著者 乾 美佐子
雑誌名 東京家政大学生活科学研究所研究報告
巻 20
ページ 7‑16
発行年 1997‑06
出版者 東京家政大学生活科学研究所
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009829/
運動と老化について
Statistical Analysis among physical activities,
aging and longevity of college alumni
乾 美佐子
Misako INUI
1.はじめに
人が健康に暮らすためには,栄養・運動・休 養の3っの要素が大切だと言われている。我が 国は世界で最も長寿国となり,21世紀に入ると 国民の約4人に1人が65歳以上になると予想さ れる。高齢化社会に突入し,医療費の問題が取 り上げられたり,健康に関する情報が増え,健 康への関心や意識が高まっている。そこで,老 人の健康に運動がどのような役割を持ち,影響 を与えているのかということに関心を持った。
既にアメリカのハーバード大学で卒業生を対象 にしたアンケート調査が行われており,1週間 に2000kca1の運動負荷を与えた場合,死亡危険 率が50%以下となり,運動と寿命との間に相関 が見られている。っまり,運動している人は,
老化や死亡の危険率が低いという結果が報告さ れている。しかし,食習慣や生活習慣の違う欧 米人を対象にしたデータを,そのまま日本人に あてはめることには問題があると思われる。そ こで一部ではあるが,本校の卒業生に協力を頂 き,2年間,2度にわたるアンケート調査を行っ
た。
ll.調査対象及び方法
対象には本校の卒業生を選出し,アンケート 調査を依頼した。
東京女子専門学校(現東京家政大学)
・平成7年度(第1回)
1942年 裁縫手芸科卒業 59名 1944年 裁縫家事科卒業 73名
・平成8年度(第2回)
1943年 裁縫家事科卒業 67名 1947年 被服科卒業 60名 1948年 育児科卒業 22名 計281名
アンケート用紙は,平成7年度,平成8年度 ともにそれぞれ郵送し,約2カ月後の締め切り とし,本校宛てに返送していただいた。
アンケート内容は,ハーバード大学での調査 内容を参考に,健康,運動,食生活等にっいて,
YESorNOで答えられるように設定した。
尚,第1回目のアンケート調査での反省を生か し,第2回目に一部質問を増減した。
アンケートの内容
1.対象者の概要;年齢,身長,体重,血圧 2.生活状況;家事,身の回りのこと,睡眠時 間,入浴時間,喫煙
3。家族状況;誰と住んでいるか,御両親の健 康状態,お子さんの健康状態,血族の疾病
4.身体状況;現在の健康状態,過去の疾病 5.運動習慣;現在と過去(学生時代)の運動 習慣,運動をしない理由
6.仕事;現在と過去の仕事,勤務時間,勤続 年数,通勤時間,通勤方法
7.食習慣;食欲の有無,好きな主食とおかず,
よく食べる調理法,好きな味付けと傾向,
牛乳,間食,アルコールの摂取状況 アンケート結果を単純集計後,BMI,消費
エネルギーなどを算出し,さらに運動と老化の 関係をみるために各項目にっいてクロス集計し,
X2検定を行い,相関の有無を調べた。
皿.アンケート集計
第1回目,第2回目ともに,対象者の概要及び 質問に対する回答には似た傾向が見られた為,
2年間の調査成績をまとめて集計した。
1.表1 アンケート回収
アンケート配布数 アンケート回収数 アンケー洞収率
平成7年度 132 101 76.5%
平成8年度 149 112 75.2%
合計 281 213 75.8%
2.表2 対象者の概要
年 齢 70.6±1.7歳 身 長 151。5±7.9cm
体 重 50.9±10.4㎏
最高血圧 135.5±16.1㎜Hg
最低血圧 77。6±10.4㎜Hg ±は標準偏差
3.生活状況のまとめ
・ほとんどの方が,家事や身の回りのことを自 分でしている。
・6割の方が朝6〜8時に起床し,夜9〜11時 に就寝し,約7割の方が6〜8時間の睡眠を とっている。規則正しい生活がうかがえる。
質問項目にっいての注
