例:友情の尊さを理解し,互いに励まし合 い,高め合うとともに,葛藤しながらも人間関係を 築くことについて考えを深められた。教材「友達と ともに」では,男女間での意識の差から,意見が食 い違う場面について考え,対照的な意見でも,うま くアイデアを組み合わせたり試行錯誤することが大 切であるということを学んだ。
③活動の観察と生徒の振り返りから 生徒&のポートフォリオより抜粋
% の項目では,人と人との関わり方について考え た。相手の考え方について学び,自分が今後どの ように人と接すれば良いかが分かった。また「そ の人が本当に望んでいること」の授業でロールプ レイをした時,他の班の発表を見て,自分の考え 方と異なりびっくりしたことが印象に残ってい る。
◎評価文例:友情の尊さを理解し,互いに励まし合 い,高め合うとともに,葛藤しながらも人間関係を 築くことについて考えを深められた。教材「その人 が本当に望んでいること」では,ロールプレイを通 じて,自分と他の人の意見の相違に気づき,より視 野が広がった様子であった。
成果と課題
記述による評価をするにあたり,生徒の思考がど のように変化しているかは,授業内での活動からの 見取りだけでは到底把握しきれないことを実感し た。また,活発に意見を発信できる生徒の考えは学 級全体に共有することは容易だが,自ら発言するこ とが苦手な生徒の考えは,ワークシートやポートフ ォリオの記述内容から思考の過程を把握することが でき,その生徒への理解を深められるツールとなっ た。
また,ポートフォリオへの記入を習慣化したこと
により, 単位時間の中でこれまでと同じ量の記述 量を設定すると,時間が足りなくなることが懸念さ れていた。そのため,各学年の道徳担当教員を中心 に,各担任が発問の内容を精選し教材研究に努める ことで,より厚みのある授業になった。
今後の課題としては,生徒の思考の変化をより読 み取りやすくするために,思考ツールを用いて整理 するなど,ポートフォリオの内容,項目の改善を図 りたい。また,文例で挙げた内容からは,生徒の変 化や気づきは読み取れるが,長期的な生徒一人ひと りの変化を具体性に表せていない。評価の際の記述 内容が,生徒のフィードバックとなり,道徳的実践 意欲の向上と態度の育成につながるようにしたい。
注
「主体的に考え,他者と本音で語り合う『考え, 議論する』道徳の実現を目指した授業づくり 児童生徒の問題意識を大切にした学習を通し て」3疋田かおり 滋賀県総合教育センター 年
中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 文部科学省 年
参考文献
「中学校道徳科における評価の在り方に関する研究 認め,励ます評価に生かす自己評価の分析を通して
」3軽石邦子,岩手県立総合教育センター 年
なので,確実性がない。しかし,小林さんの考え
の方が確実性があり,命を守るなら薬を飲ませる 方が確実に治るから。だから父母が分からないな ら説得すればよい。
○第学年
どんな社会なら,あなたの行動は少しでも行動を起 こせるの方にいくでしょうか。
・世界中のさまざまな情報が共有され,一般の人 が意見できる社会
→間違っていることを当たり前に指摘できる環 境が必要
・いっしょに行動を起こせる社会
→正しい声が届く環境が必要
・一人一人の生活に余裕があり,どんな行動も受 け入れられる社会
→自分の生活に余裕がないと,助けられないと思 う。どんな行動をしても受け入れてもらえるとい う保証がないと,動き出せる人は少ない。
班での意見交流を経て,国際的な課題を視野に入 れつつ,まずは自分にも起こりえる身近な課題を解 決することに焦点を当て,多角的・多面的に考えて いる生徒の様子がうかがえた。
道徳の評価
評価の在り方について
特別の教科として位置付けられた道徳科における 評価は,観点別評価ではなく生徒がいかに成長した かを積極的に受け止めて認め,励ます個人内評価を 原則としている。2)それは,道徳科の特質を踏まえ た場合,他の生徒と比較したり優劣を決めたりする 評価はなじまず,また道徳性は生徒自身が生涯にわ たって育んでいくものであるので,一定の基準に到 達したかどうかを評価するものではないからであ る。
評価に当たっては,学習活動に着目し,年間や学 期といった一定の時間的なまとまりの中で,生徒の 学習状況や道徳性に係る成長の様子を把握する必要 がある。こうしたことを踏まえ,特に学習活動にお いて,生徒が他者の考えや議論に触れ,自律的に思 考する中で,一面的な見方から多面的・多角的な見 方へと発展しているかということや,道徳的価値の 理解を自分自身との関わりの中へ深めているかとい った点を重視することが重要である。
評価の方法
昨年度は生徒のワークシートや活動の様子を見取 りながら評価を行ってきたが,本年度はその他に,
毎時間の振り返りとしてポートフォリオに記入する という方法で生徒の考え方の変化を見取った。記述 内容項目は以下の通りである。
【毎時間の終わりに記入する内容】
・印象に残ったこと、感じたことを書きましょう。
・今日の授業で、あなたは何を学びましたか。
【年度の初めと終わりに記入する内容】
$自分自身に関すること
・自分って,どんな性格?
