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技術論文 クレアチニン試験紙の偽反応を起こす要因についての 検討 林 紀子 1) 松本 淳子 1) 林田 理沙 1) 竹平 1) 国家公務員共済組合連合会呉共済病院検査部 要 歩美 1) 佐々木 彩 1) 広島県呉市西中央 旨 近年 クレアチニン試験紙が開発され 随時

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技術論文

クレアチニン試験紙の偽反応を起こす要因についての

検討

林  紀子

1)

林田 理沙

1)

竹平 歩美

1)

佐々木 彩

1)

松本 淳子

1) 1) 国家公務員共済組合連合会呉共済病院検査部(〒 737-8505 広島県呉市西中央 2-3-28)  要 旨 近年,クレアチニン試験紙が開発され,随時尿での尿中蛋白/クレアチニン比(以下 P/C 比)が試験紙で容易に測定出 来るようになった。しかし他の項目同様,日常検査において定量値と大きく乖離する偽反応(偽陽性,偽陰性,異常呈 色)にしばしば遭遇する。これまでクレアチニン試験紙の偽反応として,ヘモグロビンやミオグロビン,シメチジンの服 用等の報告がなされている。今回われわれは,クレアチニン試験紙法における偽反応を示した検体を用い,その原因追究 を行ったところ,偽高値例では従来の報告通りシメチジンの服用が確認されたが,偽低値例においてはこれまであまり報 告のない着色尿や,アルカリ尿で多く起きることが確認できた。そこで,着色尿については測定機器の波長特性,アルカ リ尿については pH による試験紙の呈色への影響を検討した。結果は,着色尿では異常な波長特性を示し,pH ではアルカ リ性に傾くほど半定量値は偽低値を示すことが判明した。とくに pH 9.0 以上では全ての尿で 2 ランク以上低値となった。 今回の検討から,クレアチニン試験紙法に偽低値を起こす要因として,着色尿とアルカリ尿が関与するものと考えられた。 キーワード クレアチニン試験紙,偽反応,クリニテックアトラス XL 尿検査は尿の濃縮や希釈の影響を受けるため,ク レアチニン補正が行われている。近年,尿試験紙法 においてもクレアチニン試験紙が開発され,さらに 従来の蛋白質試験紙部分を高濃度領域とアルブミン に特異的な低濃度領域で測定し,P/C 比を演算する 尿試験紙が商品化され,その有用性も報告されてい る1)~4)。しかし,尿試験紙法は偽反応(偽陽性,偽 陰性,異常呈色)が多い検査でもあり,クレアチニ ン試験紙においても定量値と比べて大きく乖離する 検体にしばしば遭遇する。そこで乖離検体に注目し て検討を行い,クレアチニン試験紙の偽反応を起こ す偽低値要因について,新たな知見を得たので報告 する。 I 対象および方法 1.対象 平成 21 年 2 月~3 月,平成 22 年 5 月~6 月,平成 24年 1 月~2 月の間に当院にてクリニテックアトラ ス XL(SIEMENS)を使用して尿定性検査と尿蛋白 定量検査を行った 353 例を対象とした。平成 22 年 5 月~9 月に提出されクリニテックアトラス XL で 「Dark Yellow」「Orange」「Red」に判定されたものを 着色尿とし,29 例を対象に検討を行った。 また,アルカリ尿に関しては平成 23 年 12 月~平 成 24 年 9 月に提出された pH 8.5 以上のアルカリ尿 169例,細菌尿 6 例を対象とした。 2.方法 クレアチニン半定量は銅-クレアチニン結合物の (平成 28 年 7 月 18 日受付・平成 29 年 3 月 24 日受理)