*印・。・第2回目のみに追加した質問項目
⑦入浴時間;第1回目の回答者は30分弱と答 えた方が多かったので,第2回 目には20分位という項目を追加 した。
⑩喫煙歴
⑪1回の食事時間 ⑫食事の準備時間
⑬洗濯時間 生活状況を把握する ⑭掃除時間 ・ ため,第2回目の質
⑮散歩時間 問に追加した。
⑯テレビを見る時間
⑰買い物の時間
⑱雑談の時間
表3 生活状況
%
①家事を担当している はい 180 84.5
いいえ 32 15.0
その他 1 0.5
②身の助の襲している はい 212 99.5
いいえ 1 0.5
③一日の平均睡眠輔 4時間以下 0 0
4〜8時間 46 21.6 6〜8時間 145 68.1
8時間以上 19 8.9
その他 3 1.4
④起床時間 6時以剛 76 35.7
6〜8時 131 61.5
8時以降 5 2.3
その他 1 0.5
⑤就寝時間 9時以前 7 3.3
9〜11時 129 60.6
11時以降 77 36.2
⑥お風呂に入る搬 毎日 161 75.6
1日おき 44 20.7
週2日以下 8 3.8
⑦入浴時間 * 10分位 62 29.1
20分位 56 26.3
30分位 83 39.0
30分以上 12 5.6
⑧入浴温度 熱め 18 8.5
普通 157 73.7
ぬるあ 37 17.4
その他 、 1 0.5
⑨喫煙 以前から吸っていない 197 92.5
以前は吸っていたが今は吸わない 6 2.8
以前から吸っている 6 2.8
その他 4 1.9
⑩喫煙歴 *
@ *
長期間 5 4.5
短期間 3 2.7
15分以内 6 5.4
⑪1回の食事時間 *
@ 葉 * 20分位 50 44.6
30分位 42 37.5
30分以上 14 12.5
20分位 5 4.5
⑫食事の準備時間 *
@ 集 * 30分位 33 29.5
1時間位 63 56.3
しない 11 9.8
30分位 42 37.5
⑬洗濯時間 *
@ 棄 * 45分位 57 50.9
1時間位 10 8.9
しない 3 2.7
15分位 6 5.4
30分位 53 47.3
⑭掃除時間 *
@ :
@ :
45分位 26 23.2
1時間以上 20 17.9
しない 7 6.3
30分以内 27 24.1
⑮散歩時間 *
@ 套 * 1時間以内 21 18.8
1時間以上 4 3.6
しない 60 53.6
1時間以内 7 6.3
⑯テレビを見る時間*
@ : * 1〜2時間 34 30.4
2時間以上 69 61.6
見ない , 2 1.8
30分以内 23 20.5
⑰買い物の時間*
@ 叢 * 1時間位 68 60.7
1時間以上 14 12.5
しない 7 6.3
30分以内 38 33.9
⑱雑談の時間 *
@ 童 * 1時間位 32 28.6
1時間以上 26 23.2
しない 16 14.3
運動と老化について
4.表4 家族状況 数 %
①誰と住んでいるか 一人暮らし 43 20.2
夫婦のみ 106 49.8
2世代同居 38 17.8 3世代同居 24 11.3
その他 2 0.9
②両親は健在か 両親とも健在 0 0.0
父親が健在 2 0.9
母親が健在 28 13.1 両親とも他界 183 85.9
③賠の場合、髄状況 健康 15 50.0
糖尿病 2 6.7
高血圧 1 3.3
肥満 1 3.3
心疾患 1 3.3
脳疾患 2 6.7
呼吸器疾患 1 3.3
消化器疾患 0 0.0
その他 7 23.3
40歳以下 16 4.5
④他界の場合、死亡轄
@(複数回答劫) 41〜50歳 21 5.9
51〜60歳 46 12.9 61〜70歳 45 12.6
71〜80歳 81 22.8
80歳以上 143 40.2
その他 4 1.1
ガン 60 16.0
⑤他界の場合、死亡原因
@(複数回答あり) 心疾患 56 15.0
脳疾患 56 15.0
呼吸器疾患 37 9.9
消化器疾患 27 7.2
老衰 112 29.9
事故(不慮の死) 3 0.8
その他 23 6.1
⑥お子さんの状況 健康 181 85.0
いない 28 13.1
