Chapter 2
状態空間モデルの解と安定性
前章ではいくつかの制御対象に対して支配方程式の導出を行った。
得られる微分方程式が非線形特性をもつ場合でも,平衡状態近傍で の挙動のみに注目することで線形化を行い,線形微分方程式で近似 することができた。さらに,適切に状態量を定義することで,線形 制御理論の基本となる状態空間モデルが導出できることを示した。
本章では,このようにして得られた状態空間モデルに対する一般 解を求め,安定性について議論する。また,極と零点と応答性の関 係についても示す。
2.1 状態空間モデルの解
2.1.1
時間領域における解法磁気浮上系に対して u= 0 とした微分方程式
°
zÄãz = 0 (ã>0) の一般解は,z=eït を代入して得られる代数方程式
ï2Äã= 0 の根ï=Üpãを用いて
z =C1epãt +C2eÄpãt (2:1) で与えられる。ここで C1; C2 は初期条件によって決まる定数である。たとえば,z(0) = z0; z(0) = 0_ とすれば,簡単な計算より C1 =C2 =z0=2が得られ,それに対する解は次式 で与えられる。
{ 2.1 {
z = 1
2(epãt+eÄpãt)z0 (2:2) 一般に,線形微分方程式の解にとって指数関数 (eït) は欠かすことのできない基本とな るものである。このことは連立1階線形微分方程式の構造をもつ状態方程式についても同 様で,その解にとっても指数関数(そのものではなくそれを拡張したもの)が重要な役割を 果たすことは十分に予想されることである。
以上の結果を踏まえて,状態方程式の解を求めてみよう。そのための準備として 状態遷 移行列(state transition matrix) を定義し,それのもつ性質を明らかにする。
定義 2. 1 (状態遷移行列)
任意の正方行列 A に対して,状態遷移行列は次式で定義される。
eAt =I+At+ (At)2
2! +(At)3
3! +ÅÅÅ (2:3)
ここで,A2 =AÅA; A3 =AÅAÅA;ÅÅÅを意味している。また,A0 =I である。
この定義からも明らかなように,状態遷移行列eAt は指数部の正方行列 Aと同じ大きさを もつ正方行列である。もし,行列 A が実数 a の場合(実数は1Ç1の大きさをもつ行列と 考えることができる),式(2:3) は指数関数 eat の Taylor展開そのものを表している。この 意味で,状態遷移行列 eAt は指数関数 eat の拡張とみなすことができる。
例題 2. 1
磁気浮上系に対して状態遷移行列を計算してみよう。
eAt =
2 4 1 0
0 1
3 5+
2 4 0 1
ã 0
3 5t+
2 4 ã 0
0 ã
3 5t2
2!
+
2
4 0 ã ã2 0
3 5t3
3! +
2
4 ã2 0 0 ã2
3 5t4
4! +ÅÅÅ より,(1;1)要素は
1 + ãt2
2! +ã2t4
4! +ÅÅÅ= 1
2(epãt+eÄpãt) で与えられる。残りの要素についても同様に計算することで,
eAt =
2 64 1
2(epãt+eÄpãt) 1
2pã(epãtÄeÄpãt) pã
2 (epãtÄeÄpãt) 1
2(epãt+eÄpãt)
3
75 (2:4)
を得る。磁気浮上系に対する状態遷移行列が,時間関数 epãt と eÄpãt の線形結合から構 成されていることに注意してほしい。
2.1. 状態空間モデルの解 { 2.3 {
状態遷移行列は以下に示す性質をもつ。
(1) eAtååå
t=0 =I (2) d
dt(eAt) =AeAt =eAtA (3) eAteAú=eA(t+ú)
(4) 任意の時刻tにおいて逆行列が存在し,(eAt)Ä1 =eÄAt
(1) は定義から明らかであり,(2) は定義式(2:3)を項別微分することで得られる。(3)は定 義式(2:3)を代入して展開することで確認できる。また,(4)は (3)においてú=Ätとし,
(1) を利用することにより示すことができる。いずれも指数関数eït が有する性質と密接な 関係をもつ。
それでは,状態遷移行列を利用して状態方程式の解を求めてみよう。
初期状態y x0 に対して,x = eAtx0 と置いてこれを微分すると,性質 (2) から x_ = AeAtx0 =Ax であり,性質 (1) から x(0) =eAÅ0x0 =x0 であるので,x= eAtx0 は微分方 程式x_ =Ax; x(0) = x0 の解であることがわかる。なお,この結果を利用すると,時刻ú における状態量が x(ú) のとき,時刻t(ïú) における状態量x(t) が
x(t) =eA(tÄú)x(ú)
で与えられることを示せる。このように eAt は時刻 t 経過後の状態量を決定するものであ る。状態遷移行列の名前の由来がここにある。
次に x_ =Ax+Bu の特殊解を求めるために,x(t) =eAtp(t) と仮定する。このとき,
_