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ペルオキシダーゼ様作用を原理としたアトラス試薬 カートリッジ PRO12(SIEMENS)を用いて,クリニ テックアトラス XL(SIEMENS)で測定した。クレ アチニン半定量の評価は本試験紙法の分類に従い 10,50,100,200,300 mg/dL の 5 段階で行った。 評価基準としたクレアチニン定量は,オートミズ ホ CRE(N)(ミズホメディー)を用いて ARCHITECT C8000(東芝メディカルシステムズ)で測定した。 定量値の評価は 24.9 以下,25~74.9,75~149.9,150 ~249.9,250 mg/dL 以上の 5 段階とした。 各段階において両者が完全に一致した場合を完全 一致率,±1 ランク内で一致した場合を±1 ランク一 致率として算出した。 尿の pH 調整用に pH メータ AS-211(ASONE)を 用いた。 II 結 1.クレアチニン半定量値と定量値の比較 対象群 351 例のクレアチニン半定量値と定量値の 比較結果を Table 1 に示した。完全一致率は 62.0%, ±1ランク一致率は 97.2%であった。2 ランク以上の 乖離を認めた 10 例中 4 例の半定量値は定量値より 高値を示し,6 例は低値を示した。前者の 4 例のう ち 3 例で胃薬のシメチジンの服用が確認された。逆 に,半定量値が定量値より低値を示した 6 例のうち 3例が赤~橙色の着色尿,2 例は強アルカリ尿であっ た。また,1 例の原因は不明であった。 2.偽低値を起こす要因についての追加検討 1)着色尿に関する検討 ①クレアチニン半定量値と定量値の比較 着色尿 29 例のクレアチニン半定量値と定量値の 比較結果を Table 2 に示した。完全一致率は 13.8%で ±1 ランク一致率は 44.8%と低く,完全一致の 4 検 体を除いて,半定量値は定量値より低値傾向を示し た。 ②クレアチニン試験紙の波長特性 試験紙の呈色を自動分析装置で測定する際に,尿 の色が干渉している可能性が示唆されたため,クレ アチニン試験紙の波長特性を SIEMENS 社(以下 S 社)に依頼した。 クリニテックアトラス XL の測定原理は光電反射 法で,クレアチニン試験部分は主波長,副波長の 2 波長を用いて測定を行っているとのことだが,その クレアチニン半定量と定量値の比較 Cr定量値(mg/dL) 24.9以下 25~74.9 75~149.9 150~ 249.9 250以上 計 Cr半定量値(mg/dL) 10 22 56 1 3 1 83 50 5 100 15 120 100 13 68 8 1 90 200 16 25 4 45 300 2 2 7 4 15 計 27 171 102 43 10 353 完全一致率 62.0%,±1 ランク一致率 97.2% Table 1  着色尿におけるクレアチニン半定量の比較 Cr定量値(mg/dL) 24.9以下 25~74.9 75~149.9 150~ 249.9 250以上 計 Cr半定量値(mg/dL) 10 2 3 4 3 12 50 5 2 1 8 100 1 3 4 200 2 2 4 300 1 1 計 0 2 9 8 10 29 完全一致率 13.8%,±1 ランク一致率 44.8% Table 2 

