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持久的パフォーマンスに対する炭水化物マウスリンスの影響 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)持久的パフォーマンスに対する炭水化物マウスリンスの影響 キーワード:持久的パフォーマンス,マウスリンス,報酬系 人間環境学府. 行動システム専攻. 健康行動学コース. 2HE11043K 主指導教員:斉藤. 背景 長時間(2 時間以上)の運動中に炭水化物を摂取する. 篤司,. 尾原. 遼平. 副指導教員:大柿. 哲朗. (甘くない炭水化物) 、人工甘味料(甘い)を用いて実 験を行った。その結果、炭水化物を含む溶液だけが、脳. と持久的パフォーマンスは改善することが報告されて. の報酬系に関わる領域を活性化させたと報告している。. いる。このことは、運動中の炭水化物摂取が運動終盤. これは、甘味の有無に関わらず、口腔内に炭水化物を受. の血糖と炭水化物酸化率の維持及び、筋グリコーゲン. 容する新たな受容体が存在することを示唆している。よ. の節約に貢献しているためとされている。同様に、比. って、炭水化物マウスリンスは、炭水化物受容体を介し. 較的短時間(60 分程度)の運動中の炭水化物摂取にお. て脳の報酬系に関連する領域を活性化させる可能性が. いて、持久的パフォーマンスの改善が報告されている。. 考えられている。. この要因の1つとして炭水化物酸化率の維持が考えら. 運動中、炭水化物の濃度が異なる溶液(0%、2%、4%、. れている。しかし、60 分間の運動中、炭水化物摂取群. 6%)を経口摂取させた研究では、濃度が高い溶液を摂. は持久的パフォーマンスが改善しているにもかかわら. 取した方が、持久的パフォーマンスを改善すると報告さ. ず、血糖値、炭水化物酸化率に対照群(プラセボ摂取). れている。炭水化物マウスリンスの持久的パフォーマン. との間に差は認められなかった。また、筋グリコーゲ. スへの影響に関する先行研究は、炭水化物濃度 6%の溶. ンの利用にも差は認められなかった。さらに、血糖値. 液を用いて実験を行っている。また、Chambers らの. の維持が持久的パフォーマンスに及ぼす影響を検証す. fMRI を用いた研究では、炭水化物濃度 18%の溶液を用. るために、グルコースと生理食塩水を静脈注入して 60. いているが、運動は行ってない。. 分間の運動実験が行われた。その結果、グルコースの. したがって、炭水化物の濃度が異なる溶液で、マウス. 静注は生理食塩水よりも、高い血糖値を示したが、持. リンスを行うことが、持久的パフォーマンスに与える影. 久的パフォーマンスに差は認められなかった。また、. 響を検討することが必要である。その結果、運動中の炭. 炭水化物酸化率にも差は認められなかった。生理食塩. 水化物補給に際し、単に飲み込むだけでなく、ある程度、. 水静注における、運動終盤の比較的高い呼吸商と血糖. 口腔内に留めた後、飲み込むことにより、パフォーマン. 値から、体内のグリコーゲンが枯渇しているとは考え. ス改善により有効となる可能性が考えられる。さらに、. られないと述べられている。以上のことから、持久的. 炭水化物を摂取することが困難なスポーツ場面、例えば、. パフォーマンスの改善は、摂取された炭水化物による. 格闘技等のインターバル、減量中の練習等のパフォーマ. ものではなく、炭水化物を経口摂取すること自体が影. ンス改善方法の一つとして期待することができる。また、. 響している可能性が考えられている。. 運動中、炭水化物水溶液の摂取で胃腸の不快感を訴える. Carter らは、炭水化物マウスリンス群(摂取させず に口の中に含み、吐き出す)とプラセボマウスリンス. アスリートに対して、不快感の改善にも貢献できると考 えられる。. 群が持久的パフォーマンスの改善に影響を与えるかに ついて検討した。その結果、炭水化物マウスリンス群. 目的. は、プラセボマウスリンス群と比べ、持久的パフォー. 本研究の目的は濃度の異なる炭水化物マウスリンス. マンスを改善することが認められた。持久的パフォー. が持久的パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにする. マンスの改善が認められた原因について Carter らは、. こととする。. 口腔内の炭水化物受容体によって、脳の報酬系に関わ る領域が活性化されたからではないかと述べている。 Chambers らは、fMRI を使用して、炭水化物マウスリ ンスがどの脳領域を活性化させているのか検証するた め、グルコース(甘い炭水化物) 、マルトデキストリン.