x=AeAtp+eAtp_=Ax+eAtp_ であることから eAtp_=Bu が成り立ち,性質 (4) を用いると
_
p=eÄAtBu
また,制御では t ï 0 における操作量 u の与え方が議論の対象であり,t < 0 に対して u(t) = 0 であることから
p(t) =
Z t
0 eÄAúBu(ú)dú (2:5)
が得られるので,
x=eAt
Z t
0 eÄAúBu(ú)dú=
Z t
0 eA(tÄú)Bu(ú)dú (2:6)
y状態量xに対する初期条件x(0) =x0を初期状態(initial state)と呼ぶ
以上から,状態方程式の一般解は
x=eAtx0+
Z t
0 eA(tÄú)Bu(ú)dú (2:7)
で与えられる。ここで,任意の時刻 t における状態量x が初期値応答(上式第1項)と入力 応答(上式第2項)の和として与えられるということに注意してもらいたい 。
式(2.7) より,観測量 y は
y=Cx=CeAtx0+C
Z t
0 eA(tÄú)Bu(ú)dú (2:8)
で与えられる。
例題 2. 2
操作量 u を 0 とし,初期状態が x0 = [z0 0]T で与えられるときの磁気浮上系の鉄球の 変位 z は,式(2:8) に対して例題2. 1 の結果を代入することで
z = [1 0]eAtx0
= 12(epãt+eÄpãt)z0
で与えられる。この結果は,式(2:2) と一致する。ãが正の実数であることから,適切に制 御を施さなければ時間の経過とともに変位が増大していくことがわかる。
2.1.2
ラプラス変換を利用した解法線形微分方程式は ラプラス変換(Laplace transformation) とその逆変換を利用すること によっても解くことができる。本項では,この手法を用いて状態空間モデルの解を求める。
状態方程式は行列とベクトルから成る連立微分方程式である。そのため,ベクトルに関 するラプラス変換が必要となるが,これは各要素をラプラス変換したものからなるベクト ルとして与えられる。このことから,状態方程式の左辺のラプラス変換は,
$[ _x] =sX(s)Äx0
で与えられる。ここで,$[x(t)] =X(s)。また,ラプラス変換の線形性より定数行列A に
対して $[Ax(t)] = AX(s)が成り立つことから,状態方程式の右辺のラプラス変換は,
$[Ax+Bu] = AX(s) +BU(s)
で与えられる。ここで,$[u(t)] =U(s)。以上の結果を利用して,状態方程式をラプラス変 換した後,X(s) に関してまとめると,
X(s) = (sIÄA)Ä1x0+ (sI ÄA)Ä1BU(s) (2:9)
2.2. 正則変換 { 2.5 { が得られる。また,観測方程式(のラプラス変換したもの)は
Y(s) =CX(s)
で与えられるので,式(2.9) を代入することで,次式が得られる。
Y(s) =C(sI ÄA)Ä1x0+C(sIÄA)Ä1BU(s) (2:10) ところで,式(2.9) をラプラス逆変換すると状態方程式の解x(t)が得られる。すなわち,
x(t) =$Ä1[(sI ÄA)Ä1]x0+$Ä1[(sIÄA)Ä1BU(s)] (2:11) であるが,この結果が式(2.7) と同じでなければならないことから,次の関係式を得る。
eAt =$Ä1[(sIÄA)Ä1] (2:12) この等式は状態遷移行列を計算するための一つの方法を示している。
例題 2. 3
式(2:12) を用いて磁気浮上系に対する状態遷移行列を計算してみよう。
(sIÄA)Ä1 =
2
4 s Ä1 Äã s
3 5
Ä1
= 1
s2Äã
2 4 s 1
ã s
3 5
(1;1)要素に関してラプラス逆変換を施すと,
$Ä1[ s
s2Äã] =$Ä1[1 2( 1
sÄpã+ 1
s+pã)] = 1
2(epãt+eÄpãt)
を得る。残りの要素に関しても同様にすることで状態遷移行列を得ることができるが,そ の結果は式(2:4) と一致する。
2.2 正則変換
状態空間モデルにおける状態量 x は,操作量 u と観測量 y を関係づける中間変数とし ての役割をもつ。いま,正則行列 T を用いて x=T z として新たな状態量z を導入したと しよう。このz を用いて状態空間モデル(1:26) を書き換えると,
_
z = TÄ1AT z+TÄ1Bu
y = CT z (2:13)
となる。正則行列を用いたこの変換のことを正則変換(similary transformation)と呼ぶ。正 則変換後の状態空間モデルに対する時間応答を式(2:8) に基づいて計算すると,
CT e(TÄ1AT t)TÄ1x0 + CT
Z t
0 efTÄ1AT(tÄú)gTÄ1Bu(ú)dú
= CeAtx0+C
Z t
0 eA(tÄú)Bu(ú)dú (2:14) となり,変換前の応答と一致することがわかる。ここで,
e(TÄ1AT t) =TÄ1eAtT
の関係を利用している。これより,系の入出力特性は正則変換に対して不変であることが いえる。また,