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波長やアルゴリズムについては非公開である。 10,50,100,200,300 mg/dL でのクレアチニン コントロールの波長特性を Figure 1 に示した。クレ アチニンの呈色反応は低濃度域が黄色系(650 nm 前 後),高濃度域が緑色系(550 nm 前後)に変化する ため,これらの波長に注目した。低濃度域では黄色 系/緑色系波長の差は小さく,高濃度域では緑色系 に対して黄色系波長が低くなる。つまり差が大きく なる傾向を示した。そこで,当院で測定した凍結保 存の着色尿 19 検体を S 社が分析したところ,13 検 体の測定が可能であった。その中で,検体 No. 4 は 当院で測定した値が再現できなかったが,その他は 1ランク以上の測定誤差となった。濃度ごとに着色 尿の定量値とコントロールの波長特性を Figure 2 に 示した。2 ランク以上の乖離検体(No. 3, No. 5, No. 12, No. 19)では,黄色系と緑色系波長の差が低値を 示し,コントロールとは異なる波長特性を示してい た。各検体の緑色系波長を 550 nⅿ,黄色系波長を 650 nmと仮定し,その差を Table 3 に示した。定量 値 300 付近の検体の 550 nm–650 nm の差に注目する と,コントロールは 284.6,完全一致検体 No. 16 は 226,乖離検体 No. 19 は 43 で,乖離する検体ではコ ントロールよりも小さい差になっていた。 ③クレアチニン試験紙の目視法による判定 呈色試験紙の写真を用いて,当院一般検査担当技 師 5 名の目視判定(近似値法)結果を Figure 3 に示 した。若干の個人差はあるものの,分析器の測定値 と乖離することはなく,目視法を用いることで No. 5や No. 13 のように定量値との乖離を改善できた検 体もあった。しかし,No. 3 は尿の色の影響により判 定不能,No. 18 では 1 ランクから 2 ランク差が生じ た。 2)アルカリ尿に関する検討 ①強アルカリ尿におけるクレアチニン半定量値と定 量値の比較 pH 8.5以上の強アルカリ尿 169 例のクレアチニン 半定量値と,定量値の比較結果を Table 4 に示した。 完全一致率は 28.4%,±1 ランク一致率は 84.0%とな り,その中で 26 例では半定量値が定量値より低値を 示し,1 例で半定量値が高値を示した。 ②アンモニア水による検討(N = 12) 尿にアンモニア水を添加して,pH 7.5~10.0 に調 節 し た 試 料 の ク レ ア チ ニ ン 半 定 量 値 の 変 動 を Figure 4に示した。pH がアルカリに傾くほど低値を 示し,pH 9.0 以上になるとほぼ全ての尿で 2 ランク 以上の低値となった。 ③細菌尿による検討(N = 6) 細菌尿を放置して尿を意図的にアルカリ化させ, クレアチニン半定量値の変動を Figure 5 に示した。 アンモニア水と同様に,pH がアルカリに傾くほど低 値を示し,pH 8.5 以上になると全ての尿で 2 ランク 以上低くなった。一方,アルカリ化した尿に 30%酢 0 100 200 300 400 500 600 700 800 510 530 550 570 590 610 630 650 670 690 10 mg/dL 50 mg/dL 100 mg/dL 200 mg/dL 300 mg/dL 黄色系波長 緑色系波長 反射率(×10) アトラスフィルター波長(nm) コントロールのクレアチニン波長特性 Figure 1 

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No. 定性値 (院内) 定量値 尿色調 10 10 (10) 71.6 OR 1 ランク一致 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 510 530 550 570 590 610 630 650 670 690 反射率 (×10) 50 mg/dL 50 mg/dL No. 10 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 510 530 550 570 590 610 630 650 670 690 反射率 (×10) フィルター波長(nm) フィルター波長(nm) フィルター波長(nm) フィルター波長(nm) 100 mg/dL 100 mg/dL No. 5 No. 14 No. 18 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 510 530 550 570 590 610 630 650 670 690 反射率 (×10) 200 mg/dL 200 mg/dL No. 4 No. 12 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 510 530 550 570 590 610 630 650 670 690 反射率 (×10) 300 mg/dL 300 mg/dL No. 3 No. 11 No. 13 No. 15 No. 16 No. 17 No. 19 No. 定性値 (院内) 定量値 尿色調 5 10 (10) 98.5 OR 乖離 14 50 (10) 131.3 OR 1 ランク一致 1 ランク一致 18 50 (50) 99.2 DY No. 定性値 (院内) 定量値 尿色調 4 200 (10) 240.8 DY 完全一致 12 50 (10) 195.9 DY 乖離 No. 定性値 (院内) 定量値 尿色調 3 10 (10) RD 乖離 11 200 (200) DY 1ランク一致 1ランク一致 13 200 (100) OR 15 >_ 300 (200) 1,115.5 RD 完全一致 16 >_ 300 (300) DY 完全一致 17 >_ 300 (100) OR 完全一致 19 50 (50) 415.6 290.9 364.3 527.6 393 377.7 OR 乖離 着色尿における波長特性 Figure 2  緑色系波長(550 nm)と黄色系波長(650 nm)の差 定量 定性(当院) 550 nm 650 nm 550–650 差 Cont 10 10.2 10 657.8 621.4 36.4 Cont 50 52.3 50 651 565.8 85.2 10 71.6 10(10) 1ランク一致 555 542 13 Cont 100 104.5 100 616.4 444.6 171.8 5 98.5 10(10) 乖離 411 348 63 14 131.5 50(10) 1ランク一致 518 402 116 18 99.2 50(50) 1ランク一致 576 437 139 Cont 200 204 200 550.6 289.8 260.8 4 240.8 200(10) 完全一致 373 215 158 12 159.9 50(10) 乖離 520 375 145 Cont 300 308 300 486.8 202.2 284.6 3 415.6 10(10) 乖離 147 272 −125 11 290.9 200(200) 1ランク一致 452 214 238 13 364.3 200(100) 1ランク一致 389 185 204 15 1,115.5 ≥ 300(200) 完全一致 240 95 145 16 527.6 ≥ 300(≥ 300) 完全一致 398 172 226 17 393.0 ≥ 300(100) 完全一致 365 155 210 19 377.7 50(50) 乖離 915 872 43 Table 3 