・自分の個性はどんなところ?
% 人との関わりに関すること
・人との関わりの中で,大事にしていること,
心がけていることは?
→そんな自分について,どう思う?
& 集団や社会との関わりに関すること
・学校や,集団生活の中で大切にしていること は?
・地域や社会の一員として,大切にしているこ とは?
' 生命や自然との関わりに関すること
・「生命」についてどういう考えを持っている?
・望ましい自分のあり方とは?
年度初めの道徳開きの時間に,上記の内容につい て自分自身を見つめる時間を,前期末・学期末には
$~' の内容項目ごとに,学習内容を振り返りなが ら,考え方に変化があったかどうかを記述する時間 を設け,その記述内容の変化を基に,評価を行った。
評価の文例
①記述内容の変化から
◎評価文例:自己を見つめ,自己の向上を図るとと もに,個性を伸ばして充実した生き方を追求するこ とについて考えを深められた。この年間で,自分 自身との向き合い方について,大きな変化を感じる ことができた。これまでは「自分にはできない」と 思っていたことでも,一歩前に踏み出すことが大切 であるということを実感することができた。
②具体的な教材名を挙げて
生徒$のポートフォリオより抜粋
中が始まった頃に比べて,だいぶん変わったん じゃないかなと思います。もちろん基本的な性格 や考えなどそのままの所もたくさんあるけれど,
やりたいことに対して前に踏み出す力がすごく 上がった。前は夢見ることややりたいと思うこと を自分で「ダメ」と思っていたのに,行動を起こ せるようになったのは,ものすごい成長だと思い ます。
- 128 - 生徒%のポートフォリオより抜粋
私は男子と女子はそこまで協力しなくても,クラ スは成り立つだろうと思っていましたが,「友達 とともに」の授業を受けてから,やっぱり男女協 力することにより過ごしやすいクラスができる のだなと思いました。男子と女子は意見が違った りしてけんかになったりすることが多いけれど,
そんな対称的な意見でも,その意見をくっつけた り,良いところを取り出していったりして,みん なで協力することが大切だと思いました。その結 果が体育祭のロープジャンプです。私はクラス全 員でそれぞれのかけ声をかけていたので,とても 跳びやすかったです。
◎評価文例:友情の尊さを理解し,互いに励まし合 い,高め合うとともに,葛藤しながらも人間関係を 築くことについて考えを深められた。教材「友達と ともに」では,男女間での意識の差から,意見が食 い違う場面について考え,対照的な意見でも,うま くアイデアを組み合わせたり試行錯誤することが大 切であるということを学んだ。
③活動の観察と生徒の振り返りから 生徒&のポートフォリオより抜粋
% の項目では,人と人との関わり方について考え た。相手の考え方について学び,自分が今後どの ように人と接すれば良いかが分かった。また「そ の人が本当に望んでいること」の授業でロールプ レイをした時,他の班の発表を見て,自分の考え 方と異なりびっくりしたことが印象に残ってい る。
◎評価文例:友情の尊さを理解し,互いに励まし合 い,高め合うとともに,葛藤しながらも人間関係を 築くことについて考えを深められた。教材「その人 が本当に望んでいること」では,ロールプレイを通 じて,自分と他の人の意見の相違に気づき,より視 野が広がった様子であった。
成果と課題
記述による評価をするにあたり,生徒の思考がど のように変化しているかは,授業内での活動からの 見取りだけでは到底把握しきれないことを実感し た。また,活発に意見を発信できる生徒の考えは学 級全体に共有することは容易だが,自ら発言するこ とが苦手な生徒の考えは,ワークシートやポートフ ォリオの記述内容から思考の過程を把握することが でき,その生徒への理解を深められるツールとなっ た。
また,ポートフォリオへの記入を習慣化したこと
により, 単位時間の中でこれまでと同じ量の記述 量を設定すると,時間が足りなくなることが懸念さ れていた。そのため,各学年の道徳担当教員を中心 に,各担任が発問の内容を精選し教材研究に努める ことで,より厚みのある授業になった。
今後の課題としては,生徒の思考の変化をより読 み取りやすくするために,思考ツールを用いて整理 するなど,ポートフォリオの内容,項目の改善を図 りたい。また,文例で挙げた内容からは,生徒の変 化や気づきは読み取れるが,長期的な生徒一人ひと りの変化を具体性に表せていない。評価の際の記述 内容が,生徒のフィードバックとなり,道徳的実践 意欲の向上と態度の育成につながるようにしたい。
注
「主体的に考え,他者と本音で語り合う『考え,