det(sIÄTÄ1AT) = det(TÄ1(sIÄA)T) = det(sIÄA)
であることから,システム行列Aの固有値(eigenvalue)(章末の付録A参照)も不変である。
ところで,このような正則変換を行う利点はどこにあるのだろうか。一つの例を通して このことを明確にしよう。
いま,システム行列 Aが相異なる固有値(ï1; ï2;ÅÅÅ; ïn)をもつと仮定する。そして,そ の固有値に対する 固有ベクトル(eigenvector)からなる次の n次正方行列 T を使って状態 空間モデル(ただし,ここでは 1入出力系を対象とする)を正則変換してみよう。なお,こ のようにして得られる行列 T は正則であることを示すことができる(付録A 参照)。
T = [v1; v2;ÅÅÅ; vn] このとき,
AT = [Av1; Av2;ÅÅÅ; Avn]
= [ï1v1; ï2v2;ÅÅÅ; ïnvn]
= [v1; v2;ÅÅÅ; vn]diagfï1; ï2;ÅÅÅ; ïng
= TÉ ここで,É = diagfï1; ï2;ÅÅÅ; ïng。
であることから,z =TÄ1x で正則変換された状態量 z に対して _
z = Éz+ ñbu
y = ñcz (2:15)
が得られる。上式においてシステム行列 A がその固有値を対角要素としてもつ対角行列 É に変換されていることに注意してほしい。この構造から変換後の系を特に対角正準形 (diagonal canonical form) と呼ぶ。上式は,状態方程式が,互いに干渉しない n本の 1階 線形微分方程式で与えられることを示している。すなわち,
2.3. システム行列 A と漸近安定性 { 2.7 {
_
z1 = ï1z1+ ñb1u _
z2 = ï2z2+ ñb2u
... (2:16)
この例から,適切な正則変換を利用することにより,系の入出力特性を変更することな く状態空間モデルの構造を簡単化することが可能であることがわかる。その結果,系の解 析や制御器の設計が容易になることを次章以降で示す。これが正則変換の利点である。
例題 2. 4
磁気浮上系に対して対角正準系を求めてみよう。
det(sIÄA) =s2 Äã= 0 より,磁気浮上系の固有値は Üpãである。また,これに対 する固有ベクトルを求めると,
T = [v1 v2] =
2
4 1 1
pã Äpã
3 5
となる。したがって,
É =TÄ1AT =
2
4 pã 0 0 Äpã
3
5; ñb =TÄ1b= å 2p ã
2 4 1
Ä1
3 5
ñ
c=cT = [1 1]
2.3 システム行列 A と漸近安定性
1章で述べた倒立振子系において,何らかの方法により台車が固定されているとしよう。
この場合も,回転軸に対して振子の重心が鉛直下方にある状態が一つの平衡状態であるこ とは明らかであろう(図 2.1(a) 参照)。すなわち,外部から振子に対して力を与えない限 り静止状態を続ける。いま,その状態から少し傾けた後手を離したとする。この場合,空 気による粘性抵抗などのエネルギ散逸がない環境下では,平衡状態回りで単振動を繰り返 す。エネルギ散逸がある場合は,振動の振幅が次第に減小し,ついには平衡状態に戻る。一
方,図 2.1(b) はもう一つの平衡状態を示している。(a)との違いは,振子を倒立させた点
にあるが,理論的には,振子の重心が回転軸に対して鉛直上方にあればその状態を保ち続 ける。ところが,少し傾けた状態から手を離すと,倒れてしまうことは明らかである。(a)
を安定(stable) な系,特に時間の経過とともに平衡状態に向かう性質をもつ系を漸近安定
(asymptotically stable) と呼び,(b)を不安定(unstable)な系と呼ぶ。工学的にみた場合,時 間の経過とともに最終的には平衡状態,すなわち静止の状態に向かう漸近安定性が重要と なる。
(a) (b)
図 2.1 安定な系と不安定な系
状態空間モデルは制御対象の特性を微分方程式で記述したものであり,上述した安定か 不安定かといった特性ももちろんその中に表現されているはずである。何をみればそれが 判断できるのであろうか。
状態方程式
_
x=Ax; x(0) =x0 (2:17)
に対してこのことを考えてみよう。この方程式の解は x=eAtx0 で与えられるので,状態 遷移行列を検討すれば状態量の挙動を知ることができる。式(2:12) より
eAt =$Ä1[(sIÄA)Ä1] =$Ä1
"
adj(sI ÄA) det(sIÄA)
#
となる。adj(sIÄA)=det(sIÄA)は有理関数からなる正方行列である。有理関数の逆ラプ ラス変換は,その分母多項式を因数分解した後,部分分数展開して行われるy。上式におい て分母多項式に相当するのが,det(sIÄA) でありその因子は行列 A の固有値である。し たがって,行列A の固有値がすべて相異なるとし,それらを ïi (i= 1;ÅÅÅ; n) としたとき,