(2) 方法 1.対象. 運動継続時間. 斜度1.5%. 被験者は実験の内容と実験における危険性の説明を 受けた後、九州大学健康科学センター倫理委員会にお いて認められた同意書にサインした健康な大学生院男 子 6 人(年齢 25.6±1.5 歳、身長 171.1±6.0cm、体重. 血糖値 血中乳酸値 呼気3分. マウスリンス 25ml 5秒間. RPE/FS. 呼気3分. 65.7±6.5kg)。 2.実験方法. マウスリンス 疲 25ml 5秒間 労 困 憊. ウォーミング アップ. 安静. 1)溶液の濃度 炭水化物溶液の濃度は、6%、18%の 2 試行とする。 炭水化物溶液にはマルトデキストリン(サイエンス糖. 0分. 3分. 8分 9分. 12分. 13分. 化株式会社.NSD700)を用いた。対照として、人工. 血糖値 血中乳酸値. 図 1.実験プロトコル. 甘味料(味の素株式会社。アスパムテール)入りの水 (プラセボ)を用いた。また、甘さを統一するため、 6%の炭水化物溶液にも、プラセボに加えたものと同じ 人工甘味料を加えた。. 実験は斜度 1.5%のトレッドミルを用いて、OBLA に 相当する速度で疲労困憊に至るまでランニングを行っ た。実験開始 2 時間前、水を 500ml 摂取した。実験室. 本実験を始める前に、被験者にはプラセボと炭水化. の室温は 21.7±0.8℃、湿度 40.1±5.2%であった。図 1. 物溶液(6%、18%)を区別できるかどうかを検証した。. に実験プロトコルを示した。30 分間の座位安静後、呼. 被験者は 13 時間の絶食後、朝、実験室に来室し、各溶. 気を 3 分間測定した後、乳酸閾値(Lactate Threshold:. 液 25ml をそれぞれ 5 秒間マウスリンスを行い、その後. 以下 LT とする)の強度でウォーミングアップを 3 分間. 溶液を区別した。その結果、6 人の被験者全てが溶液を. 行った。LT は OBLA を測定した際の血中乳酸値が. 正確に区別することができないことを確認した。. 2mmol/L に至った時点とした。ウォーミングアップ後 OBLA の強度までスピードを上げ、疲労困憊までラン. 2)実験手順. ニングを行った。OBLA の強度でのランニング中は 10. 本実験はシングルブラインド、クロスオーバーデザ. 分おきに 5 秒間マウスリンスを行った。各溶液の量は、. インでの 3 試行とした。各実験間は少なくとも 7 日間. 先行研究を参考に、25ml/回とした。溶液の温度は 20. 空けた。本実験を行う前に斜度 1.5%に設定されたトレ. ±0.6℃であった。主観的運動強度(RPE)と感情状態. ッドミルを用いて、血中乳酸蓄積開始点(Onset of. を測定する尺度(Feeling scale: FS)をマウスリンスの. Blood Lactate Accumulation: 以下 OBLA とする)を. 4 分前に測定した後、マスクを装着し呼気を 3 分間測定. 測定した。OBLA の測定は、運動負荷の初期負荷を. した。心拍数は実験を通して連続的に測定した。疲労困. 120m/min とし、トレッドミルを使用した多段階運動. 憊のタイミングは被験者の自己申告とした。ランニング. 負荷試験により評価した。3 分ごとに速度を 10m ずつ. 中、被験者には走行時間が分からないようにした。血中. 漸増させ、血中乳酸値が 4mmol/L に至った強度を. 乳酸値および血中グルコース濃度を耳朶血を用い、運動. OBLA とした。一段階の運動時間は 4 分間とし、休憩. 前後に測定した。. は 1 分間とした。 実験前日、被験者にはカフェイン、アルコール、激. 3)統計処理. しい運動を控えてもらった。実験前夜、21 時ちょうど. 3 群間の運動継続時間の比較には、1 元配置分散分析. に規定食を食べるよう指示し、13 時間の絶食後、実験. を実施した。血中グルコース濃度の比較には、時間(運. 室に来室させた。. 動前/後)と濃度(0%/6%/18%)、呼吸交換比及び酸素 摂取量の比較には、時間(安静時/運動 10 分時点/疲労 困憊前)と濃度(0%/6%/18%)を要因とする 2 元配置 分散分析を実施した。濃度間に有意差が認められた場合 には、Bonferroni 法を用いて多重比較検定を実施した。 全ての有意水準は 5%未満とした。なお、分析には統計 パッケージ PASW Statistics 18 を使用した。.