病気 1 0.5
死亡 1 0.5
その他 2 0.9
糖尿病 38 14.7
⑦血族の疾病傾向
@(鰍回答あり) 高血圧 63 24.3
肥満 20 7.7
心疾患 35 13.5
脳疾患 12 4.6
呼吸器疾患 20 7.7
消化器疾患 29 11.2
その他 42 16.2
4.家族の状況のまとめ
・約半数の方が夫婦のみ,2割の方が一人暮ら しをしている。
・約9割の方は両親とも他界しており,1割の 方は母親が健在である。
・血族の羅患疾病は多い順に,高血圧,糖尿病,
心疾患などである。
5.表5 身体状況
%
①現在の健康状態 *
@ *
健康 51 45.5
病気 61 54.5
②現在、治紳蕨病がある はい 115 54.0
いいえ 98 46.0
高血圧 50 37.3
心疾患 23 17.2
③現在、治療中の疾病 i複数回答あり)
@ *
糖尿病 11 8.2
眼 7 5.2
消化器疾患 7 5.2
その他 36 26.9
1年以内 19 16.5
④何年前から治療しているか
i複数回答劫) 1〜3年以内 27 23.5
3〜5年以内 27 23.5 5〜10年以内 28 24.3
10年以上 33 28.7
⑤治療形態 入院 1 0.9
通院 133 115.7
⑥入院期間 2週間以内 1 0.9
薬のみ 86 74.8
⑦通院の場合、糠法
i複数回答あり) 食事療法のみ 4 3.5
薬と食事療法 34 29.6
その他 9 7.8
⑧病気にかか・たことがある はい 163 76.5
いいえ 43 20.2
その他 7 3.3
高血圧 67 41.1
⑨過去の疾病
i複数回答劫)
@ 二
心疾病 31 19.0
消化器疾患 20 123
呼吸器疾患 18 11.0
脳疾患 5 3.1
手術をしたことがある 63 38.7
・治療中の疾病にっいて,4割の方が高血圧,
2割の方が心疾患と答えており,治療法は7 割の方が薬のみ,3割の方は薬と食事療法を 併用している。
・過去の疾病は,4割の方が高血圧で一番多い。
約4割の方が,何らかの手術をしたことがあっ た。
質問項目について
*印… 第2回目のみの質問項目
①現在の健康状態;健康状態を把握するため,
質問に加えた。
②現在,治療中の疾病;疾病を把握するため,
消化器疾患の項目を加えた。
③過去の疾病;疾病を把握するため,消化器 疾患,呼吸器疾患の項目を加えた。
5.身体状況のまとめ
・5割強の方が現在何らかの疾病の治療中であ
る。
6.運動習慣のまとめ
・8割の方は,積極的に体を動かすようにして いる。しかし,現在運動をしていると答えた
方は,約4割に減少している。
・運動しない理由は多い順に,運動以外の趣味 がある,病気,面倒,時間がないなどである。
7.仕事のまとめ
・3割の方が現在も仕事をしている。内容は軽 作業,勤務時間は3時間以下が多く,若いと
きのようにフルタイムでの勤務は少ない。
6.表6 運動習慣
人数 %
はい 176 82.6
①積極的に体を
@動かすように
@している
いいえ 32 15.0
その他 5 2.3
②現在、運動している はい 80 37.6
いいえ 133 62.4
毎日 30 34.9
③運動する頻度
i複数回答劫) 週3回以上 19 22.1
週1回程度 28 32.6
月1回程度 9 10.5 30分以下 21 24.4
④1回の運動時間
@(複数回答あり) 1時間未満 19 22.1
1時間程度 24 27.9 2時間以上 22 25.6
10代 3 3.5
⑤いっ頃から翻を始めたか
i複姻答あり) 20代 3 3.5
30代 5 5.9
40代 1 1.2
50代 21 24.7
60代 47 55.3
70代 5 5.9
⑥運動しない理由 運動以外の趣味がある 42 31.6
病気 22 16.5
面倒 19 14.3
時間がない 15 11.3
家事 10 7.5
ケガ 8 6.0
その他 17 12.8
⑦牲燃醐して1、たか はい 105 49.3
いいえ 108 50.7
⑧牲時代の運動の醸 運動選手として 47 44.8
趣味の範囲内で 56 53.3