det(sI ÄA) = (sÄï1)(sÄï2)ÅÅÅ(sÄïn)
であるので,状態遷移行列を構成するのは eïit であることがわかる。例 2:1 (あるいは例 2:3 ) では,磁気浮上系に対する状態遷移行列を計算したが,この場合も磁気浮上系の固 有値Üpãに対応した eÜpãt から状態遷移行列が構成されていたことを思い出してもらい たい。
yたとえば,$Ä1 1
(s+ 1)(s+ 2) =$Ä1( 1s+ 1Ä 1
s+ 2 ) =eÄtÄeÄ2t
2.3. システム行列 A と漸近安定性 { 2.9 { いま,システム行列 A の固有値の一つが複素数 ïi = õi +j!i で与えられたとしよう (j =p
Ä1)。このとき,
eïit =eõitej!it
であり,ej!it= cos!it+jsin!it の項は振幅が1の振動成分,eõit はその振動振幅の時間的 挙動を表している。安定性に関しては,当然後者が鍵となる。指数関数の性質から,õi <0 であれば,時間の経過とともにその振幅は 0 に向かう。また,固有値ïi が実数の場合は,
負(ïi <0) であれば eïit は 0に向かう。結局,システム行列 A の固有値の実部がすべて 負であれば,状態遷移行列のすべての要素が時間の経過とともに 0に向かうので,任意の 初期状態 x0 に対する状態量x は 0 に向かう。すなわち漸近安定であるといえる。そうで なければ漸近安定ではない。磁気浮上系は,一つの正の実固有値をもつので不安定である。
一般に漸近安定性に関して次の定理が成り立つ。
定理 2. 1
状態方程式 x_ = Ax が漸近安定であるための必要十分条件は,システム行列 A の固有 値の実部がすべて負であることである。
定理から,システム行列 A の固有値が安定性(応答) にとって重要な意味をもつことが わかる。そこで,特にそれを計算するための det(sI Ä A) を 特性多項式(characteristic polynomial),det(sIÄA) = 0 を 特性方程式(characteristic equation)と呼ぶ。また,固有 値を極(pole)と呼ぶ。
Real Imag.
0 σ
ω
σ ω+j 複素左半平面
図 2.2複素平面
極は一般に共役複素数となる。複素数は,直交座標の横軸,縦軸に対してそれぞれ実部 ならびに虚部を割り当てると,図 2:2 に示すようにその座標上の1点として表すことがで
きる。この場合,横軸を 実軸(real axis) ,縦軸を虚軸(imaginary axis)と呼ぶ。定理より,
虚軸の左側にすべての極が位置すれば漸近安定であるといえる。そこで,以後虚軸の左側 (ただし,虚軸は含まない)を 複素左半平面(complex left half plane),虚軸を含む右側を複 素右半平面(complex right half plane)と呼ぶことにする。また,定理の条件を満たすとき,
システム行列A が漸近安定,系もしくは状態空間モデルが漸近安定であるいう。
例題 2. 5
台車を固定したときの倒立振子系の(線形化された)支配方程式は式(1:12) より (J +mL2)°í+ñíí_ÜmgLí= 0
で与えられる。なお,複合は + が í=ô,Ä が í= 0 の平衡状態近傍の特性であること を意味している。これに対して,状態量 x を
x=
2 4 í
í_
3 5
とすると,
_ x =
2
4 0 1
ámgL=(J +mL2) Äñí
3 5
を得る。このときのシステム行列Aの固有値はdet(sIÄA) =s2+ñísÜmgL=(J+mL2) = 0 より,平衡状態 í= 0 に対しては正の実固有値を 1つもつので不安定であるが,平衡状態 í=ô近傍では 2つの固有値の実部は共に正であるので漸近安定である。ただし,後者に おいて,ñí= 0のときは,虚軸上に 1対の固有値をもつ。このことは単振動状態を意味し ており,系は漸近安定ではないが,振幅が無限大に増大しないという意味で安定であると いえる。
次に(台車を固定していない)倒立振子系の安定性を検討してみよう。式(1:24) 中のシス テム行列 A に対する特性方程式は,
det(sIÄA) =s(s+ê)(s2+p2sÄp1g) = 0
で与えられるが,明らかに複素右半平面に極をもつので,不安定であるといえる。
これまでは,状態方程式(2:17) に対する安定性を議論してきた。これは,制御を施さな い,すなわち u= 0とした開ループ系そのものの安定性と考えられるし,操作量u を状態 量の線形結合として与えた,すなわちu=ÄKx としたときの閉ループ系 x_ = (AÄBK)x に対する安定性と考えることもできる。いずれにしても,平衡状態にある系が何らかの原因 で平衡状態からはずれたときに平衡状態に戻るかどうかに関するものである。これを 零入 力安定性(zero input stability)と呼ぶ。これに対して,有界な入力uに対して出力yが有界 となるかどうかといった安定性の概念がある。これを有界入力有界出力安定(bounded-input bounded-output stable : BIBO安定)と呼ぶ。状態空間モデル(1:26)に対しては,零入力安 定であれば BIBO安定である。
