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成川 正之 論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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全文

(1)

別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号

3110

成川 正之

論文審査担当者

主査 教授 馬場 一美 副査 教授 桑田 啓貴

副査 教授 高見 正道

( 論 文 審査 の 要旨 )

学 位 申 請論 文 Resorption analysis of deproteinized cancellous bovine bone につ い て 上 記 の 主査 1 名、 副 査 2名 が 審 査を 行 った 。

ウ シ 骨 由来 移 植材(XDBBM)は骨 欠 損部 に 対 して使 用 さ れる 非 吸収 性 骨 補填 材 と 報告 さ れて い る が、

XDBBM周囲 の 組 織構 築 、特 に 吸 収の 有 無に 関 し ての 詳 細 に関 し ては 未 だ 不明 で あ る。 本 研究 で は、

XDBBMを骨 髄 腔 内へ の 埋入 し 、 組織 学 的変 化 を 経時 的 に 解析 し た。X線 回折 と 赤 外分 光 法の 結 果、

XDBBMは炭 酸 含有 ハ イドロ キ シ アパ タ イト で あ った 。m-CT 所 見で 、12週ま で XDBBM 上に 新 生骨 が 残 存 し てい る こと が 認 めら れ た 。組織 学 的所 見 では 、4、12週 と経 過 するに つ れ て骨 に 覆わ れ て い な いXDBBMの 骨髄 腔 へ の露 出 領 域が 認 めら れ 、この 部 位 に TRAP 陽性 の 破骨 細 胞 が接 し てお り 、破 骨 細 胞 によ っ て吸 収 さ れて い る こと が 明ら か に なっ た 。

本 論 文 の 審 査 に お い て 、 副 査 の 桑 田 委 員 お よ び 高 見 委 員 か ら 多 く の 質 問 が あ り 、 そ の 一 部 と そ れ ら に 対 する 回 答を 以 下 に示 す 。

桑 田 委 員 の 質 問 と そ れ ら へ の 回 答

1 . 本 研 究 で は 研 究 対 象 部 位 と し て 脛 骨 を 選 ん だ 理 由 、 ま た 他 の 部 位 、 例 え ば 、 顎 骨 へ の 埋 入 に よ る 検 討は 可 能か 。

回 答 : 骨 髄 腔 開 孔 、 骨 折 修 復 過 程 で は 修 復 反 応 と し て 積 極 的 な 骨 形 成 を 営 む が 、 骨 髄 は 造 血 器 官 で あ る こ と か ら 、 形 成 さ れ た 骨 は 速 や か に 吸 収 さ れ る 。 し た が っ て 、 骨 補 填 材 の 吸 収 反 応 を 検 索 す る 部 位 と し て 最 も 優 れ て い る 部 位 で あ る こ と 、 ま た 、 骨 髄 腔 が 広 い こ と 、 内 側 骨 周 囲 に 筋 組 織 が な く 、 操 作 が 簡 便 で あ る こ と を ふ ま え 、 脛 骨 を 採 用 し た 。 下 顎 骨 は そ の 骨 形 成 機 序 は 脛 骨 と い 異 な る こ と か ら 、 ま た 、 造 血 動 態 が 異 な る こ と か ら 、 顎 骨 骨 髄 腔 で の 反 応 性 に 違 い が あ る 可 能 性 は 否 定 でき な いと 考 え る。 今 後 に検 討 課題 と 考 える 。

2 . マ ウス 以 外の 動 物 モデ ル で の検 討 例に つ い て。

回 答 : 過 去 の 報 告 で は 、 ヒ ト ( 1 、 2 )、 イ ヌ ( 3 、 4 )、 ウ サ ギ ( 5 ) 等 が あ る が 、 臨 床 で 行 わ れ て い るsinus liftに着 目 し たも の であ り 、 吸収 系 に 重点 を 置い た も ので な い 。。