⑨学生時代の醐の搬 毎日 42 40.0
週3回以上 28 26.7
週1回以上 26 24.8
月1回程度 7 6.7
⑩どのくらい続けているか 1年以内 4 3.8
2〜3年 28 26.7 3〜5年 44 41.9 5〜10年 23 21.9 現在も続けている 4 3.8
7.表7 仕事
%
①現在、仕事をしている はい 64 30.0
いいえ 149 70.0
②現在の仕事内容 軽作業 35 54.7
中程度 16 25.0
重労働 13 20.3
③現在の勤務時間 3時間以下 28 43.8
5時閤以下 14 21.9 8時間以下 9 14.1 8時間程度 11 17.2
その他 2 3.1
④現在の通勤時間 30分以下 22 34.4
1時間以下 6 9.4
1時間以上 4 6.3
その他 32 50.0
バス 7 10.1
⑤通勤形態
i鰍回答あり) 電車 12 17.4
自転車車 2 2.9
4 5.8
徒歩 12 17.4
バイク類 0 0.0
その他 32 46.4
⑥過去に仕事をしていた はい 119 55.9
いいえ 28 13.1
その他 66 31.0
⑦過去の仕事内容 座っている時間が多い仕事 36 30.3 立っている時間が多い仕事 79 66.4
肉体労働 1 0.8
その他 3 2.5
⑧過去の勤務時間 3時間以下 1 0.8
5時間以下 15 12.6 8時間以下 19 16.0 8時間程度 84 70.6
⑨過去の通勤時間 30分以下 38 31.9
1時間以下 46 38.7 1時間以上 25 21.0
その他 10 8.4
バス 30 21.3
⑩過去の通勤形態
i複数回答あり) 電車 59 41.8
自転車 9 6.4
車 9 6.4
徒歩 28 19.9
バイク類 0 0.0
その他 6 4.3
⑪勤務期間 1年程度 7 5.9
5年程度 24 20.2
10年程度 13 10.9
15年程度 1 0.8
15年以上 72 60.5
その他 2 1.7
8.食習慣のまとめ
・9割の方が,食欲があり1日3食食べている。
・好きな主食は7割の方がごはん,好きなおか ずは野菜に次いで魚が多く,よく食べる調理 法は約4割の方が煮物と,さっぱりとした食 事をしているようだ。
運動と老化にっいて
8.表8 食習慣
人数 %
①食欲がある はい 198 93.0
いいえ 15 7.0
②1日3食食べる はい 205 96.2
いいえ 8 3.8
③主食を1日何回食べるか 1回 36 16.9
2回 97 45.5
3回 78 36.6
その他 2 0.9
ごはん 104 75.4
④好きな主食
@(複数回答あり) ノぐン 23 16.7
めん類肉 11 8.0
66 17.3
⑤好きなおかず
i複姻答あり) 魚 134 35.1
野菜 162 42.4
その他 20 5.2
煮物 174 38.1
⑥よく食べる罷法
@(櫨回答あり) 焼き物 89 19.5
揚げ物 45 9.8
蒸し物 14 3.1
妙め物 72 15.8
なま物 63 13.8
辛いもの 20 9.0
⑦好きな味付け
@(複数回答あり) 甘いもの 94 42.3
酸っぱいもの 79 35.6
しょっぱいもの 29 13.1
⑧味付けの傾向 薄味 105 49.3
普通 103 48.4
濃い味 5 2.3
和食 203 88.3
⑨和洋甑よく食べるのは
@(麟回答あり) 洋食 16 7.0
中華 11 4.8
⑩蔽になるまで食べる 食べる 27 12.7
食べない 141 66.2
3食のうち2食食べる 16 7.5 3食のうち1食食べる 29 13.6
ほぼ同じ割合 80 37.6
⑪旧の飾量の割合
i複数回答あり) 朝食が1番多い 15 7.0
昼食が1番多い 15 7.0 タ食が1番多い 103 48.4
⑫1Bに飲む牛乳の量 飲まない 18 8.5
多少飲む 59 27.7
1日1本程度 97 45.5 1日1本以上 39 18.3
⑬間食をする はい 160 75.1
いいえ 51 23.9
その他 2 0.9
⑭間食をする頻度 週1回 7 4.4