(3) 結果 図 2 に濃度別にみた運動継続時間を示した。濃度間. 0.98. に差は認められなかった(プラセボ:26.52±6.53 分、. 0.97. 炭水化物 6%:28.37±8.02 分、炭水化物 18%:27.07 (220-年齢)から運動強度を評価した。その結果、運. *. 0.96. *. ±5.44 分)。OBLA 測定の時の酸素摂取量と最高心拍数. *. 0.95. プラセボ CHO6%. 0.94. CHO18%. 図 3 に運動前、後の血中グルコース濃度を示した。. 0.93 0.83. 系列1. 運動前の血中グルコース濃度に濃度間の差は認められ. 0.81 0.92. 系列2. 動強度は推定 90% o2max であった。. なかった。時間及び濃度間に主効果が認められ(p<.05)、 多重比較検定の結果、プラセボと炭水化物 6%の間に有. 安静 安静. 10分時点 10分地点 10分地点. 疲労困憊前 疲労困憊前. 系列3. 図 4.安静時と運動中の呼吸交換比. 意な差が認められた(p<.05)。 図 4 に安静時と運動中の呼吸交換比の変化を示した。 安静時の呼吸交換比に濃度間の差は認められなかった。 時間及び濃度間に主効果が認められた(p<.05)。多重 比較検定の結果、炭水化物 6%と炭水化物 18%の間に 有意な差が認められた(p<.05)。 図 5 に安静時と運動中の酸素摂取量の変化を示した。 安静時の酸素摂取量に濃度間の差は認められなかった。 時間の主効果は認められた(p<.05)が、濃度間に主効 果は認められなかった。 (分). (ml/min). *. 2800 2750. *. 2700 2650. プラセボ. 2600. CHO6%. 2550. CHO18%. 2500 1000 2450 0 2400. 44. 系列1 系列2. 安静 安静. 10分地点 疲労困憊前 10分時点 10分地点 疲労困憊前. 系列3. 図 5.安静時と運動中の酸素摂取量. 39 34. 考察. 29. 本研究は濃度の異なる炭水化物溶液(0%、6%、18%). 24. によるマウスリンスが持久的パフォーマンスに与える. 19. 影響を検証することを目的として行ったが、明確な差は. 14 10. プラセボ. CHO6%. CHO18%. プラセボ. CHO6%. CHO18%. 認められなかった。持久的パフォーマンスが改善されな. 5. かった原因として、運動強度が高すぎた可能性がある。. 0. 炭水化物マウスリンスの効果を示す研究において、30. 図 2.濃度別に見た運動継続時間. 分以下の運動で持久的パフォーマンスを改善したとい う報告はない。本研究の運動継続時間は 30 分以下であ. (mg/dl). るため、濃度間に差が認められなかったと考えられる。. *. 95. しかし、運動継続時間は有意な差は認められなかった. 90. が、プラセボに比べ、炭水化物マウスリンスにおいて、. *. 85. プラセボ. 80 75. わずかに長くなっていた。被験者の実験後のコメントで、. CHO6%. プラセボでは全ての被験者がマウスリンスをしても何. CHO18%. も感じないと答えていたのに対して、炭水化物 6%溶液. 70. では 6 人中 3 人、炭水化物 18%溶液では 2 人が「楽に. 65. なった」と回答した。このことは、30 分以下の運動に. 60 運動前. 運動後. *p<0.05. 図 3.運動前後の血中グルコース濃度. おいても、運動強度によっては炭水化物マウスリンスに より、持久的パフォーマンスが改善する可能性が示唆さ れた。炭水化物マウスリンスによる、持久的パフォーマ.