2.4. 零点のもついくつかの性質 { 2.11 {
2.4 零点のもついくつかの性質
線形微分方程式によって記述される系に対して,初期状態が0の下でラプラス変換を施し て得られる入力U(s) =$[u(t)]と出力 Y(s) =$[y(t)]の関係が 伝達行列(transfer matrix) の定義である。この定義に従うと,状態空間モデル(1:29) に対する伝達行列 G(s) は,
G(s) =C(sI ÄA)Ä1B = C adj(sIÄA)B
det(sI ÄA) (2:18)
で与えられる(式(2:10) 参照)。 例題 2. 6
状態空間モデルを正則変換しても伝達行列が同じであることを示そう。このことは,正 則変換前後の伝達行列をそれぞれ G(s); G(s)ñ とするとき,
Gñ=CT(sI ÄTÄ1AT)Ä1TÄ1B =C(sI ÄA)Ä1B =G(s)
より示すことができる。2:2節において入力 u から出力 y までの応答特性が正則変換によ り不変であることを示したが,伝達行列も入出力特性を記述するものであることを考える と当然の結果といえよう。
特に,1入出力系(C = c; B = b) に対しては,入出力の比として 伝達関数(transfer
function) が与えられ,次式に示すように,多項式の比となる。
G(s) = cadj(sIÄA)b
det(sIÄA) = n(s)
d(s) (2:19)
たとえば,磁気浮上系の場合には
G(s) = å s2Äã となる。
式(2:19) において,分母多項式(特性多項式) d(s) の根(極) は系に内在する固有運動を 表している。系の安定性がこの極によって与えられることを前節で明らかにした。一方,分 子多項式 n(s)の根は零点(zero)と呼ばれる。本節では,この零点の意味するところを明ら かにする。
いま,伝達関数が原点に零点をもつ漸近安定な系を考えてみよう。
G(s) = n(s)
d(s) = sñn(s) d(s)
この系に対する単位ステップ応答 y を求めるためにU(s) = 1=s を掛けると,零点のs と のキャンセルが生じてしまうので,
y=$Ä1
î
G(s)1 s
ï
=$Ä1
"
ñ n(s) d(s)
#
となり,その応答は時間の経過とともに平衡状態0に向かう(d(s)が漸近安定であるので)。 このことは入力の影響が出力に現れないことを意味する。一般に,零点(s=z)に対応する 入力(ezt) を入れてもそれは出力には現れない。これが零点のもつ 入力阻止効果 である。
たとえば,20度に保たれた部屋の温度を 25度にしたいとしよう。これは入力として 5度 に相当するステップ入力を指令値として系に与えればよいが,上述のように,系が原点に 零点をもつ場合には,その入力に対してもとの 20度の状態に戻ってしまうために,目的が 達成されないことになる。
零点のもつもう一つの効果について考えてみる。次の系 G(s) = 3Ä3s
s2+ 4s+ 3 に対して単位ステップ応答を求めると。
y(t) = 1Ä3eÄt+ 2eÄ3t
を得る。このときの応答を 図2:3に示すが,一度負の方向へ移動した後,最終値へ向かう 応答を示している。このような応答をアンダシュート(undershoot)と呼ぶ。たとえば,自 動車のハンドル操作に対して,車の動きがこのような応答を示すならば,非常に運転しづ らい車であることは直感的にも明らかである。
0 1 2 3 4 5 6
-0.5 0 0.5
1
Time[sec]
図 2.3アンダシュート現象
このアンダシュート現象が生じる原因を調べてみる。ここでは,系が漸近安定で,原点 に零点をもたず,その伝達関数 G(s) が
2.4. 零点のもついくつかの性質 { 2.13 {
G(s) = ånÄqsnÄq+ÅÅÅ+å1s+å0 sn+ãnÄ1snÄ1+ÅÅÅ+ã1s+ã0
で与えられるとする(ånÄq 6= 0)。この場合,分子多項式の次数からもわかるように,系は nÄq個の零点をもつ。また,Faddeevの公式(章末の付録B 参照)より,
cb=cAb=ÅÅÅ=cAqÄ2b= 0; cAqÄ1b =ånÄq の関係が成り立つ。
G(s)に対して単位ステップ入力を与えたときの最終値 y(1) は,ラプラス変換の最終値 の定理より,
y(1) = å0
ã0
で与えられる。ここでy(1)>0 であるとする。このとき,アンダシュート現象は,t= 0 において負の勾配をもつときに発生する。そこで,t = 0近傍における単位ステップ応答 y の勾配を計算すると
y(+0) = cx(0) = 0 y(1)(+0) = cAx(0) +cb= 0
...
y(q)(+0) = cAqx(0) +cAqÄ1b=ånÄq6= 0 ...