2〜3日に1回 30 18.8 1日に1回 99 61.9 1日に2回以上 24 15.0
⑮アルコールを飲む 毎日 15 7.0
週に2〜3回 21 9.9
週に1回 13 6.1
ほとんど飲まない 153 71.8
その他 11 5.2
⑯躰酒なら順に飲む量は おちょこ1杯程度 86 40.4
1/2合 47 22.1
1合 7 3.3
1合以上 1 0.5
その他 72 33.8
9.消費エネルギー
個人個人の総消費エネルギーを,アンケート 用紙の,生活状況,運動習慣,仕事から推測し,
表10に示すような運動強度の目安をもとにおよ その消費エネルギーを算出した。
活動時の総消費エネルギー量(kcal)ニCTwWA C :活動代謝Ea(kca1/㎏/分)。・・(表10)
Tw:活動時間(分)
W :体重(㎏)
A :身体活動のエネルギー消費の年齢係数 (70〜74歳女性=0.89)
35 30 25 人20
数 15 10
OV,。
900 ユ100 1300 1500 1700 1900 2100 2300 2800
消費エネルギー(kca1)
図1.消費エネルギーの分布 表9 消費エネルギーの分類
消費エネルギー 人数 %
〜600kca1 6 2.8
〜1200kcal 92 43.2
〜1800kcal 88 41.3
〜3400kcal 27 12.7
消費エネルギーのまとめ
・1400kcalの方が35名と一番多かった。この方々 は,家事などの他に仕事や運動などで体をよ く動かしているようであった。
・1200kca1以下の方は,運動習慣がなく,家事 など身の回りのこと以外では,あまり体を動 かさないことが多いようだ。
一11一
表10 日常生活活動と運動の強度の目安
日 と運 の
Ea
0,025 60
身の回り(身支度:洗面:便所) 0,027 23 ゆっくりした歩行(買い物:散歩) 0,043 30
洗濯:電気洗濯機 0,038 10
:干す:取り込む 0,055 1
アイロンかけ 0,043 1
炊事(準備:片付け) 0,045 40
掃除:電気掃除機 0,046 5
普通歩行(通勤:買い物) 0,053 個人
入浴 0,056 個人
布団:上げ下ろし 0,076 5
:干す:取り込む 0,099 1
階段上り下り 0,094 個人
体操 0,076 個人
散歩:歩く 0,043 個人
ヨガ O,076 個人
社交ダンス 0,100 個人
水泳 0,182 個人
テニス 0,117 個人
スキー 0,117 個人
ゲートボール 0,051 個人
乾布摩擦 0,076 個人
なぎなた 0,076 個人
エアロビクス 0,084 個人
山登り 0,117 個人
農作業 0,076 個人
ゴルフ 0,068 個人
座っている時間が長い仕事 0,029 個人 立っている時間が長い仕事 0,053 個人 農作業のように肉体労働的な仕事 0,076 個人
消費エネルギーの算出について
全ての行動を消費エネルギーとして計算に加 えたため,消費エネルギーの数値は,一般より 多めに表されている。
10.肥満度(BMI)
日本肥満学会において標準体重の算出法は 標準体重(㎏)=身長(m)2×22
この22の値は,BMI算出式の BMI一体重(㎏)÷身長(m)2 において標準と判定される。
そのため,対象者のBMIを算出後,標準とさ れる22に基づき,22を中心として3っに分類し
た。
35 30 25 人20数15
10
1415 16 17 正8 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34
BMI
図2.肥満度(BMI)の分布
21以下
51%
(109人)
2
23以上
34%
(72人)
15%
(32人)
図3.肥満度(BMI)の分類 肥満度(BMI)のまとめ
・半数の方は,21以下のやせぎみであった。
・全体に標準22の周辺の方が多かったが,極端 にやせ,または肥満の方が少数いた。
IV.各要素間の相関関係
アンケートを単純集計し,各項目間の相互関 係について調べた。特に,運動習慣,肥満度,
疾病にっいては重点をおいた。
