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非日常をテーマとした造形表現の研究
教科・領域教育専攻 芸術系コース(美術) 石 田 車 大
1.はじめに
筆者は芸術作品の持つ「非日常性jに特に魅 力を感じ、制作活動を行ってきた。美術や音楽 などの芸術作品との出会いは、繰り返される日 常に刺激を与えてくれる。その府臓を通して体 験したことが日常に変化と発展をもたらせてき た。その取撒こそが芸術作品の「非日常性
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で あると感じた。芸術作品と触れることがスパイ スとなり、繰り返す日々に荊臓を与え、いつも 見ていた風景をこれまでと全く違った物に感じ させてくれるのである。このような考えが現在 の制作における意図となっている。l l .
修了作品以前の作品について美術大学学部時から現在に至るまで、インス タレーションを用いた制作を行ってきた。イン スタレーションの特性のーっとして仮設性があ り、設置から撤去までの期間限定の作品である ことが挙げられる。インスタレーションを用い る理由としては展示する空間ヰ環境から着想を 得た制作が可能であり、その環境の全てを存分 に利用することによって、よりテーマに近づい た表現が行えることである。また筆者は、常に 在り続ける作品は、時間の艦晶と共にその空間 の「日常jへと変化すると考えており、時間的 に限定された空間を創り出すインスタレーショ ンこそが「非日常Jを演出するに相応しいと考 えているからである。
指導教員 野 崎 窮
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修了作品についてこの作品を鑑賞者の車線を追って説明すると、
暗い状況の空間に設置された直方体の小屋に靴 を脱いで小さな入り口から入る。そこは畳が敷 かれた一般的な照明の小さな空間である。空間 内に設置されたスイッチを作勃させることで照 明が切り替わり、鑑賞者は背後からスポットラ イトを浴び、自身の影を見ることになる、とい った日常的空間と非日常的空間の切り替えを照 明機材を用いて表現し、鑑賞者に体感させるこ とを目的とした装置である。なお、鑑賞者はオ ブジェの脇に掲示された指示書にて、鑑賞の手 順を知ることができる。
「非日常jは「日常Jと相対する関係にある。
f非日常Jを表現するために f日常jをよりリ アルに表現する必要があると考え、畳など比較 的多くの人がくつろげるような素材を組み合わ せてベースとなる空間を作った。その空間に
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系統の照明を設置し、その照明効果によって「日 常Je r非日常jの違いを表現した。日常的な 空間を非日常的にするためには、光を利用する ことが効果的であると考えたからである。また、
自分を見つめ直す装置としたいと考え、光の特 性を利用した。
装置について詳述すると、工事現場などで使 用されている足場用単管とクランプで直方体の 構造物を作り、床にはコンパネと畳を使い、天 井はなるべく負荷を抑えるためにプラスチック
- 338 - ダ、ンボールを使用した。クランプの連結部分は、
足元など接触する危険性がある箇所にカバーを 付けるなどの安全面の配慮を行った。装飾的要 素などをなるべく省き、鑑賞者が作品を通して 行う体験に集中できるようにしたいと考えた。
壁面に利用した寒冷紗は非常に軽く、天井部へ の負荷が少ない。また光を透過、反射する
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面 的な特性は空間の演出に適した素材であった。空間内部から照明を当て、反射させることによ り内側からは外部が見えにくくなる。この効果 により、鑑賞者は一層自分の行為に集中できる のではないかと考えた。「日常」と「非日常Jの 違いをより明確に表現するために、それぞれ暖 色と白色の電球を用いた。それらの切り替えに はON/ONの動作性を持つトグルスイッチを使 用した。
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おわりに修了制作において、非日常をテーマに制作し た。単に場所や素材から発想する制作というこ と以上に、制作意図を「非日常を体験する」装 置としたことで仮設的な表現でありながら、鑑 賞者の体験を基にした大掛かりな参加型の造形 表現となった。鑑賞者が参加し、体験すること で成り立つ表現は、様々な気配りを作者に要求
し、制作を進めていく上で気苦労も尽きなかっ た。しかし、従来の彫刻や立体表現では達しえ ない双方向的な造形表現となった。このような コンセプトに基づいた制作が行えたことは、筆 者にとって今後の作家活動や教育活動に大きな 影響を与える体験となった。
題名非"常スイッチ 制 作 年 却15年
素材単管、寒冷紗、LED電球、トグルスイッチ、畳、木材な ど
オブジェのサイズ H31