議論する』道徳の実現を目指した授業づくり 児童生徒の問題意識を大切にした学習を通し て」3疋田かおり 滋賀県総合教育センター 年
中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 文部科学省 年
参考文献
「中学校道徳科における評価の在り方に関する研究 認め,励ます評価に生かす自己評価の分析を通して
」3軽石邦子,岩手県立総合教育センター 年
- 127 - なので,確実性がない。しかし,小林さんの考え の方が確実性があり,命を守るなら薬を飲ませる 方が確実に治るから。だから父母が分からないな ら説得すればよい。
○第学年
どんな社会なら,あなたの行動は少しでも行動を起 こせるの方にいくでしょうか。
・世界中のさまざまな情報が共有され,一般の人 が意見できる社会
→間違っていることを当たり前に指摘できる環 境が必要
・いっしょに行動を起こせる社会
→正しい声が届く環境が必要
・一人一人の生活に余裕があり,どんな行動も受 け入れられる社会
→自分の生活に余裕がないと,助けられないと思 う。どんな行動をしても受け入れてもらえるとい う保証がないと,動き出せる人は少ない。
班での意見交流を経て,国際的な課題を視野に入 れつつ,まずは自分にも起こりえる身近な課題を解 決することに焦点を当て,多角的・多面的に考えて いる生徒の様子がうかがえた。
道徳の評価
評価の在り方について
特別の教科として位置付けられた道徳科における 評価は,観点別評価ではなく生徒がいかに成長した かを積極的に受け止めて認め,励ます個人内評価を 原則としている。2)それは,道徳科の特質を踏まえ た場合,他の生徒と比較したり優劣を決めたりする 評価はなじまず,また道徳性は生徒自身が生涯にわ たって育んでいくものであるので,一定の基準に到 達したかどうかを評価するものではないからであ る。
評価に当たっては,学習活動に着目し,年間や学 期といった一定の時間的なまとまりの中で,生徒の 学習状況や道徳性に係る成長の様子を把握する必要 がある。こうしたことを踏まえ,特に学習活動にお いて,生徒が他者の考えや議論に触れ,自律的に思 考する中で,一面的な見方から多面的・多角的な見 方へと発展しているかということや,道徳的価値の 理解を自分自身との関わりの中へ深めているかとい った点を重視することが重要である。
評価の方法
昨年度は生徒のワークシートや活動の様子を見取 りながら評価を行ってきたが,本年度はその他に,
毎時間の振り返りとしてポートフォリオに記入する という方法で生徒の考え方の変化を見取った。記述 内容項目は以下の通りである。
【毎時間の終わりに記入する内容】
・印象に残ったこと、感じたことを書きましょう。
・今日の授業で、あなたは何を学びましたか。
【年度の初めと終わりに記入する内容】
$自分自身に関すること
・自分って,どんな性格?
・自分の個性はどんなところ?
% 人との関わりに関すること
・人との関わりの中で,大事にしていること,
心がけていることは?
→そんな自分について,どう思う?
& 集団や社会との関わりに関すること
・学校や,集団生活の中で大切にしていること は?
・地域や社会の一員として,大切にしているこ とは?
' 生命や自然との関わりに関すること
・「生命」についてどういう考えを持っている?
・望ましい自分のあり方とは?
年度初めの道徳開きの時間に,上記の内容につい て自分自身を見つめる時間を,前期末・学期末には
$~' の内容項目ごとに,学習内容を振り返りなが ら,考え方に変化があったかどうかを記述する時間 を設け,その記述内容の変化を基に,評価を行った。
評価の文例
①記述内容の変化から
◎評価文例:自己を見つめ,自己の向上を図るとと もに,個性を伸ばして充実した生き方を追求するこ とについて考えを深められた。この年間で,自分 自身との向き合い方について,大きな変化を感じる ことができた。これまでは「自分にはできない」と 思っていたことでも,一歩前に踏み出すことが大切 であるということを実感することができた。
②具体的な教材名を挙げて
生徒$のポートフォリオより抜粋
中が始まった頃に比べて,だいぶん変わったん じゃないかなと思います。もちろん基本的な性格 や考えなどそのままの所もたくさんあるけれど,
やりたいことに対して前に踏み出す力がすごく 上がった。前は夢見ることややりたいと思うこと を自分で「ダメ」と思っていたのに,行動を起こ せるようになったのは,ものすごい成長だと思い ます。
道 徳
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