1. Clin Implant Dent Relat Res. 2013 Dec;15(6):858-66.

2. Clin Implant Dent Relat Res. 2016 Mar;27(3):295-302.

3. Clin Implant Dent Relat Res. 2010 Mar;12(1):18-25 4. Clin Implant Dent Relat Res. 2010 Jan;21(1):55-64.

5. Clin Oral Implants Res. 2011 May;22(5):538-45

3 . 一 般的 な 骨補 填 材 の吸 収 に おけ る 炎症(も しく は 炎 症性 細 胞)の 役 割・ 影 響 につ い て。

回 答:本 研 究で は 移植 直後 の 反 応に つ いて は 検 索し て い ない が 、私 たち のこ れ ま での 実 験系 で は 、 開 孔 後 3 日 ま で 炎 症 反 応 が 認 め ら れ 、 そ の 後 骨 形 成 が 起 こ る 。 し た が っ て 、 骨 の 新 生 が 組 織 修 復 と い う 観点 で 捉え れ ば 、初 期 の 炎症 反 応が 骨 形 成を 誘 導 する と 考え る こ とも 可 能 であ る 。

4 . ウ シ骨 由 来移 植 材 はマ ウ ス 免疫 系 にと っ て 異物 と し て認 識 され て い るの か 。

回 答:Xenograftの 材 料で あ る 本材 は 高熱( 約 300度 )で 焼成 し 有機 質 を除 去 し たも の であ る こ と、

ま た 、 焼却 後 の無 機 質 であ る HA は 本研 究 から 生体 の HA と 同様 の 構造 であ る こ とか ら 抗原 性 は な い と 考 えら れ てい る 。

(主査が記載)

(2)

高 見 委 員 の 質 問 と そ れ ら へ の 回 答

1. 研 究 対象 と した XDBBMは 他 の市 販 の 骨補 填 材と 比 較 して 、どの よ うな特 徴 を 有す る のか 臨 床 的 な 立 場 から 説 明せ よ 。

回 答:本 材 は 生体 に 存在す る HAと同 様 のも の であ る こ とか ら 、生 体 親和性 に 富 むと 考 える 。初期 骨 形 成 過 程 に 見 ら れ る よ う な リ ン 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 構 造 の 転 換 は な い こ と か ら 、 新 生 骨 誘 導 が 他 材 に 比 較し て 優れ て い ると は 考 えら れ ない が 、 骨伝 導 能 に関 し ては 、 β-TCP な ど他 の 人 工材 料に 比 較 し て優 れ てい る と 考え ら れ る。

2. X線 回 折と 赤 外分 光 法に よ る XDBBMの 解析 結 果か ら 得 られ たXDBBMの 物理 化 学 的特 性 につ い て 、 既 存 の 骨補 填 材の そ れ と比 較 し なが ら 解説 せ よ 。

回 答 :X 線 回折 で は 、回析 角 は 26, 29, 32-35, 41, 46-53 度に ピ ー クを示 す こ とか ら アパ タ イ ト で あ る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、 赤 外 分 光 法 で の 結 果 、 赤 外 吸 収 ス ペ ク ト ル は 560-600, 870, 960,1030-1130, 1410-1460cm- 1 に ピ ーク を 示し た 。560-600, 960,1030-1130 cm-1 は HAIR ス ペ ク トル の ピー ク と 同一 で あ るが 、870, 1410-1460cm-1 は 炭酸 が 含 まれ て い るこ と を示 し た 。 し た が って 、XDBBM は 化学 量 論 的なHAとは 異 なり 、 炭 酸含 有 HAで あ る。

3. 骨 欠 損部 分 に埋 入 した XDBBM上 に 破骨 細 胞 の 出 現 を 認め て いる が 、その 時 間 経過 に 伴う 変 化 に つ い て 説明 せ よ。

回 答 : 本 研 究 で は 、 破 骨 細 胞 の 数 、 大 き さ 等 に 関 す る 経 時 的 解 析 を 行 っ て い な い た め 、 そ の 詳 細 は 不 明 で あ る 。 し か し な が ら 、 移 植 2 週 目 で は 積 極 的 な 骨 形 成 だ け で な く 、 多 く の 破 骨 細 胞 が 認 め ら れ 、 そ れ 以 降 、 破 骨 細 胞 数 が 減 少 す る 傾 向 に あ る と 思 わ れ る 。 そ の 結 果 が 本 材 の 吸 収 速 度 等 に 関 連 する と 考え る 。 今後 の 重 要な 検 討課 題 と した い 。