多くの項目では有意の差が見られなかったので 割愛するが,特に相関の見られた3項目につい て以下に記す。
第1回目の集計で,肥満度(BMI)により疾 病等の異なる傾向が見られたため,各要素間を
BMI22を中心に21以下,23以上の3っに分け,
相関関係を調べた。
運動と老化について
1.肥満度(BMI)と疾病 1)表11疾病の有無との関係
疾病あり 疾病なし 計 % 21以下 61 48 109 56.0
22 16 16 32 50.0
23以上 38 34 72 52.8 計 115 98 213 54.0
っまり,BMI21以下の人は,23以上の人より も消化器疾患の割合が有意に高い。これにより,
BMI21以下のやせぎみの人は,消化器疾患が 多い傾向にあると言える。図4に記す。
循環器疾患
・肥満度(BMI)別による疾病の有無は,ど
れもほぼ同じ割合であった。 消化器疾患
2)表12治療中の疾病との関係(複数回答あり)
疾病名 21以下 22 23以上 合計
血圧 19 7 24 50
心疾患 9 3 11 23
消化器疾患 13 0 1 14
糖尿病 5 3 3 11
眼 3 2 2 7
脳疾患 4 0 1 5
骨粗霧症 3 0 1 4
高脂血症 2 1 1 4
喘息 3 1 0 4
甲状腺機能低下 0 0 2 2
こう原病 1 0 0 1
泌尿器疾患 1 0 0 1
悪性リンパ腫 1 0 0 1
精神 1 0 0 1
その他 2 4 0 6
合計人数 67 21 46 134
・一ヤ多いのは高血圧で,疾病ありと答えた方 のうちの約4割であった。
・消化器疾患は,23以上より,21以下に多い傾 向にあった。
3)肥満度(BMI)と消化器・循環器疾患と の関係
治療中の疾病のうち,消化器疾患と循環器疾 患(高血圧,心疾患,脳疾患)に分け,肥満度
との相関を調べた。
表13肥満度と消化器・循環器疾患との関係
X2値=8.07 自由度=1
O% 10躬 20× 30× 40× 50× 60男 70× 80× 90×100賜
図4.肥満度と消化器・循環器疾患との関係
2.運動習慣と疾病及び肥満度(BMI)
1)表14運動習慣と肥満度(BMI)との関係
学生時代 現在 21以下 22 23以上 計
なし なし 36 9 26 71
あり なし 31 9 22 62
なし あり 23 4 10 37
あり あり 19 10 14 43
計 109 32 72 213
・運動習慣の有無については,肥満度別に大き な違いは見られなかった。
2)表15運動しない理由と肥満度(BMI)
との関係
運動をしない理由 21以下 22 23以上 合計 運動以外の趣味がある 21 8 13 42
病気だから 11 2 9 22
面倒だから 9 2 8 19
時間がない 6 3 6 15
家事 8 0 2 10
けがのため 4 1 3 8
仕事が重労働 1 0 1 2
運動が嫌い 0 0 1 1
その他 計 7 2 5 14
67 18 48 133
・運動をしない理由にっいては,どのグループ も,運動以外の趣味があると答えた方が多く,
次いで,病気,面倒,家事をしているからな どであった。
危険率1%で有意差がある。
一13一
3)運動習慣と疾病との関係
X2値=12.43 自由度=1 危険率1%で有意差がある。
っまり,疾病がある人は,ない人よりも運動 習慣のない割合が有意に高い。これにより,全 く運動しないよりも,運動を続けていくことは,
健康維持にっながると思われる。図5に記す。
病あり 病なし 計
運動なし 98 38 136
運動あり 36 41 77
計 134 79 213
運動あり
運動なし
1201kcal以上
1200kcal以下
ロ疾 なし
■疾 あり
OX ユO当 20× 30× 40× 50× 60% 70% 80タ6 90N lOO%
図6.消費エネルギーと疾病との関係
0% 10% 20% 30× 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
V,考 察
1.アンケート集計