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酸を添加し,pH を 7.5 以下に調節すると定量値に近 い値を得ることができた。 ④各 pH での試験紙の呈色 アンモニア水の添加により,アルカリ化した尿の 試験紙呈色を確認した。各 pH における試験紙の呈 色を Figure 6 に示した。尿をアルカリ化させるほど 呈色は薄くなり,定量値の 150 mg/dL よりも低値を 示し,30%酢酸で pH を酸性に調節すると呈色は改 善され,定量値に近い値を得ることができた。 III 考 尿中の 1 日蛋白排泄量を正確に把握することは, 腎疾患の重症度や活動性を判断する上できわめて重 要である。近年クレアチニン試験紙の開発により, 尿試験紙で P/C 比が測定できるようになった。しか し,尿試験紙法は偽反応(偽陽性,偽陰性,異常呈 色)が多い検査でもあり,これを見抜くことは臨床 検査技師の責務であると考える。今回,われわれは クレアチニン半定量値が定量値と比べて大きく乖離 した例を経験したことから,偽反応を起こす要因に ついて検討を行った。 対象 351 例でのクレアチニン半定量値と定量値の 相関は完全一致率が 62.0%,±1 ランク一致率は 97.2%と良好な相関であった。半定量値が定量値よ り 2 ランク以上高値を示した 4 例のうち,3 例でシ 検体No. 5 14 12 4 3 19 13 17 試験紙 の呈色 目視法 50 50 10 3人 50 2人 200 判定 不能 100 4人 50 1人 300 4人 200 1人 200 分析器 (院内) 10 (10) 50 (10) 50 (10) 200 (10) 10 (10) 50 (50) 200 (100) >_ 300 (100) 定量値 98.5 131.3 195.9 240.8 415.6 377.7 364.3 393.0 検体No. 10 18 11 15 16 試験紙 の呈色 目視法 10 10 200 4人 100 1人 300 200 分析器 (院内) 10 (10) 50 (50) 200 (200) >_ 300 (200) >_ 300 (>_ 300) 定量値 71.6 99.2 290.9 1,115.5 527.6 クレアチニン試験紙の目視による判定 Figure 3  強アルカリ尿におけるクレアチニン半定量と定量値の比較 Cr定量値(mg/dL) 24.9以下 25~74.9 75~149.9 150~ 249.9 250以上 計 Cr半定量値(mg/dL) 10 22 72 15 6 115 50 25 20 5 50 100 1 2 3 200 1 1 300 0 計 22 98 36 13 0 169 完全一致率 28.4%,±1 ランク一致率 84.0% Table 4 

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メチジンの服用が確認された。これは試験紙の添付 文書にも記載されており,偽陽性に注意しなければ ならない要因の一つである。一方,同様に半定量値 が定量値より 1 ランク以上低値を示した 6 例の中で 3例は橙~赤色の着色尿,2 例が pH 8.5 以上の強ア ルカリ尿であった。尿 pH がクレアチニン半定量値 に影響を与えている可能性が考えられ山西ら5)もそ う指摘している。 そこで,われわれは着色尿とアルカリ尿がクレア チニン半定量値に影響を及ぼしているのではないか と推察し,追加検討を行った。まず,着色尿 29 例に ついてクレアチニン半定量値と定量値の比較を行っ た。その結果,完全一致率は 13.8%,±1 ランク一致 率は 44.8%となり,完全一致の 4 検体を除き半定量 値は定量値より低値傾向を示した。そこで,尿の色 調が自動分析器にどのような影響を与えているのか をみるため,呈色した試験紙の波長特性を調べた。 クレアチニン試験紙は主波長・副波長を反射率で測 定している。そして,キャリブレーション時のデー タを用いたアルゴリズムによって連続的な値に置き 換えられ,その値に範囲を設けて半定量値を得てい る。波長特性より,反射される黄色系波長と緑色系 波長の割合で呈色試験紙は判定されているとわれわ れは仮定し検討を行った。コントロールの波長特性 から,低濃度では黄色系/緑色系波長の差が小さく, 高濃度ほど黄色系/緑色系波長の差が大きくなるこ 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 pH 検体1 検体4 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 pH 検体2 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 pH pH pH pH pH pH pH pH pH pH 検体3 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体5 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体6 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体7 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体8 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体9 半定量値 定量値 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体10 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体11 0 100 200 300 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 検体12 ±1ランク一致エリア pHの影響(アンモニア水) Figure 4 