4. 破 骨 細胞 の 形状 や 細胞 内 構 造 が XDBBM Ca-d 上 で 顕 著に 異 なる こ とを 示 し てい る が、 基 質 の 違 い に よ り 何 故 、 破 骨 細 胞 の 細 胞 構 造 が 変 化 す る の か 、 ま た 、 そ れ が 骨 欠 損 修 復 に い か な る 影 響 を 及 ぼ すか 考 察せ よ 。

回 答 : 破 骨 細 胞 の 刷 子 縁 の 形 態 は 人 工 材 料 で 異 な っ て い る こ と が 過 去 に 報 告 で 示 さ れ て い る 。 ま た 、in vitro に おけ る吸 収 像 でも 同 様で あ る 。本 研 究 で示 し たよ う に 、in vivo での XDBBM 上 に あ る 破 骨細 胞 の刷 子 縁 の形 態 は in vivo で 骨 吸収 を 行 う破 骨 細胞 と 同 様の 形 態 を示 す こと か ら、

こ の HAのサ イ ズや 走 行が 刷 子 縁の 形 態に 関 与 して い る 可能 性 があ る と 考え ら れ る。こ の形 態 の違 い が 破 骨 細 胞 の 機 能 や 活 性 化 に ど の よ う に 関 連 し て い る の か に つ い て は 今 後 の 検 討 課 題 で あ る と 考 え る 。

両 副 査 は、 上 記を 含 め た質 問 に 対す る 回答 が 、 いず れ も 満足 の いく も の であ る こ とを 確 認し た 。 主 査 馬 場 委 員 の 質 問 と そ れ ら へ の 回 答

1.骨 新 生, 補 填材 吸 収 等の 経 時 的な 機 転に Ca-dHAと の 差は 認 め られ た か。

回 答 : 本 研 究 で は 、 骨 補 填 材 の 吸 収 量 に 関 し て の 検 索 は 行 っ て い な い た め 、 正 確 に 両 者 の 違 い を 示 す こ とは 出 来な い 。文献 に よ れば 、ヒ トの 場 合、XDBBM移植 後 5 ヶ月 でも 残 存 して い るこ と が 報 告 さ れ てい る 。本 研 究 で使 用 し た Ca-dHAの ヒ トで の 報 告は 現 在ま で な い。

2 . 骨 補填 材 の吸 収 は 12週 以 降継 続 し 完全 に 補填 材 は 消失 す ると 考 え られ る か 。

回 答 : 破骨 細 胞の 形 態は in vivo で の破 骨 細胞 と 同 様で あ り、 吸 収 を行 っ て いる こ とは 明 確 であ る が 、Hwoship窩の 形 成が 見 ら れな い こと か ら、そ の 吸 収は 骨 と比 較 し ゆっ く り と進 行 して い る と 考 え ら れ る 。 予 測 と し て 、 徐 々 に で は あ る が 補 填 材 は 吸 収 さ れ て い く こ と は 間 違 い な い と 思 わ れ る が 、 最終 的 に骨 髄 腔 に残 存 し てし ま う可 能 性 も否 定 で きな い 。

3 . 本 研究 結 果の 歯 科 医療 に お ける 臨 床的 意 義 につ い て 。

回 答:これ ま での 臨 床経験 で 、XDBBM 単 独移 植 で誘 導 さ れた 骨 は極 め て もろ く 、また 、自 家 骨 移植 で は 速 や か な 骨 誘 導 が 認 め ら れ る が 、 一 方 、 そ の 新 生 骨 は 吸 収 さ れ や す い 。 歯 科 領 域 で の 使 用 の 多 く は 骨 欠 損 部 位 に 求 め る 形 状 の 骨 を 誘 導 す る こ と を 目 的 と す る 。 し た が っ て 、 両 者 の 併 用 が こ れ ま で の経 験 から 有 効 では な い かと 思 われ る 。

主 査 の 馬 場 委 員 は 、 両 副 査 の 質 問 に 対 す る 回 答 の 妥 当 性 を 確 認 す る と と も に 、 本 論 文 の 主 張 を さ ら に 確 認す る ため に 上 記の 質 問 をし た とこ ろ 、 明確 か つ 適切 な 回答 が 得 られ た 。

以 上 の 審査 結 果か ら 、 本論 文 を 博士 ( 歯学 ) の 学位 授 与 に値 す るも の と 判断 し た 。

(主査が記載)

参照

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