70歳代の女性を対象としてアンケート調査を した。この集団は当時としては高等専門教育を 受けたグループであり,それを一般化してよい
国疾 なし
■疾あり かどうかは今後の検討に待たなくてはならない が,今回のアンケート調査に現れたいくっかの 点について考えてみたいと思う。
図5.運動習慣と疾病との関係
3.消費エネルギーと疾病との関係
病あり 病なし 計 1200kca1以下 77 21 98 1201kca1以上 57 58 115
計 134 79 213
X2値=17.86 自由度=1
危険率1%で有意差がある。
っまり,疾病がある人は,ない人よりも消費 エネルギーの低い割合が有意に高い。これによ
り,運動や家事などである程度体を動かし,エ ネルギーを消費した方が,疾病予防に効果があ るように見られる。図6に記す。
生活状況にっいて
家事を担当している人は,9割を占めていた。
これは,対象者が女性であるということと,夫 婦のみ,または一人暮らしの方が多いという生 活とも関係があるように思われた。早寝,早起 きの生活をしている方の割合が,もう少し多い と想像していたが,趣味や家族の生活に合わせ ていると思われ,私たちの生活と変わりがない と感じた。
喫煙にっいては吸っていない方が殆どであっ
た。
家族状況にっいて
両親とも健在という方は殆どおらず,これは 対象者が70歳前後ということからも,ある程度 の予想はできたが,片親が健在と答えた方のほ とんどは母親で,平均寿命は女性が長いことを うかがわせる。
両親の死亡原因は,老衰が多く,その他は3 大死亡原因である,ガン,心疾患,脳血管疾患 などが上位を占めていた。血族の疾病傾向は,
運動と老化について
高血圧が多かった。これは,現在疾病があると 答えた方の中でも,高血圧が多く,家族性との 関係も考えられる。
身体状況にっいて
現在何らかの疾病を治療中の方は,全体の5 割強であった。高血圧,心疾患,糖尿病の順に 多く見られた。過去に疾病にかかったことのあ る方は約8割で,4割の方が高血圧と答えてい る。治療方法は9割が通院で,薬のみ,または,
薬と食事療法の方が多く,日常の生活には,さ ほど支障がない程度の方が多いように思われる。
個人個人による疾病への意識には,違いがある ように感じられた。例えば,歯の治療を病気と とらえる方と,とらえない方がいた。
運動習慣について
殆どの方が,積極的に体を動かすようにして いると答えていることから,健康への意識の高 さがうかがえる。ただ,実際に何らかの運動を 習慣づけている方は,約4割に減っている。運 動の種目としては,歩く,水泳,体操などが多
く挙げられ,60歳代から続けている方が多かっ た。学生時代は,バレーボール,テニス,卓球 などをしていた方が多かったが,現在は簡単に でき,負担のかからないような種目が好まれて いるようだ。
仕事にっいて
現在仕事をしている方は,3割。軽作業を自 宅から近いところで数時間している方が多い。
これは,体力的な問題や,趣味などの時間を持っ ている方が多いことと関係があるように思えた。
過去の仕事は,対象者が東京女子専門学校出身 のため,教師をしていた方が多かった。
食習慣にっいて
食事は,1日3食しっかりと摂っている方が 多い。食事の内容は,ごはんに魚,野菜などの 日本型食生活を好んでいる傾向にある。煮物な
どはさっぱりとした味付けを好むようだ。約7 割の方が,満腹になるまで食べないと答えてい る。間食をする方も,7割いる。1度にたくさ ん食べるのではなく,間食を含めて食事の回数 を増やしている方が多い。アルコールについて は,7割の方が殆ど飲まないと答えている。
2.各要素間の相関関係
今回の調査で,肥満と疾病の種類,運動と疾 病との間にあるいくつかの相関関係が見られた。
即ち,1.肥満度(BMI)21以下のやせぎみ の人は,23以上の人よりも消化器疾患が多い。
2.疾病がある人は,ない人よりも運動習慣の ない人が多い。3.疾病がある人は,ない人よ りも消費エネルギーの低い人が多い。
1にっいて,痩せているから消化器疾患になる のか,逆に,消化器疾患だから痩せているのか,