となる。したがって,
y(q)(+0)y(1) = ånÄqå0
ã0 <0 (2:20)
が,図 2:3 に示すアンダシュートが発生する条件といえる。系が漸近安定であると仮定し ているので,ã0 >0であるy。また,零点を zi (i= 1;ÅÅÅ; nÄq) とすると,
å0 =ånÄq
nÄqY
i=1
(Äzi) であることから
nÄqY
i=1
Äzi <0 (2:21)
yRouth-Hurwitzの安定判別条件より,特性方程式の係数がすべて存在し,同符号であることが系が漸近安
定であるための必要十分条件である。この場合,sn の係数が1であるので,ã0 は正でなければならない。
すなわち,正の実軸上の零点が奇数個あるときアンダシュートが発生することがわかる。
前述の例では,1つの正の実数零点がアンダシュートの原因であるといえる。一般に,不安 定な(複素右半平面内にある)零点をもつ系を 非最小位相系(non-minimum phase system) と呼ぶ。
ところで,零点は
det
2
4 sIÄA b
c 0
3
5= 0 (2:22)
を利用して計算することもできる。このことを具体例で示そう。
例題 2. 7
次に示す 3次系に対して式(2:22) を利用して零点を計算してみよう。
_ x =
2 664
0 1 0
0 0 1
Äã0 Äã1 Äã2
3 775x+
2 664
0 0 1
3 775u
y = [c0 c1 c2]x この系に対して式(2:22) を適用すると
det
2 6666 64
s Ä1 0 0
0 s Ä1 0
ã0 ã1 s+ã2 1 c0 c1 c2 0
3 7777
75=Ä(c2s2+c1s+c0)
となる。一方,G(s) =n(s)=d(s) =c(sIÄA)Ä1b を利用して n(s) を計算すると n(s) =c2s2+c1s+c0
となり,零点が一致することがわかる。
2.5 極と応答性
式(1:26)で与えられる(無限次振動モードまで考慮した)柔軟ビーム振動系に対する伝達
関数G(s) を計算すると
G(s) =X1
i=1
Ki!2i
s2+ 2êi!is+!i2 (2:23) を得る。ここで,
!i =q^ci=^ai (>0); êi = ^bi=2q^ai^ci (>0)
2.5. 極と応答性 { 2.15 { これより,柔軟ビーム振動系の極はすべて複素左半平面内にあるので,漸近安定であるこ とがいえる。本節では,上式に含まれる第i次振動モードに対応した伝達関数
Gi(s) = Ki!i2 s2+ 2êi!is+!i2
に注目して極と応答性について検討する。なお,以下では簡単のために添え字 iは省略し,
Ki = 1とする。すなわち,
G(s) = !2
s2 + 2ê!s+!2 (2:24)
これは演習問題1-1 の 1自由度振動系に対する伝達関数と同じ構造をもつので,以降 1自 由度振動系と呼ぶことにする。
最初に,一般的な 1自由度振動系の特性について検討する。この系の極は s1;2 =Äê!Ü!qê2Ä1
で与えられるが,êï1 の場合,極は実数,1> ê>0 の場合,共役複素数となる。また,
後者に対して極座標表現すると,原点から極までの距離が!,負の実軸と極とのなす角度 íが tanÄ1p1Äê2=êであることを容易に示すことができる(図 2:4参照)。
×
ω
θ
RealImag.
0
図 2.41自由度振動系の極の位置
次に,1自由度振動系に対する単位ステップ応答を検討する。応答を評価する代表的な指 標として,オーバシュート(overshoot)と 立ち上がり時間(settling time) を挙げることがで きる(図 2:5参照)。前者は
OS = ymaxÄy(1)
y(1) (2:25)
Time [sec]
ymax
y(∞)
ST
±1.8%
図 2.5 単位ステップ応答
と定義することができる。また,後者は図 2:5 に示すように,最終値 y(1) の Ü1:8% 以 内に応答が収束するまでの時間とここでは定義する。1自由度振動系に対しては,これら を解析的に求めることができる。
OS =eÄôê=p
1Äê2; ST = 4
ê! (2:26)
上式より,オーバシュートはê,立ち上がり時間はê!(極の実部)によって定まることがわ かる。たとえば,オーバシュートを 5%以内にしたいという要求は,
í= tanÄ1
q1Äê2
ê = tanÄ1 ô
Äln(0:05) = 46:36[deg]
より,おおよそ図 2:6に示す領域に極があればよい,と表現することができる。
最後に,1.5.3項で述べた柔軟ビーム振動系の物理パラメータ値を代入してその特性を検
討しよう。ここでは1次振動モードを対象とする。また,柔軟ビーム振動系に対しては,単 位ステップ応答よりはインパルス応答のほうがより現実的であるので,インパルス応答を 評価する。まず,極であるが,1次振動モードに対する特性多項式がs2+ 1:393s+ 161:6で 与えられることから,
s=Ä0:696Ü12:69j
を得る。この場合ê= 0:0548 と非常に小さい値をもつので明らかにその応答は振動的であ る。また実部の絶対値が小さいことが原因となって発生した振動の収束性が非常に悪い。し たがって,何らかの手段により極の実部の絶対値をより大きな値にすることができれば,収束 性の改善が期待される。図2:7に極の実部だけをより左に移動させた(s =Ä3:969Ü12:69j,
2.5. 極と応答性 { 2.17 {
Real Imag.