(4) ンスの改善は、口腔内の炭水化物受容体を介して、線. では、血中グルコース濃度は LT と比べて、OBLA 強度. 条体といった脳の報酬系に関わる領域を活性化させる. の方が高値を示したことが報告されている。先行研究で. ことが要因だと報告されている。また、脳の報酬系に. は、プラセボマウスリンス群と炭水化物マウスリンス群. 関わる領域の活性化は運動中の主観的な強度に影響を. の血中グルコース濃度に差は認めらなかったと報告さ. 及ぼすと考えられている。先行研究において、炭水化. れている。しかし、本研究ではプラセボと炭水化物 6%. 物マウスリンス群は持久的パフォーマンスを改善して. で有意な差が認められた。これは、炭水化物 6%の溶液. いるにもかかわらず、プラセボ群と比べ、運動中の RPE. マウスリンスは呼吸交換比が低いという結果から、エネ. に差は認められなかった。また、RPE が 15 と感じる. ルギー基質の利用に違いがあることが示され、内因性の. 強度で 30 分間走らせた研究では、炭水化物マウスリン. 糖質の節約に影響する可能性が示唆された。. ス群がプラセボ群と比べて、持久的パフォーマンスを. また、運動継続時間に影響を及ぼす要因の 1 つとし. 改善したと報告されている。主観的な運動強度は同じ. て、溶液の温度が考えられる。本研究で用いた溶液の温. であるにも関わらず、炭水化物マウスリンスは、より. 度は先行研究に基づき、約 20℃としたが、疲労困憊ま. 高い運動強度で運動をすることができるということが. での運動中に温い水(19℃)よりも冷たい水(4℃)を. 考えられる。本研究では濃度間に RPE に差は認められ. 摂取させた群の方が、持久的パフォーマンスを改善した. なかった。これは運動強度が強すぎたため、運動中の. ことが報告されている。また、冷却物質(メントール). RPE に影響を及ぼさなかったと考えられる。しかし、. を含む溶液のマウスリンスが持久的パフォーマンスを. 被験者が炭水化物マウスリンスによって「楽になった」. 改善したことも報告されている。これらの研究から、口. と回答したことから、脳の報酬系に関わる領域を活性. 腔内の溶液に対する温度感覚が持久的パフォーマンス. 化させていた可能性がある。また、高い強度でのラン. に影響することが考えられる。本研究で用いた溶液の温. ニング中、マウスリンス自体がきついという感想もあ. 度は、先行研究における温い溶液と同様であった。マウ. ったことから、走行を一時停止してマウスリンスを行. スリンスの効果は炭水化物水溶液を口腔内に 5 秒間程. う等の実験方法上の問題も考えられた。. 度、留めることにより得られることから、水温の影響も. 呼吸交換比には時間及び濃度間に主効果が認められ、. 考慮する必要が示唆された。. 疲労困憊前において、炭水化物 6%と炭水化物 18%の 間に有意な差が認められた。プラセボと炭水化物 6%に. まとめ. 有意な差は認められなかったが、プラセボが高値を示. 本研究では濃度の異なる炭水化物溶液(0%、6%、. した。プラセボの運動後の血中グルコース濃度は、炭. 18%)におけるマウスリンスが持久的パフォーマンス. 水化物 6%と有意な差は認められた。このことから、炭. に与える影響は認められなかった。しかし、炭水化物を. 水化物 6%と比べて、プラセボは炭水化物の利用が高か. 含む溶液のマウスリンスでは、運動が楽になると答えた. ったことが推察される。酸素摂取量は疲労困憊前、濃. 被験者がいた。また、炭水化物 6%の溶液マウスリンス. 度間に差は認められなかったものの、炭水化物 6%の溶. は血中グルコース濃度を上昇させ、呼吸交換比と酸素摂. 液マウスリンス実施時、やや低い傾向を示した。酸素. 取量を低下させると考えられる。これらの要因が、運動. 摂取量が低いということは、運動の強度が低かったこ. 継続時間に影響を及ぼす可能性が見出された。. とから運動中の脂質利用の割合高かった可能性がある。 よって炭水化物 6%の溶液マウスリンスは、低い呼吸交. 主要引用文献. 換比を示したと考えられる。また、炭水化物 6%と炭水. Carter JM, Jeukendrup AE, Jones DA.(2004) The. 化物 18%で有意な差が認められたことによって、炭水. effect of carbohydrate mouth rinse on 1-h cycle. 化物マウスリンスに至適濃度が存在する可能性がある。. time. 血中グルコース濃度には時間及び濃度間に主効果が. trial. performance.Med. Sci. Sports. Exerc,36(12):2107-11.. 認められた。濃度間で有意な差が認められたのは、プ. E.S.Chamber,M.W.Bridge,D.A.Jones.(2009)Carbohyd. ラセボと炭水化物 6%の間であった。運動時、60%. rate sensing in the human mouth:effects in. o2max 強度を超えると、アドレナリンの分泌が急激 に増加すると報告されている。したがって、血中グル コース濃度の上昇は高強度運動によるアドレナリンの 分泌によるものと考えられる。また、LT と OBLA の 強度に設定したエルゴメーターで 30 分間運動した研究. exercise performance and brain. activity.. Journal of Physiology.587:8.1779-1794..

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参照

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