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とが分かった。測定可能であった着色尿 13 検体とコ ントロール 5 濃度の呈色試験紙の波長特性を比較し たところ,2 ランク以上の乖離検体では濃度が同程 度のコントロールよりも黄色系/緑色系波長の差が 小さいことが分かった。すなわち,呈色が黄~緑色 を示すクレアチニン試験紙において,緑色系の波長 を少なくとらえたため低値に傾いたのではないかと 推測できる。この差が小さくなる要因として尿の色 調の影響が考えられる。つまり,尿の黄色調が強け れば緑色系波長の反射光が減弱され,一方赤色調が 強い場合は黄色系波長の反射光が増高されるため, この差が小さくなったのではないかと推察された。 また No. 19 はすべての波長で反射率が高くなってい たが,黄色系/緑色系波長の差が小さいために,低 pH 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 酢酸添加6.0 試験紙 の呈色 半定性値 100 50 50 10 10 10 200 定量値 156.9 152.3 151.3 149.7 152.0 143.9 148.5 pHの違いによる試験紙の呈色 Figure 6  値と判定されていたと推測した。 次に,着色尿の目視法による再検が有効であるか どうか,当院一般検査担当技師 5 名で呈色試験紙の 写真を用いて判定を行ったところ,若干であるが改 善がみられる検体もあった。しかし,No. 3 に見られ るように強い着色では判定不能となる場合もあり, 試験紙法の限界を感じた。また,呈色を確認したこ とで No. 12,No. 18,No. 19 は定量値濃度よりも低 値を示す検体であることが分かった。これらは尿の 着色以外の誤反応の可能性があると思われるが,原 因は不明であった。しかし,着色尿で尿の外観より 半定量値が低値を示した際,目視法や定量による確 認検査は有効と思われる。 次に,pH がクレアチニン試験紙へ与える影響につ いて検討を行った。pH 8.5 以上の強アルカリ尿 169 例について,クレアチニン半定量値と定量値の比較 を行った。完全一致率は 28.4%,±1 ランク一致率は 84.0%と一致率は低く,半定量値は定量値に比べ低 値傾向を示したため pH の影響を受けたものと考え られた。 さらに,pH がどの辺りから影響を与えるのかをみ るため,アンモニア水を添加して pH を調節した尿 と,細菌尿を放置してアルカリ化させた尿を用いて 検討した。いずれの場合も pH が上昇するほど影響 を受け,pH 9.0 を超えるとほぼ全ての尿で 2 ランク 0 50 100 150 200 250 300 Cr濃度 pH 検体1 0 50 100 150 200 検体2 0 50 100 150 200 250 300 7.0 8.5 8.5 酢酸添加 検体3 0 50 100 150 200 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 Cr濃度 検体4 0 50 100 150 200 6.0 8.5 8.5 酢酸添加 検体5 0 50 100 150 200 5.5 8.0 8.5 酢酸添加 検体6 半定量値 定量値 ±1ランク一致エリア 5.5 8.0 8.5 8.5 酢酸添加 pH 7.5 7.5 8.5 8.5 酢酸添加 pH 5.5 7.5 8.0 8.5 酢酸添加 pH pH pH pHの影響(細菌尿) Figure 5 

(8)