0 +45[deg]
-45[deg]
図 2.6 オーバシュート 5%以内を満足する極の位置
特性多項式 s2+ 7:392s+ 174:7)ときのインパルス応答を示す。極を移動させることによっ てインパルス入力に対する応答の収束性が改善されていることがわかる。また,図 2:8 に はそれぞれのBODE線図を示すが,共振ピーク値が低減しており,これが収束性の改善を 意味していることがわかる。
以上のことは,柔軟ビーム制御系を構成する際に重要になるので,よく理解しておいて もらいたい。
0 1 2 3
Time[sec]
図 2.7 1次振動モードのインパルス応答
0 10 1 10 2 -40
-20 0 20
Freq. [rad/s]
10 Gain [dB]
図 2.81次振動モードのBODE線図
Appendix A
固有ベクトルの一次独立性
A.1 ベクトルの一次独立性
最初にベクトルの 一次独立性(linearly independent) を定義することからはじめよう。
定義 A. 1 (ベクトルの一次独立性) ベクトル v1;ÅÅÅ; vm 2Rn に対して
ã1v1+ÅÅÅ+ãmvm = 0 (A:1)
を満足する実数がã1 =ÅÅÅ=ãm = 0 のときのみであるならば v1;ÅÅÅ; vm は一次独立であるとい う。一方,一次独立でない,すなわち少なくとも 1つは 0 でないãi に対して式(A:1) が成り立つ ときv1;ÅÅÅ; vm は 一次従属(linearly dependent) であるという。
いま,ベクトル v1;ÅÅÅ; vm が一次従属であるとしよう。そのとき,少なくとも 1つは 0 でない ãi に対して式(A:1)が成り立つ。それを ã1 とする。そのとき,
v1=Äã2
ã1v2Ä ÅÅÅÄãm ã1vm
が成り立つ。このことは,一次従属なベクトルは残りのベクトルの線形結合で表現できることを意 味している。
A.2 固有値と固有ベクトル
定義 A. 2 (固有値と固有ベクトル) n次正方行列A に対して
Av=ïv (A:2)
{ 2.19 {
を満たす非零なベクトル v 2 Cn を 固有ベクトル(eigenvector),スカラー ï2 C を 固有値 (eigenvalue) と呼ぶ。
一般に,n次正方行列 A にn次元ベクトル v を掛けることで再び n次元ベクトルが得られる。
このようにして得られるベクトルAv は,もとのベクトルv に対して大きさも方向も異なる。しか
し,式(A:2)からわかるように,固有ベクトルは特別で,方向は変化せず,大きさが固有値倍され
る。これは固有ベクトルのもつ重要な幾何学的性質である。
ところで,式(A:2)を少し変形すると,
(ïIÄA)v= 0
を得る。非零なベクトルv に対して上式が成り立つためには,行列ïIÄA が正則でない,すなわ ちdet(ïIÄA) = 0が成り立たなければならない。行列A2RnÇn に対して,行列式det(ïI ÄA) はïに関する 実係数をもつn次多項式となる。
det(ïIÄA) =ïn+ãnÄ1ïnÄ1+ÅÅÅ+ã1ï+ã0
この多項式はn個の根(実数または複素共役根) をもつ。したがって,n次正方行列A に対する固 有値は n個存在することがいえる。また,これらの固有値に対応して固有ベクトルもn本となる。
A.3 固有ベクトルの一次独立性
いま,n次正方行列A がn個の相異なる固有値ï1;ÅÅÅ; ïn2C をもつと仮定し,それに対する 固有ベクトルがv1;ÅÅÅ; vn 2Cn であるとする。もし,これらの固有ベクトルが一次従属であると すると,
c1v1+c2v2+ÅÅÅ+cnvn= 0
に対して少なくとも一つの非零なスカラーが存在する。それを c1 としよう。上式の左から (AÄ ï2In)(AÄï3In)ÅÅÅ(AÄïnIn) を掛け,
(AÄïiIn)vj =
( (ïjÄïi)vj (i6=j)
0 (i=j)
であることを利用すると,
c1(ï1Äï2)(ï1Äï3)ÅÅÅ(ï1Äïn)v1= 0
が得られる。ここで,固有値がすべて相異なることと固有ベクトルが非零であることからc1= 0 で なければならないがこれは仮定に矛盾する。したがって,次の定理を得る。
定理 A. 1
相異なる固有値に対する固有ベクトルは一次独立である。
A.4. 行列のランクと逆行列 { 2.21 {
A.4 行列のランクと逆行列
行列A 2RnÇm は m本のn次元縦ベクトルあるいはn本の m次元横ベクトルより構成されて いると考えることができる。この行列に対してランク(rank)を次のように定義する。
定義 A. 3 (行列のランク)
行列 A のランクはA の縦(横)ベクトルのうち一次独立なものの本数である。
行列 Aに対して,i1; i2;ÅÅÅ; ip 行ならびに j1; j2;ÅÅÅ; jp 列の交差する成分を集めた行列の行列式 åå