相関関係は見られなかった。しかし,やせぎみ の人は23以上の人に比べて,3度の食事を満腹 になるまで食べる人が少ない傾向があり,食習 慣や生活習慣が何らかの影響を与えていると考 えられる。また,23以上の人は,やせぎみの人 に消化器疾患が多いのに対して,心疾患が多い のかということにっいては有意の相関関係は見 られなかったが,痩せ,標準の人に比べると,
高血圧である人がやや多い傾向が見られた。2,
3にっいて,疾病があるから運動しないのか,
また,運動しないから疾病の発現が多いのか,
相関関係は今後も検討を要するが,運動習慣を 持っている人は,運動したり家事などでこまめ に体を動かすことが自然に出来るのに対して,
運動習慣のない人は,体を動かそうという意識 が少ないように見られた。
ハーバード大学の調査では心疾患の多くは,高 血圧,喫煙,肥満,親が心疾患などのリスクが 挙げられている。これらのリスクは,週2000 kcal以上の運動による消費のあるグループは半 減していると報告されている。ハーバード大学 の調査対象は16,936名に達しており,すぐに比 較することは出来ないが,今回の調査では,70
一15一
歳前後の女性という対象の違い,喫煙者が少な い,極端な肥満者が少ない,高血圧及び肥満に よる心疾患との因果関係などは見られなかった。
むしろ,やせぎみの人に消化器疾患が多く,し かも運動習慣があまりない傾向が見られたのが 特徴といえる。
これらにより,運動などでエネルギーを消費し ていると,消化器・循環器の疾患が少ない傾向 があり,ある程度の疾病の発現を抑制している とも考えられる。
運動習慣のあることは,健康維持に役立ち,老 化予防のためにも意味のあることだと思われる。
VI.要 旨
高齢者の健康に,運動が与える影響や役割を 知るために2年間にわたりアンケート調査を行っ た。対象は,70歳代の本校卒業生281名。内容 は,身体状況,生活状況,家族状況,運動習慣,
仕事,食習慣について質問した。
アンケートを単純集計後,肥満,消費エネルギー などを計測し,さらに運動と老化についての相 関関係を調べた。各要素間のX2検定を行った。
その結果,肥満度(BMI)が21以下のやせぎ みの人は,23以上の人よりも消化器疾患の割合 が高い。疾病がある人は,ない人よりも運動習 慣のない割合が高い。疾病がある人はない人よ りも消費エネルギーの低い割合が高い。これら 3点にっいて相関が見られた。
その他については,一部傾向がみられたものも あったが,大部分の相関は見られなかった。こ れらにより,ある程度の運動は身体機能の低下 を防ぎ,疾病の発現を抑制しているのではない かと考えられる。
vr.参考文献
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新栄養士課程講座 栄養学各論 建吊社 94.9発行
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宮城重二著:情報処理統計学テキスト 数式を 使わないエクセル併用のやさしい「実践統計 学」 女子栄養大学 保健疫学研究室
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Alvin L. Wing, M. B. A., and C. C. Hsieh:
Physical activity, all−cause mortality, and longevity of college alumni, N. England J.Med.314:605,1986
謝 辞
本研究の大部分は本学栄養生理研究室(島村 宗夫教授)で行ないました。本論文完成に至る まで,終始御指導して下さり,校閲の労を賜り ました島村宗夫教授に心より感謝致します。ア ンケート調査にあたり緑窓会の見藤妙子会長,
風間良子副会長始め会員の皆様にお世話になり ました。また大学院生の星野かほりさん,栄養
。k.学科の卒論生,高澤聖子,高橋敬子(平成7年 度),阪口尚美,佐藤一穂(平成8年度)の皆 さんの協力を得ました。合わせて感謝の意を表 します。