以上低値を示した。また,各 pH における試験紙の 呈色を目視法で確認すると,アルカリ化させるほど 呈色が低下し低値を示した。クレアチニン試験紙の 反応原理は銅-クレアチニン結合物のペルオキシ ダーゼ様作用で,至適 pH は 6.0~7.0 である。試薬 には緩衝剤が含まれているものの強アルカリ尿では 十分に緩衝されず,そのため反応性が低下し,半定 量値は定量値より低値を示したのではないかと考え られた。また,アルカリ化した尿に 30%の酢酸を添 加し至適 pH 付近に調整すると,定量値に近い値が 得られることが分かった。 尿中のクレアチニンは尿の濃縮や希釈の補正のた めに測定しており,クレアチニン試験紙が偽低値を 示すと P/C 比は偽高値となり,臨床での腎疾患の重 症度や活動性を診断する上で誤った評価を与えかね ない。従って,尿の外観(色調・濃縮尿・希釈尿) を十分に観察し,クレアチニン測定値と矛盾が生じ た場合は,目視法や pH の調節,定量法等を用いて 正確な検査を行わなければならないと考える。 IV 結 日常検査において赤~橙色の着色尿や pH 8.5 以上 の強アルカリ尿はクレアチニン試験紙に偽反応を起 こすことが判明した。試験紙法は様々な検体の性状 や要因の影響を受けるため,その反応原理や偽反応 をおこす要因を十分理解して検査を行う必要がある。 そして正確な結果を臨床側へ提供することは我々臨 床検査技師の責務であると考える。また,今後もメー カーに対しては,測定機器や試薬性能の改善を期待 したい。 謝辞 本研究の追行にあたり,ご指導ご助言を頂きました広島大学病 院診療支援部中川浩美技師,測定にご協力いただきました SIEMENS社に深謝致します。 ■文献  1) 中 千里,他:「随時尿を用いた試験紙法による蛋白/クレア チニン比の有用性について」,臨床病理,2005; 53: 810–817.  2) 松田 ふき子,他:「尿試験紙による蛋白/クレアチニン比測 定法の評価」,医学検査,2007; 56: 237–241.  3) 高橋 勝幸,他:「全自動尿分析装置クリニテックアトラス XL を用いたアトラス試薬カートリッジ PRO12 の基礎的検討と 蛋白/クレアチニン比の有用性」,医学と薬学,2002; 48: 727–735.  4) 油野 友二:「尿試験紙法蛋白/クレアチニン比(P/C 比)の 有用性と課題」,臨床病理レビュー,2013; 149: 72–74.  5) 山西 八郎,他:「尿試験紙法によるタンパク/クレアチニン 比から得られる臨床情報」,医学と薬学,2010; 64: 427–434. 本論文に関連し,開示すべき COI 状態にある企業等はありません。

(9)

Technical Article

An examination of false reaction factors on creatinine test strips

Noriko HAYASHI1) Risa HAYASHIDA1) Ayumi TAKEHIRA1) Aya SASAKI1)

Jyunko MATSUMOTO1)

1)Department of Clinical Laboratory, Kure Kyosai Hospital (2-3-28, Nishichuou, Kure-shi, Hiroshima 737-8505, Japan)

Summary

Creatinine test strips have been developed in recent years, and the urine protein-to-creatinine ratio (P/C ratio) in random urine specimens can easily be measured by the test strip method. Nevertheless, just like other test items, we often encounter a situation wherein false reactions (false positive, false negative, and false color reactions) in a routine laboratory test deviate significantly from the quantitatively determined values. It has been reported that a false reaction of a creatinine test strip may occur in the presence of hemoglobin or myoglobin, or when patients are taking cimetidine, etc. We investigated the root cause of false reactions using clinical specimens that showed a false reaction in a creatinine test strip method. The semiquantitatively determined creatinine levels in some specimens were higher than the quantitatively determines levels, and we confirmed that this inconsistency occurred owing to the intake of cimetidine, as previously reported. On the other hand, the semiquantitatively determined levels in some specimens were lower than the quantitatively determined levels, and we observed that they often occurred in colored urine or alkaline urine, which are not reported very often. Therefore, we checked the wavelength characteristics of CLINITEK Atlas XL for colored urine, and we examined the color of urine as influenced by alkaline urine pH. As a result, colored urine showed abnormal wavelength characteristics, and a high pH of alkaline urine resulted in a false creatinine level, i.e., lower than the quantitatively determined level. All urine samples over pH 9.0 showed a creatinine level more than 2 ranks lower. This examination suggested that colored urine and alkaline urine were some of the causes that lead to the false lower levels in the creatinine test strip method.

Key words: creatinine test strip, false reactions, CLINITEK Atlas XL

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