åå åå åå åå 2 6666 4
ai1;j1 ai1;j2 ÅÅÅ ai1;jp
ai2;j1 ai2;j2 ÅÅÅ ai2;jp ... ... ... aip;j1 aip;j2 ÅÅÅ aip;jp
3 7777 5 åå åå åå åå åå
をp次小行列式(minor)と呼ぶ。このとき行列のランクは次のようにしても与えられる。
定義 A. 4 (行列のランク)
A の p次小行列式のなかに 0 でないものが(少なくとも 1 個) あり,(p+ 1) 次以上のすべての 小行列式が 0 であるとき行列 A のランクは p である。
したがって,n次正方行列 A内のベクトルが一次独立であるとき,その行列式 det(A)は非零で あり,逆行列が存在する。そのような行列を 正則行列(nonsingular matrix)と呼ぶ。
もし,n次正方行列Aの固有値がすべて相異なるならば,それらに対する固有ベクトルからなる 行列
T = [v1 v2 ÅÅÅvn] (A:3)
は正則であり,逆行列が存在することがいえる。
Appendix B
Cayley-Hamilton の定理
行列(sIÄA) の逆行列は一般に次式で与えられる。
(sIÄA)Ä1= NnÄ1snÄ1+NnÄ2snÄ2+ÅÅÅ+N1s+N0 sn+ãnÄ1snÄ1+ÅÅÅ+ã1s+ã0
ここでNi (i= 0;ÅÅÅ; nÄ1) は行列A と同じ大きさの行列である。また,分母多項式は特性多項 式と呼ばれる。
上式の両辺に左から (sIÄA) ならびに特性多項式を掛けて分母をはらった後で,si の係数比較 をi=nから i= 0 まで順に行うことにより,以下の関係を得る。
NnÄ1 = In
NnÄ2 = ãnÄ1In+A
NnÄ3 = ãnÄ2In+ãnÄ1A+A2 ... = ...
N0 = ã1In+ã2A+ÅÅÅ+ãnÄ1AnÄ2+AnÄ1 0 = ã0In+AN0
これが Faddeevの公式である。これより,SISO系に対する伝達関数G(s) は次式で与えられる。
G(s) =c(sIÄA)Ä1b= ånÄ1snÄ1+ånÄ2snÄ2+ÅÅÅ+å1s+å0 sn+ãnÄ1snÄ1+ÅÅÅ+ã1s+ã0
ここで,
ånÄ1 =cNnÄ1b=cb; ånÄ2 =cNnÄ2b=ãnÄ1cb+cAb;ÅÅÅ
ところで,Faddeevの公式中の最後の2式から
An+ãnÄ1AnÄ1+ÅÅÅ+ã1A+ã0In= 0
の関係を得る。これが Cayley-Hamiltonの定理 と呼ばれるもので線形制御理論において重要な役 割を果たす。以下に定理としてまとめておく。
{ 2.23 {
定義 B. 1
正方行列 A2RnÇn の特性方程式が
sn+ãnÄ1snÄ1+ÅÅÅ+ã1s+ã0= 0
で与えられるとする。このとき,
An+ãnÄ1AnÄ1+ÅÅÅ+ã1A+ã0In= 0 (B:1) が成り立つ。
式(B:1)より,Ak (k ïn) は,行列InòAnÄ1 の線形結合で必ず表現できることを意味してい る。同様に,式(B:1)の右から縦ベクトルb2Rn をかけることにより,Akb(k ïn) は,ベクト ルbòAnÄ1bの線形結合で必ず表現できる。
演 習 問 題
2-1 次に示す正方行列 A に対して状態遷移行列 eAt を計算しなさい。
(1) A=
2
4 0 1 Ä6 Ä5
3
5, (2) A=
2 4 1 0
0 Ä2
3
5, (3) A=
2 664
ï 1 0 0 ï 1 0 0 ï
3 775
2-2 n次正方行列 A の特性多項式が
Ym i=1
(sÄïi)ni
で与えられるとする。ただし,ni は固有値ïi の重複度を表しており,n1+n2+ÅÅÅ+ nm =n である。また,f(ï) =eït; g(ï) =ã0+ã1ï+ÅÅÅ+ãnÄ1ïnÄ1 とする。この とき,
f(l)(ïi) =g(l)(ïi); l= 0;1;ÅÅÅ; niÄ1; i = 1;2;ÅÅÅ; m が成り立つように ã0;ÅÅÅ; ãnÄ1 を定めると,
f(A)(= eAt) =g(A)(=ã0I +ã1A+ÅÅÅ+ãnÄ1AnÄ1)
から,状態遷移行列を計算することができる。本手法を磁気浮上系の行列 Aに適用 して状態遷移行列を計算しなさい。
2-3 n次正方行列 A; B に対して AB =BA が成り立つ場合,
eAteBt=eBteAt であることを証明しなさい。
2-4 次に示す系の安定性を検討せよ。
_ x=
2 664
Ä1 0 1 2 1 0 0 0 3
3 775x+
2 664
1 0 0
3 775u
また,正則変換により対角正準形に変換せよ。
2-5 式(2:24) においてê>0; ! >0のときに安定となることを示せ。また,0< ê<1 と したとき,オーバシュートならびに整定時間が式(2:26) で与えられることを示せ。
{ 2.25 {