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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

キュウリモザイクウイルス弱毒系統の病理学的およ び分子的特性解析

マニーチョート, プーワナート

http://hdl.handle.net/2324/1544021

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

氏 名 :PHOOWANARTH MANEECHOAT

論文題名 :PATHOLOGICAL AND MOLECULAR CHARACTERIZATION OF THE MILD STRAIN OF CUCUMBER MOSAIC VIRUS

(キュウリモザイクウイルス弱毒系統の病理学的および分子的特性解析)

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

植物病原性ウイルスは宿主細胞の生命活動に関わる機能を巧みに利用し,増殖・移行する性質を 持つ.このため,ウイルスのみを標的とする農薬の開発は実現しておらず,ウイルス媒介昆虫の防 除や感染植物個体の除去などの間接的防除手段に依存しているのが現状である.近年,植物ウイル ス病害の防除に有効な手段として,弱毒ウイルスの干渉効果を利用した生物的防除法が注目されて いる.

そこで本論文では,九州大学植物病理学分野保存のキュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic

virus,以下 CMV) の弱毒株 CMV-m1 について,各種植物における病原性,ならびに弱毒化に関与

する分子遺伝学的性質を明らかにすることで,CMV-m1をワクチンウイルスとして利用するための 分子基盤構築に資することを目的とした.

CMVはブロモウイルス科(Bromoviridae)ククモウイルス属(Cucumovirus)のタイプウイルスで あり,アブラムシによって非永続的に伝搬され,ゲノムとして3分節の一本鎖+鎖RNAを持つ小球 状ウイルスである.CMVは1,000種を超える広範囲の植物に感染する最重要植物病原ウイルスであ るため,世界各地で生産される主要蔬菜類にも甚大な被害を与えている.そこで,まず複数の植物 種における CMV-m1 の病原性を接種試験により評価した.その結果,キュウリ,ピーマン,ナス,

トマト,Nicotiana tabacum cv. Samsun NN,および N. benthamianaに対し,非常に軽微な病徴を誘起 することが明らかとなった.また,N. benthamiana における CMV-m1 の蓄積量は強毒系統である CMV-Y のそれと比較して,顕著に低いことが確認された.さらに,N. tabacum cv. Samsun NNに CMV-m1を接種し,CMV-Yを接種した結果,後者の重複感染に対する強い干渉効果が認められた.

このことから,CMV-m1がワクチンウイルスとして有望であることが示された.

CMV-m1の分子遺伝情報を得ることは,ウイルスの弱毒性を決定する因子を明らかにするために

極めて重要である.そこで,CMV-m1 の全ゲノムRNAの cDNAクローニングを行い,全塩基配列 を決定した.CMV-m1 RNAの全塩基配列をCMVの他系統と比較した結果,CMV-m1はCMV-Yと 同じサブグループ IA に属することが明らかとなった.次に,CMV-m1 と CMV-Y との間でゲノム RNA1, 2, 3を相互に交換した偽組換え体を作製した.その結果,CMV-m1のRNA2に弱毒性を決定 する遺伝情報が存在することが示された.そこで,両ウイルスのRNA2間で組換えを行ったところ,

CMV-m1 の2b タンパク質が弱毒性を支配していることが確認された.さらに,両ウイルス間の2b タンパク質に関して,単一アミノ酸置換を行った結果,110アミノ酸残基中の18番目のスレオニン がCMV-m1の弱毒性を決定していることが明らかとなった.

以上の結果から,CMV-m1は複数種の栽培植物に対する病原性が軽微であり,その弱毒性は,同 系統の 2b遺伝子の 1アミノ酸残基によって決定されていることが明らかとなった.これらの新知 見は植物病理学的見地ならびに分子遺伝学的根拠に基づいた CMV ワクチン開発に貢献するものと 期待される.(1379字)

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